(市町村農地委員会の交換分合計画の決定手続)
第九十七條 権原に基き耕作の業務を営む者二人以上が、省令の定めるところにより、これらの者が耕作の目的に供している農地を含む一定の農地を定め、その農地について所有権、地上権、永小作権、質権、賃借権又は使用貸借による権利を有する者の二分の一以上の同意を得てその一定の農地に関し第二條第二項第六号に掲げる事業(以下「交換分合」という。)を行うべきことを請求した場合において、その農地が一市町村の区域内にある場合にあつては当該市町村の農地委員会が、その農地が二以上の市町村の区域にわたる場合にあつては当該関係市町村の農地委員会がその協議により、その請求を相当と認めるときは、その農地に関し交換分合を行うため交換分合計画を定める。
2 前項の規定による請求がない場合においても、特に必要があると認めるときは、交換分合すべき農地が一市町村の区域内にある場合にあつては当該市町村農地委員会が、その農地が二以上の市町村の区域にわたる場合にあつては当該関係市町村農地委員会がその協議により、省令の定めるところにより、交換分合を行うべき農地及び交換分合計画の概要を公告し、その農地について前項に掲げる権利を有する者の二分の一以上の同意を得て、その農地につき交換分合計画を定めることができる。
3 前二項の規定により市町村農地委員会又は関係市町村農地委員会が交換分合計画を定めるには、その交換分合計画により交換分合すべき農地についての第一項に掲げる権利を有する者の三分の二以上の同意がなければならない。
4 前項の場合において、当該農地の全部又は一部が土地改良区の地区内にあるときは、その土地改良区の意見をきかなければならない。
5 市町村農地委員会又は関係市町村農地委員会が、第一項の規定による申請を受けた日から六箇月以内に、その請求のあつた交換分合を行うため交換分合計画を定めない場合には、その請求をした者は、その期間経過後六十日以内に、都道府縣農地委員会に対して、その市町村農地委員会又は関係市町村農地委員会にその交換分合計画を定めるよう指示すべき旨を請求することができる。
6 都道府縣農地委員会は、前項の規定による請求を受けた場合には、その請求のあつた農地の全部又は一部に関し交換分合計画を定めることを不相当と認めるときを除いて、その請求を受けた日から三十日以内に前項の規定による指示をしなければならない。
第九十八條 市町村農地委員会又は関係市町村農地委員会は、前項の規定により交換分合計画を定めたときは、遅滯なくその旨を公告し、且つ、六十日間交換分合計画書を縱覽に供しなければならない。
2 市町村農地委員会又は関係市町村農地委員会は、前項の規定による公告をしたときは、当該交換分合計画により交換分合すべき農地についての所有権、地上権、永小作権、地役権、先取特権、質権、抵当権、賃借権又は使用貸借による権利を有する者(その農地のある市町村の区域内に住所を有する者を除く。)に対して、その旨を通知しなければならない。
3 前項に掲げる権利を有する者は、当該交換分合計画に対して異議があるときは、市町村農地委員会又は関係市町村農地委員会にこれを申し立てることができる。但し、第一項に規定する縱覽期間を経過したときは、この限りでない。
4 市町村農地委員会又は関係市町村農地委員会は、前項の規定による申立を受けたときは、第一項に規定する縱覽期間満了後六十日以内にこれを決定しなければならない。
5 前項の規定による決定に対して不服がある申立人は、都道府縣農地委員会に訴願をすることができる。但し、その決定後十日を経過したときは、この限りでない。
6 都道府縣農地委員会は、前項の訴願を受理したときは、同項但書に規定する期間満了後六十日以内にこれを裁決しなければならない。
7 第三項の異議の申立がないとき、異議の申立があつた場合においてそのすべてについて第四項の規定による決定があり、且つ、第五項の訴願の提起がなかつたとき、又は訴願の提起があつた場合においてそのすべてについて前項の規定による裁決があつたときは、市町村農地委員会又は関係市町村農地委員会は、遅滯なく当該交換分合計画について都道府縣農地委員会の認可を受けなければならない。
8 都道府縣農地委員会は、前項の認可をしたときは、遅滯なくその旨を公告しなければならない。
9 第一項、第二項又は第四項の場合において、関係市町村農地委員会が公告、縱覽又は通知をするには、そのすべてがこれを行わなければならず、異議の決定をするには、そのすべてが協議してこれをしなければならない。
(土地改良区の交換分合計画の決定手続)
第九十九條 土地改良区は、交換分合を行おうとする場合には、交換分合計画を定め、都道府縣知事の認可を受けなければならない。
2 前項の規定により交換分合計画を定める場合には、第五十二條第三項から第五項までの規定を準用する。
3 第一項の認可を申請するには、その申請書に関係市町村農地委員会の同意書を添附しなければならない。但し、同意を求めた日から六十日以内にその同意が得られない場合には、その事由を記載した書面を添附すればよい。
4 前項但書の場合において、第一項の認可をしようとするときは、都道府縣知事は、関係市町村農地委員会の意見をきかなければならない。
5 都道府縣知事は、第一項の認可の申請を相当と認める場合には、遅滯なく申請の旨を公告し、且つ、六十日間交換分合計画書の写を縱覽に供しなければならない。
6 前項の規定による公告があつたときは、当該交換分合計画により交換分合すべき農地についての前條第二項に掲げる権利を有する者(その農地のある市町村の区域内に住所を有する者を除く。)に対して、その旨を通知しなければならない。
7 前項の権利を有する者は、当該交換分合計画に対して異議があるときは、都道府縣知事にこれを申し立てることができる。但し、第五項に規定する縱覽期間を経過したときは、この限りでない。
8 都道府縣知事は、前項の規定による申立を受けたときは、第五項の縱覽期間満了後六十日以内にこれを決定しなければならない。
9 都道府縣知事は、前項の規定による決定をするには、都道府縣農地委員会の意見をきかなければならない。
10 都道府縣知事は、第七項の異議の申立がないとき、又は異議の申立があつた場合においてそのすべてについて第八項の規定による決定があつたときでなければ、第一項の認可をすることができない。
11 都道府縣知事は、第一項の認可をしたときは、遅滯なくその旨を公告しなければならない。
(農業協同組合の交換分合計画の決定手続)
第百條 農業協同組合は、交換分合を行おうとする場合には、総会の議決を経て交換分合計画を定め、その交換分合計画により交換分合すべき農地について第九十七條第一項に掲げる権利を有する者の同意を得て、都道府縣知事の認可を受けなければならない。
2 前項の場合には、前條第三項から第十一項までの規定を準用する。
(交換分合計画の定め方)
第百一條 交換分合計画は、耕作者の農業経営の合理化に資するように定めなければならない。
2 処分の制限がある農地であつて省令で定めるもの及び地上権、永小作権又は賃借権が設定された農地であつて当該権利が差押、仮差押又は仮処分の目的となつているものに関しては、交換分合計画を定めることができない。
第百二條 農地の所有権についての交換分合については、交換分合計画において、交換分合により所有者が取得すべき農地及び失うべき農地並びに所有権の移轉の時期を定めなければならない。
2 前項の場合において、所有者の取得すべきすべての農地と失うべきすべての農地とは、地目、地積、土性、水利、傾斜、温度等を、省令の定めるところにより、総合的に勘案して、おおむね同等でなければならない。但し、その者の同意を得た場合には、この限りでない。
3 第一項の場合には、所有者が取得すべきすべての農地は、その地積及び價格において、その者が失うべきすべての農地に比べて二割以上の増減があつてはならない。但し、その者の同意を得た場合には、この限りでない。
4 第二項の場合において、所有者が取得すべき農地と失うべき農地とが地目、地積、土性、水利、傾斜、温度等により相殺することができない部分がある場合には、金銭による清算をするものとし、その額並びに支拂の方法及び時期を定めなければならない。
第百三條 前條第一項の場合において、所有者が失うべき農地につき先取特権、質権又は抵当権があるときは、これらの権利に代るべき先取特権、質権又は抵当権を設定すべき農地並びにこれらの権利の設定の時期及び存続期間その他の條件を定めなければならない。
2 前項の場合には、当該権利を設定すべき農地は、所有者が所有し、又は取得すべき農地であつて、その價格がその設定すべき権利に照應する現在の権利の目的となつている農地の價格と同等以上のものでなければならない。
3 第一項の場合において、当該所有者が前條第四項の規定による清算金を取得すべきときは、前項の規定にかかわらず、当該権利を設定すべき農地は、その清算金の限度内において、その設定すべき権利に照應する現在の権利の目的となつている農地の價格より低い價格の農地でよい。この場合には、これらの價格の差額に相当する現在の権利の及ぶべき清算金の額を定めなければならない。
4 第一項の場合には、設定すべき権利の存続期間は、その権利に照應する現在の権利の残存期間とし、その他の條件は、現在の権利の條件によらなければならない。
第百四條 第百二條第一項の場合において、所有者が失うべき農地につき地上権、永小作権、賃借権又は使用貸借による権利があるときは、これらの権利に代るべき地上権、永小作権、賃借権又は使用貸借による権利を設定すべき農地並びにこれらの権利の設定の時期及び存続期間、対價その他の條件を定めなければならない。
2 前項の場合には、第百二條第二項から第四項まで及び前條の規定を準用する。
第百五條 第百二條第一項の場合において、当該交換分合により地役権を設定する必要があると認められるときは、その地役権を設定すべき土地、地役権者並びにその地役権の設定の時期及び地役権の目的その他の條件を定め、現に地役権を有する者がその権利を行使する利益を受ける必要がなくなると認められるときは、その権利及び消滅の時期を定めなければならない。
(交換分合の効果)
第百六條 第九十八條第八項又は第九十九條第十一項(第百條第二項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定による公告があつたときは、その公告があつた交換分合計画の定めるところにより、所有権が移轉し、先取特権、質権、抵当権、地上権、永小作権、賃借権若しくは使用貸借による権利が設定され、又は地役権が設定され、若しくは消滅する。
2 前項の規定により先取特権、質権、抵当権、地上権、永小作権、賃借権又は使用貸借による権利が設定された場合には、これに照應する從前の権利は、これらの権利の設定された時において消滅する。但し、第百三條第三項(第百四條第二項において準用する場合を含む。)の規定により先取特権、質権又は抵当権の及ぶべき額を定めた場合には、これらの権利は、この額の清算金については、なお存続するものとする。
(所有権以外の権利についての交換分合)
第百七條 農地の地上権、永小作権、賃借権又は使用貸借による権利についての交換分合には、第百二條から前條までの規定を準用する。
(清算金)
第百八條 第九十八條第八項又は第九十九條第十一項の規定による公告があつたときは、市町村農地委員会、土地改良区又は農業協同組合は、その公告があつた交換分合計画の定めるところに從い清算金を支拂わなければならない。
2 前項の場合には、同項の者は、当該交換分合計画の定めるところに從い清算金を徴收することができる。
3 市町村農地委員会は、市町村又は農業協同組合に対し、政令の定めるところにより、前二項の規定による清算金の支拂及び徴收を委任することができる。
(農地の形質変更等の禁止)
第百九條 第九十八條第八項又は第九十九條第十一項の規定による公告があつた後は、その公告があつた交換分合計画において定める農地につき所有権その他の権利を有する者は、交換分合に支障を及ぼすおそれのない場合を除いて、都道府縣知事の許可を受けなければ、その農地の形質を変更してはならない。
(自作農創設特別措置法の先買権の特例)
第百十條 自作農創設特別措置法第二十八條第一項(同條第五項及び第四十一條第四項において準用する場合を含む。)の規定は、交換分合計画の定めるところにより農地の所有権を移轉する場合には、適用しない。
2 交換分合計画の定めるところにより自作農創設特別措置法第十六條又は同法第四十一條の規定により賣渡があつた農地の所有権を取得した者は、同法第二十八條第一項に規定する「農地の所有権を承継した者」(同條第五項及び第四十一條第四項において準用する場合を含む。)でないものとみなす。
3 交換分合計画の定めるところにより農地の所有権を移轉する者が、自作農創設特別措置法第十六條又は同法第四十一條の規定によりその農地の賣渡を受けた者又はその者からその農地の所有権を承継した者である場合には、その者がその交換分合計画の定めるところにより取得すべき農地で同法第十六條又は第四十一條の規定により賣渡を受けた農地に照應するものとして市町村農地委員会が指定するものにつき、その取得の時期に同法第二十八條第三項(同條第五項及び第四十一條第四項において準用する場合を含む。)の規定による賣渡があつたものとみなす。
(農地以外の土地等の権利についての交換分合)
第百十一條 第九十七條から前條までの規定は、農地の集團化に伴つて行う農地の利用上必要な土地に関する権利、農業用施設に関する権利及び水の使用に関する権利の交換分合について準用する。