国有財産法等の一部を改正する法律
法令番号: 法律第194号
公布年月日: 昭和28年8月10日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

国有財産の管理及び処分に関する事務を定めた国有財産法及び国有財産特別措置法について、制度の整備と適切な運営を図るため改正を行う。主な改正点として、国有財産法では公共福祉用財産と公共物を統合し行政財産内に公共用財産を新設すること、皇室用財産取得時の国会議決要件を緩和すること、また国有財産特別措置法では国立大学施設の効率的運営のため、地方公共団体等の所有施設との交換を可能とすることなどが含まれる。

参照した発言:
第16回国会 衆議院 大蔵委員会 第6号

審議経過

第16回国会

衆議院
(昭和28年6月23日)
参議院
(昭和28年6月23日)
衆議院
(昭和28年6月24日)
(昭和28年6月25日)
(昭和28年6月27日)
(昭和28年6月30日)
参議院
(昭和28年7月3日)
衆議院
(昭和28年7月7日)
(昭和28年7月9日)
(昭和28年7月10日)
(昭和28年7月14日)
(昭和28年7月15日)
(昭和28年7月16日)
参議院
(昭和28年7月16日)
衆議院
(昭和28年7月18日)
(昭和28年7月21日)
(昭和28年7月22日)
参議院
(昭和28年7月22日)
衆議院
(昭和28年7月23日)
(昭和28年7月24日)
参議院
(昭和28年7月24日)
衆議院
(昭和28年7月25日)
(昭和28年7月27日)
(昭和28年8月10日)
国有財産法等の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十八年八月十日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百九十四号
国有財産法等の一部を改正する法律
(国有財産法の一部改正)
第一条 国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)の一部を次のように改正する。
第二条第一項第七号を次のように改める。
七 株券、社債券(特別の法律により設立された法人の発行する債券を含む。)、地方債証券及び投資信託又は貸付信託の受益証券、外国又は外国法人の発行する証券でこれらに準ずるもの並びに出資に因る権利。但し、国が資金又は積立金の運用及びこれに準ずる目的のために臨時に所有するものを除く。
第三条第三項を次のように改める。
3 第一項第七号に掲げる社債券及び地方債証券には、社債等登録法(昭和十七年法律第十一号)の規定により登録されたものを含むものとする。
第三条第二項第二号を次のように改める。
二 公共用財産 国において直接公共の用に供し、又は供するものと決定したもの
第三条第二項第三号中「供するもの」を「供し、又は供するものと決定したもの」に改める。
第八条第一項本文中「廃止した場合」の下に「又は普通財産を取得した場合」を加える。
第九条第二項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 大蔵大臣は、国有財産の総轄に関する事務の一部を部局等の長に分掌させることができる。
第十条に次の一項を加える。
2 大蔵大臣は、一定の用途に供する目的で国有財産の譲渡又は貸付を受けた者に対し、その用途に供されているかどうかを確めるため、自ら、又は各省各庁の長に委任して、当該財産について、その状況に関する資料若しくは報告を求め、又は当該職員をして実地監査をさせることができる。
第十三条及び第十四条を次のように改める。
第十三条 公園又は広場として公共の用に供し、又は供するものと決定した公共用財産について、その用途を廃止し、若しくは変更し、又はこれを公共用財産以外の行政財産としようとするときは、国会の議決を経なければならない。但し、当該財産の価額が三百万円以上である場合を除く外、毎年四月一日から翌年三月三十一日までの期間内に、その用途を廃止し、若しくは変更し、又は公共用財産以外の行政財産とする財産の価額の合計額が三千万円に達するに至るまでの場合については、この限りでない。
2 皇室用財産とする目的で財産を取得し、又は皇室用財産以外の国有財産を皇室用財産としようとするときは、国会の議決を経なければならない。但し、当該財産の価額が三百万円以上である場合を除く外、毎年四月一日から翌年三月三十一日までの期間内に、その取得し、又は皇室用財産とする財産の価額の合計額が三千万円に達するに至るまでの場合については、この限りでない。
第十四条 左に掲げる場合においては、当該国有財産を所管する各省各庁の長は、大蔵大臣に協議しなければならない。但し、前条の規定により国会の議決を経なければならない場合又は政令で定める場合に該当するときは、この限りでない。
一 行政財産とする目的で土地又は建物を取得しようとするとき。
二 普通財産を行政財産としようとするとき。
三 行政財産の種類を変更しようとするとき。
四 行政財産である土地又は建物について、所属替をし、又は用途を変更しようとするとき。
五 行政財産である建物を移築し、又は改築しようとするとき。
第十五条本文中「公用財産、企業用財産及び普通財産」を「国有財産」に改め、同条但書を次のように改める。
但し、国において直接公共の用に供する目的をもつてこれをする場合であつて、当該財産の価額が政令で定める金額に達しないときは、この限りでない。
第二十八条第一号中「道路、河川、水路、港湾、堤とう、みぞ又はため池の用に供していたもの」を「公共用財産」に、同条第二号中「既存の道路、河川、水路、港湾、堤とう、みぞ又はため池」を「公共用財産」に、同条第三号中「道路、河川、水路、港湾、堤とう、みぞ又はため池の用に供していた」を「公共用財産のうち」に改める。
第三十八条中「公共物」を「公共の用に供する財産で政令で定めるもの」に改める。
(国有財産特別措置法の一部改正)
第二条 国有財産特別措置法(昭和二十七年法律第二百十九号)の一部を次のように改正する。
第九条の次に次の一条を加える。
(交換の特例)
第九条の二 文部大臣は、国立大学の施設を効率的に運営するため、当該国立大学の施設を集合整備する必要があると認められるときは、国有財産法第二十七条第一項の規定にかかわらず、当該国立大学の施設を、その用途を廃止して地方公共団体その他の者の所有する施設と交換することができる。但し、交換に係る施設の価額の差額がその高価なものの価額の四分の一をこえるときは、この限りでない。
2 国有財産法第二十七条第二項及び第三項の規定は、前項の規定による交換について準用する。この場合において、同条第三項中「堅固な建物」とあるのは、「建物」と読み替えるものとする。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)の一部を次のように改正する。
第八十六条を次のように改める。
第八十六条 削除
第八十七条に見出しとして「(国に関する特例)」を附し、同条第一項中「国有財産法に規定する」を「国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)に規定する」に改め、「公共福祉用財産として」を削り、同項但書中「そのものが」の下に「文部大臣以外の者が管理している」を加え、「他の行政財産」を「行政財産」に、「、国有林野法(昭和二十六年法律第二百四十六号)に規定する国有林野に属するものであるとき、又は他の法律の適用上国有財産法第三条第三項に規定する普通財産として取り扱うべき」を「その他文部大臣以外の者が管理すべき」に改め、「これらの財産として」を削る。
第八十七条の次に次の一条を加える。
第八十七条の二 前条第一項の規定により重要文化財又は史跡名勝天然記念物を文部大臣が管理するため、所属を異にする会計の間において所管換又は所属替をするときは、国有財産法第十五条の規定にかかわらず、無償として整理することができる。
3 港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)の一部を次のように改正する。
第五十四条第一項中「(公共物を除く。)」を削る。
4 土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)の一部を次のように改正する。
第九十四条第一項中「普通財産」を「公共用財産又は普通財産」に改める。
5 農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)の一部を次のように改正する。
第七十九条中「第一項第六号」を「第四号」に改める。
内閣総理大臣 吉田茂
大蔵大臣 小笠原三九郎
文部大臣 大達茂雄
農林大臣 保利茂
運輸大臣 石井光次郎
建設大臣 戸塚九一郎