農地法施行法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十七年七月十五日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百三十号
農地法施行法
(農地調整法等の廃止)
第一條 左に掲げる法令は、廃止する。
一 農地調整法(昭和十三年法律第六十七号)
二 自作農創設特別措置法(昭和二十一年法律第四十三号)
三 自作農創設特別措置法及び農地調整法の適用を受けるべき土地の譲渡に関する政令(昭和二十五年政令第二百八十八号)
(措置法による買収等の経過規定)
第二條 左に掲げる土地、権利又は立木、工作物その他の物件で農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)の施行の時までに買収又は使用の効力が生じていないものは、なお従前の例により買収し、又は使用するものとする。
一 旧自作農創設特別措置法(以下「措置法」という。)第六條第五項の規定による公告があつた農地買収計画に係る農地
二 措置法第十五條第三項で準用する同法第六條第五項の規定による公告があつた買収計画に係る農業用施設、水の使用に関する権利、立木、土地又は建物
三 措置法第三十一條第四項(同法第三十八條第二項で準用する場合を含む。)の規定による公告があつた未墾地買収計画に係る土地、権利、立木又は建物その他の工作物
四 措置法第三十七條第二項で準用する同法第三十一條第四項の規定による公告があつた買収計画に係る土地(その土地の上にある立木を含む。)
五 措置法第四十條の四第四項の規定による公告があつた牧野買収計画に係る採草放牧地、立木、建物その他の工作物又は権利
2 農地法の施行前に措置法第三條、第十五條、第三十條、第三十三條第二項、第三十六條第一項、第三十七條又は第四十條の二の規定により買収し、又は使用した土地、権利又は立木、工作物その他の物件及び前項の規定により買収し、又は使用した土地、権利又は立木、工作物その他の物件の買収又は使用に関する効果、対価又は報償金の支払、損失の補償、異議の申立、訴願、訴訟、登記、土地台帳法(昭和二十二年法律第三十号)の適用等については、なお従前の例による。
3 農地法の施行前に措置法第二十三條の規定により交換された農地及び農地法の施行前に措置法第二十八條(同法第二十九條第二項及び第四十一條第四項で準用する場合を含む。)の規定により政府が買い取つた土地、立木又は建物の登記及び土地台帳法の適用については、なお従前の例による。
(措置法による売渡の経過規定)
第三條 農地法の施行前に措置法第二十條(同法第二十八條第四項若しくは第五項又は第四十一條第二項で準用する場合を含む。)の規定による売渡通知書の交付があつた土地、権利又は立木、工作物その他の物件の売渡に関する効果、損失の補償、対価の徴収、訴訟、登記、土地台帳法の適用等については、なお従前の例による。
2 農地法の施行の際現に措置法第二十九條第一項に規定する農業用施設、水の使用に関する権利、立木、土地又は建物として国が所有しているもの及び前條第一項第二号の規定により国が買収した農業用施設、水の使用に関する権利、立木、土地又は建物は、なお従前の例により売り渡すものとし、その売渡に関する効果、損失の補償、対価の徴収、訴訟、登記、土地台帳法の適用等についても、また従前の例による。
(譲渡令による譲渡の経過規定)
第四條 農地法の施行前に旧自作農創設特別措置法及び農地調整法の適用を受けるべき土地の譲渡に関する政令(以下「譲渡令」という。)第二條第一項の規定による譲渡令書の交付があつた土地物件又は権利の譲渡に関する効果及びその譲渡に伴う同令第三條第三項の支払金の徴収、訴願、登記、土地台帳法の適用等については、なお従前の例による。
(国有農地、採草放牧地等の管理及び売渡)
第五條 農地法の施行の際措置法第四十六條第一項の規定により農林大臣が現に管理している農地及び採草放牧地(第三條、次項及び次條に規定するものを除く。)並びに第二條第一項第一号若しくは第五号又は前條の規定により国が取得した農地及び採草放牧地は、農地法第二章第五節及び第四章の規定の適用については、国が同法第九條の規定により買収したものとみなす。
2 左に掲げるもので農地法の施行の際措置法第四十六條第一項の規定により農林大臣が現に管理しているもの及び第二條第一項第五号の規定により国が取得した立木、建物その他の工作物又は権利は、農地法第二章第五節及び第四章の規定の適用については、国が同法第十四條の規定により買収したものとみなす。
一 措置法第四十條の二第六項の規定により買収した立木、建物その他の工作物、農業用施設又は水の使用に関する権利(第三條第一項及び次條第一項第三号に規定するものを除く。)
二 措置法第四十一條第一項第二号の規定による決定があつた立木、建物その他の工作物、農業用施設又は水の使用に関する権利(第三條第一項に規定するものを除く。)
(国有未墾地等の管理及び売渡)
第六條 左に掲げるもので農地法の施行の際措置法第四十六條第一項の規定により農林大臣が現に管理しているもの、第二條第一項第三号の規定により国が取得した土地、権利、立木又は建物その他の工作物及び第四條の規定により国が取得した土地物件(農地及び採草放牧地を除く。)又は権利は、農地法第五十五條、第五十九條、第三章第二節及び第四章の規定の適用については、国が同法第四十四條第一項の規定により買収したものとみなす。
一 措置法第三十條第一項、第三十三條第二項(同法第四十條の五第一項で準用する場合を含む。)又は同法第三十六條の規定により買収した土地、権利又は立木、工作物その他の物件
二 措置法第四十條の二第一項の規定により買収した採草放牧地で同法第四十條の六第一項の規定による指定があつたもの
三 措置法第四十條の二第六項の規定により買収した立木、建物その他の工作物、農業用施設又は水の使用に関する権利で前号の採草放牧地に係るもの
四 第一号又は第二号に掲げる土地で措置法第四十一條第四項で準用する同法第二十八條の規定により国が買い取つたもの
五 措置法第四十一條第一項第三号の規定による決定があつた土地物件
2 左に掲げる土地(その土地の上にある立木を含む。以下この項で同様とする。)で農地法の施行の際農林大臣が措置法第四十六條第一項の規定により現に管理しているもの及び第二條第一項第四号の規定により国が買収した土地は、農地法第六十九條及び第七十八條の規定の適用については、同法第五十九條の規定により買収したものとみなす。
一 措置法第三十七條第一項の規定により買収した土地
二 措置法第四十一條の三第一項の規定により売り渡すべきものと決定された土地
(隣接市町村の指定地域における小作地の所有)
第七條 農地法の施行の際、措置法第三條第一項第一号の規定により、その住所のある市町村の区域に準ずるものとして、隣接する市町村の区域内で指定されている地域において現に小作地を所有している者は、その小作地のうち農地法第六條第一項第二号に規定する面積からその住所のある市町村の区域内において所有する小作地の面積を差し引いた面積をこえないものを、同項第一号の規定にかかわらず、なお所有することができる。
(措置法による指定の効力)
第八條 農地法の施行の際、措置法第五條第三号の規定により試験研究又は農事指導の目的に供しているものとして現に指定を受けている小作地は、農地法の施行の日から一年を限り、同法第七條第一項第二号の規定による指定を受けたものとみなす。
2 農地法の施行の際現に措置法第五條第四号の規定による都道府県知事の指定を受けている区域内にある小作地は、農地法第七條第一項第三号の規定による指定を受けたものとみなす。
3 農地法の施行の際現に措置法第五條第五号の規定による指定を受けている小作地は、農地法の施行の日から一年を限り、同法第七條第一項第三号の規定による指定を受けたものとみなす。
(調整法により定めた小作料の額の制限)
第九條 農地法の施行の際現に農地につき旧農地調整法(以下「調整法」という。)第九條ノ五第一項の規定により定められている小作料の額(その農地につき同法第九條ノ三第一項但書の規定により都道府県知事の許可を受けた小作料の額があるときは、その額)は、農地法第二十一條の規定によりその農地についての小作料の最高額の決定及び公示があるまでは、同條第一項の規定により定められ、同條第二項の規定による公示があつた額とみなす。
(調整法による処分に対する訴願)
第十條 農地法の施行前に調整法によつてした市町村農業委員会の処分に対する訴願については、第一條の規定にかかわらず、なお従前の例による。
(未墾地の一時使用)
第十一條 農地法の施行の際現に措置法第四十一條の二の規定による使用をしている者は、農地法第六十四條の規定により売渡予約書の交付を受け、同法第六十八條の規定によりその土地等の使用をしている者とみなす。
(売渡後の未墾地の特例)
第十二條 農地法の施行前に措置法第四十一條第一項第一号、第三号若しくは第四号又は同條第四項で準用する同法第二十八條の規定により売り渡した土地、権利又は立木、工作物その他の物件(採草放牧地にあつては、同法第四十條の六第一項の規定により指定されたものに限る。以下この條で同様とする。)及び第三條に規定する土地、権利又は立木、工作物その他の物件は、農地法第七十一條から第七十四條までの規定の適用については、同法第六十一條の規定により売り渡したものとみなす。この場合において、同法第七十一條中「第六十七條第一項第六号の時期到来後、」とあるのは「旧自作農創設特別措置法第四十一條第二項で準用する同法第二十條第一項の売渡通知書に記載された売渡の時期から起算して五年を経過した後、」と、同法第七十二條第一項但書、第七十三條第一項及び第七十四條中「第六十七條第一項第六号の時期到来後三年」とあるのは「売渡の時期から起算して八年」と読み替えるものとする。
(措置法等による処分等の効力)
第十三條 第二條から前條までに規定するものを除く外、農地法の施行前に措置法、調整法、譲渡令又はこれらの法令に基く命令の規定によつてした処分、手続その他の行為は、農地法又は同法に基く命令中にこれに相当する規定があるときは、これらの規定によつてしたものとみなす。
(支払金の徴収)
第十四條 措置法第十六條(同法第二十九條第二項で準用する場合を含む。)、同法第二十八條(同法第二十九條第二項又は第四十一條第四項で準用する場合を含む。)若しくは同法第四十一條第一項第一号若しくは第二号の規定による土地の売渡又は第三條に規定する土地の売渡を受けた者又はその一般承継人がその売渡を受けた日から十年を経過しない間にその土地を譲渡したときは、その者は、政令で定める場合を除き、その譲渡の日から起算して一箇月以内に左に掲げる算式により算出された額を国に支払わなければならない。この場合において、算式中Pは農地法第十二條第一項(同法第十四條第二項で準用する場合を含む。)又は同法第五十一條第一項の規定による政令で定めるところにより算出した額、P′は措置法による売渡の対価、nは売渡を受けた日から譲渡の日までの経過年数(一年に満たない端数は、一年とする。)とする。
P-
{
P′+
(P-P′)
10
2 農地法第四十二條及び第四十三條の規定は、前項の規定による国に対する支払金の徴収について準用する。
3 第一項に規定する売渡を受けた土地について土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)による土地の所有権の交換分合が行われた場合には、次條の規定による改正後の同法第百十條第一項(同法第百十一條で準用する場合を含む。)の規定によりその土地に代るべきものと定められた土地又は改正前の同法第百十條第三項(同法第百十一條で準用する場合を含む。)の規定により指定された土地をそれぞれ第一項に規定する売渡を受けた土地とみなして同項の規定を適用する。
(土地改良法の一部改正)
第十五條 土地改良法の一部を次のように改正する。
第三條第四項中「自作農創設特別措置法(昭和二十一年法律第四十三号)第四十一條の二第一項」を「農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第六十八條第一項」に改める。
第六十五條中「農地調整法」及び「農地調整法(昭和十三年法律第六十七号)」を「農地法」に改める。
第八十七條第七項中「自作農創設特別措置法第四十一條第一項」を「農地法第六十一條」に改める。
第百十條を次のように改める。
(旧自作農創設特別措置法等により売り渡した土地についての特例)
第百十條 農地の所有権の交換分合により所有者が失うべき土地が農地法第三條第二項第六号に規定する土地であるときは、その交換分合によりその所有者が取得すべき土地でこれと地目、地積その他の條件が近似するものをその失うべき土地に代るべきものとして交換分合計画で定めなければならない。
2 前項の場合において、その交換分合計画の定めるところによりこれらの土地について所有権の移転があつたときは、同項及び農地法第三條第二項第六号の規定の適用については、前項の規定により同号に規定する土地に代るべきものとして定められた土地を同号に規定する土地とみなす。
(土地改良法の改正に伴う経過規定)
第十六條 前條の規定による改正前の土地改良法第百十條第三項(同法第百十一條で準用する場合を含む。)の規定により指定された土地は、改正後の同法第百十條第一項(同法第百十一條で準用する場合を含む。)及び農地法第三條第二項第六号の規定の適用については、同号に規定する土地とみなす。
(農業委員会法の一部改正)
第十七條 農業委員会法(昭和二十六年法律第八十八号)の一部を次のように改正する。
第三條中「農地等」を「農地、採草放牧地又は薪炭林(以下「農地等」という。)」に改める。
第六條第一項第一号を次のように改め、同項第二号を削り、同項第三号中「農地」を「農地等」に改め、同号を第二号とする。
一 農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)その他の法令によりその権限に属させた農地等の利用関係の調整及び自作農の創設維持に関する事項
(造林臨時措置法の一部改正)
第十八條 造林臨時措置法(昭和二十五年法律第百五十号)の一部を次のように改正する。
第六條第二号を次のように改める。
二 農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第四十八條第一項(第五十九條第三項において準用する場合を含む。)の規定により公示されたもの及び同法第六十一條の規定により売り渡されたもの
第二十三條を次のように改める。
(農地法による買収の制限)
第二十三條 造林計画に係る伐採跡地等及び造林地については、農地法第四十四條又は第五十九條の規定による買収をすることができない。
(土地調整委員会設置法の一部改正)
第十九條 土地調整委員会設置法(昭和二十五年法律第二百九十二号)の一部を次のように改正する。
第四條中第十六号を第十七号とし、第十六号として次の一号を加える。
十六 農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第八十五條第二項の規定による異議を裁定すること。
第二十五條第二項中「森林法第百九十一條第三項」の下に「又は農地法第八十五條第二項」を加える。
第四十五條中「農地調整法(昭和十三年法律第六十七号)」を削る。
(自作農創設特別措置特別会計法の一部改正)
第二十條 自作農創設特別措置特別会計法(昭和二十一年法律第四十四号)の一部を次のように改正する。
第二條中「自作農創設特別措置法及び農地調整法の適用を受けるべき土地の譲渡に関する政令(昭和二十五年政令第二百八十八号)第三條第三項の規定による政府に対する支払金」を「農地法施行法(昭和二十七年法律第二百三十号)第十四條の規定による政府に対する支払金」に、「自作農創設特別措置法に基いて発行する証券」を「旧自作農創設特別措置法(昭和二十一年法律第四十三号)に基いて発行した証券」に改める。
(登録税法の一部改正)
第二十一條 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九條但書中「第八号乃至第九号ノ四」を「第八号、第九号」に改め、同條中第八号ノ二から第九号ノ四までを次のように改める。
九 農地法第三十六條、第六十一條、第六十九條、第七十條又ハ第八十條ノ規定ニ依リ国ヨリ売渡ヲ受ケタル土地ノ所有権ノ取得ノ登記
第十九條第十二号を次のように改める。
十二 農林大臣ノ定ムル自作農創設維持資金貸付事業ヲ行フ者ガ其ノ事業ノ為ニ取得スル抵当権ノ取得ノ登記
(登録税法の改正に伴う経過規定)
第二十二條 前條の規定による改正前の登録税法第十九條但書、同條第八号ノ二から第九号ノ四まで及び第十二号の規定並びに同條に基く命令の規定は、これらの号に掲げる登記であつて、この法律の施行前における行為を登記原因とするものについては、この法律の施行後もなおその効力を有する。
(罰則の適用)
第二十三條 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、第一條の規定にかかわらず、なお従前の例による。
附 則
この法律は、農地法の施行の日から施行する。
内閣総理大臣 吉田茂
大蔵大臣 池田勇人
農林大臣 広川弘禅
農地法施行法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十七年七月十五日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百三十号
農地法施行法
(農地調整法等の廃止)
第一条 左に掲げる法令は、廃止する。
一 農地調整法(昭和十三年法律第六十七号)
二 自作農創設特別措置法(昭和二十一年法律第四十三号)
三 自作農創設特別措置法及び農地調整法の適用を受けるべき土地の譲渡に関する政令(昭和二十五年政令第二百八十八号)
(措置法による買収等の経過規定)
第二条 左に掲げる土地、権利又は立木、工作物その他の物件で農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)の施行の時までに買収又は使用の効力が生じていないものは、なお従前の例により買収し、又は使用するものとする。
一 旧自作農創設特別措置法(以下「措置法」という。)第六条第五項の規定による公告があつた農地買収計画に係る農地
二 措置法第十五条第三項で準用する同法第六条第五項の規定による公告があつた買収計画に係る農業用施設、水の使用に関する権利、立木、土地又は建物
三 措置法第三十一条第四項(同法第三十八条第二項で準用する場合を含む。)の規定による公告があつた未墾地買収計画に係る土地、権利、立木又は建物その他の工作物
四 措置法第三十七条第二項で準用する同法第三十一条第四項の規定による公告があつた買収計画に係る土地(その土地の上にある立木を含む。)
五 措置法第四十条の四第四項の規定による公告があつた牧野買収計画に係る採草放牧地、立木、建物その他の工作物又は権利
2 農地法の施行前に措置法第三条、第十五条、第三十条、第三十三条第二項、第三十六条第一項、第三十七条又は第四十条の二の規定により買収し、又は使用した土地、権利又は立木、工作物その他の物件及び前項の規定により買収し、又は使用した土地、権利又は立木、工作物その他の物件の買収又は使用に関する効果、対価又は報償金の支払、損失の補償、異議の申立、訴願、訴訟、登記、土地台帳法(昭和二十二年法律第三十号)の適用等については、なお従前の例による。
3 農地法の施行前に措置法第二十三条の規定により交換された農地及び農地法の施行前に措置法第二十八条(同法第二十九条第二項及び第四十一条第四項で準用する場合を含む。)の規定により政府が買い取つた土地、立木又は建物の登記及び土地台帳法の適用については、なお従前の例による。
(措置法による売渡の経過規定)
第三条 農地法の施行前に措置法第二十条(同法第二十八条第四項若しくは第五項又は第四十一条第二項で準用する場合を含む。)の規定による売渡通知書の交付があつた土地、権利又は立木、工作物その他の物件の売渡に関する効果、損失の補償、対価の徴収、訴訟、登記、土地台帳法の適用等については、なお従前の例による。
2 農地法の施行の際現に措置法第二十九条第一項に規定する農業用施設、水の使用に関する権利、立木、土地又は建物として国が所有しているもの及び前条第一項第二号の規定により国が買収した農業用施設、水の使用に関する権利、立木、土地又は建物は、なお従前の例により売り渡すものとし、その売渡に関する効果、損失の補償、対価の徴収、訴訟、登記、土地台帳法の適用等についても、また従前の例による。
(譲渡令による譲渡の経過規定)
第四条 農地法の施行前に旧自作農創設特別措置法及び農地調整法の適用を受けるべき土地の譲渡に関する政令(以下「譲渡令」という。)第二条第一項の規定による譲渡令書の交付があつた土地物件又は権利の譲渡に関する効果及びその譲渡に伴う同令第三条第三項の支払金の徴収、訴願、登記、土地台帳法の適用等については、なお従前の例による。
(国有農地、採草放牧地等の管理及び売渡)
第五条 農地法の施行の際措置法第四十六条第一項の規定により農林大臣が現に管理している農地及び採草放牧地(第三条、次項及び次条に規定するものを除く。)並びに第二条第一項第一号若しくは第五号又は前条の規定により国が取得した農地及び採草放牧地は、農地法第二章第五節及び第四章の規定の適用については、国が同法第九条の規定により買収したものとみなす。
2 左に掲げるもので農地法の施行の際措置法第四十六条第一項の規定により農林大臣が現に管理しているもの及び第二条第一項第五号の規定により国が取得した立木、建物その他の工作物又は権利は、農地法第二章第五節及び第四章の規定の適用については、国が同法第十四条の規定により買収したものとみなす。
一 措置法第四十条の二第六項の規定により買収した立木、建物その他の工作物、農業用施設又は水の使用に関する権利(第三条第一項及び次条第一項第三号に規定するものを除く。)
二 措置法第四十一条第一項第二号の規定による決定があつた立木、建物その他の工作物、農業用施設又は水の使用に関する権利(第三条第一項に規定するものを除く。)
(国有未墾地等の管理及び売渡)
第六条 左に掲げるもので農地法の施行の際措置法第四十六条第一項の規定により農林大臣が現に管理しているもの、第二条第一項第三号の規定により国が取得した土地、権利、立木又は建物その他の工作物及び第四条の規定により国が取得した土地物件(農地及び採草放牧地を除く。)又は権利は、農地法第五十五条、第五十九条、第三章第二節及び第四章の規定の適用については、国が同法第四十四条第一項の規定により買収したものとみなす。
一 措置法第三十条第一項、第三十三条第二項(同法第四十条の五第一項で準用する場合を含む。)又は同法第三十六条の規定により買収した土地、権利又は立木、工作物その他の物件
二 措置法第四十条の二第一項の規定により買収した採草放牧地で同法第四十条の六第一項の規定による指定があつたもの
三 措置法第四十条の二第六項の規定により買収した立木、建物その他の工作物、農業用施設又は水の使用に関する権利で前号の採草放牧地に係るもの
四 第一号又は第二号に掲げる土地で措置法第四十一条第四項で準用する同法第二十八条の規定により国が買い取つたもの
五 措置法第四十一条第一項第三号の規定による決定があつた土地物件
2 左に掲げる土地(その土地の上にある立木を含む。以下この項で同様とする。)で農地法の施行の際農林大臣が措置法第四十六条第一項の規定により現に管理しているもの及び第二条第一項第四号の規定により国が買収した土地は、農地法第六十九条及び第七十八条の規定の適用については、同法第五十九条の規定により買収したものとみなす。
一 措置法第三十七条第一項の規定により買収した土地
二 措置法第四十一条の三第一項の規定により売り渡すべきものと決定された土地
(隣接市町村の指定地域における小作地の所有)
第七条 農地法の施行の際、措置法第三条第一項第一号の規定により、その住所のある市町村の区域に準ずるものとして、隣接する市町村の区域内で指定されている地域において現に小作地を所有している者は、その小作地のうち農地法第六条第一項第二号に規定する面積からその住所のある市町村の区域内において所有する小作地の面積を差し引いた面積をこえないものを、同項第一号の規定にかかわらず、なお所有することができる。
(措置法による指定の効力)
第八条 農地法の施行の際、措置法第五条第三号の規定により試験研究又は農事指導の目的に供しているものとして現に指定を受けている小作地は、農地法の施行の日から一年を限り、同法第七条第一項第二号の規定による指定を受けたものとみなす。
2 農地法の施行の際現に措置法第五条第四号の規定による都道府県知事の指定を受けている区域内にある小作地は、農地法第七条第一項第三号の規定による指定を受けたものとみなす。
3 農地法の施行の際現に措置法第五条第五号の規定による指定を受けている小作地は、農地法の施行の日から一年を限り、同法第七条第一項第三号の規定による指定を受けたものとみなす。
(調整法により定めた小作料の額の制限)
第九条 農地法の施行の際現に農地につき旧農地調整法(以下「調整法」という。)第九条ノ五第一項の規定により定められている小作料の額(その農地につき同法第九条ノ三第一項但書の規定により都道府県知事の許可を受けた小作料の額があるときは、その額)は、農地法第二十一条の規定によりその農地についての小作料の最高額の決定及び公示があるまでは、同条第一項の規定により定められ、同条第二項の規定による公示があつた額とみなす。
(調整法による処分に対する訴願)
第十条 農地法の施行前に調整法によつてした市町村農業委員会の処分に対する訴願については、第一条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
(未墾地の一時使用)
第十一条 農地法の施行の際現に措置法第四十一条の二の規定による使用をしている者は、農地法第六十四条の規定により売渡予約書の交付を受け、同法第六十八条の規定によりその土地等の使用をしている者とみなす。
(売渡後の未墾地の特例)
第十二条 農地法の施行前に措置法第四十一条第一項第一号、第三号若しくは第四号又は同条第四項で準用する同法第二十八条の規定により売り渡した土地、権利又は立木、工作物その他の物件(採草放牧地にあつては、同法第四十条の六第一項の規定により指定されたものに限る。以下この条で同様とする。)及び第三条に規定する土地、権利又は立木、工作物その他の物件は、農地法第七十一条から第七十四条までの規定の適用については、同法第六十一条の規定により売り渡したものとみなす。この場合において、同法第七十一条中「第六十七条第一項第六号の時期到来後、」とあるのは「旧自作農創設特別措置法第四十一条第二項で準用する同法第二十条第一項の売渡通知書に記載された売渡の時期から起算して五年を経過した後、」と、同法第七十二条第一項但書、第七十三条第一項及び第七十四条中「第六十七条第一項第六号の時期到来後三年」とあるのは「売渡の時期から起算して八年」と読み替えるものとする。
(措置法等による処分等の効力)
第十三条 第二条から前条までに規定するものを除く外、農地法の施行前に措置法、調整法、譲渡令又はこれらの法令に基く命令の規定によつてした処分、手続その他の行為は、農地法又は同法に基く命令中にこれに相当する規定があるときは、これらの規定によつてしたものとみなす。
(支払金の徴収)
第十四条 措置法第十六条(同法第二十九条第二項で準用する場合を含む。)、同法第二十八条(同法第二十九条第二項又は第四十一条第四項で準用する場合を含む。)若しくは同法第四十一条第一項第一号若しくは第二号の規定による土地の売渡又は第三条に規定する土地の売渡を受けた者又はその一般承継人がその売渡を受けた日から十年を経過しない間にその土地を譲渡したときは、その者は、政令で定める場合を除き、その譲渡の日から起算して一箇月以内に左に掲げる算式により算出された額を国に支払わなければならない。この場合において、算式中Pは農地法第十二条第一項(同法第十四条第二項で準用する場合を含む。)又は同法第五十一条第一項の規定による政令で定めるところにより算出した額、P′は措置法による売渡の対価、nは売渡を受けた日から譲渡の日までの経過年数(一年に満たない端数は、一年とする。)とする。
P-
{
P′+
(P-P′)
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2 農地法第四十二条及び第四十三条の規定は、前項の規定による国に対する支払金の徴収について準用する。
3 第一項に規定する売渡を受けた土地について土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)による土地の所有権の交換分合が行われた場合には、次条の規定による改正後の同法第百十条第一項(同法第百十一条で準用する場合を含む。)の規定によりその土地に代るべきものと定められた土地又は改正前の同法第百十条第三項(同法第百十一条で準用する場合を含む。)の規定により指定された土地をそれぞれ第一項に規定する売渡を受けた土地とみなして同項の規定を適用する。
(土地改良法の一部改正)
第十五条 土地改良法の一部を次のように改正する。
第三条第四項中「自作農創設特別措置法(昭和二十一年法律第四十三号)第四十一条の二第一項」を「農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第六十八条第一項」に改める。
第六十五条中「農地調整法」及び「農地調整法(昭和十三年法律第六十七号)」を「農地法」に改める。
第八十七条第七項中「自作農創設特別措置法第四十一条第一項」を「農地法第六十一条」に改める。
第百十条を次のように改める。
(旧自作農創設特別措置法等により売り渡した土地についての特例)
第百十条 農地の所有権の交換分合により所有者が失うべき土地が農地法第三条第二項第六号に規定する土地であるときは、その交換分合によりその所有者が取得すべき土地でこれと地目、地積その他の条件が近似するものをその失うべき土地に代るべきものとして交換分合計画で定めなければならない。
2 前項の場合において、その交換分合計画の定めるところによりこれらの土地について所有権の移転があつたときは、同項及び農地法第三条第二項第六号の規定の適用については、前項の規定により同号に規定する土地に代るべきものとして定められた土地を同号に規定する土地とみなす。
(土地改良法の改正に伴う経過規定)
第十六条 前条の規定による改正前の土地改良法第百十条第三項(同法第百十一条で準用する場合を含む。)の規定により指定された土地は、改正後の同法第百十条第一項(同法第百十一条で準用する場合を含む。)及び農地法第三条第二項第六号の規定の適用については、同号に規定する土地とみなす。
(農業委員会法の一部改正)
第十七条 農業委員会法(昭和二十六年法律第八十八号)の一部を次のように改正する。
第三条中「農地等」を「農地、採草放牧地又は薪炭林(以下「農地等」という。)」に改める。
第六条第一項第一号を次のように改め、同項第二号を削り、同項第三号中「農地」を「農地等」に改め、同号を第二号とする。
一 農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)その他の法令によりその権限に属させた農地等の利用関係の調整及び自作農の創設維持に関する事項
(造林臨時措置法の一部改正)
第十八条 造林臨時措置法(昭和二十五年法律第百五十号)の一部を次のように改正する。
第六条第二号を次のように改める。
二 農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第四十八条第一項(第五十九条第三項において準用する場合を含む。)の規定により公示されたもの及び同法第六十一条の規定により売り渡されたもの
第二十三条を次のように改める。
(農地法による買収の制限)
第二十三条 造林計画に係る伐採跡地等及び造林地については、農地法第四十四条又は第五十九条の規定による買収をすることができない。
(土地調整委員会設置法の一部改正)
第十九条 土地調整委員会設置法(昭和二十五年法律第二百九十二号)の一部を次のように改正する。
第四条中第十六号を第十七号とし、第十六号として次の一号を加える。
十六 農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第八十五条第二項の規定による異議を裁定すること。
第二十五条第二項中「森林法第百九十一条第三項」の下に「又は農地法第八十五条第二項」を加える。
第四十五条中「農地調整法(昭和十三年法律第六十七号)」を削る。
(自作農創設特別措置特別会計法の一部改正)
第二十条 自作農創設特別措置特別会計法(昭和二十一年法律第四十四号)の一部を次のように改正する。
第二条中「自作農創設特別措置法及び農地調整法の適用を受けるべき土地の譲渡に関する政令(昭和二十五年政令第二百八十八号)第三条第三項の規定による政府に対する支払金」を「農地法施行法(昭和二十七年法律第二百三十号)第十四条の規定による政府に対する支払金」に、「自作農創設特別措置法に基いて発行する証券」を「旧自作農創設特別措置法(昭和二十一年法律第四十三号)に基いて発行した証券」に改める。
(登録税法の一部改正)
第二十一条 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条但書中「第八号乃至第九号ノ四」を「第八号、第九号」に改め、同条中第八号ノ二から第九号ノ四までを次のように改める。
九 農地法第三十六条、第六十一条、第六十九条、第七十条又ハ第八十条ノ規定ニ依リ国ヨリ売渡ヲ受ケタル土地ノ所有権ノ取得ノ登記
第十九条第十二号を次のように改める。
十二 農林大臣ノ定ムル自作農創設維持資金貸付事業ヲ行フ者ガ其ノ事業ノ為ニ取得スル抵当権ノ取得ノ登記
(登録税法の改正に伴う経過規定)
第二十二条 前条の規定による改正前の登録税法第十九条但書、同条第八号ノ二から第九号ノ四まで及び第十二号の規定並びに同条に基く命令の規定は、これらの号に掲げる登記であつて、この法律の施行前における行為を登記原因とするものについては、この法律の施行後もなおその効力を有する。
(罰則の適用)
第二十三条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、第一条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
附 則
この法律は、農地法の施行の日から施行する。
内閣総理大臣 吉田茂
大蔵大臣 池田勇人
農林大臣 広川弘禅