道路交通法
法令番号: 法律第百五号
公布年月日: 昭和35年6月25日
法令の形式: 法律
道路交通法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十五年六月二十五日
内閣総理大臣 岸信介
法律第百五号
道路交通法
目次
第一章
総則(第一条―第九条)
第二章
歩行者の通行方法(第十条―第十五条)
第三章
車両及び路面電車の交通方法
第一節
通則(第十六条―第二十一条)
第二節
速度(第二十二条―第二十四条)
第三節
横断等の禁止(第二十五条)
第四節
追越し等(第二十六条―第三十二条)
第五節
踏切の通過(第三十三条)
第六節
交差点における通行方法等(第三十四条―第三十八条)
第七節
緊急自動車等(第三十九条―第四十一条)
第八節
徐行及び一時停止(第四十二条・第四十三条)
第九節
停車及び駐車(第四十四条―第五十一条)
第十節
灯火及び合図(第五十二条―第五十四条)
第十一節
乗車、積載及び牽引(第五十五条―第六十一条)
第十二節
整備不良車両の運転の禁止等(第六十二条・第六十三条)
第四章
運転者及び雇用者等の義務
第一節
運転者の義務(第六十四条―第七十一条)
第二節
交通事故の場合の措置等(第七十二条・第七十三条)
第三節
雇用者等の義務(第七十四条・第七十五条)
第五章
道路の使用等
第一節
道路における禁止行為等(第七十六条―第八十条)
第二節
危険防止等の措置(第八十一条―第八十三条)
第六章
自動車及び原動機付自転車の運転免許
第一節
通則(第八十四条―第八十七条)
第二節
免許の申請等(第八十八条―第九十一条)
第三節
免許証等(第九十二条―第九十五条)
第四節
運転免許試験(第九十六条―第百条)
第五節
免許証の更新等(第百一条・第百二条)
第六節
免許の取消し、停止等(第百三条―第百七条)
第七章
雑則(第百八条―第百十四条)
第八章
罰則(第百十五条―第百二十四条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図ることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 道路 道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第二条第一項に規定する道路、道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第二条第八項に規定する自動車道及び一般交通の用に供するその他の場所をいう。
二 歩道 歩行者の通行の用に供するため縁石線又はさくその他これに類する工作物によつて区画された道路の部分をいう。
三 車道 車両の通行の用に供するため縁石線又はさくその他これに類する工作物によつて区画された道路の部分をいう。
四 横断歩道 道路標識及び道路標示により歩行者の横断の用に供するための場所であることが示されている道路の部分をいう。
五 交差点 十字路、丁字路その他二以上の道路が交わる場合における当該二以上の道路(歩道と車道の区別のある道路においては、車道)の交わる部分をいう。
六 安全地帯 路面電事に乗降する者若しくは横断している歩行者の安全を図るため道路に設けられた島状の施設又は道路標識及び道路標示により安全地帯であることが示されている道路の部分をいう。
七 車両通行区分帯 車両が定められた通行の区分に従い道路の定められた部分を通行すべきことが道路標示により示されている場合における当該道路標示により示されている道路の部分をいう。
八 車両 自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいう。
九 自動車 原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であつて、原動機付自転車以外のものをいう。
十 原動機付自転車 総理府令で定める大きさ以下の総排気量又は定格出力を有する原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車をいう。
十一 軽車両 自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)であつて、小児用の車以外のものをいう。
十二 トロリーバス 架線から供給される電力により、かつ、レールによらないで運転する車をいう。
十三 路面電車 レールにより運転する車をいう。
十四 信号機 人力又は電気により操作され、かつ、道路の交通に関し、文字又は灯火により進め、注意、止まれ又はその他の信号を表示する装置をいう。
十五 道路標識 道路の交通に関し、規制又は指示を表示する標示板をいう。
十六 道路標示 道路の交通に関し、規制又は指示を表示する標示で、路面にえがかれた道路鋲、ペイント、石等による線、記号又は文字をいう。
十七 運転 道路において、車両又は路面電車(以下「車両等」という。)をその本来の用い方に従つて用いることをいう。
十八 駐車 車両等が客待ち、荷待ち、貨物の積卸し、故障その他の理由により継続的に停止すること(貨物の積卸しのための停止で五分をこえない時間内のもの及び人の乗降のための停止を除く。)、又は車両等が停止し、かつ、当該車両等の運転をする者(以下「運転者」という。)がその車両等を離れて直ちに運転することができない状態にあることをいう。
十九 停車 車両等が停止することで駐車以外のものをいう。
二十 徐行 車両等が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。
二十一 追越し 車両が他の車両等に追いついた場合において、その進路を変えてその追いついた車両等の側方を通過し、かつ、当該車両等の前方に出ることをいう。
(自動車等の種類)
第三条 自動車は、総理府令で定める車体の大きさ及び構造並びに原動機の大きさを基準として、大型自動車、普通自動車、特殊自動車、自動三輪車、自動二輪車(側車付きのものを含む。以下同じ。)及び軽自動車に区分する。
2 原動機付自転車は、総理府令で定める車体の構造及び原動機の大きさを基準として、第一種原動機付自転車及び第二種原動機付自転車に区分する。
(信号機の設置等)
第四条 都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)又はその委任を受けた者は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要があると認めるときは、信号機を設置し、及び管理することができる。
2 道路を通行する歩行者(小児用の車を含む。以下同じ。)又は車両等は、信号機の表示する信号に従わなければならない。
3 公安委員会は、交通のひんぱんな交差点その他交通の危険を防止するために必要と認められる場所には、信号機を設置するようにつとめなければならない。
4 信号機の表示する信号の意味その他信号機について必要な事項は、政令で定める。
(罰則 第二項については第百十九条第一項第一号、同条第二項、第百二十一条第一項第一号、百二十二条)
(警察官の手信号等に従う義務)
第五条 道路を通行する歩行者又は車両等は、交通整理のため行なう警察官の手信号その他の信号(以下「手信号等」という。)に従わなければならない。
2 警察官は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため特に必要があると認めるときは、信号機の表示する信号にかかわらず、これと異なる意味を表示する手信号等をすることができる。この場合において、歩行者又は車両等は、当該警察官の手信号等に従わなければならない。
3 前二項の手信号等の意味は、政令で定める。
(罰則 第一項及び第二項については第百十九条第一項第一号、同条第二項、第百二十一条第一項第一号、第百二十二条)
(混雑緩和の措置)
第六条 警察官は、車両等の通行が著しく停滞したことにより道路における交通が著しく混雑するおそれがある場合において、当該道路における交通の円滑を図るためやむを得ないと認めるときは、その現場における混雑を緩和するため必要な限度において、その現場に進行してくる車両等の通行を禁止し、若しくは制限し、その現場にある車両等の運転者に対し、当該車両等を後退させることを命じ、又は第三章第一節、第三節若しくは第六節に規定する通行方法と異なる通行方法によるべきことを命ずることができる。
2 警察官は、前項の規定による措置のみによつては、その現場における混雑を緩和することができないと認めるときは、その混雑を緩和するため必要な限度において、その現場にある関係者に対し必要な指示をすることができる。
(罰則 第一項については第百二十条第一項第一号)
(通行の禁止及び制限)
第七条 公安委員会は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要があると認めるときは、当該道路につき、区間を定めて、歩行者又は車両等の通行を禁止し、又は制限することができる。
2 公安委員会は、政令で定めるところにより、前項の禁止又は制限のうち区間又は期間の短いものを警察署長に行なわせることができる。
3 警察官は、道路の損壊、火災の発生その他の事情により道路において交通の危険が生ずるおそれがある場合において、道路における危険を防止するため緊急の必要があると認めるときは、必要な限度において、当該道路につき、一時、歩行者又は車両等の通行を禁止し、又は制限することができる。
(罰則 第百十九条第一項第一号、同条第二項、第百二十一条第一項第一号、第百二十二条)
(道路の管理者に対する通知)
第八条 公安委員会又は警察署長は、道路法による道路について、前条第一項又は第二項の規定により通行を禁止し、又は制限しようとするときは、あらかじめ、当該道路の管理者に禁止又は制限の対象、区間、期間(期間を定めないときは、禁止又は制限の始期)及び理由を通知しなければならない。緊急を要する場合で、あらかじめ、当該道路の管理者に通知するいとまがなかつたときは、事後において、すみやかにこれらの事項を通知しなければならない。
(道路標識等の設置等)
第九条 公安委員会は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要があると認めるときは、道路標識又は道路標示(以下この条及び第七十六条において「道路標識等」という。)を設置することができる。
2 この法律の規定により公安委員会が行なう禁止、制限又は指定のうち政令で定めるものは、政令で定めるところにより、道路標識等を設置して行なわなければならない。第十二条第一項の規定により横断歩道を設ける場合又は第二十条第一項の規定により車両通行区分帯を設ける場合も、同様とする。
3 道路標識等の種類、様式、設置場所その他道路標識等について必要な事項は、総理府令・建設省令で定める。
第二章 歩行者の通行方法
(通行区分)
第十条 歩行者は、歩道と車道の区別のない道路においては、道路の右側端に寄つて通行しなければならない。
2 歩行者は、歩道と車道の区別のある道路においては、次の各号に掲げる場合を除き、歩道を通行しなければならない。
一 車道を横断するとき。
二 道路工事等のため歩道を通行することができないとき、その他やむを得ないとき。
(行列等の通行)
第十一条 学生生徒の隊列、葬列その他の行列(以下「行列」という。)及び歩行者の通行を妨げるおそれのある者で、政令で定めるものは、前条第二項の規定にかかわらず、歩道と車道の区別のある道路においては、車道をその右側端に寄つて通行しなければならない。
2 前項の政令で定める行列以外の行列は、前条第二項の規定にかかわらず、歩道と車道の区別のある道路において、車道を通行することができる。この場合においては、車道の右側端に寄つて通行しなければならない。
3 警察官は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要があると認めるときは、第一項の行列の指揮者に対し、区間を定めて当該行列が道路又は車道の左側端に寄つて通行すべきことを命ずることができる。
(罰則 第一項については第百二十一条第一項第二号 第二項及び第三項については第百二十一条第一項第三号)
(横断歩道及び横断の方法)
第十二条 公安委員会は、歩行者の横断の安全を図るため、横断歩道を設けることができる。
2 歩行者は、道路を横断しようとするときは、前項の横断歩道がある場所の附近においては、その横断歩道によつて道路を横断しなければならない。
3 歩行者は、斜めに道路を横断してはならない。
(横断の禁止の場所)
第十三条 歩行者は、車両等の直前又は直後で道路を横断してはならない。ただし、横断歩道によつて道路を横断するとき、又は信号機の表示する信号若しくは警察官の手信号等に従つて道路を横断するときは、この限りでない。
2 歩行者は、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要があると認めて指定した道路の区間においては、道路を横断してはならない。
(目が見えない者、幼児等の保護)
第十四条 目が見えない者(目が見えない者に準ずる者を含む。以下同じ。)は、道路を通行するときは、白色に塗つたつえを携えていなければならない。
2 目が見えない者以外の者(耳がきこえない者を除く。)は、白色に塗つたつえを携えて道路を通行してはならない。
3 児童(六歳以上十三歳未満の者をいう。以下同じ。)若しくは幼児(六歳未満の者をいう。以下同じ。)を保護する責任のある者は、交通のひんぱんな道路又は踏切若しくはその附近の道路において、児童若しくは幼児に遊戯をさせ、又は自ら若しくはこれに代わる監護者が付き添わないで幼児を歩行させてはならない。
4 児童又は幼児が小学校又は幼稚園に通うため道路を通行している場合において、誘導、合図その他適当な措置をとることが必要と認められる場所については、警察官その他その場所に居合わせた者は、これらの措置をとることにより、児童又は幼児が安全に道路を通行することができるようにつとめなければならない。
(通行方法の指示)
第十五条 警察官は、第十条、第十二条第二項若しくは第三項又は第十三条の規定に違反して道路を通行している歩行者に対し、当該各条に規定する通行方法によるべきことを指示することができる。
(罰則 第百二十一条第一項第四号)
第三章 車両及び路面電車の交通方法
第一節 通則
(通則)
第十六条 道路における車両及び路面電車の交通方法については、この章の定めるところによる。
2 この章の規定の適用については、自動車又は原動機付自転車により他の車両を牽引する場合における当該牽引される車両は、その牽引する自動車又は原動機付自転車の一部とする。
(通行区分)
第十七条 車両は、歩道と車道の区別のある道路においては、車道を通行しなければならない。ただし、道路外の施設又は場所に出入するためやむを得ないときは、歩道を横断することができる。
2 前項ただし書の場合において、車両は、歩道に入る直前で一時停止し、かつ、歩行者の通行を妨げないようにしなければならない。
3 車両は、道路(歩道と車道の区別のある道路においては、車道。以下この章において同じ。)の中央(軌道が道路の側端に寄つて設けられている場合においては、当該道路の軌道敷を除いた部分の中央。以下この章において同じ。)から左の部分(以下「左側部分」という。)を通行しなければならない。
4 車両は、次の各号に掲げる場合においては、前項の規定にかかわらず、道路の中央から右の部分(以下「右側部分」という。)にその全部又は一部をはみ出して通行することができる。この場合において、車両は、第一号に掲げる場合を除き、そのはみ出し方ができるだけ少なくなるようにしなければならない。
一 当該道路が一方通行(道路における車両の通行につき一定の方向にする通行が禁止されていることをいう。以下同じ。)となつているとき。
二 当該道路の左側部分の幅員が当該車両の通行のため十分なものでないとき。
三 当該車両が道路の損壊、道路工事その他の障害のため当該道路の左側部分を通行することができないとき。
四 当該道路の左側部分の幅員が三メートルに満たない道路において、他の車両を追い越そうとするとき(当該道路の右側部分を見とおすことができ、かつ、反対の方向からの交通を妨げるおそれがない場合に限る。)。
五 公安委員会が、勾配の急な道路のまがりかど附近について、当該道路における交通の危険を防止するため特に必要があると認めて区間及び通行の方法を指定した場合において、当該車両が当該指定に従い通行するとき。
5 車両は、安全地帯に入つてはならない。
(罰則 第一項から第三項まで及び第五項については第百二十条第一項第二号、第百二十二条)
(通行の優先順位)
第十八条 車両相互の間の通行の優先順位は、次の順序による。
一 自動車(自動二輪車及び軽自動車を除く。)及びトロリーバス
二 自動二輪車及び軽自動車
三 原動機付自転車
四 軽車両
2 前項第一号に掲げる自動車及びトロリーバス相互の間、同頂第二号に掲げる自動車相互の間又は同項第三号に掲げる原動機付自転車相互の間の通行の優先順位は、第二十二条第一項の規定に基づく政令又は軌道法(大正十年法律第七十六号)第十四条(同法第三十一条において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定に基づく命令で定める最高速度の順序による。
(並進する場合の通行区分)
第十九条 当該道路の左側部分の幅員が三メートルをこえる道路においては、自動車(自動二輪車及び軽自動車を除く。)及びトロリーバスは当該道路の中央寄り又は左側部分の中央を、自動二輪車、転自動車及び原動機付自転車は当該道路の左側部分の中央を、軽車両は当該道路の左側端寄りを、それぞれ通行しなければならない。ただし、追越しをするとき、第二十七条若しくは第四十条第二項の規定により一時進路を譲るとき、第三十四条第一項、第二項若しくは第三項の規定により道路の左側若しくは中央に寄るとき、又は第四十条第一項の規定により道路の左側に寄るときは、この限りでない。
(車両通行区分帯)
第二十条 公安委員会は、車両の交通の円滑を図るため政令で定める基準により、車両通行区分帯を設けることができる。
2 車両は、車両通行区分帯の設けられた道路においては、前条の規定にかかわらず、車両通行区分帯について政令で定める通行の区分に従い、当該車両通行区分帯を通行しなければならない。
3 公安委員会は、交通の状況により特に必要があると認めるときは、車両通行区分帯について前項の政令で定める通行の区分と異なる通行の区分を指定することができる。この場合において、車両は、当該通行の区分に従い、当該車両通行区分帯を通行しなければならない。
4 車両は、追越しをするとき、第三十四条第一項、第二項若しくは第三項の規定により道路の左側若しくは中央に寄るとき、第四十条第二項の規定により一時進路を譲るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、第二項及び前項後段の規定によらないことができる。
(罰則 第二項及び第三項については第百二十条第一項第三号、同条第二項、第百二十二条)
(軌道敷内の通行)
第二十一条 車両(トロリーバスを除く。以下この条及び次条において同じ。)は、左折し、右折し、横断し、若しくは転回するため軌道敷を横切る場合又は危険防止のためやむを得ない場合を除き、軌道敷内を通行してはならない。
2 車両は、次の各号に掲げる場合においては、前項の規定にかかわらず、軌道敷内を通行することができる。この場合において、車両は、路面電車の通行を妨げてはならない。
一 当該道路の左側部分から軌道敷を除いた部分の幅員が当該車両の通行のため十分なものでないとき。
二 当該車両が、道路の損壊、道路工事その他の障害のため当該道路の左側部分から軌道敷を除いた部分を通行することができないとき。
三 公安委員会が、交通のひんぱんな道路について、当該道路における車両の通行の円滑を図るため特に必要があると認めて場所及び必要に応じて時間又は通行の方法を指定した場合において、もつぱら人を運搬する構造の普通自動車が当該指定に従い通行するとき。
3 軌道敷内を通行する車両は、後方から路面電車が接近してきたときは、当該路面電車の正常な運行に支障を及ぼさないように、すみやかに軌道敷外に出るか、又は当該路面電車から必要な距離を保つようにしなければならない。
(罰則 第百二十一条第一項第五号、第百二十二条)
第二節 速度
(車両の最高速度)
第二十二条 車両が道路を通行する場合の最高速度は、政令で定める。
2 公安委員会は、区域又は道路の区間を指定し、当該区域内の道路又は当該道路の区間を通行する車両について、前項の規定に基づく政令で定める最高速度と異なる最高速度を定めることができる。この場合において、前項の規定に基づく政令で定める最高速度をこえる最高速度を定めようとするときは、公安委員会は、当該道路の管理者の意見をきかなければならない。
(路面電車等の最高速度)
第二十三条 公安委員会は、道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため特に必要があると認めるときは、区域又は道路の区間を指定し、当該区域内の道路又は当該道路の区間を通行する路面電車又はトロリーバスについて、軌道法第十四条の規定に基づく命令で定める最高速度をこえない範囲内で、これと異なる最高速度を定めることができる。
(最低速度)
第二十四条 自動車が、高速自動車国道(高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項に規定する道路をいう。以下同じ。)を通行する場合の最低速度は、政令で定める。
2 公安委員会は、道路における交通の円滑を図るため特に必要があると認めるときは、道路(高速自動車国道を除く。)の区間を指定し、当該道路の区間を通行する自動車について、最低速度を定めることができる。
第三節 横断等の禁止
(横断等の禁止)
第二十五条 車両は、歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、横断し、転回し、又は後退してはならない。
2 公安委員会は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため特に必要があると認めるときは、道路の区間を指定し、当該道路の区間における車両の横断、転回又は後退を禁止することができる。
(罰則 第一項については第百二十条第一項第二号、第百二十二条 第二項については第百二十条第一項第四号、同条第二項、第百二十二条)
第四節 追越し等
(車間距離の保持)
第二十六条 車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない。
(罰則 第百二十一条第一項第五号、第百二十二条)
(進路を譲る義務)
第二十七条 車両(道路運送法第三条第二項第一号に掲げる一般乗合旅客自動車運送事業又は同条第三項第一号に掲げる特定旅客自動車運送事業の用に供する自動車(以下「乗合自動車」という。)及びトロリーバスを除く。)は、車両通行区分帯の設けられた道路を通行する場合を除き、第十八条に規定する通行の優先順位(以下「優先順位」という。)が先である車両に追いつかれ、かつ、道路の中央との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合においては、道路の左側に寄つてこれに進路を譲らなければならない。優先順位が同じであるか又は後である車両に追いつかれ、かつ、道路の中央との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合において、その追いついた車両の速度よりもおそい速度で引き続き進行しようとするときも、同様とする。
(罰則 第百二十条第一項第二号、第百二十二条)
(追越しの方法)
第二十八条 車両は、他の車両を追い越そうとするときは、その追い越されようとする車両(以下この条及び次条において「前車」という。)の右側を通行しなければならない。
2 車両は、路面電車を追い越そうとするときは、当該車両が追いついた路面電車の左側を通行しなければならない。ただし、軌道が道路の左側端に寄つて設けられているときは、この限りでない。
3 前二項の場合においては、追越しをしようとする車両(以下次条において「後車」という。)は、反対の方向からの交通及び前車又は路面電車の前方の交通にも十分に注意し、かつ、前車又は路面電車の速度及び進路並びに道路の状況に応じて、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。
(罰則 第百二十条第一項第二号、第百二十二条)
(追越しを禁止する場合)
第二十九条 後車は、前方にある自動車又はトロリーバス(以下この条及び次条において「自動車等」という。)が他の自動車等と並進しているときは、追越しをしてはならない。
2 後車は、前車が他の自動車等を追い越そうとしているときは、追越しをしてはならない。
(罰則 第百二十条第一項第二号、第百二十二条)
(追越しを禁止する場所)
第三十条 自動車等は、交差点、道路のまがりかど附近、上り坂の頂上附近、勾配の急な下り坂又は公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要があると認めて指定した場所においては、他の自動車等を追い越してはならない。
2 原動機付自転車又は軽車両は、前項の場所においては、原動機付自転車にあつては他の原動機付自転車又は自動車等を、軽車両にあつては他の車両を追い越してはならない。
(罰則 第百二十条第一項第三号、同条第二項、第百二十二条)
(停車中の路面電車がある場合の停止又は徐行)
第三十一条 車両は、乗客の乗降のため停車中の路面電車に追いついたときは、当該路面電車の乗客が乗降を終わり、又は当該路面電車から降りた者で当該車両の前方において当該路面電車の左側を横断し、若しくは横断しようとしているものがいなくなるまで、当該路面電車の後方で停止しなければならない。ただし、路面電車に乗降する者の安全を図るため設けられた安全地帯があるとき、又は当該路面電車に乗降する者がいない場合において当該路面電車の左側に当該路面電車から一・五メートル以上の間隔を保つことができるときは、徐行して当該路面電車の左側を通過することができる。
(罰則 第百二十条第一項第二号、第百二十二条)
(割込み等の禁止)
第三十二条 車両は、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため、停止し、若しくは停止しようとして徐行している車両等又はこれらに続いて停止し、若しくは徐行している車両等に追いついたときは、その前方にある車両等の側方を通過して当該車両等の前方に割り込み、又はその前方を横切つてはならない。
(罰則 第百二十条第一項第二号、第百二十二条)
第五節 踏切の通過
(踏切の通過)
第三十三条 車両等は、踏切を通過しようとするときは、踏切の直前で停止し、かつ、安全であることを確認した後でなければ進行してはならない。ただし、信号機の表示する信号に従うときは、踏切の直前で停止しないで進行することができる。
2 車両等は、踏切を通過しようとする場合において、踏切の遮断機が閉じようとし、若しくは閉じている間又は踏切の警報機が警報している間は、当該踏切に入つてはならない。
(罰則 第百十九条第一項第二号、同条第二項、第百二十二条)
第六節 交差点における通行方法等
(左折又は右折)
第三十四条 車両は、左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側に寄り、かつ、徐行しなければならない。
2 自動車、第二種原動機付自転車又はトロリーバスは、右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の中央に寄り、かつ、交差点の中心の直近の内側(公安委員会が交差点の状況により、特に必要があると認めて指定した場所においては、外側)を徐行しなければならない。
3 第一種原動機付自転車又は軽車両は、右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側に寄り、かつ、交差点の側端に沿つて徐行しなければならない。
4 左折又は右折しようとする車両が、前三項の規定により、それぞれ道路の左側又は中央に寄ろうとして手又は方向指示器による合図をしたときは、その後方にある車両は、当該合図をした車両の進行を妨げてはならない。
(罰則 第一項から第三項までについては第百二十一条第一項第五号、第百二十二条 第四項については第百二十条第一項第二号、第百二十二条)
(先入、先順位及び左方の車両等の優先)
第三十五条 車両等は、交通整理の行なわれていない交差点に入ろうとする場合において、既に他の道路から当該交差点に入つている車両等があるときは、当該車両等の進行を妨げてはならない。
2 車両は、交通整理の行なわれていない交差点に入ろうとする場合において、他の道路から同時に当該交差点に入ろうとしている路面電車又は優先順位が先である車両があるときは、当該車両等の進行を妨げてはならない。
3 車両は、交通整理の行なわれていない交差点に入ろうとする場合において、左方の道路から同時に当該交差点に入ろうとしている優先順位が同じである車両があるときは、当該車両の進行を妨げてはならない。路面電車が交通整理の行なわれていない交差点に入ろうとする場合において、左方の道路から同時に当該交差点に入ろうとしている路面電車があるときも、同様とする。
(罰則 第百二十条第一項第二号、第百二十二条)
(広い道路にある車両等の優先)
第三十六条 車両等は、交通整理の行なわれていない交差点に入ろうとする場合において、その通行している道路の幅員よりもこれと交差する道路の幅員が明らかに広いものであるときは、徐行しなければならない。
2 前項の場合において、幅員が広い道路から当該交差点に入ろうとする車両等があるときは、車両等は、幅員が広い道路にある当該車両等の進行を妨げてはならない。
3 前項の場合において、幅員が広い道路を通行する車両等については、前条第二項及び第三項の規定は、適用しない。
(罰則 第一項及び第二項については第百二十条第一項第二号、第百二十二条)
(直進及び左折車両等の優先)
第三十七条 車両等は、交差点で右折する場合において、当該交差点において直進し、又は左折しようとする車両等があるときは、第三十五条第一項又は第二項の規定にかかわらず、当該車両等の進行を妨げてはならない。
2 車両等は、交差点で直進し、又は左折しようとするときは、当該交差点において既に右折している車両等の進行を妨げてはならない。
(罰則 第百二十条第一項第二号、第百二十二条)
(歩行者の保護)
第三十八条 車両等は、交通整理の行なわれている交差点で左折し、又は右折するときは、信号機の表示する信号又は警察官の手信号等に従つて道路を横断している歩行者の通行を妨げてはならない。
2 車両等は、交通整理の行なわれていない交差点又はその附近において歩行者が道路を横断しているときは、その歩行者の通行を妨げてはならない。
(罰則 第百二十条第一項第二号、第百二十二条)
第七節 緊急自動車等
(緊急自動車の通行区分等)
第三十九条 緊急自動車(消防自動車、救急自動車その他政令で定める自動車で、当該緊急用務のため、政令で定めるところにより、運転中のものをいう。以下同じ。)は、第十七条第四項に規定する場合のほか、追越しをするためその他やむを得ない必要があるときは、同条第三項の規定にかかわらず、道路の右側部分にその全部又は一部をはみ出して通行することができる。
2 緊急自動車は、第十九条の道路を通行するときは、同条の規定にかかわらず、当該道路の中央寄りを通行しなければならない。
3 緊急自動車は、法令の規定により停止しなければならない場合においても、停止することを要しない。この場合においては、他の交通に注意して徐行しなければならない。
(緊急自動車の優先)
第四十条 交差点又はその附近において、緊急自動車が接近してきたときは、路面電車は交差点を避けて、車両(緊急自動車を除く。以下この条において同じ。)は交差点を避け、かつ、道路の左側に寄つて一時停止しなければならない。
2 前項以外の場所において、緊急自動車が接近してきたときは、車両は、道路の左側に寄つて、これに進路を譲らなければならない。
(罰則 第百二十条第一項第二号、第百二十二条)
(緊急自動車等の特例)
第四十一条 緊急自動車については、第二十九条、第三十条第一項並びに第三十四条第一項及び第二項の規定は、適用しない。
2 前項に規定するもののほか、第六十八条の規定に違反する車両等を取り締まる場合における緊急自動車については、同条の規定は、適用しない。
3 もつぱら交通の取締りに従事する自動車で総理府令で定めるものについては、第十九条並びに第二十条第二項及び第三項の規定は、適用しない。
第八節 徐行及び一時停止
(徐行すべき場所)
第四十二条 車両等は、交通整理の行なわれていない交差点で左右の見とおしのきかないもの、道路のまがりかど附近、上り坂の頂上附近、勾配の急な下り坂又は公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要があると認めて指定した場所においては、徐行しなければならない。
(罰則 第百二十条第一項第三号、同条第二項、第百二十二条)
(指定場所における一時停止)
第四十三条 交差点に入ろうとする車両等は、公安委員会が道路又は交通の状況により特に必要があると認めて指定した場所においては、一時停止しなければならない。ただし、当該交差点において交通整理が行なわれているときは、この限りでない。
(罰則 第百二十条第一項第三号、同条第二項、第百二十二条)
第九節 停車及び駐車
(停車及び駐車を禁止する場所)
第四十四条 車両は、次の各号に掲げる道路の部分においては、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合のほか、停車し、又は駐車してはならない。ただし、乗合自動車又はトロリーバスが、その属する運行系統に係る停留所又は停留場において、乗客の乗降のため停車するとき、又は運行時間を調整するため駐車するときは、この限りでない。
一 交差点、横断歩道、踏切又は軌道敷内
二 交差点の側端又は道路のまがりかどから五メートル以内の部分
三 安全地帯が設けられている道路の当該安全地帯の左側の部分及び当該部分の前後の側端からそれぞれ前後に十メートル以内の部分
四 乗合自動車の停留所又はトロリーバス若しくは路面電車の停留場を表示する標示柱又は標示板が設けられている位置から十メートル以内の部分(当該停留所又は停留場に係る運行系統に属する乗合自動車、トロリーバス又は路面電車の運行時間中に限る。)
五 踏切の前後の側端からそれぞれ前後に十メートル以内の部分
六 前各号に掲げるもののほか、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要があると認めて指定した場所
(罰則 第百二十条第一項第五号、同条第二項)
(駐車を禁止する場所)
第四十五条 車両は、次の各号に掲げる道路の部分においては、駐車してはならない。ただし、第六号に掲げる場所においては、公安委員会の定めるところにより警察署長の許可を受けたときは、この限りでない。
一 人の乗降、貨物の積卸し、駐車又は自動車の格納若しくは修理のため道路外に設けられた施設又は場所の道路に接する自動車用の出入ロから三メートル以内の部分
二 道路工事が行なわれている場合における当該工事区域の側端から五メートル以内の部分
三 消防用機械器具の置場若しくは消防用防火水槽の側端又はこれらの道路に接する出入ロから五メートル以内の部分
四 消火栓又は消防用防火水槽の吸水口若しくは吸管投入孔から五メートル以内の部分
五 火災報知機から一メートル以内の部分
六 前各号に掲げるもののほか、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要があると認めて指定した場所
2 事両は、第四十八条第一項の規定により駐車する場合に当該車両の右側の道路上に三・五メートル以上の余地がないこととなる場所においては、駐車してはならない。ただし、貨物の積卸しを行なう場合で運転者がその車両を離れないとき、若しくは運転者がその車両を離れたが直ちに運転に従事することができる状態にあるとき、又は傷病者の救護のためやむを得ないときは、この限りでない。
3 公安委員会が交通がひんぱんでないと認めて指定した区域においては、前項本文の規定は、適用しない。
(罰則 第一項及び第二項については第百二十条第一項第五号、同条第二項)
(停車又は駐車を禁止する場所の特例)
第四十六条 車両は、公安委員会が、道路又は交通の状況により特に支障がないと認めて、第四十四条又は前条第一項の規定(第四十四条第一号及び第六号並びに前条第一項第五号及び第六号に係るものを除く。)による停車及び駐車を禁止する道路の部分又は駐車を禁止する道路の部分の一部について指定した場所においては、前二条の規定にかかわらず、停車し、又は駐車することができる。
(停車の方法)
第四十七条 車両は、人の乗降又は貨物の積卸しのため停車するときは、できる限り道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない。ただし、一方通行となつている道路で公安委員会が指定した場所においては、道路の右側端に沿つて停車することができる。
(罰則 第百二十条第一項第六号)
(駐車の方法)
第四十八条 車両は、道路の左側端(歩道と車道の区別のない道路で公安委員会が指定した場所においては、道路の左側端から道路の中央に〇・五メートル寄つた線)に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないように駐車しなければならない。
2 車両は、公安委員会が道路又は交通の状況により特に必要があると認めて指定した場所においては、前項の規定にかかわらず、当該場所について公安委員会が定める方法によつて駐車しなければならない。
(罰則 第百二十条第一項第五号、同条第二項)
(駐車時間の制限)
第四十九条 公安委員会は、道路又は交通の状況により特に必要があると認めるときは、場所を指定し、当該場所において同一の車両が引き続き駐車することができる時間を制限することができる。
(罰則 第百二十条第一項第七号、同条第二項)
(路上駐車場における停車又は駐車の禁止等)
第五十条 公安委員会は、駐車場法(昭和三十二年法律第百六号)第二条第一号の路上駐車場(以下この条において「路上駐車場」という。)が設けられている場所を第四十四条第六号又は第四十五条第一項第六号に掲げる停車及び駐車を禁止する場所又は駐車を禁止する場所として指定しようとするときは、期間を定めてしなければならない。
2 前項の場合において、公安委員会は、その指定しようとする旨及び指定の期間について、あらかじめ、当該路上駐車場を設置した地方公共団体の意見をきかなければならない。緊急を要する場合で、あらかじめ、当該地方公共団体の意見をきくいとまがなかつたときは、事後において、すみやかに当該指定した旨及び指定の期間を通知しなければならない。
(違法駐車に対する措置)
第五十一条 車両(トロリーバスを除く。以下この条において同じ。)が第四十四条、第四十五条若しくは第四十八条の規定又は第四十九条の規定による公安委員会の処分に違反して駐車していると認められる場合において、当該車両が道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあるときは、警察官は、当該車両の運転者その他当該車両の管理について責任がある者(以下この条において「運転者等」という。)に対し、当該車両の駐車の方法を変更し、又は当該車両を当該駐車が禁止されている場所から移動すべきことを命ずることができる。
2 前項の場合において、当該車両が道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあり、かつ、現場に当該車両の運転者等がいないときは、警察官は、道路における交通の危険を防止し、又は交通の円滑を図るため必要な限度において、当該車両の駐車の方法の変更その他必要な措置をとり、又は当該車両が駐車している場所からの距離が五十メートルをこえない道路上の場所に当該車両を移動することができる。
3 前項の規定により車両の移動をしようとする場合において、当該車両が駐車している場所からの距離が五十メートルをこえない範囲の地域内の道路上に当該車両を移動する場所がないときは、警察官は、当該車両が駐車している場所を管轄する警察署長にその旨を報告しなければならない。
4 前項の報告を受けた警察署長は、第二項に規定する場所以外の場所に当該事両を移動することができる。この場合において、警察署長は、当該車両を保管しなければならない。
5 警察署長は、前項後段の規定により車両を保管したときは、当該車両の所有者又は使用者(以下この条において「所有者等」という。)に対し、保管を始めた日時及び保管の場所を通知する等すみやかに当該車両を所有者等に返還するため必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両の所有者等の氏名及び住所を知ることができないときは、政令で定めるところにより、政令で定める事項を公示しなければならない。
6 前二項に規定する車両の移動、車両の保管、公示等に要した費用は、当該車両の返還を受けるべき所有者等の負担とし、その費用の徴収については、行政代執行法(昭和二十三年法律第四十三号)第五条及び第六条の規定を準用する。
(罰則 第一項については第百十九条第一項第三号)
第十節 灯火及び合図
(車両等の灯火)
第五十二条 車両等は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう。以下この条において同じ。)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。政令で定める場合においては、夜間以外の時間にあつても、同様とする。
2 車両等が、夜間(前項後段の場合を含む。)、他の車両等と行き違う場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときは、車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない。
(罰則 第一項については第百二十条第一項第五号、同条第二項 第二項については第百二十条第一項第八号、同条第二項)
(合図)
第五十三条 車両(自転車以外の軽車両を除く。)の運転者は、左折し、右折し、横断し、転回し、徐行し、停止し、後退し、又は同一方向に進行しながら進路を変えるときは、手、方向指示器又は灯火により合図をし、かつ、これらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない。
2 前項の合図を行なう時期及び合図の方法について必要な事項は、政令で定める。
(罰則 第一項については第百二十条第一項第九号)
(警音器の使用等)
第五十四条 車両等(自転車以外の軽車両を除く。以下この条において同じ。)の運転者は、次の各号に掲げる場合においては、警音器を鳴らさなければならない。
一 左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上で公安委員会が指定した場所を通行しようとするとき。
二 山地部の道路その他曲折が多い道路について公安委員会が指定した区間における左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上を通行しようとするとき。
2 車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない。ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない。
(罰則 第一項については第百二十条第一項第八号、同条第二項 第二項については第百二十一条第一項第六号)
第十一節 乗車、積載及び牽引
(乗車又は積載の方法)
第五十五条 車両の運転者は、当該車両の乗車のために設備された場所以外の場所に乗車させ、又は乗車若しくは積載のために設備された場所以外の場所に積載して車両を運転してはならない。ただし、もつぱら貨物を運搬する構造の自動車(以下次条及び第五十七条において「貨物自動車」という。)で貨物を積載しているものにあつては、当該貨物を看守するため必要な最小限度の人員をその荷台に乗車させて運転することができる。
2 車両の運転者は、運転者の視野若しくはハンドルその他の装置の操作を妨げ、後写鏡の効用を失わせ、車両の安定を害し、又は外部から当該車両の方向指示器、車両の番号標、制動灯、尾灯若しくは後部反射器を確認することができないこととなるような乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない。
3 車両に乗車する者は、当該車両の運転者が前二項の規定に違反することとなるような方法で乗車をしてはならない。
(罰則 第一項及び第二項については第百二十条第一項第十号、第百二十二条、第百二十三条 第三項については第百二十一条第一項第六号)
(乗車又は積載の方法の特例)
第五十六条 車両の運転者は、当該車両の出発地を管轄する警察署長(以下第五十八条までにおいて「出発地警察署長」という。)が当該車両の構造又は道路若しくは交通の状況により支障がないと認めて積載の場所を指定して許可をしたときは、前条第一項の規定にかかわらず、当該車両の乗車又は積載のために設備された場所以外の場所で指定された場所に積載して車両を運転することができる。
2 貨物自動車の運転者は、出発地警察署長が道路又は交通の状況により支障がないと認めて人員を限つて許可をしたときは、前条第一項の規定にかかわらず、当該許可に係る人員の範囲内で当該貨物自動車の荷台に乗車させて貨物自動車を運転することができる。
(乗車又は積載の制限等)
第五十七条 車両(軽車両を除く。以下この項において同じ。)の運転者は、当該車両について政令で定める乗車人員又は積載重量若しくは積載容量の制限をこえて乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない。ただし、第五十五条第一項ただし書の規定により、又は前条第二項の規定による許可を受けて貨物自動車の荷台に乗車させる場合にあつては、当該制限をこえる乗車をさせて運転することができる。
2 公安委員会は、道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要があると認めるときは、軽車両の乗車人員又は積載重量若しくは積載容量の制限について定めることができる。
3 貨物が分割できないものであるため第一項本文の政令で定める積載重量若しくは積載容量の制限又は前項の規定に基づき公安委員会が定める積載重量若しくは積載容量をこえることとなる場合において、出発地警察署長が当該車両の構造又は道路若しくは交通の状況により支障がないと認めて重量又は容量を限つて許可をしたときは、車両の運転者は、第一項本文又は前項の規定にかかわらず、当該許可に係る重量及び容量の範囲内で当該制限をこえる積載をして車両を運転することができる。
(罰則 第一項については第百二十条第一項第十号、第百二十二条、第百二十三条 第二項については第百二十一条第一項第七号、第百二十三条)
(制限外許可証の交付等)
第五十八条 出発地警察署長は、第五十六条又は前条第三項の規定による許可(以下この条において「制限外許可」という。)をしたときは、許可証を交付しなければならない。
2 前項の規定により許可証の交付を受けた車両の運転者は、当該許可に係る車両の運転中、当該許可証を携帯していなければならない。
3 制限外許可を与える場合において、必要があると認めるときは、出発地警察署長は、政令で定めるところにより、当該許可に危険を防止するため必要な条件を付することができる。
4 第一項の許可証の様式その他制限外許可の手続について必要な事項は、総理府令で定める。
(罰則 第三項については第百二十一条第一項第八号、第百二十三条)
(自動車の牽引制限)
第五十九条 自動車の運転者は、牽引するための構造及び装置を有する自動車によつて牽引されるための構造及び装置を有する車両を牽引する場合を除き、他の車両を牽引してはならない。ただし、故障その他の理由により自動車を牽引することがやむを得ない場合において、政令で定めるところにより当該自動車を牽引するときは、この限りでない。
2 自動車の運転者は、他の車両を牽引する場合においては、自動二輪車又は軽自動車によつて牽引するときは一台をこえる車両を、その他の自動車によつて牽引するときは二台をこえる車両を牽引してはならず、また、牽引する自動車の前端から牽引される車両の後端(牽引される車両が二台のときは二台目の車両の後端)までの長さが二十五メートルをこえることとなるときは、牽引をしてはならない。ただし、公安委員会が当該自動車について、道路を指定し、又は時間を限つて牽引の許可をしたときは、この限りでない。
3 前項ただし書の規定による許可をしたときは、公安委員会は、許可証を交付しなければならない。
4 前項の規定により許可証の交付を受けた自動車の運転者は、当該許可に係る牽引中、当該許可証を携帯していなければならない。
5 第三項の許可証の様式その他第二項ただし書の許可の手続について必要な事項は、総理府令で定める。
(罰則 第一項及び第二項については第百二十条第一項第十号、第百二十二条、第百二十三条)
(自動車以外の車両の牽引制限)
第六十条 公安委員会は、道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要があると認めるときは、自動車以外の車両によつてする牽引の制限について定めることができる。
(罰則 第百二十一条第一項第七号、第百二十三条)
(危険防止の措置)
第六十一条 警察官は、車両等の乗車、積載又は牽引について危険を防止するため特に必要があると認めるときは、当該車両等を停止させ、及び当該車両等の運転者に対し、危険を防止するため必要な応急の措置をとることを命ずることができる。
(罰則 第百十九条第一項第四号)
第十二節 整備不良車両の運転の禁止等
(整備不良車両の運転の禁止)
第六十二条 車両等の使用者その他車両等の装置の整備について責任を有する者又は運転者は、道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第三章若しくはこれに基づく命令の規定(道路運送車両法の規定が適用されない自衛隊の使用する自動車については、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第百十四条第二項の規定による防衛庁長官の定め。以下同じ。)又は軌道法第十四条若しくはこれに基づく命令により定められた装置を備えていないか、又はこれらの装置が調整されていないため交通の危険を生じさせるおそれがある車両等(以下「整備不良車両」という。)を運転させ、又は運転してはならない。
(罰則 第百十九条第一項第五号、同条第二項、第百二十二条、第百二十三条)
(車両の検査等)
第六十三条 警察官は、前条の整備不良車両に該当すると認められる車両(軽車両を除く。以下この条において同じ。)が運転されているときは、当該車両を停止させ、並びに当該車両の運転者に対し、自動車検査証(道路運送車両法第六十条の自動車検査証をいう。)その他政令で定める書類の提示を求め、及び当該車両の装置について検査をすることができる。
2 前項の場合において、警察官は、当該車両の運転者に対し、道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要な応急の措置をとることを命じ、また、応急の措置によつては必要な整備をすることができないと認められる車両(以下この条において「故障車両」という。)については、当該故障車両の運転を継続してはならない旨を命ずることができる。
3 前項の場合において、当該故障車両の整備不良の程度及び道路又は交通の状況により支障がないと認めるときは、警察官は、前条の規定にかかわらず、当該故障車両を整備するため必要な限度において、区間及び通行の経路を指定し、その他道路における危険を防止するため必要な条件を付して当該故障車両を運転することを許可することができる。この場合において、警察官は、許可証を交付しなければならない。
4 警察官は、第二項の規定による措置をとつたときは、当該故障車両の運転者に対し、当該故障車両について整備を要する事項を記載した文書を交付し、かつ、当該故障車両の前面の見やすい箇所に標章をはりつけなければならない。
5 警察官は、前項の措置をとつたときは、その旨を当該措置をとつた場所を管轄する警察署長に報告しなければならない。
6 警察署長は、前項の報告を受けたときは、当該故障車両の使用の本拠の位置を管轄する陸運局長に対し、総理府令・運輸省令で定める事項を通知しなければならない。
7 第四項の規定によりはりつけられた標章は、何人も、これを破損し、又は汚損してはならず、また、当該故障車両の必要な整備がされたことについて、総理府令・運輸省令で定める手続により、もよりの警察署の警察署長又は車両の整備に係る事項について権限を有する行政庁の確認を受けた後でなければ、これを取り除いてはならない。
8 第三項の許可証の様式、第四項の規定により故障車両の運転者に対し交付する文書の様式及び同項の標章の様式は、総理府令・運輸省令で定める。
(罰則 第一項については第百十九条第一項第六号 第二項については第百十九条第一項第七号第七項については第百二十一条第一項第九号)
第四章 運転者及び雇用者等の義務
第一節 運転者の義務
(無免許運転の禁止)
第六十四条 何人も、第八十四条第一項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(第百三条第二項の規定により運転免許の効力が停止されている場合を含む。)、自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。
(罰則 第百十八条第一項第一号、第百二十二条)
(酒気帯び運転の禁止)
第六十五条 何人も、酒気を帯びて(身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあることをいう。以下同じ。)、車両等を運転してはならない。
(罰則 第百十八条第一項第二号)
(過労運転等の禁止)
第六十六条 何人も、前条に規定する場合のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。
(罰則 第百十八条第一項第二号)
(危険防止の措置)
第六十七条 警察官は、車両等の運転者が前三条の規定に違反して車両等を運転していると認めるときは、当該車両等を停止させ、及び当該事両等の運転者に対し、第九十二条第一項の運転免許証の提示を求めることができる。
2 前項の場合において、当該車両等の運転者が引き続き前三条の規定に違反して車両等を運転するおそれがあるときは、警察官は、その者が正常な運転ができる状態になるまで車両等の運転をしてはならない旨を指示する等道路における交通の危険を防止するため必要な応急の措置をとることができる。
(罰則 第一項については第百十九条第一項第八号)
(最高速度の遵守)
第六十八条 車両等の運転者は、法令で定める最高速度又は第二十二条第二項若しくは第二十三条の規定に基づき公安委員会が定める最高速度をこえる速度で車両等を運転してはならない。
(罰則 第百十八条第一項第三号、同条第二項、第百二十二条)
(最低速度の遵守)
第六十九条 自動車の運転者は、高速自動車国道又は第二十四条第二項の規定により公安委員会が指定した道路の区間においては、法令の規定により、又は危険を防止するため徐行する場合を除き、同条第一項の規定に基づく政令で定める最低速度又は同条第二項の規定に基づき公安委員会が定める最低速度に達しない速度で自動車を運転してはならない。
(罰則 第百二十条第一項第十一号)
(安全運転の義務)
第七十条 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。
(罰則 第百十九条第一項第九号、同条第二項、第百二十二条)
(運転者の遵守事項)
第七十一条 車両等の運転者は、車両等を運転するときは、第六十四条から第六十六条まで及び前三条に定めるもののほか、次の各号に掲げる事項を守らなければならない。
一 ぬかるみ又は水たまりを通行するときは、泥よけ器をつけ、又は徐行する等して、泥土、汚水等を飛散させて他人に迷惑を及ぼすことがないようにすること。
二 目が見えない者若しくは耳がきこえない者が白色に塗つたつえを携えて通行しているとき、又は監護者が付き添わない児童若しくは幼児が歩行しているときは、一時停止し、又は徐行して、その通行又は歩行を妨げないようにすること。
三 歩行者が横断歩道を通行しているときは、一時停止し、又は徐行して、その通行を妨げないようにすること。
四 道路の左側部分に設けられた安全地帯の側方を通行する場合において、当該安全地帯に歩行者がいるときは、徐行すること。
五 乗降口のドアを閉じ、貨物の積載を確実に行なう等当該車両等に乗車している者又は積載している貨物の転落を防ぐため必要な措置を講ずること。
六 車両等を離れるときは、その原動機をとめ、完全にブレーキをかける等当該車両等が停止の状態を保つため必要な措置を講ずること。
七 前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めて定めた事項
(罰則 第百二十条第一項第九号)
第二節 交通事故の場合の措置等
(交通事故の場合の措置)
第七十二条 車両等の交通による人の死傷又は物の損壊(以下「交通事故」という。)があつたときは、当該車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちにもよりの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。
2 前項後段の規定により報告を受けたもよりの警察署の警察官は、負傷者を救護し、又は道路における危険を防止するため必要があると認めるときは、当該報告をした運転者に対し、警察官が現場に到着するまで現場を去つてはならない旨を命ずることができる。
3 前二項の場合において、現場にある警察官は、当該車両等の運転者等に対し、負傷者を救護し、又は道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要な指示をすることができる。
4 緊急自動車若しくは傷病者を運搬中の車両又は郵便物運搬用自動車、乗合自動車、トロリーバス若しくは路面電車で当該業務に従事中のものの運転者は、当該業務のため引き続き当該車両等を運転する必要があるときは、第一項の規定にかかわらず、その他の乗務員に第一項前段に規定する措置を講じさせ、又は同項後段に規定する報告をさせて、当該車両等の運転を継続することができる。
(罰則 第一項については第百十七条、第百十九条第一項第十号 第二項については第百二十条第一項第十二号)
(妨害の禁止)
第七十三条 交通事故があつた場合において、当該交通事故に係る車両等の運転者等以外の者で当該車両等に乗車しているものがあるときは、その者は、当該車両等の運転者等が前条第一項前段に規定する措置を講じ、又は同条同項後段に規定する報告をするのを妨げてはならない。
(罰則 第百二十条第一項第九号)
第三節 雇用者等の義務
(雇用者の義務)
第七十四条 車両等の運転者を雇用する者(以下「雇用者」という。)は、その雇用する車両等の運転者(以下「雇用運転者」という。)に、この法律又はこの法律に基づく命令に規定する車両等の安全な運転に関する事項を遵守させるようにつとめなければならない。
2 雇用者は、雇用運転者が第六十八条の規定に違反することを誘発するように時間を拘束した業務を課し、又はそのような条件を付して雇用運転者に車両等を運転させてはならない。
3 雇用者は、雇用運転者が第七十一条第一号の規定に違反することがないように、車両等に泥よけ器を備える等の必要な措置をとらなければならない。
(罰則 第二項については第百十九条第一項第十一号、第百二十三条)
(車両等の運行を管理する者の義務)
第七十五条 車両等の運行を直接管理する地位にある者は、当該業務に関し、法令の規定による運転の免許を受けなければ運転し、又は操縦することができないこととされている車両等を当該免許を受けていない者(法令の規定により当該免許の効力が停止されている者を含む。以下この項において同じ。)に運転することを命じ、又は当該免許を受けていない者が当該車両等を運転することを容認してはならない。
2 車両等の運行を直接管理する地位にある者は、当該業務に関し、車両等の運転者に対し、アルコール又は薬物の影響、過労、病気その他の理由により正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転することを命じ、又は車両等の運転者がそのような状態で車両等を運転することを容認してはならない。
(罰則 第百十九条第一項第十二号、第百二十三条)
第五章 道路の使用等
第一節 道路における禁止行為等
(禁止行為)
第七十六条 何人も、信号機若しくは道路標識等又はこれらに類似する工作物若しくは物件をみだりに設置してはならない。
2 何人も、信号機又は道路標識等の効用を妨げるような工作物又は物件を設置してはならない。
3 何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。
4 何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
一 道賂において、酒に酔つて交通の妨害となるような程度にふらつくこと。
二 道路において、交通の妨害となるような方法で寝そべり、すわり、しやがみ、又は立ちどまつていること。
三 交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること。
四 石、ガラスびん、金属片その他道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、又は発射すること。
五 前号に掲げるもののほか、道路において進行中の車両等から物件を投げること。
六 道路において進行中の自動車、トロリーバス又は路面電車に飛び乗り、若しくはこれらから飛び降り、又はこれらに外からつかまること。
七 前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為
(罰則 第一項及び第二項については第百十八条第一項第四号、第百二十三条 第三項については第百十九条第一項第十二号、第百二十三条 第四項については第百二十条第一項第九号)
(道路の使用の許可)
第七十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、それぞれ当該各号に掲げる行為について当該行為に係る場所を管轄する警察署長(以下この節において「所轄警察署長」という。)の許可(当該行為に係る場所が同一の公安委員会の管理に属する二以上の警察署長の管轄にわたるときは、そのいずれかの所轄警察署長の許可。以下この節において同じ。)を受けなければならない。
一 道賂において工事若しくは作業をしようとする者又は当該工事若しくは作業の請負人
二 道路に石碑、銅像、広告板、アーチその他これらに類する工作物を設けようとする者
三 場所を移動しないで、道路に露店、屋台店その他これらに類する店を出そうとする者
四 前各号に掲げるもののほか、道路において祭礼行事をし、又はロケーションをする等一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態若しくは方法により道路を使用する行為又は道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような行為で、公安委員会が、その土地の道路又は交通の状況により、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要と認めて定めたものをしようとする者
2 前項の許可の申請があつた場合において、当該申請に係る行為が次の各号のいずれかに該当するときは、所轄警察署長は、許可をしなければならない。
一 当該申請に係る行為が現に交通の妨害となるおそれがないと認められるとき。
二 当該申請に係る行為が許可に付された条件に従つて行なわれることにより交通の妨害となるおそれがなくなると認められるとき。
三 当該申請に係る行為が現に交通の妨害となるおそれはあるが公益上又は社会の慣習上やむを得ないものであると認められるとき。
3 第一項の規定による許可をする場合において、必要があると認めるときは、所轄警察署長は、当該許可に係る行為が前項第一号に該当する場合を除き、当該許可に道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要な条件を付することができる。
4 所轄警察署長は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため特別の必要が生じたときは、前項の規定により付した条件を変更し、又は新たに条件を付することができる。
5 所轄警察署長は、第一項の規定による許可を受けた者が前二項の規定による条件に違反したとき、又は道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため特別の必要が生じたときは、その許可を取り消し、又はその許可の効力を停止することができる。
6 所轄警察署長は、第三項又は第四項の規定による条件に違反した者について前項の規定による処分をしようとするときは、当該処分に係る者に対し、あらかじめ、弁明をなすべき日時、場所及び当該処分をしようとする理由を通知して、当該事案について弁明及び有利な証拠の提出の機会を与えなければならない。ただし、交通の危険を防止するため緊急やむを得ないときは、この限りでない。
7 第一項の規定による許可を受けた者は、当該許可の期間が満了したとき、又は第五項の規定により当該許可が取り消されたときは、すみやかに当該工作物の除去その他道路を原状に回復する措置を講じなければならない。
(罰則 第一項については第百十九条第一項第十二号、第百二十三条 第三項及び第四項については第百十九条第一項第十三号、第百二十三条 第七項については第百二十条第一項第十三号、第百二十三条)
(許可の手続)
第七十八条 前条第一項の規定による許可を受けようとする者は、総理府令で定める事項を記載した申請書を所轄警察署長に提出しなければならない。
2 前条第一項の規定による許可に係る行為が道路法第三十二条第一項又は第三項の規定の適用を受けるものであるときは、前項の規定による申請書の提出は、当該道路の管理者を経由して行なうことができる。この場合において、道路の管理者は、すみやかに当該申請書を所轄警察署長に送付しなければならない。
3 所轄警察署長は、前条第一項の規定による許可をしたときは、許可証を交付しなければならない。
4 前項の規定による許可証の交付を受けた者は、当該許可証の記載事項に変更を生じたときは、所轄警察署長に届け出て、許可証に変更に係る事項の記載を受けなければならない。
5 第三項の規定による許可証の交付を受けた者は、当該許可証を亡失し、滅失し、汚損し、又は破損したときは、所轄警察署長に許可証の再交付を申請することができる。
6 第一項の申請書の様式、第三項の許可証の様式その他前条第一項の許可の手続について必要な事項は、総理府令で定める。
(罰則 第四項については第百二十一条第一項第九号)
(道路の管理者との協議)
第七十九条 所轄警察署長は、第七十七条第一項の規定による許可をしようとする場合において、当該許可に係る行為が道路法第三十二条第一項又は第三項の規定の適用を受けるものであるときは、あらかじめ、当該道路の管理者に協議しなければならない。
(道路の管理者の特例)
第八十条 道路法による道路の管理者が道路の維持、修繕その他の管理のため工事又は作業を行なおうとするときは、当該道路の管理者は、第七十七条第一項の規定にかかわらず、所轄警察署長に協議すれば足りる。
2 前項の協議について必要な事項は、総理府令・建設省令で定める。
第二節 危険防止等の措置
(違法工作物等に対する措置)
第八十一条 警察署長は、次の各号のいずれかに該当する者に対し、当該違反行為に係る工作物又は物件(以下この節において、「工作物等」という。)の除去、移転又は改修、当該違反行為に係る工事又は作業(以下この節において「工事等」という。)の中止その他当該違反行為に係る工作物等又は工事等について、道路における危険を防止し、又は交通の妨害を排除するため必要な措置をとることを命ずることができる。
一 第七十六条第一項又は第二項の規定に違反して工作物等を設置した者
二 第七十六条第三項の規定に違反して物件を置いた者
三 第七十七条第一項の規定に違反して工作物等を設置し、又は工事等を行なつた者
四 第七十七条第三項又は第四項の規定による所轄警察署長が付した条件に違反した者
五 第七十七条第七項の規定に違反して当該工作物の除去その他道路を原状に回復する措置を講じなかつた者
2 警察署長は、前項第一号、第二号又は第三号に掲げる者の氏名及び住所を知ることができないため、これらの者に対し、前項の規定による措置をとることを命ずることができないときは、自ら当該措置をとることができる。この場合において、工作物等を除去したときは、警察署長は、当該工作物等を保管しなければならない。
3 警察署長は、前項後段の規定により工作物等を保管したときは、当該工作物等の占有者、所有者その他当該工作物等について権原を有する者(以下この節において「占有者等」という。)に対し当該工作物等を返還するため、政令で定めるところにより、政令で定める事項を公示しなければならない。
4 警察署長は、第二項の規定により保管した工作物等が滅失し、又は破損するおそれがあるときは、政令で定めるところにより、当該工作物等を売却し、その売却した代金を保管することができる。
5 前三項に規定する工作物等の除去、移転、改修、保管、売却、公示等に要した費用は、当該工作物等の返還を受けるべき占有者等の負担とし、その費用の徴収については、行政代執行法第五条及び第六条の規定を準用する。
6 第三項に規定する公示の日から起算して六月を経過してもなお第二項の規定により保管した工作物等(第四項の規定により売却した代金を含む。以下この項において同じ。)を返還することができないときは、当該工作物等の所有権は、当該警察署の属する都道府県に帰属する。
(罰則 第一項については第百十九条第一項第十四号、第百二十三条)
(沿道の工作物等の危険防止措置)
第八十二条 警察署長は、沿道の土地に設置されている工作物等が道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあるときは、当該工作物等の占有者等に対し、当該工作物等の除去その他当該工作物等について道路における交通の危険を防止し、又は交通の円滑を図るため必要な措置をとることを命ずることができる。
2 前項の場合において、当該工作物等の占有者等の氏名及び住所を知ることができないため、これらの者に対し、前項の規定による措置をとることを命ずることができないときは、警察署長は、自ら当該措置をとることができる。この場合において、工作物等を除去したときは、警察署長は、当該工作物等を保管しなければならない。
3 前条第三項から第六項までの規定は、前項後段の規定による保管について準用する。
(罰則 第一項については第百十九条第一項第十四号、第百二十三条)
(工作物等に対する応急措置)
第八十三条 警察官は、道路又は沿道の土地に設置されている工作物等が著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は交通の妨害となるおそれがあり、かつ、急を要すると認めるときは、道路における交通の危険を防止し、又は交通の妨害を排除するため必要な限度において、当該工作物等の除去、移転その他応急の措置をとることができる。
2 前項に規定する措置をとつた場合において、工作物等を除去したときは、警察官は、当該工作物等を当該工作物等が設置されていた場所を管轄する警察署長に差し出さなければならない。この場合において、警察署長は、当該工作物等を保管しなければならない。
3 第八十一条第三項から第六項までの規定は、前項の規定による保管について準用する。
第六章 自動車及び原動機付自転車の運転免許
第一節 通則
(運転免許)
第八十四条 自動車及び原動機付自転車(以下この章において「自動車等」という。)を運転しようとする者は、公安委員会の運転免許(以下「免許」という。)を受けなければならない。
2 免許は、第一種運転免許(以下「第一種免許」という。)、第二種運転免許(以下「第二種免許」という。)及び仮運転免許(以下「仮免許」という。)に区分する。
3 第一種免許を分けて、大型自動車免許(以下「大型免許」という。)、普通自動車免許(以下「普通免許」という。)、特殊自動車免許(以下「特殊免許」という。)、自動三輪車免許(以下「三輪免許」という。)、自動二輪車免許(以下「二輪免許」という。)、軽自動車免許(以下「軽免許」という。)、第一種原動機付自転車免許(以下「第一種原付免許」という。)及び第二種原動機付自転車免許(以下「第二種原付免許」という。)の八種類とする。
4 第二種免許を分けて、大型自動車第二種免許(以下「大型第二種免許」という。)、普通自動車第二種免許(以下「普通第二種免許」という。)、特殊自動車第二種免許(以下「特殊第二種免許」という。)及び自動三輪車第二種免許(以下「三輪第二種免許」という。)の四種類とする。
(第一種免許)
第八十五条 次の表の上欄に掲げる自動車等を運転しようとする者は、当該自動車等の種類に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる第一種免許を受けなければならない。
自動車等の種類
第一種免許の種類
大型自動車
大型免許
普通自動車
普通免許
特殊自動車
特殊免許
自動三輪車
三輪免許
自動二輪車
二輪免許
軽自動車
軽免許
第一種原動機付自転車
第一種原付免許
第二種原動機付自転車
第二種原付免許
2 第一種免許を受けた者は、前項の表の区分に従い当該自動車等を運転することができるほか、次の表の上欄に掲げる免許の種類に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる種類の自動車等を運転することができる。
第一種免許の種類
運転することができる自動車等の種類
大型免許
普通自動車、自動三輪車、軽自動車及び原動機付自転車
普通免許
自動三輪車、軽自動車及び原動機付自転車
特殊免許
軽自動車及び原動機付自転車
三輪免許
軽自動車及び原動機付自転車
二輪免許
軽自動車及び原動機付自転車
軽免許
原動機付自転車
第二種原付免許
第一種原動機付自転車
3 第一種免許を受けた者は、前二項の規定により運転することができる自動車等が道路運送法第三条第二項第一号、第二号若しくは第三号又は同条第三項第一号に掲げる旅客自動車運送事業の用に供されるもの(以下「旅客自動車」という。)であるときは、前二項の規定にかかわらず、当該自動車を当該旅客自動車運送事業に係る旅客を運送する目的で運転することができない。
(第二種免許)
第八十六条 次の表の上欄に掲げる自動車で旅客自動車であるものを当該旅客自動車運送事業に係る旅客を運送する目的で運転しようとする者は、当該自動車の種類に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる第二種免許を受けなければならない。
自動車の種類
第二種免許の種類
大型自動車
大型第二種免許
普通自動車
普通第二種免許
特殊自動車
特殊第二種免許
自動三輪車
三輪第二種免許
2 第二種免許を受けた者は、前項の表の区分に従い当該自動車を当該目的で運転することができるほか、当該第二種免許に対応する第一種免許を受けた者が前条第二項の規定により運転することができる自動車等を運転することができる。
(仮免許)
第八十七条 大型自動車、普通自動車又は自動三輪車を当該自動車に係る第一種免許又は第二種免許を受けないで練習のため運転しようとする者は、仮免許を受けなければならない。
2 仮免許は、自動車の種類及び三月をこえない範囲内において期間を指定して与えるものとする。
3 仮免許を受けた者は、交通がひんぱんでない道路において、その運転者席の横の乗車装置に当該自動車に係る第一種免許又は第二種免許を受けた者を同乗させ、かつ、その指導の下に、前項の規定により指定された種類の自動車を運転することができる。
4 前項の規定により自動車を運転しようとするときは、仮免許を受けた者は、当該自動車の前面及び後面の見やすい位置に総理府令で定める様式の標識をつけなければならない。
(罰則 第三項については第百二十条第一項第十四号、第百二十二条)
第二節 免許の申請等
(免許の欠格事由)
第八十八条 次の各号のいずれかに該当する者に対しては、免許を与えない。
一 大型免許(大型自動車に係る仮免許を含む。)、普通免許(普通自動車に係る仮免許を含む。)及び特殊免許にあつては十八歳に、三輪免許(自動三輪車に係る仮免許を含む。)、二輪免許、軽免許、第一種原付免許及び第二種原付免許にあつては 十六歳に、それぞれ満たない者
二 精神病者、精神薄弱者、てんかん病者、目が見えない者、耳がきこえない者又は口がきけない者
三 前号に掲げる者のほか、政令で定める身体の障害のある者
四 アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者
五 第百三条第一項の規定により免許を取り消された日から起算して一年を経過していない者又は免許の効力が停止されている者
2 免許を現に受けている者は、当該免許と同一の種類の免許を重ねて受けることができない。
(免許の申請)
第八十九条 免許を受けようとする者は、その者の住所地を管轄する公安委員会に、総理府令で定める様式の免許申請書を提出し、かつ、当該公安委員会の行なう運転免許試験を受けなければならない。
(免許の拒否等)
第九十条 公安委員会は、前条の運転免許試験に合格した者に対し、免許を与えなければならない。ただし、自動車等の運転に関しこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律の規定に基づく処分に違反した者で、その者が自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあり、これに免許を与えることが適当でないと認めるものについては、免許を与えず、又は一年をこえない範囲内において免許を保留することができる。
2 公安委員会は、前項ただし書の規定により免許を拒否し、又は保留しようとするときは、当該運転免許試験に合格した者に対し、あらかじめ、弁明をなすべき日時、場所及び当該処分をしようとする理由を通知して、当該事案について弁明及び有利な証拠の提出の機会を与えなければならない。
(免許の条件)
第九十一条 公安委員会は、前条第一項本文の規定により免許を与える場合において、道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要があると認めるときは、必要な限度において、免許を受ける者の身体の状態又は運転の技能に応じ、その者が運転することができる自動車等の種類を限定し、その他自動車等を運転するについて必要な条件を付することができる。
(罰則 第百十九条第一項第十五号、第百二十二条)
第三節 免許証等
(免許証の交付)
第九十二条 免許は、運転免許証(以下「免許証」という。)を交付して行なう。この場合において、同一人に対し、日を同じくして第一種免許又は第二種免許のうち二以上の種類の免許を与えるときは、一の種類の免許に係る免許証に他の種類の免許に係る事項を記載して、当該種類の免許に係る免許証の交付に代えるものとする。
2 免許を現に受けている者に対し、当該免許の種類と異なる種類の免許を与えるときは、その異なる種類の免許に係る免許証にその者が現に受けている免許に係る事項を記載して、その者が現に有する免許証と引き換えに交付するものとする。
3 免許証の有効期間(第百一条第二項の規定により免許証の有効期間が更新された場合にあつては、当該更新された免許証の有効期間)は、当該免許証の交付を受けた日(免許証の有効期間が更新された場合にあつては、その更新された日)から起算して三年とする。
(免許証の記載事項)
第九十三条 免許証には、次の各号に掲げる事項を記載するものとする。
一 免許証の番号
二 免許の年月日及び免許証の交付年月日
三 免許の種類
四 免許を受けた者の本籍、住所、氏名及び生年月日
2 公安委員会は、前項各号に掲げるもののほか、免許を受けた者について、第九十一条若しくは第百一条第二項(第百二条第三項において準用する場合を含む。)の規定により、免許に条件を付し、若しくは免許に付されている条件を変更し、又は第百三条の規定により免許の効力を停止し、若しくはその期間を短縮したときは、その者の免許証に当該条件又は当該処分に係る事項を記載しなければならない。
3 前二項に規定するもののほか、免許証の様式その他免許証について必要な事項は、総理府令で定める。
(免許証の記載事項の変更届出等)
第九十四条 免許を受けた者は、前条第一項に規定する免許証の記載事項に変更を生じたときは、すみやかに住所地を管轄する公安委員会(公安委員会の管轄区域を異にして住所を変更したときは、変更した後の住所地を管轄する公安委員会)に届け出て、免許証に変更に係る事項の記載を受けなければならない。
2 前項の規定による公安委員会の管轄区域を異にする住所地の変更の届出を受けた公安委員会は、当該届出をした者の従前の住所地を管轄する公安委員会にその旨を通知しなければならない。
3 免許を受けた者は、免許証を亡失し、滅失し、汚損し、又は破損したときは、その者の住所地を管轄する公安委員会に免許証の再交付を申請することができる。
4 第一項に規定する免許証の記載事項の変更の届出の手続及び前項に規定する免許証の再交付の申請の手続は、総理府令で定める。
(罰則 第一項については第百二十一条第一項第九号)
(免許証の携帯及び提示義務)
第九十五条 免許を受けた者は、自動車等を運転するときは、当該自動車等に係る免許証を携帯していなければならない。
2 免許を受けた者は、自動車等を運転している場合において、警察官から第六十七条第一項の規定による免許証の提示を求められたときは、これを提示しなければならない。
(罰則 第一項については第百二十一条第一項第十号、同条第二項 第二項については第百二十条第一項第九号)
第四節 運転免許試験
(受験資格)
第九十六条 第八十八条第一項各号のいずれかに該当する者は、第一種免許及び仮免許の運転免許試験を受けることができない。
2 第二種免許の運転免許試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ、受けることができない。
一 二十一歳以上の者で、大型免許、普通免許、特殊免許又は三輪免許を現に受けており(第百三条第二項の規定により当該免許の効力が停止されている場合を除く。)、かつ、当該免許によつて運転することができる自動車の運転の経験の期間が通算して三年(政令で定めるものにあつては、二年)以上のもの
二 その者が受けようとしている第二種免許の種類と異なる種類の第二種免許を現に受けている者(第百三条第二項の規定により当該免許の効力が停止されている者を除く。)
(運転免許試験の方法)
第九十七条 運転免許試験は、免許の種類ごとに次の各号(軽免許、第二種原付免許及び仮免許の運転免許試験にあつては第一号から第三号まで、第一種原付免許の運転免許試験にあつては第一号及び第三号)に掲げる事項について行なう。
一 自動車等の運転について必要な適性
二 自動車等の運転について必要な技能
三 自動車等及び道路の交通に関する法令についての知識
四 自動車等の構造及び取扱方法
2 前項に規定するもののほか、運転免許試験の実施の手続、方法その他運転免許試験について必要な事項は、総理府令で定める。
(自動車教習所の指定)
第九十八条 公安委員会は、自動車の運転に関する技能及び法令並びに自動車の構造及び取扱方法について教習を行なう施設のうち、政令で定める基準に適合するものを、当該施設を設置し、又は管理する者の申請に基づき、指定自動車教習所として指定することができる。
2 公安委員会は、指定自動車教習所について、前項の政令で定める基準に適合しているかどうかを検査し、及び当該指定自動車教習所を設置し、又は管理する者に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができる。
3 公安委員会は、指定自動車教習所が第一項の政令で定める基準に適合しなくなつたときは、その指定を解除することができる。
(運転免許試験の免除)
第九十九条 次の各号のいずれかに該当する者に対しては、政令で定めるところにより、第一種免許の運転免許試験の一部を免除する。
一 指定自動車教習所の発行する卒業証明書を有する者で、当該指定自動車教習所を卒業した日から起算して一年を経過しないもの
二 道路運送車両法第五十五条及びこれに基づく命令の規定による技能検定に合格した者で、一級、二級又は三級の自動車整備士の資格を有するもの
三 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による高等学校(旧中学校令(昭和十八年勅令第三十六号)による工業学校を含む。)又はこれと同等以上の学校の機械科を卒業した者で、在学中自動車に関する学科を修得したもの
四 海外旅行、災害その他政令で定めるやむを得ない理由のため第百一条第一項の免許証の有効期間の更新を受けることができなかつた者で、当該事情がやんだ日から起算して一月を経過しないもの
五 外国の行政庁が与えた自動車等の運転に関する免許を有する者
2 前項に規定する者のほか、免許を受けようとする者が当該免許に係る自動車等を運転することが支障がないと認めたときは、公安委員会は、政令で定める基準に従い、運転免許試験の一部を免除することができる。
(運転免許試験の停止等)
第百条 公安委員会は、不正の手段によつて運転免許試験を受け、又は受けようとした者に対しては、その運転免許試験を停止し、又は合格の決定を取り消すことができる。
2 前項の規定により合格の決定を取り消したときは、公安委員会は、その旨を直ちにその者に通知しなければならない。この場合において、当該運転免許試験に係る免許は、その通知を受けた日に効力を失うものとする。
3 公安委員会は、第一項の規定による処分を受けた者に対し、情状により、一年以内の期間を定めて、運転免許試験を受けることができないものとすることができる。
第五節 免許証の更新等
(免許証の更新及び定期検査)
第百一条 免許証の有効期間の更新(以下「免許証の更新」という。)を受けようとする者は、当該免許証の有効期間が満了する日の一月前から当該期間が満了する日までの間に、その者の住所地を管轄する公安委員会が行なう自動車等の運転について必要な適性検査(以下「適性検査」という。)を受けなければならない。
2 前項の適性検査の結果、当該免許証の更新を受けようとする者が自動車等を運転することが支障がないと認めたときは、当該公安委員会は、当該免許証の更新をしなければならない。この場合において、道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要があると認めるときは、当該公安委員会は、当該免許証の更新を受けようとする者について、その者の身体の状態に応じた条件を新たに付し、又はその者の免許に付されている条件を変更することができる。
3 前二項に定めるもののほか、免許証の更新の申請及び適性検査について必要な事項は、総理府令で定める。
(罰則 第二項については第百十九条第一項第十五号、第百二十二条)
(臨時適性検査)
第百二条 公安委員会は、免許を受けた者が第八十八条第一項第二号、第三号若しくは第四号のいずれかに該当する者となり、又は次条第二項第一号に該当することとなつたと疑う理由があるときは、当該免許を受けた者につき、臨時に適性検査を行なうことができる。この場合において、公安委員会は、あらかじめ、適性検査を行なう期日、場所その他必要な事項をその者に通知しなければならない。
2 前項の規定により通知を受けた者は、通知された期日に通知された場所に出頭して適性検査を受けなければならない。
3 前条第二項後段の規定は、第一項の規定により適性検査を行なつた場合について準用する。
(罰則 第三項については第百十九条第一項第十五号、第百二十二条)
第六節 免許の取消し、停止等
(免許の取消し、停止等)
第百三条 免許を受けた者が第八十八条第一項第二号、第三号又は第四号のいずれかに該当する者になつたときは、その者の住所地を管轄する公安委員会は、その者の免許を取り消さなければならない。
2 免許を受けた者が、次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、その者の住所地を管轄する公安委員会は、政令で定める基準に従い、その者の免許を取り消し、又は六月をこえない範囲内で期間を定めて免許の効力を停止することができる。
一 第八十八条第一項第三号に該当するに至らない程度の身体の障害で自動車等の運転に支障を及ぼすおそれのあるものが生じたとき。
二 自動車等の運転に関しこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律の規定に基づく処分に違反したとき。
三 前二号に掲げるもののほか、免許を受けた者が自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき。
3 公安委員会は、前項の規定による免許の効力の停止を受けた者(同項第一号に係る者を除く。)から申し出があつたときは、政令で定めるところにより、その者に当該公安委員会又は当該公安委員会が委託した者が行なう自動車等の運転に関し必要な事項の講習を受けさせることができる。この場合において、その者が当該講習を終了したときは、当該公安委員会は、政令で定める範囲内で、その者の免許の効力の停止の期間を短縮することができる。
(聴聞)
第百四条 公安委員会は、前条第一項又は第二項の規定により免許を取り消し、又は免許の効力を九十日(公安委員会が九十日をこえない範囲内においてこれと異なる期間を定めたときは、その期間)以上停止しようとするときは、公開による聴聞を行なわなければならない。この場合において、公安委員会は、当該処分に係る者に対し、処分をしようとする理由並びに聴聞の期日及び場所を期日の一週間前までに通知し、かつ、聴聞の期日及び場所を公示しなければならない。
2 聴聞に際しては、当該処分に係る者又はその代理人は、当該事案について意見を述べ、かつ、有利な証拠を提出することができる。
3 聴聞を行なう場合において、必要があると認めるときは、公安委員会は、道路交通に関する事項に関し専門的知識を有する参考人又は当該事案の関係人の出頭を求め、これらの者からその意見又は事情をきくことができる。
4 公安委員会は、当該処分に係る者又はその代理人が正当な理由がなくて出頭しないときは、第一項の規定にかかわらず、聴聞を行なわないで前条第一項又は第二項の規定により免許を取り消し、又は免許の効力を停止することができる。
5 前各項に定めるもののほか、聴聞の実施について必要な事項は、政令で定める。
(免許の失効)
第百五条 免許は、免許を受けた者が免許証の更新を受けなかつたときは、その効力を失う。
(免許の拒否、取消し等の報告)
第百六条 公安委員会は、第九十条第一項ただし書の規定により免許を拒否し、若しくは九十日以上免許を保留し、又は第百三条第一項若しくは第二項の規定により免許を取り消し、若しくは九十日以上免許の効力を停止したときは、総理府令で定める事項を国家公安委員会に報告しなければならない。この場合において、国家公安委員会は、免許に関する事務の適正を図るため、当該報告に係る事項を各公安委員会に通報するものとする。
(免許証の返納等)
第百七条 免許を受けた者は、次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、すみやかに、免許証(第三号の場合にあつては、発見し、又は回復した免許証)をその者の住所地を管轄する公安委員会に返納しなければならない。
一 免許が取り消されたとき。
二 免許が失効したとき。
三 免許証の再交付を受けた後において亡失した免許証を発見し、又は回復したとき。
2 公安委員会は、免許の効力を停止したときは、当該処分を受けた者に当該処分に係る免許証を差し出させ、これを保管することができる。この場合において、免許の効力の停止の期間が満了したときは、公安委員会は、直ちにその者に当該免許証を返還しなければならない。
(罰則 第一項については第百二十一条第一項第九号)
第七章 雑則
(雇用者に対する通知)
第百八条 車両等の運転者がこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律の規定に基づく処分に違反した場合において、当該違反が当該車両等の運転者の雇用者の業務に関してなされたものであると認めるときは、公安委員会は、当該雇用者が道路運送法の規定による自動車運送事業者、通運事業法(昭和二十四年法律第二百四十一号)の規定による通運事業者又は軌道法の規定による軌道の事業者であるときは当該事業者及び当該事業を監督する行政庁に対し、当該雇用者がこれらの事業者以外の者であるときは当該雇用者に対し、当該違反の内容を通知するものとする。
(免許証の保管)
第百九条 警察官は、自動車又は原動機付自転車の運転者が自動車又は原動機付自転車の運転に関しこの法律の罰則に触れる行為をしたと認めるときは、その現場において、免許証の提出を求めこれを保管することができる。この場合において、警察官は、保管証を交付しなければならない。
2 前項の保管証は、第九十五条の規定の適用については、免許証とみなす。
3 当該警察官は、第一項の規定により保管した免許証の提出者が当該警察官の指定した日時及び場所に出頭したとき、又は当該日時が超過した後においてその提出者から返還の請求があつたときは、当該免許証を返還しなければならない。
4 前項の規定により免許証の返還を受ける者は、当該免許証と引き換えに保管証を返納しなければならない。
5 警察官は、第一項の規定により免許証の提出を求めるときは、出頭の日時及び場所を告げ、かつ、前三項の規定の趣旨を説明しなければならない。
6 第一項の保管証の有効期間、記載事項その他保管証について必要な事項は、政令で定める。
(国家公安委員会の指示権)
第百十条 国家公安委員会は、全国的な幹線道路における交通の規制の斉一を図るため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、公安委員会に対し、この法律の規定により公安委員会の権限に属する事務のうち、車両等の最高速度その他政令で定める事項に係るものの処理について指示することができる。
(道路の交通に関する調査)
第百十一条 公安委員会は、この法律の規定により行なう道路における交通の規制の適正を図るため、道路における交通量、車両等の通行の経路その他道路の交通に関し必要な事項の調査をその管理に属する都道府県警察の警察官に行なわせることができる。
2 前項の規定による道路の交通に関する調査をするため特に必要があると認めるときは、当該警察官は、道路を通行する車両等の運転者に対し、当該調査をするため必要な限度において、一時当該車両等を停止することを求め、及び当該車両等の通行の経路について質問することができる。
3 公安委員会は、第一項の規定による調査を行なつた場合において、必要があると認めるときは、その道路の管理者又は関係行政庁に対し、意見を付してその調査の結果を通知するものとする。
(免許に関する手数料)
第百十二条 公安委員会が行なう第八十九条の規定による運転免許試験、第九十二条第一項の規定による免許証の交付、第九十四条第三項の規定による免許証の再交付又は第百一条第一項の規定による免許証の更新を受けようとする者は、それぞれ、運転免許試験手数料、免許証交付手数料、免許証再交付手数料又は免許証更新手数料を、当該都道府県に納めなければならない。
2 前項の手数料の額は、千円をこえない範囲内で、政令で定める。
(道路使用許可の手数料)
第百十三条 都道府県は、警察署長が行なう第七十七条第一項の許可について手数料を徴収することができる。この場合において、その額は、千円をこえない範囲内で、都道府県規則で定める。
(方面公安委員会への権限の委任)
第百十四条 この法律の規定により道公安委員会の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、方面公安委員会に行なわせることができる。
第八章 罰則
第百十五条 みだりに信号機を操作し、若しくは公安委員会が設置した道路標識若しくは道路標示を移転し、又は信号機若しくは公安委員会が設置した道路標識若しくは道路標示を損壊して道路における交通の危険を生じさせた者は、五年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第百十六条 車両等の運転者が業務上必要な注意を怠り、又は重大な過失により他人の建造物を損壊したときは、六月以下の禁錮又は五万円以下の罰金に処する。
第百十七条 第七十二条(交通事故の場合の措置)第一項前段の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
第百十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
一 法令の規定による運転の免許を受けなければ運転し、又は操縦することができないこととされている車両等を当該免許を受けないで(法令の規定により当該免許の効力が停止されている場合を含む。)運転した者
二 第六十五条(酒気帯び運転の禁止)の規定に違反した者で酒に酔い(アルコールの影響により車両等の正常な運転ができないおそれがある状態にあることをいう。)、車両等を運転したもの又は第六十六条(過労運転等の禁止)の規定に違反した者
三 第六十八条(最高速度の遵守)の規定に違反した者
四 第七十六条(禁止行為)第一項又は第二項の規定に違反した者
2 過失により前項第三号の罪を犯した者は、三月以下の禁錮又は五万円以下の罰金に処する。
第百十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、三月以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
一 第四条(信号機の設置等)第二項若しくは第五条(警察官の手信号等に従う義務)第一項若しくは第二項の規定に違反し、又は第七条(通行の禁止及び制限)の規定による公安委員会、警察署長若しくは警察官の禁止若しくは制限に従わなかつた車両等の運転者
二 第三十三条(踏切の通過)の規定の違反となるような行為をした者
三 第五十一条(違法駐車に対する措置)第一項の規定による警察官の命令に従わなかつた者
四 第六十一条(危険防止の措置)の規定による警察官の停止又は命令に従わなかつた者
五 第六十二条(整備不良車両の運転の禁止)の規定に違反した者
六 第六十三条(車両の検査等)第一項の規定による警察官の停止に従わず、提示の要求を拒み、又は検査を拒み、若しくは妨げた者
七 第六十三条(車両の検査等)第二項の規定による警察官の命令に従わなかつた者
八 第六十七条(危険防止の措置)第一項の規定による警察官の停止に従わなかつた者
九 第七十条(安全運転の義務)の規定に違反した者
十 第七十二条(交通事故の場合の措置)第一項後段に規定する報告をしなかつた者
十一 国家公安委員会又は公安委員会が第七十四条(雇用者の義務)第二項に規定する時間を拘束する業務として定める業務を課し、又はこれと実質的に同一の結果となる条件として定める条件を付して雇用運転者に車両等を運転させた雇用者
十二 第七十五条(車両等の運行を管理する者の義務)、第七十六条(禁止行為)第三項又は第七十七条(道路の使用の許可)第一項の規定に違反した者
十三 第七十七条(道路の使用の許可)第三項の規定により警察署長が付し、又は同条第四項の規定により警察署長が変更し、若しくは付した条件に違反した者
十四 第八十一条(違法工作物等に対する措置)第一項又は第八十二条(沿道の工作物等の危険防止措置)第一項の規定による警察署長の命令に従わなかつた者
十五 第九十一条(免許の条件)又は第百一条(免許証の更新及び定期検査)第二項後段(第百二条(臨時適性検査)第三項において準用する場合を含む。)の規定により公安委員会が付し、又は変更した条件に違反して自動車又は原動機付自転車を運転した者
2 過失により前項第一号、第二号、第五号又は第九号の罪を犯した者は、五万円以下の罰金に処する。
第百二十条 次の各号のいずれかに該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第六条(混雑緩和の措置) 第一項の規定による警察官の禁止、制限又は命令に従わなかつた車両等の運転者
二 第十七条(通行区分)第一項、第二項、第三項若しくは第五項、第二十五条(横断等の禁止)第一項、第二十七条(進路を譲る義務)、第二十八条(追越しの方法)、第二十九条(追越しを禁止する場合)、第三十一条(停車中の路面電車がある場合の停止又は徐行)、第三十二条(割込み等の禁止)、第三十四条(左折又は右折)第四項、第三十五条(先入、先順位及び左方の車両等の優先)、第三十六条(広い道路にある車両等の優先)第一項若しくは第二項、第三十七条(直進及び左折車両等の優先)、第三十八条(歩行者の保護)又は第四十条(緊急自動車の優先)の規定の違反となるような行為をした者
三 第二十条(車両通行区分帯)第二項若しくは第三項、第三十条(追越しを禁止する場所)、第四十二条(徐行すべき場所)又は第四十三条(指定場所における一時停止)の規定の違反となるような行為をした者
四 第二十五条(横断等の禁止)第二項の規定による公安委員会の処分に違反した者
五 第四十四条(停車及び駐車を禁止する場所)、第四十五条(駐車を禁止する場所)第一項若しくは第二項、第四十八条(駐車の方法)又は第五十二条(車両等の灯火)第一項の規定の違反となるような行為をした者
六 第四十七条(停車の方法)の規定の違反となるような行為をした者
七 第四十九条(駐車時間の制限)の規定による公安委員会の処分に違反した者
八 第五十二条(車両等の灯火)第二項又は第五十四条(警音器の使用等)第一項の規定に違反した者
九 第五十三条(合図)第一項、第七十一条(運転者の遵守事項)、第七十三条(妨害の禁止)、第七十六条(禁止行為)第四項又は第九十五条(免許証の携帯及び提示義務)第二項の規定に違反した者
十 第五十五条(乗車又は積載の方法)第一項若しくは第二項、第五十七条(乗車又は積載の制限等)第一項又は第五十九条(自動車の牽引制限)第一項若しくは第二項の規定に違反した者
十一 第六十九条(最低速度の遵守)の規定に違反して高速自動車国道において自動車を運転した者
十二 第七十二条(交通事故の場合の措置)第二項の規定による警察官の命令に従わなかつた者
十三 第七十七条(道路の使用の許可)第七項の規定に違反した者
十四 第八十七条(仮免許)第三項の規定によらないで自動車を運転した者
十五 偽りその他不正の手段により免許証の交付を受け、又は免許証を他人に譲り渡し、若しくは貸与した者
2 過失により前項第三号、第四号、第五号、第七号又は第八号の罪を犯した者は、三万円以下の罰金に処する。
第百二十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、一万円以下の罰金又は科料に処する。
一 第四条(信号機の設置等)第二項若しくは第五条(警察官の手信号等に従う義務)第一項若しくは第二項の規定に違反し、又は第七条(通行の禁止及び制限)の規定による公安委員会、警察署長若しくは警察官の禁止若しくは制限に従わなかつた歩行者
二 第十一条(行列等の通行)第一項の規定に違反した者(行列にあつては、その指揮者)
三 第十一条(行列等の通行)第二項後段の規定に違反し、又は同条第三項の規定による警察官の命令に従わなかつた行列の指揮者
四 第十五条(通行方法の指示)の規定による警察官の指示に従わなかつた者
五 第二十一条(軌道敷内の通行)第一項、第二項後段若しくは第三項、第二十六条(車間距離の保持)又は第三十四条(左折又は右折)第一項、第二項若しくは第三項の規定の違反となるような行為をした者
六 第五十四条(警音器の使用等)第二項又は第五十五条(乗車又は積載の方法)第三項の規定に達反した者
七 第五十七条(乗車又は積載の制限等)第二項又は第六十条(自動車以外の車両の牽引制限)の規定に基づく公安委員会の定めに違反した者
八 第五十八条(制限外許可証の交付等)第三項の規定により警察署長が付した条件に違反した者
九 第六十三条(車両の検査等)第七項、第七十八条(許可の手続)第四項、第九十四条(免許証の記載事項の変更届出等)第一項又は第百七条(免許証の返納等)第一項の規定に違反した者
十 第九十五条(免許証の携帯及び提示義務)第一項の規定に違反した者
2 過失により前項第十号の罪を犯した者は、一万円以下の罰金又は科料に処する。
第百二十二条 車両等の運転者が、第百十八条第一項第一号若しくは第三号、第百十九条第一項第一号、第二号、第五号、第九号若しくは第十五号、第百二十条第一項第二号、第三号、第四号、第十号若しくは第十四号若しくは第百二十一条第一項第五号の罪を犯し、又は過失により第百十八条第一項第三号、第百十九条第一項第一号、第二号、第五号若しくは第九号若しくは第百二十条第一項第三号若しくは第四号の罪を犯した場合において、酒気を帯びていたときは、各本条に定める刑の長期又は多額をこえて処断することができる。この場合において、懲役刑についてはその長期を二倍したものを長期とし、罰金刑についてはその多額を二倍したものを多額とする。
2 前項の規定により刑を加重する場合の加重は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第七十二条第一号に掲げる再犯加重の先にするものとする。
第百二十三条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第百十八条第一項第四号、第百十九条第一項第五号、第十一号、第十二号、第十三号若しくは第十四号、第百二十条第一項第十号若しくは第十三号又は第百二十一条第一項第七号若しくは第八号の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑又は科料刑を科する。
第百二十四条 この章の規定の適用については、この法律の規定中公安委員会とあるのは、第百十四条の規定により権限の委任を受けた方面公安委員会を含むものとする。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律(以下「新法」という。)は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
(道路交通取締法等の廃止)
第二条 道路交通取締法(昭和二十二年法律第百三十号。以下「旧法」という。)及び道路交通取締法施行令(昭和二十八年政令第二百六十一号。以下「旧令」という。)は、廃止する。
(経過規定)
第三条 新法の施行の際、現に旧法及び旧令の規定により運転免許(小型自動四輪車免許及び旧令第五十条の二第一項の規定による仮運転免許を除く。)又は運転許可を受けている者は、それぞれ次の各号に定める区分により、新法の相当規定による免許を受けたものとみなし、その者が旧法及び旧令の規定により交付を受けた運転免許証又は運転許可証は、それぞれ免許の区分に従い、新法の相当規定により交付を受けた免許証とみなす。この場合において、当該免許証の新法第九十二条第三項に規定する有効期間は、当該運転免許証又は運転許可証に記載されている旧令第五十七条第一項(旧令第六十六条において準用する場合を含む。)の規定による検査の期限までとする。
一 大型自動車免許については、大型免許
二 普通自動車免許については、普通免許
三 けん引自動車免許については、普通免許及び特殊免許
四 特殊作業用自動車免許又は特種自動車免許については、特殊免許
五 自動三輪車免許については、三輪免許
六 側車付自動二輪車免許又は自動二輪車免許については、二輪免許
七 軽自動車免許については、軽免許
八 旧令第五十条の二第二項の規定による仮運転免許については、仮免許
九 第一種運転許可については、第一種原付免許
十 第二種運転許可については、第二種原付免許
十一 大型自動車第二種免許については、大型第二種免許
十二 普通自動車第二種免許又は小型自動四輪車第二種免許については、普通第二種免許
十三 けん引自動車第二種免許については、普通第二種免許及び特殊第二種免許
十四 自動三輪車第二種免許については、三輪第二種免許
2 新法の施行の際、現に旧法及び旧令の規定により小型自動四輪車免許を受けている者は、新法の規定による普通免許を受けたものとみなし、その者が旧法及び旧令の規定により交付を受けた運転免許証は、新法の相当規定により交付を受けた免許証とみなす。前項後段の規定は、この場合について準用する。
3 前項前段の場合において、その者が運転することができる自動車は、普通自動車については、政令で定めるところにより公安委員会が行なう審査に合格するまでの間は、旧令の規定による小型自動四輪車に限るものとする。
4 新法の施行の際、現に旧令第五十条の二第一項の規定による仮運転免許を受けている者は、当該仮運転免許について指定されている期間内に限り、当該仮運転免許について指定されている種類の自動車に係る新法の規定による第一種免許を受けたものとみなし、その者が旧法及び旧令の規定により交付を受けている運転免許証は、新法の相当規定により交付を受けた当該免許に係る免許証とみなす。
第四条 前条第一項又は第二項の場合において、旧令の規定により公安委員会が運転免許についてした自動車の種類その他の限定又は運転免許若しくは運転許可について付した条件で現にその効力を有するものは、それぞれ新法の相当規定により公安委員会が当該免許について付した条件とみなす。
第五条 新法の施行の際、現に旧法及び旧令に規定する自動車運転者試験に合格して旧法及び旧令の規定による運転免許を受けていない者については、当該自動車運転者試験を行なつた公安委員会は、旧令第四十九条第一項ただし書の規定により運転免許を拒否し、又は保留する場合を除き、新法第八十八条第一項第一号及び第九十条第一項本文の規定にかかわらず、その者に当該自動車運転者試験に係る運転免許に相当する新法の規定による免許を与えなければならない。この場合において、自動車運転者試験を行なつた公安委員会が免許を受けた者の住所地を管轄するものでないときは、当該公安委員会は、すみやかに免許を与えた旨をその者の住所地を管轄する公安委員会に通知しなければならない。
2 前項前段の規定により普通免許を受けた者が運転することができる自動車は、普通自動車については、政令で定めるところにより公安委員会が行なう審査に合格するまでの間は、旧令の規定による小型自動四輪車に限るものとする。
3 新法の施行の際、現に旧法及び旧令の規定により運転許可の申請をして旧法及び旧令の規定による運転許可を受けていない者については、当該申請を受理した公安委員会は、その者が旧令第六十五条の三第一項各号のいずれかに該当し、若しくは同条第二項各号のいずれかに該当しない場合又は旧令第六十六条において準用する旧令第四十九条第一項ただし書の規定により運転許可を拒否する場合を除き、新法第八十八条第一項第一号及び第九十条第一項本文の規定にかかわらず、その者に当該申請をした運転許可に相当する新法の規定による免許を与えなければならない。第一項後段の規定は、この場合について準用する。
第六条 新法の施行の際、現に旧令第五十三条第一項第一号に掲げる公安委員会の指定した自動車練習所その他これに類する施設の発行する卒業証明書を有する者で卒業後一年を経過しないものは、新法第九十九条第一項の適用については、当該施設を卒業して一年を経過しない間は、同条同項第一号に掲げる指定自動車教習所の発行する卒業証明書を有する者で当該指定自動車教習所を卒業した日から起算して一年を経過しないものとみなす。
第七条 附則第三条に規定するもののほか、新法の施行の際、旧法の規定により公安委員会がした道路の通行の禁止若しくは制限又は旧法若しくは旧令の規定により公安委員会がした運転免許若しくは運転許可の取消し若しくは停止その他の処分で現にその効力を有するものは、それぞれ新法の相当規定により公安委員会がした処分とみなす。この場合において、当該処分に期間が定められているときは、その期間は、旧法又は旧令の規定により当該処分がされた日から起算するものとする。
第八条 附則第五条第三項に規定するもののほか、新法の施行の際、現に旧法又は旧令の規定により公安委員会に対してされている運転免許の申請(十八歳未満の者がした小型自動四輪車免許に係る申請を除く。以下この条において同じ。)、届出その他の手続は、それぞれ新法の相当規定により公安委員会に対してされた手続とみなす。この場合において、運転免許の申請、運転免許証若しくは運転許可証の再交付の申請又は運転免許証若しくは運転許可証の記載事項の変更に係る届出を受理した公安委員会が当該手続をした者の住所地を管轄するものでないときは、当該公安委員会は、新法の施行後すみやかに当該手続に係る書類をその者の住所地を管轄する公安委員会に引き継がなければならない。
第九条 新法の施行の際、旧法第九条第六項(第九条の二第四項において準用する場合を含む。)の規定により公安委員会がした聴聞又は聴聞の手続については、これを新法第百四条の規定により公安委員会がした聴聞又は聴聞の手続とみなし、当該聴聞又は聴聞の手続をした公安委員会は、当該聴聞に係る事案について新法第百三条の規定による処分をすることができる。この場合において、当該処分をした公安委員会が当該処分に係る者の住所地を管轄するものでないときは、当該公安委員会は、すみやかに当該処分をした旨をその者の住所地を管轄する公安委員会に通知しなければならない。
第十条 新法第九十条第一項及び第百三条第二項(同項第二号に係る部分に限る。)の規定の適用については、自動車及び原動機付自転車の運転に関し旧法若しくは旧令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反した者は、新法の相当規定又はこれに基づく処分にそれぞれ違反した者とみなす。
第十一条 新法の施行の際、旧法又は旧令の規定により警察署長がした許可その他の処分で現にその効力を有するものは、それぞれ新法の相当規定により警察署長がした処分とみなし、当該許可に係る許可証は、新法の相当規定による許可証とみなす。この場合において、当該処分に期間が定められているときは、その期間は、旧法又は旧令の規定により当該処分がされた日から起算するものとする。
第十二条 新法の施行の際、現に旧法又は旧令の規定により警察署長に対してされている許可の申請その他の手続は、それぞれ新法の相当規定により警察署長に対してされた手続とみなす。
第十三条 新法の施行の際、現に旧法第二十三条の三第一項の規定により交付されている保管証は、新法第百九条第一項の規定により交付された保管証とみなす。この場合において、当該保管証の新法第百九条第六項に規定する有効期間は、旧法第二十三条の三第一項の規定により当該保管証が交付された日から起算するものとする。
第十四条 新法の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(公職選挙法の一部改正)
第十五条 公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の一部を次のように改正する。
第百四十一条第一項各号列記以外の部分中「道路交通取締法(昭和二十二年法律第百三十号)第二条第五項に規定する諸車をいう。以下同じ。」を「道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第二条第九号に規定する自動車をいう。以下同じ。」に改める。
(道路運送法の一部改正)
第十六条 道路運送法の一部を次のように改正する。
第六十八条第五項中「、道路交通取締法(昭和二十二年法律第百三十号)の規定にかかわらず」を削る。
(道路法の一部改正)
第十七条 道路法の一部を次のように改正する。
第三十二条に、次の二項を加える。
4 第一項又は前項の規定による許可に係る行為が道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第七十七条第一項の規定の適用を受けるものである場合においては、第二項の規定による申請書の提出は、当該地域を管轄する警察署長を経由して行なうことができる。この場合において、当該警察署長は、すみやかに当該申請書を道路管理者に送付しなければならない。
5 道路管理者は、第一項又は第三項の規定による許可を与えようとする場合において、当該許可に係る行為が道路交通法第七十七条第一項の規定の適用を受けるものであるときは、あらかじめ当該地域を管轄する警察署長に協議しなければならない。
(交通事件即決裁判手続法の一部改正等)
第十八条 交通事件即決裁判手続法(昭和二十九年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。
第二条中「道路交通取締法(昭和二十二年法律第百三十号)又はこれに基く命令に違反する罪」を「道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第八章の罪」に改める。
2 旧法又はこれに基づく命令に違反する罪にあたる事件の即決裁判に関する手続については、なお従前の例による。
(道路整備特別措置法の一部改正)
第十九条 道路整備特別措置法(昭和三十一年法律第七号)の一部を次のように改正する。
第十二条第一項本文中「道路交通取締法(昭和二十二年法律第百三十号)第二条第四項に規定する諸車及び同条第七項に規定する無軌条電車」を「道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第二条第八号に規定する車両」に改め、同条同項ただし書中「同法第十条第三項」を「同法第三十九条第一項」に改める。
(駐車場法の一部改正)
第二十条 駐車場法の一部を次のように改正する。
第二条第四号中「道路交通取締法(昭和二十二年法律第百三十号)第二条第五項」を「道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第二条第九号」に改め、「自動二輪車」の下に「側車付きのものを除く。)」を加え、同条第五号中「道路交通取締法第二十一条第一項の規定に基く政令で定める」を「道路交通法第二条第十八号に規定する」に改める。
第六条第一項第一号中「道路交通取締法第十条第三項」を「道路交通法第三十九条第一項」に改める。
内閣総理大臣 岸信介
法務大臣 井野碩哉
運輸大臣 楢橋渡
建設大臣 村上勇