恩給法施行令
法令番号: 勅令第三百六十七號
公布年月日: 大正12年8月17日
法令の形式: 勅令
朕恩給法施行令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
攝政名
大正十二年八月十六日
內閣總理大臣 男爵 加藤友三郞
外務大臣 伯爵 內田康哉
鐵道大臣 伯爵 大木遠吉
陸軍大臣 山梨半造
司法大臣 岡野敬次郞
內務大臣 水野鍊太郞
農商務大臣 荒井賢太郞
大藏大臣 市來乙彥
文部大臣 鎌田榮吉
遞信大臣 子爵 前田利定
海軍大臣 財部彪
勅令第三百六十七號
恩給法施行令
第一條 恩給法第十條ノ規定ニ依リ恩給ノ支給ヲ受クヘキ遺族及其ノ順位ハ扶助料ヲ受クヘキ遺族及其ノ順位ニ依ル
同法第十條ノ恩給權者カ死亡ノ當時家族ナリシトキハ其ノ相續人ハ恩給權者死亡ノ當時之ト同一戶籍內ニ在リタルコトヲ要ス
第二條 恩給法第十條ノ場合ニ於テ死亡シタル恩給權者未タ恩給ノ請求ヲ爲ササリシトキハ恩給ノ支給ヲ受クヘキ遺族又ハ相續人ハ自己ノ名ヲ以テ死亡者ノ恩給ノ請求ヲ爲スコトヲ得
裁定ヲ經タル恩給ニ付テハ死亡者ノ遺族又ハ相續人ハ自己ノ名ヲ以テ其ノ恩給ノ支給ヲ受クルコトヲ得
第三條 恩給法第十二條ノ規定ニ依リ內閣恩給局長以外ノ者ニ於テ恩給ヲ受クルノ權利ヲ裁定スヘキ場合ハ左ノ區分ニ依ル
一 內地ニ於ケル公立ノ小學校、實業補習學校、幼稚園、盲啞學校其ノ他ノ小學校ニ類スル各種學校ノ敎育職員及準敎育職員竝其ノ遺族ノ恩給ハ北海道ニ在リテハ北海道廳長官、府縣ニ在リテハ府縣知事之ヲ裁定ス
二 前號ニ揭クルモノヲ除クノ外內地ニ於ケル公立ノ學校又ハ圖書館ノ敎育職員ニシテ文官ニ非サルモノノ一時恩給ハ北海道ニ在リテハ北海道廳長官、府縣ニ在リテハ府縣知事之ヲ裁定ス
三 朝鮮、臺灣又ハ樺太ニ於ケル公立ノ小學校、普通學校、公學校、實業補習學校、幼稚園、盲啞學校其ノ他ノ小學校ニ類スル各種學校ノ敎育職員及準敎育職員竝其ノ遺族ノ恩給ハ朝鮮ニ在リテハ道知事、臺灣ニ在リテハ州知事又ハ廳長、樺太ニ在リテハ樺太廳長官之ヲ裁定ス
四 朝鮮、臺灣、樺太、關東州(南滿洲鐵道附屬地ヲ含ム以下同シ)又ハ南洋群島ニ於テ國庫ヨリ俸給ヲ受クル警察監獄職員(陸海軍ニ屬スルモノ及樺太ニ於ケル刑務所ニ屬スルモノヲ除ク)及其ノ遺族ノ恩給ハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮總督(道ノ警部補、巡査及消防手竝其ノ遺族ノ恩給ハ道知事)、臺灣ニ在リテハ臺灣總督(州又ハ廳ノ警部補及巡査竝其ノ遺族ノ恩給ハ州知事又ハ廳長)、樺太ニ在リテハ樺太廳長官、關東州ニ在リテハ關東長官、南洋群島ニ在リテハ南洋廳長官之ヲ裁定ス
五 內地ニ於テ國庫以外ノ者ヨリ俸給ヲ受クル警察監獄職員及其ノ遺族ノ恩給ハ北海道ニ在リテハ北海道廳長官、府縣ニ在リテハ府縣知事(警視廳部內ノ職員ニ在リテハ警視總監)之ヲ裁定ス
六 恩給法第二十四條第三號ニ揭クル待遇職員(國庫ヨリ俸給ヲ給スルモノヲ除ク)及其ノ遺族ノ恩給ハ北海道ニ在リテハ北海道廳長官、府縣ニ在リテハ府縣知事(警視廳部內ノ職員ニ在リテハ警視總監)、朝鮮ニ在リテハ道知事、臺灣ニ在リテハ州知事又ハ廳長之ヲ裁定ス
第四條 恩給法第十七條第一項ノ規定ニ依リ分擔スヘキ恩給ハ普通恩給及扶助料トシ國庫カ恩給金額ノ分擔ヲ請求スル場合ニ於テハ當該公務員ノ在職年中ニ恩給ノ負擔者ヲ異ニスヘキ二種以上ノ公務員ノ在職年ヲ含ムトキハ各在職年ノ年數ヲ其ノ各官職ノ最終ノ俸給年額(下士以下ノ軍人及之ニ相當スル準軍人ニ付テハ別表第一號表ノ金額ヲ俸給年額ト看做ス)ニ乘シタル數ニ比例シテ分擔請求額ヲ定ム
恩給法第四十五條ノ規定ニ依リテ普通恩給ヲ受クヘキ所定ノ年數ニ滿タサル在職年ノ者ニ給スル普通恩給及其ノ遺族ニ給スル扶助料ニ付テハ當該所定ノ年數ニ滿タサル年月數ハ分擔請求額計算上之ヲ當該恩給ノ負擔者ニ歸スヘキ在職年ト看做ス
分擔請求額ニ付在職年數ヲ計算スル場合ニ於テハ左ノ割合ニ依リ其ノ基礎タル在職年月數ニ加算ス
一 恩給法第六十二條第三項ノ規定ニ依リ加給スヘキ場合ニ於テハ加給セラルヘキ勤續在職年ノ一年ニ付一年
二 恩給法第六十條第三項、第六十一條第四項、第六十二條第七項、第六十三條第五項又ハ第六十四條第三項ノ規定ニ依リ外國勤續ニ因ル加給ヲ爲スヘキ場合及同法第六十二條第四項又ハ同法第六十三條第三項ノ規定ニ依リ加給ヲ爲スヘキ場合ニ於テハ加給セラルヘキ勤續在職年ノ一年ニ付六月
前三項ノ規定ハ恩給法第十七條第二項乃至第四項ノ分擔請求ニ付之ヲ準用ス
第五條 恩給ノ分擔ハ支給義務額ニ依リ之ヲ爲スモノトス
第六條 左ニ揭クルモノハ國庫ヨリ俸給ヲ給セサルモ恩給法第二十條ノ規定ノ適用ニ付之ヲ文官トス
一 郡判任官
二 都市計畫地方委員會ノ職員ニシテ官吏タルモノ
三 神宮司廳又ハ神宮皇學館ノ職員ニシテ官吏タルモノ
第七條 恩給法第二十一條第二項第二號ノ陸軍又ハ海軍ノ學生生徒トハ陸軍士官學校、陸軍幼年學校、陸軍戶山學校、陸軍工科學校、海軍兵學校、海軍機關學校及海軍經理學校ノ生徒、陸軍ノ士官候補生、海軍豫備生徒竝海軍豫備練習生ニシテ軍人ニ非サルモノヲ謂フ
第八條 恩給法第二十二條第二項ノ在外指定學校ハ外務大臣及文部大臣之ヲ指定ス但シ關東州ニ在リテハ關東長官之ヲ指定ス
前項ノ指定ニ關スル規程ハ外務大臣及文部大臣又ハ關東長官之ヲ定ム
第九條 恩給法第二十二條第三項ノ準敎育職員トハ敎授心得、助敎授心得、敎諭心得、助敎諭心得、准訓導及判任官ノ待遇ヲ受ケサル保姆ニシテ專任敎員タルモノヲ謂フ
第十條 恩給法第二十四條第三號ノ待遇職員トハ左ニ揭クル者ヲ謂フ
一 道路管理職員制ニ依ル職員
二 地方土木職員制ニ依ル職員
三 地方產業職員制ニ依ル職員(市費ヲ以テ置キタルモノヲ除ク)
四 地方測候所職員制ニ依ル職員
五 防疫職員制ニ依ル職員
六 港務部設置制ニ依ル職員
七 臨時海港檢疫所官制ニ依ル職員
八 廳府縣衞生職員制ニ依ル職員
九 癩療養所職員制ニ依ル職員
十 朝鮮地方待遇職員令ニ依ル地方ノ土木又ハ產業ニ關スル事務又ハ技術ニ從事スル職員(府費ヲ以テ置キタルモノヲ除ク)
十一 臺灣地方待遇職員令ニ依ル地方ノ土木、衞生、產業又ハ物產檢査ノ事務又ハ技術ニ從事スル職員
第十一條 恩給法第二十四條第四號ノ待遇職員トハ左ニ揭クル者ヲ謂フ
一 陸軍ノ通譯ニシテ判任官以上ノ待遇ヲ受クルモノ
二 靖國神社附屬遊就館職員ニシテ判任官以上ノ待遇ヲ受クルモノ
三 鐵道醫
四 北海道廳事業手
五 朝鮮ニ於ケル監獄ノ藥劑師竝臺灣ニ於ケル監獄醫及警察醫
六 臺灣又ハ關東州ニ於ケル檢疫員及檢疫醫員
第十二條 恩給法第三十二條第一項第一號ノ規定ニ依リ從軍加算ヲ爲スヘキ場合ニ於テハ同法第四十條第二項ノ規定ニ依ルノ外左ノ各號ノ例ニ依ル
一 戰爭開始後戰地ニ到リタル者ニ付テハ戰地ニ到ルヘキ事由ノ生シタル當時所在スル地ノ屬スル地域ヲ離レタル月ヨリ加算ス
二 戰爭中戰地ヨリ歸還シタル者ニ付テハ其ノ歸還スヘキ地ノ屬スル地域ニ到著シタル月迄加算ス
前項ノ地域トハ內地、朝鮮、臺灣、樺太、關東州、南洋群島及之ニ準スヘキ外國ノ地區ヲ謂フ
恩給法第三十二條第一項第二號ノ規定ニ依リ從軍加算ヲ爲スヘキ場合ニ於テハ同法第四十條第二項ノ規定ニ依ルノ外左ノ各號ノ例ニ依ル
一 動員(之ニ準スルモノヲ含ム)部隊ニ編入セラレタル者ニ付テハ編入ノ月、動員(之ニ準スルモノヲ含ム)下令前ヨリ其ノ部隊ニ在リタル者ニ付テハ其ノ下令ノ月ヨリ加算ス
二 戰爭開始後戰務ニ服スヘキ地ニ到リタル者及戰爭中其ノ地ヨリ歸還シタル者ニ付テハ前二項ノ規定ヲ準用ス
前三項ノ規定ハ恩給法第三十二條第二項ノ規定ニ依ル加算ニ付之ヲ準用ス
第十三條 恩給法第三十五條ノ規定ニ依リ鎭戍加算ヲ爲スヘキ場合ニ於テハ同法第四十條第二項ノ規定ニ依ルノ外公務員鎭戍ノ爲內國ヲ出發シタルトキハ內國ヲ離レタル月ヨリ加算シ鎭戍ノ終了後直ニ內國ニ歸還シタルトキハ內國歸著ノ月迄加算ス
第十四條 恩給法第三十六條ノ規定ニ依リ航空加算ヲ爲スヘキ場合ニ於テハ左ノ區分ニ依ル
一 同月內ニ於テ飛行時數五時間以上飛行機ニ搭乘シ航空勤務ニ服シタルトキ又ハ航空機ニ搭乘シ特ニ危險ト認ムル航空試驗ニ從事シタルトキハ其ノ一月ニ付一月半
二 同月內ニ於テ飛行時數一時間以上飛行機ニ搭乘シ又ハ五時間以上航空船、航行中ノ艦船繫留ノ氣球若ハ自由氣球ニ搭乘シ航空勤務ニ服シタルトキハ其ノ一月ニ付一月
三 前二號ニ揭クルモノヲ除クノ外航空機ニ搭乘シ航空勤務ニ服シタルトキハ其ノ一月ニ付半月
第十五條 恩給法第三十八條ノ規定ニ依リ加算スヘキ邊陬又ハ不健康ノ地域及其ノ加算ノ程度ハ別表第二號表ニ依ル
第十六條 邊陬又ハ不健康ノ地域ノ加算ハ在勤地外ノ地ヨリ其ノ在勤地ニ赴任シタル者ニ付テハ在勤地ニ到著シタル月ヨリ、其ノ地ニ在リテ就職シタル者ニ付テハ就職ノ月ヨリ之ヲ起算シ其ノ在勤ヲ止メタル月ヲ以テ終ル
前項ノ地域ニ在勤中引續キ九十日以上其ノ地域ヲ離レタルトキハ全ク地域ヲ離レタル月ニ對シテハ邊陬又ハ不健康ノ地域ノ加算ヲ爲サス
第十七條 恩給法第三十八條ノ規定ニ依ル不健康業務ノ加算ハ一月ニ付半月トス其ノ業務左ノ如シ
一 有毒ノ瓦斯若クハ蒸氣、爆藥類又ハ危險ナル細菌ノ硏究又ハ製造ニ直接ニ從事スル勤務ニシテ內閣總理大臣ノ指定スルモノ
二 排水量千噸以下ノ在役ノ驅逐艦若ハ水雷艇乘員トシテノ勤務又ハ鐵道事業ニ於ケル蒸汽機關車乘員トシテノ現業勤務
三 炭坑內切羽ニ於ケル連續的現業勤務
四 肺結核、喉頭結核又ハ癩ノ患者ヲ收容スル病室ニ於テ直接看護ニ從事スル勤務
前項ニ規定スル業務ニ從事中引續キ三十日以上服務セサルトキハ全ク服務セサル月ニ對シテ不健康ノ業務ノ加算ヲ爲サス
第十八條 恩給法第三十九條ノ遠洋航海トハ北緯五十度以北、東經百六十度以東、東經百六十度北緯四十度ノ點ト東經百四十度北緯二十度ノ點トヲ連結スル線ノ以東以南、北緯二十度以南及東經百十度以西ノ海面ヲ航行シ一航程千浬ヲ超ユル航海ヲ謂フ
第十九條 航海加算ハ初發港出發ヨリ之ニ歸著シ又ハ到達港ニ達スル迄ノ期間ニ對シ之ヲ爲ス但シ出發ニ當リ內國港灣ニシテ前條ノ海面ニ在ラサルモノヲ經由スル場合ニ於テハ其ノ港灣ヲ離レタル月ヨリ加算シ歸著ニ際シ內國港灣ニシテ前條ノ海面ニ在ラサルモノヲ經由スル場合ニ於テハ其ノ港灣ニ到著シタル月迄加算ス
航海中引續キ三十日以上航行セサルトキハ全ク航行セサル月ニ對シテハ航海加算ヲ爲サス
第二十條 恩給法第四十四條ノ本俸ニ準スヘキモノトハ左ニ揭クルモノヲ謂フ
一 年功ニ因ル加俸
二 府縣知事ノ指定地加俸
三 官立又ハ公立ノ大學ノ敎授又ハ助敎授ノ職務俸
四 第一號ニ揭クルモノヲ除クノ外市町村立小學校敎員加俸令ニ依ル加俸
五 警察監獄職員ノ精勤加俸及功勞加俸
第二十一條 恩給法第四十八條第一項第一號ニ規定スル流行病及地域ハ別表第三號表ニ依ル
第二十二條 恩給法第四十八條第一項第二號ノ流行病ノ種類左ノ如シ
一 マラリア(黑水熱ヲ含ム)
二 猖紅熱
三 コレラ
四 脚氣(戰地ニ限ル)
五 發疹チフス
六 腸チフス
七 パラチフス
八 ペスト
九 囘歸熱
十 赤痢
十一 流行性腦脊髓膜炎
十二 流行性感冒
十三 肺ヂストマ病
十四 トリパノゾーム病
十五 ワイルス氏病
十六 カラアザール
十七 黃熱
第二十三條 恩給法第四十九條第二項ノ規定ニ依ル戰鬪ニ準スヘキ公務ニ因ル傷痍疾病トハ左ニ揭クルモノヲ謂フ
一 戰地ニ於テ勤務中敵ノ設置若ハ遺棄シタル危險物ニ因ル又ハ敵對行動中ノ不可抗力ニ因ル傷痍疾病
二 暴徒鎭壓又ハ集團ヲ爲ス馬賊海賊蕃人等討伐中ノ敵對行動ニ因ル又ハ敵對行動中ノ不可抗力ニ因ル傷痍疾病
三 外國ノ交戰若ハ擾亂ノ地域內ニ於テ勤務中又ハ該地域內ヲ職務ヲ以テ旅行中ニ於ケル該交戰又ハ擾亂ニ因ル傷痍疾病
四 航空機ニ乘シ航空勤務中又ハ潛水艦ニ乘シ潛航勤務中ノ不可抗力ニ因ル傷痍疾病
五 職務ヲ以テ兇賊又ハ脫獄囚ヲ逮捕スルニ當リ危害ヲ加ヘラルヘキコトヲ豫斷シ得ルニ拘ラス危險ヲ冒シテ其ノ職務ヲ執行シタル爲加ヘラレタル傷痍疾病
六 職務ヲ以テコレラ又ハペストノ防疫、診療又ハ看護ニ直接從事シ之カ爲罹リタル該疾病
第二十四條 恩給法第四十九條第二項ノ規定ニ依リ不具癈疾ノ程度ヲ分チテ左ノ七項トス
特別項症
一 常ニ就床ヲ要シ且複雜ナル介護ヲ要スルモノ
二 重大ナル精神障碍ノ爲常ニ監視又ハ複雜ナル介護ヲ要スルモノ
三 身體諸部ノ障碍ヲ綜合シテ其ノ程度第一項症ニ第一項症乃至第六項症ヲ加ヘタルモノ
第一項症
一 複雜ナル介護ヲ要セサルモ常ニ就床ヲ要スルモノ
二 精神的又ハ身體的作業能力ヲ失ヒ僅ニ自用ヲ辨シ得ルニ過キサルモノ
三 咀嚼及言語ノ機能ヲ併セ癈シタルモノ
四 兩眼ノ視力カ視標〇・一ヲ〇・五メートル以上ニテハ辨別シ得サルモノ
五 肘關節以上ニテ兩上肢ヲ失ヒタルモノ
六 膝關節以上ニテ兩下肢ヲ失ヒタルモノ
第二項症
一 精神的又ハ身體的作業能力ノ大部ヲ失ヒタルモノ
二 咀嚼又ハ言語ノ機能ヲ癈シタルモノ
三 兩眼ノ視力カ視標〇・一ヲ一メートル以上ニテハ辨別シ得サルモノ
四 兩耳全ク聾シタルモノ
五 腕關節以上ニテ兩上肢ヲ失ヒタルモノ
六 足關節以上ニテ兩下肢ヲ失ヒタルモノ
第三項症
一 咀嚼又ハ言語ノ機能ニ大ニ妨アルモノ
二 兩睾丸ヲ全ク失ヒタルモノ
三 肘關節以上ニテ一上肢ヲ失ヒタルモノ
四 膝關節以上ニテ一下肢ヲ失ヒタルモノ
五 兩耳ノ聽力カ耳殼ニ接セサレハ大聲ヲ解シ得サルモノ
第四項症
一 泌尿器ノ機能ニ大ニ妨アルモノ
二 兩眼ノ視力カ視標〇・一ヲ二メートル以上ニテハ辨別シ得サルモノ
三 腕關節以上ニテ一上肢ヲ失ヒタルモノ
四 足關節以上ニテ一下肢ヲ失ヒタルモノ
第五項症
一 鼻ヲ失ヒ其ノ機能ニ大ニ妨アルモノ
二 頭部、顏面等ニ大ナル醜形ヲ殘シタルモノ
三 一眼ノ視力カ祖標〇・一ヲ〇・五メートル以上ニテハ辨別シ得サルモノ
四 一側總指ヲ全ク失ヒタルモノ
第六項症
一 頸部又ハ軀幹ノ運動ニ大ニ妨アルモノ
二 一眼ノ視力カ視標〇・一ヲ一メートル以上ニテハ辨別シ得サルモノ
三 一側拇指及示指ヲ全ク失ヒタルモノ
四 一側總趾ヲ全ク失ヒタルモノ
前項ノ各症ニ該當セサル傷痍疾病ノ症項ハ前項ノ規定ニ準シ之ヲ査定ス
視力ヲ測定スル場合ニ於テハ屈折異常ノモノニ付テハ矯正視力ニ依リ視標ハ萬國共通視力標ニ依ル
第二十五條 準文官ノ公務傷病ニ關スル規定ノ適用ニ付テノ階等ハ左ノ區分ニ依ル
一 高等官ノ試補ハ判任官一等トシ判任官見習ハ同四等トス
二 國庫ヨリ俸給ヲ給セサル官ニ在ル者ニ付テハ其ノ官等等級ニ依ル
第二十六條 準軍人ノ公務傷病等ノ規定ノ適用ニ付テノ階等ハ左ノ區分ニ依ル
一 陸軍ノ見習士官及海軍ノ候補生ハ判任官一等トス
二 前號ニ揭ケサル陸軍ノ士官候補生、陸軍士官學校生徒、海軍兵學校生徒、海軍機關學校生徒、海軍經理學校生徒及海軍豫備生徒ハ判任官三等トス
三 前二號ニ揭ケサル陸海軍諸生徒及海軍豫備練習生ノ階等ハ兵卒ニ準ス
第二十七條 敎育職員及準敎育職員ノ公務傷病ノ規定ノ適用ニ付テノ階等ハ左ノ區分ニ依ル
一 敎育職員ノ階等ハ其ノ官等等級又ハ待遇官等等級ニ依リ勅任官、奏任官又ハ判任官ノ待遇ヲ受クルモ官等等級ノ定ナキ者ハ各其ノ最下位ノ官等等級ニ依ル
二 準敎育職員ノ階等ハ公立學校職員待遇官等等級令別表第二表ノ例ニ準ス
第二十八條 警察監獄職員ノ公務傷病ノ規定ノ適用ニ付テノ階等ハ判任官四等トス但シ警部補ハ其ノ等級ニ依ル
第二十九條 待遇職員ノ公務傷病ノ規定ノ適用ニ付テノ階等ハ其ノ待遇官等等級ニ依リ勅任官、奏任官又ハ判任官ノ待遇ヲ受クルモ官等等級ノ定ナキ者ハ各其ノ最下位ノ官等等級ニ依ル
第三十條 恩給法第六十二條第五項ニ規定スル中學校ト同等以下ノ程度ノ學校トハ左ニ揭クルモノヲ謂フ
一 師範學校
二 高等女學校
三 專門學校令ニ依ラサル實業學校(實業補習學校ヲ除ク)
四 中學校又ハ前二號ニ揭クル學校ニ準スヘキ學校
五 實業補習學校敎員養成所
六 朝鮮又ハ臺灣ニ於ケル中學校又ハ第一號乃至第三號若ハ第五號ニ揭クルモノニ準スヘキモノ
七 在外指定學校ニシテ中學校又ハ第一號乃至第三號ニ揭クル學校ニ準スヘキモノ
第三十一條 恩給法第六十六條第四項ノ規定ニ依リ傷病ノ程度ヲ分チテ左ノ十款トス
第一款症
一 一側睾丸ヲ全ク失ヒタルモノ
二 一眼ノ視力カ視標〇・一ヲ二メートル以上ニテハ辨別シ得サルモノ
三 一耳聾シタルモノ
四 一側拇指ヲ全ク失ヒタルモノ
第二款症
一 一耳ノ聽力カ耳殼ニ接セサレハ大聲ヲ解シ得サルモノ
二 一側拇指ノ機能ヲ癈シタルモノ
第三款症
一 一眼ノ視力カ視標〇・一ヲ三メートル以上ニテハ辨別シ得サルモノ
二 一耳ノ聽力カ十センチメートル以上ニテハ尋常ノ話聲ヲ解シ得サルモノ
三 一側示指ヲ全ク失ヒタルモノ
四 一側第一趾ヲ全ク失ヒタルモノ
第四款症
一 一側中指ヲ全ク失ヒタルモノ
二 一側示指ノ機能ヲ癈シタルモノ
三 一側第二趾ヲ全ク失ヒタルモノ
四 一側第一趾ノ機能ヲ癈シタルモノ
第五款症
一 一眼ノ視力カ〇・一ニ滿タサルモノ
二 一側中指ノ機能ヲ癈シタルモノ
三 一側第二趾ノ機能ヲ癈シタルモノ
第六款症
一 一側環指ヲ全ク失ヒタルモノ
第七款症
一 一眼ノ視力カ〇・二ニ滿タサルモノ
二 一耳ノ聽力カ四十センチメートル以上ニテハ咡語ヲ解シ得サルモノ
三 一側環指ノ機能ヲ癈シタルモノ
四 一側第三趾乃至第五趾ノ中二趾ヲ全ク失ヒタルモノ
第八款症
一 一側小指ヲ全ク失ヒタルモノ
二 一側第三趾乃至第五趾ノ中二趾ノ機能ヲ癈シタルモノ
第九款症
一 一眼ノ視力カ〇・三ニ滿タサルモノ
二 一耳ノ聽力カ一メートル以上ニテハ咡語ヲ解シ得サルモノ
三 一側小指ノ機能ヲ癈シタルモノ
四 一側第三趾乃至第五趾ノ中一趾ヲ全ク失ヒタルモノ
第十款症
一 一側第三趾乃至第五趾ノ中一趾ノ機能ヲ癈シタルモノ
二 前款ノ各症ニ次ク症ヲ殘シタルモノ
第二十四條第二項及第三項ノ規定ハ前項ノ傷病ノ程度ノ査定ニ付之ヲ準用ス
第三十二條 第十六條ノ規定ハ恩給法第九十一條又ハ第九十二條ノ規定ニ依リ附スヘキ加算年ノ計算ニ付之ヲ準用ス
第三十三條 恩給法第九十六條ノ規定ニ依リ在職最終俸給年額ニ增加スヘキ金額ハ別表第四號表ノ區分ニ依ル
第三十四條 恩給法第九十九條ノ敎育事務ニ從事スル文官トハ左ニ揭クル者ヲ謂フ
一 官立ノ學校又ハ圖書館ノ職員
二 文部省官吏
三 敎育事務從事ノ北海道廳、府、縣、郡、島廳、朝鮮總督府、朝鮮總督府道府郡島、臺灣總督府、臺灣總督府州廳郡市、樺太廳、關東廳又ハ南洋廳ノ官吏
四 臺灣公立學校ノ職員ニシテ國庫ヨリ俸給ヲ受クルモノ
五 敎育事務從事ノ從前ノ區、統監府又ハ關東都督府ノ官吏
第三十五條 廢官、廢職、廢廳、廢校又ハ官職名改定ノ際其ノ廢改ニ係ル官職ニ在ル者卽日又ハ翌日他ノ官職ニ任セラレタルトキハ恩給法ノ適用ニ付テハ之ヲ勤續ト看做ス
第三十六條 恩給法第百一條ノ規定ニ依ル增額ハ左ノ區分ニ依ル
一 軍人以外ノ公務員ノ普通恩給又ハ遺族ノ扶助料ノ年額ヲ更正スル場合ニ於テハ其ノ年額算出ノ基礎ト爲リタル俸給カ大正九年七月三十一日以前ノ俸給令ニ依ルモノナルトキハ別表第四號表ノ區分ニ依リ增加シタル金額ヲ俸給年額ト爲シ、其ノ他ノモノナルトキハ在職最終ノ俸給年額ヲ基礎トシテ恩給法第六十條、第六十二條、第六十三條及第七十五條ノ規定ニ依リ算出シタル年額ヲ以テ其ノ普通恩給又ハ扶助料ノ年額トス
二 軍人又ハ準軍人ノ普通恩給又ハ遺族ノ扶助料ノ年額ヲ更正スル場合ニ於テハ別表第五號表ニ依リ當該軍人又ハ準軍人ノ階等ヲ定メ恩給法第六十一條及第七十五條ノ規定ニ依リ算出シタル年額ヲ以テ其ノ普通恩給又ハ扶助料ノ年額トス
三 增加恩給ノ年額ヲ更正スル場合ニ於テハ退職當時ノ階等竝別表第六號表ニ依リ定メタル傷病ノ原因及不具癈疾ノ程度ニ從ヒ恩給法第六十五條ノ規定ニ依リ算出シタル年額ヲ以テ其ノ增加恩給ノ年額トス但シ陸海軍准士官ニシテ其ノ官ニ對スル最高俸ヲ受ケタルモノノ階等ハ之ヲ尉官トシ名譽進級ニ因リ階等ヲ進メラレタル軍人ノ階等ハ名譽進級ニ因ル階等トス
第二十五條乃至第二十九條ノ規定ハ增加恩給年額ノ更正ニ付之ヲ準用ス
四 執達吏ノ恩給ヲ更正スル場合ニ於テハ第一號ノ規定ニ依ラス六百圓ヲ俸給年額ト看做シ恩給法第六十條ノ規定ニ依リ算出シタル年額ヲ以テ其ノ普通恩給ノ年額トス
前項ノ增額ヲ爲ス場合ニ於テハ外國勤續ニ因ル加給ハ之ヲ爲サス
第三十七條 恩給法第百二條ノ規定ニ依リ普通恩給又ハ遺族ノ扶助料ノ年額ヲ增額スル場合ニ於テハ其ノ年額算出ノ基礎ト爲リタル退職又ハ死亡當時ノ俸給年額ヲ別表第七號表ニ依ル假定俸給年額ニ增加シ之ヲ退職又ハ死亡當時ノ俸給年額ト看做シ之ニ恩給法第百一條ノ規定ヲ適用ス
附 則
第三十八條 本令ハ大正十二年十月一日ヨリ之ヲ施行ス
第三十九條 左ノ命令ハ之ヲ廢止ス
一 明治二十四年勅令第二百四十八號
一 明治二十七年勅令第五十二號
一 明治二十七年勅令第八十一號
一 明治二十七年勅令第百四十五號
一 明治三十一年勅令第二百四十四號
一 明治三十二年勅令第二百一號
一 明治三十三年勅令第百七十三號
一 明治三十三年勅令第四百四號
一 巡査看守退隱料及遺族扶助料法施行令
一 明治三十四年勅令第百五十號
一 明治三十五年勅令第百五十七號
一 明治四十一年勅令第百三十七號
一 明治四十三年勅令第百二十七號
一 明治四十四年勅令第七十號
一 大正六年勅令第二百四十一號
一 大正六年勅令第二百四十二號
一 大正九年勅令第三百二十三號
一 明治十八年第十五號達官吏恩給令附則
一 明治十八年第十六號達文官傷痍疾病等差例
一 明治十八年第四十號達陸軍恩給令附則
(別表)
第一號表
下士
兵卒
判任官
二等
三等
四等
七五六圓
六一二圓
四六八圓
四一四圓
 準軍人ニ付テハ其ノ階等ニ依リ右表ヲ準用ス
第二號表
(一) 三分ノ二月ヲ加算スヘキモノ
【表】
(二) 二分ノ一月ヲ加算スヘキモノ
【表】
第三號表
地域
流行病
八重山列島
マラリヤ(黑水熱ヲ含ム以下同シ)、赤痢
朝鮮
猩紅熱、腸チフス、パラチフス、赤痢、肺ヂストマ病
臺灣
マラリア、腸チフス、パラチフス、赤痢
南洋諸島
マラリア、腸チフス、パラチフス、赤痢、黃熱
滿洲
關東州
ペスト、腸チフス、パラチフス、赤痢
支那
(滿洲ヲ除キ香港ヲ含ム)
マラリア、猩紅熱、コレラ、發疹チフス、腸チフス、パラチフス、ペスト、赤痢、カラアザール
露領西伯利亞
(薩哈嗹州ヲ含ム)
發疹チフス、腸チフス、パラチフス、ペスト、囘歸熱、赤痢
比律賓諸島
マラリア、コレラ、腸チフス、パラチフス、赤痢
蘭領東印度諸島
マラリア、コレラ、ペスト、赤痢
佛領印度、暹羅、緬甸、馬來半島
マラリア、コレラ、發疹チフス、ペスト、赤痢
英領印度
マラリア、コレラ、ペスト、赤痢、カラアザール
中央亞米利加、南亞米利加
マラリア、腸チフス、パラチフス、赤痢、黃熱
墨西哥
マラリア、發疹チフス、黃熱
亞弗利加
マラリア、ペスト、囘歸熱、赤痢、トリパノゾーム病、黃熱
第四號表
在職最終俸給年額
六千五百圓ヲ超エ七千五百圓未滿ノモノ
五千五百圓ヲ超エ六千五百圓ヲ超エサルモノ
三千圓ヲ超エ五千五百圓ヲ超エサルモノ
千二百圓ヲ超エ三千圓ヲ超エサルモノ
三百六十圓ヲ超エ千二百圓ヲ超エサルモノ
三百圓ヲ超エ三百六十圓ヲ超エサルモノ
三百圓以下ノモノ
增加スヘキ金額
五百圓
但シ在職最終俸給年額ニ五百圓ヲ加ヘタル額カ七千五百圓ヲ超ユルトキハ在職最終俸給年額ト七千五百圓トノ差額トス
在職最終俸給年額ト七千圓トノ差額
千五百圓
在職最終俸給年額ノ三十分ノ十三ニ相當スル金額ニ二百圓ヲ加ヘタル額
在職最終俸給年額ノ五割ニ相當スル金額ニ百二十圓ヲ加ヘタル額
三百圓
在職最終俸給年額十割ニ相當スル金額
第五號表
【表】
備考
一 大正九年三月三十一日以前ニ海軍兵曹長同相當官タリシ者ニシテ最高ノ俸給ヲ受ケタルモノハ高等官六等トシ其ノ他ノモノハ高等官七等トス
一 大正十年三月三十一日以前ニ退職シタル陸軍一等樂長ニシテ最高ノ俸給ヲ受ケタルモノハ高等官六等トス
一 名譽進級ニ因リ階等ヲ進メラレタル軍人ノ階等ハ名譽進級ニ因ル階等トス
一 本表ニ該當セサルモノハ陸海軍武官官階及兵卒等級ノ例ニ依ル
第六號表
【表】
備考 明治三十五年勅令第四十一號ニ定メタル事件ノ爲受ケタル傷痍ハ之ヲ職鬪ニ準スヘキ公務ニ因ル傷痍ト看做ス
第七號表
【表】
備考
一 本表ノ俸給年額ニハ加俸ヲ包含セス恩給年額算出ノ基礎ト爲リタル加俸ハ其ノ實額ニ依ル
一 本表ニ該當セサル俸給ニ付テハ之ニ其ノ俸給年額ノ二割五分ニ相當スル金額ヲ加ヘタルモノヲ以テ假定俸給年額トス但シ其ノ額カ實俸給年額ニ最モ近キ本表中ノ上級俸給年額ニ對スル假定俸給年額ヲ超過スルトキハ之ヲ當該上級俸給年額ニ對スル假定俸給年額ニ止ム
朕恩給法施行令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
摂政名
大正十二年八月十六日
内閣総理大臣 男爵 加藤友三郎
外務大臣 伯爵 内田康哉
鉄道大臣 伯爵 大木遠吉
陸軍大臣 山梨半造
司法大臣 岡野敬次郎
内務大臣 水野錬太郎
農商務大臣 荒井賢太郎
大蔵大臣 市来乙彦
文部大臣 鎌田栄吉
逓信大臣 子爵 前田利定
海軍大臣 財部彪
勅令第三百六十七号
恩給法施行令
第一条 恩給法第十条ノ規定ニ依リ恩給ノ支給ヲ受クヘキ遺族及其ノ順位ハ扶助料ヲ受クヘキ遺族及其ノ順位ニ依ル
同法第十条ノ恩給権者カ死亡ノ当時家族ナリシトキハ其ノ相続人ハ恩給権者死亡ノ当時之ト同一戸籍内ニ在リタルコトヲ要ス
第二条 恩給法第十条ノ場合ニ於テ死亡シタル恩給権者未タ恩給ノ請求ヲ為ササリシトキハ恩給ノ支給ヲ受クヘキ遺族又ハ相続人ハ自己ノ名ヲ以テ死亡者ノ恩給ノ請求ヲ為スコトヲ得
裁定ヲ経タル恩給ニ付テハ死亡者ノ遺族又ハ相続人ハ自己ノ名ヲ以テ其ノ恩給ノ支給ヲ受クルコトヲ得
第三条 恩給法第十二条ノ規定ニ依リ内閣恩給局長以外ノ者ニ於テ恩給ヲ受クルノ権利ヲ裁定スヘキ場合ハ左ノ区分ニ依ル
一 内地ニ於ケル公立ノ小学校、実業補習学校、幼稚園、盲唖学校其ノ他ノ小学校ニ類スル各種学校ノ教育職員及準教育職員並其ノ遺族ノ恩給ハ北海道ニ在リテハ北海道庁長官、府県ニ在リテハ府県知事之ヲ裁定ス
二 前号ニ掲クルモノヲ除クノ外内地ニ於ケル公立ノ学校又ハ図書館ノ教育職員ニシテ文官ニ非サルモノノ一時恩給ハ北海道ニ在リテハ北海道庁長官、府県ニ在リテハ府県知事之ヲ裁定ス
三 朝鮮、台湾又ハ樺太ニ於ケル公立ノ小学校、普通学校、公学校、実業補習学校、幼稚園、盲唖学校其ノ他ノ小学校ニ類スル各種学校ノ教育職員及準教育職員並其ノ遺族ノ恩給ハ朝鮮ニ在リテハ道知事、台湾ニ在リテハ州知事又ハ庁長、樺太ニ在リテハ樺太庁長官之ヲ裁定ス
四 朝鮮、台湾、樺太、関東州(南満洲鉄道附属地ヲ含ム以下同シ)又ハ南洋群島ニ於テ国庫ヨリ俸給ヲ受クル警察監獄職員(陸海軍ニ属スルモノ及樺太ニ於ケル刑務所ニ属スルモノヲ除ク)及其ノ遺族ノ恩給ハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮総督(道ノ警部補、巡査及消防手並其ノ遺族ノ恩給ハ道知事)、台湾ニ在リテハ台湾総督(州又ハ庁ノ警部補及巡査並其ノ遺族ノ恩給ハ州知事又ハ庁長)、樺太ニ在リテハ樺太庁長官、関東州ニ在リテハ関東長官、南洋群島ニ在リテハ南洋庁長官之ヲ裁定ス
五 内地ニ於テ国庫以外ノ者ヨリ俸給ヲ受クル警察監獄職員及其ノ遺族ノ恩給ハ北海道ニ在リテハ北海道庁長官、府県ニ在リテハ府県知事(警視庁部内ノ職員ニ在リテハ警視総監)之ヲ裁定ス
六 恩給法第二十四条第三号ニ掲クル待遇職員(国庫ヨリ俸給ヲ給スルモノヲ除ク)及其ノ遺族ノ恩給ハ北海道ニ在リテハ北海道庁長官、府県ニ在リテハ府県知事(警視庁部内ノ職員ニ在リテハ警視総監)、朝鮮ニ在リテハ道知事、台湾ニ在リテハ州知事又ハ庁長之ヲ裁定ス
第四条 恩給法第十七条第一項ノ規定ニ依リ分担スヘキ恩給ハ普通恩給及扶助料トシ国庫カ恩給金額ノ分担ヲ請求スル場合ニ於テハ当該公務員ノ在職年中ニ恩給ノ負担者ヲ異ニスヘキ二種以上ノ公務員ノ在職年ヲ含ムトキハ各在職年ノ年数ヲ其ノ各官職ノ最終ノ俸給年額(下士以下ノ軍人及之ニ相当スル準軍人ニ付テハ別表第一号表ノ金額ヲ俸給年額ト看做ス)ニ乗シタル数ニ比例シテ分担請求額ヲ定ム
恩給法第四十五条ノ規定ニ依リテ普通恩給ヲ受クヘキ所定ノ年数ニ満タサル在職年ノ者ニ給スル普通恩給及其ノ遺族ニ給スル扶助料ニ付テハ当該所定ノ年数ニ満タサル年月数ハ分担請求額計算上之ヲ当該恩給ノ負担者ニ帰スヘキ在職年ト看做ス
分担請求額ニ付在職年数ヲ計算スル場合ニ於テハ左ノ割合ニ依リ其ノ基礎タル在職年月数ニ加算ス
一 恩給法第六十二条第三項ノ規定ニ依リ加給スヘキ場合ニ於テハ加給セラルヘキ勤続在職年ノ一年ニ付一年
二 恩給法第六十条第三項、第六十一条第四項、第六十二条第七項、第六十三条第五項又ハ第六十四条第三項ノ規定ニ依リ外国勤続ニ因ル加給ヲ為スヘキ場合及同法第六十二条第四項又ハ同法第六十三条第三項ノ規定ニ依リ加給ヲ為スヘキ場合ニ於テハ加給セラルヘキ勤続在職年ノ一年ニ付六月
前三項ノ規定ハ恩給法第十七条第二項乃至第四項ノ分担請求ニ付之ヲ準用ス
第五条 恩給ノ分担ハ支給義務額ニ依リ之ヲ為スモノトス
第六条 左ニ掲クルモノハ国庫ヨリ俸給ヲ給セサルモ恩給法第二十条ノ規定ノ適用ニ付之ヲ文官トス
一 郡判任官
二 都市計画地方委員会ノ職員ニシテ官吏タルモノ
三 神宮司庁又ハ神宮皇学館ノ職員ニシテ官吏タルモノ
第七条 恩給法第二十一条第二項第二号ノ陸軍又ハ海軍ノ学生生徒トハ陸軍士官学校、陸軍幼年学校、陸軍戸山学校、陸軍工科学校、海軍兵学校、海軍機関学校及海軍経理学校ノ生徒、陸軍ノ士官候補生、海軍予備生徒並海軍予備練習生ニシテ軍人ニ非サルモノヲ謂フ
第八条 恩給法第二十二条第二項ノ在外指定学校ハ外務大臣及文部大臣之ヲ指定ス但シ関東州ニ在リテハ関東長官之ヲ指定ス
前項ノ指定ニ関スル規程ハ外務大臣及文部大臣又ハ関東長官之ヲ定ム
第九条 恩給法第二十二条第三項ノ準教育職員トハ教授心得、助教授心得、教諭心得、助教諭心得、准訓導及判任官ノ待遇ヲ受ケサル保姆ニシテ専任教員タルモノヲ謂フ
第十条 恩給法第二十四条第三号ノ待遇職員トハ左ニ掲クル者ヲ謂フ
一 道路管理職員制ニ依ル職員
二 地方土木職員制ニ依ル職員
三 地方産業職員制ニ依ル職員(市費ヲ以テ置キタルモノヲ除ク)
四 地方測候所職員制ニ依ル職員
五 防疫職員制ニ依ル職員
六 港務部設置制ニ依ル職員
七 臨時海港検疫所官制ニ依ル職員
八 庁府県衛生職員制ニ依ル職員
九 癩療養所職員制ニ依ル職員
十 朝鮮地方待遇職員令ニ依ル地方ノ土木又ハ産業ニ関スル事務又ハ技術ニ従事スル職員(府費ヲ以テ置キタルモノヲ除ク)
十一 台湾地方待遇職員令ニ依ル地方ノ土木、衛生、産業又ハ物産検査ノ事務又ハ技術ニ従事スル職員
第十一条 恩給法第二十四条第四号ノ待遇職員トハ左ニ掲クル者ヲ謂フ
一 陸軍ノ通訳ニシテ判任官以上ノ待遇ヲ受クルモノ
二 靖国神社附属遊就館職員ニシテ判任官以上ノ待遇ヲ受クルモノ
三 鉄道医
四 北海道庁事業手
五 朝鮮ニ於ケル監獄ノ薬剤師並台湾ニ於ケル監獄医及警察医
六 台湾又ハ関東州ニ於ケル検疫員及検疫医員
第十二条 恩給法第三十二条第一項第一号ノ規定ニ依リ従軍加算ヲ為スヘキ場合ニ於テハ同法第四十条第二項ノ規定ニ依ルノ外左ノ各号ノ例ニ依ル
一 戦争開始後戦地ニ到リタル者ニ付テハ戦地ニ到ルヘキ事由ノ生シタル当時所在スル地ノ属スル地域ヲ離レタル月ヨリ加算ス
二 戦争中戦地ヨリ帰還シタル者ニ付テハ其ノ帰還スヘキ地ノ属スル地域ニ到著シタル月迄加算ス
前項ノ地域トハ内地、朝鮮、台湾、樺太、関東州、南洋群島及之ニ準スヘキ外国ノ地区ヲ謂フ
恩給法第三十二条第一項第二号ノ規定ニ依リ従軍加算ヲ為スヘキ場合ニ於テハ同法第四十条第二項ノ規定ニ依ルノ外左ノ各号ノ例ニ依ル
一 動員(之ニ準スルモノヲ含ム)部隊ニ編入セラレタル者ニ付テハ編入ノ月、動員(之ニ準スルモノヲ含ム)下令前ヨリ其ノ部隊ニ在リタル者ニ付テハ其ノ下令ノ月ヨリ加算ス
二 戦争開始後戦務ニ服スヘキ地ニ到リタル者及戦争中其ノ地ヨリ帰還シタル者ニ付テハ前二項ノ規定ヲ準用ス
前三項ノ規定ハ恩給法第三十二条第二項ノ規定ニ依ル加算ニ付之ヲ準用ス
第十三条 恩給法第三十五条ノ規定ニ依リ鎮戍加算ヲ為スヘキ場合ニ於テハ同法第四十条第二項ノ規定ニ依ルノ外公務員鎮戍ノ為内国ヲ出発シタルトキハ内国ヲ離レタル月ヨリ加算シ鎮戍ノ終了後直ニ内国ニ帰還シタルトキハ内国帰著ノ月迄加算ス
第十四条 恩給法第三十六条ノ規定ニ依リ航空加算ヲ為スヘキ場合ニ於テハ左ノ区分ニ依ル
一 同月内ニ於テ飛行時数五時間以上飛行機ニ搭乗シ航空勤務ニ服シタルトキ又ハ航空機ニ搭乗シ特ニ危険ト認ムル航空試験ニ従事シタルトキハ其ノ一月ニ付一月半
二 同月内ニ於テ飛行時数一時間以上飛行機ニ搭乗シ又ハ五時間以上航空船、航行中ノ艦船繋留ノ気球若ハ自由気球ニ搭乗シ航空勤務ニ服シタルトキハ其ノ一月ニ付一月
三 前二号ニ掲クルモノヲ除クノ外航空機ニ搭乗シ航空勤務ニ服シタルトキハ其ノ一月ニ付半月
第十五条 恩給法第三十八条ノ規定ニ依リ加算スヘキ辺陬又ハ不健康ノ地域及其ノ加算ノ程度ハ別表第二号表ニ依ル
第十六条 辺陬又ハ不健康ノ地域ノ加算ハ在勤地外ノ地ヨリ其ノ在勤地ニ赴任シタル者ニ付テハ在勤地ニ到著シタル月ヨリ、其ノ地ニ在リテ就職シタル者ニ付テハ就職ノ月ヨリ之ヲ起算シ其ノ在勤ヲ止メタル月ヲ以テ終ル
前項ノ地域ニ在勤中引続キ九十日以上其ノ地域ヲ離レタルトキハ全ク地域ヲ離レタル月ニ対シテハ辺陬又ハ不健康ノ地域ノ加算ヲ為サス
第十七条 恩給法第三十八条ノ規定ニ依ル不健康業務ノ加算ハ一月ニ付半月トス其ノ業務左ノ如シ
一 有毒ノ瓦斯若クハ蒸気、爆薬類又ハ危険ナル細菌ノ研究又ハ製造ニ直接ニ従事スル勤務ニシテ内閣総理大臣ノ指定スルモノ
二 排水量千噸以下ノ在役ノ駆逐艦若ハ水雷艇乗員トシテノ勤務又ハ鉄道事業ニ於ケル蒸汽機関車乗員トシテノ現業勤務
三 炭坑内切羽ニ於ケル連続的現業勤務
四 肺結核、喉頭結核又ハ癩ノ患者ヲ収容スル病室ニ於テ直接看護ニ従事スル勤務
前項ニ規定スル業務ニ従事中引続キ三十日以上服務セサルトキハ全ク服務セサル月ニ対シテ不健康ノ業務ノ加算ヲ為サス
第十八条 恩給法第三十九条ノ遠洋航海トハ北緯五十度以北、東経百六十度以東、東経百六十度北緯四十度ノ点ト東経百四十度北緯二十度ノ点トヲ連結スル線ノ以東以南、北緯二十度以南及東経百十度以西ノ海面ヲ航行シ一航程千浬ヲ超ユル航海ヲ謂フ
第十九条 航海加算ハ初発港出発ヨリ之ニ帰著シ又ハ到達港ニ達スル迄ノ期間ニ対シ之ヲ為ス但シ出発ニ当リ内国港湾ニシテ前条ノ海面ニ在ラサルモノヲ経由スル場合ニ於テハ其ノ港湾ヲ離レタル月ヨリ加算シ帰著ニ際シ内国港湾ニシテ前条ノ海面ニ在ラサルモノヲ経由スル場合ニ於テハ其ノ港湾ニ到著シタル月迄加算ス
航海中引続キ三十日以上航行セサルトキハ全ク航行セサル月ニ対シテハ航海加算ヲ為サス
第二十条 恩給法第四十四条ノ本俸ニ準スヘキモノトハ左ニ掲クルモノヲ謂フ
一 年功ニ因ル加俸
二 府県知事ノ指定地加俸
三 官立又ハ公立ノ大学ノ教授又ハ助教授ノ職務俸
四 第一号ニ掲クルモノヲ除クノ外市町村立小学校教員加俸令ニ依ル加俸
五 警察監獄職員ノ精勤加俸及功労加俸
第二十一条 恩給法第四十八条第一項第一号ニ規定スル流行病及地域ハ別表第三号表ニ依ル
第二十二条 恩給法第四十八条第一項第二号ノ流行病ノ種類左ノ如シ
一 マラリア(黒水熱ヲ含ム)
二 猖紅熱
三 コレラ
四 脚気(戦地ニ限ル)
五 発疹チフス
六 腸チフス
七 パラチフス
八 ペスト
九 回帰熱
十 赤痢
十一 流行性脳脊髄膜炎
十二 流行性感冒
十三 肺ヂストマ病
十四 トリパノゾーム病
十五 ワイルス氏病
十六 カラアザール
十七 黄熱
第二十三条 恩給法第四十九条第二項ノ規定ニ依ル戦闘ニ準スヘキ公務ニ因ル傷痍疾病トハ左ニ掲クルモノヲ謂フ
一 戦地ニ於テ勤務中敵ノ設置若ハ遺棄シタル危険物ニ因ル又ハ敵対行動中ノ不可抗力ニ因ル傷痍疾病
二 暴徒鎮圧又ハ集団ヲ為ス馬賊海賊蕃人等討伐中ノ敵対行動ニ因ル又ハ敵対行動中ノ不可抗力ニ因ル傷痍疾病
三 外国ノ交戦若ハ擾乱ノ地域内ニ於テ勤務中又ハ該地域内ヲ職務ヲ以テ旅行中ニ於ケル該交戦又ハ擾乱ニ因ル傷痍疾病
四 航空機ニ乗シ航空勤務中又ハ潜水艦ニ乗シ潜航勤務中ノ不可抗力ニ因ル傷痍疾病
五 職務ヲ以テ兇賊又ハ脱獄囚ヲ逮捕スルニ当リ危害ヲ加ヘラルヘキコトヲ予断シ得ルニ拘ラス危険ヲ冒シテ其ノ職務ヲ執行シタル為加ヘラレタル傷痍疾病
六 職務ヲ以テコレラ又ハペストノ防疫、診療又ハ看護ニ直接従事シ之カ為罹リタル該疾病
第二十四条 恩給法第四十九条第二項ノ規定ニ依リ不具廃疾ノ程度ヲ分チテ左ノ七項トス
特別項症
一 常ニ就床ヲ要シ且複雑ナル介護ヲ要スルモノ
二 重大ナル精神障碍ノ為常ニ監視又ハ複雑ナル介護ヲ要スルモノ
三 身体諸部ノ障碍ヲ綜合シテ其ノ程度第一項症ニ第一項症乃至第六項症ヲ加ヘタルモノ
第一項症
一 複雑ナル介護ヲ要セサルモ常ニ就床ヲ要スルモノ
二 精神的又ハ身体的作業能力ヲ失ヒ僅ニ自用ヲ弁シ得ルニ過キサルモノ
三 咀嚼及言語ノ機能ヲ併セ廃シタルモノ
四 両眼ノ視力カ視標〇・一ヲ〇・五メートル以上ニテハ弁別シ得サルモノ
五 肘関節以上ニテ両上肢ヲ失ヒタルモノ
六 膝関節以上ニテ両下肢ヲ失ヒタルモノ
第二項症
一 精神的又ハ身体的作業能力ノ大部ヲ失ヒタルモノ
二 咀嚼又ハ言語ノ機能ヲ廃シタルモノ
三 両眼ノ視力カ視標〇・一ヲ一メートル以上ニテハ弁別シ得サルモノ
四 両耳全ク聾シタルモノ
五 腕関節以上ニテ両上肢ヲ失ヒタルモノ
六 足関節以上ニテ両下肢ヲ失ヒタルモノ
第三項症
一 咀嚼又ハ言語ノ機能ニ大ニ妨アルモノ
二 両睾丸ヲ全ク失ヒタルモノ
三 肘関節以上ニテ一上肢ヲ失ヒタルモノ
四 膝関節以上ニテ一下肢ヲ失ヒタルモノ
五 両耳ノ聴力カ耳殻ニ接セサレハ大声ヲ解シ得サルモノ
第四項症
一 泌尿器ノ機能ニ大ニ妨アルモノ
二 両眼ノ視力カ視標〇・一ヲ二メートル以上ニテハ弁別シ得サルモノ
三 腕関節以上ニテ一上肢ヲ失ヒタルモノ
四 足関節以上ニテ一下肢ヲ失ヒタルモノ
第五項症
一 鼻ヲ失ヒ其ノ機能ニ大ニ妨アルモノ
二 頭部、顔面等ニ大ナル醜形ヲ残シタルモノ
三 一眼ノ視力カ祖標〇・一ヲ〇・五メートル以上ニテハ弁別シ得サルモノ
四 一側総指ヲ全ク失ヒタルモノ
第六項症
一 頸部又ハ躯幹ノ運動ニ大ニ妨アルモノ
二 一眼ノ視力カ視標〇・一ヲ一メートル以上ニテハ弁別シ得サルモノ
三 一側拇指及示指ヲ全ク失ヒタルモノ
四 一側総趾ヲ全ク失ヒタルモノ
前項ノ各症ニ該当セサル傷痍疾病ノ症項ハ前項ノ規定ニ準シ之ヲ査定ス
視力ヲ測定スル場合ニ於テハ屈折異常ノモノニ付テハ矯正視力ニ依リ視標ハ万国共通視力標ニ依ル
第二十五条 準文官ノ公務傷病ニ関スル規定ノ適用ニ付テノ階等ハ左ノ区分ニ依ル
一 高等官ノ試補ハ判任官一等トシ判任官見習ハ同四等トス
二 国庫ヨリ俸給ヲ給セサル官ニ在ル者ニ付テハ其ノ官等等級ニ依ル
第二十六条 準軍人ノ公務傷病等ノ規定ノ適用ニ付テノ階等ハ左ノ区分ニ依ル
一 陸軍ノ見習士官及海軍ノ候補生ハ判任官一等トス
二 前号ニ掲ケサル陸軍ノ士官候補生、陸軍士官学校生徒、海軍兵学校生徒、海軍機関学校生徒、海軍経理学校生徒及海軍予備生徒ハ判任官三等トス
三 前二号ニ掲ケサル陸海軍諸生徒及海軍予備練習生ノ階等ハ兵卒ニ準ス
第二十七条 教育職員及準教育職員ノ公務傷病ノ規定ノ適用ニ付テノ階等ハ左ノ区分ニ依ル
一 教育職員ノ階等ハ其ノ官等等級又ハ待遇官等等級ニ依リ勅任官、奏任官又ハ判任官ノ待遇ヲ受クルモ官等等級ノ定ナキ者ハ各其ノ最下位ノ官等等級ニ依ル
二 準教育職員ノ階等ハ公立学校職員待遇官等等級令別表第二表ノ例ニ準ス
第二十八条 警察監獄職員ノ公務傷病ノ規定ノ適用ニ付テノ階等ハ判任官四等トス但シ警部補ハ其ノ等級ニ依ル
第二十九条 待遇職員ノ公務傷病ノ規定ノ適用ニ付テノ階等ハ其ノ待遇官等等級ニ依リ勅任官、奏任官又ハ判任官ノ待遇ヲ受クルモ官等等級ノ定ナキ者ハ各其ノ最下位ノ官等等級ニ依ル
第三十条 恩給法第六十二条第五項ニ規定スル中学校ト同等以下ノ程度ノ学校トハ左ニ掲クルモノヲ謂フ
一 師範学校
二 高等女学校
三 専門学校令ニ依ラサル実業学校(実業補習学校ヲ除ク)
四 中学校又ハ前二号ニ掲クル学校ニ準スヘキ学校
五 実業補習学校教員養成所
六 朝鮮又ハ台湾ニ於ケル中学校又ハ第一号乃至第三号若ハ第五号ニ掲クルモノニ準スヘキモノ
七 在外指定学校ニシテ中学校又ハ第一号乃至第三号ニ掲クル学校ニ準スヘキモノ
第三十一条 恩給法第六十六条第四項ノ規定ニ依リ傷病ノ程度ヲ分チテ左ノ十款トス
第一款症
一 一側睾丸ヲ全ク失ヒタルモノ
二 一眼ノ視力カ視標〇・一ヲ二メートル以上ニテハ弁別シ得サルモノ
三 一耳聾シタルモノ
四 一側拇指ヲ全ク失ヒタルモノ
第二款症
一 一耳ノ聴力カ耳殻ニ接セサレハ大声ヲ解シ得サルモノ
二 一側拇指ノ機能ヲ廃シタルモノ
第三款症
一 一眼ノ視力カ視標〇・一ヲ三メートル以上ニテハ弁別シ得サルモノ
二 一耳ノ聴力カ十センチメートル以上ニテハ尋常ノ話声ヲ解シ得サルモノ
三 一側示指ヲ全ク失ヒタルモノ
四 一側第一趾ヲ全ク失ヒタルモノ
第四款症
一 一側中指ヲ全ク失ヒタルモノ
二 一側示指ノ機能ヲ廃シタルモノ
三 一側第二趾ヲ全ク失ヒタルモノ
四 一側第一趾ノ機能ヲ廃シタルモノ
第五款症
一 一眼ノ視力カ〇・一ニ満タサルモノ
二 一側中指ノ機能ヲ廃シタルモノ
三 一側第二趾ノ機能ヲ廃シタルモノ
第六款症
一 一側環指ヲ全ク失ヒタルモノ
第七款症
一 一眼ノ視力カ〇・二ニ満タサルモノ
二 一耳ノ聴力カ四十センチメートル以上ニテハ咡語ヲ解シ得サルモノ
三 一側環指ノ機能ヲ廃シタルモノ
四 一側第三趾乃至第五趾ノ中二趾ヲ全ク失ヒタルモノ
第八款症
一 一側小指ヲ全ク失ヒタルモノ
二 一側第三趾乃至第五趾ノ中二趾ノ機能ヲ廃シタルモノ
第九款症
一 一眼ノ視力カ〇・三ニ満タサルモノ
二 一耳ノ聴力カ一メートル以上ニテハ咡語ヲ解シ得サルモノ
三 一側小指ノ機能ヲ廃シタルモノ
四 一側第三趾乃至第五趾ノ中一趾ヲ全ク失ヒタルモノ
第十款症
一 一側第三趾乃至第五趾ノ中一趾ノ機能ヲ廃シタルモノ
二 前款ノ各症ニ次ク症ヲ残シタルモノ
第二十四条第二項及第三項ノ規定ハ前項ノ傷病ノ程度ノ査定ニ付之ヲ準用ス
第三十二条 第十六条ノ規定ハ恩給法第九十一条又ハ第九十二条ノ規定ニ依リ附スヘキ加算年ノ計算ニ付之ヲ準用ス
第三十三条 恩給法第九十六条ノ規定ニ依リ在職最終俸給年額ニ増加スヘキ金額ハ別表第四号表ノ区分ニ依ル
第三十四条 恩給法第九十九条ノ教育事務ニ従事スル文官トハ左ニ掲クル者ヲ謂フ
一 官立ノ学校又ハ図書館ノ職員
二 文部省官吏
三 教育事務従事ノ北海道庁、府、県、郡、島庁、朝鮮総督府、朝鮮総督府道府郡島、台湾総督府、台湾総督府州庁郡市、樺太庁、関東庁又ハ南洋庁ノ官吏
四 台湾公立学校ノ職員ニシテ国庫ヨリ俸給ヲ受クルモノ
五 教育事務従事ノ従前ノ区、統監府又ハ関東都督府ノ官吏
第三十五条 廃官、廃職、廃庁、廃校又ハ官職名改定ノ際其ノ廃改ニ係ル官職ニ在ル者即日又ハ翌日他ノ官職ニ任セラレタルトキハ恩給法ノ適用ニ付テハ之ヲ勤続ト看做ス
第三十六条 恩給法第百一条ノ規定ニ依ル増額ハ左ノ区分ニ依ル
一 軍人以外ノ公務員ノ普通恩給又ハ遺族ノ扶助料ノ年額ヲ更正スル場合ニ於テハ其ノ年額算出ノ基礎ト為リタル俸給カ大正九年七月三十一日以前ノ俸給令ニ依ルモノナルトキハ別表第四号表ノ区分ニ依リ増加シタル金額ヲ俸給年額ト為シ、其ノ他ノモノナルトキハ在職最終ノ俸給年額ヲ基礎トシテ恩給法第六十条、第六十二条、第六十三条及第七十五条ノ規定ニ依リ算出シタル年額ヲ以テ其ノ普通恩給又ハ扶助料ノ年額トス
二 軍人又ハ準軍人ノ普通恩給又ハ遺族ノ扶助料ノ年額ヲ更正スル場合ニ於テハ別表第五号表ニ依リ当該軍人又ハ準軍人ノ階等ヲ定メ恩給法第六十一条及第七十五条ノ規定ニ依リ算出シタル年額ヲ以テ其ノ普通恩給又ハ扶助料ノ年額トス
三 増加恩給ノ年額ヲ更正スル場合ニ於テハ退職当時ノ階等並別表第六号表ニ依リ定メタル傷病ノ原因及不具廃疾ノ程度ニ従ヒ恩給法第六十五条ノ規定ニ依リ算出シタル年額ヲ以テ其ノ増加恩給ノ年額トス但シ陸海軍准士官ニシテ其ノ官ニ対スル最高俸ヲ受ケタルモノノ階等ハ之ヲ尉官トシ名誉進級ニ因リ階等ヲ進メラレタル軍人ノ階等ハ名誉進級ニ因ル階等トス
第二十五条乃至第二十九条ノ規定ハ増加恩給年額ノ更正ニ付之ヲ準用ス
四 執達吏ノ恩給ヲ更正スル場合ニ於テハ第一号ノ規定ニ依ラス六百円ヲ俸給年額ト看做シ恩給法第六十条ノ規定ニ依リ算出シタル年額ヲ以テ其ノ普通恩給ノ年額トス
前項ノ増額ヲ為ス場合ニ於テハ外国勤続ニ因ル加給ハ之ヲ為サス
第三十七条 恩給法第百二条ノ規定ニ依リ普通恩給又ハ遺族ノ扶助料ノ年額ヲ増額スル場合ニ於テハ其ノ年額算出ノ基礎ト為リタル退職又ハ死亡当時ノ俸給年額ヲ別表第七号表ニ依ル仮定俸給年額ニ増加シ之ヲ退職又ハ死亡当時ノ俸給年額ト看做シ之ニ恩給法第百一条ノ規定ヲ適用ス
附 則
第三十八条 本令ハ大正十二年十月一日ヨリ之ヲ施行ス
第三十九条 左ノ命令ハ之ヲ廃止ス
一 明治二十四年勅令第二百四十八号
一 明治二十七年勅令第五十二号
一 明治二十七年勅令第八十一号
一 明治二十七年勅令第百四十五号
一 明治三十一年勅令第二百四十四号
一 明治三十二年勅令第二百一号
一 明治三十三年勅令第百七十三号
一 明治三十三年勅令第四百四号
一 巡査看守退隠料及遺族扶助料法施行令
一 明治三十四年勅令第百五十号
一 明治三十五年勅令第百五十七号
一 明治四十一年勅令第百三十七号
一 明治四十三年勅令第百二十七号
一 明治四十四年勅令第七十号
一 大正六年勅令第二百四十一号
一 大正六年勅令第二百四十二号
一 大正九年勅令第三百二十三号
一 明治十八年第十五号達官吏恩給令附則
一 明治十八年第十六号達文官傷痍疾病等差例
一 明治十八年第四十号達陸軍恩給令附則
(別表)
第一号表
下士
兵卒
判任官
二等
三等
四等
七五六円
六一二円
四六八円
四一四円
 準軍人ニ付テハ其ノ階等ニ依リ右表ヲ準用ス
第二号表
(一) 三分ノ二月ヲ加算スヘキモノ
【表】
(二) 二分ノ一月ヲ加算スヘキモノ
【表】
第三号表
地域
流行病
八重山列島
マラリヤ(黒水熱ヲ含ム以下同シ)、赤痢
朝鮮
猩紅熱、腸チフス、パラチフス、赤痢、肺ヂストマ病
台湾
マラリア、腸チフス、パラチフス、赤痢
南洋諸島
マラリア、腸チフス、パラチフス、赤痢、黄熱
満洲
関東州
ペスト、腸チフス、パラチフス、赤痢
支那
(満洲ヲ除キ香港ヲ含ム)
マラリア、猩紅熱、コレラ、発疹チフス、腸チフス、パラチフス、ペスト、赤痢、カラアザール
露領西伯利亜
(薩哈嗹州ヲ含ム)
発疹チフス、腸チフス、パラチフス、ペスト、回帰熱、赤痢
比律賓諸島
マラリア、コレラ、腸チフス、パラチフス、赤痢
蘭領東印度諸島
マラリア、コレラ、ペスト、赤痢
仏領印度、暹羅、緬甸、馬来半島
マラリア、コレラ、発疹チフス、ペスト、赤痢
英領印度
マラリア、コレラ、ペスト、赤痢、カラアザール
中央亜米利加、南亜米利加
マラリア、腸チフス、パラチフス、赤痢、黄熱
墨西哥
マラリア、発疹チフス、黄熱
亜弗利加
マラリア、ペスト、回帰熱、赤痢、トリパノゾーム病、黄熱
第四号表
在職最終俸給年額
六千五百円ヲ超エ七千五百円未満ノモノ
五千五百円ヲ超エ六千五百円ヲ超エサルモノ
三千円ヲ超エ五千五百円ヲ超エサルモノ
千二百円ヲ超エ三千円ヲ超エサルモノ
三百六十円ヲ超エ千二百円ヲ超エサルモノ
三百円ヲ超エ三百六十円ヲ超エサルモノ
三百円以下ノモノ
増加スヘキ金額
五百円
但シ在職最終俸給年額ニ五百円ヲ加ヘタル額カ七千五百円ヲ超ユルトキハ在職最終俸給年額ト七千五百円トノ差額トス
在職最終俸給年額ト七千円トノ差額
千五百円
在職最終俸給年額ノ三十分ノ十三ニ相当スル金額ニ二百円ヲ加ヘタル額
在職最終俸給年額ノ五割ニ相当スル金額ニ百二十円ヲ加ヘタル額
三百円
在職最終俸給年額十割ニ相当スル金額
第五号表
【表】
備考
一 大正九年三月三十一日以前ニ海軍兵曹長同相当官タリシ者ニシテ最高ノ俸給ヲ受ケタルモノハ高等官六等トシ其ノ他ノモノハ高等官七等トス
一 大正十年三月三十一日以前ニ退職シタル陸軍一等楽長ニシテ最高ノ俸給ヲ受ケタルモノハ高等官六等トス
一 名誉進級ニ因リ階等ヲ進メラレタル軍人ノ階等ハ名誉進級ニ因ル階等トス
一 本表ニ該当セサルモノハ陸海軍武官官階及兵卒等級ノ例ニ依ル
第六号表
【表】
備考 明治三十五年勅令第四十一号ニ定メタル事件ノ為受ケタル傷痍ハ之ヲ職闘ニ準スヘキ公務ニ因ル傷痍ト看做ス
第七号表
【表】
備考
一 本表ノ俸給年額ニハ加俸ヲ包含セス恩給年額算出ノ基礎ト為リタル加俸ハ其ノ実額ニ依ル
一 本表ニ該当セサル俸給ニ付テハ之ニ其ノ俸給年額ノ二割五分ニ相当スル金額ヲ加ヘタルモノヲ以テ仮定俸給年額トス但シ其ノ額カ実俸給年額ニ最モ近キ本表中ノ上級俸給年額ニ対スル仮定俸給年額ヲ超過スルトキハ之ヲ当該上級俸給年額ニ対スル仮定俸給年額ニ止ム