刑法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第54号
公布年月日: 平成19年5月23日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

近年、飲酒運転等の悪質かつ危険な自動車運転による死傷事故が依然として発生しており、業務上過失致死傷罪による処罰について、量刑や法定刑が国民の規範意識に合致しないとの意見が出ている。また、平成14年以降、法定刑上限近くでの量刑が増加し、事案の実態に即した適正な科刑の必要性が高まっている。さらに、二輪車による悪質な運転行為による死傷事故も増加している。これらの状況を踏まえ、自動車運転による死傷事故に対し適正な科刑を行うため、自動車運転による過失致死傷に対する新たな処罰規定の創設と、危険運転致死傷罪の対象を二輪車にも拡大する法整備を行うものである。

参照した発言:
第166回国会 参議院 法務委員会 第6号

審議経過

第166回国会

参議院
(平成19年4月12日)
(平成19年4月17日)
(平成19年4月18日)
衆議院
(平成19年5月11日)
(平成19年5月16日)
(平成19年5月17日)
刑法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成十九年五月二十三日
内閣総理大臣 安倍晋三
法律第五十四号
刑法の一部を改正する法律
刑法(明治四十年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。
第二百八条の二中「四輪以上の」を削る。
第二百十一条第二項を次のように改める。
2 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。ただし、附則第三条の規定は、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成十九年法律第九十五号)の施行の日又はこの法律の施行の日のいずれか遅い日から施行する。
(経過措置)
第二条 この法律の施行前にした行為の処罰については、なお従前の例による。
(刑事訴訟法の一部改正)
第三条 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。
第三百十六条の三十三第一項第二号中「第二百十一条第一項」を「第二百十一条」に改める。
(道路交通法の一部改正)
第四条 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)の一部を次のように改正する。
第九十九条の二第四項第二号ニ及び第百八条の四第三項第三号中「第二百十一条第一項」を「第二百十一条第二項」に改める。
(道路交通法の一部改正に伴う経過措置)
第五条 この法律の施行前に道路交通法第八十四条第一項に規定する自動車等の運転に関しこの法律による改正前の刑法第二百十一条第一項(附則第二条の規定によりなお従前の例によることとされる場合における当該規定を含む。)の罪を犯した者に対する前条の規定による改正後の道路交通法第九十九条の二第四項第二号ニ及び第百八条の四第三項第三号の規定の適用については、これらの規定中「第二百十一条第二項」とあるのは、「第二百十一条第二項の罪、刑法の一部を改正する法律(平成十九年法律第五十四号)による改正前の刑法第二百十一条第一項(刑法の一部を改正する法律附則第二条の規定によりなお従前の例によることとされる場合における当該規定を含む。)」とする。
内閣総理大臣 安倍晋三
法務大臣 長勢甚遠