(生活関連等施設の安全確保)
第百二条 都道府県知事は、武力攻撃事態等において、武力攻撃災害の発生又はその拡大を防止するため、次の各号のいずれかに該当する施設で政令で定めるもの(以下この条において「生活関連等施設」という。)のうち当該都道府県の区域内に所在するものの安全の確保が特に必要であると認めるときは、関係機関の意見を聴いて、当該生活関連等施設の管理者に対し、当該生活関連等施設の安全の確保のため必要な措置を講ずるよう要請することができる。
一 国民生活に関連を有する施設で、その安全を確保しなければ国民生活に著しい支障を及ぼすおそれがあると認められるもの
二 その安全を確保しなければ周辺の地域に著しい被害を生じさせるおそれがあると認められる施設
2 指定行政機関の長又は指定地方行政機関の長は、武力攻撃事態等において、武力攻撃災害の発生又はその拡大を防止するため、生活関連等施設の安全の確保が緊急に必要であると認めるときは、関係機関の意見を聴いて、自ら前項の規定による要請を行うことができる。この場合において、当該要請を行ったときは、直ちに、その旨を当該生活関連等施設の所在する都道府県の知事に通知しなければならない。
3 指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長並びに地方公共団体の長等は、武力攻撃事態等においては、武力攻撃災害の発生又はその拡大を防止するため、それぞれその国民の保護に関する計画で定めるところにより、生活関連等施設のうちその管理に係るものについて、警備の強化その他当該生活関連等施設の安全の確保に関し必要な措置を講じなければならない。
4 第一項若しくは第二項の規定による要請に応じて必要な措置を講じようとする生活関連等施設の管理者又は前項の規定により必要な措置を講じようとする指定行政機関の長若しくは指定地方行政機関の長若しくは地方公共団体の長等は、都道府県警察、消防機関(消防組織法(昭和二十二年法律第二百二十六号)第九条各号に掲げる機関をいう。第百十九条第三項及び第四項において同じ。)その他の行政機関に対し、その管理に係る生活関連等施設の安全の確保のため必要な支援を求めることができる。
5 都道府県公安委員会又は海上保安部長等は、武力攻撃事態等において、武力攻撃災害の発生又はその拡大を防止するため、都道府県知事から要請があったとき、又は事態に照らして特に必要があると認めるときは、生活関連等施設の敷地及びその周辺の区域のうち、当該生活関連等施設の安全を確保するため立入りを制限する必要があるものを、立入制限区域として指定することができる。
6 都道府県公安委員会及び海上保安部長等は、前項の立入制限区域を指定したときは、速やかに、その旨を生活関連等施設の管理者に通知するとともに、その立入制限区域の範囲、立入りを制限する期間その他必要な事項を公示しなければならない。
7 警察官又は海上保安官は、第五項の立入制限区域が指定されたときは、特に生活関連等施設の管理者の許可を得た者以外の者に対し、当該立入制限区域への立入りを制限し、若しくは禁止し、又は当該立入制限区域からの退去を命ずることができる。
8 内閣総理大臣は、武力攻撃事態等において、武力攻撃災害の発生又はその拡大を防止するため、生活関連等施設及びその周辺の地域の安全の確保が特に必要であると認めるときは、対処基本方針に基づき、関係大臣を指揮し、危険の防除、周辺住民の避難その他当該生活関連等施設の安全の確保に関し必要な措置を講じさせることができる。この場合において、国家公安委員会は、関係都道府県公安委員会に対し、第五項の規定による立入制限区域の指定について必要な指示をすることができる。
(危険物質等に係る武力攻撃災害の発生の防止)
第百三条 指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長並びに地方公共団体の長は、武力攻撃事態等において、引火若しくは爆発又は空気中への飛散若しくは周辺地域への流出により人の生命、身体又は財産に対する危険が生ずるおそれがある物質(生物を含む。)で政令で定めるもの(以下この条及び第百七条において「危険物質等」という。)に係る武力攻撃災害の発生を防止するため必要があると認めるときは、この法律その他法令の規定に基づき、それぞれその国民の保護に関する計画で定めるところにより、当該危険物質等に係る武力攻撃災害の発生を防止するため必要な措置を講じなければならない。
2 前項の場合において、指定行政機関の長若しくは指定地方行政機関の長又は地方公共団体の長は、危険物質等の占有者、所有者、管理者その他の危険物質等を取り扱う者(次項及び第四項において「危険物質等の取扱者」という。)に対し、危険物質等の取扱所の警備の強化を求めることができる。
3 指定行政機関の長若しくは指定地方行政機関の長又は地方公共団体の長は、武力攻撃事態等において、危険物質等に係る武力攻撃災害の発生を防止するため緊急の必要があると認めるときは、政令で定める区分に応じ、危険物質等の取扱者に対し、次に掲げる措置のうち政令で定めるものを講ずべきことを命ずることができる。
一 危険物質等の取扱所の全部又は一部の使用の一時停止又は制限
二 危険物質等の製造、引渡し、貯蔵、移動、運搬又は消費の一時禁止又は制限
4 指定行政機関の長若しくは指定地方行政機関の長又は地方公共団体の長は、前項の措置を講ずべきことを命ずるため必要があると認めるときは、危険物質等の取扱者に対し、危険物質等の管理の状況について報告を求めることができる。
5 前各項の規定は、危険物質等に係る武力攻撃災害が発生した場合において、これを防除し、及び軽減するときについて準用する。
(石油コンビナート等に係る武力攻撃災害への対処)
第百四条 武力攻撃に伴って発生した石油コンビナート等特別防災区域(石油コンビナート等災害防止法(昭和五十年法律第八十四号)第二条第二号の石油コンビナート等特別防災区域をいう。)に係る災害への対処に関する同法の規定の適用については、同法第二十三条第一項及び第二十四条中「石油コンビナート等防災計画」とあるのは「石油コンビナート等防災計画(特定事業者が指定公共機関又は指定地方公共機関である場合にあつては、その国民の保護に関する業務計画及び石油コンビナート等防災計画)」と、同法第二十三条第二項中「石油コンビナート等防災計画」とあるのは「当該市町村の国民の保護に関する計画及び石油コンビナート等防災計画」と、「石油コンビナート等防災本部」とあるのは「都道府県知事、石油コンビナート等防災本部」と、同法第二十六条中「石油コンビナート等防災計画」とあるのは「それぞれその国民の保護に関する計画又は国民の保護に関する業務計画及び石油コンビナート等防災計画」と、「石油コンビナート等防災本部」とあるのは「都道府県知事及び石油コンビナート等防災本部」とする。
(武力攻撃原子力災害への対処)
第百五条 原子力防災管理者(原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号)第九条第一項の原子力防災管理者をいう。第百九十二条第二号において同じ。)は、武力攻撃に伴って、放射性物質又は放射線が原子力事業所(同法第二条第四号の原子力事業所をいう。第七項において同じ。)外(事業所外運搬(同条第二号の事業所外運搬をいう。以下この項及び第三項において同じ。)の場合にあっては、当該運搬に使用する容器外。第七項において同じ。)へ放出され、又は放出されるおそれがあると認めるときは、政令で定めるところにより、直ちに、その旨を指定行政機関の長(同法第三十四条第二項に規定する主務大臣に限る。以下この項から第四項まで及び次条において同じ。)、所在都道府県知事(同法第七条第二項の所在都道府県知事をいう。以下この条において同じ。)、所在市町村長(同項の所在市町村長をいう。第三項及び第四項において同じ。)及び関係隣接都道府県知事(同条第二項の関係隣接都道府県知事をいう。以下この条において同じ。)に(事業所外運搬に係る事実の発生の場合にあっては、指定行政機関の長並びに当該事実が発生した場所を管轄する都道府県知事及び市町村長に)通報しなければならない。この場合において、所在都道府県知事及び関係隣接都道府県知事は、関係周辺市町村長(同項の関係周辺市町村長をいう。)にその旨を通報するものとする。
2 指定行政機関の長は、前項前段の規定による通報を受けたときは、その国民の保護に関する計画で定めるところにより、直ちに、その旨を対策本部長に報告するとともに、関係指定公共機関に通知しなければならない。
3 所在都道府県知事、所在市町村長及び関係隣接都道府県知事(事業所外運搬に係る事実の発生の場合にあっては、当該事実が発生した場所を管轄する都道府県知事及び市町村長。次項において同じ。)は、第一項に規定する事実があると認めるときは、それぞれその国民の保護に関する計画で定めるところにより、直ちに、その旨を指定行政機関の長に通報しなければならない。
4 第二項の規定は、指定行政機関の長が第一項に規定する事実があると認めるとき、又は指定行政機関の長が前項の規定による通報を受けたときについて準用する。この場合において、指定行政機関の長は、併せて所在都道府県知事、所在市町村長及び関係隣接都道府県知事並びに原子力事業者(原子力災害対策特別措置法第二条第三号の原子力事業者をいう。第十三項において同じ。)に通知しなければならない。
5 第一項後段の規定は、所在都道府県知事及び関係隣接都道府県知事が前項後段の規定による通知を受けた場合について準用する。この場合において、第一項後段中「通報する」とあるのは、「通知する」と読み替えるものとする。
6 都道府県知事は、第一項前段の規定による通報又は第四項後段の規定による通知を受けたときは、その国民の保護に関する計画で定めるところにより、直ちに、その旨を関係指定地方公共機関に通知しなければならない。
7 対策本部長は、第二項(第四項において準用する場合を含む。)の規定による報告があった場合において、武力攻撃に伴って放射性物質又は放射線が原子力事業所外へ放出されることにより、人の生命、身体又は財産に対する危険が生ずるおそれがあると認めるときは、直ちに、次に掲げる事項の公示をしなければならない。
一 武力攻撃に伴って原子力事業所外へ放出される放射性物質又は放射線による被害(以下この条において「武力攻撃原子力災害」という。)の発生又はその拡大を防止するための応急の対策(以下この条において「応急対策」という。)を実施すべき区域(以下この条において「応急対策実施区域」という。)
三 前二号に掲げるもののほか、応急対策実施区域内の住民及び公私の団体に対し周知させるべき事項
8 第四十五条及び第四十六条の規定は、対策本部長が前項の公示をした場合について準用する。
9 内閣総理大臣は、第七項の公示があったときは、対策本部長の求めに応じ、対処基本方針に基づき、関係大臣を指揮し、応急対策を実施させなければならない。
10 対策本部長は、第七項の公示をしたときは、直ちに、応急対策実施区域を管轄する都道府県知事に対し、住民の避難その他の所要の応急対策を実施すべきことを指示しなければならない。
11 都道府県知事は、第七項の公示があった場合において、武力攻撃原子力災害の発生又はその拡大を防止するため必要があると認めるときは、市町村長に対し、所要の応急対策を実施すべきことを指示することができる。
12 対策本部長は、第七項の場合において、応急対策を実施する必要がなくなったと認めるときは、速やかに、原子力安全委員会の意見を聴いて、同項の公示を取り消す旨の公示をするものとする。
13 原子力災害対策特別措置法第二十五条の規定は第一項に規定する事実が発生した場合について、同法第二十六条の規定は第七項の公示があった場合について、同法第二十七条の規定は前項の規定による公示があった場合について準用する。この場合において、同法第二十五条第一項中「第十条第一項の政令で定める事象」とあるのは「第一項に規定する事実」と、同項及び同条第二項中「の定めるところにより」とあるのは「で定める例により」と、同条第一項並びに同法第二十六条第一項第一号、第二号及び第五号中「原子力災害」とあるのは「武力攻撃原子力災害」と、同法第二十五条第二項中「主務大臣」とあるのは「指定行政機関の長(原子力災害対策特別措置法第三十四条第二項に規定する主務大臣に限る。)」と、「事象」とあるのは「事実」と、同法第二十六条(見出しを含む。)中「緊急事態応急対策」とあるのは「応急対策」と、同条第一項第一号中「原子力緊急事態宣言」とあるのは「第七項の公示の内容」と、「避難の勧告又は指示」とあるのは「住民の避難」と、同項第八号中「原子力災害(原子力災害が生ずる蓋然性を含む。)の拡大の防止」とあるのは「武力攻撃原子力災害の発生又はその拡大の防止」と、同条第二項中「原子力緊急事態宣言」とあるのは「第七項の公示」と、「原子力緊急事態解除宣言」とあるのは「前項の規定による公示」と、同項及び同法第二十七条第二項中「指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長、地方公共団体の長その他の執行機関、指定公共機関及び指定地方公共機関」とあるのは「指定行政機関の長等」と、「法令、防災計画又は原子力事業者防災業務計画の定めるところにより」とあるのは「法令の規定に基づき、それぞれその国民の保護に関する計画又は国民の保護に関する業務計画で定めるところにより(原子力事業者については、原子力事業者防災業務計画で定める例により)」と、同法第二十六条第三項及び第二十七条第三項中「法令、防災計画又は原子力事業者防災業務計画の定めるところにより」とあるのは「法令若しくは指定行政機関及び地方公共団体の国民の保護に関する計画で定めるところにより、又は原子力事業者防災業務計画で定める例により」と、「地方公共団体の長その他の執行機関」とあるのは「地方公共団体の長等」と、同条の見出し並びに同条第二項及び第三項中「原子力災害事後対策」とあるのは「事後対策」と、同条第一項中「原子力災害事後対策」とあるのは「事後対策(前項の規定による公示があった時以後において、武力攻撃原子力災害の発生若しくはその拡大の防止又は武力攻撃原子力災害の復旧を図るため実施すべき対策をいう。以下この条において同じ。)」と、同項第一号中「緊急事態応急対策実施区域その他」とあるのは「応急対策実施区域その他」と、同号及び同項第三号中「緊急事態応急対策実施区域等」とあるのは「応急対策実施区域等」と、同項第四号中「原子力災害(原子力災害が生ずる蓋然性を含む。)の拡大の防止又は原子力災害の復旧」とあるのは「武力攻撃原子力災害の発生若しくはその拡大の防止又は武力攻撃原子力災害の復旧」と読み替えるものとする。
14 原子力防災専門官(原子力災害対策特別措置法第三十条第一項の原子力防災専門官をいう。)は、第一項前段又は第三項の規定による通報があったときは、その状況の把握のため必要な情報の収集、地方公共団体が行う情報の収集に関する助言その他武力攻撃原子力災害の発生又はその拡大の防止の円滑な実施に必要な業務を行うものとする。
15 国及び地方公共団体は、前二項の規定による措置を講ずる者の安全の確保に関し十分に配慮しなければならない。
(原子炉等に係る武力攻撃災害の発生等の防止)
第百六条 指定行政機関の長は、武力攻撃事態等において、核燃料物質(原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)第三条第二号の核燃料物質をいう。以下この条において同じ。)若しくは核燃料物質によって汚染された物又は原子炉(同条第四号の原子炉をいう。以下この条において同じ。)に係る武力攻撃災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、当該武力攻撃災害の発生又はその拡大を防止するため緊急の必要があると認めるときは、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)第六十四条第一項に規定する者に対し、同条第三項各号に掲げる区分に応じ、同項の製錬施設、加工施設、原子炉施設、使用済燃料貯蔵施設、再処理施設、廃棄物埋設施設若しくは廃棄物管理施設又は使用施設の使用の停止、核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物の所在場所の変更その他当該核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物又は原子炉に係る武力攻撃災害の発生又はその拡大を防止するため必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。
(放射性物質等による汚染の拡大の防止)
第百七条 内閣総理大臣は、武力攻撃に伴って放射性物質、放射線、サリン等(サリン等による人身被害の防止に関する法律(平成七年法律第七十八号)第二条に規定するサリン等をいう。)若しくはこれと同等以上の毒性を有すると認められる化学物質、生物剤(細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約等の実施に関する法律(昭和五十七年法律第六十一号)第二条第一項に規定する生物剤をいう。)若しくは毒素(同条第二項に規定する毒素をいう。)又は危険物質等による汚染(以下単に「汚染」という。)が生じたことにより、人の生命、身体又は財産に対する危険が生ずるおそれがあると認めるときは、対処基本方針に基づき、関係大臣を指揮し、汚染の発生の原因となる物の撤去、汚染の除去その他汚染の拡大を防止するため必要な措置を講じさせなければならない。この場合において、国民の生命、身体又は財産を保護するため緊急の必要があると認めるときは、併せて被災者の救難及び救助に関する措置その他必要な措置を講じさせなければならない。
2 前項前段の場合において、内閣総理大臣は、国民の生命、身体又は財産を保護するため緊急の必要があると認めるときは、関係都道府県知事に対し、汚染の拡大を防止するため必要な協力を要請することができる。
3 前項の場合において、都道府県知事は、汚染の拡大を防止するための措置を迅速に講ずる必要があると認めるときは、関係市町村長、関係消防組合の管理者若しくは長又は警視総監若しくは道府県警察本部長に対し、必要な協力を要請することができる。
4 内閣総理大臣は、放射性降下物による障害の防止に関する対策について、原子力安全委員会に対し、汚染の拡大を防止するための措置の実施に関する技術的事項に関し必要な助言を求めることができる。
第百八条 前条第一項又は第二項の場合において、指定行政機関の長若しくは指定地方行政機関の長又は都道府県知事は、汚染の拡大を防止するため特に必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、次に掲げる措置を講ずることができる。
一 汚染され、又は汚染された疑いがある飲食物、衣類、寝具その他の物件の占有者に対し、当該物件の移動を制限し、若しくは禁止し、又は当該物件を廃棄すべきことを命ずること。
二 汚染され、又は汚染された疑いがある生活の用に供する水の管理者に対し、その使用若しくは給水を制限し、又は禁止すべきことを命ずること。
三 汚染され、又は汚染された疑いがある死体の移動を制限し、又は禁止すること。
四 汚染され、又は汚染された疑いがある飲食物、衣類、寝具その他の物件を廃棄すること。
五 汚染され、又は汚染された疑いがある建物への立入りを制限し、若しくは禁止し、又は当該建物を封鎖すること。
六 汚染され、又は汚染された疑いがある場所の交通を制限し、又は遮断すること。
2 前項の規定は、前条第三項の規定により関係市町村長、関係消防組合の管理者若しくは長又は警視総監若しくは道府県警察本部長が汚染の拡大を防止するための措置を講ずる場合について準用する。
(土地等への立入り)
第百九条 指定行政機関の長若しくは指定地方行政機関の長又は都道府県知事は、前二条の規定による措置を講ずるため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、その職員に、他人の土地、建物その他の工作物又は船舶若しくは航空機(次項において「土地等」という。)に立ち入らせることができる。
2 前項の規定により他人の土地等に立ち入ろうとする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係人の請求があるときは、これを提示しなければならない。
3 前二項の規定は、第百七条第三項の規定により関係市町村長、関係消防組合の管理者若しくは長又は警視総監若しくは道府県警察本部長が汚染の拡大を防止するための措置を講ずる場合について準用する。
(協力の要請に係る安全の確保)
第百十条 内閣総理大臣及び都道府県知事は、第百七条第二項及び第三項の規定により関係都道府県知事並びに関係市町村長、関係消防組合の管理者又は長及び警視総監又は道府県警察本部長に対し必要な協力を要請するときは、都道府県、市町村及び消防組合の職員(警察官及び消防吏員を含む。)の安全の確保に関し十分に配慮し、危険が及ばないよう必要な措置を講じなければならない。
(市町村長の事前措置等)
第百十一条 市町村長は、武力攻撃災害が発生するおそれがあるときは、武力攻撃災害が発生した場合においてこれを拡大させるおそれがあると認められる設備又は物件の占有者、所有者又は管理者に対し、武力攻撃災害の拡大を防止するため必要な限度において、当該設備又は物件の除去、保安その他必要な措置を講ずべきことを指示することができる。
2 前項の場合において、都道府県知事は、武力攻撃災害の拡大を防止するため緊急の必要があると認めるときは、自ら同項の規定による指示をすることができる。この場合において、当該指示をしたときは、直ちに、その旨を市町村長に通知しなければならない。
3 警察署長又は海上保安部長等は、市町村長又は都道府県知事から要請があったときは、第一項の規定による指示をすることができる。この場合においては、前項後段の規定を準用する。
(市町村長の退避の指示等)
第百十二条 市町村長は、武力攻撃災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、当該武力攻撃災害から住民の生命、身体若しくは財産を保護し、又は当該武力攻撃災害の拡大を防止するため特に必要があると認めるときは、必要と認める地域の住民に対し、退避(屋内への退避を含む。第四項において同じ。)をすべき旨を指示することができる。
2 前項の規定による指示(以下この条において「退避の指示」という。)をする場合において、必要があると認めるときは、市町村長は、その退避先を指示することができる。
3 市町村長は、退避の指示をしたときは、速やかに、その旨を都道府県知事に通知しなければならない。
4 市町村長は、退避の必要がなくなったときは、直ちに、その旨を公示しなければならない。この場合においては、前項の規定を準用する。
5 第一項の場合において、都道府県知事は、当該武力攻撃災害から住民の生命、身体若しくは財産を保護し、又は当該武力攻撃災害の拡大を防止するため緊急の必要があると認めるときは、必要と認める地域の住民に対し、自ら退避の指示をすることができる。この場合においては、第二項及び前項前段の規定を準用する。
6 都道府県知事は、退避の指示をしたときは、直ちに、その旨を市町村長に通知しなければならない。
7 第一項の場合において、市町村長若しくは都道府県知事による退避の指示を待ついとまがないと認めるとき、又はこれらの者から要請があったときは、警察官又は海上保安官は、必要と認める地域の住民に対し、退避の指示をすることができる。この場合においては、第二項及び前項の規定を準用する。
8 第一項及び第二項の規定は、市町村長その他第一項に規定する市町村長の職権を行うことができる者が退避の指示をすることができないと認める場合に限り、出動等を命ぜられた自衛隊の部隊等の自衛官の職務の執行について準用する。この場合においては、第六項の規定を準用する。
9 第三項及び第四項の規定は、市町村長が前二項の規定による通知を受けた場合について準用する。
(応急公用負担等)
第百十三条 市町村長は、当該市町村の区域に係る武力攻撃災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、武力攻撃災害への対処に関する措置を講ずるため緊急の必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、当該市町村の区域内の他人の土地、建物その他の工作物を一時使用し、又は土石、竹木その他の物件を使用し、若しくは収用することができる。
2 市町村長は、当該市町村の区域に係る武力攻撃災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、武力攻撃災害への対処に関する措置を講ずるため緊急の必要があると認めるときは、武力攻撃災害を受けた現場の工作物又は物件で当該武力攻撃災害への対処に関する措置の実施の支障となるもの(以下この項及び次項において「工作物等」という。)の除去その他必要な措置を講ずることができる。この場合において、工作物等を除去したときは、当該工作物等を保管しなければならない。
3 都道府県知事は、当該都道府県の区域に係る武力攻撃災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、武力攻撃災害への対処に関する措置を講ずるため緊急の必要があると認めるときは、第一項及び前項前段の規定による措置を講ずることができる。この場合において、工作物等を除去したときは、当該工作物等を保管しなければならない。
4 災害対策基本法第六十四条第三項から第六項までの規定は、第二項後段及び前項後段の場合について準用する。この場合において、同条第三項、第四項及び第六項中「市町村長」とあるのは「市町村長又は都道府県知事」と、同項中「市町村に」とあるのは「市町村又は都道府県に」と読み替えるものとする。
5 災害対策基本法第六十四条第七項から第十項までの規定は、第一項及び第二項前段の場合について準用する。この場合において、同条第七項及び第九項中「前条第二項」とあるのは「災害対策基本法第六十三条第二項」と、同条第七項において準用する同法第六十三条第二項中「その委任を受けて同項に規定する市町村長の職権を行なう市町村の吏員が現場にいないとき」とあるのは「都道府県知事による同項に規定する措置を待ついとまがないと認めるとき」と、「要求」とあるのは「要請」と、同法第六十四条第八項及び第九項中「災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官」とあるのは「出動等を命ぜられた自衛隊の部隊等の自衛官」と、同項及び同条第十項中「警察署長等」とあるのは「警察署長若しくは海上保安部長等」と、同条第九項中「内閣府令で定める」とあるのは「政令で定める」と、同条第十項中「政令で定める管区海上保安本部の事務所の長」とあるのは「海上保安部長等」と読み替えるものとする。
(警戒区域の設定)
第百十四条 市町村長は、武力攻撃災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、当該武力攻撃災害による住民の生命又は身体に対する危険を防止するため特に必要があると認めるときは、警戒区域を設定し、武力攻撃災害への対処に関する措置を講ずる者以外の者に対し、当該警戒区域への立入りを制限し、若しくは禁止し、又は当該警戒区域からの退去を命ずることができる。
2 前項の場合において、都道府県知事は、当該武力攻撃災害による住民の生命又は身体に対する危険を防止するため緊急の必要があると認めるときは、自ら同項に規定する措置を講ずることができる。この場合において、当該措置を講じたときは、直ちに、その旨を市町村長に通知しなければならない。
3 第一項の場合において、市町村長若しくは都道府県知事による同項に規定する措置を待ついとまがないと認めるとき、又はこれらの者から要請があったときは、警察官又は海上保安官は、同項に規定する措置を講ずることができる。この場合においては、前項後段の規定を準用する。
4 第一項の規定は、市町村長その他同項に規定する市町村長の職権を行うことができる者がその場にいない場合に限り、出動等を命ぜられた自衛隊の部隊等の自衛官の職務の執行について準用する。この場合においては、第二項後段の規定を準用する。
(消火、負傷者の搬送、被災者の救助等への協力)
第百十五条 市町村長若しくは消防吏員その他の市町村の職員、都道府県知事若しくは都道府県の職員又は警察官等は、当該市町村又は都道府県の区域に係る武力攻撃災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、消火、負傷者の搬送、被災者の救助その他の武力攻撃災害への対処に関する措置を講ずるため緊急の必要があると認めるときは、当該市町村又は都道府県の区域内の住民に対し、その実施に必要な援助について協力を要請することができる。
2 前項の場合において、市町村長その他同項に規定する者は、その要請を受けて武力攻撃災害への対処に関する措置の実施に必要な援助について協力をする者の安全の確保に十分に配慮しなければならない。
(漂流物等の処理の特例)
第百十六条 武力攻撃災害が発生した場合において、水難救護法(明治三十二年法律第九十五号)第二十九条第一項に規定する漂流物又は沈没品を取り除いたときは、警察署長又は海上保安部長等は、同項の規定にかかわらず、当該物件を保管することができる。
2 水難救護法第二章の規定は、警察署長又は海上保安部長等が前項の規定により漂流物又は沈没品を保管する場合について準用する。
(武力攻撃災害が発生した場合等の都道府県知事等の指示)
第百十七条 都道府県知事は、武力攻撃災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、緊急の必要があると認めるときは、当該都道府県の区域内の市町村の長若しくは消防長又は水防管理者(水防法(昭和二十四年法律第百九十三号)第二条第二項の水防管理者をいう。)に対し、所要の武力攻撃災害の防御に関する措置を講ずべきことを指示することができる。
2 消防庁長官は、人命の救助等のために特に緊急を要し、前項の規定による都道府県知事の指示を待ついとまがないと認めるときは、当該都道府県の区域内の市町村の長に対し、武力攻撃災害を防御するための消防に関する措置を講ずべきことを自ら指示することができる。この場合において、消防庁長官は、当該都道府県知事に対し、速やかに、その旨を通知するものとする。
(武力攻撃災害を防御するための消防に関する消防庁長官の指示)
第百十八条 消防庁長官は、武力攻撃災害を防御するための消防に関する措置が的確かつ迅速に講じられるようにするため特に必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、当該措置について指示することができる。
(消防の応援等に関する消防庁長官等の指示)
第百十九条 消防庁長官は、武力攻撃災害が発生した市町村(武力攻撃災害がまさに発生しようとしている市町村を含む。以下この条において「被災市町村」という。)の消防の応援又は支援(以下この項及び次項において「消防の応援等」という。)に関し、当該被災市町村の属する都道府県の知事から要請があり、かつ、必要があると認めるときは、当該都道府県以外の都道府県の知事に対し、当該被災市町村の消防の応援等のため必要な措置を講ずべきことを指示することができる。
2 消防庁長官は、前項の場合において、武力攻撃災害の規模等に照らし緊急を要し、同項の要請を待ついとまがないと認められるときは、同項の要請を待たないで、緊急に消防の応援等を必要とすると認められる被災市町村のため、当該被災市町村の属する都道府県以外の都道府県の知事に対し、当該被災市町村の消防の応援等のため必要な措置を講ずべきことを指示することができる。この場合において、消防庁長官は、当該被災市町村の属する都道府県の知事に対し、速やかに、その旨を通知するものとする。
3 都道府県知事は、前二項の規定による消防庁長官の指示に応じ必要な措置を講ずる場合において、必要があると認めるときは、当該都道府県の区域内の市町村の長に対し、消防機関の職員の応援出動等の措置を講ずべきことを指示することができる。
4 消防庁長官は、第一項又は第二項の場合において、人命の救助等のために特に緊急を要し、かつ、広域的に消防機関の職員の応援出動等の措置を的確かつ迅速に講ずる必要があると認められるときは、緊急に当該応援出動等の措置を必要とすると認められる被災市町村のため、当該被災市町村以外の市町村の長に対し、当該応援出動等の措置を講ずべきことを自ら指示することができる。この場合において、消防庁長官は、第一項の場合にあっては当該応援出動等の措置を講ずべきことを指示した市町村の属する都道府県の知事に対し、第二項の場合にあっては当該都道府県の知事及び当該被災市町村の属する都道府県の知事に対し、速やかに、その旨を通知するものとする。
(消防等に関する安全の確保)
第百二十条 消防庁長官及び都道府県知事は、前三条の規定による指示をするときは、これらの規定に規定する措置を講ずるため出動する職員の安全の確保に関し十分に配慮し、危険が及ばないよう必要な措置を講じなければならない。
(感染症等の指定等の特例)
第百二十一条 厚生労働大臣は、武力攻撃事態等において、武力攻撃に伴って既に知られている感染性の疾病(一類感染症(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)第六条第二項の一類感染症をいう。)を除く。)が発生し、又は発生するおそれがある場合において、当該疾病について、同法第三章から第六章までの規定の全部又は一部を準用しなければ国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、同条第七項の規定にかかわらず、当該疾病を同項の指定感染症として指定することができる。この場合における同法第七条の規定の適用については、同条第一項及び第二項中「政令で定める期間」とあるのは「厚生労働大臣の定める期間」と、同条第一項中「政令で定めるところにより」とあるのは「厚生労働大臣の定めるところにより」と、同条第二項中「前項の政令で定められた期間」とあるのは「前項の厚生労働大臣の定める期間」と、「当該政令で定められた疾病」とあるのは「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律第百二十一条第一項の規定により厚生労働大臣が定めた疾病」と、「同項の政令により」とあるのは「前項の厚生労働大臣の定めるところにより」とする。
2 厚生労働大臣は、武力攻撃事態等において、武力攻撃に伴って検疫法(昭和二十六年法律第二百一号)第二条の検疫感染症以外の感染性の疾病(同法第三十四条の二第一項の新感染症を除く。)が発生し、又は発生するおそれがある場合において、当該疾病について、検疫を行わなければその病原体が国内に侵入し国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、同法第三十四条の規定にかかわらず、当該疾病を感染症の種類として指定し、同法第二条の二、第二章及び第四章(第三十四条の二から第四十条までを除く。)の規定のうち厚生労働大臣が定めるものを適用することができる。この場合においては、同法第十六条第二項の規定にかかわらず、厚生労働大臣は、当該感染症の潜伏期間を考慮して、同条第一項の停留の期間を定めることができる。
3 厚生労働大臣は、武力攻撃事態等において、武力攻撃に伴って感染性の疾病(予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)第二条第二項の一類疾病(以下この項において「一類疾病」という。)及び同条第三項の二類疾病を除く。)が発生し、又は発生するおそれがある場合において、その発生及びまん延を予防するため特に予防接種を行う必要があると認めるときは、同条第二項第八号の規定にかかわらず、当該疾病を一類疾病として指定することができる。
(埋葬及び火葬の特例)
第百二十二条 厚生労働大臣は、大規模な武力攻撃災害の発生により埋葬又は火葬を円滑に行うことが困難となった場合において、公衆衛生上の危害の発生を防止するため緊急の必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、厚生労働大臣の定める期間に限り、墓地、埋葬等に関する法律(昭和二十三年法律第四十八号)第五条及び第十四条に規定する手続の特例を定めることができる。
(保健衛生の確保への協力)
第百二十三条 地方公共団体の長又はその職員は、武力攻撃災害の発生により当該地方公共団体の区域内における住民の健康の保持又は環境衛生の確保に関する措置を講ずるため緊急の必要があると認めるときは、当該地方公共団体の区域内の住民に対し、その実施に必要な援助について協力を要請することができる。
2 前項の場合において、地方公共団体の長及びその職員は、その要請を受けて住民の健康の保持又は環境衛生の確保に関する措置の実施に必要な援助について協力をする者の安全の確保に十分に配慮しなければならない。
(廃棄物処理の特例)
第百二十四条 環境大臣は、大規模な武力攻撃災害の発生による生活環境の悪化を防止することが特に必要であると認めるときは、期間を限り、廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号。次項及び第三項において「廃棄物処理法」という。)第二条第一項の廃棄物をいう。以下この条において同じ。)の処理を迅速に行わなければならない地域を特例地域として指定することができる。
2 環境大臣は、前項の特例地域(以下この条において単に「特例地域」という。)を指定したときは、特例地域において適用する廃棄物の収集、運搬及び処分に関する基準並びに廃棄物の収集、運搬又は処分を市町村以外の者に委託する場合の基準を定めるものとする。この場合において、これらの基準(以下この条において「特例基準」という。)は、廃棄物処理法第六条の二第二項及び第三項、第十二条第一項並びに第十二条の二第一項に規定する基準とみなす。
3 地方公共団体の長は、特例地域においては、廃棄物処理法第七条第一項本文若しくは第六項本文、第十四条第一項本文若しくは第六項本文又は第十四条の四第一項本文若しくは第六項本文の規定にかかわらず、これらの規定による許可を受けていない者に、特例基準で定めるところにより、廃棄物の収集、運搬又は処分を業として行わせることができる。
4 前項の場合において、地方公共団体の長は、同項の規定により廃棄物の収集、運搬又は処分を業として行う者により特例基準に適合しない廃棄物の収集、運搬又は処分が行われたときは、その者に対し、期限を定めて、当該廃棄物の収集、運搬又は処分の方法の変更その他必要な措置を講ずべきことを指示することができる。
5 環境大臣は、第一項の規定により特例地域を指定し、又は第二項の規定により特例基準を定めたときは、その旨を公示しなければならない。
(文化財保護の特例)
第百二十五条 文化庁長官は、武力攻撃災害による重要文化財等(重要文化財(文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)第二十七条第一項の重要文化財をいう。)、重要有形民俗文化財(同法第七十八条第一項の重要有形民俗文化財をいう。)又は史跡名勝天然記念物(同法第百九条第一項の史跡名勝天然記念物をいう。)をいう。以下この項及び第三項において同じ。)の滅失、き損その他の被害を防止するため特に必要があると認めるときは、当該重要文化財等の所有者、管理責任者(同法第三十一条第二項(同法第八十条において準用する場合を含む。)及び同法第百十九条第二項の管理責任者をいう。)、管理団体(同法第三十二条の二第五項(同法第八十条において準用する場合を含む。)及び同法第百十五条第一項の管理団体をいう。)又は同法第百七十二条第一項の規定により重要文化財等を管理する地方公共団体その他の法人(以下この条において「所有者等」という。)に対し、当該重要文化財等について、所在の場所又は管理の方法の変更その他その保護に関し必要な措置を講ずべきことを命じ、又は勧告することができる。
2 文化財保護法第三十六条第二項及び第三項並びに第百八十八条第三項の規定は、前項の場合について準用する。
3 第一項の規定による命令又は勧告に従って必要な措置を講じようとする重要文化財等の所有者等は、文化庁長官に対し、当該重要文化財等の保護のため必要な支援を求めることができる。
4 第一項の場合において、国宝(文化財保護法第二十七条第二項の国宝をいう。以下この条及び第百九十二条第三号において同じ。)若しくは特別史跡名勝天然記念物(同法第百九条第二項の特別史跡名勝天然記念物をいう。以下この条及び第百九十二条第三号において同じ。)の所有者等が第一項の規定による命令に従わないとき、又は所有者等に国宝若しくは特別史跡名勝天然記念物の滅失、き損その他の被害を防止するための措置を講じさせることが適当でないと認めるときは、文化庁長官は、当該国宝又は特別史跡名勝天然記念物について、自ら滅失、き損その他の被害を防止するため必要な措置を講ずることができる。
5 文化財保護法第三十八条第二項、第三十九条第一項及び第二項並びに第百八十六条第一項の規定は、前項の場合について準用する。
6 文化財保護法第三十九条第一項及び第二項の規定は、都道府県の教育委員会が前項において準用する同法第百八十六条第一項の規定による委託に基づいて第四項の措置を講ずる場合について準用する。
7 国宝又は特別史跡名勝天然記念物の所有者等は、正当な理由がなくて、第四項の規定に基づいて文化庁長官が講ずる措置又は第五項において準用する文化財保護法第百八十六条第一項の規定による委託に基づいて都道府県の教育委員会が講ずる措置を拒み、妨げ、又は忌避してはならない。