道路交通法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第126号
公布年月日: 昭和42年8月1日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

最情を踏まえ、交通事故防止と道路交通法違反事件の効率的処理を目的とする改正案である。交通事故防止策として、横断歩道における車両規制の強化、大型自動車の運行記録計による記録保存義務化、積載制限違反の罰則強化、大型免許の資格年齢引き上げなどを定める。また、悪質重大事故を起こした者への運転免許効力の仮停止制度を新設する。さらに、軽微な違反に対する交通反則通告制度を導入し、違反者が反則金を納付した場合は刑事訴追を行わないこととする。反則金は国に納付され、交通安全対策特別交付金として地方公共団体に交付される。本制度は1968年7月1日から実施予定である。

参照した発言:
第55回国会 衆議院 本会議 第25号

審議経過

第55回国会

衆議院
(昭和42年6月13日)
(昭和42年6月22日)
参議院
(昭和42年6月23日)
(昭和42年6月27日)
衆議院
(昭和42年6月29日)
(昭和42年6月30日)
(昭和42年7月4日)
(昭和42年7月6日)
(昭和42年7月11日)
(昭和42年7月13日)
参議院
(昭和42年7月13日)
(昭和42年7月18日)
(昭和42年7月19日)
(昭和42年7月20日)
(昭和42年7月21日)
道路交通法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和四十二年八月一日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第百二十六号
道路交通法の一部を改正する法律
第一条 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)の一部を次のように改正する。
目次中「第六節 交差点における通行方法等(第三十四条―第三十八条)」を
第六節
交差点における通行方法等(第三十四条―第三十七条)
第六節の二
横断歩行者の保護のための通行方法(第三十八条・第三十八条の二)
に、「第六十三条の二」を「第六十三条の三」に、「第百十四条」を「第百十四条の二」に改める。
第三章中第三十八条を削り、第六節の次に次の一節を加える。
第六節の二 横断歩行者の保護のための通行方法
(横断歩道における歩行者の優先)
第三十八条 車両等は、歩行者が横断歩道により道路の左側部分(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路)を横断し、又は横断しようとしているときは、当該横断歩道の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。
2 車両等は、交通整理の行なわれていない横断歩道の直前で停止している車両等がある場合において、当該停止している車両等の側方を通過してその前方に出ようとするときは、当該横断歩道の直前で一時停止しなければならない。
3 車両等は、交通整理の行なわれていない横断歩道及びその手前の側端から前に三十メートル以内の道路の部分においては、第三十条第三号の規定に該当する場合のほか、その前方を進行している他の車両等(軽車両を除く。)の側方を通過してその前方に出てはならない。
(罰則 第百十九条第一項第二号の二、第百二十二条)
(横断歩道のない交差点における歩行者の優先)
第三十八条の二 車両等は、交差点又はその直近で横断歩道の設けられていない場所において歩行者が道路を横断しているときは、その歩行者の通行を妨げてはならない。
(罰則 第百十九条第一項第二号の二、第百二十二条)
第四十一条第一項中「並びに第三十四条」を「、第三十四条」に改め、「第四項」の下に「並びに第三十八条第三項」を加える。
第四十一条の二第四項中「第四項まで」の下に「、第三十八条第三項」を加える。
第五十三条の付記中「第九号」を「第八号、同条第二項」に改める。
第五十七条の付記中「第一項については」の下に「第百十九条第一項第三号の二、」を加え、「第十号」を「第十号の二」に改める。
第三章第十二節中第六十三条の二の次に次の一条を加える。
(運行記録計による記録等)
第六十三条の三 自動車の使用者その他自動車の装置の整備について責任を有する者又は運転者は、道路運送車両法第三章又はこれに基づく命令の規定により運行記録計を備えなければならないこととされている自動車で、これらの規定により定められた運行記録計を備えていないか、又は当該運行記録計についての調整がされていないためこれらの規定により定められた事項を記録することができないものを運転させ、又は運転してはならない。
2 前項の運行記録計を備えなければならないこととされている自動車の使用者は、運行記録計により記録された当該自動車に係る記録を、総理府令で定めるところにより一年間保存しなければならない。
(罰則 第百二十一条第一項第九号の二、第百二十三条)
第六十四条中「又は第百三条」を「、第三条」に改め、「第四項」の下に「又は第百三条の二第一項」を加える。
第六十七条中「第八十五条第五項」の下に「若しくは第六項」を加える。
第七十一条中「及び第八十五条第五項」を「並びに第八十五条第五項及び第六項」に改め、第三号を削り、第四号を第三号とし、第五号から第七号までを一号ずつ繰り上げ、同条の付記中「第五号から第七号まで」を「第四号から第六号まで」に、「第二号から第四号まで」を「第二号及び第三号」に改め、「第九号の二」の下に「、第百二十二条」を加える。
第七十四条の二第三項中「第一項、第二項又は第三項」を「第一項から第四項まで」に改める。
第七十五条第三項中「第八十五条第五項」の下に「又は第六項」を加え、「同条同項」を「同条第五項又は第六項」に改め、同条第四項中「前三項」を「前各項」に改め、同項を同条第五項とし、同項の前に次の一項を加える。
4 前条第一項の安全運転管理者その他車両(軽車両を除く。以下この項において同じ。)の運行を直接管理する地位にある者は、当該業務に関し、車両の運転者に第五十七条第一項の規定に違反して積載をして車両を運転することを命じ、又は車両の運転者が同項の規定に違反して積載をして車両を運転することを容認してはならない。
第七十五条の付記中「第百二十三条」の下に「第四項については第百二十条第一項第十一号の五、第百二十三条」を加える。
第七十五条の四第一項中「二」を「二又は三」に改め、同条第二項中「左側の」を「高速通行路の左側端から数えて一番目の」に改め、同条第三項中「右側の」を「その通行している車両通行帯の直近の右側の」に改める。
第八十五条第五項中「二年」を「三年」に改め、同条第六項を同条第七項とし、同項の前に次の一項を加え、同条の付記中「第五項」の下に「及び第六項」を加える。
6 大型免許を受けた者で二十歳に満たないものは、第二項の規定にかかわらず、大型自動車(政令で定めるものを除く。)を運転することはできない。
第八十八条第一項第一号中「(大型自動車に係る仮免許を含む。)」の下に「にあつては二十歳(政令で定める者にあつては、十九歳)に」を加え、同項第六号中「又は同条」を「若しくは同条」に改め、「一年」の下に「(第百三条の二第一項の規定により免許の効力を停止された者が当該事案について免許を取り消された場合にあつては、一年から当該免許の効力が停止されていた期間を除いた期間)」を加え、「又は免許」を「又はこれらの規定若しくは第百三条の二第一項の規定により免許」に改め、同項第七号中「又は」を「若しくは」に改め、「第四項の規定により」の下に「、又は第百七条の五第九項において準用する第百三条の二第一項の規定により」を加える。
第九十六条第四項中「第二項及び」を「第二項、第三項及び」に、「又は第百三条」を「、第百三条」に改め、「第四項」の下に「又は第百三条の二第一項」を加え、同項を同条第五項とし、同条中第三項を第四項とし、第二項を第三項とし、第一項の次に次の一項を加える。
2 大型免許の運転免許試験を受けようとする者(政令で定める者を除く。)は、普通免許、大型特殊免許又は軽免許を現に受けている者に該当し、かつ、当該免許によつて運転することができる自動車の運転の経験の期間が通算して二年以上の者でなければならない。
第百二条に次の一項を加える。
4 前三項に定めるもののほか、第一項の規定による適性検査について必要な事項は、総理府令で定める。
第百三条第三項中「次条」を「第百四条」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(免許の効力の仮停止)
第百三条の二 免許を受けた者が自動車等の運転に関し次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、その者が当該交通事故を起こした場所を管轄する警察署長は、その者に対し、当該交通事故を起こした日から起算して二十日を経過する日を終期とする免許の効力の停止(以下この条において「仮停止」という。)をすることができる。
一 交通事故を起こして人を死亡させ、又は傷つけた場合において、第百十七条の違反行為をしたとき。
二 第百十七条の二第一号の違反行為をし、よつて交通事故を起こして人を死亡させ、又は傷つけたとき。
三 第百十八条第一項第一号から第三号まで若しくは第五号又は第百十九条第一項第一号から第二号の二まで、第三号の二、第五号、第九号の二若しくは第十五号の違反行為をし、よつて交通事故を起こして人を死亡させたとき。
2 警察署長は、仮停止をしたときは、当該処分をした日から起算して五日以内に、当該処分を受けた者に対し弁明の機会を与えなければならない。
3 仮停止を受けた者は、免許証を当該処分をした警察署長に提出しなければならない。
4 仮停止をした警察署長は、すみやかに、当該処分を受けた者が第一項各号のいずれかに該当することとなつた時におけるその者の住所地を管轄する公安委員会に対し、総理府令で定める仮停止通知書及び前項の規定により提出を受けた免許証を送付しなければならない。
5 前項の仮停止通知書及び免許証の送付を受けた公安委員会は、当該免許証に当該仮停止に係る事項を記載しなければならない。
6 第四項の仮停止通知書及び免許証の送付を受けた公安委員会は、当該事案について前条第三項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定により処分移送通知書を送付するときは、あわせて当該送付を受けた仮停止通知書及び免許証を送付しなければならない。
7 仮停止は、第四項又は前項の規定により仮停止通知書及び免許証の送付を受けた公安委員会が当該仮停止の期間内に当該事案について前条第二項又は第四項の規定による処分をしたときは、その効力を失う。
8 仮停止を受けた者が当該事案について前条第二項又は第四項の規定により免許の効力の停止を受けたときは、仮停止をされていた期間は、当該免許の効力の停止の期間に通算する。
(罰則 第三項については第百二十一条第一項第九号)
第百四条第一項中「前条」を「第百三条」に改め、同条第五項を同条第六項とし、同条第四項中「前条」を「第百三条」に改め、同項を同条第五項とし、同条第三項の次に次の一項を加える。
4 公安委員会は、そのあらかじめ指定した医師の診断に基づき、第八十八条第一項第二号、第三号又は第四号のいずれかに該当することを認定した者については、第一項の規定にかかわらず、聴聞を行なわないで第百三条第一項又は第四項の規定により免許を取り消すことができる。
第百六条中「したとき、」の下に「警察署長が第百三条の二第一項の規定による処分をしたとき、」を加える。
第百七条第二項中「受けた者は、」の下に「第九十条第三項又は第百三条第二項若しくは第四項の規定により」を加え、同条第三項中「公安委員会」の下に「又は第百三条の二第四項若しくは第六項の規定により免許証の送付を受けた公安委員会」を加える。
第百七条の二中「又は同条」を「若しくは同条」に改め、「第四項の規定により」の下に「、又は第百七条の五第九項において準用する第百三条の二第一項の規定により」を加える。
第百七条の四に次の一項を加える。
4 前三項に定めるもののほか、第一項の規定による適性検査について必要な事項は、総理府令で定める。
第百七条の五第三項中「第四項中」の下に「「第百三条第一項又は第四項の規定により免許を取り消す」とあり、又は同条第五項中」を加え、「前条」を「第百三条」に改め、同条第五項中「公安委員会」の下に「又は第九項において準用する第百三条の二第四項若しくは第六項の規定により国際運転免許証の送付を受けた公安委員会」を加え、同条第六項中「又は」を「若しくは」に改め、「第四項の規定により」の下に「、又は第九項において準用する第百三条の二第一項の規定により」を加え、同条に次の一項を加える。
9 第百三条の二の規定は、国際運転免許証を所持する者が自動車等の運転に関し同条第一項各号のいずれかに該当することとなつた場合について準用する。この場合において、同条中「免許の効力の停止」とあるのは「自動車等の運転の禁止」と、「仮停止」とあるのは「仮禁止」と、「免許証」とあるのは「国際運転免許証」と、「仮停止通知書」とあるのは「仮禁止通知書」と、同条第五項中「記載」とあるのは「総理府令で定めるところにより記載」と、同条第六項中「前条第三項」とあるのは「第百七条の五第八項において準用する前条第三項」と、同条第七項及び第八項中「前条第二項又は第四項の規定」とあるのは「第百七条の五第一項の規定又は同条第八項において準用する前条第四項の規定」と読み替えるものとする。
第百七条の五の付記中「及び第六項」を、「第六項及び第九項」に改める。
第百七条の六中「又は」を「若しくは」に改め、「したとき」の下に「、又は警察署長が前条第九項において準用する第百三条の二第一項の規定により自動車等の運転を禁止したとき」を加える。
第百七条の七第一項中「又は第百三条」を「、第百三条」に改め、「第四項」の下に「又は第百三条の二第一項」を加える。
第七章中第百十四条の次に次の一条を加える。
(公安委員会の事務の委任)
第百十四条の二 公安委員会は、免許の保留及び免許の効力の停止に関する事務(これらの処分の際の弁明の機会の供与及び聴聞に関する事務を含む。)を警視総監又は道府県警察本部長に行なわせることができる。
2 方面公安委員会は、前条の規定により道公安委員会から委任された事務のうち、前項の事務を方面本部長に行なわせることができる。
第百十八条第一項第一号中「第四項の規定により」の下に「、若しくは第百七条の五第九項において準用する第百三条の二第一項の規定により」を加え、同項第五号中「第五項」の下に「又は第六項」を加える。
第百十九条第一項第二号の二中「(歩行者の保護)」を「(横断歩道における歩行者の優先)、第三十八条の二(横断歩道のない交差点における歩行者の優先)」に改め、同項第三号の次に次の一号を加える。
三の二 第五十七条(乗車又は積載の制限等)第一項の規定に違反して積載をして車両を運転した者
第百十九条第一項第九号の二中「、第三号又は第四号」を「又は第三号」に改める。
第百二十条第一項第八号中「第二項」の下に「、第五十三条(合図)第一項」を加え、同項第九号中「第五十三条(合図)第一項、」を削り、「第五号、第六号若しくは第七号」を「第四号、第五号若しくは第六号」に改め、同項第十号中「、第五十七条(乗車又は積載の制限等)第一項」を削り、同号の次に次の一号を加える。
十の二 第五十七条(乗車又は積載の制限等)第一項の規定に違反した者(前条第一項第三号の二に該当する者を除く。)
第百二十条第一項第十一号の四の次に次の一号を加える。
十一の五 第七十五条(車両等の運行を管理する者の義務)第四項の規定に違反した者
第百二十一条第一項第九号中「第一項、」の下に「第百三条の二(免許の効力の仮停止)第三項(第百七条の五(自動車等の運転禁止等)第九項において準用する場合を含む。)、」を加え、同項第九号の二中「第七十四条の二」の上に「第六十三条の三(運行記録計による記録等)又は」を加える。
第百二十二条第一項中「第五号、第九号」を「第三号の二、第五号、第九号、第九号の二」に改め、「第十号」の下に「、第十号の二」を加え、「第二号の二、第五号若しくは第九号」を「第五号若しくは第九号」に改める。
第百二十三条中「第五号」を「第三号の二、第五号」に改め、「第十号」の下に「、第十号の二」を、「第十一号の四」の下に「、第十一号の五」を加える。
第二条 道路交通法の一部を次のように改正する。
目次中「第八章 罰則(第百十五条―第百二十四条)」を
第八章
罰則(第百十五条―第百二十四条)
第九章
反則行為に関する処理手続の特例
第一節
通則(第百二十五条)
第二節
告知及び通告(第百二十六条・第百二十七条)
第三節
反則金の納付及び仮納付(第百二十八条・第百二十九条)
第四節
反則者に係る刑事事件(第百三十条)
第五節
雑則(第百三十一条・第百三十二条)
に改める。
本則に次の一章を加える。
第九章 反則行為に関する処理手続の特例
第一節 通則
(通則)
第百二十五条 この章において「反則行為」とは、前章の罪にあたる行為のうち別表の上欄に掲げるものであつて、車両等(軽車両を除く。次項において同じ。)の運転者がしたものをいい、その種別は、政令で定める。
2 この章において「反則者」とは、反則行為をした者であつて、次の各号のいずれかに該当する者以外のものをいう。
一 当該反則行為に係る車両等に関し法令の規定による運転の免許を受けていない者(法令の規定により当該免許の効力が停止されている者を含み、第百七条の二の規定により国際運転免許証で当該車両等を運転することができることとされている者を除く。)又は第八十五条第五項若しくは第六項の規定により当該反則行為に係る大型自動車を運転することができないこととされている者
二 過去一年以内に、第百三条第二項第二号又は第百七条の五第一項第二号に該当することを理由として、第百三条第二項若しくは第四項の規定による免許の効力の停止又は第百七条の五第一項の規定若しくは同条第八項において準用する第百三条第四項の規定による自動車等の運転の禁止を受けたことがある者
三 当該反則行為をした場合において酒気を帯びていた者(当該反則行為に係る罪が第百二十二条第一項に規定する罪である場合に限る。)
四 当該反則行為をし、よつて交通事故を起こした者
3 この章において「反則金」とは、反則者がこの章の規定の適用を受けようとする場合に国に納付すべき金銭をいい、その額は、別表に定める金額をこえない範囲内において、反則行為の種別に応じ政令で定める。
第二節 告知及び通告
(告知)
第百二十六条 警察官は、反則者(二十歳に満たない者を除く。以下この章において同じ。)があると認めるときは、次の各号に掲げる場合を除き、その者に対し、すみやかに反則行為となるべき事実の要旨及び当該反則行為が属する反則行為の種別並びにその者が次条第一項前段の規定による通告を受けるための出頭の期日及び場所を書面で告知するものとする。ただし、出頭の期日及び場所の告知は、その必要がないと認めるときは、この限りでない。
一 その者の居所又は氏名が明らかでないとき。
二 その者が逃亡するおそれがあるとき。
2 前項の書面には、この章に定める手続を理解させるため必要な事項を記載するものとする。
3 警察官は、第一項の規定による告知をしたときは、当該告知に係る反則行為が行なわれた地を管轄する都道府県警察の警視総監又は道府県警察本部長(以下「警察本部長」という。)にすみやかにその旨を報告しなければならない。ただし、警察法(昭和二十九年法律第百六十二号)第六十条の二又は第六十六条第二項の規定に基づいて、当該警察官の所属する都道府県警察の管轄区域以外の区域において反則行為をしたと認めた者に対し告知をしたときは、当該警察官の所属する都道府県警察の警察本部長に報告しなければならない。
(通告)
第百二十七条 警察本部長は、前条第三項の報告を受けた場合において、当該報告に係る告知を受けた者が当該告知に係る種別に属する反則行為をした反則者であると認めるときは、その者に対し、理由を明示して当該反則行為が属する種別に係る反則金の納付を書面で通告するものとする。この場合においては、その者が当該告知に係る出頭の期日及び場所に出頭した場合並びにその者が第百二十九条第一項の規定による仮納付をしている場合を除き、当該通告書の送付に要する費用の納付をあわせて通告するものとする。
2 警察本部長は、前条第三項の報告を受けた場合において、当該報告に係る告知を受けた者が当該告知に係る種別に属する反則行為をした反則者でないと認めるときは、その者に対し、すみやかに理由を明示してその旨を書面で通知するものとする。この場合において、その者が当該告知に係る種別以外の種別に属する反則行為をした反則者であると認めるときは、その者に対し、理由を明示して当該反則行為が属する種別に係る反則金の納付を書面で通告するものとする。
3 第一項の規定による通告は、第百二十九条第一項に規定する期間を経過した日以後において、すみやかに行なうものとする。
第三節 反則金の納付及び仮納付
(反則金の納付)
第百二十八条 前条第一項又は第二項後段の規定による通告に係る反則金(同条第一項後段の規定により通告を受けた者にあつては、反則金及び通告書の送付に要する費用。以下この条において同じ。)の納付は、当該通告を受けた日の翌日から起算して十日以内(政令で定めるやむを得ない理由のため当該期間内に反則金を納付することができなかつた者にあつては、当該事情がやんだ日の翌日から起算して十日以内)に、政令で定めるところにより、国に対してしなければならない。
2 前項の規定による反則金を納付した者は、当該通告の理由となつた行為に係る事件について、公訴を提起されない。
(仮納付)
第百二十九条 第百二十六条第一項の規定による告知を受けた者は、当該告知を受けた日の翌日から起算して七日以内に、当該告知された反則行為の種別に係る反則金に相当する金額を政令で定めるところにより仮に納付することができる。ただし、第百二十七条第二項前段の規定による通知を受けた後は、この限りでない。
2 第百二十七条第一項前段の規定による通告は、前項の規定による仮納付をした者については、政令で定めるところにより公示して行なうことができる。
3 第一項の規定による仮納付をした者について当該告知に係る第百二十七条第一項前段の規定による通告があつたときは、当該仮納付をした者は、前条第一項の規定により当該通告に係る反則金を納付した者とみなし、当該反則金に相当する金額の仮納付は、同項の規定による反則金の納付とみなす。
4 警察本部長は、第一項の規定による仮納付をした者に対し、第百二十七条第二項前段の規定による通知をしたときは、当該仮納付に係る金額をすみやかにその者に返還しなければならない。
第四節 反則者に係る刑事事件
(反則者に係る刑事事件)
第百三十条 反則者は、当該反則行為についてその者が第百二十七条第一項又は第二項後段の規定により当該反則行為が属する種別に係る反則金の納付の通告を受け、かつ、第百二十八条第一項に規定する期間が経過した後でなければ、当該反則行為に係る事件について、公訴を提起されない。ただし、次の各号に掲げる場合においては、この限りでない。
一 第百二十六条第一項各号のいずれかに掲げる場合に該当するため、同項の規定による告知をしなかつたとき。
二 その者が書面の受領を拒んだため、又はその者の居所が明らかでないため、第百二十六条第一項の規定による告知又は第百二十七条第一項若しくは第二項後段の規定による通告をすることができなかつたとき。
第五節 雑則
(方面本部長への権限の委任)
第百三十一条 この章の規定により道警察本部長の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、方面本部長に行なわせることができる。
(政令への委任)
第百三十二条 この章に定めるもののほか、第百二十六条第一項又は第百二十七条第一項若しくは第二項に規定する書面の記載事項その他この章の規定の実施に関し必要な事項は、政令で定める。
附則の次に次の別表を加える。
別表
反則行為の区分
反則行為に係る車両等の種類
反則金の限度額
第百十八条第一項第三号又は第二項の罪にあたる行為(法令で定める最高速度又は第二十二条第二項若しくは第二十三条の規定に基づき公安委員会が定める最高速度を二十五キロメートル毎時以上こえる速度で運転する行為を除く。)
大型自動車、大型特殊自動車、トロリーバス及び路面電車(以下「大型自動車等」という。)
一万五千円
普通自動車、自動二輪車及び軽自動車(以下「普通自動車等」という。)
一万円
小型特殊自動車及び原動機付自転車(以下「小型特殊自動車等」という。)
七千円
 第百十九条第一項第一号(第七条第三項に係る部分を除く。)、第二号、第二号の二、第三号の二、第五号、第九号、第九号の二若しくは第十五号又は第二項(第七条第三項に係る部分を除く。)の罪にあたる行為
大型自動車等
一万円
普通自動車等
八千円
小型特殊自動車等
五千円
第百二十条第一項第二号から第八号まで、第九号(第七十一条第一号、第四号、第五号又は第六号に係る部分に限る。)、第十号から第十一号まで、第十二号若しくは第十四号又は第二項の罪にあたる行為
大型自動車等
五千円
普通自動車等
四千円
小型特殊自動車等
三千円
第百二十一条第一項第五号から第八号まで、第九号の二若しくは第十号又は第二項の罪にあたる行為
大型自動車等
四千円
普通自動車等
三千円
小型特殊自動車等
二千円
備考 反則金の限度額は、この表の上欄に掲げる反則行為の区分及びこの表の中欄に掲げる反則行為に係る車両等の種類に応じ、この表の下欄に掲げる金額とする。
第三条 道路交通法の一部を次のように改正する。
第九十六条第二項中「、大型特殊免許又は軽免許」を「又は大型特殊免許」に改める。
別表中「、自動二輪車及び軽自動車」を「及び自動二輪車」に改める。
附 則
1 この法律の規定は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に掲げる日から施行する。
一 第一条の規定中道路交通法目次の改正規定(「第百十四条」を改める部分に限る。)、同法第七十五条の四の改正規定及び同法第百十四条の次に一条を加える改正規定 この法律の公布の日
二 第一条の規定(前号に掲げる改正規定を除く。次項から附則第五項までにおいて同じ。)及び次項から附則第五項までの規定 この法律の公布の日から起算して三月を経過した日
三 第二条並びに附則第六項から第十一項まで、第十三項及び第十四項の規定 昭和四十三年七月一日
四 第三条及び附則第十二項の規定 道路交通法の一部を改正する法律(昭和四十年法律第九十六号)第二条の規定の施行の日(昭和四十三年九月一日)
2 第一条の規定の施行の際現に大型自動車免許(以下「大型免許」という。)を受けている者で、大型免許、普通自動車免許又は大型特殊自動車免許によつて運転することができる自動車の運転の経験の期間が通算して二年に達しているものは、同条の規定による改正後の道路交通法(以下「新法」という。)第八十五条第五項の規定の適用については、これらの自動車の運転の経験の期間が通算して三年に達しているものとみなす。
3 第一条の規定の施行の際現に大型免許を受けている者及び大型免許の運転免許試験に合格して大型免許を受けていない者に係る大型自動車の運転及び大型免許については、新法第八十五条第六項及び第八十八条第一項第一号の規定にかかわらず、なお従前の例による。
4 新法第百三条の二第一項の規定は、第一条の規定の施行前に交通事故を起こした者で当該交通事故に関し同項各号のいずれかに該当することとなつたものについては、適用しない。
5 第一条の規定の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
6 第二条の規定による改正後の道路交通法第九章及び別表の規定は、同条の規定の施行前にした行為については、適用しない。
7 国は、当分の間、交通安全対策の一環として、第百二十八条第一項の規定により納付された反則金に係る収入額に相当する金額を、毎年度、政令で定める道路交通安全施設(国が設置するもの及び国の補助を受けて設置するものを除く。)の設置に要する費用に充てさせるため、交通安全対策特別交付金(以下「交付金」という。)として、交通事故の発生件数、人口の集中度等を考慮して政令で定めるところにより、都道府県及び市町村(特別区を含む。以下同じ。)に交付するものとする。
8 前項の規定により交付すべき交付金の毎年度分の総額は、当該年度における反則金に係る収入見込額に当該年度の前年度以前の年度において交付すべきであつた交付金の額でまだ交付していないものを加算し、又は当該収入見込額から当該前年度以前の年度において交付すべきであつた交付金の額をこえて交付した額を控除した額とする。
9 国は、都道府県又は市町村が、交付を受けた交付金を附則第七項に規定する道路交通安全施設の設置に要する費用に充てなかつたときは、政令で定めるところにより、その充てなかつた部分に相当する金額の返還を命ずることができる。この場合において、その返還された金額は、当該返還された年度の翌年度又は翌翌年度において、同項の規定により交付すべき交付金の当該年度の総額に加算する。
10 国は、交付金の用途及び道路交通安全施設の設置の状況等に関し、必要があると認めるときは、都道府県及び市町村から報告を徴することができる。
11 前四項の規定による交付金に関する事務は、自治大臣が行なう。
12 第三条の規定の施行前にした軽自動車に係る反則行為は、同条の規定による改正後の道路交通法第九章及び別表の規定の適用については、普通自動車に係る反則行為とみなす。
13 自動車の保管場所の確保等に関する法律(昭和三十七年法律第百四十五号)の一部を次のように改正する。
本則に次の一条を加える。
(反則行為に関する処理手続の特例の適用)
第十一条 道路交通法第九章及び別表の規定の適用については、第八条第二項第三号若しくは第四号又は同条第三項の罪にあたる行為は、同法第八章の罪にあたる行為のうち同法別表の上欄の同法第百二十条の罪にあたる行為の項に掲げるものとみなす。
14 自治省設置法(昭和二十七年法律第二百六十一号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項第二十八号の次に次の一号を加える。
二十八の二 道路交通法の一部を改正する法律(昭和四十二年法律第百二十六号)附則第七項の規定による交通安全対策特別交付金の額を決定し、及びこれを交付すること。
第十二条第十六号の次に次の一号を加える。
十六の二 交通安全対策特別交付金の交付に関すること。
第十七条第四号の四の次に次の一号を加える。
四の五 都道府県及び市町村(特別区を含む。)に交付すべき交通安全対策特別交付金の額の決定及び返還に関すること。
内閣総理大臣 佐藤栄作
法務大臣 田中伊三次
大蔵大臣 水田三喜男
自治大臣 藤枝泉介