道路運送法
法令番号: 法律第百八十三号
公布年月日: 昭和26年6月1日
法令の形式: 法律
道路運送法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十六年六月一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百八十三号
道路運送法
目次
第一章
総則(第一條・第二條)
第二章
自動車運送事業(第三條―第四十六條)
第三章
自動車道及び自動車道事業(第四十七條―第七十五條)
第四章
国営自動車運送事業及び国営自動車道事業(第七十六條―第七十九條)
第五章
自動車運送取扱事業(第八十條―第九十五條)
第六章
軽車両運送事業(第九十六條―第九十八條)
第七章
自家用自動車の使用(第九十九條―第百二條)
第八章
道路運送審議会(第百三條―第百十九條)
第九章
雑則(第百二十條―第百二十七條)
第十章
罰則(第百二十八條―第百三十八條)
附則
第一章 総則
(目的)
第一條 この法律は、道路運送事業の適正な運営及び公正な競争を確保するとともに、道路運送に関する秩序を確立することにより、道路運送の総合的な発達を図り、もつて公共の福祉を増進することを目的とする。
(定義)
第二條 この法律で「道路運送事業」とは、自動車運送事業、自動車道事業、自動車運送取扱事業及び軽車両運送事業をいう。
2 この法律で「自動車運送事業」とは、他人の需要に応じ、自動車を使用して有償で旅客又は貨物を運送する事業をいう。
3 この法律で「自動車道事業」とは、一般自動車道をもつぱら自動車の交通の用に供する事業をいう。
4 この法律で「自動車運送取扱事業」とは、他人の需要に応じ、有償で左に掲げる行為を行う事業をいう。
一 自己の名をもつてする自動車運送事業者(自動車運送事業を経営する者をいう。以下同じ。)による貨物運送の取次又は運送貨物の自動車運送事業者からの受取
二 他人の名をもつてする自動車運送事業者への貨物の運送の委託又は運送貨物の自動車運送事業者からの受取
三 自動車運送事業者の行う運送を利用してする貨物の運送
5 この法律で「軽車両運送事業」とは、他人の需要に応じ、軽車両を使用して有償で旅客又は貨物を運送する事業をいう。
6 この法律で「自動車」とは、道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)による自動車をいい、「軽車両」とは、同法による原動機付自転車及び軽車両をいう。
7 この法律で「道路」とは、道路法(大正八年法律第五十八号)による道路及びその他の一般交通の用に供する場所並びに自動車道をいう。
8 この法律で「自動車道」とは、もつぱら自動車の交通の用に供することを目的として設けられた道をいい、「一般自動車道」とは、專用自動車道以外の自動車道をいい、「專用自動車道」とは、自動車運送事業者がもつぱらその事業用自動車(自動車運送事業者がその自動車運送事業の用に供する自動車をいう。以下同じ。)の交通の用に供することを目的として設けた道をいう。
第二章 自動車運送事業
(種類)
第三條 自動車運送事業は、一般自動車運送事業及び特定自動車運送事業とする。
2 一般自動車運送事業(特定自動車運送事業以外の自動車運送事業)の種類は、左に掲げるものとする。
一 一般乗合旅客自動車運送事業(旅客を運送する一般自動車運送事業であつて、第二号及び第三号の自動車運送事業以外のもの)
二 一般貸切旅客自動車運送事業(一個の契約により乗車定員十一人以上の自動車を貸し切つて旅客を運送する一般自動車運送事業)
三 一般乗用旅客自動車運送事業(一個の契約により乗車定員十人以下の自動車を貸し切つて旅客を運送する一般自動車運送事業)
四 一般路線貨物自動車運送事業(一定の路線により自動車を使用して貨物を運送する一般自動車運送事業であつて、第六号の自動車運送事業以外のもの)
五 一般区域貨物自動車運送事業(一定の事業区域内において、路線を定めないで、自動車を使用して貨物を運送する一般自動車運送事業であつて、次号の自動車運送事業以外のもの)
六 一般小型貨物自動車運送事業(最大積載量一トン以下の自動車のみを使用して貨物を運送する一般自動車運送事業)
3 特定自動車運送事業(特定の者の需要に応じ、一定の範囲の旅客又は貨物を運送する自動車運送事業)の種類は、左に掲げるものとする。
一 特定旅客自動車運送事業(一定の範囲の旅客を運送する特定自動車運送事業)
二 特定貨物自動車運送事業(一定の範囲の貨物を運送する特定自動車運送事業)
(免許)
第四條 自動車運送事業を経営しようとする者は、運輸大臣の免許を受けなければならない。
2 自動車運送事業の免許は、路線又は事業区域並びに前條第二項各号及び第三項各号に掲げる自動車運送事業の種類について行う。
3 自動車運送事業の免許は、運送の需要者、運送する旅客又は貨物その他業務の範囲を限定して行うことができる。
4 一時的な需要のための自動車運送事業の免許は、期間を限定して行うことができる。
(免許申請)
第五條 自動車運送事業の免許を受けようとする者は、左に掲げる事項を記載した申請書を運輸大臣に提出しなければならない。
一 経営しようとする自動車運送事業の種類
二 予定する路線又は事業区域
三 自動車運送事業の種類ごとに運輸省令で定める事業計画
四 当該事業の経営が運輸上必要である理由
2 左の各号の一に該当する者は、申請書に前項に掲げる事項の外、当該各号に掲げる事項をあわせて記載しなければならない。
一 特定自動車運送事業の免許を受けようとする者にあつては、運送の需要者の氏名又は名称及び住所並びに運送しようとする旅客又は貨物の範囲
二 前條第三項の規定により業務の範囲を限定する免許を受けようとする者にあつては、運送の需要者、運送しようとする旅客又は貨物その他業務の範囲
三 前條第四項の規定により期間を限定する免許を受けようとする者にあつては、その期間
3 申請書には、事業の施設、事業收支見積その他運輸省令で定める事項を記載した書類を添附しなければならない。
4 運輸大臣は、申請者に対し、前三項に規定するものの外、商業登記簿の謄本その他必要な書類の提出を求めることができる。
(免許基準)
第六條 運輸大臣は、前條に規定する申請書を受理したときは、その申請が左の各号に適合するかどうかを審査しなければならない。
一 当該事業の開始が輸送需要に対し適切なものであること。
二 当該事業の開始が公衆の利便を増進するものであること。
三 当該事業の開始によつて当該路線又は事業区域における供給輸送力が輸送需要量に対し著しく不均衡とならないものであること。
四 当該事業を適確に遂行するに足る能力を有するものであること。
五 当該事業に使用する輸送施設が当該路線又は事業区域における輸送需要の性質に適応するものであること。
2 運輸大臣は、前項の規定により審査した結果、その申請が同項の基準に適合していると認めたときは、左の場合を除いて、自動車運送事業の免許をしなければならない。
一 免許を受けようとする者が一年以上の懲役又は禁この刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過していない者であるとき。
二 免許を受けようとする者が自動車運送事業の免許の取消を受け、取消の日から二年を経過していない者であるとき。
三 免許を受けようとする者が営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者又は禁治産者である場合において、その法定代理人が前二号の一に該当する者であるとき。
四 免許を受けようとする者が法人である場合において、その法人の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。以下同じ。)が前三号の一に該当する者であるとき。
(運輸開始)
第七條 自動車運送事業の免許を受けた者は、運輸大臣の指定する期日又は期間内に、運輸を開始しなければならない。
2 天災その他やむを得ない事由により、前項の期日又は期間内に運輸を開始することができないときは、運輸大臣は、申請により、期日を延期し、又は期間を伸長することができる。
(運賃及び料金の認可)
第八條 自動車運送事業者は、旅客又は貨物の運賃その他運輸に関する料金を定め、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。
2 運輸大臣は、前項の認可をしようとするときは、左の基準によつて、これをしなければならない。
一 能率的な経営の下における適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むものであること。
二 特定の旅客又は荷主に対し不当な差別的取扱をするものでないこと。
三 旅客又は貨物の運賃及び料金を負担する能力にかんがみ、旅客又は荷主が当該事業を利用することを困難にするおそれがないものであること。
四 他の自動車運送事業者との間に不当な競争をひきおこすこととなるおそれがないものであること。
3 第一項の運賃及び料金は、定額をもつて明確に定められなければならない。
(運賃又は料金の割戻の禁止)
第九條 自動車運送事業者は、旅客又は荷主に対し、收受した運賃又は料金の割戻をしてはならない。
(運賃及び料金の收受)
第十條 第三條第二項第四号から第六号まで及び同條第三項第二号の自動車運送事業を経営する者(以下「貨物自動車運送事業者」という。)は、運送貨物を荷受人に引き渡すまでに、当該貨物運送に対する運賃及び料金を收受しなければならない。
2 貨物自動車運送事業者は、荷主の経理上の手続その他やむを得ない事由がある場合は、前項の規定にかかわらず、運賃及び料金を收受しないで運送貨物を荷受人に引き渡してもよい。この場合においては、貨物自動車運送事業者は、運輸省令で定める期間内に、その運賃及び料金を收受しなければならない。但し、天災その他やむを得ない事由がある場合は、この限りでない。
(運賃及び料金の收受の猶予)
第十一條 貨物自動車運送事業者が、特定の者の需要に応じ反覆的に行う運送に対する運賃及び料金の收受の猶予期間を定め、運輸大臣の許可を受けた場合は、前條第一項の規定にかかわらず、運賃及び料金を收受しないで運送貨物を荷受人に引き渡してもよい。この場合においては、貨物自動車運送事業者は、猶予期間内に、その運賃及び料金を收受しなければならない。但し、天災その他やむを得ない事由がある場合は、この限りでない。
2 運輸大臣は、前項の許可をしようとするときは、左の基準によつて、これをしなければならない。
一 運送の都度運賃及び料金を收受することが著しく煩雑であること。
二 特定の荷主に対し不当な差別的取扱をするものでないこと。
三 他の貨物自動車運送事業者との間に不当な競争をひきおこすこととなるおそれがないものであること。
(運送約款)
第十二條 自動車運送事業者は、運送約款を定め、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。
2 運輸大臣は、前項の認可をしようとするときは、左の基準によつて、これをしなければならない。
一 公衆の正当な利益を害するおそれがないものであること。
二 少くとも運賃及び料金の收受並びに自動車運送事業者の責任に関する事項が明確に定められているものであること。
(運賃及び料金等の掲示)
第十三條 自動車運送事業者は、運賃及び料金並びに運送約款を営業所その他の事業所において公衆に見易いように掲示しなければならない。
2 一般乗合旅客自動車運送事業を経営する者(以下「一般乗合旅客自動車運送事業者」という。)は、前項に掲げるものの外、運輸省令で定めるところにより、運行系統、運行回数その他の事項を営業所その他の場所において公衆に見易いように掲示しなければならない。
3 自動車運送事業者は、前二項の規定により掲示した事項を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を営業所その他の場所において公衆に見易いように掲示しなければならない。
(貨物の種類及び性質の確認)
第十四條 自動車運送事業者は、貨物運送の申込があつたときは、その貨物の種類及び性質を明告することを申込者に求めることができる。
2 自動車運送事業者は、前項の場合において、貨物の種類及び性質につき申込者が告げたことに疑があるときは、申込者の同意を得て、その立会の上で、これを点検することができる。
3 自動車運送事業者は、前項の規定により点検をした場合において、貨物の種類及び性質が申込者の明告したところと異ならないときは、これがため生じた損害の賠償をしなければならない。
4 自動車運送事業者が第二項の規定により点検をした場合において、貨物の種類及び性質が申込者の明告と異なるときは、申込者は、点検に要した費用を負担しなければならない。
(運送引受義務)
第十五條 自動車運送事業者は、左の場合を除いては、運送の引受を拒絶してはならない。
一 当該運送の申込が第十二條の規定により認可を受けた運送約款によらないものであるとき。
二 申込者が前條第一項の規定による明告をせず、又は同條第二項の規定による点検の同意を與えないとき。
三 当該運送に適する設備がないとき。
四 当該運送に関し申込者から特別の負担を求められたとき。
五 当該運送が法令の規定又は公の秩序若しくは善良の風俗に反するものであるとき。
六 天災その他やむを得ない事由による運送上の支障があるとき。
七 前各号に掲げる場合の外、運輸省令で定める正当な事由があるとき。
(運送の順序)
第十六條 自動車運送事業者は、運送の申込を受けた順序により、旅客又は貨物の運送をしなければならない。但し、急病人又は腐敗し易い貨物を運送する場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。
(引渡不能の貨物の寄託)
第十七條 貨物自動車運送事業者は、その責に帰すべからざる事由により貨物の引渡をすることができないときは、荷主の費用をもつて、これを倉庫営業者に寄託することができる。
2 貨物自動車運送事業者は、前項の規定により貨物を寄託したときは、遅滯なくその旨を荷主に通知しなければならない。
3 貨物自動車運送事業者は、第一項の規定により貨物を寄託した場合において倉庫証券を作らせたときは、その証券の交付をもつて貨物の引渡に代えることができる。
(事業計画の変更)
第十八條 自動車運送事業者は、事業計画を変更しようとするときは、運輸大臣の認可を受けなければならない。但し、営業所の名称その他運輸省令で定める軽微な事項に係る変更については、この限りでない。
2 運輸大臣は、前項の認可をしようとするときは、左の基準によつて、これをしなければならない。
一 事業計画の変更によつて公衆の利便を害することとなるおそれがないものであること。
二 事業計画の変更によつて当該路線又は事業区域における供給輸送力が輸送需要量に対し著しく不均衡となるおそれがないものであること。
3 自動車運送事業者は、第一項但書の事項について事業計画を変更したときは、遅滯なくその旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(事業計画に定める業務の確保)
第十九條 自動車運送事業者は、天災その他やむを得ない事由がある場合の外、事業計画に定めるところに従い、その業務を行わなければならない。
2 運輸大臣は、自動車運送事業者が前項の規定に違反していると認めるときは、当該自動車運送事業者に対し、事業計画に従い業務を行うべきことを命ずることができる。
(運輸に関する協定)
第二十條 自動車運送事業者は、他の運送事業者又は通運事業者と設備の共用、連絡運輸又は共同経営に関する契約その他運輸に関する協定をしようとするときは、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。
2 運輸大臣は、当該契約又は協定が公衆の利便を増進するものであるときは、前項の認可をしなければならない。
(私的独占禁止法の適用除外)
第二十一條 前條の認可を受けて行う正当な行為及び第三十三條第一項(他の運送事業者又は通運事業者との設備の共用、連絡運輸、共同経営及び運輸に関する協定に関する部分に限る。)の規定による命令によつて行う正当な行為には、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の規定は、適用しない。
(郵便物等の運送)
第二十二條 一般乗合旅客自動車運送事業者は、旅客の運送に附随して、少量の郵便物、新聞紙その他の貨物を運送することができる。
(路線により運送する貨物の集貨及び配達)
第二十三條 一般路線貨物自動車運送事業を経営する者は、運輸大臣が事業区域を指定したときは、第四條の規定にかかわらず、その事業区域内においてその者が路線により運送する貨物を自動車を使用して集貨し、及び配達することができる。
(事業区域外の運送)
第二十四條 事業区域を定める自動車運送事業を経営する者は、その事業区域内と事業区域外とを通ずる区間において運送する場合には、その都度運輸大臣の許可を受けなければならない。
2 運輸大臣は、前項の許可をしようとするときは、当該運送が旅客又は荷主の利便を確保するために必要であり、且つ、当該区間において免許を有する自動車運送事業者によることが困難かどうかを審査しなければならない。
(事故の報告)
第二十五條 自動車運送事業者は、その事業用自動車が転覆し、火災を起し、その他運輸省令で定める重大な事故をひき起したときは、遅滯なく事故の種類、原因その他運輸省令で定める事項を運輸大臣に届け出なければならない。
(従業員)
第二十六條 一般乗合旅客自動車運送事業者又は一般貸切旅客自動車運送事業を経営する者は、自動車の運転者、車掌その他旅客又は公衆に接する従業員に制服を着用させ、又はその他の方法によりその者が従業員であることを表示させなければ、その者をその職務に従事させてはならない。
2 前項に規定するものの外、同項の従業員の服務規律は、運輸省令で定める。
(運転者)
第二十七條 第三條第二項第一号から第三号までの自動車運送事業を経営する者の事業用自動車の運転は、年齢、運転の経歴その他政令で定める一定の要件を備える者でなければ、これをしてはならない。但し、当該運転が旅客の運送を目的としない場合は、この限りでない。
(小児の無賃運送)
第二十八條 一般乗合旅客自動車運送事業者は、旅客の同伴する六歳未満の小児については、旅客一人につき少くとも一人まで無賃で運送しなければならない。
(旅客の禁止行為)
第二十九條 一般乗合旅客自動車運送事業者の事業用自動車を利用する旅客は、他の旅客に危害を及ぼすおそれがある物品若しくは他の旅客の迷惑となるおそれがある物品であつて運輸省令で定めるものを自動車内に持ち込み、又は走行中の自動車内でみだりに自動車の運転者に話しかけ、その他運輸省令で定める行為をしてはならない。
2 前項の旅客は、自動車の車掌その他の従業員から乗車券の点検又は回收のため乗車券の呈示又は交付を求められたときは、これを拒むことができない。
3 一般乗合旅客自動車運送事業者は、前項の規定に違反して乗車券の呈示又は交付を拒んだ旅客又は有効の乗車券を所持しない旅客に対し、その旅客が乗車した区間に対応する運賃及び料金並びにこれと同額の割増運賃及び割増料金の支拂を求めることができる。
(省令への委任)
第三十條 この法律に規定するものの外、自動車運送事業者の交付すべき乗車券又は荷物切符、事業用自動車に掲示すべき事項その他旅客又は荷主の利便の確保のために自動車運送事業者が遵守すべき事項は、運輸省令で定める。
(会計)
第三十一條 自動車運送事業者は、その事業年度、勘定科目の分類、帳簿書類の様式その他の会計に関する手続について運輸省令で定めるところに従い、その会計を処理しなければならない。
(公衆の利便を阻害する行為の禁止等)
第三十二條 自動車運送事業者は、旅客又は荷主に対し、不当な運送條件によることを求め、その他公衆の利便を阻害する行為をしてはならない。
2 自動車運送事業者は、自動車運送事業の健全な発達を阻害する結果を生ずるような競争をしてはならない。
3 自動車運送事業者は、特定の旅客又は荷主に対し、不当な差別的取扱をしてはならない。
4 運輸大臣は、前三項に規定する行為があるときは、自動車運送事業者に対し、当該行為の停止又は変更を命ずることができる。
5 運輸大臣は、前項の命令をしようとするときは、当該自動車運送事業者に対し、あらかじめ、期日及び場所を指定して、聽聞をしなければならない。聽聞に際しては、当該自動車運送事業者に対し、意見を述べ、及び証拠を提出する機会が與えられなければならない。
(事業改善の命令)
第三十三條 運輸大臣は、自動車運送事業者の事業について公共の福祉を阻害している事実があると認めるときは、自動車運送事業者に対し、左に掲げる事項を命ずることができる。
一 事業計画を変更すること。
二 運賃、料金又は運送約款を変更すること。
三 自動車その他の輸送施設を改善すること。
四 他の運送事業者又は通運事業者と設備の共用、連絡運輸、共同経営又は運輸に関する協定をすること。
五 旅客又は貨物の円滑な輸送を確保するための措置を講ずること。
六 旅客又は貨物の運送に関し支拂うことあるべき損害賠償のため保險契約を締結すること。
2 前項第四号の場合において、当事者が收得し、又は負担すべき金額その他協定の細目は、当事者間の協議により定める。
3 前項の協議がととのわないとき、又は協議することができないときは、運輸大臣は、申請により裁定する。
4 前項の規定による裁定中当事者が收得し、又は負担すべき金額について不服のある者は、その裁定のあつたことを知つた日から六箇月以内に、訴をもつてその金額の増減を請求することができる。但し、裁定のあつた日から一年を経過したときは、この限りでない。
5 前項の訴においては、協定の他の当事者を被告とする。
(運送に関する命令)
第三十四條 運輸大臣は、当該運送が災害の救助その他公共の福祉を維持するため必要であり、且つ、当該運送を行う者がない場合又は著しく不足する場合に限り、自動車運送事業者に対し、運送すべき旅客若しくは貨物、運送すべき区間、これに使用する自動車及び運送條件を指定して運送を命じ、又は旅客若しくは貨物の運送の順序を定めて、これによるべきことを命ずることができる。
2 前項の規定による命令で次條の規定による損失の補償を伴うものは、これによつて必要となる補償金の総額が国会の議決を経た予算の金額をこえない範囲内でこれをしなければならない。
(損失の補償)
第三十五條 前條第一項の規定による命令により損失を受けた者に対しては、その損失を補償する。
2 前項の規定による補償の額は、当該自動車運送事業者がその運送を行つたことにより通常生ずべき損失の額とする。
3 前二項に規定するものの外、損失の補償に関し必要な事項は、運輸省令で定める。
(名義の利用、事業の貸渡等)
第三十六條 自動車運送事業者は、その名義を他人に自動車運送事業のため利用させてはならない。
2 自動車運送事業者は、事業の貸渡その他いかなる方法をもつてするかを問わず、自動車運送事業を他人にその名において経営させてはならない。
(事業用自動車の貸渡)
第三十七條 自動車運送事業者は、その事業用自動車の貸渡をしようとするときは、運輸大臣の許可を受けなければならない。
2 運輸大臣は、その貸渡によつて公衆の利便を害することとなるおそれがあると認める場合を除く外、前項の許可をしなければならない。
(事業の管理の受委託)
第三十八條 自動車運送事業の管理の委託及び受託については、運輸大臣の許可を受けなければならない。
2 運輸大臣は、前項の許可をしようとするときは、左の基準によつて、これをしなければならない。
一 当該事業を継続して運営するために必要であること。
二 受託者が当該事業を管理するのに適している者であること。
(事業の譲渡及び譲受等)
第三十九條 自動車運送事業の譲渡及び譲受は、運輸大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 自動車運送事業者たる法人の合併は、運輸大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。但し、自動車運送事業者たる法人と自動車運送事業を経営しない法人が合併する場合において、自動車運送事業者たる法人が存続するときは、この限りでない。
3 第六條の規定は、前二項の認可について準用する。
4 自動車運送事業者たる法人の合併があつたときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、免許に基く権利義務を承継する。
(相続)
第四十條 自動車運送事業者が死亡した場合において、相続人(相続人が二人以上ある場合においてその協議により当該自動車運送事業を承継すべき相続人を定めたときは、その者)が被相続人の経営していた自動車運送事業を引き続き経営しようとするときは、被相続人の死亡後六十日以内に、運輸大臣の認可を受けなければならない。
2 相続人が前項の認可の申請をした場合においては、被相続人の死亡の日からその認可があつた旨又は認可をしない旨の通知を受ける日までは、被相続人に対してした自動車運送事業の免許は、その相続人に対してしたものとみなす。
3 第六條の規定は、第一項の認可について準用する。
4 第一項の認可を受けた者は、被相続人に係る免許に基く権利義務を承継する。
(事業の休止及び廃止)
第四十一條 自動車運送事業者は、事業の全部又は一部を休止し、又は廃止しようとするときは、運輸大臣の許可を受けなければならない。
2 運輸大臣は、当該休止又は廃止によつて公衆の利便が著しく阻害されるおそれがあると認める場合を除く外、前項の許可をしなければならない。
3 第一項の事業の休止の許可は、一年をこえる期間についてすることができない。
4 前二項の規定は、道路又は橋りようの損壊その他正当な事由に基く事業の休止又は廃止については、適用しない。
5 自動車運送事業者は、事業の全部又は一部を休止し、又は廃止しようとするときは、あらかじめ、その旨を営業所その他の事業所において公衆に見易いように掲示しなければならない。
(法人の解散)
第四十二條 自動車運送事業者たる法人の解散の決議又は総社員の同意は、運輸大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 前條第二項及び第四項の規定は、前項の認可について準用する。
(事業の停止及び免許の取消)
第四十三條 運輸大臣は、自動車運送事業者が左の各号の一に該当するときは、六箇月以内において期間を定めて事業の停止を命じ、又は免許を取り消すことができる。
一 この法律若しくはこの法律に基く命令若しくはこれらに基く処分又は免許、許可若しくは認可に附した條件に違反したとき。
二 正当な理由がないのに許可又は認可を受けた事項を実施しないとき。
三 第六條第二項第一号、第三号又は第四号に該当することとなつたとき。
(免許の失効)
第四十四條 左の場合には、自動車運送事業の免許は、その効力を失う。
一 第七條の期日又は期間内に運輸を開始しないとき。
二 事業の廃止の許可を受けたとき。
三 第四條第四項の規定により限定した期間が満了したとき。
(特定自動車運送事業の特則)
第四十五條 特定自動車運送事業には、第十二條から第十六條まで、第四十一條及び前條第二号の規定は、適用しない。
2 特定自動車運送事業を経営する者は、事業を休止し、又は廃止したときは、その日から三十日以内に、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
3 特定自動車運送事業の免許は、事業の廃止の届出があつたときは、その効力を失う。
(通運事業者の特則)
第四十六條 自動車を使用して通運事業を経営することの免許を受けた者又は通運事業法(昭和二十四年法律第二百四十一号)第十三條の規定により新たに自動車を使用することの認可を受けた者は、第四條第一項、第二十條、第二十一條、第二十四條、第二十五條、第三十條、第三十三條第一項第四号及び第二項から第五項まで、第三十六條、第三十七條及び第四十三條の規定の適用については、運輸大臣の指定する種類及び事業区域について通運事業のためにする貨物自動車運送事業の免許を受けた者とみなす。
第三章 自動車道及び自動車道事業
(免許)
第四十七條 自動車道事業を経営しようとする者は、運輸大臣及び建設大臣の免許を受けなければならない。
2 自動車道事業の免許は、路線について行う。
3 自動車道事業の免許は、通行する自動車の範囲を限定して行うことができる。
(免許申請)
第四十八條 自動車道事業の免許を受けようとする者は、左に掲げる事項を記載した申請書を運輸大臣及び建設大臣に提出しなければならない。
一 予定する路線
二 省令で定める事業計画
三 当該事業の経営が運輸上必要である理由
四 当該事業の開始のための工事の要否
2 前條第三項の規定により通行する自動車の範囲を限定する免許を受けようとする者は、申請書に前項に掲げる事項の外、通行させようとする自動車の範囲をあわせて記載しなければならない。
3 申請書には、一般自動車道の路線図及び事業の施設、事業收支見積その他省令で定める事項を記載した書類を添附しなければならない。
4 運輸大臣及び建設大臣は、申請者に対し、前三項に規定するものの外、商業登記簿の謄本その他必要な書類の提出を求めることができる。
(免許基準)
第四十九條 運輸大臣及び建設大臣は、前條に規定する申請書を受理したときは、その申請が左の各号に適合するかどうかを審査しなければならない。
一 当該事業の開始が公衆の利便を増進するものであること。
二 当該事業の路線の選定が当該事業の経営の目的に適合するものであること。
三 当該一般自動車道の規模が当該地区における交通需要の量及び性質に適合するものであること。
四 当該事業を適確に遂行するに足る能力を有するものであること。
五 前各号に掲げるものの外、当該事業の計画が当該事業の長期にわたる経営の遂行上適切なものであること。
2 運輸大臣および建設大臣は、前項の規定により審査した結果、その申請が同項の基準に適合していると認めたときは、左の場合を除いて、自動車道事業の免許をしなければならない。
一 免許を受けようとする者が一年以上の懲役又は禁この刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過していない者であるとき。
二 免許を受けようとする者が自動車道事業の免許の取消を受け、取消の日から二年を経過していない者であるとき。
三 免許を受けようとする者が営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者又は禁治産者である場合において、その法定代理人が前二号の一に該当する者であるとき。
四 免許を受けようとする者が法人である場合において、その法人の役員が前三号の一に該当する者であるとき。
(工事施行)
第五十條 自動車道事業の免許を受けた者(以下「自動車道事業者」という。)は、一般自動車道の構造及び設備についての工事方法を定め、運輸大臣及び建設大臣の指定する期間内に、工事施行の認可を申請しなければならない。但し、当該事業の用に供する一般自動車道が工事を必要としない場合は、この限りでない。
2 運輸大臣及び建設大臣は、前項の申請があつたときは、その工事方法が事業計画及び次條に規定する基準に適合しないと認める場合を除く外、工事の着手及び完成の期間を指定して、前項の認可をしなければならない。
3 天災その他やむを得ない事由により、第一項の期間内に認可を申請することができないときは、運輸大臣及び建設大臣は、申請により期間を伸長することができる。
(一般自動車道の技術上の基準)
第五十一條 一般自動車道は、道路、鉄道又は軌道と平面交さをすることができない。但し、交通の量が少い場合その他特別の事由がある場合であつて省令で定める設備を設けるときは、この限りでない。
2 一般自動車道は、その幅員、こうばい、曲線、見とおし距離、通信設備その他の構造及び設備について省令で定める技術上の基準に従わなければならない。
(工事の着手)
第五十二條 自動車道事業者は、工事施行の認可を受けたときは、第五十條第二項の工事の着手の期間内に、一般自動車道の工事に着手しなければならない。
2 第五十條第三項の規定は、前項の期間について準用する。
3 自動車道事業者は、第一項の工事に着手したときは、遅滯なくその旨を運輸大臣及び建設大臣に届け出なければならない。
(路線等の公示)
第五十三條 運輸大臣及び建設大臣は、第五十條第一項の規定により一般自動車道の工事施行の認可をしたときは、路線、幅員その他省令で定める事項を公示しなければならない。
(工事方法の変更)
第五十四條 自動車道事業者は、工事方法を変更しようとするときは、運輸大臣及び建設大臣の認可を受けなければならない。但し、路肩の幅員の拡張その他省令で定める軽微な工事方法の変更については、この限りでない。
2 運輸大臣及び建設大臣は、工事方法の変更によつて事業計画及び第五十一條の基準に適合しなくなると認める場合を除く外、前項の認可をしなければならない。
3 自動車道事業者は、第一項但書の工事方法の変更をしたときは、遅滯なくその旨を運輸大臣及び建設大臣に届け出なければならない。
(工事方法変更の命令)
第五十五條 運輸大臣及び建設大臣は、工事の施行中、第五十條第一項の工事施行の認可の際予測することができなかつたような事態が生じたことにより自動車の通行に支障を生ずるおそれがあると認めるときは、自動車道事業者に対し、工事方法の変更を命ずることができる。
(工事の完成)
第五十六條 自動車道事業者は、第五十條第二項の工事の完成の期間内に、一般自動車道の工事を完成しなければならない。
2 第五十條第三項の規定は、前項の期間について準用する。
(工事の完成検査及び供用開始)
第五十七條 自動車道事業者は、一般自動車道の工事を完成したときは、遅滯なく運輸大臣及び建設大臣の検査を受けなければならない。
2 運輸大臣及び建設大臣は、前項の検査の結果、当該一般自動車道の構造及び設備が、第五十條第一項の工事方法(第五十四條又は第五十五條の規定による変更があつたときは、変更があつたもの)に合致し、且つ、工事を要しなかつた部分につき事業計画及び第五十一條の基準に適合すると認めたときは、これを合格としなければならない。
3 自動車道事業者は、一般自動車道について前項の検査の合格があつたときは、遅滯なくその供用を開始しなければならない。
4 自動車道事業者は、一般自動車道の供用を開始したときは、遅滯なくその旨を運輸大臣及び建設大臣に届け出なければならない。
(構造設備の検査及び供用開始)
第五十八條 自動車道事業者は、一般自動車道の工事を必要としないときは、免許の際運輸大臣及び建設大臣が指定する期間内に、一般自動車道の構造及び設備が事業計画及び第五十一條の基準に適合するかどうかについて、運輸大臣及び建設大臣の検査を受けなければならない。
2 前條第三項及び第四項の規定は、前項の検査の合格があつた場合及び供用の開始があつた場合について準用する。
(一部検査及び供用開始)
第五十九條 自動車道事業者は、一般自動車道の一部について運輸大臣及び建設大臣の検査を受けることができる。
2 第五十七條第二項の規定は、前項の検査の場合について準用する。
3 第五十七條第三項及び第四項の規定は、前項の検査の合格があつた場合及び供用の開始があつた場合について準用する。
(事業の再開検査及び供用開始)
第六十條 自動車道事業者は、現に休止している自動車道事業の全部又は一部を再開しようとするときは、一般自動車道の構造及び設備が事業計画及び第五十一條の基準に適合するかどうかについて、運輸大臣及び建設大臣の検査を受けなければならない。
2 第五十七條第三項及び第四項の規定は、前項の検査の合格があつた場合及び供用の開始があつた場合について準用する。
(使用料金)
第六十一條 自動車道事業者は、一般自動車道の使用料金を定め、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。
2 運輸大臣は、前項の認可をしようとするときは、左の基準によつて、これをしなければならない。
一 能率的な経営の下における適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むものであること。
二 特定の使用者に対し不当な差別的取扱をするものでないこと。
三 使用者の使用料金を負担する能力にかんがみ、使用者が当該事業を利用することを困難にするおそれがないものであること。
3 第一項の使用料金は、定額をもつて明確に定められなければならない。
(供用約款)
第六十二條 自動車道事業者は、供用約款を定め、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。
2 第十二條第二項の規定は、前項の認可について準用する。
(保安上の供用制限)
第六十三條 自動車道事業者は、通行する自動車の重量その他省令で定める保安上の供用制限を定め、運輸大臣及び建設大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。
2 運輸大臣及び建設大臣は、前項の認可をしようとするときは、左の基準によつて、これをしなければならない。
一 自動車の通行に対し危險を生ずるおそれがないものであること。
二 一般自動車道の保全を困難にするおそれがないものであること。
三 自動車の通行効率の著しい低下を来さないものであること。
(使用料金等の掲示)
第六十四條 自動車道事業者は、使用料金、供用約款及び前條の規定により認可を受けた事項を営業所その他の事業所において公衆に見易いように掲示しなければならない。
2 第十三條第三項の規定は、前項の規定により掲示した事項を変更しようとする場合について準用する。
(供用義務)
第六十五條 自動車道事業者は、左の場合を除いては、一般自動車道の供用を拒絶してはならない。
一 当該供用の申込が第六十二條の規定により認可を受けた供用約款によらないものであるとき。
二 当該供用の申込が第六十三條の規定により認可を受けた供用制限に該当するとき。
三 当該供用に関し使用者から特別の負担を求められたとき。
四 当該供用により他の自動車の通行に著しく支障を及ぼすおそれがあるとき。
五 当該供用が法令の規定又は公の秩序若しくは善良の風俗に反するものであるとき。
六 天災その他やむを得ない事由により自動車の通行に支障があるとき。
(事業計画の変更)
第六十六條 自動車道事業者は、事業計画を変更しようとするときは、運輸大臣及び建設大臣の認可を受けなければならない。但し、営業所の名称その他省令で定める軽微な事項に係る変更については、この限りでない。
2 運輸大臣及び建設大臣は、前項の認可をしようとするときは、左の基準によつて、これをしなければならない。
一 事業計画の変更によつて公衆の利便を害することとなるおそれがないものであること。
二 事業計画の変更によつて当該一般自動車道の規模が当該地区における交通需要の量及び性質に適合しなくなるおそれがないものであること。
3 自動車道事業者は、第一項但書の事項について事業計画を変更したときは、遅滯なくその旨を運輸大臣及び建設大臣に届け出なければならない。
(構造又は設備の変更)
第六十七條 第五十四條の規定は、自動車道事業者が一般自動車道の構造又は設備の変更をする場合について準用する。
(一般自動車道の管理)
第六十八條 自動車道事業者は、一般自動車道をその構造及び設備が事業計画及び第五十一條の基準に適合するように維持しなければならない。
2 自動車道事業者は、省令で定める方法に従い、一般自動車道を検査しなければならない。
3 自動車道事業者は、一般自動車道が天災その他の事由により自動車の通行に支障を生じたときは、直ちにその通行の禁止その他適切な危害予防の措置を講ずるとともに、その復旧をしなければならない。
4 自動車道事業者は、前項の場合には、遅滯なく省令で定める事項を運輸大臣及び建設大臣に報告しなければならない。
5 自動車道事業者は、道路交通取締法(昭和二十二年法律第百三十号)の規定にかかわらず、政令で定める道路標識を設置しなければならない。
6 一般自動車道を通行する自動車は、前項の道路標識の表示に従わなければならない。
(土地の立入及び使用)
第六十九條 自動車道事業者は、一般自動車道に関する測量、実地調査又は工事のため必要があるときは、都道府県知事の許可を受け、他人の土地に立ち入り、又はその土地を一時材料置場として使用することができる。
2 自動車道事業者は、前項の規定により立入又は使用をしようとするときは、やむを得ない事由がある場合を除く外、あらかじめ、土地の占有者にその旨を通知しなければならない。
3 第一項の規定による立入又は使用によつて生じた損失は、立入又は使用の後、遅滯なく当該事業者においてこれを補償しなければならない。
4 前項の規定に基いて補償すべき損失は、第一項の規定による立入又は使用により通常生ずべき損失とする。
5 第三項の規定による補償について協議がととのわないとき、又は協議することができないときは、都道府県知事は、申請により裁定する。
6 前項の規定による裁定に係る補償金額について不服のある者は、その裁定のあつたことを知つた日から六箇月以内に、訴をもつてその金額の増減を請求することができる。但し、裁定のあつた日から一年を経過したときは、この限りでない。
7 前項の訴においては、当該事業者又は補償を受くべき者を被告とする。
(事業改善の命令)
第七十條 運輸大臣及び建設大臣は、自動車道事業者の事業について公共の福祉を阻害している事実があると認めるときは、自動車道事業者に対し、左に掲げる事項を命ずることができる。
一 事業計画又は第六十三條の供用制限を変更すること。
二 一般自動車道の構造又は設備を改善すること。
2 運輸大臣は、自動車道事業者の事業について公共の福祉を阻害している事実があると認めるときは、自動車道事業者に対し、使用料金又は供用約款の変更を命ずることができる。
(免許の失効)
第七十一條 左の場合には、自動車道事業の免許は、その効力を失う。
一 第五十條第一項及び第三項の期間内に工事施行の認可を申請しないとき。
二 第五十條第一項の規定による申請に対し不認可の処分を受けたとき。
三 第五十二條第一項の期間内に工事に着手しないとき。
四 第五十八條の規定による検査により不合格の処分を受けたとき。
五 事業の廃止の許可を受けたとき。
(準用規定)
第七十二條 自動車道事業には、第九條、第三十一條、第三十二條、第三十六條、第三十八條から第四十條まで、第四十一條第一項、第二項及び第五項、第四十二條並びに第四十三條の規定を準用する。この場合において、これらの規定中「運輸大臣」とあるのは、「運輸大臣及び建設大臣」と読み替えるものとする。
(一般自動車道に接続する道路等の造設)
第七十三條 国又は国の許可を受けた者が、一般自動車道に接続し、若しくは近接し、又はこれを横断して道路法による道路、自動車道、河川、運河、鉄道、軌道又は索道を造設しようとするときは、自動車道事業者は、当該一般自動車道の効用が妨げられる場合を除き、これを拒むことができない。
2 運輸大臣及び建設大臣は、前項の場合において、公共の福祉を確保するため必要があると認めるときは、自動車道事業者に対し、構造若しくは設備の変更又は設備の共用を命ずることができる。
3 前二項の場合において、その実施及びその方法並びに費用の負担につき協議がととのわないときは、運輸大臣及び建設大臣は、申請により裁定する。自動車道事業者が受けた損失の補償についても同様とする。
4 第六十九條第三項及び第四項の規定は、第一項及び第二項の場合について、同條第六項及び第七項の規定は、前項の場合について準用する。
(道路等に接続する一般自動車道の造設)
第七十四條 自動車道事業者は、道路法による道路、河川又は運河の管理者の許可を受けて道路法による道路、河川又は運河に接続し、若しくは近接し、又はこれを横断して一般自動車道を造設することができる。
2 前項の管理者は、当該公共物の効用を妨げない限り、これを許可しなければならない。
(專用自動車道)
第七十五條 專用自動車道には、第五十條から第六十條まで、第六十三條、第六十七條から第七十條まで、第七十三條及び前條の規定を準用する。この場合において、これらの規定中「運輸大臣及び建設大臣」とあるのは、「運輸大臣」と読み替えるものとする。
第四章 国営自動車運送事業及び国営自動車道事業
(自動車運送事業の経営)
第七十六條 国において自動車運送事業を経営しようとするときは、当該官庁は、運輸大臣の承認を受けなければならない。
2 第四條第二項から第四項まで及び第五條の規定は、前項の承認について準用する。
(補償)
第七十七條 路線を定める自動車運送事業を国において経営したため、これと路線を共通にする自動車運送事業を経営する者が、その路線を共通にする部分につき事業を継続して経営することができなくなつたとき、又は著しく收益を減少することとなつたときは、国は、政令で定めるところにより、その自動車運送事業者が受けた損失を補償することができる。その者がその路線を共通にしない部分につき事業を継続して経営することができなくなつたときも同様とする。
(自動車道事業の経営)
第七十八條 国において自動車道事業を経営しようとするときは、当該官庁は、運輸大臣及び建設大臣の承認を受けなければならない。
2 第四十七條第二項及び第三項並びに第四十八條の規定は、前項の承認について準用する。
(適用除外)
第七十九條 国において経営する自動車運送事業及び自動車道事業には、第四條から第七條まで、第十二條、第十八條(重要な事項に係る事業計画の変更であつて運輸省令で定めるものを除く。)、第十九條第二項、第二十條、第二十一條、第三十一條、第三十二條第四項及び第五項、第三十三條から第四十條まで、第四十二條、第四十三條、第四十六條から第五十條まで、第五十二條、第五十四條から第六十條まで、第六十二條、第六十三條、第六十七條、第七十條、第七十二條(第九條並びに第四十一條第一項、第二項及び第五項の規定の準用に関する部分を除く。)、第七十五條(第五十一條、第五十三條、第六十八條、第六十九條、第七十三條及び第七十四條の規定の準用に関する部分を除く。)及び第百二十三條の規定を適用しない。
2 国において経営する自動車運送事業及び自動車道事業について適用される規定中「免許」、「許可」又は「認可」とあるのは、「承認」と読み替えるものとする。
第五章 自動車運送取扱事業
(登録)
第八十條 自動車運送取扱事業を経営しようとする者は、運輸大臣の行う登録を受けなければならない。
2 前項の登録は、第二條第四項各号の種別について行う。
(登録の申請)
第八十一條 自動車運送取扱事業の登録を受けようとする者は、左に掲げる事項を記載した申請書を運輸大臣に提出しなければならない。
一 第二條第四項各号の種別
二 主たる事務所その他の営業所の位置
三 事業の経営上使用する商号及び記号
四 第二條第四項各号の行為の相手方となる自動車運送事業者の氏名又は名称及び住所
五 法人である場合においては、その役員の氏名
2 申請書には、事業の施設、事業收支見積その他運輸省令で定める事項を記載した書類を添附しなければならない。
(登録の実施)
第八十二條 運輸大臣は、前條の規定による登録の申請があつた場合においては、次條第一項の規定により登録を拒否する場合を除く外、左に掲げる事項を自動車運送取扱事業者登録簿に登録しなければならない。
一 前條第一項各号に掲げる事項
二 登録年月日
三 その者の氏名又は名称及び住所
2 運輸大臣は、前項の規定による登録をした場合においては、その旨を登録の申請者に通知しなければならない。
(登録の拒否)
第八十三條 運輸大臣は、登録の申請者が左の各号の一に該当する場合には、その登録を拒否しなければならない。
一 三年以上の懲役又は禁この刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過していない者
二 自動車運送取扱事業の登録を取り消され、その取消の日から二年を経過していない者
三 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者又は禁治産者で、その法定代理人が前二号の一に該当するもの
四 法人で、その役員のうちに前三号の一に該当する者があるもの
五 事業に必要な施設であつて運輸省令で定めるものを有しない者
六 当該事業を遂行するに足る資力信用を有しない者
2 運輸大臣は、前項の規定による登録の拒否をした場合においては、理由を附して、その旨を申請者に通知しなければならない。
(営業開始の届出)
第八十四條 第八十條の登録を受けた者(以下「自動車運送取扱事業者」という。)は、営業を開始したときは、その日から三十日以内に、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(運賃及び料金)
第八十五條 自動車運送取扱事業者は、事業に係る運賃及び料金を定め、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。
2 第八條第二項の規定は、前項の認可について準用する。
(取扱約款)
第八十六條 自動車運送取扱事業者は、取扱約款を定め、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。
2 第十二條第二項の規定は、前項の認可について準用する。
(運賃、料金及び取扱約款の掲示)
第八十七條 自動車運送取扱事業者は、運賃及び料金並びに取扱約款を主たる事務所その他の営業所において公衆に見易いように掲示しなければならない。
2 第十三條第三項の規定は、前項の規定により掲示した事項を変更しようとする場合について準用する。
(登録事項の変更等)
第八十八條 自動車運送取扱事業者は、第八十一條第一項各号に掲げる事項について変更があつたときは、その日から三十日以内に、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
2 第八十二條の規定は、前項の規定による変更の届出があつた場合について準用する。
3 自動車運送取扱事業者は、事業の施設であつて運輸省令で定めるものを変更したときは、その日から三十日以内に、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(禁止行為)
第八十九條 自動車運送取扱事業者は、第八十二條第一項の規定により自動車運送取扱事業者登録簿に登録された自動車運送事業者以外の者と第二條第四項各号に掲げる行為をしてはならない。
(事業施設確保の命令)
第九十條 運輸大臣は、自動車運送取扱事業者が第八十三條第一項第五号の規定により運輸省令で定める事業の施設を有しなくなつたときは、これを備うべきことを命ずることができる。
(事業の休止、廃止等の届出)
第九十一條 自動車運送取扱事業者は、事業を休止したときは、その日から三十日以内に、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
2 自動車運送取扱事業者は、事業を廃止し、又は事業の全部を譲渡したときは、その日から三十日以内に、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
3 自動車運送取扱事業者たる法人が左の各号の一に掲げる場合に該当することとなつたときは、当該各号に掲げる者は、その日から三十日以内に、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
一 法人が合併により消滅した場合においては、その業務を執行する役員であつた者
二 法人が合併又は破産以外の事由により解散した場合においては、その清算人
三 法人が破産により解散した場合においては、その破産管財人
4 自動車運送取扱事業者が死亡したときは、相続人は、被相続人の死亡後三十日以内に、運輸大臣に届け出なければならない。
5 自動車運送取扱事業者が死亡した場合において、相続人が、被相続人の死亡後六十日以内に登録の申請をしたときは、被相続人の死亡の日からその登録があつた旨又は登録を拒否する旨の通知を受ける日までは、被相続人の受けた自動車運送取扱事業の登録は、相続人が受けたものとみなす。
(事業の停止及び登録の取消)
第九十二條 運輸大臣は、自動車運送取扱事業者が左の各号の一に該当するときは、三箇月以内において期間を定めて事業の停止を命じ、又は当該自動車運送取扱事業の登録を取り消すことができる。
一 この法律若しくはこの法律に基く命令又はこれらに基く処分に違反したとき。
二 正当な理由がないのに認可を受けた事項を実施しないとき。
三 第八十三條第一項第一号、第三号又は第四号に該当することとなつたとき。
2 第三十二條第五項の規定は、運輸大臣が前項の行為をしようとする場合について準用する。
(登録のまつ消)
第九十三條 運輸大臣は、第九十一條第二項、第三項及び第四項の規定による届出があつたとき、又は前條の規定により登録の取消をしたときは、当該自動車運送取扱事業の登録をまつ消しなければならない。
2 第八十二條第二項の規定は、前項の規定により登録をまつ消した場合について準用する。
(附帶業務)
第九十四條 第八十五條から第八十七條までの規定は、自動車運送取扱事業者が当該事業に附帶して行う貨物の荷造及び仕分、代金の取立及び立替その他通常自動車運送取扱事業に附帶する業務について準用する。
(準用規定)
第九十五條 自動車運送取扱事業には、第三十二條第一項及び第三項から第五項まで並びに第三十六條の規定を準用する。
第六章 軽車両運送事業
(事業に関する届出)
第九十六條 軽車両運送事業を経営しようとする者は、運輸省令で定める事項を行政庁に届け出なければならない。軽車両運送事業を経営する者(以下「軽車両運送事業者」という。)が、届出をした事項を変更しようとするときも同様とする。
(事業停止の命令)
第九十七條 行政庁は、軽車両運送事業者がこの法律又はこの法律に基く処分に違反したときは、三箇月以内において期間を定めて事業の停止を命ずることができる。
2 第三十二條第五項の規定は、行政庁が前項の命令をしようとする場合について準用する。
(準用規定)
第九十八條 軽車両運送事業には、第三十二條第一項及び第九十一條第一項から第四項までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「運輸大臣」とあるのは、「行政庁」と読み替えるものとする。
第七章 自家用自動車の使用
(使用等の届出)
第九十九條 事業用自動車以外の自動車(以下「自家用自動車」という。)を使用しようとする者は、運輸省令で定める事項を運輸大臣に届け出なければならない。自家用自動車を使用する者が、届出をした事項を変更しようとするときも同様とする。
2 自家用自動車を使用する者は、自家用自動車の使用を廃止したときは、その日から三十日以内に、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(共同使用の許可)
第百條 自家用自動車を共同で使用しようとする者は、運輸大臣の許可を受けなければならない。
2 運輸大臣は、自家用自動車の共同使用の態様が自動車運送事業の経営に類似していると認める場合を除く外、前項の許可をしなければならない。
(有償運送の禁止及び賃貸の制限)
第百一條 自家用自動車は、有償で運送の用に供してはならない。但し、災害のため緊急を要するとき、又は公共の福祉を確保するためやむを得ない場合であつて運輸大臣の許可を受けたときは、この限りでない。
2 自家用自動車は、運輸大臣の許可を受けなければ、有償で貸し渡してはならない。
3 前條第二項の規定は、前項の許可について準用する。
(使用の制限及び禁止)
第百二條 運輸大臣は、自家用自動車を使用する者が左の各号の一に該当するときは、六箇月以内において期間を定めて自家用自動車の使用を制限し、又は禁止することができる。
一 第四條の免許を受けないで、自家用自動車を使用して自動車運送事業を経営したとき。
二 第百條の許可を受けないで、自家用自動車を共同の使用に供したとき。
三 有償で自家用自動車を運送の用に供したとき(前條第一項但書の場合を除く。)。
四 前條第二項の許可を受けないで、有償で自家用自動車を貸し渡したとき。
2 第三十二條第五項の規定は、運輸大臣が前項の行為をしようとする場合について準用する。
第八章 道路運送審議会
(設置)
第百三條 道路運送審議会は、陸運局ごとに、これを置く。
2 道路運送審議会の名称は、左の通りとする。
東京道路運送審議会
名古屋道路運送審議会
大阪道路運送審議会
広島道路運送審議会
高松道路運送審議会
福岡道路運送審議会
新潟道路運送審議会
仙台道路運送審議会
札幌道路運送審議会
(諮問事項)
第百四條 陸運局長は、その権限に属する左に掲げる事項については、道路運送審議会にはかり、その決定を尊重して、これをしなければならない。
一 自動車運送事業の免許
二 自動車運送事業の停止及び免許の取消
三 自動車運送事業における基本的な運賃及び料金に関する認可
2 前項各号に掲げる事項のうち、道路運送審議会が軽微なものと認めるものについては、陸運局長は、道路運送審議会にはからないでこれを行うことができる。
(建議)
第百五條 道路運送審議会は、道路運送の改善に関し、関係行政庁に建議をすることができる。
(組織)
第百六條 東京道路運送審議会は委員八人、名古屋道路運送審議会及び福岡道路運送審議会は委員各七人、大阪道路運送審議会は委員六人、広島道路運送審議会は委員五人、高松道路運送審議会、新潟道路運送審議会、仙台道路運送審議会及び札幌道路運送審議会は委員各四人をもつて組織する。
(委員の任命)
第百七條 委員は、道路運送審議会が置かれる陸運局の管轄区域をそれぞれの区域とする都道府県について当該都道府県知事が推薦する候補者のうちから、都府県にあつては一人ずつを、北海道にあつては四人を運輸大臣が任命する。
2 各都道府県知事が推薦する候補者の数は、任命されるべき委員の数の二倍以上でなければならない。
(委員の欠格事由)
第百八條 国会議員又は地方公共団体の議会の議員は、委員であることができない。
(委員の任期)
第百九條 委員の任期は、三年とする。但し、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 委員は、再任されることができる。
(事業からの隔離)
第百十條 委員は、任期中、いかなる形式においても道路運送に関する事業者団体に加入してはならず、且つ、道路運送に関する事業の役員となり、これらの事業の経営に参加し、これらの事業から報酬を受け、又はこれらの事業の経営に影響を及ぼすおそれがあるほどの投資をしてはならない。但し、これらの事業が当該委員の属する道路運送審議会が置かれる陸運局の管轄区域内において業務を行わない場合には、これらの事業から報酬を受け、又はこれらの事業に投資することを妨げない。
(委員の罷免)
第百十一條 運輸大臣は、委員が心身の故障のため職務の執行ができないと認める場合又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認める場合においては、当該道路運送審議会の同意を得て、これを罷免することができる。
(会長)
第百十二條 道路運送審議会に会長を置き、委員の互選により選任する。
2 会長は、会務を総理する。
3 道路運送審議会は、あらかじめ、委員のうちから、会長に事故がある場合に会長の職務を代行する者を定めて置かなければならない。
(議決方法)
第百十三條 道路運送審議会は、委員の過半数の出席がなければ、議事を開き、議決をすることができない。
2 道路運送審議会の議事は、出席者の過半数をもつて決する。可否同数のときは、会長の決するところによる。
3 特定の事案につき特別の利害関係を有する委員は、当該事案に係る議決に参加することができない。
4 道路運送審議会は、関係行政庁の職員をその会議に出席させて必要な説明を求めることができる。
(議事の記録)
第百十四條 道路運送審議会の議事の概要は、これを記録しなければならない。
(公聽会)
第百十五條 道路運送審議会は、左に掲げる事項について必要があると認めるときは、公聽会を開くことができる。
一 第百四條第一項の規定により附議された事項
二 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)第五十五條第二項の規定により運輸審議会から、情報、資料若しくは意見の提出、報告又は調査を求められた事項
2 道路運送審議会は、前項第一号に掲げる事項につき陸運局長の指示若しくは道路運送審議会の定める利害関係人の申請又は同項第二号に掲げる事項につき運輸審議会の要求があつたときは、公聽会を開かなければならない。
3 公聽会において取り扱われた事項は、できるだけ速記の方法により正確に記録しなければならない。
(記録の閲覧)
第百十六條 第百十四條及び前條第三項に規定する記録は、一般からの申出があつたときは、その閲覧に供しなければならない。
(調査等)
第百十七條 道路運送審議会は、その職務を行うため、必要があると認めるときは、左の各号に掲げる事項を行うことができる。
一 公務所又は道路運送事業者若しくはその組織する団体その他の関係者に対し、必要な報告、情報又は資料を求めること。
二 関係人又は参考人に対し、出頭を求めてその意見又は報告を徴すること。
2 前項第二号の規定により出頭を求められた関係人又は参考人は、政令で定めるところにより、旅費及び手当を請求することができる。
(庶務)
第百十八條 道路運送審議会の庶務は、陸運局において処理する。
(省令への委任)
第百十九條 この法律に規定するものの外、道路運送審議会の議事規則その他道路運送審議会に関し必要な事項は、運輸省令で定める。
第九章 雑則
(免許等の條件)
第百二十條 免許、許可又は認可には條件を附し、及びこれを変更することができる。
2 前項の條件は、公衆の利益を増進し、又は免許、許可若しくは認可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最少限度のものに限り、且つ、当該道路運送事業者に不当な義務を課することとならないものでなければならない。
(訴願)
第百二十一條 この法律又はこの法律に基く命令の規定により行政庁のした処分に不服のある者は、訴願をすることができる。
(職権の委任等)
第百二十二條 この法律に規定する運輸大臣又は運輸大臣及び建設大臣の職権の一部は、政令で定めるところにより、左の各号の区分に従い、各々その号の定める下級の行政庁に委任することができる。
一 第二章、第五章及び第七章に規定する職権については陸運局長又は都道府県知事
二 第三章に規定する職権については陸運局長又は陸運局長及び都道府県知事
2 第六章に規定する行政庁は、左の各号に定める区分による。
一 旅客軽車両運送事業に関する事項については都知事(特別区の区域に限る。)又は市町村長
二 貨物軽車両運送事業に関する事項については都道府県知事
(地方公共団体の区域内における一般乗合旅客自動車運送事業)
第百二十三條 運輸大臣は、一般乗合旅客自動車運送事業につき第四條、第十八條(自動車の運行系統及び運行回数の変更に係るものに限る。)、第二十條、第四十一條又は第四十二條の規定による処分をしようとする場合において、その路線が特別区の区域内又は政令で定める市の区域内にあるときは、その区域内の路線につき当該都知事又は市長の意見を徴しなければならない。
(道路管理者の意見の徴取)
第百二十四條 運輸大臣は、路線を定める自動車運送事業につき第四條第一項又は第十八條第一項(自動車の大きさ又は重量の増加を伴う事業計画の変更に限る。)の規定による処分をしようとするときは、省令で定めるところにより、当該処分により必要となる道路法による道路の構造及び設備に関する道路管理上の措置につき、当該道路管理者の意見を徴しなければならない。
(道路運送に関する団体)
第百二十五條 道路運送事業者その他の自動車又は軽車両を使用する者が道路運送の振興を図るため組織する団体は、その成立の日から三十日以内に、省令で定める事項について運輸大臣又は運輸大臣及び建設大臣に届け出なければならない。
(報告及び検査)
第百二十六條 当該行政庁は、第一條の目的を達成するため必要があると認めるときは、道路運送事業者その他の自動車若しくは軽車両を所有し、若しくは使用する者又はこれらの者の組織する団体に、省令で定める手続に従い、事業又は自動車若しくは軽車両の所有若しくは使用に関し、報告をさせることができる。
2 当該職員は、第一條の目的を達成するため必要があると認めるときは、道路運送事業者の事業場、自動車若しくは軽車両の所在する場所又は自動車に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査し、又は関係者に質問することができる。
3 前項の場合には、当該職員は、その身分を示す証票を携帶し、且つ、関係者の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。
4 第二項の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(自動車に関する表示)
第百二十七條 自動車(軽自動車たる自家用自動車、乗車定員十人以下の乗用の自家用自動車、特殊自動車たる自家用自動車その他運輸省令で定めるものを除く。)を使用する者は、その自動車の外側に、使用者の氏名、名称又は記号その他の運輸省令で定める事項を見易いように表示しなければならない。
第十章 罰則
第百二十八條 左の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第四條第一項の規定に違反して自動車運送事業を経営した者
二 第三十六條(第七十二條において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
三 第四十七條第一項の規定に違反して自動車道事業を経営した者
第百二十九條  左の各号の一に該当する者は、五万円以下の罰金に処する。
一 第八條第一項又は第六十一條第一項の規定による認可を受けないで、又は認可を受けた運賃若しくは料金によらないで運賃又は料金を收受した者
二 第九條(第七十二條において準用する場合を含む。)の規定に違反して運賃又は料金の割戻をした者
三 第四十三條(第七十二條において準用する場合を含む。)の規定による事業の停止の処分に違反した者
四 第八十條第一項の規定に違反して自動車運送取扱事業を経営した者
五 第九十五條において準用する第三十六條の規定に違反した者
第百三十條 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第十二條第一項、第十八條第一項、第二十條第一項、第二十四條第一項、第三十七條第一項、第三十八條第一項(第七十二條において準用する場合を含む。)、第四十一條第一項(第七十二條において準用する場合を含む。)、第五十四條第一項(第六十七條(第七十五條において準用する場合を含む。)及び第七十五條において準用する場合を含む。)、第六十二條第一項、第六十三條第一項(第七十五條において準用する場合を含む。)、第六十六條第一項、第八十六條第一項(第九十四條において準用する場合を含む。)、第百條第一項又は第百一條第二項の規定により許可又は認可を受けてしなければならない事項を許可又は認可を受けないでした者
二 第十九條第二項、第三十三條第一項、第三十四條第一項、第五十五條(第七十五條において準用する場合を含む。)、第七十條(第七十五條において準用する場合を含む。)、第七十三條第二項(第七十五條において準用する場合を含む。)又は第九十條の規定による命令に違反した者
三 第十五條、第六十五條、第六十八條第五項、第八十九條又は第百一條第一項の規定に違反した者
四 第三十二條第四項(第七十二條及び第九十五條において準用する場合を含む。)、第九十七條第一項又は第百二條第一項の規定による処分に違反した者
五 第八十五條第一項(第九十四條において準用する場合を含む。)の規定による認可を受けないで、又は認可を受けた運賃若しくは料金によらないで運賃又は料金を收受した者
六 第九十二條第一項の規定による事業の停止の処分に違反した者
七 第九十六條の規定に違反した者
八 第百二十六條第一項の規定による報告をせず、又は虚僞の報告をした者
九 第百二十六條第二項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対し虚僞の陳述をした者
第百三十一條 第五十七條第一項(第七十五條において準用する場合を含む。)、第五十八條第一項(第七十五條において準用する場合を含む。)又は第六十條第一項(第七十五條において準用する場合を含む。)の規定による検査を受けないで自動車道の供用を開始した者は、六月以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。但し、第五十九條第一項(第七十五條において準用する場合を含む。)の規定により自動車道の一部につき検査を受けた者がその部分につき供用を開始した場合は、この限りでない。
第百三十二條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務若しくは所有し、若しくは使用する自動車若しくは軽車両に関し、第百二十八條から前條までの違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても、各本條の罰金刑を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため、当該業務に対し、相当の注意及び監督が盡されたことの証明があつたときは、その法人又は人については、この限りでない。
第百三十三條 自動車道若しくはその標識を損壊し、又はその他の方法で自動車道における自動車の往来の危險を生ぜしめた者は、五年以下の懲役に処する。
2 前項の未遂罪は、これを罰する。
3 みだりに第六十八條第五項の規定による道路標識に類似し、又はその効果を妨げるような工作物を設置した者は、六月以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
第百三十四條 人の現在する一般乗合旅客自動車運送事業者の事業用自動車を転覆させ、又は破壊した者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の罪を犯し因つて人を傷つけた者は、一年以上の有期懲役に処し、死亡させた者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
3 第一項の未遂罪は、これを罰する。
第百三十五條 第百三十三條第一項の罪を犯し因つて自動車を転覆させ、又は破壊した者も前條の例による。
第百三十六條 過失に因り第百三十三條第一項又は第百三十四條第一項の罪を犯した者は、二万円以下の罰金に処する。その業務に従事する者が犯したときは、一年以下の禁こ又は三万円以下の罰金に処する。
第百三十七條 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 一般乗合旅客自動車運送事業者の事業用自動車の乗務員の職務の執行を妨げた者
二 一般乗合旅客自動車運送事業者の事業用自動車に石類を投げつけた者
三 第二十九條第一項の規定に違反した者
四 第六十八條第六項の規定に違反した者
第百三十八條 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の過料に処する。
一 第十三條、第四十一條第五項(第七十二條において準用する場合を含む。)、第六十四條、第八十七條(第九十四條において準用する場合を含む。)又は第百二十七條の規定による掲示若しくは表示をせず、又は虚僞の掲示若しくは表示をした者
二 第十六條、第二十五條、第四十五條第二項、第六十八條第四項(第七十五條において準用する場合を含む。)、第八十四條、第八十八條第一項若しくは第三項、第九十一條第一項から第四項まで、(第九十八條において準用する場合を含む。)、第九十九條又は第百二十五條の規定に違反した者
附 則
この法律は、昭和二十六年七月一日から施行する。但し、第八條第二項及び第三項、第九條から第十一條まで、第六十一條第二項及び第三項、第七十二條(第九條の規定の準用に関する部分に限る。)、第八十五條第二項並びに第九十四條(第八十五條第二項の規定の準用に関する部分に限る。)の規定は、道路運送事業の運賃又は料金につき、物価統制令(昭和二十一年勅令第百十八号)第四條又は同令第七條の規定による統制額の存する間は、その統制額の存する部分については、適用しない。
内閣総理大臣 吉田茂
運輸大臣 山崎猛
建設大臣 増田甲子七
道路運送法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十六年六月一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百八十三号
道路運送法
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
自動車運送事業(第三条―第四十六条)
第三章
自動車道及び自動車道事業(第四十七条―第七十五条)
第四章
国営自動車運送事業及び国営自動車道事業(第七十六条―第七十九条)
第五章
自動車運送取扱事業(第八十条―第九十五条)
第六章
軽車両運送事業(第九十六条―第九十八条)
第七章
自家用自動車の使用(第九十九条―第百二条)
第八章
道路運送審議会(第百三条―第百十九条)
第九章
雑則(第百二十条―第百二十七条)
第十章
罰則(第百二十八条―第百三十八条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、道路運送事業の適正な運営及び公正な競争を確保するとともに、道路運送に関する秩序を確立することにより、道路運送の総合的な発達を図り、もつて公共の福祉を増進することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「道路運送事業」とは、自動車運送事業、自動車道事業、自動車運送取扱事業及び軽車両運送事業をいう。
2 この法律で「自動車運送事業」とは、他人の需要に応じ、自動車を使用して有償で旅客又は貨物を運送する事業をいう。
3 この法律で「自動車道事業」とは、一般自動車道をもつぱら自動車の交通の用に供する事業をいう。
4 この法律で「自動車運送取扱事業」とは、他人の需要に応じ、有償で左に掲げる行為を行う事業をいう。
一 自己の名をもつてする自動車運送事業者(自動車運送事業を経営する者をいう。以下同じ。)による貨物運送の取次又は運送貨物の自動車運送事業者からの受取
二 他人の名をもつてする自動車運送事業者への貨物の運送の委託又は運送貨物の自動車運送事業者からの受取
三 自動車運送事業者の行う運送を利用してする貨物の運送
5 この法律で「軽車両運送事業」とは、他人の需要に応じ、軽車両を使用して有償で旅客又は貨物を運送する事業をいう。
6 この法律で「自動車」とは、道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)による自動車をいい、「軽車両」とは、同法による原動機付自転車及び軽車両をいう。
7 この法律で「道路」とは、道路法(大正八年法律第五十八号)による道路及びその他の一般交通の用に供する場所並びに自動車道をいう。
8 この法律で「自動車道」とは、もつぱら自動車の交通の用に供することを目的として設けられた道をいい、「一般自動車道」とは、専用自動車道以外の自動車道をいい、「専用自動車道」とは、自動車運送事業者がもつぱらその事業用自動車(自動車運送事業者がその自動車運送事業の用に供する自動車をいう。以下同じ。)の交通の用に供することを目的として設けた道をいう。
第二章 自動車運送事業
(種類)
第三条 自動車運送事業は、一般自動車運送事業及び特定自動車運送事業とする。
2 一般自動車運送事業(特定自動車運送事業以外の自動車運送事業)の種類は、左に掲げるものとする。
一 一般乗合旅客自動車運送事業(旅客を運送する一般自動車運送事業であつて、第二号及び第三号の自動車運送事業以外のもの)
二 一般貸切旅客自動車運送事業(一個の契約により乗車定員十一人以上の自動車を貸し切つて旅客を運送する一般自動車運送事業)
三 一般乗用旅客自動車運送事業(一個の契約により乗車定員十人以下の自動車を貸し切つて旅客を運送する一般自動車運送事業)
四 一般路線貨物自動車運送事業(一定の路線により自動車を使用して貨物を運送する一般自動車運送事業であつて、第六号の自動車運送事業以外のもの)
五 一般区域貨物自動車運送事業(一定の事業区域内において、路線を定めないで、自動車を使用して貨物を運送する一般自動車運送事業であつて、次号の自動車運送事業以外のもの)
六 一般小型貨物自動車運送事業(最大積載量一トン以下の自動車のみを使用して貨物を運送する一般自動車運送事業)
3 特定自動車運送事業(特定の者の需要に応じ、一定の範囲の旅客又は貨物を運送する自動車運送事業)の種類は、左に掲げるものとする。
一 特定旅客自動車運送事業(一定の範囲の旅客を運送する特定自動車運送事業)
二 特定貨物自動車運送事業(一定の範囲の貨物を運送する特定自動車運送事業)
(免許)
第四条 自動車運送事業を経営しようとする者は、運輸大臣の免許を受けなければならない。
2 自動車運送事業の免許は、路線又は事業区域並びに前条第二項各号及び第三項各号に掲げる自動車運送事業の種類について行う。
3 自動車運送事業の免許は、運送の需要者、運送する旅客又は貨物その他業務の範囲を限定して行うことができる。
4 一時的な需要のための自動車運送事業の免許は、期間を限定して行うことができる。
(免許申請)
第五条 自動車運送事業の免許を受けようとする者は、左に掲げる事項を記載した申請書を運輸大臣に提出しなければならない。
一 経営しようとする自動車運送事業の種類
二 予定する路線又は事業区域
三 自動車運送事業の種類ごとに運輸省令で定める事業計画
四 当該事業の経営が運輸上必要である理由
2 左の各号の一に該当する者は、申請書に前項に掲げる事項の外、当該各号に掲げる事項をあわせて記載しなければならない。
一 特定自動車運送事業の免許を受けようとする者にあつては、運送の需要者の氏名又は名称及び住所並びに運送しようとする旅客又は貨物の範囲
二 前条第三項の規定により業務の範囲を限定する免許を受けようとする者にあつては、運送の需要者、運送しようとする旅客又は貨物その他業務の範囲
三 前条第四項の規定により期間を限定する免許を受けようとする者にあつては、その期間
3 申請書には、事業の施設、事業収支見積その他運輸省令で定める事項を記載した書類を添附しなければならない。
4 運輸大臣は、申請者に対し、前三項に規定するものの外、商業登記簿の謄本その他必要な書類の提出を求めることができる。
(免許基準)
第六条 運輸大臣は、前条に規定する申請書を受理したときは、その申請が左の各号に適合するかどうかを審査しなければならない。
一 当該事業の開始が輸送需要に対し適切なものであること。
二 当該事業の開始が公衆の利便を増進するものであること。
三 当該事業の開始によつて当該路線又は事業区域における供給輸送力が輸送需要量に対し著しく不均衡とならないものであること。
四 当該事業を適確に遂行するに足る能力を有するものであること。
五 当該事業に使用する輸送施設が当該路線又は事業区域における輸送需要の性質に適応するものであること。
2 運輸大臣は、前項の規定により審査した結果、その申請が同項の基準に適合していると認めたときは、左の場合を除いて、自動車運送事業の免許をしなければならない。
一 免許を受けようとする者が一年以上の懲役又は禁この刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過していない者であるとき。
二 免許を受けようとする者が自動車運送事業の免許の取消を受け、取消の日から二年を経過していない者であるとき。
三 免許を受けようとする者が営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者又は禁治産者である場合において、その法定代理人が前二号の一に該当する者であるとき。
四 免許を受けようとする者が法人である場合において、その法人の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。以下同じ。)が前三号の一に該当する者であるとき。
(運輸開始)
第七条 自動車運送事業の免許を受けた者は、運輸大臣の指定する期日又は期間内に、運輸を開始しなければならない。
2 天災その他やむを得ない事由により、前項の期日又は期間内に運輸を開始することができないときは、運輸大臣は、申請により、期日を延期し、又は期間を伸長することができる。
(運賃及び料金の認可)
第八条 自動車運送事業者は、旅客又は貨物の運賃その他運輸に関する料金を定め、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。
2 運輸大臣は、前項の認可をしようとするときは、左の基準によつて、これをしなければならない。
一 能率的な経営の下における適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むものであること。
二 特定の旅客又は荷主に対し不当な差別的取扱をするものでないこと。
三 旅客又は貨物の運賃及び料金を負担する能力にかんがみ、旅客又は荷主が当該事業を利用することを困難にするおそれがないものであること。
四 他の自動車運送事業者との間に不当な競争をひきおこすこととなるおそれがないものであること。
3 第一項の運賃及び料金は、定額をもつて明確に定められなければならない。
(運賃又は料金の割戻の禁止)
第九条 自動車運送事業者は、旅客又は荷主に対し、収受した運賃又は料金の割戻をしてはならない。
(運賃及び料金の収受)
第十条 第三条第二項第四号から第六号まで及び同条第三項第二号の自動車運送事業を経営する者(以下「貨物自動車運送事業者」という。)は、運送貨物を荷受人に引き渡すまでに、当該貨物運送に対する運賃及び料金を収受しなければならない。
2 貨物自動車運送事業者は、荷主の経理上の手続その他やむを得ない事由がある場合は、前項の規定にかかわらず、運賃及び料金を収受しないで運送貨物を荷受人に引き渡してもよい。この場合においては、貨物自動車運送事業者は、運輸省令で定める期間内に、その運賃及び料金を収受しなければならない。但し、天災その他やむを得ない事由がある場合は、この限りでない。
(運賃及び料金の収受の猶予)
第十一条 貨物自動車運送事業者が、特定の者の需要に応じ反覆的に行う運送に対する運賃及び料金の収受の猶予期間を定め、運輸大臣の許可を受けた場合は、前条第一項の規定にかかわらず、運賃及び料金を収受しないで運送貨物を荷受人に引き渡してもよい。この場合においては、貨物自動車運送事業者は、猶予期間内に、その運賃及び料金を収受しなければならない。但し、天災その他やむを得ない事由がある場合は、この限りでない。
2 運輸大臣は、前項の許可をしようとするときは、左の基準によつて、これをしなければならない。
一 運送の都度運賃及び料金を収受することが著しく煩雑であること。
二 特定の荷主に対し不当な差別的取扱をするものでないこと。
三 他の貨物自動車運送事業者との間に不当な競争をひきおこすこととなるおそれがないものであること。
(運送約款)
第十二条 自動車運送事業者は、運送約款を定め、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。
2 運輸大臣は、前項の認可をしようとするときは、左の基準によつて、これをしなければならない。
一 公衆の正当な利益を害するおそれがないものであること。
二 少くとも運賃及び料金の収受並びに自動車運送事業者の責任に関する事項が明確に定められているものであること。
(運賃及び料金等の掲示)
第十三条 自動車運送事業者は、運賃及び料金並びに運送約款を営業所その他の事業所において公衆に見易いように掲示しなければならない。
2 一般乗合旅客自動車運送事業を経営する者(以下「一般乗合旅客自動車運送事業者」という。)は、前項に掲げるものの外、運輸省令で定めるところにより、運行系統、運行回数その他の事項を営業所その他の場所において公衆に見易いように掲示しなければならない。
3 自動車運送事業者は、前二項の規定により掲示した事項を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を営業所その他の場所において公衆に見易いように掲示しなければならない。
(貨物の種類及び性質の確認)
第十四条 自動車運送事業者は、貨物運送の申込があつたときは、その貨物の種類及び性質を明告することを申込者に求めることができる。
2 自動車運送事業者は、前項の場合において、貨物の種類及び性質につき申込者が告げたことに疑があるときは、申込者の同意を得て、その立会の上で、これを点検することができる。
3 自動車運送事業者は、前項の規定により点検をした場合において、貨物の種類及び性質が申込者の明告したところと異ならないときは、これがため生じた損害の賠償をしなければならない。
4 自動車運送事業者が第二項の規定により点検をした場合において、貨物の種類及び性質が申込者の明告と異なるときは、申込者は、点検に要した費用を負担しなければならない。
(運送引受義務)
第十五条 自動車運送事業者は、左の場合を除いては、運送の引受を拒絶してはならない。
一 当該運送の申込が第十二条の規定により認可を受けた運送約款によらないものであるとき。
二 申込者が前条第一項の規定による明告をせず、又は同条第二項の規定による点検の同意を与えないとき。
三 当該運送に適する設備がないとき。
四 当該運送に関し申込者から特別の負担を求められたとき。
五 当該運送が法令の規定又は公の秩序若しくは善良の風俗に反するものであるとき。
六 天災その他やむを得ない事由による運送上の支障があるとき。
七 前各号に掲げる場合の外、運輸省令で定める正当な事由があるとき。
(運送の順序)
第十六条 自動車運送事業者は、運送の申込を受けた順序により、旅客又は貨物の運送をしなければならない。但し、急病人又は腐敗し易い貨物を運送する場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。
(引渡不能の貨物の寄託)
第十七条 貨物自動車運送事業者は、その責に帰すべからざる事由により貨物の引渡をすることができないときは、荷主の費用をもつて、これを倉庫営業者に寄託することができる。
2 貨物自動車運送事業者は、前項の規定により貨物を寄託したときは、遅滞なくその旨を荷主に通知しなければならない。
3 貨物自動車運送事業者は、第一項の規定により貨物を寄託した場合において倉庫証券を作らせたときは、その証券の交付をもつて貨物の引渡に代えることができる。
(事業計画の変更)
第十八条 自動車運送事業者は、事業計画を変更しようとするときは、運輸大臣の認可を受けなければならない。但し、営業所の名称その他運輸省令で定める軽微な事項に係る変更については、この限りでない。
2 運輸大臣は、前項の認可をしようとするときは、左の基準によつて、これをしなければならない。
一 事業計画の変更によつて公衆の利便を害することとなるおそれがないものであること。
二 事業計画の変更によつて当該路線又は事業区域における供給輸送力が輸送需要量に対し著しく不均衡となるおそれがないものであること。
3 自動車運送事業者は、第一項但書の事項について事業計画を変更したときは、遅滞なくその旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(事業計画に定める業務の確保)
第十九条 自動車運送事業者は、天災その他やむを得ない事由がある場合の外、事業計画に定めるところに従い、その業務を行わなければならない。
2 運輸大臣は、自動車運送事業者が前項の規定に違反していると認めるときは、当該自動車運送事業者に対し、事業計画に従い業務を行うべきことを命ずることができる。
(運輸に関する協定)
第二十条 自動車運送事業者は、他の運送事業者又は通運事業者と設備の共用、連絡運輸又は共同経営に関する契約その他運輸に関する協定をしようとするときは、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。
2 運輸大臣は、当該契約又は協定が公衆の利便を増進するものであるときは、前項の認可をしなければならない。
(私的独占禁止法の適用除外)
第二十一条 前条の認可を受けて行う正当な行為及び第三十三条第一項(他の運送事業者又は通運事業者との設備の共用、連絡運輸、共同経営及び運輸に関する協定に関する部分に限る。)の規定による命令によつて行う正当な行為には、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の規定は、適用しない。
(郵便物等の運送)
第二十二条 一般乗合旅客自動車運送事業者は、旅客の運送に附随して、少量の郵便物、新聞紙その他の貨物を運送することができる。
(路線により運送する貨物の集貨及び配達)
第二十三条 一般路線貨物自動車運送事業を経営する者は、運輸大臣が事業区域を指定したときは、第四条の規定にかかわらず、その事業区域内においてその者が路線により運送する貨物を自動車を使用して集貨し、及び配達することができる。
(事業区域外の運送)
第二十四条 事業区域を定める自動車運送事業を経営する者は、その事業区域内と事業区域外とを通ずる区間において運送する場合には、その都度運輸大臣の許可を受けなければならない。
2 運輸大臣は、前項の許可をしようとするときは、当該運送が旅客又は荷主の利便を確保するために必要であり、且つ、当該区間において免許を有する自動車運送事業者によることが困難かどうかを審査しなければならない。
(事故の報告)
第二十五条 自動車運送事業者は、その事業用自動車が転覆し、火災を起し、その他運輸省令で定める重大な事故をひき起したときは、遅滞なく事故の種類、原因その他運輸省令で定める事項を運輸大臣に届け出なければならない。
(従業員)
第二十六条 一般乗合旅客自動車運送事業者又は一般貸切旅客自動車運送事業を経営する者は、自動車の運転者、車掌その他旅客又は公衆に接する従業員に制服を着用させ、又はその他の方法によりその者が従業員であることを表示させなければ、その者をその職務に従事させてはならない。
2 前項に規定するものの外、同項の従業員の服務規律は、運輸省令で定める。
(運転者)
第二十七条 第三条第二項第一号から第三号までの自動車運送事業を経営する者の事業用自動車の運転は、年齢、運転の経歴その他政令で定める一定の要件を備える者でなければ、これをしてはならない。但し、当該運転が旅客の運送を目的としない場合は、この限りでない。
(小児の無賃運送)
第二十八条 一般乗合旅客自動車運送事業者は、旅客の同伴する六歳未満の小児については、旅客一人につき少くとも一人まで無賃で運送しなければならない。
(旅客の禁止行為)
第二十九条 一般乗合旅客自動車運送事業者の事業用自動車を利用する旅客は、他の旅客に危害を及ぼすおそれがある物品若しくは他の旅客の迷惑となるおそれがある物品であつて運輸省令で定めるものを自動車内に持ち込み、又は走行中の自動車内でみだりに自動車の運転者に話しかけ、その他運輸省令で定める行為をしてはならない。
2 前項の旅客は、自動車の車掌その他の従業員から乗車券の点検又は回収のため乗車券の呈示又は交付を求められたときは、これを拒むことができない。
3 一般乗合旅客自動車運送事業者は、前項の規定に違反して乗車券の呈示又は交付を拒んだ旅客又は有効の乗車券を所持しない旅客に対し、その旅客が乗車した区間に対応する運賃及び料金並びにこれと同額の割増運賃及び割増料金の支払を求めることができる。
(省令への委任)
第三十条 この法律に規定するものの外、自動車運送事業者の交付すべき乗車券又は荷物切符、事業用自動車に掲示すべき事項その他旅客又は荷主の利便の確保のために自動車運送事業者が遵守すべき事項は、運輸省令で定める。
(会計)
第三十一条 自動車運送事業者は、その事業年度、勘定科目の分類、帳簿書類の様式その他の会計に関する手続について運輸省令で定めるところに従い、その会計を処理しなければならない。
(公衆の利便を阻害する行為の禁止等)
第三十二条 自動車運送事業者は、旅客又は荷主に対し、不当な運送条件によることを求め、その他公衆の利便を阻害する行為をしてはならない。
2 自動車運送事業者は、自動車運送事業の健全な発達を阻害する結果を生ずるような競争をしてはならない。
3 自動車運送事業者は、特定の旅客又は荷主に対し、不当な差別的取扱をしてはならない。
4 運輸大臣は、前三項に規定する行為があるときは、自動車運送事業者に対し、当該行為の停止又は変更を命ずることができる。
5 運輸大臣は、前項の命令をしようとするときは、当該自動車運送事業者に対し、あらかじめ、期日及び場所を指定して、聴聞をしなければならない。聴聞に際しては、当該自動車運送事業者に対し、意見を述べ、及び証拠を提出する機会が与えられなければならない。
(事業改善の命令)
第三十三条 運輸大臣は、自動車運送事業者の事業について公共の福祉を阻害している事実があると認めるときは、自動車運送事業者に対し、左に掲げる事項を命ずることができる。
一 事業計画を変更すること。
二 運賃、料金又は運送約款を変更すること。
三 自動車その他の輸送施設を改善すること。
四 他の運送事業者又は通運事業者と設備の共用、連絡運輸、共同経営又は運輸に関する協定をすること。
五 旅客又は貨物の円滑な輸送を確保するための措置を講ずること。
六 旅客又は貨物の運送に関し支払うことあるべき損害賠償のため保険契約を締結すること。
2 前項第四号の場合において、当事者が収得し、又は負担すべき金額その他協定の細目は、当事者間の協議により定める。
3 前項の協議がととのわないとき、又は協議することができないときは、運輸大臣は、申請により裁定する。
4 前項の規定による裁定中当事者が収得し、又は負担すべき金額について不服のある者は、その裁定のあつたことを知つた日から六箇月以内に、訴をもつてその金額の増減を請求することができる。但し、裁定のあつた日から一年を経過したときは、この限りでない。
5 前項の訴においては、協定の他の当事者を被告とする。
(運送に関する命令)
第三十四条 運輸大臣は、当該運送が災害の救助その他公共の福祉を維持するため必要であり、且つ、当該運送を行う者がない場合又は著しく不足する場合に限り、自動車運送事業者に対し、運送すべき旅客若しくは貨物、運送すべき区間、これに使用する自動車及び運送条件を指定して運送を命じ、又は旅客若しくは貨物の運送の順序を定めて、これによるべきことを命ずることができる。
2 前項の規定による命令で次条の規定による損失の補償を伴うものは、これによつて必要となる補償金の総額が国会の議決を経た予算の金額をこえない範囲内でこれをしなければならない。
(損失の補償)
第三十五条 前条第一項の規定による命令により損失を受けた者に対しては、その損失を補償する。
2 前項の規定による補償の額は、当該自動車運送事業者がその運送を行つたことにより通常生ずべき損失の額とする。
3 前二項に規定するものの外、損失の補償に関し必要な事項は、運輸省令で定める。
(名義の利用、事業の貸渡等)
第三十六条 自動車運送事業者は、その名義を他人に自動車運送事業のため利用させてはならない。
2 自動車運送事業者は、事業の貸渡その他いかなる方法をもつてするかを問わず、自動車運送事業を他人にその名において経営させてはならない。
(事業用自動車の貸渡)
第三十七条 自動車運送事業者は、その事業用自動車の貸渡をしようとするときは、運輸大臣の許可を受けなければならない。
2 運輸大臣は、その貸渡によつて公衆の利便を害することとなるおそれがあると認める場合を除く外、前項の許可をしなければならない。
(事業の管理の受委託)
第三十八条 自動車運送事業の管理の委託及び受託については、運輸大臣の許可を受けなければならない。
2 運輸大臣は、前項の許可をしようとするときは、左の基準によつて、これをしなければならない。
一 当該事業を継続して運営するために必要であること。
二 受託者が当該事業を管理するのに適している者であること。
(事業の譲渡及び譲受等)
第三十九条 自動車運送事業の譲渡及び譲受は、運輸大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 自動車運送事業者たる法人の合併は、運輸大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。但し、自動車運送事業者たる法人と自動車運送事業を経営しない法人が合併する場合において、自動車運送事業者たる法人が存続するときは、この限りでない。
3 第六条の規定は、前二項の認可について準用する。
4 自動車運送事業者たる法人の合併があつたときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、免許に基く権利義務を承継する。
(相続)
第四十条 自動車運送事業者が死亡した場合において、相続人(相続人が二人以上ある場合においてその協議により当該自動車運送事業を承継すべき相続人を定めたときは、その者)が被相続人の経営していた自動車運送事業を引き続き経営しようとするときは、被相続人の死亡後六十日以内に、運輸大臣の認可を受けなければならない。
2 相続人が前項の認可の申請をした場合においては、被相続人の死亡の日からその認可があつた旨又は認可をしない旨の通知を受ける日までは、被相続人に対してした自動車運送事業の免許は、その相続人に対してしたものとみなす。
3 第六条の規定は、第一項の認可について準用する。
4 第一項の認可を受けた者は、被相続人に係る免許に基く権利義務を承継する。
(事業の休止及び廃止)
第四十一条 自動車運送事業者は、事業の全部又は一部を休止し、又は廃止しようとするときは、運輸大臣の許可を受けなければならない。
2 運輸大臣は、当該休止又は廃止によつて公衆の利便が著しく阻害されるおそれがあると認める場合を除く外、前項の許可をしなければならない。
3 第一項の事業の休止の許可は、一年をこえる期間についてすることができない。
4 前二項の規定は、道路又は橋りようの損壊その他正当な事由に基く事業の休止又は廃止については、適用しない。
5 自動車運送事業者は、事業の全部又は一部を休止し、又は廃止しようとするときは、あらかじめ、その旨を営業所その他の事業所において公衆に見易いように掲示しなければならない。
(法人の解散)
第四十二条 自動車運送事業者たる法人の解散の決議又は総社員の同意は、運輸大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 前条第二項及び第四項の規定は、前項の認可について準用する。
(事業の停止及び免許の取消)
第四十三条 運輸大臣は、自動車運送事業者が左の各号の一に該当するときは、六箇月以内において期間を定めて事業の停止を命じ、又は免許を取り消すことができる。
一 この法律若しくはこの法律に基く命令若しくはこれらに基く処分又は免許、許可若しくは認可に附した条件に違反したとき。
二 正当な理由がないのに許可又は認可を受けた事項を実施しないとき。
三 第六条第二項第一号、第三号又は第四号に該当することとなつたとき。
(免許の失効)
第四十四条 左の場合には、自動車運送事業の免許は、その効力を失う。
一 第七条の期日又は期間内に運輸を開始しないとき。
二 事業の廃止の許可を受けたとき。
三 第四条第四項の規定により限定した期間が満了したとき。
(特定自動車運送事業の特則)
第四十五条 特定自動車運送事業には、第十二条から第十六条まで、第四十一条及び前条第二号の規定は、適用しない。
2 特定自動車運送事業を経営する者は、事業を休止し、又は廃止したときは、その日から三十日以内に、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
3 特定自動車運送事業の免許は、事業の廃止の届出があつたときは、その効力を失う。
(通運事業者の特則)
第四十六条 自動車を使用して通運事業を経営することの免許を受けた者又は通運事業法(昭和二十四年法律第二百四十一号)第十三条の規定により新たに自動車を使用することの認可を受けた者は、第四条第一項、第二十条、第二十一条、第二十四条、第二十五条、第三十条、第三十三条第一項第四号及び第二項から第五項まで、第三十六条、第三十七条及び第四十三条の規定の適用については、運輸大臣の指定する種類及び事業区域について通運事業のためにする貨物自動車運送事業の免許を受けた者とみなす。
第三章 自動車道及び自動車道事業
(免許)
第四十七条 自動車道事業を経営しようとする者は、運輸大臣及び建設大臣の免許を受けなければならない。
2 自動車道事業の免許は、路線について行う。
3 自動車道事業の免許は、通行する自動車の範囲を限定して行うことができる。
(免許申請)
第四十八条 自動車道事業の免許を受けようとする者は、左に掲げる事項を記載した申請書を運輸大臣及び建設大臣に提出しなければならない。
一 予定する路線
二 省令で定める事業計画
三 当該事業の経営が運輸上必要である理由
四 当該事業の開始のための工事の要否
2 前条第三項の規定により通行する自動車の範囲を限定する免許を受けようとする者は、申請書に前項に掲げる事項の外、通行させようとする自動車の範囲をあわせて記載しなければならない。
3 申請書には、一般自動車道の路線図及び事業の施設、事業収支見積その他省令で定める事項を記載した書類を添附しなければならない。
4 運輸大臣及び建設大臣は、申請者に対し、前三項に規定するものの外、商業登記簿の謄本その他必要な書類の提出を求めることができる。
(免許基準)
第四十九条 運輸大臣及び建設大臣は、前条に規定する申請書を受理したときは、その申請が左の各号に適合するかどうかを審査しなければならない。
一 当該事業の開始が公衆の利便を増進するものであること。
二 当該事業の路線の選定が当該事業の経営の目的に適合するものであること。
三 当該一般自動車道の規模が当該地区における交通需要の量及び性質に適合するものであること。
四 当該事業を適確に遂行するに足る能力を有するものであること。
五 前各号に掲げるものの外、当該事業の計画が当該事業の長期にわたる経営の遂行上適切なものであること。
2 運輸大臣および建設大臣は、前項の規定により審査した結果、その申請が同項の基準に適合していると認めたときは、左の場合を除いて、自動車道事業の免許をしなければならない。
一 免許を受けようとする者が一年以上の懲役又は禁この刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過していない者であるとき。
二 免許を受けようとする者が自動車道事業の免許の取消を受け、取消の日から二年を経過していない者であるとき。
三 免許を受けようとする者が営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者又は禁治産者である場合において、その法定代理人が前二号の一に該当する者であるとき。
四 免許を受けようとする者が法人である場合において、その法人の役員が前三号の一に該当する者であるとき。
(工事施行)
第五十条 自動車道事業の免許を受けた者(以下「自動車道事業者」という。)は、一般自動車道の構造及び設備についての工事方法を定め、運輸大臣及び建設大臣の指定する期間内に、工事施行の認可を申請しなければならない。但し、当該事業の用に供する一般自動車道が工事を必要としない場合は、この限りでない。
2 運輸大臣及び建設大臣は、前項の申請があつたときは、その工事方法が事業計画及び次条に規定する基準に適合しないと認める場合を除く外、工事の着手及び完成の期間を指定して、前項の認可をしなければならない。
3 天災その他やむを得ない事由により、第一項の期間内に認可を申請することができないときは、運輸大臣及び建設大臣は、申請により期間を伸長することができる。
(一般自動車道の技術上の基準)
第五十一条 一般自動車道は、道路、鉄道又は軌道と平面交さをすることができない。但し、交通の量が少い場合その他特別の事由がある場合であつて省令で定める設備を設けるときは、この限りでない。
2 一般自動車道は、その幅員、こうばい、曲線、見とおし距離、通信設備その他の構造及び設備について省令で定める技術上の基準に従わなければならない。
(工事の着手)
第五十二条 自動車道事業者は、工事施行の認可を受けたときは、第五十条第二項の工事の着手の期間内に、一般自動車道の工事に着手しなければならない。
2 第五十条第三項の規定は、前項の期間について準用する。
3 自動車道事業者は、第一項の工事に着手したときは、遅滞なくその旨を運輸大臣及び建設大臣に届け出なければならない。
(路線等の公示)
第五十三条 運輸大臣及び建設大臣は、第五十条第一項の規定により一般自動車道の工事施行の認可をしたときは、路線、幅員その他省令で定める事項を公示しなければならない。
(工事方法の変更)
第五十四条 自動車道事業者は、工事方法を変更しようとするときは、運輸大臣及び建設大臣の認可を受けなければならない。但し、路肩の幅員の拡張その他省令で定める軽微な工事方法の変更については、この限りでない。
2 運輸大臣及び建設大臣は、工事方法の変更によつて事業計画及び第五十一条の基準に適合しなくなると認める場合を除く外、前項の認可をしなければならない。
3 自動車道事業者は、第一項但書の工事方法の変更をしたときは、遅滞なくその旨を運輸大臣及び建設大臣に届け出なければならない。
(工事方法変更の命令)
第五十五条 運輸大臣及び建設大臣は、工事の施行中、第五十条第一項の工事施行の認可の際予測することができなかつたような事態が生じたことにより自動車の通行に支障を生ずるおそれがあると認めるときは、自動車道事業者に対し、工事方法の変更を命ずることができる。
(工事の完成)
第五十六条 自動車道事業者は、第五十条第二項の工事の完成の期間内に、一般自動車道の工事を完成しなければならない。
2 第五十条第三項の規定は、前項の期間について準用する。
(工事の完成検査及び供用開始)
第五十七条 自動車道事業者は、一般自動車道の工事を完成したときは、遅滞なく運輸大臣及び建設大臣の検査を受けなければならない。
2 運輸大臣及び建設大臣は、前項の検査の結果、当該一般自動車道の構造及び設備が、第五十条第一項の工事方法(第五十四条又は第五十五条の規定による変更があつたときは、変更があつたもの)に合致し、且つ、工事を要しなかつた部分につき事業計画及び第五十一条の基準に適合すると認めたときは、これを合格としなければならない。
3 自動車道事業者は、一般自動車道について前項の検査の合格があつたときは、遅滞なくその供用を開始しなければならない。
4 自動車道事業者は、一般自動車道の供用を開始したときは、遅滞なくその旨を運輸大臣及び建設大臣に届け出なければならない。
(構造設備の検査及び供用開始)
第五十八条 自動車道事業者は、一般自動車道の工事を必要としないときは、免許の際運輸大臣及び建設大臣が指定する期間内に、一般自動車道の構造及び設備が事業計画及び第五十一条の基準に適合するかどうかについて、運輸大臣及び建設大臣の検査を受けなければならない。
2 前条第三項及び第四項の規定は、前項の検査の合格があつた場合及び供用の開始があつた場合について準用する。
(一部検査及び供用開始)
第五十九条 自動車道事業者は、一般自動車道の一部について運輸大臣及び建設大臣の検査を受けることができる。
2 第五十七条第二項の規定は、前項の検査の場合について準用する。
3 第五十七条第三項及び第四項の規定は、前項の検査の合格があつた場合及び供用の開始があつた場合について準用する。
(事業の再開検査及び供用開始)
第六十条 自動車道事業者は、現に休止している自動車道事業の全部又は一部を再開しようとするときは、一般自動車道の構造及び設備が事業計画及び第五十一条の基準に適合するかどうかについて、運輸大臣及び建設大臣の検査を受けなければならない。
2 第五十七条第三項及び第四項の規定は、前項の検査の合格があつた場合及び供用の開始があつた場合について準用する。
(使用料金)
第六十一条 自動車道事業者は、一般自動車道の使用料金を定め、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。
2 運輸大臣は、前項の認可をしようとするときは、左の基準によつて、これをしなければならない。
一 能率的な経営の下における適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むものであること。
二 特定の使用者に対し不当な差別的取扱をするものでないこと。
三 使用者の使用料金を負担する能力にかんがみ、使用者が当該事業を利用することを困難にするおそれがないものであること。
3 第一項の使用料金は、定額をもつて明確に定められなければならない。
(供用約款)
第六十二条 自動車道事業者は、供用約款を定め、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。
2 第十二条第二項の規定は、前項の認可について準用する。
(保安上の供用制限)
第六十三条 自動車道事業者は、通行する自動車の重量その他省令で定める保安上の供用制限を定め、運輸大臣及び建設大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。
2 運輸大臣及び建設大臣は、前項の認可をしようとするときは、左の基準によつて、これをしなければならない。
一 自動車の通行に対し危険を生ずるおそれがないものであること。
二 一般自動車道の保全を困難にするおそれがないものであること。
三 自動車の通行効率の著しい低下を来さないものであること。
(使用料金等の掲示)
第六十四条 自動車道事業者は、使用料金、供用約款及び前条の規定により認可を受けた事項を営業所その他の事業所において公衆に見易いように掲示しなければならない。
2 第十三条第三項の規定は、前項の規定により掲示した事項を変更しようとする場合について準用する。
(供用義務)
第六十五条 自動車道事業者は、左の場合を除いては、一般自動車道の供用を拒絶してはならない。
一 当該供用の申込が第六十二条の規定により認可を受けた供用約款によらないものであるとき。
二 当該供用の申込が第六十三条の規定により認可を受けた供用制限に該当するとき。
三 当該供用に関し使用者から特別の負担を求められたとき。
四 当該供用により他の自動車の通行に著しく支障を及ぼすおそれがあるとき。
五 当該供用が法令の規定又は公の秩序若しくは善良の風俗に反するものであるとき。
六 天災その他やむを得ない事由により自動車の通行に支障があるとき。
(事業計画の変更)
第六十六条 自動車道事業者は、事業計画を変更しようとするときは、運輸大臣及び建設大臣の認可を受けなければならない。但し、営業所の名称その他省令で定める軽微な事項に係る変更については、この限りでない。
2 運輸大臣及び建設大臣は、前項の認可をしようとするときは、左の基準によつて、これをしなければならない。
一 事業計画の変更によつて公衆の利便を害することとなるおそれがないものであること。
二 事業計画の変更によつて当該一般自動車道の規模が当該地区における交通需要の量及び性質に適合しなくなるおそれがないものであること。
3 自動車道事業者は、第一項但書の事項について事業計画を変更したときは、遅滞なくその旨を運輸大臣及び建設大臣に届け出なければならない。
(構造又は設備の変更)
第六十七条 第五十四条の規定は、自動車道事業者が一般自動車道の構造又は設備の変更をする場合について準用する。
(一般自動車道の管理)
第六十八条 自動車道事業者は、一般自動車道をその構造及び設備が事業計画及び第五十一条の基準に適合するように維持しなければならない。
2 自動車道事業者は、省令で定める方法に従い、一般自動車道を検査しなければならない。
3 自動車道事業者は、一般自動車道が天災その他の事由により自動車の通行に支障を生じたときは、直ちにその通行の禁止その他適切な危害予防の措置を講ずるとともに、その復旧をしなければならない。
4 自動車道事業者は、前項の場合には、遅滞なく省令で定める事項を運輸大臣及び建設大臣に報告しなければならない。
5 自動車道事業者は、道路交通取締法(昭和二十二年法律第百三十号)の規定にかかわらず、政令で定める道路標識を設置しなければならない。
6 一般自動車道を通行する自動車は、前項の道路標識の表示に従わなければならない。
(土地の立入及び使用)
第六十九条 自動車道事業者は、一般自動車道に関する測量、実地調査又は工事のため必要があるときは、都道府県知事の許可を受け、他人の土地に立ち入り、又はその土地を一時材料置場として使用することができる。
2 自動車道事業者は、前項の規定により立入又は使用をしようとするときは、やむを得ない事由がある場合を除く外、あらかじめ、土地の占有者にその旨を通知しなければならない。
3 第一項の規定による立入又は使用によつて生じた損失は、立入又は使用の後、遅滞なく当該事業者においてこれを補償しなければならない。
4 前項の規定に基いて補償すべき損失は、第一項の規定による立入又は使用により通常生ずべき損失とする。
5 第三項の規定による補償について協議がととのわないとき、又は協議することができないときは、都道府県知事は、申請により裁定する。
6 前項の規定による裁定に係る補償金額について不服のある者は、その裁定のあつたことを知つた日から六箇月以内に、訴をもつてその金額の増減を請求することができる。但し、裁定のあつた日から一年を経過したときは、この限りでない。
7 前項の訴においては、当該事業者又は補償を受くべき者を被告とする。
(事業改善の命令)
第七十条 運輸大臣及び建設大臣は、自動車道事業者の事業について公共の福祉を阻害している事実があると認めるときは、自動車道事業者に対し、左に掲げる事項を命ずることができる。
一 事業計画又は第六十三条の供用制限を変更すること。
二 一般自動車道の構造又は設備を改善すること。
2 運輸大臣は、自動車道事業者の事業について公共の福祉を阻害している事実があると認めるときは、自動車道事業者に対し、使用料金又は供用約款の変更を命ずることができる。
(免許の失効)
第七十一条 左の場合には、自動車道事業の免許は、その効力を失う。
一 第五十条第一項及び第三項の期間内に工事施行の認可を申請しないとき。
二 第五十条第一項の規定による申請に対し不認可の処分を受けたとき。
三 第五十二条第一項の期間内に工事に着手しないとき。
四 第五十八条の規定による検査により不合格の処分を受けたとき。
五 事業の廃止の許可を受けたとき。
(準用規定)
第七十二条 自動車道事業には、第九条、第三十一条、第三十二条、第三十六条、第三十八条から第四十条まで、第四十一条第一項、第二項及び第五項、第四十二条並びに第四十三条の規定を準用する。この場合において、これらの規定中「運輸大臣」とあるのは、「運輸大臣及び建設大臣」と読み替えるものとする。
(一般自動車道に接続する道路等の造設)
第七十三条 国又は国の許可を受けた者が、一般自動車道に接続し、若しくは近接し、又はこれを横断して道路法による道路、自動車道、河川、運河、鉄道、軌道又は索道を造設しようとするときは、自動車道事業者は、当該一般自動車道の効用が妨げられる場合を除き、これを拒むことができない。
2 運輸大臣及び建設大臣は、前項の場合において、公共の福祉を確保するため必要があると認めるときは、自動車道事業者に対し、構造若しくは設備の変更又は設備の共用を命ずることができる。
3 前二項の場合において、その実施及びその方法並びに費用の負担につき協議がととのわないときは、運輸大臣及び建設大臣は、申請により裁定する。自動車道事業者が受けた損失の補償についても同様とする。
4 第六十九条第三項及び第四項の規定は、第一項及び第二項の場合について、同条第六項及び第七項の規定は、前項の場合について準用する。
(道路等に接続する一般自動車道の造設)
第七十四条 自動車道事業者は、道路法による道路、河川又は運河の管理者の許可を受けて道路法による道路、河川又は運河に接続し、若しくは近接し、又はこれを横断して一般自動車道を造設することができる。
2 前項の管理者は、当該公共物の効用を妨げない限り、これを許可しなければならない。
(専用自動車道)
第七十五条 専用自動車道には、第五十条から第六十条まで、第六十三条、第六十七条から第七十条まで、第七十三条及び前条の規定を準用する。この場合において、これらの規定中「運輸大臣及び建設大臣」とあるのは、「運輸大臣」と読み替えるものとする。
第四章 国営自動車運送事業及び国営自動車道事業
(自動車運送事業の経営)
第七十六条 国において自動車運送事業を経営しようとするときは、当該官庁は、運輸大臣の承認を受けなければならない。
2 第四条第二項から第四項まで及び第五条の規定は、前項の承認について準用する。
(補償)
第七十七条 路線を定める自動車運送事業を国において経営したため、これと路線を共通にする自動車運送事業を経営する者が、その路線を共通にする部分につき事業を継続して経営することができなくなつたとき、又は著しく収益を減少することとなつたときは、国は、政令で定めるところにより、その自動車運送事業者が受けた損失を補償することができる。その者がその路線を共通にしない部分につき事業を継続して経営することができなくなつたときも同様とする。
(自動車道事業の経営)
第七十八条 国において自動車道事業を経営しようとするときは、当該官庁は、運輸大臣及び建設大臣の承認を受けなければならない。
2 第四十七条第二項及び第三項並びに第四十八条の規定は、前項の承認について準用する。
(適用除外)
第七十九条 国において経営する自動車運送事業及び自動車道事業には、第四条から第七条まで、第十二条、第十八条(重要な事項に係る事業計画の変更であつて運輸省令で定めるものを除く。)、第十九条第二項、第二十条、第二十一条、第三十一条、第三十二条第四項及び第五項、第三十三条から第四十条まで、第四十二条、第四十三条、第四十六条から第五十条まで、第五十二条、第五十四条から第六十条まで、第六十二条、第六十三条、第六十七条、第七十条、第七十二条(第九条並びに第四十一条第一項、第二項及び第五項の規定の準用に関する部分を除く。)、第七十五条(第五十一条、第五十三条、第六十八条、第六十九条、第七十三条及び第七十四条の規定の準用に関する部分を除く。)及び第百二十三条の規定を適用しない。
2 国において経営する自動車運送事業及び自動車道事業について適用される規定中「免許」、「許可」又は「認可」とあるのは、「承認」と読み替えるものとする。
第五章 自動車運送取扱事業
(登録)
第八十条 自動車運送取扱事業を経営しようとする者は、運輸大臣の行う登録を受けなければならない。
2 前項の登録は、第二条第四項各号の種別について行う。
(登録の申請)
第八十一条 自動車運送取扱事業の登録を受けようとする者は、左に掲げる事項を記載した申請書を運輸大臣に提出しなければならない。
一 第二条第四項各号の種別
二 主たる事務所その他の営業所の位置
三 事業の経営上使用する商号及び記号
四 第二条第四項各号の行為の相手方となる自動車運送事業者の氏名又は名称及び住所
五 法人である場合においては、その役員の氏名
2 申請書には、事業の施設、事業収支見積その他運輸省令で定める事項を記載した書類を添附しなければならない。
(登録の実施)
第八十二条 運輸大臣は、前条の規定による登録の申請があつた場合においては、次条第一項の規定により登録を拒否する場合を除く外、左に掲げる事項を自動車運送取扱事業者登録簿に登録しなければならない。
一 前条第一項各号に掲げる事項
二 登録年月日
三 その者の氏名又は名称及び住所
2 運輸大臣は、前項の規定による登録をした場合においては、その旨を登録の申請者に通知しなければならない。
(登録の拒否)
第八十三条 運輸大臣は、登録の申請者が左の各号の一に該当する場合には、その登録を拒否しなければならない。
一 三年以上の懲役又は禁この刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過していない者
二 自動車運送取扱事業の登録を取り消され、その取消の日から二年を経過していない者
三 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者又は禁治産者で、その法定代理人が前二号の一に該当するもの
四 法人で、その役員のうちに前三号の一に該当する者があるもの
五 事業に必要な施設であつて運輸省令で定めるものを有しない者
六 当該事業を遂行するに足る資力信用を有しない者
2 運輸大臣は、前項の規定による登録の拒否をした場合においては、理由を附して、その旨を申請者に通知しなければならない。
(営業開始の届出)
第八十四条 第八十条の登録を受けた者(以下「自動車運送取扱事業者」という。)は、営業を開始したときは、その日から三十日以内に、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(運賃及び料金)
第八十五条 自動車運送取扱事業者は、事業に係る運賃及び料金を定め、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。
2 第八条第二項の規定は、前項の認可について準用する。
(取扱約款)
第八十六条 自動車運送取扱事業者は、取扱約款を定め、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。
2 第十二条第二項の規定は、前項の認可について準用する。
(運賃、料金及び取扱約款の掲示)
第八十七条 自動車運送取扱事業者は、運賃及び料金並びに取扱約款を主たる事務所その他の営業所において公衆に見易いように掲示しなければならない。
2 第十三条第三項の規定は、前項の規定により掲示した事項を変更しようとする場合について準用する。
(登録事項の変更等)
第八十八条 自動車運送取扱事業者は、第八十一条第一項各号に掲げる事項について変更があつたときは、その日から三十日以内に、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
2 第八十二条の規定は、前項の規定による変更の届出があつた場合について準用する。
3 自動車運送取扱事業者は、事業の施設であつて運輸省令で定めるものを変更したときは、その日から三十日以内に、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(禁止行為)
第八十九条 自動車運送取扱事業者は、第八十二条第一項の規定により自動車運送取扱事業者登録簿に登録された自動車運送事業者以外の者と第二条第四項各号に掲げる行為をしてはならない。
(事業施設確保の命令)
第九十条 運輸大臣は、自動車運送取扱事業者が第八十三条第一項第五号の規定により運輸省令で定める事業の施設を有しなくなつたときは、これを備うべきことを命ずることができる。
(事業の休止、廃止等の届出)
第九十一条 自動車運送取扱事業者は、事業を休止したときは、その日から三十日以内に、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
2 自動車運送取扱事業者は、事業を廃止し、又は事業の全部を譲渡したときは、その日から三十日以内に、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
3 自動車運送取扱事業者たる法人が左の各号の一に掲げる場合に該当することとなつたときは、当該各号に掲げる者は、その日から三十日以内に、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
一 法人が合併により消滅した場合においては、その業務を執行する役員であつた者
二 法人が合併又は破産以外の事由により解散した場合においては、その清算人
三 法人が破産により解散した場合においては、その破産管財人
4 自動車運送取扱事業者が死亡したときは、相続人は、被相続人の死亡後三十日以内に、運輸大臣に届け出なければならない。
5 自動車運送取扱事業者が死亡した場合において、相続人が、被相続人の死亡後六十日以内に登録の申請をしたときは、被相続人の死亡の日からその登録があつた旨又は登録を拒否する旨の通知を受ける日までは、被相続人の受けた自動車運送取扱事業の登録は、相続人が受けたものとみなす。
(事業の停止及び登録の取消)
第九十二条 運輸大臣は、自動車運送取扱事業者が左の各号の一に該当するときは、三箇月以内において期間を定めて事業の停止を命じ、又は当該自動車運送取扱事業の登録を取り消すことができる。
一 この法律若しくはこの法律に基く命令又はこれらに基く処分に違反したとき。
二 正当な理由がないのに認可を受けた事項を実施しないとき。
三 第八十三条第一項第一号、第三号又は第四号に該当することとなつたとき。
2 第三十二条第五項の規定は、運輸大臣が前項の行為をしようとする場合について準用する。
(登録のまつ消)
第九十三条 運輸大臣は、第九十一条第二項、第三項及び第四項の規定による届出があつたとき、又は前条の規定により登録の取消をしたときは、当該自動車運送取扱事業の登録をまつ消しなければならない。
2 第八十二条第二項の規定は、前項の規定により登録をまつ消した場合について準用する。
(附帯業務)
第九十四条 第八十五条から第八十七条までの規定は、自動車運送取扱事業者が当該事業に附帯して行う貨物の荷造及び仕分、代金の取立及び立替その他通常自動車運送取扱事業に附帯する業務について準用する。
(準用規定)
第九十五条 自動車運送取扱事業には、第三十二条第一項及び第三項から第五項まで並びに第三十六条の規定を準用する。
第六章 軽車両運送事業
(事業に関する届出)
第九十六条 軽車両運送事業を経営しようとする者は、運輸省令で定める事項を行政庁に届け出なければならない。軽車両運送事業を経営する者(以下「軽車両運送事業者」という。)が、届出をした事項を変更しようとするときも同様とする。
(事業停止の命令)
第九十七条 行政庁は、軽車両運送事業者がこの法律又はこの法律に基く処分に違反したときは、三箇月以内において期間を定めて事業の停止を命ずることができる。
2 第三十二条第五項の規定は、行政庁が前項の命令をしようとする場合について準用する。
(準用規定)
第九十八条 軽車両運送事業には、第三十二条第一項及び第九十一条第一項から第四項までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「運輸大臣」とあるのは、「行政庁」と読み替えるものとする。
第七章 自家用自動車の使用
(使用等の届出)
第九十九条 事業用自動車以外の自動車(以下「自家用自動車」という。)を使用しようとする者は、運輸省令で定める事項を運輸大臣に届け出なければならない。自家用自動車を使用する者が、届出をした事項を変更しようとするときも同様とする。
2 自家用自動車を使用する者は、自家用自動車の使用を廃止したときは、その日から三十日以内に、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(共同使用の許可)
第百条 自家用自動車を共同で使用しようとする者は、運輸大臣の許可を受けなければならない。
2 運輸大臣は、自家用自動車の共同使用の態様が自動車運送事業の経営に類似していると認める場合を除く外、前項の許可をしなければならない。
(有償運送の禁止及び賃貸の制限)
第百一条 自家用自動車は、有償で運送の用に供してはならない。但し、災害のため緊急を要するとき、又は公共の福祉を確保するためやむを得ない場合であつて運輸大臣の許可を受けたときは、この限りでない。
2 自家用自動車は、運輸大臣の許可を受けなければ、有償で貸し渡してはならない。
3 前条第二項の規定は、前項の許可について準用する。
(使用の制限及び禁止)
第百二条 運輸大臣は、自家用自動車を使用する者が左の各号の一に該当するときは、六箇月以内において期間を定めて自家用自動車の使用を制限し、又は禁止することができる。
一 第四条の免許を受けないで、自家用自動車を使用して自動車運送事業を経営したとき。
二 第百条の許可を受けないで、自家用自動車を共同の使用に供したとき。
三 有償で自家用自動車を運送の用に供したとき(前条第一項但書の場合を除く。)。
四 前条第二項の許可を受けないで、有償で自家用自動車を貸し渡したとき。
2 第三十二条第五項の規定は、運輸大臣が前項の行為をしようとする場合について準用する。
第八章 道路運送審議会
(設置)
第百三条 道路運送審議会は、陸運局ごとに、これを置く。
2 道路運送審議会の名称は、左の通りとする。
東京道路運送審議会
名古屋道路運送審議会
大阪道路運送審議会
広島道路運送審議会
高松道路運送審議会
福岡道路運送審議会
新潟道路運送審議会
仙台道路運送審議会
札幌道路運送審議会
(諮問事項)
第百四条 陸運局長は、その権限に属する左に掲げる事項については、道路運送審議会にはかり、その決定を尊重して、これをしなければならない。
一 自動車運送事業の免許
二 自動車運送事業の停止及び免許の取消
三 自動車運送事業における基本的な運賃及び料金に関する認可
2 前項各号に掲げる事項のうち、道路運送審議会が軽微なものと認めるものについては、陸運局長は、道路運送審議会にはからないでこれを行うことができる。
(建議)
第百五条 道路運送審議会は、道路運送の改善に関し、関係行政庁に建議をすることができる。
(組織)
第百六条 東京道路運送審議会は委員八人、名古屋道路運送審議会及び福岡道路運送審議会は委員各七人、大阪道路運送審議会は委員六人、広島道路運送審議会は委員五人、高松道路運送審議会、新潟道路運送審議会、仙台道路運送審議会及び札幌道路運送審議会は委員各四人をもつて組織する。
(委員の任命)
第百七条 委員は、道路運送審議会が置かれる陸運局の管轄区域をそれぞれの区域とする都道府県について当該都道府県知事が推薦する候補者のうちから、都府県にあつては一人ずつを、北海道にあつては四人を運輸大臣が任命する。
2 各都道府県知事が推薦する候補者の数は、任命されるべき委員の数の二倍以上でなければならない。
(委員の欠格事由)
第百八条 国会議員又は地方公共団体の議会の議員は、委員であることができない。
(委員の任期)
第百九条 委員の任期は、三年とする。但し、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 委員は、再任されることができる。
(事業からの隔離)
第百十条 委員は、任期中、いかなる形式においても道路運送に関する事業者団体に加入してはならず、且つ、道路運送に関する事業の役員となり、これらの事業の経営に参加し、これらの事業から報酬を受け、又はこれらの事業の経営に影響を及ぼすおそれがあるほどの投資をしてはならない。但し、これらの事業が当該委員の属する道路運送審議会が置かれる陸運局の管轄区域内において業務を行わない場合には、これらの事業から報酬を受け、又はこれらの事業に投資することを妨げない。
(委員の罷免)
第百十一条 運輸大臣は、委員が心身の故障のため職務の執行ができないと認める場合又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認める場合においては、当該道路運送審議会の同意を得て、これを罷免することができる。
(会長)
第百十二条 道路運送審議会に会長を置き、委員の互選により選任する。
2 会長は、会務を総理する。
3 道路運送審議会は、あらかじめ、委員のうちから、会長に事故がある場合に会長の職務を代行する者を定めて置かなければならない。
(議決方法)
第百十三条 道路運送審議会は、委員の過半数の出席がなければ、議事を開き、議決をすることができない。
2 道路運送審議会の議事は、出席者の過半数をもつて決する。可否同数のときは、会長の決するところによる。
3 特定の事案につき特別の利害関係を有する委員は、当該事案に係る議決に参加することができない。
4 道路運送審議会は、関係行政庁の職員をその会議に出席させて必要な説明を求めることができる。
(議事の記録)
第百十四条 道路運送審議会の議事の概要は、これを記録しなければならない。
(公聴会)
第百十五条 道路運送審議会は、左に掲げる事項について必要があると認めるときは、公聴会を開くことができる。
一 第百四条第一項の規定により附議された事項
二 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)第五十五条第二項の規定により運輸審議会から、情報、資料若しくは意見の提出、報告又は調査を求められた事項
2 道路運送審議会は、前項第一号に掲げる事項につき陸運局長の指示若しくは道路運送審議会の定める利害関係人の申請又は同項第二号に掲げる事項につき運輸審議会の要求があつたときは、公聴会を開かなければならない。
3 公聴会において取り扱われた事項は、できるだけ速記の方法により正確に記録しなければならない。
(記録の閲覧)
第百十六条 第百十四条及び前条第三項に規定する記録は、一般からの申出があつたときは、その閲覧に供しなければならない。
(調査等)
第百十七条 道路運送審議会は、その職務を行うため、必要があると認めるときは、左の各号に掲げる事項を行うことができる。
一 公務所又は道路運送事業者若しくはその組織する団体その他の関係者に対し、必要な報告、情報又は資料を求めること。
二 関係人又は参考人に対し、出頭を求めてその意見又は報告を徴すること。
2 前項第二号の規定により出頭を求められた関係人又は参考人は、政令で定めるところにより、旅費及び手当を請求することができる。
(庶務)
第百十八条 道路運送審議会の庶務は、陸運局において処理する。
(省令への委任)
第百十九条 この法律に規定するものの外、道路運送審議会の議事規則その他道路運送審議会に関し必要な事項は、運輸省令で定める。
第九章 雑則
(免許等の条件)
第百二十条 免許、許可又は認可には条件を附し、及びこれを変更することができる。
2 前項の条件は、公衆の利益を増進し、又は免許、許可若しくは認可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最少限度のものに限り、且つ、当該道路運送事業者に不当な義務を課することとならないものでなければならない。
(訴願)
第百二十一条 この法律又はこの法律に基く命令の規定により行政庁のした処分に不服のある者は、訴願をすることができる。
(職権の委任等)
第百二十二条 この法律に規定する運輸大臣又は運輸大臣及び建設大臣の職権の一部は、政令で定めるところにより、左の各号の区分に従い、各々その号の定める下級の行政庁に委任することができる。
一 第二章、第五章及び第七章に規定する職権については陸運局長又は都道府県知事
二 第三章に規定する職権については陸運局長又は陸運局長及び都道府県知事
2 第六章に規定する行政庁は、左の各号に定める区分による。
一 旅客軽車両運送事業に関する事項については都知事(特別区の区域に限る。)又は市町村長
二 貨物軽車両運送事業に関する事項については都道府県知事
(地方公共団体の区域内における一般乗合旅客自動車運送事業)
第百二十三条 運輸大臣は、一般乗合旅客自動車運送事業につき第四条、第十八条(自動車の運行系統及び運行回数の変更に係るものに限る。)、第二十条、第四十一条又は第四十二条の規定による処分をしようとする場合において、その路線が特別区の区域内又は政令で定める市の区域内にあるときは、その区域内の路線につき当該都知事又は市長の意見を徴しなければならない。
(道路管理者の意見の徴取)
第百二十四条 運輸大臣は、路線を定める自動車運送事業につき第四条第一項又は第十八条第一項(自動車の大きさ又は重量の増加を伴う事業計画の変更に限る。)の規定による処分をしようとするときは、省令で定めるところにより、当該処分により必要となる道路法による道路の構造及び設備に関する道路管理上の措置につき、当該道路管理者の意見を徴しなければならない。
(道路運送に関する団体)
第百二十五条 道路運送事業者その他の自動車又は軽車両を使用する者が道路運送の振興を図るため組織する団体は、その成立の日から三十日以内に、省令で定める事項について運輸大臣又は運輸大臣及び建設大臣に届け出なければならない。
(報告及び検査)
第百二十六条 当該行政庁は、第一条の目的を達成するため必要があると認めるときは、道路運送事業者その他の自動車若しくは軽車両を所有し、若しくは使用する者又はこれらの者の組織する団体に、省令で定める手続に従い、事業又は自動車若しくは軽車両の所有若しくは使用に関し、報告をさせることができる。
2 当該職員は、第一条の目的を達成するため必要があると認めるときは、道路運送事業者の事業場、自動車若しくは軽車両の所在する場所又は自動車に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査し、又は関係者に質問することができる。
3 前項の場合には、当該職員は、その身分を示す証票を携帯し、且つ、関係者の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。
4 第二項の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(自動車に関する表示)
第百二十七条 自動車(軽自動車たる自家用自動車、乗車定員十人以下の乗用の自家用自動車、特殊自動車たる自家用自動車その他運輸省令で定めるものを除く。)を使用する者は、その自動車の外側に、使用者の氏名、名称又は記号その他の運輸省令で定める事項を見易いように表示しなければならない。
第十章 罰則
第百二十八条 左の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第四条第一項の規定に違反して自動車運送事業を経営した者
二 第三十六条(第七十二条において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
三 第四十七条第一項の規定に違反して自動車道事業を経営した者
第百二十九条  左の各号の一に該当する者は、五万円以下の罰金に処する。
一 第八条第一項又は第六十一条第一項の規定による認可を受けないで、又は認可を受けた運賃若しくは料金によらないで運賃又は料金を収受した者
二 第九条(第七十二条において準用する場合を含む。)の規定に違反して運賃又は料金の割戻をした者
三 第四十三条(第七十二条において準用する場合を含む。)の規定による事業の停止の処分に違反した者
四 第八十条第一項の規定に違反して自動車運送取扱事業を経営した者
五 第九十五条において準用する第三十六条の規定に違反した者
第百三十条 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第十二条第一項、第十八条第一項、第二十条第一項、第二十四条第一項、第三十七条第一項、第三十八条第一項(第七十二条において準用する場合を含む。)、第四十一条第一項(第七十二条において準用する場合を含む。)、第五十四条第一項(第六十七条(第七十五条において準用する場合を含む。)及び第七十五条において準用する場合を含む。)、第六十二条第一項、第六十三条第一項(第七十五条において準用する場合を含む。)、第六十六条第一項、第八十六条第一項(第九十四条において準用する場合を含む。)、第百条第一項又は第百一条第二項の規定により許可又は認可を受けてしなければならない事項を許可又は認可を受けないでした者
二 第十九条第二項、第三十三条第一項、第三十四条第一項、第五十五条(第七十五条において準用する場合を含む。)、第七十条(第七十五条において準用する場合を含む。)、第七十三条第二項(第七十五条において準用する場合を含む。)又は第九十条の規定による命令に違反した者
三 第十五条、第六十五条、第六十八条第五項、第八十九条又は第百一条第一項の規定に違反した者
四 第三十二条第四項(第七十二条及び第九十五条において準用する場合を含む。)、第九十七条第一項又は第百二条第一項の規定による処分に違反した者
五 第八十五条第一項(第九十四条において準用する場合を含む。)の規定による認可を受けないで、又は認可を受けた運賃若しくは料金によらないで運賃又は料金を収受した者
六 第九十二条第一項の規定による事業の停止の処分に違反した者
七 第九十六条の規定に違反した者
八 第百二十六条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
九 第百二十六条第二項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対し虚偽の陳述をした者
第百三十一条 第五十七条第一項(第七十五条において準用する場合を含む。)、第五十八条第一項(第七十五条において準用する場合を含む。)又は第六十条第一項(第七十五条において準用する場合を含む。)の規定による検査を受けないで自動車道の供用を開始した者は、六月以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。但し、第五十九条第一項(第七十五条において準用する場合を含む。)の規定により自動車道の一部につき検査を受けた者がその部分につき供用を開始した場合は、この限りでない。
第百三十二条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務若しくは所有し、若しくは使用する自動車若しくは軽車両に関し、第百二十八条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため、当該業務に対し、相当の注意及び監督が尽されたことの証明があつたときは、その法人又は人については、この限りでない。
第百三十三条 自動車道若しくはその標識を損壊し、又はその他の方法で自動車道における自動車の往来の危険を生ぜしめた者は、五年以下の懲役に処する。
2 前項の未遂罪は、これを罰する。
3 みだりに第六十八条第五項の規定による道路標識に類似し、又はその効果を妨げるような工作物を設置した者は、六月以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
第百三十四条 人の現在する一般乗合旅客自動車運送事業者の事業用自動車を転覆させ、又は破壊した者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の罪を犯し因つて人を傷つけた者は、一年以上の有期懲役に処し、死亡させた者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
3 第一項の未遂罪は、これを罰する。
第百三十五条 第百三十三条第一項の罪を犯し因つて自動車を転覆させ、又は破壊した者も前条の例による。
第百三十六条 過失に因り第百三十三条第一項又は第百三十四条第一項の罪を犯した者は、二万円以下の罰金に処する。その業務に従事する者が犯したときは、一年以下の禁こ又は三万円以下の罰金に処する。
第百三十七条 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 一般乗合旅客自動車運送事業者の事業用自動車の乗務員の職務の執行を妨げた者
二 一般乗合旅客自動車運送事業者の事業用自動車に石類を投げつけた者
三 第二十九条第一項の規定に違反した者
四 第六十八条第六項の規定に違反した者
第百三十八条 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の過料に処する。
一 第十三条、第四十一条第五項(第七十二条において準用する場合を含む。)、第六十四条、第八十七条(第九十四条において準用する場合を含む。)又は第百二十七条の規定による掲示若しくは表示をせず、又は虚偽の掲示若しくは表示をした者
二 第十六条、第二十五条、第四十五条第二項、第六十八条第四項(第七十五条において準用する場合を含む。)、第八十四条、第八十八条第一項若しくは第三項、第九十一条第一項から第四項まで、(第九十八条において準用する場合を含む。)、第九十九条又は第百二十五条の規定に違反した者
附 則
この法律は、昭和二十六年七月一日から施行する。但し、第八条第二項及び第三項、第九条から第十一条まで、第六十一条第二項及び第三項、第七十二条(第九条の規定の準用に関する部分に限る。)、第八十五条第二項並びに第九十四条(第八十五条第二項の規定の準用に関する部分に限る。)の規定は、道路運送事業の運賃又は料金につき、物価統制令(昭和二十一年勅令第百十八号)第四条又は同令第七条の規定による統制額の存する間は、その統制額の存する部分については、適用しない。
内閣総理大臣 吉田茂
運輸大臣 山崎猛
建設大臣 増田甲子七