(目的)
第一条 この法律は、中小企業の業種別の実態を調査して、その実態に即した改善事項を策定し、かつ、その実施を円滑ならしめることにより、中小企業の業種別の振興を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「中小企業者」とは、中小企業団体の組織に関する法律(昭和三十二年法律第百八十五号)第五条に規定する中小企業者をいう。
(改善事項の諮問等)
第三条 主務大臣は、政令で定める業種(以下「指定業種」という。)に属する中小企業について、次に掲げる事項に関し改善すべき基本的事項(以下「改善事項」という。)を定めようとするときは、中小企業振興審議会に諮問しなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
三 技術及び技能の向上並びに品質の改善に関する事項
四 共同施設の設置その他共同経済事業の促進に関する事項
2 主務大臣は、前項の改善事項を定め又はこれを変更したときは、その要旨を公表するとともに、当該指定業種に属する事業を行なう中小企業者又は当該中小企業者を構成員とする団体に対し、必要な指導を行なうものとする。
(勧告)
第四条 主務大臣は、前条第一項第五号又は第六号に掲げる事項に係る改善事項が定められている場合において、当該改善事項の円滑な遂行を確保するため特に必要があると認めるときは、当該指定業種に属する事業を行なう中小企業者又は当該中小企業者を構成員とする団体に対し、必要な勧告をすることができる。
2 主務大臣は、前項に規定する場合において、同項の勧告のみによつては当該改善事項の遂行が著しく困難であり、かつ、その主たる理由が当該中小企業者の事業と競合し若しくは関連する事業を行なう者(以下「関連事業者」という。)又は当該関連事業者を構成員とする団体の事業活動にあると認めるときは、当該関連事業者又は当該関連事業者を構成員とする団体に対し、必要な勧告をすることができる。
3 主務大臣は、前二項の勧告をしようとするときは、中小企業振興審議会に諮問しなければならない。
第六条 中小企業振興審議会(以下「審議会」という。)は、関係各大臣の諮問に応じ、中小企業の振興に関する重要事項を調査審議する。
2 審議会は、中小企業の振興に関する重要事項について、関係各大臣に意見を述べることができる。
2 専門の事項を調査させるため、審議会に、専門委員を置くことができる。
第八条 委員及び専門委員は、関係行政機関の職員及び学識経験のある者のうちから、通商産業大臣が任命する。
2 学識経験のある者のうちから任命された委員の任期は、二年とする。
第十条 第五条から前条までに定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、通商産業省令で定める。
(報告の徴収)
第十一条 主務大臣は、第三条第一項の改善事項を定め又は当該改善事項の円滑な遂行を確保するため当該指定業種に属する中小企業の実態を明らかにする必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、当該指定業種に属する事業を行なう中小企業者に対し、その業務又は経理の状況について報告を求めることができる。
2 主務大臣は、前項に規定する場合において、関連事業者の事業活動が当該中小企業者の経営に著しい影響を及ぼしていると認めるときは、政令で定めるところにより、当該関連事業者に対し、その業務の状況について報告を求めることができる。
3 主務大臣は、前二項の報告を求めようとするときは、報告を求めるべき事項について審議会に諮問しなければならない。
(主務大臣)
第十二条 この法律における主務大臣は、当該指定業種に属する事業を所管する大臣とする。ただし、第四条第二項の勧告又は前条第二項の報告の徴収に関しては、当該勧告又は報告の徴収の対象となる者の行なう事業を所管する大臣(その対象となる者が特別の法律によつて設立された組合又はその連合会であるときは、その対象となる者の行なう事業を所管する大臣及びその組合又は連合会を所管する大臣)とする。
(罰則)
第十三条 第十一条第一項又は第二項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、三万円以下の罰金に処する。
2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して前項の罰金刑を科する。