特定中小企業の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第百四十号
公布年月日: 昭和28年8月1日
法令の形式: 法律
特定中小企業の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十八年八月一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百四十号
特定中小企業の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律
特定中小企業の安定に関する臨時措置法(昭和二十七年法律第二百九十四号)の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
中小企業安定法
第二条第一項中「別表において」を「政令で」に改め、同項第一号を次のように改める。
一 当該業種に係る製品の需給が著しく均衡を失しており、且つ、かような事態を放置しては当該業種に属する事業の経営において相当の損失が生ずる虞があること。
同条同項第二号中「当該業種に属する事業の経営の不振が相当長期間にわたる虞があり、企業の合理化のみによつてはこれを克服することが困難であり」を「企業の合理化によつては、前号に掲げる事態を克服することが困難であり」に改める。
第三条中「別表に掲げる業種」を「前条第一項の規定により政令で指定した業種」に改める。
第十条第二項中第一号を削り、第二号を第一号とし、以下一号ずつ繰り上げる。
第十五条第一号中「生産(製造又は加工をいう。)」を「生産(製造又は加工をいう。以下同じ。)」に、「若しくは出荷数量又はその生産設備に関する制限」を「、出荷数量(加工品の引渡数量を含む。以下同じ。)、販売方法(加工品の引渡方法を含む。以下同じ。)又は生産設備に関する制限(これらの制限を確保するための製品の検査を含む。)」に改め、同条第四号中「前三号」を「前七号」に、「、製品の検査その他の事業」を「その他の事業」に改め、同条中第二号及び第三号をそれぞれ第五号及び第六号とし、第四号を第八号とし、第一号の次に次の三号を加える。
二 技術的理由により指定業種に係る製品の生産数量を制限することが著しく困難である場合における組合員が生産をする指定業種に係る製品の販売価格(加工賃を含む。以下同じ。)の制限(その制限を確保するための製品の検査を含む。)
三 第一号に掲げる制限を実施した後において第二条第一項各号に規定する事態を克服することが著しく困難である場合における組合員が生産をする指定業種に係る製品の販売価格の制限(その制限を確保するための製品の検査を含む。)。但し、第一号に掲げる制限とともに行う場合に限る。
四 組合員が生産をする指定業種に係る製品の原材料の購入方法に関する制限又はその購入価格の制限
同条中第六号の次に次の一号を加える。
七 組合員の経済的地位の改善のためにする団体協約の締結
第十六条第一項中「前条第一号」の下に「から第四号までの規定」を加え、同項に次の但書を加える。
但し、設定し若しくは変更しようとする内容が当該調整組合の属する調整組合連合会の認可された総合調整計画の内容と同一であるとき又は変更しようとする内容が生産数量、出荷数量若しくは生産設備に関する制限を緩和するものであるときは、この限りでない。
同条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同項第三号を次のように改める。
三 消費者及び関連事業者の利益を不当に害すること。
同条第二項を第三項とし、第一項の次に次の一項を加える。
2 調整組合は、前項但書の規定により認可を受けないで調整規程を設定し、又は変更したときは、総会又は創立総会において調整規程の設定又は変更を議決した日から二週間以内にその旨を通商産業大臣に届け出なければならない。
第十八条第一項中「第十六条第一項の認可をした後において当該調整規程の内容が同条第二項」を「調整規程の内容が第十六条第三項」に改め、同条第二項を次のように改める。
2 通商産業大臣は、調整組合が前項の命令に従わないとき又は当該調整規程の内容が第十六条第三条各号の一に該当するに至つたと認めるときは、同条第一項の認可を取り消し、又は当該調整規程を廃止すべきことを命ずることができる。
第二十条中「第十六条第一項の認可を受けた調整規程」を「当該調整規程」に改める。
第二十二条第一項中「総会」の下に「又は創立総会」を加え、同条第二項中「前項の決議」を「前項の総会の決議」に改める。
第二十五条を次のように改める。
第二十五条 削除
第二十六条第一号中「若しくは出荷数量又はその生産設備に関する制限」を「、出荷数量、販売方法又は生産設備に関する制限(これらの制限を確保するための製品の検査を含む。)」に改め、同条第四号中「前三号」を「前七号」に、「、製品の検査その他の事業」を「その他の事業」に改め、同条中第二号及び第三号をそれぞれ第五号及び第六号とし、第四号を第八号とし、第一号の次に次の三号を加える。
二 技術的理由により会員たる調整組合がその組合員に対する指定業種に係る製品の生産数量を制限することが著しく困難である場合における会員たる調整組合が行うその組合員に対する指定業種に係る製品の販売価格の制限(その制限を確保するための製品の検査を含む。)についての総合調整計画の設定及びその実施
三 第一号に掲げる総合調整計画を実施した後において第二条第一項各号に規定する事態を克服することが著しく困難である場合における会員たる調整組合が行うその組合員に対する指定業種に係る製品の販売価格の制限(その制限を確保するための製品の検査を含む。)についての総合調整計画の設定及びその実施。但し、第一号に掲げる事業とともに行う場合に限る。
四 会員たる調整組合が行うその組合員に対する指定業種に係る製品の原材料の購入方法に関する制限又はその購入価格の制限に関する事業の総合調整
同条中第六号の次に次の一号を加える。
七 会員たる調整組合の組合員の経済的地位の改善のためにする団体協約の締結
第二十八条中「第八条(登記)、」の下に「第十一条第二項から第五項まで、」を加え、「第十九条」を「第十九条第一項(第四号を除く。)から第三項まで」に改め、「第五十二条から第五十四条まで(総会)、」の下に「第五十五条(総代会)、」を「第六十九条(解散及び清算)、」の下に「第七十条第四項から第六項まで(事業)、」を加え、「第十一条」を「第十一条第一項」に、「特定中小企業の安定に関する臨時措置法」を「中小企業安定法」に改め、『第十条の認可」と、』の下に『第四十条の二中「総組合員の十分の一以上」とあるのは、連合会にあつては「議決権の総数の十分の一以上に相当する議決権を有する会員」と、第四十一条第一項、第四十七条第二項及び第四十八条中「総組合員の五分の一以上」とあるのは、連合会にあつては「議決権の総数の五分の一以上に相当する議決権を有する会員」と、第四十一条第一項中「出席者の過半数」とあるのは、連合会にあつては「出席した会員の議決権の過半数に相当する議決権を有する会員」と、』を加える。
第二十九条第一項中「当該総合調整計画又は調整規程の内容を参しやくして当該業種に係る製品の生産数量若しくは出荷数量又はその生産設備に関する制限を定め、当該業種に属する事業を営む者のすべてに対し、これに従うべき旨の勧告をすることができる。」を「当該業種に係る事業を営む者のすべてに対し、当該総合調整計画又は調整規程に定める制限と実質的に同一内容を有する制限に従うべきことを勧告し、又は通商産業省令をもつて命ずることができる。」に改め、同条第二項を削り、第三項中「第一項」を「前項」に改め、同項を第二項とする。
同条に次の一項を加える。
3 第一項の規定による命令が発せられた後においても、当該連合会又は調整組合は、引き続きその事業を実施することによりその命令に協力するものとする。
第二十九条の次に次の一条を加える。
(設備の新設の許可等)
第二十九条の二 通商産業大臣は、前条第一項の規定により生産設備の制限に関する命令をした場合において、特に必要があると認めるときは、当該命令の有効期間中に限り、通商産業省令をもつて、当該指定業種に属する産業の設備を新たに設けることにつき通商産業大臣の許可を受けるべき旨を命じ、又は禁止することができる。
第三十条第一項中「第十条第一項又は第十三条(第二十七条においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の認可」を「第二十九条第一項の勧告又は命令」に改め、同条第二項中「、第十八条第一項(第二十七条において準用する場合を含む。)の命令又は前条第一項の勧告」を削り、同条第三項中「第十六条第二項各号」を「第十六条第三項各号」に改める。
同条第一項を第二項とし、以下一項ずつ繰り下げ、同条に第一項として次の一項を加える。
通商産業大臣は、第十六条第二項(第二十七条において準用する場合を含む。)の届出を受理したとき、第十八条第一項(第二十七条において準用する場合を含む。)の命令をしたとき、又は同条第二項(第二十七条において準用する場合を含む。)の規定により認可の取消をしたとき、若しくは調整規程を廃止すべきことを命じたときは、公正取引委員会に通知しなければならない。
第三十条の次に次の一条を加える。
(主務大臣との関係)
第三十条の二 通商産業大臣は、第十条第一項、第十二条、第十三条若しくは第十六条第一項の規定(第二十七条においてこれらの規定を準用する場合を含む。)による認可に係る処分をし、第十四条第一項若しくは第十八条の規定(第二十七条においてこれらの規定を準用する場合を含む。)による処分をし、第二十九条第一項の規定による勧告若しくは命令をし、又は第二十九条の二の規定による通商産業省令を制定しようとするときは、あらかじめ、これらの処分、勧告又は通商産業省令に係る指定業種に属する事業についての主務大臣の同意を得なければならない。
2 通商産業大臣は、第十六条第二項若しくは第十九条(第二十七条においてこれらの規定を準用する場合を含む。)又は第二十八条において準用する中小企業等協同組合法第三十一条若しくは第六十二条第二項の規定による届出を受理したときは、これらの届出に係る指定業種に属する事業についての主務大臣にその旨を通知しなければならない。
第三十二条の見出し中「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律等」を「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」に改め、同条中「及び事業者団体法(昭和二十三年法律第百九十一号)」及び「認可を受けた」を削る。
第三十二条の次に次の一条を加える。
(生産調整資金に対する利子の補給)
第三十二条の二 調整組合又は連合会が第十五条第六号又は第二十六条第六号に規定する事業を行うために必要な資金を借り入れる場合においては、政府は、特に必要があると認めるときは、予算の範囲内において、政令で定める基準により、年五分を限度として、当該資金の借入に係る利子をその融資機関に対し補給することができる。
第三十三条第一項中「この法律の規定により通商産業大臣が行う認可、命令及び勧告その他」を削り、同条第二項中「五十人以内」を「三十五人以内」に改め、同条第三項を次のように改める。
3 会長及び委員は、関係行政機関の職員及び学識経験のある者のうちから、通商産業大臣が任命する。
第三十四条を次のように改める。
(審議会の諮問事項)
第三十四条 通商産業大臣は、第二条第一項の政令の制定若しくは改廃の立案をし、又は第二十九条の勧告若しくは命令をしようとするときは、審議会に諮問しなければならない。
第三十五条の次に次の二条を加える。
(認可申請等の経由庁)
第三十五条の二 通商産業大臣は、都道府県の区域をこえない区域を地区とする調整組合に関しては、この法律の規定による認可又は承認の申請、届出、申出及び報告について通商産業省令の定めるところによりその地区を管轄する都道府県知事を経由させることができる。
(都道府県知事への権限の委任)
第三十五条の三 通商産業大臣は、政令の定めるところにより、第三十一条第一項の報告の徴収及び検査に関する権限の一部を都道府県知事に委任することができる。
第三十七条中「第二項」を「第一項又は第二十九条の二」に改める。
第三十九条中「第三十一条第一項」を「第十六条第二項の規定による届出をせず「、又は第三十一条第一項」に、「若しくは虚偽」を「虚偽」に、「又は立入」を「立入」に改める。
附則第二項を削る。
別表を削る。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 左に掲げる業種は、改正後の第二条第一項の規定により指定されたものとみなす。
一 綿織物又はステープルフアイバー織物の製造業
二 毛織物の製造業
三 絹織物又は人絹織物の製造業
四 メリヤス生地又はメリヤス製品の製造業
五 漁網製造業
六 組ひも、よりひも、幅五インチ未満の織物又は編レースの製造業
七 ねん糸業
八 麻綱製造業
九 ガーゼ、脱脂綿、家庭衛生綿又はほう帯の製造業
十 マツチ製造業
十一 ゴム製品(自転車タイヤ・チューブ、もみすりロール、医療衛生用品、はきもの用品及びがん具を除く。)の製造業
十二 食器類たる陶磁器(デイナーセツトを除く。)及び電気用品たる陶磁器(特別高圧用のものを除く。)の製造業
十三 漆器製造業で政令で定めるもの
十四 ほうろう鉄器(化学工業用のものを除く。)の製造業
十五 清涼飲料水製造業
十六 五ガロンかん製造業
十七 亜麻織物、ちよ麻織物又は大麻織物の製造業
十八 繊維品の精練漂白、染色又は整理加工業
十九 布はく製衣料品の縫製業
二十 メタルラス製造業
二十一 縫針製造業
二十二 瓦製造業で政令で定めるもの
二十三 印刷業で政令で定めるもの
二十四 ターポリン紙製造業
二十五 機械すき和紙製造業
二十六 計量器製造業で政令で定めるもの
3 改正前の規定に基いてした手続、処分その他の行為は、改正後の相当規定によつてしたものとみなす。
4 中小企業庁設置法(昭和二十三年法律第八十三号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第十号及び第五条第二項中「特定中小企業の安定に関する臨時措置法」を「中小企業安定法」に改める。
内閣総理大臣 吉田茂
厚生大臣 山県勝見
農林大臣 保利茂
通商産業大臣 岡野清豪
運輸大臣 石井光次郎