特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律
法令番号: 法律第百五号
公布年月日: 平成10年6月15日
法令の形式: 法律
特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律をここに公布する。
御名御璽
平成十年六月十五日
内閣総理大臣 橋本龍太郎
法律第百五号
特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
登録(第三条―第十三条)
第三章
特定目的会社
第一節
通則(第十四条―第十七条)
第二節
設立(第十八条―第二十五条)
第三節
社員の権利義務等(第二十六条―第四十九条)
第四節
特定目的会社の機関
第一款
社員総会(第五十条―第六十三条)
第二款
取締役(第六十四条―第七十八条)
第三款
監査役(第七十九条―第八十四条)
第五節
計算及び会計監査人(第八十五条―第百七条)
第六節
特定社債(第百八条―第百十三条)
第七節
定款の変更(第百十四条―第百十八条)
第八節
資産流動化計画の終了に伴う仮清算(第百十九条・第百二十条)
第九節
解散(第百二十一条―第百二十四条)
第十節
清算
第一款
総則(第百二十五条―第百三十条)
第二款
特別清算(第百三十一条)
第十一節
雑則(第百三十二条―第百四十一条)
第四章
業務(第百四十二条―第百五十三条)
第五章
監督(第百五十四条―第百六十条)
第六章
雑則(第百六十一条―第百六十四条)
第七章
罰則(第百六十五条―第百八十五条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、特定目的会社が業として特定資産の流動化を行う制度を確立し、特定資産の流動化に係る業務の適正な運営を確保するとともに、特定資産の流動化の一環として発行される各種の証券の購入者等の保護を図ることにより、一般投資者によるこれらの証券に対する投資を容易にし、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「特定資産」とは、次に掲げる資産をいう。
一 不動産(宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)の宅地又は建物をいう。以下同じ。)
二 指名金銭債権(指名債権であって金銭の支払を目的とするものをいう。以下同じ。)
三 前二号に掲げるものを信託する信託の受益権
2 この法律において「特定目的会社」とは、第三章第二節の規定に基づき設立された社団をいう。
3 この法律において「優先出資」とは、特定目的会社に対する出資であって、当該出資をした者が、当該特定目的会社の利益の配当又は残余財産の分配を、当該特定目的会社に対して他の種類の出資をした者に先立って受ける権利を有しているものをいう。
4 この法律において「特定出資」とは、特定目的会社に対する出資であって、優先出資以外の出資をいう。
5 この法律において「特定社債」とは、特定目的会社がこの法律の定めるところにより発行する社債をいう。
6 この法律において、「優先出資証券」又は「特定社債券」とは、優先出資につき特定目的会社が第四十六条の規定により発行する出資証券又は特定社債につき特定目的会社が第百十三条第一項において準用する商法(明治三十二年法律第四十八号)第三百六条の規定により発行する債券をいう。
7 この法律において「特定約束手形」とは、証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項第八号に掲げる約束手形であって、特定目的会社が第百四十九条の規定により発行するものをいう。
8 この法律において「資産対応証券」とは、優先出資証券、特定社債券及び特定約束手形をいう。
9 この法律において「特定資産の流動化」とは、一連の行為として、資産対応証券の発行により得られる金銭をもって特定資産を取得し、当該特定資産(当該特定資産を信託する信託の受益権を含む。)の管理及び処分により得られる金銭をもって、次の各号に掲げる資産対応証券に係る債務又は出資について当該各号に定める行為を行うことをいう。
一 特定約束手形又は特定社債券 その債務の履行
二 優先出資証券 利益の分配及び消却のための取得又は残余財産の分配
第二章 登録
(登録)
第三条 特定目的会社は、内閣総理大臣の登録を受けなければ、特定資産の流動化に係る業務を行ってはならない。
(登録の申請)
第四条 前条の登録を受けようとする特定目的会社は、次に掲げる事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
一 商号
二 営業所の名称及び所在地
三 役員の氏名及び住所並びに政令で定める使用人があるときは、その者の氏名及び住所
四 特定資産の流動化に関する計画(以下「資産流動化計画」という。)
五 その他総理府令・大蔵省令で定める事項
2 前項の登録申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
一 定款
二 特定資産の流動化に関する実施計画(以下「資産流動化実施計画」という。)
三 資産流動化計画で定められた特定資産の譲受けに係る契約の契約書案(以下「特定資産譲受契約書案」という。)
四 資産流動化計画で定められた特定資産の管理及び処分に係る業務の委託に関する契約その他総理府令・大蔵省令で定める契約の契約書案(以下「特定資産管理委託等契約書案」という。)
五 その他総理府令・大蔵省令で定める書類
(資産流動化計画)
第五条 資産流動化計画には、特定資産の流動化に係る業務に関する基本的な事項として次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 資産流動化計画の計画期間及び当該計画期間に関する事項として総理府令・大蔵省令で定める事項
二 資産対応証券に関する次に掲げる事項
イ 優先出資証券においては、総額、優先出資の内容(利益の配当又は残余財産の分配についての優先的内容を含む。第三十八条第二項第三号及び第四十五条第四号において同じ。)その他の発行に関する事項及び消却に関する事項として総理府令・大蔵省令で定める事項
ロ 特定社債券においては、総額、特定社債の内容その他の発行に関する事項及び償還に関する事項として総理府令・大蔵省令で定める事項
ハ 特定約束手形においては、限度額その他の発行に関する事項及び償還に関する事項として総理府令・大蔵省令で定める事項
三 特定資産の取得に関する事項として総理府令・大蔵省令で定める事項
四 特定資産の管理及び処分に係る業務の受託者その他の特定資産の管理及び処分に関する事項として総理府令・大蔵省令で定める事項
五 その他総理府令・大蔵省令で定める事項
2 前項第一号の資産流動化計画の計画期間は、政令で定める特定資産の区分に応じ、その管理及び処分に関する合理的な計画の策定可能な期間として政令で定める期間を超えてはならない。
(資産流動化実施計画)
第六条 資産流動化実施計画には、総理府令・大蔵省令で定めるところにより、特定資産の流動化に係る業務の具体的な内容を記載しなければならない。
(登録の実施)
第七条 内閣総理大臣は、第四条第一項の登録の申請があったときは、次条第一項の規定により登録を拒否する場合を除き、次に掲げる事項を特定目的会社登録簿に登録しなければならない。
一 第四条第一項各号に掲げる事項
二 登録の年月日及び登録番号
2 内閣総理大臣は、前項の規定による登録をしたときは、遅滞なく、その旨を登録申請者に通知しなければならない。
3 内閣総理大臣は、総理府令・大蔵省令で定めるところにより、特定目的会社登録簿及び特定目的会社登録簿に登録された特定目的会社の資産流動化実施計画を公衆の縦覧に供しなければならない。
(登録の拒否)
第八条 内閣総理大臣は、第四条第一項の申請書を提出した者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は当該申請書若しくはその添付書類に虚偽の記載があり、若しくは記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
一 特定目的会社でない者
二 資産流動化計画その他の定款の規定又は資産流動化実施計画、特定資産譲受契約書案若しくは特定資産管理委託等契約書案の内容が法令に違反している特定目的会社
三 役員又は政令で定める使用人のうちに次のいずれかに該当する者のある特定目的会社
イ 禁治産者若しくは準禁治産者又は外国の法令上これらと同様に取り扱われている者
ロ 破産者で復権を得ないもの又は外国の法令上これと同様に取り扱われている者
ハ 禁錮以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者
ニ この法律、証券取引法、商法、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(昭和四十九年法律第二十二号。以下「商法特例法」という。)、有限会社法(昭和十三年法律第七十四号)、宅地建物取引業法、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(昭和二十九年法律第百九十五号)、割賦販売法(昭和三十六年法律第百五十九号)、外国証券業者に関する法律(昭和四十六年法律第五号)、貸金業の規制等に関する法律(昭和五十八年法律第三十二号)、特定商品等の預託等取引契約に関する法律(昭和六十一年法律第六十二号)、抵当証券業の規制等に関する法律(昭和六十二年法律第百十四号)、商品投資に係る事業の規制に関する法律(平成三年法律第六十六号)、特定債権等に係る事業の規制に関する法律(平成四年法律第七十七号)、不動産特定共同事業法(平成六年法律第七十七号)若しくはこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、又は刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪、暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)の罪若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第四十六条、第四十七条、第四十九条若しくは第五十条の罪を犯し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者
ホ 第三条の登録を取り消された特定目的会社においてその取消しの日前三十日以内にその役員又は政令で定める使用人であった者で、当該取消しの日から三年を経過しないもの
2 内閣総理大臣は、前項の規定により登録を拒否したときは、遅滞なく、その理由を示して、その旨を申請者に通知しなければならない。
(登録事項等の変更)
第九条 特定目的会社は、第四条第一項第一号から第三号まで又は第五号に掲げる事項に変更があったときは、その日から二週間以内に、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
2 特定目的会社は、次の各号のいずれかに該当する場合に限り、第三条の登録に係る資産流動化計画を変更することができる。
一 その変更の内容が総理府令・大蔵省令で定める軽微なものに該当する場合
二 その変更の内容が一般投資者の保護に反しないことが明らかなものとして総理府令・大蔵省令で定めるものに該当する場合(前号に掲げる場合を除く。)において、あらかじめ内閣総理大臣の承認を受けたとき。
3 特定目的会社は、前項第二号の規定による変更の承認を受けようとするときは、当該変更の内容及びその理由を記載した承認申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
4 内閣総理大臣は、前項の承認申請書の提出があったときは、当該承認申請書に記載された資産流動化計画の変更の内容が法令に違反している場合を除き、その承認をしなければならない。
5 特定目的会社は、第二項第一号に掲げる場合に該当して、又は前項の規定による承認を受けて資産流動化計画の変更をしたときは、その変更をした日から二週間以内に、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
6 特定目的会社は、第一項又は前項の規定による届出に係るこれらの規定に規定する事項の変更によりその資産流動化実施計画に変更が生ずるときは、当該届出の際、その変更後の資産流動化実施計画を内閣総理大臣に提出しなければならない。
7 内閣総理大臣は、第一項又は第五項の規定による届出を受理したときは、当該届出があった事項を特定目的会社登録簿に登録しなければならない。
8 内閣総理大臣は、第六項の規定により特定目的会社から変更後の資産流動化実施計画の提出を受けたときは、既に公衆の縦覧に供されている当該特定目的会社の資産流動化実施計画に代えて、当該変更後の資産流動化実施計画を公衆の縦覧に供しなければならない。
(計画に係る業務の終了の届出)
第十条 特定目的会社は、第三条の登録に係る資産流動化計画に従い発行した優先出資、特定社債及び特定約束手形に係る消却又は残余財産の分配及び債務の履行を完了したときは、その日から三十日以内に、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
2 内閣総理大臣は、前項の規定による届出を受理したときは、同項の資産流動化計画に基づく業務が終了した旨及びその届出のあった年月日を特定目的会社登録簿に付記しなければならない。
(資産流動化計画の変更登録)
第十一条 前条第一項の届出をした特定目的会社は、当該届出に係る資産流動化計画以外の資産流動化計画(次項において「新計画」という。)に基づく特定資産の流動化に係る業務を行おうとするときは、内閣総理大臣の変更登録を受けなければならない。
2 前項の変更登録を受けようとする特定目的会社は、総理府令・大蔵省令で定めるところにより、新計画を記載した変更登録申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
3 第四条第二項及び第五条から第八条までの規定は、第一項の変更登録について準用する。この場合において、第七条第一項第一号中「第四条第一項各号」とあるのは「第四条第一項第四号」と、同項第二号中「登録の年月日及び登録番号」とあるのは「変更登録の年月日」と、第八条第一項中「次の各号のいずれか」とあるのは「第二号」と読み替えるものとする。
(廃業の届出)
第十二条 特定目的会社が次の各号のいずれかに該当することとなったときは、当該各号に定める者は、その日から三十日以内に、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
一 破産により解散したとき。 その破産管財人
二 破産以外の事由により解散したとき。 その清算人
2 特定目的会社が前項各号のいずれかに該当することとなったときは、当該特定目的会社の第三条の登録は、その効力を失う。
(名義貸しの禁止)
第十三条 第三条の登録を受けた特定目的会社は、自己の名義をもって、他人に特定資産の流動化に係る業務を営ませてはならない。
第三章 特定目的会社
第一節 通則
(法人格及び住所)
第十四条 特定目的会社は、法人とする。
2 特定目的会社の住所は、本店の所在地にあるものとする。
(商人性)
第十五条 特定目的会社は、商行為を行うことを業としない者であっても、これを商人とみなす。
(商号)
第十六条 特定目的会社は、その商号中に特定目的会社という文字を用いなければならない。
2 特定目的会社でない者は、その商号中に特定目的会社であることを示す文字を用いてはならない。
(商法の準用等)
第十七条 商法第九条から第十五条まで(商業登記)及び第六十一条(登記の期間)の規定は特定目的会社の登記について、同法第五十五条(権利能力の制限)及び第五十七条から第五十九条まで(設立の登記及び解散命令)の規定は特定目的会社について、それぞれ準用する。この場合において、同法第九条中「商業登記簿」とあるのは「特定目的会社登記簿」と、同法第五十八条及び第五十九条第一項中「株主」とあるのは「社員」と読み替えるものとする。
2 特定目的会社に係る商法第三十三条第一項及び第二項(会計帳簿等)の規定の適用については、特定目的会社は、これらの規定に規定する会社とみなす。
第二節 設立
(定款)
第十八条 特定目的会社を設立するには、発起人が定款を作成し、これに署名しなければならない。
2 特定目的会社の定款には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店の所在地
四 特定資本(特定出資に係る資本をいう。以下同じ。)の額
五 特定出資一口の金額
六 資産流動化計画
七 公告の方法
八 発起人の氏名及び住所
九 存立の時期又は解散の事由(第六号の規定による記載に係る資産流動化計画に基づく業務が終了した後他の資産流動化計画に基づく業務を行う場合にあっては、その旨の記載を含む。)
3 次に掲げる事項は、定款に記載しなければ、その効力を有しない。
一 発起人が受けるべき特別の利益及びこれを受けるべき者の氏名又は名称
二 現物出資をする者の氏名又は名称、出資の目的たる財産、その価格及びこれに対して与える特定出資の口数
三 資産流動化計画に従って譲り受ける特定資産以外の財産で特定目的会社の成立後に譲り受けることを約したもの、その価格及び譲渡人の氏名又は名称
四 発起人が受けるべき報酬の額
五 特定目的会社の負担に帰すべき設立費用(定款の認証の手数料及び出資の払込みの取扱いについて銀行又は信託会社に支払うべき報酬を除く。)
4 商法第百六十六条第四項(公告の方法)の規定は特定目的会社の公告について、同法第百六十七条(定款の認証)の規定は特定目的会社の定款について、それぞれ準用する。
(資本及び最低資本金)
第十九条 特定目的会社の資本は、特定資本又は特定目的会社の定款に記載された資産流動化計画で優先出資の発行が定められた場合には、特定資本及び優先資本(当該資産流動化計画に従い発行される優先出資に係る資本をいう。以下同じ。)とする。
2 特定目的会社の特定資本の額は、三百万円を下回ってはならない。
(発起人の特定出資の引受け)
第二十条 発起人は、特定目的会社の設立の際の特定出資の総口数を引き受けなければならない。
(発起人による特定出資の払込み、役員の選任等)
第二十一条 発起人は、特定出資を引き受けたときは、遅滞なく、その引き受けた特定出資につき、その全額を払い込み、又は現物出資の目的たる財産の全部を給付し、かつ、取締役及び監査役を選任しなければならない。
2 前項の規定による取締役及び監査役の選任は、発起人の議決権の過半数をもって決定する。この場合においては、第五十八条第一項の規定を準用する。
3 商法第百六十九条(発起人の株式引受け)の規定は特定目的会社の発起人による特定出資の引受けについて、同法第百七十条第二項(発起設立における払込み)の規定は第一項の規定による特定出資の払込みについて、同法第百七十二条ただし書(現物出資の給付の特例)の規定は特定目的会社の現物出資の場合について、それぞれ準用する。
(検査役の調査等)
第二十二条 取締役は、選任された後遅滞なく、第十八条第三項各号に掲げる事項を調査させるため、検査役の選任を裁判所に請求しなければならない。
2 商法第百七十三条第二項前段及び第三項から第六項まで(検査役の調査)の規定は前項の場合について、同法第百七十三条ノ二(設立手続の調査)の規定は特定目的会社の取締役及び監査役の調査について、それぞれ準用する。この場合において、同法第百七十三条第二項前段中「第百六十八条第一項第五号及第六号」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第十八条第三項第二号及第三号」と、「資本」とあるのは「特定資本」と、「同項第五号及第六号」とあるのは「同項第二号及第三号」と、同条第三項中「第百六十八条第一項第五号又ハ第六号」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第十八条第三項第二号又ハ第三号」と、「同項第五号又ハ第六号」とあるのは「同項第二号又ハ第三号」と、同条第四項中「第百六十八条第一項」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第十八条第三項」と、同条第五項及び第六項並びに同法第百七十三条ノ二第一項中「株式」とあるのは「特定出資」と読み替えるものとする。
(引受けによる権利の譲渡の禁止)
第二十三条 発起人は、特定出資の引受けによる権利を譲渡してはならない。
(設立の登記)
第二十四条 特定目的会社の設立の登記は、第二十二条の規定による検査役の調査に係る手続又は同条第二項において準用する商法第百七十三条ノ二の手続の終了の日から二週間以内に行わなければならない。
2 前項の設立の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。
一 第十八条第二項第一号、第二号、第四号、第五号、第七号及び第九号に掲げる事項
二 本店及び支店
三 優先出資を発行するときは、その総口数並びに利益の配当又は残余財産の分配についての優先的内容及び消却に関する規定(内容の異なる数種類の優先出資を発行するときは、優先出資の総口数並びに当該優先出資の種類ごとの口数並びに利益の配当又は残余財産の分配についての優先的内容及び消却に関する規定)
四 取締役及び監査役の氏名及び住所
五 取締役のうち特定目的会社を代表しない者があるときは、当該特定目的会社を代表すべき取締役の氏名
六 数人の取締役が共同して特定目的会社を代表すべきことを定めたときは、その規定
3 商法第六十四条第二項(支店における設立の登記)及び第六十五条から第六十七条まで(支店設置、移転及び変更の登記)の規定は特定目的会社について、同法第六十七条ノ二(業務執行停止等の登記)の規定は特定目的会社の取締役及び監査役について、それぞれ準用する。この場合において、同法第六十四条第二項中「前項」とあり、同法第六十五条第一項中「前条第一項」とあり、並びに同法第六十六条第一項及び第六十七条中「第六十四条第一項」とあるのは、「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第二十四条第二項」と読み替えるものとする。
(商法等の準用)
第二十五条 商法第百八十九条(払込取扱機関の証明)の規定は特定目的会社の設立の際の特定出資の払込みを取り扱う銀行又は信託会社について、同法第百九十一条前段(引受けの無効又は取消しの制限)の規定は特定出資の引受けの無効又は取消しについて、同法第百九十二条及び第百九十二条ノ二(発起人等の引受担保責任、財産価格てん補責任等)の規定は特定目的会社の発起人及び特定目的会社成立当時の取締役について、同法第百九十三条から第百九十五条まで(発起人の損害賠償責任、会社不成立の場合の責任及び連帯責任)の規定並びに第七十三条第三項及び第七十五条の規定は特定目的会社の発起人について、それぞれ準用する。この場合において、同法第百九十一条前段中「錯誤若ハ株式申込証ノ要件ノ欠缺」とあるのは「錯誤」と、同法第百九十二条第一項から第三項までの規定中「株式」とあるのは「特定出資」と、同法第百九十二条ノ二第一項及び第二項中「第百六十八条第一項第五号又ハ第六号」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第十八条第三項第二号又ハ第三号」と、同法第百九十五条中「第百七十三条ノ二又ハ第百八十四条第一項及第二項」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第二十二条第二項ニ於テ準用スル第百七十三条ノ二」と読み替えるものとする。
第三節 社員の権利義務等
(社員)
第二十六条 特定目的会社(優先出資を発行しない特定目的会社に限る。)の社員は、特定社員(特定出資に係る持分(以下「特定持分」という。)を有する者をいう。以下同じ。)とし、優先出資を発行する特定目的会社の社員は、特定社員及び優先出資社員(優先出資に係る持分を有する者をいう。以下同じ。)とする。
(社員の責任、持分等)
第二十七条 すべての社員の責任は、その出資の金額を限度とする。
2 社員は、出資の払込みについて、相殺をもって特定目的会社に対抗することはできない。
3 各社員は、その出資の口数に応じて持分を有する。
(特定出資の金額)
第二十八条 特定出資一口の金額は、均一とし、五万円を下回ってはならない。
(特定社員の持分の譲渡)
第二十九条 特定社員は、特定持分の全部又は一部を他の特定社員に譲渡することができる。
2 特定社員は、その特定持分の全部又は一部を特定社員以外の者に譲渡する場合には、あらかじめ社員総会の承認を受けなければならない。
3 前項の場合においては、特定社員は、特定目的会社に対し、特定持分の譲渡の相手方及び譲渡をしようとする出資口数を記載した書面をもって、当該譲渡を承認すべきこと及び承認しないときは他に譲渡の相手方を指定すべきことを請求することができる。
4 商法第二百四条ノ二第二項及び第四項前段(株式の譲渡制限がある場合の不承認の通知等)の規定は、特定目的会社に対し前項の承認の請求があった場合について準用する。この場合において、同条第二項中「同項ノ株主」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第二十九条第三項ノ特定社員」と、同条第四項前段中「第一項ノ株式」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第二十九条第三項ノ特定持分」と、「取締役会」とあるのは「社員総会」と読み替えるものとする。
5 社員総会は、第三項の指定の請求があった場合において、同項の譲渡を承認しないときは、他に譲渡の相手方(当該特定目的会社を除く。)を指定しなければならない。
6 商法第二百四条ノ二第三項後段及び第四項後段(株式の譲渡制限がある場合の譲渡の相手方の指定の通知等)の規定は前項の規定により特定持分の譲渡の相手方を指定する場合について、同法第二百四条ノ三第一項から第三項まで(指定された者の先買権)並びに第二百四条ノ四第一項から第五項まで及び第七項(売買価格の決定)の規定は前項の規定による指定があった場合について、それぞれ準用する。この場合において、同法第二百四条ノ二第三項後段中「第一項ノ株主」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第二十九条第三項ノ特定社員」と、同法第二百四条ノ三第一項中「同条第一項ノ株主」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第二十九条第三項ノ特定社員」と、「株式」とあるのは「特定持分」と、同条第二項中「発行済株式ノ総数」とあるのは「特定持分ニ係ル出資及発行済優先出資ノ総口数」と、「前条第一項ノ株式ノ数」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第二十九条第三項ノ特定持分ニ係ル出資口数」と、同法第二百四条ノ四第四項及び第五項中「株式」とあるのは「特定持分」と、同条第七項中「株主」とあるのは「特定社員」と読み替えるものとする。
7 特定社員以外の者が第二項から前項までの規定によることなく特定目的会社の特定持分を取得したときは、その者は、その取得について、当該特定目的会社の社員総会の承認を受けなければならない。この場合においては、第三項から前項までの規定を準用する。
(特定社員の持分移転の対抗要件等)
第三十条 特定持分の移転は、その取得者の氏名又は名称及び住所並びに特定持分の移転の口数を特定社員名簿に記載しなければ、特定目的会社その他の第三者に対抗することができない。
(特定持分の質入れ)
第三十一条 特定持分は、これを質権の目的とすることができる。
2 前条の規定は、特定持分を質権の目的とする場合について準用する。
3 特定持分を質権の目的とした場合において、特定目的会社が質権設定者の請求により質権者の氏名及び住所を特定社員名簿に記載したときは、当該質権者は、当該特定目的会社から利益の配当又は残余財産の分配を受け、他の債権者に先立って自己の債権の弁済に充てることができる。
4 民法(明治二十九年法律第八十九号)第三百六十七条第三項(供託の請求)の規定は、特定持分の質権者につき前項の記載がされた場合について準用する。
(特定社員名簿の記載事項等)
第三十二条 特定社員名簿には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 特定社員の氏名又は名称及び住所
二 各特定社員の有する特定出資の口数
(特定持分に係る証券の発行禁止)
第三十三条 特定目的会社は、特定持分については、指図式又は無記名式のいずれの証券も発行してはならない。
(自己特定持分の取得及び質受けの禁止等)
第三十四条 特定目的会社は、権利の実行に当たりその目的を達成するために必要な場合を除き、自己の特定持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けてはならない。
2 前項の規定は、特定目的会社が、特定社員の相続人からその相続により取得した当該特定目的会社の特定持分を当該相続の開始後一年以内に買い受けるために取得する場合には、適用しない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
一 当該特定目的会社の所有する自己の特定持分(権利の実行に当たりその目的を達成するために取得したものを除く。)に係る出資口数が、その特定資本の五分の一に相当する出資口数を超えることとなるとき。
二 当該特定目的会社の特定持分の買受価格が、その最終の貸借対照表上の純資産額から第百二条第三項各号の金額及び同条第一項の規定により分配した金銭の額の合計額を控除した額を超えるとき。
三 当該特定目的会社の営業年度の終了の時において、その貸借対照表上の純資産額が、第百一条第一項各号の金額の合計額を下回るおそれがあると認められるとき。
3 特定目的会社が前項の特定持分を買い受けるには、第百十四条第二項に規定する決議によらなければならない。この場合においては、当該特定持分の売主たる特定社員は、議決権を行使することができない。
4 第二項第三号の営業年度の終了の時において、同号の純資産額が、同号の合計額から同項の特定目的会社が取得して有する同項の特定持分の時価の合計額を控除した額を下回った場合には、当該特定持分の買受けをした取締役は、当該特定目的会社に対し、連帯して、その差額(当該差額が、当該営業年度において買い受けた当該特定持分の取得価額の総額から、当該特定持分のうち既に処分したものの価額の総額及びその取得して有する特定持分の時価の合計額を控除した残額を超えるときは、当該残額)につき、損害賠償の責任を負う。ただし、当該取締役が同号に規定するおそれがないと認めたことについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
5 第七十三条第二項の規定は前項の買受けをすることにつき同意した取締役について、同条第三項の規定は当該取締役及び前項の取締役の責任について、それぞれ準用する。
6 特定目的会社は、第一項又は第二項本文に規定する場合において取得した特定持分又は質権を相当の時期に処分しなければならない。
(特定持分の消却の禁止)
第三十五条 特定持分は、第百十八条の規定により特定資本の減少を行う場合を除き、消却することができない。
(特定持分についての商法の準用)
第三十六条 商法第二百三条(株式の共有)の規定は特定持分について、同法第二百二十四条及び第二百二十四条ノ二(株主名簿の効力及び所在不明の株主)の規定は特定社員名簿について、それぞれ準用する。この場合において、同法第二百三条第二項及び第三項並びに第二百二十四条第一項中「株主」とあるのは「特定社員」と、同条第三項中「株式申込人、株式引受人」とあるのは「特定出資引受人」と、同法第二百二十四条ノ二第一項及び第二項中「株主」とあるのは「特定社員」と読み替えるものとする。
(優先出資の発行)
第三十七条 特定目的会社は、定款に記載した資産流動化計画の定めるところに従い、取締役の決定(取締役が数人あるときは、その過半数をもってする決定)により、優先出資を発行することができる。
2 優先出資の発行は、額面金額をもって行わなければならない。
3 優先出資の額面金額は、均一で、かつ、特定出資一口の金額と同一でなければならない。
(優先出資の申込み)
第三十八条 優先出資の申込みをしようとする者は、優先出資申込証に、引き受けようとする優先出資の口数及び住所を記載し、これに署名しなければならない。
2 取締役は、次に掲げる事項を記載した優先出資申込証を作成しなければならない。
一 特定目的会社の商号並びに第三条の登録の年月日(第十一条第一項の変更登録を受けた場合には、当該変更登録の年月日)及び登録番号
二 特定出資の総口数及び特定資本の額
三 発行する優先出資の額面金額、内容及び総口数
四 優先出資の消却に関する規定
五 定款に記載した資産流動化計画に他の優先出資証券の発行についての定めがあるときは、当該他の優先出資証券の前二号に掲げる事項及びその発行状況
六 定款に記載した資産流動化計画に特定社債又は特定約束手形の発行についての定めがあるときは、特定社債については第百十条第二項第四号から第十号までに掲げる事項及びその発行状況、特定約束手形については発行の限度額その他の総理府令・大蔵省令で定める事項及びその発行状況
七 定款に記載した資産流動化計画に定められた特定資産の種類、当該特定資産を特定するに足りる事項、当該特定資産の上に存在する特定目的会社に対抗し得る権利その他当該特定資産の価格を知るために必要な事項の概要
八 特定目的会社以外の者であって政令で定めるものが前号の特定資産の価格につき調査した結果(当該特定資産が不動産であるときは、不動産鑑定士による鑑定評価を踏まえて調査したものに限る。)
九 払込みを取り扱う銀行又は信託会社
十 優先出資の申込口数が第三号に掲げる優先出資の総口数に達しない場合において、その達しない口数の優先出資を引き受けるべきことを約した者があるときは、その氏名又は名称
十一 一定の時期までに優先出資の発行ができないときは、当該優先出資の申込みを取り消すことができる旨の規定
十二 名義書換代理人又は登録機関を置いたときは、その名称及び住所並びに営業所
3 取締役は、優先出資申込証の交付に際して、前項第九号に掲げる銀行又は信託会社の払込みの取扱いの場所を記載した書面を交付しなければならない。ただし、優先出資申込証にこれを記載したときは、この限りでない。
4 取締役は、優先出資の申込者から定款に記載した資産流動化計画の閲覧又は当該資産流動化計画の謄本若しくは抄本の交付の求めがあったときは、これに応じなければならない。
5 民法第九十三条ただし書(心裡留保の無効)の規定は、優先出資の申込みについては、適用しない。
6 優先出資については、現物出資による引受けは、することができない。
(優先出資の割当て及び払込み)
第三十九条 優先出資の申込みをした者(前条第二項第十号に規定する者を含む。)は、取締役の割り当てた優先出資の口数について優先出資の引受人となる。
2 取締役は、特定目的会社の発行に係る優先出資の総口数の引受けがあったときは、遅滞なく、各引受人が引き受けた優先出資につき、その発行価額の全額の払込みを行わせなければならない。
3 前項の払込みは、前条第三項の書面又は優先出資申込証に記載した払込みの取扱いの場所において行わなければならない。
4 商法第百七十八条及び第百八十九条(払込取扱機関の変更及び保管証明)の規定は第二項の払込みを取り扱う銀行又は信託会社について、同法第百七十九条(株式引受人の失権手続)の規定は優先出資の引受人について、同法第百九十条(権利株の譲渡)の規定は優先出資の引受けによる権利について、同法第二百八十条ノ十二(引受けの無効又は取消しの制限)の規定は優先出資の引受けの無効又は取消しについて、それぞれ準用する。この場合において、同法第百七十九条第一項中「第百七十七条」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第三十九条第二項」と、「発起人」とあるのは「取締役」と、同条第二項中「発起人」とあるのは「取締役」と、「株主」とあるのは「優先出資社員」と、同法第二百八十条ノ十二中「新株発行ニ因ル変更ノ登記」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第四十条第一項ノ登記」と、「株式申込証若ハ新株引受権証書」とあるのは「優先出資申込証」と、「株主」とあるのは「優先出資社員」と読み替えるものとする。
(優先出資の発行の登記、優先出資社員となる時期等)
第四十条 特定目的会社は、その発行に係る優先出資の総口数の全額の払込みがあった日から、本店の所在地においては二週間以内、支店の所在地においては三週間以内に、優先出資の発行に係る事項として次に掲げる事項を登記しなければならない。
一 優先資本の額(発行済優先出資の発行価額の総額をいう。)
二 内容の異なる数種類の優先出資を発行するときは、その種類ごとの発行済優先出資の口数
三 名義書換代理人又は登録機関を置いたときは、その名称及び住所並びに営業所
2 前条第二項の払込みを行った優先出資の引受人は、本店の所在地における前項の登記の日から優先出資社員となる。
3 商法第百九十二条(発起人等の引受担保責任、払込担保責任等)の規定は、特定目的会社の発行に係る優先出資につき第一項の登記後に引受け又は払込みのないものがあることとなった場合の取締役の責任について準用する。この場合において、同条第二項中「其ノ払込ヲ為シ又ハ給付未済財産ノ価額ノ支払ヲ為ス義務」とあるのは「其ノ払込ヲ為ス義務」と、同条第三項中「払込又ハ支払」とあるのは「払込」と読み替えるものとする。
(優先出資の譲渡等)
第四十一条 優先出資は、譲渡することができる。
2 特定目的会社は、優先出資の譲渡を制限してはならない。
3 優先出資証券の発行前にした優先出資の譲渡は、特定目的会社に対して効力を生じない。
4 優先出資を譲渡するには、優先出資証券を交付しなければならない。
5 優先出資証券を占有する者は、適法にこれを所持しているものと推定する。
(優先出資の移転の対抗要件)
第四十二条 優先出資の移転は、その取得者の氏名又は名称及び住所並びに優先出資の移転の口数を優先出資社員名簿に記載しなければ、特定目的会社に対抗することができない。
2 商法第二百六条第二項及び第三項(名義書換代理人及び登録機関)の規定は、特定目的会社の優先出資又は優先出資証券について準用する。この場合において、同条第二項中「株主名簿」とあるのは「優先出資社員名簿」と、「前項」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第四十二条第一項」と読み替えるものとする。
(自己の優先出資の取得等)
第四十三条 特定目的会社は、次に掲げる場合を除き、自己の優先出資を取得し、又は質権の目的として発行済優先出資の総口数の二十分の一を超える口数の自己の優先出資を受けることはできない。
一 優先出資の消却のためにするとき。
二 特定目的会社の権利の実行に当たり、その目的を達成するために必要なとき。
2 特定目的会社は、前項第一号に掲げる場合において取得した優先出資については遅滞なくその失効の手続をとり、同項第二号に掲げる場合において取得した優先出資又は質権についてはこれを相当の時期に処分しなければならない。
(優先出資社員名簿の記載事項)
第四十四条 特定目的会社は、優先出資社員名簿に次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 優先出資社員の氏名又は名称及び住所
二 各優先出資社員の有する優先出資の種類及び口数
三 各優先出資社員の有する優先出資につき優先出資証券を発行したときは、その優先出資証券の番号
四 各優先出資の取得の年月日
2 商法第二百二十四条から第二百二十四条ノ三まで(株主名簿の効力、所在不明の株主並びに株主名簿の閉鎖及び基準日)の規定は、特定目的会社の優先出資社員名簿について準用する。この場合において、同法第二百二十四条第一項中「株主」とあるのは「優先出資社員」と、同条第三項中「株式申込人、株式引受人」とあるのは「優先出資申込人、優先出資引受人」と、同法第二百二十四条ノ二第一項及び第二項並びに第二百二十四条ノ三第一項及び第三項中「株主」とあるのは「優先出資社員」と読み替えるものとする。
(優先出資証券の記載事項)
第四十五条 優先出資証券には、次に掲げる事項並びにその番号、その発行の年月日、優先出資の口数及び優先出資者の氏名又は名称を記載し、取締役がこれに署名しなければならない。
一 特定目的会社の商号並びに第三条の登録の年月日(第十一条第一項の変更登録を受けた場合には、当該変更登録の年月日)及び登録番号
二 特定目的会社の成立の年月日
三 優先出資一口の金額
四 優先出資の内容
(優先出資証券の発行の時期)
第四十六条 特定目的会社は、第四十条第一項の規定による登記をした後、遅滞なく、優先出資証券を発行しなければならない。
2 優先出資証券は、前項の登記後でなければ発行することができない。
3 前項の規定に違反して発行した優先出資証券は、無効とする。ただし、当該優先出資証券を発行した者に対する損害賠償の請求を妨げない。
(優先出資社員の議決権)
第四十七条 優先出資社員は、この法律又は定款に別段の定めがある場合を除き、社員総会において議決権を有しない。
(優先出資の消却)
第四十八条 特定目的会社は、第百十九条第一項の規定による手続を経て行う場合を除き、優先出資の消却を行うことができない。
(優先出資についての商法の準用)
第四十九条 商法第二百一条(仮設人及び他人名義で株式を引き受けた者の責任)、第二百三条(株式の共有)、第二百七条(株式の質入れ)、第二百八条(質権の効力)並びに第二百九条第一項及び第二項(株式の登録質)の規定は優先出資について、同法第二百二十六条ノ二(株券の不発行及び寄託制度)、第二百二十九条(株券の即時取得)及び第二百三十条(除権判決による再発行)の規定は優先出資証券について、同法第二百八十条ノ十(発行の差止め)の規定は優先出資の発行の差止めについて、同法第二百八十条ノ十五から第二百八十条ノ十八まで(新株発行無効の訴え)の規定は優先出資の発行の無効の訴えについて、それぞれ準用する。この場合において、同法第二百一条第一項中「株式引受人」とあるのは「優先出資引受人」と、同法第二百三条第二項及び第三項中「株主」とあるのは「優先出資社員」と、同法第二百七条中「株券」とあるのは「優先出資証券」と、同法第二百八条中「消却、併合、分割、転換又ハ買取」とあるのは「消却」と、「株主」とあるのは「優先出資社員」と、「金銭又ハ株式」とあるのは「金銭」と、同法第二百九条第一項中「株主名簿」とあるのは「優先出資社員名簿」と、「株券」とあるのは「優先出資証券」と、「利益若ハ利息ノ配当」とあるのは「利益ノ配当」と、同法第二百二十六条ノ二第一項中「株主」とあるのは「優先出資社員」と、同条第二項中「株主名簿」及び「株主」とあるのはそれぞれ「優先出資社員名簿」及び「優先出資社員」と、同条第四項及び第五項中「株主」とあるのは「優先出資社員」と、同法第二百八十条ノ十及び第二百八十条ノ十五第二項中「株主」とあるのは「社員」と、同法第二百八十条ノ十七第二項中「株券及端株券」とあるのは「優先出資証券」と、「株主及株主名簿」とあるのは「社員及優先出資社員名簿」と、同法第二百八十条ノ十八第一項及び第二項中「株主」とあるのは「優先出資社員」と読み替えるものとする。
第四節 特定目的会社の機関
第一款 社員総会
(社員総会の種類及び権限)
第五十条 この節、次節及び第七節から第九節までにおいて、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 第一種特定目的会社 優先出資社員が存在しない特定目的会社
二 第二種特定目的会社 優先出資社員が存在する特定目的会社
三 無議決権事項 次に掲げる事項
イ 第一種特定目的会社の社員総会が会議の目的とすべき事項
ロ 第二種特定目的会社の社員総会が会議の目的とすべき事項のうち、優先出資社員がこの法律又は定款の定めにより議決権を有する事項以外の事項
四 有議決権事項 第二種特定目的会社の社員総会が会議の目的とすべき事項のうち、優先出資社員がこの法律又は定款の定めにより議決権を有する事項
(招集及びその決定)
第五十一条 定時社員総会は、毎決算期の終了後一定の時期に招集しなければならない。
2 臨時社員総会は、必要がある場合に随時招集することができる。
3 社員総会は、この法律に別段の定めがある場合を除き、取締役が招集する。
4 取締役が数人ある場合においては、社員総会を招集するには、その過半数をもってする決議によらなければならない。
(社員総会の招集の通知等)
第五十二条 第一種特定目的会社の社員総会又は第二種特定目的会社の無議決権事項のみを会議の目的とする社員総会を招集するには、その会日の一週間前に、各特定社員に対して、招集の通知を発しなければならない。ただし、この期間は、定款をもって短縮することができる。
2 前項の社員総会は、特定社員の全員の同意があるときは、同項の規定にかかわらず、招集の手続を経ることなく開催することができる。
(社員総会の招集の通知の特例)
第五十三条 第二種特定目的会社の有議決権事項を会議の目的に含む社員総会を招集するには、その会日の二週間前に、各社員に対して、招集の通知を発しなければならない。
2 前項の通知には、会議の目的たる事項を記載しなければならない。
3 前二項の規定は、議決権のない社員については適用しない。
4 商法特例法第二十一条の二(招集通知への参考書類の添付)の規定は、第一項の招集の通知について準用する。この場合において、同条中「株主の」とあるのは「優先出資社員の」と、「法務省令」とあるのは「総理府令・大蔵省令」と読み替えるものとする。
(少数社員による招集の請求)
第五十四条 特定資本の十分の一以上に当たる特定出資口数を有する特定社員は、会議の目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を取締役に提出して社員総会の招集を請求することができる。
2 前項の規定による場合を除くほか、有議決権事項を会議の目的とする社員総会については、六月前から引き続き発行済優先出資の総口数の百分の三以上に当たる優先出資を有する優先出資社員は、会議の目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を取締役に提出して当該社員総会の招集を請求することができる。
3 商法第二百三十七条第二項(少数株主による招集)の規定は前二項の規定による請求があった場合について、同条第三項(業務及び財産の状況の調査のための検査役の選任)の規定は前二項の規定又はこの項において準用する同条第二項の規定による社員総会について、それぞれ準用する。この場合において、同法第二百三十七条第二項中「株主」とあるのは、「特定社員又は優先出資社員」と読み替えるものとする。
(社員総会検査役)
第五十五条 第二種特定目的会社にあっては、特定資本の十分の一以上に当たる特定出資口数を有する特定社員又は六月前から引き続き発行済優先出資の総口数の百分の一以上に当たる優先出資を有する優先出資社員は、有議決権事項を会議の目的とする社員総会に係る招集手続及び決議の方法を調査させるため、当該社員総会に先立ち、検査役の選任を裁判所に請求することができる。
2 商法第二百三十七条ノ二第二項(検査役の報告)の規定は前項の規定により選任された検査役について、同条第三項(株主総会の招集命令)の規定は当該検査役の報告があった場合について、それぞれ準用する。この場合において、同項中「株主総会」とあり、並びに同項において準用する同法第百八十一条第三項及び第百八十四条第二項中「創立総会」とあるのは、「社員総会」と読み替えるものとする。
3 前項において読み替えて準用する商法第百八十一条第三項及び第百八十四条第二項に規定する社員総会は、有議決権事項をその会議の目的とする社員総会とみなす。
(社員提案権)
第五十六条 第二種特定目的会社の特定資本の十分の一以上に当たる特定出資口数を有する特定社員又は六月前から引き続き発行済優先出資の総口数の百分の一以上に当たる優先出資若しくは三百口以上の優先出資を有する優先出資社員は、取締役に対し、社員総会の会日から六週間前に、書面をもって一定の事項(有議決権事項に限る。)を当該社員総会の会議の目的とすべきことを請求することができる。
2 第二種特定目的会社の前項に規定する特定社員又は優先出資社員は、取締役に対し、社員総会の会日から六週間前に、書面をもって、会議の目的たる有議決権事項につきその提出すべき議案の要領を第五十三条第一項に規定する通知に記載することを請求することができる。ただし、当該議案が法令若しくは定款に違反するとき、又は同一の議案につき社員総会において議決権の十分の一以上の賛成を得られなかった日から三年を経過していないときは、この限りでない。
3 前二項の規定は、特定社員が社員総会において一定の事項(無議決権事項に限る。)を会議の目的とすべきことを請求し、又は当該事項につき議案を提出することを妨げるものと解してはならない。
(決議方法の原則)
第五十七条 社員総会の決議のうち無議決権事項に係るものは、この法律又は定款に別段の定めがある場合を除き、特定目的会社の総特定社員の議決権の過半数を有する特定社員が出席し、出席した特定社員の議決権の過半数をもって行う。
2 社員総会の決議のうち有議決権事項に係るものは、この法律又は定款に別段の定めがある場合を除き、総社員(総特定社員及び総優先出資社員をいう。以下同じ。)の議決権の過半数を有する社員が出席し、出席した社員の議決権の過半数をもって行う。
3 社員総会の特定の決議について議決権を行使することのできない社員が有する議決権は、これを前二項の総特定社員又は総社員及び出席した特定社員又は社員の議決権の数に算入しない。
(議決権の数)
第五十八条 社員総会が会議の目的とすべき事項のうち、無議決権事項については特定社員は特定出資一口につき一個の議決権を、有議決権事項については社員は特定出資又は優先出資一口につき一個の議決権を有する。ただし、無議決権事項についての特定社員の議決権の数については、定款で別段の定めをすることができる。
2 特定目的会社は、その有する自己の特定出資又は優先出資については、議決権を有しない。
(優先出資社員の議決権の行使方法等)
第五十九条 社員総会の有議決権事項について議決権を有する優先出資社員の数が千人以上である場合には、当該社員総会に出席しない優先出資社員は、当該有議決権事項について書面によって議決権を行使することができる。
2 商法特例法第二十一条の三第二項から第六項まで(書面による議決権の行使)の規定は前項の書面による議決権の行使について、商法第二百三十九条ノ二(議決権の不統一行使)の規定は優先出資社員の議決権の行使について、それぞれ準用する。この場合において、商法特例法第二十一条の三第二項中「株主総会」とあるのは「社員総会」と、「株主が」とあるのは「優先出資社員が」と、同条第三項中「株主総会」とあるのは「社員総会」と、同条第四項中「株主」とあるのは「社員」と、同条第五項中「法務省令」とあるのは「総理府令・大蔵省令」と、同条第六項において準用する商法第二百三十九条第五項中「総会」とあるのは「社員総会」と、同条第六項中「株主」とあるのは「社員」と、商法第二百三十九条ノ二第二項中「株式」とあるのは「優先出資」と読み替えるものとする。
(優先出資社員の議決権)
第六十条 利益の配当に関し優先的内容を有する優先出資に係る優先出資社員は、優先的配当を受ける旨の議案が定時社員総会に提出されないときは当該総会から、当該議案が定時社員総会において否決されたときは当該総会の終結の時から、優先的配当を受ける旨の決議がされる時までは、この法律又は定款の定めにより社員総会で決議すべき事項のうち第二十九条第二項、第三十四条第三項、次条第一項(第百十六条第三項において準用する場合を含む。)、第七十一条第一項(第七十二条第一項において準用する場合を含む。)及び第百十四条第一項に規定する事項以外の事項(次項において「特殊議決事項」という。)について、議決権を有する。
2 前項の規定は、定款をもって、優先的配当を受けない旨の決議があったときにその配当が累積する優先出資につき、当該優先出資に係る優先出資社員がその決議のあった定時社員総会の次の定時社員総会に優先的配当を受ける旨の議案が提出されないときは当該総会から、当該議案が定時社員総会において否決されたときは当該総会の終結の時から特殊議決事項について議決権を有する旨を定めることを妨げない。
(事後設立)
第六十一条 特定目的会社は、その成立後二年以内に、その成立前から存在する財産であってその営業のために継続して使用すべきものを特定資本の五分の一を超える額の対価をもって取得する契約をする場合には、第百十四条第二項に規定する決議によらなければならない。ただし、当該契約により取得する財産が定款に記載した資産流動化計画に定められた特定資産であるときは、この限りでない。
2 取締役は、前項の決議を求めようとする場合には、同項の契約に関する調査をさせるため、検査役の選任を裁判所に請求しなければならない。
3 商法第百七十三条第三項(弁護士の証明等)の規定は前項の調査に係る検査役の選任について、同法第百八十一条第三項(検査役の報告書等の総会への提出)及び第百八十四条第二項(設立手続の調査の総会への報告)の規定は前項の検査役の報告書及びこの項において準用する同法第百七十三条第三項前段の弁護士の証明書について、それぞれ準用する。この場合において、同法第百七十三条第三項中「第百六十八条第一項第五号又ハ第六号ノ財産」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第六十一条第一項ノ契約ニ係ル財産」と、「同項第五号又ハ第六号ニ掲グル事項」とあり、及び「其ノ事項」とあるのは「其ノ契約」と、同法第百八十一条第三項及び第百八十四条第二項中「創立総会」とあるのは「社員総会」と読み替えるものとする。
(商法の準用)
第六十二条 商法第二百三十三条(招集地)、第二百三十七条ノ三から第二百三十八条まで(取締役等の説明義務、総会の議長及び検査役の選任)、第二百三十九条第二項から第六項まで(代理人による議決権行使)、第二百四十三条(延期及び続行の決議)及び第二百四十四条(総会の議事録)の規定は特定目的会社の社員総会について、同法第二百四十七条から第二百五十一条まで(決議取消しの訴え)の規定は社員総会の決議の取消しについて、同法第二百五十二条(決議不存在及び無効確認の訴え)の規定は社員総会の決議の不存在又は無効の確認について、それぞれ準用する。この場合において、同法第二百三十七条ノ三並びに第二百三十九条第二項、第四項及び第六項中「株主」とあるのは「社員」と、同法第二百四十三条中「第二百三十二条」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第五十二条及第五十三条」と、同法第二百四十四条第四項において準用する同法第二百六十三条第二項並びに商法第二百四十七条第一項及び第二百四十九条第一項中「株主」とあるのは「社員」と読み替えるものとする。
(書面による決議)
第六十三条 社員総会が会議の目的とすべき事項のうち無議決権事項について決議を行う場合において、特定社員の全員の同意があるときは、書面による決議を行うことができる。
2 無議決権事項につき特定社員の全員が書面をもって同意の意思表示をしたときは、書面による決議を行うことについての特定社員の全員の同意があって当該書面による決議があったものとみなす。
3 無議決権事項についての書面による決議は、社員総会の決議と同一の効力を有する。
4 取締役は、書面による決議のあった日から一年間、当該決議に係る書面を本店に備え置かなければならない。
5 特定社員及び優先出資社員は、特定目的会社の営業時間内においていつでも、前項の書面の閲覧又は謄写を求めることができる。
6 社員総会に関する規定(有議決権事項に係るものを除く。)は、書面による決議を行う場合について準用する。
第二款 取締役
(取締役の存置)
第六十四条 特定目的会社には、一人又は数人の取締役を置かなければならない。
(取締役の選任等)
第六十五条 取締役は、社員総会において選任する。
2 優先出資社員は、取締役の選任について議決権を有する。ただし、第六十七条第一項の規定による解任により取締役が欠け、又は定款に定めた取締役の定員を下回ることとなった場合においてその解任された取締役に代わる新たな取締役を選任するときを除き、定款の定めをもって、優先出資社員が取締役の選任についての議決権を有しないものとすることができる。
3 商法第二百五十四条第二項及び第三項(会社との関係)の規定は、特定目的会社の取締役について準用する。この場合において、同条第二項中「株主」とあるのは、「社員」と読み替えるものとする。
(取締役の欠格事由)
第六十六条 次に掲げる者は、取締役となることができない。
一 第八条第一項第三号イからニまでに掲げる者
二 定款に記載した資産流動化計画に定められた特定資産の譲渡人(当該譲渡人が法人であるときは、その役員)
三 定款に記載した資産流動化計画に定められた特定資産(信託の受益権を除く。)の管理及び処分に係る業務の受託者(当該受託者が法人であるときは、その役員)
四 定款に記載した資産流動化計画に定められた特定資産が信託の受益権である場合には、当該信託の受託者である法人の役員
(取締役の解任)
第六十七条 取締役は、いつでも、社員総会の決議をもってこれを解任することができる。
2 優先出資社員は、前項の決議について議決権を有する。
3 第一項の決議は、総社員の議決権の過半数を有する社員が出席し、出席した社員の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行わなければならない。
4 取締役の職務遂行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があったにもかかわらず、社員総会において当該取締役の解任が否決されたときは、特定資本の十分の一以上に当たる特定出資口数を有する特定社員又は六月前から引き続き発行済優先出資の総口数の百分の三以上に当たる優先出資を有する優先出資社員は、当該社員総会の日から三十日以内に当該取締役の解任を裁判所に請求することができる。
5 商法第八十八条(管轄裁判所)の規定は前項の訴えについて、同法第二百五十七条第一項ただし書(解任による損害賠償請求)の規定は第一項の規定による取締役の解任の場合について、それぞれ準用する。
(業務の執行)
第六十八条 取締役が数人ある場合において、定款に別段の定めがないときは、特定目的会社の業務執行は、取締役の過半数をもって決定する。
(特定目的会社の代表)
第六十九条 取締役は、特定目的会社を代表する。
2 取締役が数人ある場合には、次に掲げる場合を除き、取締役は、それぞれ特定目的会社を代表する。
一 定款又は社員総会の決議をもって特定目的会社を代表すべき取締役を定めたとき。
二 定款又は社員総会の決議をもって数人の取締役が共同して特定目的会社を代表すべきことを定めたとき。
三 定款の規定に基づき取締役の互選をもって特定目的会社を代表すべき取締役を定めたとき。
3 第六十五条第二項の規定は、特定目的会社を代表すべき取締役を定める場合及び数人の取締役が共同して特定目的会社を代表すべきことを定める場合について準用する。
4 商法第七十八条第一項(代表社員の権限)の規定は特定目的会社を代表すべき取締役について、同条第二項(会社の不法行為能力及び代表権の制限)の規定は特定目的会社及びその取締役について、同法第三十九条第二項(受動代理の特則)の規定は数人の取締役が共同して特定目的会社を代表すべき旨を定めた場合について、それぞれ準用する。この場合において、同項中「支配人」とあるのは「特定目的会社ヲ代表スベキ取締役」と、「営業主」とあるのは「其ノ特定目的会社」と読み替えるものとする。
(定款、社員名簿等の公示)
第七十条 取締役は、定款を本店及び支店に、特定社員名簿、優先出資社員名簿及び特定社債原簿を本店に備え置かなければならない。ただし、名義書換代理人を置いた場合には、優先出資社員名簿又は特定社債原簿を本店に備え置くことに代えて、これらの書類を当該名義書換代理人の営業所に備え置くことができる。
2 取締役は、名義書換代理人を置いた場合には、名義書換のための優先出資社員名簿又は特定社債原簿の複本を、当該名義書換代理人の営業所に備え置くことができる。
3 社員及び特定目的会社の債権者は、当該特定目的会社の営業時間内においていつでも、前二項に規定する書類の閲覧又は謄写を請求することができる。
(競業避止義務)
第七十一条 取締役は、自己又は第三者のために特定目的会社の営業の部類に属する取引をしようとするときは、社員総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
2 前項の承認は、第百十四条第二項に規定する決議によらなければならない。
3 有限会社法第二十九条第三項及び第四項(会社の介入権)の規定は、第一項の取引について準用する。この場合において、同条第三項中「第一項」とあるのは、「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第七十一条第一項」と読み替えるものとする。
(特定目的会社との取引等)
第七十二条 前条第一項及び第二項の規定は、取締役が、特定目的会社の財産を譲り受け、特定目的会社に財産を譲り渡し、特定目的会社から金銭の貸付けを受け、その他自己又は第三者のために特定目的会社と取引を行う場合について準用する。特定目的会社が取締役以外の者との間において、特定目的会社とその取締役との利益が相反する取引を行う場合も、同様とする。
2 民法第百八条(自己契約等の禁止)の規定は、前項において準用する前条第一項の承認を受けた前項前段の取引については、適用しない。
(特定目的会社に対する責任)
第七十三条 次の各号に掲げる場合には、当該各号に規定する行為をした取締役は、特定目的会社に対し連帯して、当該各号に定める額について弁済又は賠償する責任を負う。
一 第百一条第一項の規定に違反する利益の配当に関する議案を社員総会に提出し、又は第百二条第三項の規定に違反する金銭の分配をしたとき。 違法に配当又は分配をされた金額
二 第百六条第一項の規定に違反して財産上の利益を供与したとき。 供与した利益の価額
三 第七十一条第一項又は前条第一項の規定に違反してこれらの規定に規定する取引をしたとき。 特定目的会社の被った損害額
四 前三号に掲げる場合のほか、法令又は定款に違反する行為をしたとき。 特定目的会社の被った損害額
2 前項各号に規定する行為をすることにつき同意した取締役については、当該行為をしたものとみなして、同項の規定を適用する。
3 第一項の取締役の責任は、特定社員及び優先出資社員の全員の同意がある場合でなければ、これを免除することができない。
4 商法第二百六十六条第四項(損害額の推定)の規定は、特定目的会社の取締役が第七十一条第一項の規定に違反して同項に規定する取引をした場合について準用する。この場合において、同法第二百六十六条第四項中「第一項ノ会社ノ蒙リタル損害額」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第七十三条第一項第三号ニ定ムル損害額」と、「同条第三項」とあるのは「同法第七十一条第三項ニ於テ準用スル有限会社法第二十九条第三項」と読み替えるものとする。
5 第一項の規定は、同項第一号に掲げる場合において同号に定める金額につき弁済をした取締役から悪意の社員に対する求償権の行使を妨げるものと解してはならない。
(第三者に対する責任)
第七十四条 取締役がその職務を行うにつき悪意又は重大な過失があったときは、当該取締役は、第三者に対してもまた連帯して損害賠償の責任を負う。
2 取締役が、優先出資申込証、特定社債申込証、目論見書若しくは第八十五条第一項の書類に記載すべき重要な事項について虚偽の記載をし、又は虚偽の登記若しくは公告をしたときも、前項と同様とする。ただし、当該取締役がその記載、登記又は公告を行うことについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
3 前条第二項の規定は、取締役が前二項に規定する行為をすることにつき同意した取締役について準用する。
(社員の代表訴訟)
第七十五条 特定社員又は六月前から引き続き優先出資を有する優先出資社員は、特定目的会社に対し、書面をもって、取締役の責任を追求する訴えの提起を請求することができる。
2 商法第二百六十七条第二項から第六項まで(株主の代表訴訟)及び第二百六十八条から第二百六十八条ノ三まで(管轄、訴訟参加及び訴訟の告知、弁護士の報酬の請求及び損害賠償の責任並びに再審の訴え)の規定は、特定目的会社の取締役の責任を追求する訴えについて準用する。この場合において、同法第二百六十七条第二項中「前項ノ請求」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第七十五条第一項ノ請求」と、「前項ノ株主」とあるのは「同項ノ社員」と、同条第三項中「前二項」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第七十五条第一項及同条第二項ニ於テ準用スル前項」と、「第一項ノ株主」とあるのは「同条第一項ノ社員」と、同法第二百六十七条第五項、第二百六十八条第二項及び第三項、第二百六十八条ノ二並びに第二百六十八条ノ三第一項中「株主」とあるのは「社員」と読み替えるものとする。
(取締役の報酬)
第七十六条 取締役が受けるべき報酬は、定款でその額を定めていないときは、社員総会の決議をもって定めなければならない。
(社員の差止請求権)
第七十七条 取締役が特定目的会社の目的の範囲内にない行為その他法令又は定款に違反する行為をし、これにより当該特定目的会社に回復することのできない損害が生ずるおそれがある場合においては、特定社員又は六月前から引き続き優先出資を有する優先出資社員は、当該特定目的会社のために、当該取締役に対し、その行為をやめるよう請求することができる。
(商法の準用)
第七十八条 商法第二百五十四条ノ三(取締役の忠実義務)及び第二百五十八条(欠員の場合の措置)の規定は特定目的会社の取締役について、同法第二百五十六条ノ二(選任決議の定足数)及び有限会社法第二十五条ノ二(累積投票)の規定は特定目的会社の取締役の選任について、商法第七十条ノ二(業務代行者の権限)の規定は特定目的会社の取締役の職務代行者について、同法第二百六十二条(表見代表取締役の行為についての責任)の規定は特定目的会社について、それぞれ準用する。この場合において、同法第二百五十四条ノ三中「総会」とあるのは「社員総会」と、同法第二百五十六条ノ二中「総会」とあるのは「社員総会」と、「株主」とあるのは「社員」と、「株式ノ数」とあるのは「議決権ノ数」と、「発行済株式ノ総数」とあるのは「総社員ノ議決権ノ総数」と、同法第七十条ノ二第一項中「第六十七条ノ二」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第二十四条第三項ニ於テ準用スル第六十七条ノ二」と読み替えるものとする。
第三款 監査役
(監査役の存置)
第七十九条 特定目的会社には、一人又は数人の監査役を置かなければならない。
(監査役の権限)
第八十条 監査役は、取締役の職務の執行を監査する。
2 監査役は、いつでも、取締役及び使用人に対し営業の報告を求め、若しくは特定目的会社の業務及び財産の状況を調査し、又は取締役に対し意見を述べることができる。
(監査役の報告義務)
第八十一条 監査役は、取締役が特定目的会社の目的の範囲内にない行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし、又はその行為をするおそれがあると認める場合には、当該取締役以外に他の取締役があるときは当該他の取締役に対し、当該取締役以外に他の取締役がいないときは社員総会(特定社員を構成員とするものに限る。以下この条において同じ。)において、その旨を報告しなければならない。
2 監査役は、前項に規定する場合において必要があると認めるときは、取締役に社員総会の招集を請求することができる。
3 前項の請求があった場合において、当該請求の日から一週間以内に、当該請求の日から二週間以内の日を会日とする社員総会の招集の通知が発せられないときは、当該請求をした監査役は、社員総会の招集をすることができる。
(監査役の兼任禁止)
第八十二条 監査役は、特定目的会社の取締役又は使用人を兼ねることができない。
(監査役の報酬)
第八十三条 監査役の報酬は、定款でその額を定めていないときは、社員総会の決議をもって定めなければならない。
2 商法第二百七十九条第二項及び第三項(監査役が数人ある場合の協議及び意見を述べる権利)の規定は、特定目的会社の監査役の報酬について準用する。この場合において、同条第二項中「総会」とあるのは「社員総会」と、同条第三項中「第一項」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第八十三条第一項」と、同項において準用する同法第二百七十五条ノ三中「株主総会」とあるのは「社員総会」と読み替えるものとする。
(取締役に関する規定等の準用)
第八十四条 第六十五条から第六十七条まで、第七十三条第三項、第七十四条第一項及び第七十五条の規定並びに商法第二百五十六条ノ二(選任決議の定足数)及び第二百五十八条(欠員の場合の措置)の規定は、特定目的会社の監査役について準用する。この場合において、同法第二百五十六条ノ二中「総会」とあるのは「社員総会」と、「株主」とあるのは「社員」と、「株式ノ数」とあるのは「議決権ノ数」と、「発行済株式ノ総数」とあるのは「総社員ノ議決権ノ総数」と読み替えるものとする。
2 第七十四条第二項の規定は、監査役が監査報告書に記載すべき重要な事項について虚偽の記載をした場合について準用する。
3 商法第二百七十四条ノ二(取締役の報告義務)、第二百七十五条から第二百七十五条ノ四まで(調査及び報告をする義務、監査役の差止請求、監査役の任免について意見を述べる権利並びに会社と取締役間の訴えの代表)、第二百七十七条(会社に対する責任)、第二百七十八条(取締役との連帯責任)及び第二百七十九条ノ二(監査費用)の規定は、特定目的会社の監査役について準用する。この場合において、同法第二百七十五条及び第二百七十五条ノ三中「株主総会」とあるのは「社員総会」と、同法第二百七十五条ノ四中「第二百六十七条第一項」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第七十五条第一項」と読み替えるものとする。
第五節 計算及び会計監査人
(計算書類等の作成と監査)
第八十五条 取締役は、毎決算期に次に掲げる書類及びその附属明細書を作成しなければならない。
一 貸借対照表
二 損益計算書
三 営業報告書
四 利益の処分又は損失の処理に関する議案
2 前項の書類は、監査役及び会計監査人の監査を受けなければならない。ただし、資産対応証券として特定社債のみを発行する特定目的会社であって、その定款に記載した資産流動化計画に定められた特定社債の発行総額が政令で定める額に満たないものに係る同項の書類については、会計監査人の監査を受けることを要しない。
3 前項ただし書の規定は、定款をもって、同項ただし書に規定する特定目的会社に係る第一項の書類について会計監査人の監査を受けるべきことを定めることを妨げるものと解してはならない。
4 第一項第三号に掲げる書類及びその附属明細書に係る第二項の規定又は定款の定めによる会計監査人の監査は、会計に関する部分に限る。
5 第一項の書類の記載方法は、総理府令・大蔵省令で定める。
(会計監査人の選任)
第八十六条 会計監査人は、社員総会において選任する。
2 取締役は、会計監査人の選任に関する議案を社員総会に提出する場合には、監査役(監査役が数人あるときは、その過半数。次項において同じ。)の同意を得なければならない。
3 監査役は、取締役に対し、会計監査人の選任を社員総会の会議の目的とすることを請求することができる。会計監査人の選任に関する議案の提出についても、同様とする。
4 特定目的会社の設立の場合においては、会計監査人は、発起人が選任する。
5 第二十一条第二項の規定は、前項の規定により発起人が会計監査人を選任する場合について準用する。
(会計監査人の資格等)
第八十七条 会計監査人は、公認会計士(公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第十六条の二第三項に規定する外国公認会計士を含む。以下同じ。)又は監査法人でなければならない。
2 次に掲げる者は、会計監査人となることができない。
一 公認会計士法第二十四条又は第三十四条の十一の規定により、特定目的会社の第八十五条第一項の書類について監査することができない者
二 定款に記載した資産流動化計画に定められた特定資産の譲渡人、当該特定資産の管理及び処分に係る業務の受託者若しくは当該特定資産が信託の受益権である場合における当該信託の受託者(以下この号及び第九十一条第三項において「特定資産譲渡人等」という。)若しくは特定資産譲渡人等の取締役若しくは監査役から公認会計士若しくは監査法人の業務以外の業務により継続的な報酬を受けている者又はその配偶者
三 業務の停止の処分を受け、その停止の期間を経過しない者
四 監査法人で、その社員のうちに前号に掲げる者があるもの又はその社員の半数以上が第二号に掲げる者であるもの
3 商法特例法第五条(会計監査人の職務を行うべき社員の指名)並びに第五条の二第一項及び第二項(会計監査人の任期)の規定は特定目的会社の会計監査人について、前条第二項及び第三項前段の規定は会計監査人を再任しないことを社員総会の会議の目的とする場合について、それぞれ準用する。この場合において、商法特例法第五条中「前条第二項第二号」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第八十七条第二項第二号」と、商法特例法第五条の二第一項中「定時総会」とあるのは「定時社員総会」と、同条第二項中「定時総会」とあるのは「定時社員総会」と、「総会」とあるのは「社員総会」と読み替えるものとする。
(会計監査人の解任)
第八十八条 会計監査人は、いつでも、社員総会の決議をもってこれを解任することができる。
2 商法特例法第六条第二項(解任による損害賠償請求)の規定は前項の規定により解任された特定目的会社の会計監査人について、第八十六条第二項及び第三項前段の規定は会計監査人の解任を社員総会の会議の目的とする場合について、それぞれ準用する。
(監査役による会計監査人の解任)
第八十九条 会計監査人は、次の各号のいずれかに該当するときは、監査役の決定(監査役が数人あるときは、その全員の一致をもってする決定)をもってこれを解任することができる。
一 職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったとき。
二 会計監査人としてふさわしくない非行があったとき。
三 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えないとき。
2 監査役は、前項の規定により会計監査人を解任したときは、その旨及び解任の理由を解任後最初に招集される社員総会に報告しなければならない。
3 第一項の規定により解任された会計監査人は、前項の社員総会に出席して意見を述べることができる。
(会計監査人の欠けた場合の処置)
第九十条 第八十五条第二項の規定又は定款の定めにより会計監査人の監査を受けるべき特定目的会社(以下「会計監査人存置会社」という。)の会計監査人が欠け、又は定款で定めた会計監査人の員数が欠けた場合において、遅滞なく会計監査人が選任されないときは、監査役は、その決定(監査役が数人あるときは、その過半数をもってする決定)をもって一時会計監査人の職務を行うべき者を選任しなければならない。
2 第八十七条第一項及び第二項並びに前条の規定並びに商法特例法第五条(会計監査人の職務を行うべき社員の指名)の規定は、前項の一時会計監査人の職務を行うべき者について準用する。この場合において、同条中「前条第二項第二号」とあるのは、「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第九十条第二項において準用する同法第八十七条第二項第二号」と読み替えるものとする。
(会計監査人の権限等)
第九十一条 会計監査人は、いつでも、特定目的会社の会計の帳簿及び書類の閲覧若しくは謄写をし、又は取締役及び使用人に対して会計に関する報告を求めることができる。
2 会計監査人は、その職務を行うため必要があるときは、特定目的会社の業務及び財産の状況を調査することができる。
3 会計監査人は、その職務を行うに当たって、第八十七条第二項第一号から第三号までに掲げる者に該当する公認会計士、特定資産譲渡人等、特定目的会社若しくは特定資産譲渡人等の取締役、監査役若しくは使用人である者又は特定目的会社若しくは特定資産譲渡人等から公認会計士若しくは監査法人の業務以外の業務により継続的な報酬を受けている者を使用してはならない。
(監査役に対する会計監査人の報告)
第九十二条 会計監査人は、その職務を行うに際して取締役の職務執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを発見したときは、これを監査役に報告しなければならない。
2 監査役は、その職務を行うため必要があるときは、会計監査人に対して、その監査に関する報告を求めることができる。
(会計監査人のある場合の計算書類等の監査)
第九十三条 会計監査人存置会社の取締役は、定時社員総会の会日の八週間前までに、第八十五条第一項各号に掲げる書類を監査役及び会計監査人に提出しなければならない。
2 前項の取締役は、同項の書類を提出した日から三週間以内に、その附属明細書を監査役及び会計監査人に提出しなければならない。
3 会計監査人は、第一項の書類を受領した日から四週間以内に、監査報告書を監査役及び取締役に提出しなければならない。
4 前項の監査報告書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。ただし、第六号及び第八号に掲げる事項については、会計に関する部分に限る。
一 監査の方法の概要
二 会計帳簿に記載すべき事項について記載がなく、若しくは不実の記載があるとき、又は貸借対照表若しくは損益計算書の記載が会計帳簿の記載と合致しないときは、その旨
三 貸借対照表及び損益計算書が法令及び定款に従い特定目的会社の財産及び損益の状況を正しく示したものであるときは、その旨
四 貸借対照表又は損益計算書が法令又は定款に違反し特定目的会社の財産及び損益の状況を正しく示していないものであるときは、その旨及びその内容
五 貸借対照表又は損益計算書の作成に関する会計の方針の変更があるときは、その当否及びその理由
六 営業報告書が法令及び定款に従い特定目的会社の状況を正しく示したものかどうかの判定
七 利益の処分又は損失の処理に関する議案が法令及び定款に適合するかどうかの判定
八 第八十五条第一項の附属明細書に記載すべき事項について、記載がなく、又は不実の記載若しくは会計帳簿、貸借対照表、損益計算書若しくは営業報告書の記載と合致しない記載があるときは、その旨
九 監査のために必要な調査をすることができなかったときは、その旨及びその理由
5 監査役は、会計監査人に対して、第三項の監査報告書について説明を求めることができる。
6 監査役は、第三項の監査報告書を受領した日から一週間以内に、監査報告書を取締役に提出し、かつ、その謄本を会計監査人に送付しなければならない。
7 前項の監査報告書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 会計監査人の監査の方法又は結果を相当でないと認めたときは、その旨及びその理由並びに監査役の監査の方法の概要又は結果
二 会計以外の業務の監査の方法の概要
三 第四項第六号、第八号及び第九号に掲げる事項(同項第六号及び第八号に掲げる事項については、会計に関する部分以外の部分に限る。)
四 利益の処分又は損失の処理に関する議案が特定目的会社の財産の状況その他の事情に照らして著しく不当であるときは、その旨
五 取締役の職務遂行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があったときは、その事実
8 第三項及び第六項の監査報告書の記載方法は、総理府令・大蔵省令で定める。
9 商法第二百三十八条(検査役の選任)の規定は、会計監査人の監査報告書について準用する。この場合において、同条中「総会」とあるのは、「社員総会」と読み替えるものとする。
(計算書類及び監査報告書の公示)
第九十四条 会計監査人存置会社の取締役は、定時社員総会の会日の二週間前から、第八十五条第一項の書類並びに前条第三項及び第六項の監査報告書を五年間本店に、これらの書類の謄本を三年間支店に備え置かなければならない。
2 商法第二百八十二条第二項(計算書類等の閲覧権)の規定は、前項に規定する書類について準用する。この場合において、同条第二項中「株主」とあるのは、「社員」と読み替えるものとする。
(定時社員総会における貸借対照表及び損益計算書の取扱い等)
第九十五条 会計監査人存置会社の取締役は、第八十五条第一項各号に掲げる書類を定時社員総会に提出して、同項第三号に掲げる書類にあってはその内容を報告し、同項第一号、第二号及び第四号に掲げる書類にあってはその承認を求めなければならない。
2 前項の定時社員総会を第五十二条第一項又は第五十三条第一項の規定により招集する場合には、その招集の通知には、第八十五条第一項各号に掲げる書類並びに第九十三条第三項及び第六項の監査報告書の謄本を添付しなければならない。ただし、前項の承認につき議決権を有しない者に対し第五十三条第一項の規定により招集の通知が発せられる場合における当該招集の通知については、この限りでない。
3 会計監査人存置会社の取締役は、各会計監査人の監査報告書に第九十三条第四項第三号に掲げる事項の記載があり、かつ、各監査役の監査報告書にその事項についての会計監査人の監査の結果を相当でないと認めた旨の記載がないときは、第一項の規定にかかわらず、第八十五条第一項第一号及び第二号に掲げる書類について定時社員総会の承認を求めることを要しない。この場合においては、当該取締役は、定時社員総会にこれらの書類を提出し、その内容について報告しなければならない。
4 会計監査人存置会社の取締役は、第一項の承認を得、又は前項後段の報告をしたときは、遅滞なく、第八十五条第一項第一号及び第二号に掲げる書類又はその要旨を公告しなければならない。
5 前項の要旨の記載方法は、総理府令・大蔵省令で定める。
(会計監査人についての商法特例法の準用)
第九十六条 商法特例法第六条の三(会計監査人の選任等についての意見陳述)、第九条から第十一条まで(会計監査人の損害賠償責任及び取締役等との連帯責任)及び第十七条(定時総会における会計監査人の意見陳述)の規定は、特定目的会社の会計監査人について準用する。この場合において、商法特例法第六条の三中「株主総会」とあるのは「社員総会」と、商法特例法第十条中「第十三条第一項」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第九十三条第三項」と、商法特例法第十七条中「第二条」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第八十五条第一項」と、「監査役会又は監査役」とあるのは「監査役」と、「定時総会」とあるのは「定時社員総会」と読み替えるものとする。
(会計監査人による監査を要しない場合の計算書類等の監査)
第九十七条 会計監査人存置会社以外の特定目的会社の取締役は、定時社員総会の会日の七週間前までに、第八十五条第一項各号に掲げる書類を監査役に提出しなければならない。
2 前項の取締役は、同項の書類を提出した日から三週間以内に、その附属明細書を監査役に提出しなければならない。
3 監査役は、第一項の書類を受領した日から四週間以内に、監査報告書を取締役に提出しなければならない。
4 前項の監査報告書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 第九十三条第四項各号に掲げる事項
二 第九十三条第七項第四号及び第五号に掲げる事項
(計算書類及び監査報告書の公示)
第九十八条 第九十四条の規定は、会計監査人存置会社以外の特定目的会社に係る第八十五条第一項の書類及び前条第三項の監査報告書について準用する。
(計算書類の報告、承認等)
第九十九条 会計監査人存置会社以外の特定目的会社の取締役は、第八十五条第一項各号に掲げる書類を定時社員総会に提出して、同項第三号に掲げる書類にあってはその内容を報告し、同項第一号、第二号及び第四号に掲げる書類にあってはその承認を求めなければならない。
2 前項の定時社員総会を第五十二条第一項又は第五十三条第一項の規定により招集する場合には、その招集の通知には、第八十五条第一項各号に掲げる書類及び第九十七条第三項の監査報告書の謄本を添付しなければならない。ただし、前項の承認につき議決権を有しない者に対し第五十三条第一項の規定により招集の通知が発せられる場合における当該招集の通知については、この限りでない。
3 第一項の取締役は、同項の承認を得た後、遅滞なく、貸借対照表又はその要旨を公告しなければならない。
4 前項の要旨の記載方法は、総理府令・大蔵省令で定める。
(資産評価に関する特則)
第百条 特定目的会社に係る商法第三十四条第二号(固定資産の評価)の規定の適用については、特定目的会社は、同号に規定する会社とみなす。
2 特定目的会社の会計帳簿に記載すべき財産の価額については、前項の規定により適用する商法第三十四条第二号の規定によるほか、同法第二百八十五条ノ二(流動資産の評価)及び第二百八十五条ノ四から第二百八十五条ノ六まで(金銭債権の評価、社債その他の債券の評価及び株式その他の出資の評価)の規定を準用する。
(利益の配当)
第百一条 利益の配当は、貸借対照表上の純資産の額から次に掲げる金額の合計額を控除した残額を限度として、これを行うことができる。
一 資本の総額
二 第三十四条第二項の規定により取得して有する特定持分について貸借対照表の資産の部に計上した金額
2 特定目的会社が前項の規定に違反して配当をしたときは、当該特定目的会社の債権者は、当該特定目的会社の社員から、その配当を受けた金額を当該特定目的会社に対し返還させることができる。
3 利益の配当は、定款に記載した資産流動化計画で定められた優先出資社員に対する優先的配当の規定に従うほか、各社員の有する優先出資又は特定出資の口数に応じて、これを行わなければならない。ただし、特定目的会社の有する自己の優先出資及び特定出資については、利益の配当は、これを行ってはならない。
(中間配当)
第百二条 営業年度を一年とする特定目的会社については、定款をもって、一営業年度につき一回に限り営業年度中の一定の日を定めその日における社員に対し取締役の決定(取締役が数人あるときは、その過半数をもってする決定)により金銭の分配を行うことができる旨を定めることができる。
2 前項の決定は、同項の一定の日から三月以内に行わなければならない。
3 第一項の金銭の分配は、最終の貸借対照表上の純資産の額から次に掲げる金額の合計額を控除した残額を限度として、これを行うことができる。
一 最終の決算期における資本の総額
二 最終の決算期において第三十四条第二項の規定により取得して有する特定持分について貸借対照表の資産の部に計上した金額
三 最終の決算期に関する定時社員総会において利益から配当し、又は支払うものと定めた金額
4 取締役は、特定目的会社の営業年度の終了の時において貸借対照表上の純資産の額が前条第一項各号の金額の合計額を下回るおそれがあると認めるときは、当該営業年度において第一項の金銭の分配を決定してはならない。
5 特定目的会社の営業年度の終了の時において、前項の純資産の額が、同項の合計額から第三十四条第二項の規定により取得して有する特定持分の時価の合計額を控除した額を下回った場合には、当該営業年度において第一項の金銭の分配を決定した取締役は、当該特定目的会社に対して連帯して、その差額(当該差額がその分配をした金銭の額を超えるときは、その分配をした金銭の額)について賠償の責任を負う。ただし、当該取締役が前項に規定するおそれがないものと認めたことについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
6 第一項の金銭の分配は、これを利益の配当とみなして、第三十一条第三項、第四十九条において準用する商法第二百九条第一項、第六十条及び前条第三項の規定を適用する。
7 第七十三条第二項の規定は第五項の金銭の分配をすることにつき同意した取締役について、同条第三項の規定は当該取締役及び第五項の取締役の責任について、前条第二項の規定は第三項の規定に違反して金銭の分配を行った場合について、それぞれ準用する。
(会社の配当する利益又は利息の支払に関する法律の適用)
第百三条 特定目的会社のその社員(特定持分又は優先出資の質権者を含む。)に配当する利益又は前条第一項の規定により分配する金銭は、これを会社がその株主(株式の質権者を含む。)に配当する利益又は商法第二百九十三条ノ五第一項の規定により分配する金銭とみなして、会社の配当する利益又は利息の支払に関する法律(昭和二十三年法律第六十四号)の規定を適用する。
(社員の帳簿閲覧権)
第百四条 特定目的会社の特定資本の十分の一以上に当たる特定出資口数を有する特定社員又は発行済優先出資の総口数の百分の三以上に当たる優先出資を有する優先出資社員は、当該特定目的会社の会計の帳簿及び書類の閲覧又は謄写を求めることができる。
2 前項の請求は、理由を付した書面をもって行わなければならない。
3 商法第二百九十三条ノ七(閲覧請求を拒むことができる場合)の規定は、第一項に規定する社員から同項の請求があった場合について準用する。この場合において、同条第一号中「株主」とあるのは「社員」と、同条第二号中「会社ト競業ヲ為ス者」とあるのは「特定目的会社ト競業ヲ為ス者」と、「会社ト競業ヲ為ス会社ノ社員、株主若ハ取締役」とあるのは「特定目的会社ト競業ヲ為ス他ノ特定目的会社若ハ会社ノ社員、株主若ハ取締役」と、「会社ノ株式」とあるのは「特定目的会社ノ特定持分若ハ優先出資」と、同条第三号中「其ノ会社若ハ他ノ会社」とあるのは「其ノ特定目的会社若ハ他ノ特定目的会社若ハ会社」と読み替えるものとする。
(特定目的会社の業務及び財産状況の検査)
第百五条 特定目的会社の業務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを疑うべき事由があるときは、特定資本の十分の一以上に当たる特定出資口数を有する特定社員又は発行済優先出資の総口数の十分の一以上に当たる優先出資を有する優先出資社員は、当該特定目的会社の業務及び財産の状況を調査させるため、裁判所に検査役の選任を請求することができる。
2 商法第二百三十七条ノ二第二項及び第三項(総会検査役の報告及び総会招集命令)の規定は、それぞれ前項の規定により選任された検査役及びその報告があった場合について準用する。この場合において、同条第三項中「株主総会」とあり、並びに同項において準用する同法第百八十一条第三項及び第百八十四条第二項中「創立総会」とあるのは、「社員総会」と読み替えるものとする。
3 前項の規定により読み替えて準用する商法第二百三十七条ノ二第三項並びに同項において準用する商法第百八十一条第三項及び第百八十四条第二項に規定する社員総会は、第二種特定目的会社にあっては、有議決権事項をその会議の目的とする社員総会とみなす。
(社員の権利の行使に関する利益供与)
第百六条 特定目的会社は、何人に対しても、社員の権利の行使に関し、財産上の利益を供与してはならない。
2 商法第二百九十四条ノ二第二項の規定は、特定目的会社について準用する。この場合において、同項中「株主」とあるのは、「社員」と読み替えるものとする。
3 特定目的会社が第一項の規定に違反して財産上の利益を供与したときは、当該利益の供与を受けた者は、これを当該特定目的会社に返還しなければならない。この場合において、当該利益を受けた者は、当該特定目的会社に対して当該利益と引換えに給付をしたものがあるときは、その返還を受けることができる。
4 第七十五条の規定は、前項の規定による利益の返還を求める訴えについて準用する。
(計算に関する商法の準用)
第百七条 商法第二百八十六条(創立費の繰延べ)、第二百八十六条ノ四から第二百八十七条ノ二まで(新株発行費用の繰延べ、社債発行費用の繰延べ、社債差額の繰延べ及び引当金)及び第二百九十五条(会社使用人の先取特権)の規定は、特定目的会社について準用する。この場合において、同法第二百八十六条中「第百六十八条第一項第七号及第八号」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第十八条第三項第四号及第五号」と、「同号但書ノ」とあるのは「同号ニ定ムル」と、「会社成立ノ後、若シ開業前ニ利息ヲ配当スベキコトヲ定メタルトキハ其ノ配当ヲ止メタル後」とあるのは「特定目的会社ノ成立後」と、同法第二百八十六条ノ四中「新株」とあるのは「優先出資」と、同法第二百八十六条ノ五中「社債」とあるのは「特定社債」と、同法第二百八十七条中「社債」及び「社債権者」とあるのはそれぞれ「特定社債」及び「特定社債権者」と読み替えるものとする。
第六節 特定社債
(募集の決定)
第百八条 特定目的会社は、定款に記載した資産流動化計画の定めるところに従い、取締役の決定(取締役が数人あるときは、その過半数をもってする決定)により、特定社債を募集することができる。
(特定社債管理会社の設置)
第百九条 特定目的会社は、特定社債を募集する場合には、特定社債管理会社を定め、特定社債権者のために、弁済の受領、債権の保全その他の特定社債の管理を行うことを委託しなければならない。ただし、その募集に係る各特定社債の金額が一億円以上である場合については、この限りでない。
(公募発行の方法)
第百十条 特定社債の募集に応じようとする者は、特定社債申込証に引き受けようとする特定社債の数及び住所を記載し、これに署名しなければならない。
2 取締役は、次に掲げる事項を記載した特定社債申込証を作成しなければならない。
一 特定目的会社の商号並びに第三条の登録の年月日(第十一条第一項の変更登録を受けた場合には、当該変更登録の年月日)及び登録番号並びに特定社債管理会社の商号
二 申込みの対象が特定社債であること。
三 特定社債に係る特定資産の種類
四 特定社債の総額
五 各特定社債の金額
六 特定社債の利率
七 特定社債の償還の方法及び期限
八 利息支払の方法及び期限
九 数回に分けて特定社債の払込みを行わせるときは、その払込みの金額及び時期
十 特定社債の発行の価額又はその最低価額
十一 第百十三条第一項において準用する商法第三百八条に規定する別段の定めがあるときは、その規定
十二 定款に記載した資産流動化計画に定められた特定資産を特定するに足りる事項、当該特定資産の上に存在する特定目的会社に対抗し得る権利その他当該特定資産の価格を知るために必要な事項の概要
十三 特定目的会社以外の者であって政令で定めるものが前号の特定資産の価格につき調査した結果(当該特定資産が不動産であるときは、不動産鑑定士による鑑定評価を踏まえて調査したものに限る。)
十四 特定社債の応募額が総額に達しない場合においてその残額を引き受けることを約した者があるときは、その氏名又は名称
十五 定款に記載した資産流動化計画に他の特定社債の発行についての定めがあるときは、当該他の特定社債の第四号から第十号までに掲げる事項及びその発行状況
十六 定款に記載した資産流動化計画に特定約束手形の発行についての定めがあるときは、当該特定約束手形の限度額その他の総理府令・大蔵省令で定める事項及びその発行状況
十七 名義書換代理人を置いたときは、その名称及び住所並びに営業所
3 特定目的会社は、前項第十四号に掲げる事項の記載がない場合において、特定社債の応募額が特定社債申込証に記載した特定社債の総額に達しないときは、当該特定社債を発行してはならない。
4 商法第三百一条第四項(応募価額の記載)の規定は、特定社債の発行の最低価額を定めた場合について準用する。この場合において、同項中「社債申込証」とあるのは、「特定社債申込証」と読み替えるものとする。
5 取締役は、特定社債の応募者から定款に記載した資産流動化計画の閲覧又は当該資産流動化計画の謄本若しくは抄本の交付の求めがあったときは、これに応じなければならない。
(特定社債管理会社の権限等)
第百十一条 特定社債管理会社は、特定社債権者のために特定社債に係る債権の弁済を受け、又は特定社債に係る債権の実現を保全するために必要な一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
2 特定社債管理会社は、前項の弁済を受けたときは、遅滞なく、その旨を公告し、かつ、知れている特定社債権者にはその旨を各別に通知しなければならない。
3 前項の場合において、特定社債権者は、特定社債券と引換えに特定社債の償還額の支払を、利札と引換えに利息の支払を請求することができる。
4 特定社債管理会社は、特定社債権者集会の決議によらなければ、次に掲げる行為をしてはならない。
一 総特定社債についてするその支払の猶予、その債務の不履行によって生じた責任の免除又は和解
二 総特定社債についてする訴訟行為又は破産手続、和議手続若しくは特別清算に関する手続に属する一切の行為(第一項に規定するものを除く。)
5 第二項の規定は、特定社債管理会社が前項各号に掲げる行為をした場合について準用する。
6 特定社債管理会社は、その管理の委託を受けた特定社債につき第一項に規定する行為又は第四項各号に掲げる行為をするために必要があるときは、当該特定社債を発行した特定目的会社の業務及び財産の状況を調査することができる。
7 商法第二百九十七条ノ二(社債管理会社の資格)、第二百九十七条ノ三(社債管理会社の義務)及び第三百九条ノ四から第三百十四条まで(特別代理人の選任、行為の方式、二以上の社債管理会社がある場合の特則、責任、辞任、解任及び事務承継者を定める義務等)の規定は、特定社債管理会社について準用する。この場合において、これらの規定中「社債」、「社債権者」及び「社債権者集会」とあるのは、それぞれ「特定社債」、「特定社債権者」及び「特定社債権者集会」と読み替えるものとする。
(一般担保)
第百十二条 特定目的会社の特定社債権者は、当該特定目的会社の財産について他の債権者に先立って自己の特定社債に係る債権の弁済を受ける権利を有する。
2 前項の先取特権の順位は、民法の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
(特定社債に関する商法の準用等)
第百十三条 商法第二百三条(株式の共有)の規定は特定社債が二以上の者の共有に属する場合について、同法第二百二十四条第一項及び第二項(株主名簿の効力)の規定は特定社債の応募者又は特定社債権者に対する通知及び催告について、同法第二百九十八条から第三百条まで(既存社債に未払込みがある場合の制限、各社債の金額及び割増償還の制限)、第三百二条(総額引受けの方法)、第三百三条(社債の払込み)、第三百六条から第三百八条まで(債券の発行、記名社債の移転及び記名式と無記名式との間の転換)、第三百十五条から第三百十七条まで(利札が欠けた場合の特則、社債元利金請求権の時効及び社債原簿の記載事項)及び第三百十九条から第三百四十一条まで(社債権者集会)並びに商法中改正法律施行法(昭和十三年法律第七十三号)第六十一条(社債権者集会に関する公告の方法)の規定は特定目的会社が特定社債を発行する場合又はその場合における特定社債、特定社債権者、特定社債券、特定社債管理会社、特定社債原簿若しくは特定社債権者集会について、民法第三百六十五条(記名社債質の対抗要件)の規定は記名の特定社債について、それぞれ準用する。この場合において、商法第二百三条第二項及び第三項中「株主」とあるのは「特定社債権者」と、同法第二百二十四条第一項中「株主名簿」とあるのは「特定社債原簿」と、同法第三百二条中「前条」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第百十条」と、同法第三百六条第二項中「第三百一条第二項第一号乃至第六号、第九号及第十号」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第百十条第二項第一号、第三号乃至第八号及第十一号」と、同法第三百十七条第三号中「第三百一条第二項第一号乃至第七号及第九号」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第百十条第二項第一号及第三号乃至第九号」と読み替えるものとする。
2 特定目的会社が発行する特定社債は、社債等登録法(昭和十七年法律第十一号)その他の政令で定める法令の適用については、政令で定めるところにより、商法第二編第四章第五節の規定により発行される社債とみなす。
第七節 定款の変更
(定款変更の方法及び決議方法)
第百十四条 定款の変更は、社員総会の決議によらなければすることができない。ただし、資産流動化計画に係る第九条第二項第一号に規定する軽微な内容の変更については、この限りでない。
2 前項の決議は、総特定社員の過半数であって総特定社員の議決権の四分の三以上に当たる多数をもって行わなければならない。この場合において、議決権を行使することのできない特定社員はこれを総特定社員の数に、その行使することのできない議決権はこれを議決権の数に、それぞれ算入しない。
(定款変更の制限)
第百十五条 前条第一項の規定による定款の変更のうち、次の各号に掲げる事項に係る定款の変更は、当該各号に定める場合を除き、することができない。
一 第十八条第二項第六号に掲げる資産流動化計画 次に掲げる場合
イ 第九条第二項の規定により変更をする場合
ロ 当該資産流動化計画に基づく業務が終了した後他の資産流動化計画に基づく業務を行うために変更をする場合
二 第十八条第二項第九号に掲げる事項 同項第六号に掲げる資産流動化計画の変更と同時に変更をする場合
2 前項の規定による同項の資産流動化計画に係る定款の変更(同項第一号ロに掲げる場合においてするものに限る。)は、特定目的会社の最終の貸借対照表上の純資産の額が特定資本の額に満たないときは、これをすることができない。
(特定資本の増加)
第百十六条 次に掲げる事項は、定款に別段の定めがないときでも、特定資本の増加に係る社員総会の決議において、定めることができる。
一 現物出資を行う者の氏名又は名称、出資の目的たる財産、その価格及びこれに対して与える特定出資の口数
二 特定資本の増加後に譲り受けることを約した財産、その価格及び譲渡人の氏名又は名称
三 増加する特定資本につき特定出資の引受けをする権利を与えるべき者及びその権利の内容
2 特定社員は、前項の決議において同項第三号に掲げる事項を定めた場合を除き、増加する特定資本につき、その持分に応じて出資の引受けをする権利を有する。
3 有限会社法第五十二条(出資引受けの方法)及び第五十二条ノ二(出資引受人の権利)の規定は特定資本の増加の場合における特定出資の引受けについて、同法第五十二条ノ三(現物出資の検査)の規定は特定資本の増加の場合の現物出資の検査について、同法第五十三条(資本増加の登記)及び第五十三条ノ二(資本増加の効力発生)の規定は特定資本の増加の登記について、同法第五十四条(社員等の財産価格てん補責任)及び第五十五条(取締役の引受担保責任及び払込担保責任)の規定は特定資本の増加の場合の特定社員及び取締役の責任について、同法第五十六条(資本増加無効の訴え)の規定は特定資本の増加の無効の訴えについて、同法第十二条(出資の払込み及び給付並びに払込取扱機関の証明)の規定並びに第二十七条第二項及び第六十一条第一項の規定は特定資本の増加の場合について、それぞれ準用する。この場合において、同法第五十二条ノ二中「社員」とあるのは「特定社員」と、同法第五十二条ノ三第一項中「第四十九条第一号」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第百十六条第一項第一号」と、「出資総口数」とあるのは「特定出資総口数」と、「資本」とあるのは「特定資本」と、同条第二項において準用する商法第二百八十条ノ八第二項中「第百七十三条第二項後段及第三項」とあるのは「第百七十三条第三項」と、「前項本文」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第百十六条第三項ニ於テ準用スル有限会社法第五十二条ノ三第一項本文」と、同条第三項及び第五項中「第一項」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第百十六条第三項ニ於テ準用スル有限会社法第五十二条ノ三第一項」と、有限会社法第五十三条中「出資全額」とあるのは「特定出資全額」と、同法第五十四条第一項及び第二項中「第四十九条第一号又ハ第二号」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第百十六条第一項第一号又ハ第二号」と、「総会」とあるのは「社員総会」と、同条第三項中「第三十条ノ二第二項」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第七十三条第二項」と、同条第四項中「第四十九条第一号」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第百十六条第一項第一号」と、同条第五項中「第十六条」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第七十三条第三項」と、同法第五十五条第一項中「出資」とあるのは「特定出資」と、同条第二項中「出資全額」とあるのは「特定出資全額」と、「未済ナル出資」とあるのは「未済ナル特定出資」と、同条第三項中「第十六条」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第七十三条第三項」と、同法第五十六条第二項中「社員」とあるのは「特定社員若ハ優先出資社員」と、同法第十二条第一項中「社員」とあるのは「特定社員」と、「出資全額」とあるのは「特定出資全額」と読み替えるものとする。
(優先出資社員の議決権)
第百十七条 第二種特定目的会社の定款の変更が優先出資社員に損害を及ぼすおそれがあるときは、当該定款の変更は、第百十四条の規定による決議のほか、当該優先出資社員を構成員とする総会(当該定款の変更が損害を及ぼすおそれのある優先出資社員に係る優先出資の種類が二以上ある場合には、当該二以上の種類別に区分された優先出資に係る優先出資社員を構成員とする各総会)の承認を受けなければならない。
2 前項の規定による承認の決議は、同項の定款の変更が損害を及ぼすおそれのある優先出資社員に係る発行済優先出資の総口数(当該決議が二以上の種類別に区分された優先出資に係る優先出資社員を構成員とする各総会において行われる場合には、当該種類別の各総会の構成員たる優先出資社員に係る発行済優先出資の口数)の過半数に当たる優先出資を有する優先出資社員が出席し、かつ、その議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行わなければならない。
3 有議決権事項を会議の目的とする社員総会に関する規定は、第一項の総会について準用する。
4 第一項に規定する定款の変更に関する議案の要領は、前項において準用する第五十三条第一項の規定による招集の通知に記載しなければならない。
(特定資本の減少)
第百十八条 特定資本の減少は、資本の欠損の補てんのためにするものであって、出資金額の払戻しを伴わない特定出資一口の金額の減少の方法又は特定出資の併合の方法による場合に限り、これを行うことができる。ただし、優先出資を発行する特定目的会社にあっては、特定出資一口の金額の減少は、当該優先出資の消却の後でなければ、これを行うことができない。
2 特定出資の併合により一口に満たない端数が生ずるときは、特定目的会社は、その生じた端数に係る部分につき新たに発行した特定出資を競売し、又は裁判所の許可を得て競売以外の方法により売却し、かつ、その端数に応じてその競売又は売却により得られた代金を当該特定出資に係る併合前の特定社員に交付しなければならない。
3 商法第三百七十六条第二項及び第三項(債権者の異議)の規定は特定目的会社の特定資本の減少の場合について、同法第三百八十条(資本減少無効の訴え)の規定は特定資本の減少の無効の訴えについて、それぞれ準用する。この場合において、同項中「社債権者」及び「社債権者集会」とあるのはそれぞれ「特定社債権者」及び「特定社債権者集会」と、同条第二項及び同条第三項において準用する同法第二百四十九条第一項中「株主」とあるのは「社員」と読み替えるものとする。
第八節 資産流動化計画の終了に伴う仮清算
(貸借対照表の作成等)
第百十九条 特定目的会社(その定款に資産流動化計画に基づく業務が終了した後他の資産流動化計画に基づく業務を行う旨の定めのない第一種特定目的会社及びその資産流動化計画に優先出資の消却を行う旨の定めのない第二種特定目的会社を除く。)の取締役は、資産流動化計画の定めによる特定資産の管理及び処分が終了し、かつ、特定社債又は特定約束手形を発行している場合においてはその償還及び支払を完了したときは、第一種特定目的会社にあっては遅滞なく、第二種特定目的会社にあっては資産流動化計画の定めにより優先出資を消却する前に、当該特定目的会社の貸借対照表を作成し、社員総会の承認を受けなければならない。
2 第八十五条から第九十四条まで、第九十五条第一項、第二項、第四項及び第五項並びに第九十六条から第九十九条までの規定(貸借対照表に係る部分に限る。)は、前項の貸借対照表について準用する。
3 第一項の規定により貸借対照表を作成した第二種特定目的会社の当該貸借対照表上の純資産の額が、同項の資産流動化計画の定めるところに従った優先出資の消却を行うために必要となる金額に満たない場合には、優先出資社員は、当該貸借対照表の承認について、議決権を有する。
4 前項の場合において、同項の貸借対照表について承認の決議があったときは、解散の決議があったものとみなす。
(優先出資の消却)
第百二十条 商法第二百十五条第一項及び第二項(株式併合の手続)の規定は、第二種特定目的会社が前条第一項の承認を受けて行う優先出資の消却について準用する。この場合において、同法第二百十五条第一項中「株券及端株券」とあるのは「優先出資証券」と、「提出スベキ旨並ニ前条第二項ノ規定ニ依ル定アルトキハ其ノ内容」とあるのは「提出スベキ旨」と、「株主及株主名簿」とあるのは「優先出資社員及優先出資社員名簿」と読み替えるものとする。
第九節 解散
(解散の原因)
第百二十一条 特定目的会社は、次に掲げる事由によって、解散する。
一 定款で定めた存立の時期の満了又は定款で定めた解散の事由の発生
二 破産
三 解散を命じる裁判
四 登録の取消し
五 社員総会の決議
六 資産流動化計画に記載する特定資産又は資産対応証券の譲受け又は発行の不能
七 その他政令で定める事由の発生
(解散の決議)
第百二十二条 優先出資社員は、前条第五号に掲げる解散の決議について、議決権を有する。
2 前条第五号の決議は、第一種特定目的会社にあっては第百十四条第二項の規定、第二種特定目的会社にあっては第六十七条第三項の規定に定めるところにより行わなければならない。
3 前項の決議は、特定目的会社の資産流動化計画の定めによる特定社債の償還及び特定約束手形の支払が完了した後でなければ、行うことができない。
(解散判決)
第百二十三条 次に掲げる場合においてやむを得ない事由があるときは、特定資本の十分の一以上に当たる特定出資口数を有する特定社員又は発行済優先出資の総口数の十分の一以上に当たる優先出資を有する優先出資社員は、特定目的会社の解散を裁判所に請求することができる。
一 特定目的会社がその業務の遂行上著しい難局にほう着し、当該特定目的会社に回復することのできない損害を生じ、又は生ずるおそれがあるとき。
二 特定目的会社の財産の管理又は処分が著しく失当で、当該特定目的会社の存立を危うくするとき。
2 商法第八十八条(管轄裁判所)及び第百九条第二項(敗訴原告の賠償責任)の規定は、前項の規定による訴えについて準用する。
(商法の準用)
第百二十四条 商法第九十六条(解散の登記)及び第四百七条(解散の公示)の規定は、特定目的会社の解散について準用する。この場合において、同条中「株主」とあるのは、「社員」と読み替えるものとする。
第十節 清算
第一款 総則
(清算人の決定)
第百二十五条 特定目的会社が解散したときは、第百二十一条第二号から第四号までに掲げる事由による場合を除き、取締役が当該特定目的会社の清算人となる。ただし、定款に別段の定めがあるとき、又は社員総会において他の者を清算人に選任したときは、この限りでない。
2 優先出資社員は、前項ただし書の清算人の選任について、議決権を有する。
3 第一項の規定により清算人となる者がいないときは、裁判所は、利害関係人の請求により清算人を選任する。
4 特定目的会社が第百二十一条第三号に掲げる事由により解散したときは、裁判所は、利害関係人若しくは法務大臣の請求により、又は職権をもって清算人を選任する。
5 特定目的会社が第百二十一条第四号に掲げる事由により解散したときは、裁判所は、利害関係人若しくは内閣総理大臣の請求により、又は職権をもって清算人を選任する。
(財産調査報告義務)
第百二十六条 清算人は、就職の後遅滞なく、特定目的会社の財産の現況を調査し、財産目録及び貸借対照表を作成し、これらを社員総会に提出して、その承認を求めなければならない。
2 優先出資社員は、前項の財産目録及び貸借対照表の承認について、議決権を有する。
3 清算人は、第一項の承認を得た後遅滞なく、同項の財産目録及び貸借対照表を裁判所に提出しなければならない。
(計算書類の作成と監査)
第百二十七条 清算人は、定時社員総会の会日から五週間前に貸借対照表及び事務報告書を、当該会日の三週間前にこれらの附属明細書を、監査役に提出しなければならない。
2 商法第四百二十条第二項から第五項まで(計算書類の監査)の規定は、前項の書類の提出があったときにおける監査役及び清算人について準用する。この場合において、同条第二項及び第三項中「定時総会」とあるのは「定時社員総会」と、同条第四項において準用する同法第二百八十二条第二項中「株主」とあるのは「社員」と、商法第四百二十条第五項中「定時総会」とあるのは「定時社員総会」と読み替えるものとする。
3 優先出資社員は、前項において読み替えて準用する商法第四百二十条第五項の規定による貸借対照表及び事務報告書の承認について、議決権を有する。
(残余財産の分配)
第百二十八条 残余財産は、定款に記載した資産流動化計画で定められた優先出資社員に対する残余財産の優先的分配の規定に従い特定社員に先立って優先出資社員に対し分配するものを除くほか、各社員の有する優先出資又は特定出資の口数に応じて、これを社員に分配しなければならない。
(清算人の解任)
第百二十九条 清算人は、裁判所によって選任されたものを除き、いつでも社員総会の決議をもって解任することができる。
2 優先出資社員は、前項の規定による清算人の解任について、議決権を有する。
3 第百二十五条第五項の規定により選任された清算人については、裁判所は、利害関係人若しくは内閣総理大臣の請求により、又は職権をもって解任することができる。
4 裁判所は、重要な事由があるときは、特定資本の十分の一以上に当たる特定出資口数を有する特定社員又は発行済優先出資の総口数の百分の三以上に当たる優先出資を有する優先出資社員の請求により、清算人を解任することができる。
(特定目的会社の清算等に関する商法等の準用)
第百三十条 商法第四百十八条(清算人の届出義務)、第四百二十一条から第四百二十四条まで(債権者に対する催告、債権申出期間内の弁済及び除斥された債権者に対する弁済)、第四百二十七条(清算の終了)及び第四百二十九条(書類の保存)の規定は特定目的会社の清算の場合について、同法第四百二十八条(設立無効の訴え)の規定は特定目的会社の設立の無効の訴えについて、同法第百十六条(清算中の会社)、第百二十三条から第百二十五条まで(清算人の登記、清算人の職務及び権限並びに債務の弁済)、第百二十九条第二項及び第三項(清算人の会社代表)、第百三十一条(残余財産の分配)並びに第百三十四条(清算結了の登記)の規定は特定目的会社について、第五十一条第三項及び第四項、第五十四条、第五十六条、第六十六条、第六十八条から第七十条まで、第七十二条から第七十七条まで、第八十条から第八十二条まで、第九十九条第三項並びに第百四条の規定並びに同法第二百三十七条ノ三(取締役等の説明義務)、第二百三十八条(検査役の選任)、第二百四十四条第二項から第四項まで(総会議事録の作成及び公示)、第二百四十七条(決議取消しの訴え)、第二百四十九条(担保の提供)、第二百五十四条第三項(会社との関係)、第二百五十四条ノ三(取締役の忠実義務)、第二百五十八条(欠員の場合の措置)、第二百七十一条(職務代行者の権限)、第二百七十四条ノ二(取締役の報告義務)、第二百七十五条(調査及び報告の義務)、第二百七十五条ノ二(監査役の差止請求権)、第二百七十五条ノ四(会社と取締役間の訴えの代表)及び第二百七十八条(取締役との連帯責任)の規定は特定目的会社の清算人について、それぞれ準用する。この場合において、同法第四百二十四条第二項中「株主」とあるのは「社員」と、同法第四百二十七条第一項中「株主総会」とあるのは「社員総会」と、同法第四百二十八条第二項中「株主」とあるのは「社員」と、同法第百二十三条第一項及び第百二十九条第二項中「業務執行社員」とあるのは「取締役」と、同法第百三十四条中「前条」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第百三十条第一項ニ於テ準用スル第四百二十七条」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
2 優先出資社員は、前項において読み替えて準用する商法第四百二十七条第一項の規定による決算報告書の承認について、議決権を有する。
第二款 特別清算
(特別清算の開始及び特別清算に関する商法の準用)
第百三十一条 特定目的会社の清算の遂行に著しい支障を来すべき事情があると認めるときは、裁判所は、当該特定目的会社の債権者、清算人、監査役若しくは社員の申立てにより、又は職権をもって、当該特定目的会社に対し特別清算の開始を命じることができる。特定目的会社に債務超過の疑いがあると認めるときも、同様とする。
2 商法第四百三十一条第二項及び第三項、第四百三十二条から第四百四十四条まで(特別清算の開始、特別清算開始前の処分、登記及び効果、清算人の義務、裁判所による清算人の任免、裁判所の監督のための調査及び処分、債務の弁済、債権者集会並びに監査委員)、第四百四十五条第一項から第三項まで(清算行為に関する特則)並びに第四百四十六条から第四百五十六条まで(競売による財産の換価、協定、検査命令、検査役の報告事項、裁判所の処分、破産手続の開始及び破産法等の規定の準用)の規定は、特定目的会社の特別清算について準用する。この場合において、同法第四百三十一条第二項中「前項」とあり、及び同条第三項中「第一項」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第百三十一条第一項」と、同法第四百三十四条中「株主」とあるのは「社員」と、同法第四百五十二条第一項中「六月前ヨリ引続キ発行済株式ノ総数ノ百分ノ三以上ニ当ル株式ヲ有スル株主」とあるのは「特定資本ノ十分ノ一以上ニ当ル特定出資口数ヲ有スル特定社員若ハ六月前ヨリ引続キ発行済優先出資ノ総口数ノ百分ノ三以上ニ当ル優先出資ヲ有スル優先出資社員」と、同法第四百五十三条第一号中「第百九十二条第一項第二項第四項、第百九十二条ノ二、第百九十三条第一項、第二百六十六条、第二百七十七条、第二百八十条ノ十三、第二百八十条ノ十三ノ二又ハ第四百三十条第二項」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第二十五条ニ於テ準用スル第百九十二条第一項第二項若ハ第四項、第百九十二条ノ二若ハ第百九十三条第一項、同法第四十条第三項ニ於テ準用スル第百九十二条第一項第二項若ハ第四項、同法第七十三条第一項乃至第四項、同法第八十四条第三項ニ於テ準用スル第二百七十七条、同法第百十六条第三項ニ於テ準用スル有限会社法第五十四条若ハ第五十五条又ハ特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第百三十条第一項ニ於テ準用スル同法第七十三条第一項乃至第四項」と、同法第四百五十四条第一項第二号中「株主」とあるのは「優先出資社員」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
第十一節 雑則
(銀行法等の規定の適用)
第百三十二条 特定目的会社並びにその特定出資及び優先出資は、銀行法その他の法令の規定で政令で定めるものの適用については、政令で定めるところにより、それぞれ当該政令で定める法令の規定に規定する会社及びその出資とみなす。
2 次の各号に掲げる金融機関は、当該各号に規定する業務を行う場合には、第十八条第三項第五号、第二十一条第三項において準用する商法第百七十条第二項、第二十五条及び第三十九条第四項において準用する商法第百八十九条、第三十八条第二項第九号、同条第三項、第三十九条第四項において準用する商法第百七十八条、第百十六条第三項において準用する有限会社法第十二条第二項及び同条第三項において準用する商法第百八十九条、第百三十五条第七号、第百三十六条第三号並びに第百三十八条(第百三十五条第七号に係る部分に限る。)の規定の適用については、銀行とみなす。
一 信用金庫又は信用金庫連合会 信用金庫法(昭和二十六年法律第二百三十八号)第五十三条第三項第八号又は第五十四条第四項第八号に掲げる業務
二 労働金庫又は労働金庫連合会 労働金庫法(昭和二十八年法律第二百二十七号)第五十八条第二項第十四号又は第五十八条の二第一項第十二号に掲げる業務
三 信用協同組合又は中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第九条の九第一項第一号の事業を行う協同組合連合会 同法第九条の八第二項第十三号又は第九条の九第五項第一号(同法第九条の八第二項第十三号に係る部分に限る。)に掲げる業務
四 農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第十条第一項第二号の事業を行う農業協同組合又は農業協同組合連合会 同条第六項第九号に掲げる業務
五 水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第十一条第一項第二号、第八十七条第一項第二号、第九十三条第一項第二号又は第九十七条第一項第二号の事業を行う漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合又は水産加工業協同組合連合会 同法第十一条第三項第六号、第八十七条第四項第六号、第九十三条第二項第六号又は第九十七条第三項第六号に掲げる業務
六 農林中央金庫 農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)第十三条第一項第十号に掲げる業務
七 商工組合中央金庫 商工組合中央金庫法(昭和十一年法律第十四号)第二十八条第一項第十三号に掲げる業務
(登記簿)
第百三十三条 登記所に、特定目的会社登記簿を備える。
(商業登記法の準用)
第百三十四条 商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第一条から第五条まで(登記所及び登記官)、第七条から第二十六条まで(登記簿等及び登記手続通則)、第三十四条から第四十二条まで(会社の商号の登記)、第五十二条、第五十三条(会社の支配人の特則)、第五十五条第一項(設立の登記)、第五十六条から第五十九条まで(支店所在地における登記及び本店移転の登記)、第六十一条から第六十三条まで(解散の登記及び清算人の登記)、第六十四条第二項(清算結了の登記)、第七十九条第二項(添付書面の通則)、第八十一条(取締役等の変更の登記)、第八十八条(名義書換代理人等の設置による変更の登記)、第九十四条(添付書面の通則)及び第百七条から第百二十条まで(登記の更正及び抹消、電子情報処理組織による登記に関する特則並びに雑則)の規定は、特定目的会社に関する登記について準用する。この場合において、同法第五十六条第三項中「商法第六十四条第一項」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第二十四条第二項又は第四十条第一項」と、同法第六十一条第三項中「商法第百二十九条第二項」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第百三十条第一項において準用する商法第百二十九条第二項」と、同法第六十二条第一項中「業務執行社員」とあるのは「取締役」と、同条第二項中「商法第百二十三条第一項第二号及び第三号」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第百三十条第一項において準用する商法第百二十三条第一項第二号及び第三号」と、同法第六十三条第二項中「商法第百二十三条第一項第二号又は第三号」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第百三十条第一項において準用する商法第百二十三条第一項第二号又は第三号」と、同法第六十四条第二項中「商法第百三十四条」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第百三十条第一項において準用する商法第百三十四条」と読み替えるものとする。
(設立の登記の添付書面)
第百三十五条 設立の登記の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
一 定款
二 特定出資の引受けを証する書面
三 取締役及び監査役又は検査役の調査報告書及び第二十二条第二項において準用する商法第百七十三条第三項前段の弁護士の証明書並びにこれらの附属書類
四 検査役の報告に関する裁判があったときは、その謄本
五 取締役及び監査役の選任に関する書類
六 取締役及び監査役が就任を承諾したことを証する書面
七 特定出資の払込みを取り扱った銀行又は信託会社の払込金の保管に関する証明書
(優先出資の発行の登記)
第百三十六条 優先出資の発行の登記の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
一 優先出資の申込み及び引受けを証する書面
二 名義書換代理人又は登録機関を置いたときは、定款及びこれらの者との契約を証する書面
三 優先出資の払込みを取り扱った銀行又は信託会社の払込金の保管に関する証明書
(優先出資の消却による変更の登記)
第百三十七条 優先出資の消却による変更の登記の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
一 定款並びに特定社債の償還及び特定約束手形の支払を証する書面
二 第百二十条において準用する商法第二百十五条第一項の規定による公告をしたことを証する書面
(特定資本の増加による変更の登記)
第百三十八条 特定資本の増加による変更の登記の申請書には、第百三十五条第二号から第四号まで及び第七号に掲げる書類を添付しなければならない。
(特定資本の減少による変更の登記)
第百三十九条 特定資本の減少による変更の登記の申請書には、第百十八条第三項において準用する商法第三百七十六条第二項において準用する商法第百条第一項の規定による公告及び催告をしたこと並びに異議を述べた債権者があるときは、その者に対し弁済し、若しくは担保を供し、若しくは信託したこと又は特定資本の減少をしてもその者を害するおそれがないことを証する書面を添付しなければならない。
(非訟事件手続法の準用)
第百四十条 非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第百二十六条第一項、第百二十七条から第百三十二条ノ五まで、第百三十二条ノ七、第百三十三条ノ二から第百三十五条ノ六まで(会社及び競売に関する事件)、第百三十五条ノ十五から第百三十五条ノ二十一まで、第百三十五条ノ二十三(社債に関する事件)、第百三十六条前段、第百三十六条ノ二、第百三十七条前段、第百三十七条ノ二、第百三十八条、第百三十八条ノ三から第百三十八条ノ十五まで(会社の清算に関する事件)、第百三十九条(第二号及び第三号を除く。)(登記の嘱託をなすべき場合)及び第百四十条(裁判の謄本の添付)の規定は、特定目的会社について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
(商法中改正法律施行法等の準用)
第百四十一条 商法中改正法律施行法第五条(市の意義)の規定は、特定目的会社について準用する。
2 商法中署名すべき場合に関する法律(明治三十三年法律第十七号)の規定は、特定目的会社について準用する。
第四章 業務
(他業禁止)
第百四十二条 特定目的会社は、第三条の登録に係る資産流動化計画に従って営む特定資産の流動化に係る業務及びその附帯業務(対価を得て、当該資産流動化計画に記載された特定資産以外の資産の譲渡若しくは貸付け又は役務の提供を行うことを除く。)のほか、他の業務を営むことができない。
(特定資産の譲受けの契約の要件等)
第百四十三条 特定目的会社は、資産流動化計画に従い特定資産を譲り受けようとする場合において、その譲受けに係る契約書に、当該特定資産の譲渡人が、当該特定資産に係る資産対応証券に関する有価証券届出書等(証券取引法第二条第七項に規定する有価証券届出書その他の総理府令・大蔵省令において規定する書類をいう。以下同じ。)に記載すべき重要な事項につき、譲受人たる当該特定目的会社に告知する義務を有する旨の記載がないときは、当該特定資産を譲り受けてはならない。
(業務の委託)
第百四十四条 特定目的会社は、特定資産(第二条第一項第三号に掲げる信託の受益権を除く。以下この条において同じ。)の管理及び処分に係る業務については、当該特定目的会社に当該特定資産を譲り渡した者又は当該特定資産の管理及び処分を適正に遂行するに足りる財産的基礎及び人的構成を有する者に委託しなければならない。
2 特定目的会社は、前項の規定にかかわらず、特定資産を信託財産として信託することができる。
3 特定目的会社は、特定資産の管理及び処分に係る業務の委託に関する契約書に、当該業務を委託する相手方(以下この条において「受託者」という。)が次に掲げる義務を有する旨の記載がないときは、当該業務を委託してはならない。
一 受託者は、特定資産その他当該業務を委託した特定目的会社(以下この項において「委託者」という。)に帰属すべき資産を、自己の固有財産その他の財産と分別して管理すること。
二 受託者は、委託者の求めに応じ、当該委託に係る特定資産の管理及び処分の状況について説明しなければならないこと。
三 受託者は、その委託に係る特定資産の管理及び処分の状況を記載した書類を主たる事務所に備え置き、委託者の求めに応じ、これを閲覧させること。
四 受託者は、資産対応証券に係る有価証券届出書等に記載すべき当該委託に係る特定資産の管理及び処分に関する重要な事項につき知った事実を、遅滞なく委託者に通知すること。
五 受託者は、委託者の同意なく業務の再委託を行わないこと。
4 特定目的会社は、特定資産を信託する信託に係る契約書に、当該信託の受託者が、資産対応証券に係る有価証券届出書等に記載すべき当該信託に係る信託財産の管理及び処分に関する重要な事項につき知った事実を遅滞なく受益者たる当該特定目的会社に通知する義務を有する旨の記載がないときは、当該信託を行ってはならない。
(信託受益権を譲り受ける場合の特例)
第百四十五条 特定目的会社は、資産流動化計画に従い第二条第一項第三号に掲げる信託の受益権を譲り受けようとする場合において、当該信託に係る契約書に、当該信託の受託者が当該信託に係る信託財産の管理及び処分に関する重要な事項(当該特定目的会社が当該資産流動化計画に従い発行する資産対応証券に係る有価証券届出書等に記載すべき事項を含むものに限る。)につき知った事実を遅滞なく受益者に通知する義務を有する旨の記載がないときは、当該受益権を譲り受けてはならない。
(債権の取立委託の制限)
第百四十六条 特定目的会社は、第百四十四条第一項及び第三項の規定に定めるところによるほか、資産流動化計画に従い譲り受けた指名金銭債権(以下この条において「譲受債権」という。)について、その取立ての委託又はその取立ての再委託に対する同項第五号の同意をしようとする場合において、その委託又は再委託の相手方が譲受債権の取立てに当たり貸金業の規制等に関する法律第二十一条第一項の規定若しくはこの法律の規定に違反し、若しくは刑法若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯すおそれが明らかである者であることを知り、又は知ることができるときは、当該相手方に当該委託をし、又は当該相手方に当該再委託をすることに当該同意をしてはならない。
(不動産取引の委託の制限)
第百四十七条 特定目的会社は、資産流動化計画に従い譲り受けた不動産の売買、交換又は賃貸に係る業務については、第百四十四条第一項及び第三項の規定に定めるところによるほか、不動産特定共同事業法第六条各号のいずれにも該当しない者に委託しなければならない。
(宅地建物取引業法の適用除外)
第百四十八条 宅地建物取引業法の規定は、第三条の登録を受けた特定目的会社には、適用しない。
(約束手形の発行)
第百四十九条 特定目的会社は、証券取引法第二条第一項第八号に掲げる約束手形(第二号において「特定手形」という。)については、次に掲げる場合に限り、これを発行することができる。
一 その発行の目的が特定資産を取得するため必要な資金を調達するものであること、第三条の登録に係る資産流動化計画においてその発行の限度額が定められていることその他一般投資者の保護のため必要なものとして総理府令・大蔵省令で定める要件に適合する場合
二 この条の規定により発行した特定手形の支払のための資金を調達する場合
(種類等を異にする優先出資証券又は特定社債券の発行)
第百五十条 特定目的会社は、一般投資者の保護に反しない場合として総理府令・大蔵省令で定める場合に限り、一の資産流動化計画において、種類又は発行の時期を異にする優先出資証券又は特定社債券を発行することができる。
(資金の借入れの制限)
第百五十一条 特定目的会社は、資産流動化計画にあらかじめ定められた方法に基づき特定社債又は特定約束手形に係る債務の履行に充てるため資金の借入れを行う場合その他一般投資者の保護に反しない場合として総理府令・大蔵省令で定める場合を除き、資金の借入れを行ってはならない。
(特定資産の処分等の制限)
第百五十二条 特定目的会社は、資産流動化計画に定められたところによる場合を除き、特定資産を貸し付け、譲渡し、交換し、又は担保に供してはならない。
(余裕金の運用の制限)
第百五十三条 特定目的会社は、次の方法によるほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
一 国債その他大蔵大臣及び内閣総理大臣の指定する有価証券の保有
二 大蔵大臣及び内閣総理大臣の指定する銀行その他の金融機関への預金
三 その他総理府令・大蔵省令で定める方法
第五章 監督
(業務に関する帳簿書類)
第百五十四条 特定目的会社は、総理府令・大蔵省令で定めるところにより、その業務に関する帳簿書類を作成し、これを保存しなければならない。
(事業報告書の提出)
第百五十五条 特定目的会社は、毎営業年度、総理府令・大蔵省令で定めるところにより、事業報告書を作成し、当該営業年度経過後三月以内に、これを内閣総理大臣に提出しなければならない。
(立入検査等)
第百五十六条 内閣総理大臣は、特定目的会社の業務の運営がこの法律若しくはこの法律に基づく命令に違反し、又は違反するおそれがあると認めるときは、特定目的会社に対し、その業務若しくは財産に関して報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該職員に、特定目的会社の営業所若しくは事務所に立ち入り、その業務若しくは財産の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があった時は、これを提示しなければならない。
3 第一項に規定する立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(違法行為等の是正命令)
第百五十七条 内閣総理大臣は、特定目的会社の業務の運営がこの法律若しくはこの法律に基づく命令に違反し、又は違反するおそれがあると認めるときは、当該特定目的会社に対し、当該業務の運営の是正のため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(登録の取消し)
第百五十八条 内閣総理大臣は、第三条の登録を受けた特定目的会社が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消し、又は六月以内の期間を定めてその業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一 第八条第一項第二号又は第三号に該当することとなったとき。
二 不正の手段により第三条の登録又は第十一条第一項の変更登録を受けたとき。
三 この法律若しくはこの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したとき。
2 内閣総理大臣は、第三条の登録を受けた特定目的会社が、第十条第一項の届出をした日から三年以内に第十一条第一項の変更登録の申請を行わないときは、当該登録を取り消すものとする。
(登録の抹消)
第百五十九条 内閣総理大臣は、第十二条の規定により第三条の登録がその効力を失ったとき、又は前条の規定により第三条の登録を取り消したときは、当該登録を抹消しなければならない。
(監督処分の公告)
第百六十条 内閣総理大臣は、第百五十八条の規定による処分をしたときは、総理府令・大蔵省令で定めるところにより、その旨を公告しなければならない。
第六章 雑則
(大蔵大臣への資料提出等)
第百六十一条 大蔵大臣は、特定資産の流動化に係る制度の調査、企画又は立案をするため必要があると認めるときは、内閣総理大臣に対し、必要な資料の提出及び説明を求めることができる。
2 大蔵大臣は、特定資産の流動化に係る制度の調査、企画又は立案をするため特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、特定目的会社に対し、資料の提出、説明その他の協力を求めることができる。
(権限の委任)
第百六十二条 内閣総理大臣は、この法律による権限(政令で定めるものを除く。)を金融監督庁長官に委任する。
2 金融監督庁長官は、政令で定めるところにより、前項の規定により委任された権限の一部を財務局長又は財務支局長に委任することができる。
(総理府令・大蔵省令への委任)
第百六十三条 この法律に定めるもののほか、この法律による届出に関する手続その他この法律を実施するため必要な事項は、総理府令・大蔵省令で定める。
(経過措置)
第百六十四条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に係る経過措置を含む。)を定めることができる。
第七章 罰則
第百六十五条 次の各号に掲げる違反があった場合においては、その違反行為をした者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第三条の規定に違反して、同条の登録を受けないで特定資産の流動化に係る業務を行ったとき。
二 第十一条第一項の規定による変更登録を受けないで同項に規定する業務を行ったとき。
三 不正の手段により、第三条の登録又は第十一条第一項の変更登録を受けたとき。
四 第九条第二項第二号の規定による承認を受けないで同項の資産流動化計画を変更したとき。
五 第十三条の規定に違反したとき。
六 第百四十二条の規定に違反したとき。
七 第百四十七条の規定に違反して同条に規定する者に同条に規定する業務を委託せず、当該業務を行ったとき。
第百六十六条 次の各号に掲げる違反があった場合においては、その違反行為をした者は、二年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第百五十二条の規定に違反したとき(前条第一号、第二号又は第六号に該当する場合を除く。)。
二 第百五十八条第一項の規定による業務の全部又は一部の停止の命令に違反したとき。
第百六十七条 次の各号に掲げる違反があった場合においては、その違反行為をした者は、一年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第四条第一項の申請書若しくは同条第二項各号に掲げる書類、第九条第三項の承認申請書又は第十一条第二項の変更登録申請書に虚偽の記載をして提出したとき。
二 第百五十四条の規定による帳簿書類の作成若しくは保存をせず、又は虚偽の帳簿書類の作成をしたとき。
三 第百五十五条の規定による事業報告書を提出せず、又は虚偽の事業報告書を提出したとき。
四 第百五十六条第一項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告若しくは資料の提出をし、同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。
第百六十八条 第百五十七条の規定による命令に違反したときは、その違反行為をした者は、六月以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第百六十九条 次の各号に掲げる違反があった場合においては、その違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第九条第一項若しくは第五項又は第十条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
二 第百五十一条又は第百五十三条の規定に違反したとき。
第百七十条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第百六十五条から前条までの違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
(発起人、取締役等の特別背任罪)
第百七十一条 特定目的会社の発起人、取締役、監査役、第二十四条第三項において準用する商法第六十七条ノ二の職務代行者、第七十八条若しくは第八十四条第一項において準用する商法第二百五十八条第二項の職務代行者又は支配人その他営業に関するある種類若しくは特定の事項の委任を受けた使用人が、自己若しくは第三者の利益を図り、又は特定目的会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該特定目的会社に財産上の損害を加えたときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 特定目的会社の清算人又は第百三十条第一項において準用する商法第百二十三条第三項において準用する商法第六十七条ノ二の職務代行者若しくは第百三十条第一項において準用する商法第二百五十八条第二項の職務代行者が、自己若しくは第三者の利益を図り、又は特定目的会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該特定目的会社に財産上の損害を加えたときも、前項と同様とする。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。
(特定社債権者集会の代表者等の特別背任罪)
第百七十二条 特定目的会社の特定社債権者集会の代表者又はその決議を執行する者が、自己若しくは第三者の利益を図り、又は特定社債権者に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、特定社債権者に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。
(特定目的会社財産を危うくする罪等)
第百七十三条 第百七十一条第一項に規定する者又は特定目的会社の検査役は、次の各号のいずれかに該当する場合には、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 特定目的会社の設立又は特定資本の増加の場合において、特定出資の総口数の引受け、特定出資の払込み若しくは現物出資の給付について、又は第十八条第三項各号若しくは第百十六条第一項第一号若しくは第二号に掲げる事項について、裁判所に対し、虚偽の申立てを行い、又は事実を隠ぺいしたとき。
二 第百十九条第一項の規定による手続により優先出資の消却を行う場合において、同項の貸借対照表上の純資産の額について、特定目的会社の社員総会に対し、虚偽の申立てを行い、又は事実を隠ぺいしたとき。
三 何人の名義をもってするかを問わず、特定目的会社の計算において不正にその特定持分若しくは優先出資を取得し、又は質権の目的としてその特定持分若しくは優先出資を受けたとき。
四 法令又は定款の規定に違反して、利益の配当、第百二条第一項の金銭の分配又は特定持分若しくは優先出資の消却を行ったとき。
五 特定目的会社の業務の範囲外において、投機取引のために当該特定目的会社の財産を処分したとき。
(不実文書行使罪)
第百七十四条 特定目的会社の取締役、監査役、第二十四条第三項において準用する商法第六十七条ノ二の職務代行者、第七十八条若しくは第八十四条第一項において準用する商法第二百五十八条第二項の職務代行者、支配人その他営業に関するある種類若しくは特定の事項の委任を受けた使用人又は資産対応証券の募集の委託を受けた者が、資産対応証券の募集に当たり、重要な事項について不実の記載のある優先出資申込証、特定社債申込証、目論見書、資産対応証券の募集の広告その他資産対応証券の募集に関する文書を行使したときは、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 資産対応証券の売出しを行う者が、その売出しに関する文書であって、重要な事項について不実の記載のあるものを行使したときも、前項と同様とする。
(預合いの罪)
第百七十五条 第百七十一条第一項に規定する者が、特定出資又は優先出資の払込みを仮装するため預合いを行ったときは、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。預合いに応じた者も、同様とする。
(超過発行等の罪)
第百七十六条 特定目的会社の取締役又は第二十四条第三項において準用する商法第六十七条ノ二の取締役の職務代行者若しくは第七十八条において準用する商法第二百五十八条第二項の職務代行者が、第三条の登録に係る資産流動化計画に記載された資産対応証券以外の資産対応証券を発行し、又は当該資産流動化計画に記載された資産対応証券の発行総口数若しくは発行総額若しくは発行限度額を超えて当該資産対応証券を発行したときは、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。
(発起人、取締役等の汚職の罪)
第百七十七条 第百七十一条第一項若しくは第二項若しくは第百七十二条第一項に規定する者又は特定目的会社の検査役若しくは監査委員が、その職務に関し、不正の請託を受けて、財産上の利益を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。
2 前項の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
(会計監査人の汚職の罪)
第百七十八条 特定目的会社の会計監査人が、その職務に関し、不正の請託を受けて、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。
2 特定目的会社の会計監査人が監査法人である場合においては、特定目的会社の会計監査人の職務を行う社員が、その職務に関し、不正の請託を受けて、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときも、前項と同様とする。特定目的会社の会計監査人が監査法人である場合において、その社員が、特定目的会社の会計監査人の職務に関し、不正の請託を受けて、特定目的会社の会計監査人に賄賂を収受させ、又はその供与を要求し、若しくは約束をしたときも、同様とする。
3 前二項に規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
(特定目的会社荒し等に関する贈収賄罪)
第百七十九条 次の各号に掲げる事項に関し、不正の請託を受けて、財産上の利益を収受し、又はその要求若しくは約束をした者は、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。
一 特定目的会社の社員総会、特定社債権者集会又は債権者集会における発言又は議決権の行使
二 第三章(同章において準用する商法又は有限会社法の規定を含む。)に定める訴えの提起、第七十五条第二項において準用する商法第二百六十八条第二項に規定する訴訟参加又は特定資本の十分の一以上に当たる特定出資口数を有する特定社員、発行済優先出資の総口数の百分の一、百分の三若しくは十分の一以上に当たる優先出資若しくは三百口以上の優先出資を有する優先出資社員若しくは特定社債総額の十分の一以上に当たる特定社債権者の権利の行使
三 第四十九条において準用する商法第二百八十条ノ十の規定、第七十七条の規定、第百三十一条第一項の規定並びに同条第二項において準用する商法第四百三十九条第二項及び第三項並びに第四百五十二条第一項の規定に規定する権利の行使
2 前項の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(利益等の没収及び追徴)
第百八十条 第百七十七条第一項、第百七十八条第一項若しくは第二項又は前条第一項の場合において、犯人の収受した利益又は賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
(出資払込責任免脱の罪)
第百八十一条 優先出資の払込みの責任を免れる目的をもって、他人又は仮設人の名義を用いて優先出資を引き受けた者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
(社員の権利の行使に関する利益供与の罪)
第百八十二条 特定目的会社の取締役、監査役、第二十四条第三項において準用する商法第六十七条ノ二の職務代行者、第七十八条若しくは第八十四条第一項において準用する商法第二百五十八条第二項の職務代行者又は支配人その他の使用人が、特定目的会社の社員の権利の行使に関し、特定目的会社の計算において財産上の利益を供与したときは、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
2 情を知って、前項の利益の供与を受け、又は第三者にこれを供与させた者も、同項と同様とする。
3 特定目的会社の社員の権利の行使に関し、特定目的会社の計算において第一項の利益を自己又は第三者に供与することを同項に規定する者に要求した者も、同項と同様とする。
4 前二項の罪を犯した者が、その実行につき第一項に規定する者に対し威迫の行為があったときは、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。
5 前三項の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。
(過料に処せられる行為)
第百八十三条 特定目的会社の発起人、取締役、監査役、会計監査人若しくはその職務を行うべき社員、検査役、清算人、監査委員、名義書換代理人、特定社債管理会社、事務を承継すべき特定社債管理会社、特定社債権者集会の代表者若しくはその決議を執行する者、第二十四条第三項において準用する商法第六十七条ノ二の職務代行者、第百三十条第一項において準用する商法第百二十三条第三項において準用する商法第六十七条ノ二の職務代行者、第七十八条、第八十四条第一項若しくは第百三十条第一項において準用する商法第二百五十八条第二項の職務代行者又は支配人は、次の各号のいずれかに該当する場合には、百万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。
一 第三章(同章において準用する商法又は有限会社法の規定を含む。次号及び第四号において同じ。)に定める登記をすることを怠ったとき。
二 第三章に定める公告若しくは通知をすることを怠り、又は不正の公告若しくは通知をしたとき。
三 第三章(同章において準用する商法、商法特例法又は有限会社法の規定を含む。第五号において同じ。)の規定に違反し、正当な事由がないのに、帳簿、書類若しくは書面の閲覧若しくは謄写又はこれらの謄本若しくは抄本の交付を拒んだとき。
四 第三章に定める検査又は調査を妨げたとき。
五 第三章に定める事項について、官庁、社員総会、特定社債権者集会又は債権者集会に対し、虚偽の申立てを行い、又は事実を隠ぺいしたとき。
六 第二十三条の規定に違反して特定出資の引受けによる権利を譲渡したとき。
七 第三十三条の規定に違反して特定持分について指図式又は無記名式の証券を発行したとき。
八 第三十四条第六項又は第四十三条第二項の規定に違反して、特定持分若しくはその質権の処分又は優先出資の失効の手続若しくは優先出資若しくはその質権の処分を行うことを怠ったとき。
九 第三十八条第二項又は第百十条第二項の規定に違反して、優先出資申込証又は特定社債申込証を作成せず、これらに記載すべき事項を記載せず、又は不実の記載をしたとき。
十 第三十八条第三項の規定に違反して書面を交付せず、これに記載すべき事項を記載せず、又は不実の記載をしたとき。
十一 正当な事由がないのに優先出資証券の名義書換をしないとき。
十二 優先出資証券又は特定社債券に記載すべき事項を記載せず、又は不実の記載をしたとき。
十三 第四十六条第二項の規定に違反して優先出資証券を発行したとき。
十四 第四十九条において準用する商法第二百二十六条ノ二第二項の規定に違反して優先出資社員名簿に記載をせず、かつ、優先出資証券を寄託しないとき。
十五 第五十一条第一項の規定に違反して、若しくは第五十五条第二項若しくは第百五条第二項において準用する商法第二百三十七条ノ二第三項の規定による裁判所の命令に違反して、社員総会を招集せず、又は定款に定めた地以外の地において、若しくは第六十二条において準用する商法第二百三十三条の規定に違反して、社員総会を招集したとき。
十六 第五十六条第一項(第百三十条第一項において準用する場合を含む。)の規定による請求がある場合において、その請求に係る事項を社員総会の会議の目的としないとき。
十七 正当な事由がないのに社員総会において社員の求めた事項について説明をしないとき。
十八 法律又は定款に定めた取締役又は監査役の員数を欠いた場合において、これらの者の選任の手続を行うことを怠ったとき。
十九 定款、特定社員名簿若しくは優先出資社員名簿若しくはこれらの複本、特定社債原簿若しくはその複本、議事録、財産目録、貸借対照表、営業報告書、事務報告書、損益計算書、利益の処分若しくは損失の処理に関する議案、決算報告書、会計帳簿、第八十五条第一項若しくは第百二十七条第一項の附属明細書、第九十三条第三項若しくは第六項若しくは第九十七条第三項の監査報告書又は第百三十一条第二項において準用する商法第四百四十三条の調査書に記載すべき事項を記載せず、又は不実の記載をしたとき。
二十 第六十二条において準用する商法第二百三十九条第五項(第五十九条第二項において準用する商法特例法第二十一条の三第六項において準用する場合を含む。)、第六十二条若しくは第百三十条第一項において準用する商法第二百四十四条第三項、第七十条第一項(第百三十条第一項において準用する場合を含む。)、第九十四条第一項(第九十八条において準用する場合を含む。)、第百十三条第一項において準用する商法第三百三十九条第三項又は第百二十七条第二項において準用する商法第四百二十条第三項の規定に違反して、帳簿、書類又は書面を備え置かないとき。
二十一 会計監査人存置会社において、会計監査人又は一時会計監査人の職務を行うべき者の選任の手続を行うことを怠ったとき。
二十二 第九十五条第二項若しくは第九十九条第二項の規定又は第五十三条第四項において準用する商法特例法第二十一条の二若しくは第五十九条第二項において準用する商法特例法第二十一条の三第二項の規定に違反して、社員総会の招集の通知に書類又は書面を添付しなかったとき。
二十三 第九十六条において準用する商法特例法第十七条第一項又は第二項の規定により定時社員総会において意見を述べるに当たり、虚偽の申立てを行い、又は事実を隠ぺいしたとき。
二十四 第百九条の規定に違反して特定社債を募集し、又は第百十一条第七項において準用する商法第三百十四条第一項の規定に違反して事務を承継すべき特定社債管理会社を定めなかったとき。
二十五 第百十三条第一項において準用する商法第三百六条第一項の規定に違反して特定社債券を発行したとき。
二十六 第百十六条第三項において準用する有限会社法第五十二条第二項の規定に違反して特定出資の引受人を公募したとき。
二十七 第百十八条第三項において準用する商法第三百七十六条第二項において準用する商法第百条の規定に違反して特定資本の減少を行ったとき。
二十八 裁判所の選任した清算人に事務の引渡しをしないとき。
二十九 第百二十八条の規定又は第百三十条第一項において準用する商法第百三十一条の規定に違反して特定目的会社の財産を分配したとき。
三十 第百三十条第一項において準用する商法第百二十四条第三項の規定に違反して破産宣告の請求をすることを怠り、又は第百三十一条第二項において準用する商法第四百三十一条第二項の規定に違反して特別清算開始の申立てをすることを怠ったとき。
三十一 清算の結了を遅延させる目的で第百三十条第一項において準用する商法第四百二十一条第一項の期間を不当に定めたとき。
三十二 第百三十条第一項において準用する商法第四百二十三条又は第百三十一条第二項において準用する商法第四百三十八条の規定に違反して債務の弁済をしたとき。
三十三 第百三十一条第二項において準用する商法第四百三十二条、第四百三十七条又は第四百五十四条第一項の規定による裁判所の財産保全の処分に違反したとき。
三十四 第百三十一条第二項において準用する商法第四百四十五条第一項又は第二項の規定に違反したとき。
2 第六十六条(第八十四条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反して特定目的会社の取締役又は監査役となった者も、前項と同様とする。特定目的会社の取締役又は監査役が第六十六条第二号から第四号までに掲げる者となったときも、同様とする。
第百八十四条 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の過料に処する。
一 第十二条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 第十六条第二項の規定に違反して商号中に特定目的会社であることを示す文字を用いた者
(法人に対する罰則の適用)
第百八十五条 第百七十一条第一項若しくは第二項、第百七十二条第一項、第百七十三条から第百七十五条まで又は第百七十七条第一項に規定する者が法人であるときは、これらの規定は、その行為をした取締役その他業務を執行する役員又は支配人に適用する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成十年九月一日から施行する。
(検討)
第二条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、特定目的会社が業として特定資産の流動化を行う制度について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
内閣総理大臣 橋本龍太郎
大蔵大臣 松永光
特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律をここに公布する。
御名御璽
平成十年六月十五日
内閣総理大臣 橋本龍太郎
法律第百五号
特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
登録(第三条―第十三条)
第三章
特定目的会社
第一節
通則(第十四条―第十七条)
第二節
設立(第十八条―第二十五条)
第三節
社員の権利義務等(第二十六条―第四十九条)
第四節
特定目的会社の機関
第一款
社員総会(第五十条―第六十三条)
第二款
取締役(第六十四条―第七十八条)
第三款
監査役(第七十九条―第八十四条)
第五節
計算及び会計監査人(第八十五条―第百七条)
第六節
特定社債(第百八条―第百十三条)
第七節
定款の変更(第百十四条―第百十八条)
第八節
資産流動化計画の終了に伴う仮清算(第百十九条・第百二十条)
第九節
解散(第百二十一条―第百二十四条)
第十節
清算
第一款
総則(第百二十五条―第百三十条)
第二款
特別清算(第百三十一条)
第十一節
雑則(第百三十二条―第百四十一条)
第四章
業務(第百四十二条―第百五十三条)
第五章
監督(第百五十四条―第百六十条)
第六章
雑則(第百六十一条―第百六十四条)
第七章
罰則(第百六十五条―第百八十五条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、特定目的会社が業として特定資産の流動化を行う制度を確立し、特定資産の流動化に係る業務の適正な運営を確保するとともに、特定資産の流動化の一環として発行される各種の証券の購入者等の保護を図ることにより、一般投資者によるこれらの証券に対する投資を容易にし、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「特定資産」とは、次に掲げる資産をいう。
一 不動産(宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)の宅地又は建物をいう。以下同じ。)
二 指名金銭債権(指名債権であって金銭の支払を目的とするものをいう。以下同じ。)
三 前二号に掲げるものを信託する信託の受益権
2 この法律において「特定目的会社」とは、第三章第二節の規定に基づき設立された社団をいう。
3 この法律において「優先出資」とは、特定目的会社に対する出資であって、当該出資をした者が、当該特定目的会社の利益の配当又は残余財産の分配を、当該特定目的会社に対して他の種類の出資をした者に先立って受ける権利を有しているものをいう。
4 この法律において「特定出資」とは、特定目的会社に対する出資であって、優先出資以外の出資をいう。
5 この法律において「特定社債」とは、特定目的会社がこの法律の定めるところにより発行する社債をいう。
6 この法律において、「優先出資証券」又は「特定社債券」とは、優先出資につき特定目的会社が第四十六条の規定により発行する出資証券又は特定社債につき特定目的会社が第百十三条第一項において準用する商法(明治三十二年法律第四十八号)第三百六条の規定により発行する債券をいう。
7 この法律において「特定約束手形」とは、証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項第八号に掲げる約束手形であって、特定目的会社が第百四十九条の規定により発行するものをいう。
8 この法律において「資産対応証券」とは、優先出資証券、特定社債券及び特定約束手形をいう。
9 この法律において「特定資産の流動化」とは、一連の行為として、資産対応証券の発行により得られる金銭をもって特定資産を取得し、当該特定資産(当該特定資産を信託する信託の受益権を含む。)の管理及び処分により得られる金銭をもって、次の各号に掲げる資産対応証券に係る債務又は出資について当該各号に定める行為を行うことをいう。
一 特定約束手形又は特定社債券 その債務の履行
二 優先出資証券 利益の分配及び消却のための取得又は残余財産の分配
第二章 登録
(登録)
第三条 特定目的会社は、内閣総理大臣の登録を受けなければ、特定資産の流動化に係る業務を行ってはならない。
(登録の申請)
第四条 前条の登録を受けようとする特定目的会社は、次に掲げる事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
一 商号
二 営業所の名称及び所在地
三 役員の氏名及び住所並びに政令で定める使用人があるときは、その者の氏名及び住所
四 特定資産の流動化に関する計画(以下「資産流動化計画」という。)
五 その他総理府令・大蔵省令で定める事項
2 前項の登録申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
一 定款
二 特定資産の流動化に関する実施計画(以下「資産流動化実施計画」という。)
三 資産流動化計画で定められた特定資産の譲受けに係る契約の契約書案(以下「特定資産譲受契約書案」という。)
四 資産流動化計画で定められた特定資産の管理及び処分に係る業務の委託に関する契約その他総理府令・大蔵省令で定める契約の契約書案(以下「特定資産管理委託等契約書案」という。)
五 その他総理府令・大蔵省令で定める書類
(資産流動化計画)
第五条 資産流動化計画には、特定資産の流動化に係る業務に関する基本的な事項として次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 資産流動化計画の計画期間及び当該計画期間に関する事項として総理府令・大蔵省令で定める事項
二 資産対応証券に関する次に掲げる事項
イ 優先出資証券においては、総額、優先出資の内容(利益の配当又は残余財産の分配についての優先的内容を含む。第三十八条第二項第三号及び第四十五条第四号において同じ。)その他の発行に関する事項及び消却に関する事項として総理府令・大蔵省令で定める事項
ロ 特定社債券においては、総額、特定社債の内容その他の発行に関する事項及び償還に関する事項として総理府令・大蔵省令で定める事項
ハ 特定約束手形においては、限度額その他の発行に関する事項及び償還に関する事項として総理府令・大蔵省令で定める事項
三 特定資産の取得に関する事項として総理府令・大蔵省令で定める事項
四 特定資産の管理及び処分に係る業務の受託者その他の特定資産の管理及び処分に関する事項として総理府令・大蔵省令で定める事項
五 その他総理府令・大蔵省令で定める事項
2 前項第一号の資産流動化計画の計画期間は、政令で定める特定資産の区分に応じ、その管理及び処分に関する合理的な計画の策定可能な期間として政令で定める期間を超えてはならない。
(資産流動化実施計画)
第六条 資産流動化実施計画には、総理府令・大蔵省令で定めるところにより、特定資産の流動化に係る業務の具体的な内容を記載しなければならない。
(登録の実施)
第七条 内閣総理大臣は、第四条第一項の登録の申請があったときは、次条第一項の規定により登録を拒否する場合を除き、次に掲げる事項を特定目的会社登録簿に登録しなければならない。
一 第四条第一項各号に掲げる事項
二 登録の年月日及び登録番号
2 内閣総理大臣は、前項の規定による登録をしたときは、遅滞なく、その旨を登録申請者に通知しなければならない。
3 内閣総理大臣は、総理府令・大蔵省令で定めるところにより、特定目的会社登録簿及び特定目的会社登録簿に登録された特定目的会社の資産流動化実施計画を公衆の縦覧に供しなければならない。
(登録の拒否)
第八条 内閣総理大臣は、第四条第一項の申請書を提出した者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は当該申請書若しくはその添付書類に虚偽の記載があり、若しくは記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
一 特定目的会社でない者
二 資産流動化計画その他の定款の規定又は資産流動化実施計画、特定資産譲受契約書案若しくは特定資産管理委託等契約書案の内容が法令に違反している特定目的会社
三 役員又は政令で定める使用人のうちに次のいずれかに該当する者のある特定目的会社
イ 禁治産者若しくは準禁治産者又は外国の法令上これらと同様に取り扱われている者
ロ 破産者で復権を得ないもの又は外国の法令上これと同様に取り扱われている者
ハ 禁錮以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者
ニ この法律、証券取引法、商法、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(昭和四十九年法律第二十二号。以下「商法特例法」という。)、有限会社法(昭和十三年法律第七十四号)、宅地建物取引業法、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(昭和二十九年法律第百九十五号)、割賦販売法(昭和三十六年法律第百五十九号)、外国証券業者に関する法律(昭和四十六年法律第五号)、貸金業の規制等に関する法律(昭和五十八年法律第三十二号)、特定商品等の預託等取引契約に関する法律(昭和六十一年法律第六十二号)、抵当証券業の規制等に関する法律(昭和六十二年法律第百十四号)、商品投資に係る事業の規制に関する法律(平成三年法律第六十六号)、特定債権等に係る事業の規制に関する法律(平成四年法律第七十七号)、不動産特定共同事業法(平成六年法律第七十七号)若しくはこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、又は刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪、暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)の罪若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第四十六条、第四十七条、第四十九条若しくは第五十条の罪を犯し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者
ホ 第三条の登録を取り消された特定目的会社においてその取消しの日前三十日以内にその役員又は政令で定める使用人であった者で、当該取消しの日から三年を経過しないもの
2 内閣総理大臣は、前項の規定により登録を拒否したときは、遅滞なく、その理由を示して、その旨を申請者に通知しなければならない。
(登録事項等の変更)
第九条 特定目的会社は、第四条第一項第一号から第三号まで又は第五号に掲げる事項に変更があったときは、その日から二週間以内に、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
2 特定目的会社は、次の各号のいずれかに該当する場合に限り、第三条の登録に係る資産流動化計画を変更することができる。
一 その変更の内容が総理府令・大蔵省令で定める軽微なものに該当する場合
二 その変更の内容が一般投資者の保護に反しないことが明らかなものとして総理府令・大蔵省令で定めるものに該当する場合(前号に掲げる場合を除く。)において、あらかじめ内閣総理大臣の承認を受けたとき。
3 特定目的会社は、前項第二号の規定による変更の承認を受けようとするときは、当該変更の内容及びその理由を記載した承認申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
4 内閣総理大臣は、前項の承認申請書の提出があったときは、当該承認申請書に記載された資産流動化計画の変更の内容が法令に違反している場合を除き、その承認をしなければならない。
5 特定目的会社は、第二項第一号に掲げる場合に該当して、又は前項の規定による承認を受けて資産流動化計画の変更をしたときは、その変更をした日から二週間以内に、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
6 特定目的会社は、第一項又は前項の規定による届出に係るこれらの規定に規定する事項の変更によりその資産流動化実施計画に変更が生ずるときは、当該届出の際、その変更後の資産流動化実施計画を内閣総理大臣に提出しなければならない。
7 内閣総理大臣は、第一項又は第五項の規定による届出を受理したときは、当該届出があった事項を特定目的会社登録簿に登録しなければならない。
8 内閣総理大臣は、第六項の規定により特定目的会社から変更後の資産流動化実施計画の提出を受けたときは、既に公衆の縦覧に供されている当該特定目的会社の資産流動化実施計画に代えて、当該変更後の資産流動化実施計画を公衆の縦覧に供しなければならない。
(計画に係る業務の終了の届出)
第十条 特定目的会社は、第三条の登録に係る資産流動化計画に従い発行した優先出資、特定社債及び特定約束手形に係る消却又は残余財産の分配及び債務の履行を完了したときは、その日から三十日以内に、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
2 内閣総理大臣は、前項の規定による届出を受理したときは、同項の資産流動化計画に基づく業務が終了した旨及びその届出のあった年月日を特定目的会社登録簿に付記しなければならない。
(資産流動化計画の変更登録)
第十一条 前条第一項の届出をした特定目的会社は、当該届出に係る資産流動化計画以外の資産流動化計画(次項において「新計画」という。)に基づく特定資産の流動化に係る業務を行おうとするときは、内閣総理大臣の変更登録を受けなければならない。
2 前項の変更登録を受けようとする特定目的会社は、総理府令・大蔵省令で定めるところにより、新計画を記載した変更登録申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
3 第四条第二項及び第五条から第八条までの規定は、第一項の変更登録について準用する。この場合において、第七条第一項第一号中「第四条第一項各号」とあるのは「第四条第一項第四号」と、同項第二号中「登録の年月日及び登録番号」とあるのは「変更登録の年月日」と、第八条第一項中「次の各号のいずれか」とあるのは「第二号」と読み替えるものとする。
(廃業の届出)
第十二条 特定目的会社が次の各号のいずれかに該当することとなったときは、当該各号に定める者は、その日から三十日以内に、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
一 破産により解散したとき。 その破産管財人
二 破産以外の事由により解散したとき。 その清算人
2 特定目的会社が前項各号のいずれかに該当することとなったときは、当該特定目的会社の第三条の登録は、その効力を失う。
(名義貸しの禁止)
第十三条 第三条の登録を受けた特定目的会社は、自己の名義をもって、他人に特定資産の流動化に係る業務を営ませてはならない。
第三章 特定目的会社
第一節 通則
(法人格及び住所)
第十四条 特定目的会社は、法人とする。
2 特定目的会社の住所は、本店の所在地にあるものとする。
(商人性)
第十五条 特定目的会社は、商行為を行うことを業としない者であっても、これを商人とみなす。
(商号)
第十六条 特定目的会社は、その商号中に特定目的会社という文字を用いなければならない。
2 特定目的会社でない者は、その商号中に特定目的会社であることを示す文字を用いてはならない。
(商法の準用等)
第十七条 商法第九条から第十五条まで(商業登記)及び第六十一条(登記の期間)の規定は特定目的会社の登記について、同法第五十五条(権利能力の制限)及び第五十七条から第五十九条まで(設立の登記及び解散命令)の規定は特定目的会社について、それぞれ準用する。この場合において、同法第九条中「商業登記簿」とあるのは「特定目的会社登記簿」と、同法第五十八条及び第五十九条第一項中「株主」とあるのは「社員」と読み替えるものとする。
2 特定目的会社に係る商法第三十三条第一項及び第二項(会計帳簿等)の規定の適用については、特定目的会社は、これらの規定に規定する会社とみなす。
第二節 設立
(定款)
第十八条 特定目的会社を設立するには、発起人が定款を作成し、これに署名しなければならない。
2 特定目的会社の定款には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店の所在地
四 特定資本(特定出資に係る資本をいう。以下同じ。)の額
五 特定出資一口の金額
六 資産流動化計画
七 公告の方法
八 発起人の氏名及び住所
九 存立の時期又は解散の事由(第六号の規定による記載に係る資産流動化計画に基づく業務が終了した後他の資産流動化計画に基づく業務を行う場合にあっては、その旨の記載を含む。)
3 次に掲げる事項は、定款に記載しなければ、その効力を有しない。
一 発起人が受けるべき特別の利益及びこれを受けるべき者の氏名又は名称
二 現物出資をする者の氏名又は名称、出資の目的たる財産、その価格及びこれに対して与える特定出資の口数
三 資産流動化計画に従って譲り受ける特定資産以外の財産で特定目的会社の成立後に譲り受けることを約したもの、その価格及び譲渡人の氏名又は名称
四 発起人が受けるべき報酬の額
五 特定目的会社の負担に帰すべき設立費用(定款の認証の手数料及び出資の払込みの取扱いについて銀行又は信託会社に支払うべき報酬を除く。)
4 商法第百六十六条第四項(公告の方法)の規定は特定目的会社の公告について、同法第百六十七条(定款の認証)の規定は特定目的会社の定款について、それぞれ準用する。
(資本及び最低資本金)
第十九条 特定目的会社の資本は、特定資本又は特定目的会社の定款に記載された資産流動化計画で優先出資の発行が定められた場合には、特定資本及び優先資本(当該資産流動化計画に従い発行される優先出資に係る資本をいう。以下同じ。)とする。
2 特定目的会社の特定資本の額は、三百万円を下回ってはならない。
(発起人の特定出資の引受け)
第二十条 発起人は、特定目的会社の設立の際の特定出資の総口数を引き受けなければならない。
(発起人による特定出資の払込み、役員の選任等)
第二十一条 発起人は、特定出資を引き受けたときは、遅滞なく、その引き受けた特定出資につき、その全額を払い込み、又は現物出資の目的たる財産の全部を給付し、かつ、取締役及び監査役を選任しなければならない。
2 前項の規定による取締役及び監査役の選任は、発起人の議決権の過半数をもって決定する。この場合においては、第五十八条第一項の規定を準用する。
3 商法第百六十九条(発起人の株式引受け)の規定は特定目的会社の発起人による特定出資の引受けについて、同法第百七十条第二項(発起設立における払込み)の規定は第一項の規定による特定出資の払込みについて、同法第百七十二条ただし書(現物出資の給付の特例)の規定は特定目的会社の現物出資の場合について、それぞれ準用する。
(検査役の調査等)
第二十二条 取締役は、選任された後遅滞なく、第十八条第三項各号に掲げる事項を調査させるため、検査役の選任を裁判所に請求しなければならない。
2 商法第百七十三条第二項前段及び第三項から第六項まで(検査役の調査)の規定は前項の場合について、同法第百七十三条ノ二(設立手続の調査)の規定は特定目的会社の取締役及び監査役の調査について、それぞれ準用する。この場合において、同法第百七十三条第二項前段中「第百六十八条第一項第五号及第六号」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第十八条第三項第二号及第三号」と、「資本」とあるのは「特定資本」と、「同項第五号及第六号」とあるのは「同項第二号及第三号」と、同条第三項中「第百六十八条第一項第五号又ハ第六号」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第十八条第三項第二号又ハ第三号」と、「同項第五号又ハ第六号」とあるのは「同項第二号又ハ第三号」と、同条第四項中「第百六十八条第一項」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第十八条第三項」と、同条第五項及び第六項並びに同法第百七十三条ノ二第一項中「株式」とあるのは「特定出資」と読み替えるものとする。
(引受けによる権利の譲渡の禁止)
第二十三条 発起人は、特定出資の引受けによる権利を譲渡してはならない。
(設立の登記)
第二十四条 特定目的会社の設立の登記は、第二十二条の規定による検査役の調査に係る手続又は同条第二項において準用する商法第百七十三条ノ二の手続の終了の日から二週間以内に行わなければならない。
2 前項の設立の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。
一 第十八条第二項第一号、第二号、第四号、第五号、第七号及び第九号に掲げる事項
二 本店及び支店
三 優先出資を発行するときは、その総口数並びに利益の配当又は残余財産の分配についての優先的内容及び消却に関する規定(内容の異なる数種類の優先出資を発行するときは、優先出資の総口数並びに当該優先出資の種類ごとの口数並びに利益の配当又は残余財産の分配についての優先的内容及び消却に関する規定)
四 取締役及び監査役の氏名及び住所
五 取締役のうち特定目的会社を代表しない者があるときは、当該特定目的会社を代表すべき取締役の氏名
六 数人の取締役が共同して特定目的会社を代表すべきことを定めたときは、その規定
3 商法第六十四条第二項(支店における設立の登記)及び第六十五条から第六十七条まで(支店設置、移転及び変更の登記)の規定は特定目的会社について、同法第六十七条ノ二(業務執行停止等の登記)の規定は特定目的会社の取締役及び監査役について、それぞれ準用する。この場合において、同法第六十四条第二項中「前項」とあり、同法第六十五条第一項中「前条第一項」とあり、並びに同法第六十六条第一項及び第六十七条中「第六十四条第一項」とあるのは、「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第二十四条第二項」と読み替えるものとする。
(商法等の準用)
第二十五条 商法第百八十九条(払込取扱機関の証明)の規定は特定目的会社の設立の際の特定出資の払込みを取り扱う銀行又は信託会社について、同法第百九十一条前段(引受けの無効又は取消しの制限)の規定は特定出資の引受けの無効又は取消しについて、同法第百九十二条及び第百九十二条ノ二(発起人等の引受担保責任、財産価格てん補責任等)の規定は特定目的会社の発起人及び特定目的会社成立当時の取締役について、同法第百九十三条から第百九十五条まで(発起人の損害賠償責任、会社不成立の場合の責任及び連帯責任)の規定並びに第七十三条第三項及び第七十五条の規定は特定目的会社の発起人について、それぞれ準用する。この場合において、同法第百九十一条前段中「錯誤若ハ株式申込証ノ要件ノ欠欠」とあるのは「錯誤」と、同法第百九十二条第一項から第三項までの規定中「株式」とあるのは「特定出資」と、同法第百九十二条ノ二第一項及び第二項中「第百六十八条第一項第五号又ハ第六号」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第十八条第三項第二号又ハ第三号」と、同法第百九十五条中「第百七十三条ノ二又ハ第百八十四条第一項及第二項」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第二十二条第二項ニ於テ準用スル第百七十三条ノ二」と読み替えるものとする。
第三節 社員の権利義務等
(社員)
第二十六条 特定目的会社(優先出資を発行しない特定目的会社に限る。)の社員は、特定社員(特定出資に係る持分(以下「特定持分」という。)を有する者をいう。以下同じ。)とし、優先出資を発行する特定目的会社の社員は、特定社員及び優先出資社員(優先出資に係る持分を有する者をいう。以下同じ。)とする。
(社員の責任、持分等)
第二十七条 すべての社員の責任は、その出資の金額を限度とする。
2 社員は、出資の払込みについて、相殺をもって特定目的会社に対抗することはできない。
3 各社員は、その出資の口数に応じて持分を有する。
(特定出資の金額)
第二十八条 特定出資一口の金額は、均一とし、五万円を下回ってはならない。
(特定社員の持分の譲渡)
第二十九条 特定社員は、特定持分の全部又は一部を他の特定社員に譲渡することができる。
2 特定社員は、その特定持分の全部又は一部を特定社員以外の者に譲渡する場合には、あらかじめ社員総会の承認を受けなければならない。
3 前項の場合においては、特定社員は、特定目的会社に対し、特定持分の譲渡の相手方及び譲渡をしようとする出資口数を記載した書面をもって、当該譲渡を承認すべきこと及び承認しないときは他に譲渡の相手方を指定すべきことを請求することができる。
4 商法第二百四条ノ二第二項及び第四項前段(株式の譲渡制限がある場合の不承認の通知等)の規定は、特定目的会社に対し前項の承認の請求があった場合について準用する。この場合において、同条第二項中「同項ノ株主」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第二十九条第三項ノ特定社員」と、同条第四項前段中「第一項ノ株式」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第二十九条第三項ノ特定持分」と、「取締役会」とあるのは「社員総会」と読み替えるものとする。
5 社員総会は、第三項の指定の請求があった場合において、同項の譲渡を承認しないときは、他に譲渡の相手方(当該特定目的会社を除く。)を指定しなければならない。
6 商法第二百四条ノ二第三項後段及び第四項後段(株式の譲渡制限がある場合の譲渡の相手方の指定の通知等)の規定は前項の規定により特定持分の譲渡の相手方を指定する場合について、同法第二百四条ノ三第一項から第三項まで(指定された者の先買権)並びに第二百四条ノ四第一項から第五項まで及び第七項(売買価格の決定)の規定は前項の規定による指定があった場合について、それぞれ準用する。この場合において、同法第二百四条ノ二第三項後段中「第一項ノ株主」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第二十九条第三項ノ特定社員」と、同法第二百四条ノ三第一項中「同条第一項ノ株主」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第二十九条第三項ノ特定社員」と、「株式」とあるのは「特定持分」と、同条第二項中「発行済株式ノ総数」とあるのは「特定持分ニ係ル出資及発行済優先出資ノ総口数」と、「前条第一項ノ株式ノ数」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第二十九条第三項ノ特定持分ニ係ル出資口数」と、同法第二百四条ノ四第四項及び第五項中「株式」とあるのは「特定持分」と、同条第七項中「株主」とあるのは「特定社員」と読み替えるものとする。
7 特定社員以外の者が第二項から前項までの規定によることなく特定目的会社の特定持分を取得したときは、その者は、その取得について、当該特定目的会社の社員総会の承認を受けなければならない。この場合においては、第三項から前項までの規定を準用する。
(特定社員の持分移転の対抗要件等)
第三十条 特定持分の移転は、その取得者の氏名又は名称及び住所並びに特定持分の移転の口数を特定社員名簿に記載しなければ、特定目的会社その他の第三者に対抗することができない。
(特定持分の質入れ)
第三十一条 特定持分は、これを質権の目的とすることができる。
2 前条の規定は、特定持分を質権の目的とする場合について準用する。
3 特定持分を質権の目的とした場合において、特定目的会社が質権設定者の請求により質権者の氏名及び住所を特定社員名簿に記載したときは、当該質権者は、当該特定目的会社から利益の配当又は残余財産の分配を受け、他の債権者に先立って自己の債権の弁済に充てることができる。
4 民法(明治二十九年法律第八十九号)第三百六十七条第三項(供託の請求)の規定は、特定持分の質権者につき前項の記載がされた場合について準用する。
(特定社員名簿の記載事項等)
第三十二条 特定社員名簿には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 特定社員の氏名又は名称及び住所
二 各特定社員の有する特定出資の口数
(特定持分に係る証券の発行禁止)
第三十三条 特定目的会社は、特定持分については、指図式又は無記名式のいずれの証券も発行してはならない。
(自己特定持分の取得及び質受けの禁止等)
第三十四条 特定目的会社は、権利の実行に当たりその目的を達成するために必要な場合を除き、自己の特定持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けてはならない。
2 前項の規定は、特定目的会社が、特定社員の相続人からその相続により取得した当該特定目的会社の特定持分を当該相続の開始後一年以内に買い受けるために取得する場合には、適用しない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
一 当該特定目的会社の所有する自己の特定持分(権利の実行に当たりその目的を達成するために取得したものを除く。)に係る出資口数が、その特定資本の五分の一に相当する出資口数を超えることとなるとき。
二 当該特定目的会社の特定持分の買受価格が、その最終の貸借対照表上の純資産額から第百二条第三項各号の金額及び同条第一項の規定により分配した金銭の額の合計額を控除した額を超えるとき。
三 当該特定目的会社の営業年度の終了の時において、その貸借対照表上の純資産額が、第百一条第一項各号の金額の合計額を下回るおそれがあると認められるとき。
3 特定目的会社が前項の特定持分を買い受けるには、第百十四条第二項に規定する決議によらなければならない。この場合においては、当該特定持分の売主たる特定社員は、議決権を行使することができない。
4 第二項第三号の営業年度の終了の時において、同号の純資産額が、同号の合計額から同項の特定目的会社が取得して有する同項の特定持分の時価の合計額を控除した額を下回った場合には、当該特定持分の買受けをした取締役は、当該特定目的会社に対し、連帯して、その差額(当該差額が、当該営業年度において買い受けた当該特定持分の取得価額の総額から、当該特定持分のうち既に処分したものの価額の総額及びその取得して有する特定持分の時価の合計額を控除した残額を超えるときは、当該残額)につき、損害賠償の責任を負う。ただし、当該取締役が同号に規定するおそれがないと認めたことについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
5 第七十三条第二項の規定は前項の買受けをすることにつき同意した取締役について、同条第三項の規定は当該取締役及び前項の取締役の責任について、それぞれ準用する。
6 特定目的会社は、第一項又は第二項本文に規定する場合において取得した特定持分又は質権を相当の時期に処分しなければならない。
(特定持分の消却の禁止)
第三十五条 特定持分は、第百十八条の規定により特定資本の減少を行う場合を除き、消却することができない。
(特定持分についての商法の準用)
第三十六条 商法第二百三条(株式の共有)の規定は特定持分について、同法第二百二十四条及び第二百二十四条ノ二(株主名簿の効力及び所在不明の株主)の規定は特定社員名簿について、それぞれ準用する。この場合において、同法第二百三条第二項及び第三項並びに第二百二十四条第一項中「株主」とあるのは「特定社員」と、同条第三項中「株式申込人、株式引受人」とあるのは「特定出資引受人」と、同法第二百二十四条ノ二第一項及び第二項中「株主」とあるのは「特定社員」と読み替えるものとする。
(優先出資の発行)
第三十七条 特定目的会社は、定款に記載した資産流動化計画の定めるところに従い、取締役の決定(取締役が数人あるときは、その過半数をもってする決定)により、優先出資を発行することができる。
2 優先出資の発行は、額面金額をもって行わなければならない。
3 優先出資の額面金額は、均一で、かつ、特定出資一口の金額と同一でなければならない。
(優先出資の申込み)
第三十八条 優先出資の申込みをしようとする者は、優先出資申込証に、引き受けようとする優先出資の口数及び住所を記載し、これに署名しなければならない。
2 取締役は、次に掲げる事項を記載した優先出資申込証を作成しなければならない。
一 特定目的会社の商号並びに第三条の登録の年月日(第十一条第一項の変更登録を受けた場合には、当該変更登録の年月日)及び登録番号
二 特定出資の総口数及び特定資本の額
三 発行する優先出資の額面金額、内容及び総口数
四 優先出資の消却に関する規定
五 定款に記載した資産流動化計画に他の優先出資証券の発行についての定めがあるときは、当該他の優先出資証券の前二号に掲げる事項及びその発行状況
六 定款に記載した資産流動化計画に特定社債又は特定約束手形の発行についての定めがあるときは、特定社債については第百十条第二項第四号から第十号までに掲げる事項及びその発行状況、特定約束手形については発行の限度額その他の総理府令・大蔵省令で定める事項及びその発行状況
七 定款に記載した資産流動化計画に定められた特定資産の種類、当該特定資産を特定するに足りる事項、当該特定資産の上に存在する特定目的会社に対抗し得る権利その他当該特定資産の価格を知るために必要な事項の概要
八 特定目的会社以外の者であって政令で定めるものが前号の特定資産の価格につき調査した結果(当該特定資産が不動産であるときは、不動産鑑定士による鑑定評価を踏まえて調査したものに限る。)
九 払込みを取り扱う銀行又は信託会社
十 優先出資の申込口数が第三号に掲げる優先出資の総口数に達しない場合において、その達しない口数の優先出資を引き受けるべきことを約した者があるときは、その氏名又は名称
十一 一定の時期までに優先出資の発行ができないときは、当該優先出資の申込みを取り消すことができる旨の規定
十二 名義書換代理人又は登録機関を置いたときは、その名称及び住所並びに営業所
3 取締役は、優先出資申込証の交付に際して、前項第九号に掲げる銀行又は信託会社の払込みの取扱いの場所を記載した書面を交付しなければならない。ただし、優先出資申込証にこれを記載したときは、この限りでない。
4 取締役は、優先出資の申込者から定款に記載した資産流動化計画の閲覧又は当該資産流動化計画の謄本若しくは抄本の交付の求めがあったときは、これに応じなければならない。
5 民法第九十三条ただし書(心裡留保の無効)の規定は、優先出資の申込みについては、適用しない。
6 優先出資については、現物出資による引受けは、することができない。
(優先出資の割当て及び払込み)
第三十九条 優先出資の申込みをした者(前条第二項第十号に規定する者を含む。)は、取締役の割り当てた優先出資の口数について優先出資の引受人となる。
2 取締役は、特定目的会社の発行に係る優先出資の総口数の引受けがあったときは、遅滞なく、各引受人が引き受けた優先出資につき、その発行価額の全額の払込みを行わせなければならない。
3 前項の払込みは、前条第三項の書面又は優先出資申込証に記載した払込みの取扱いの場所において行わなければならない。
4 商法第百七十八条及び第百八十九条(払込取扱機関の変更及び保管証明)の規定は第二項の払込みを取り扱う銀行又は信託会社について、同法第百七十九条(株式引受人の失権手続)の規定は優先出資の引受人について、同法第百九十条(権利株の譲渡)の規定は優先出資の引受けによる権利について、同法第二百八十条ノ十二(引受けの無効又は取消しの制限)の規定は優先出資の引受けの無効又は取消しについて、それぞれ準用する。この場合において、同法第百七十九条第一項中「第百七十七条」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第三十九条第二項」と、「発起人」とあるのは「取締役」と、同条第二項中「発起人」とあるのは「取締役」と、「株主」とあるのは「優先出資社員」と、同法第二百八十条ノ十二中「新株発行ニ因ル変更ノ登記」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第四十条第一項ノ登記」と、「株式申込証若ハ新株引受権証書」とあるのは「優先出資申込証」と、「株主」とあるのは「優先出資社員」と読み替えるものとする。
(優先出資の発行の登記、優先出資社員となる時期等)
第四十条 特定目的会社は、その発行に係る優先出資の総口数の全額の払込みがあった日から、本店の所在地においては二週間以内、支店の所在地においては三週間以内に、優先出資の発行に係る事項として次に掲げる事項を登記しなければならない。
一 優先資本の額(発行済優先出資の発行価額の総額をいう。)
二 内容の異なる数種類の優先出資を発行するときは、その種類ごとの発行済優先出資の口数
三 名義書換代理人又は登録機関を置いたときは、その名称及び住所並びに営業所
2 前条第二項の払込みを行った優先出資の引受人は、本店の所在地における前項の登記の日から優先出資社員となる。
3 商法第百九十二条(発起人等の引受担保責任、払込担保責任等)の規定は、特定目的会社の発行に係る優先出資につき第一項の登記後に引受け又は払込みのないものがあることとなった場合の取締役の責任について準用する。この場合において、同条第二項中「其ノ払込ヲ為シ又ハ給付未済財産ノ価額ノ支払ヲ為ス義務」とあるのは「其ノ払込ヲ為ス義務」と、同条第三項中「払込又ハ支払」とあるのは「払込」と読み替えるものとする。
(優先出資の譲渡等)
第四十一条 優先出資は、譲渡することができる。
2 特定目的会社は、優先出資の譲渡を制限してはならない。
3 優先出資証券の発行前にした優先出資の譲渡は、特定目的会社に対して効力を生じない。
4 優先出資を譲渡するには、優先出資証券を交付しなければならない。
5 優先出資証券を占有する者は、適法にこれを所持しているものと推定する。
(優先出資の移転の対抗要件)
第四十二条 優先出資の移転は、その取得者の氏名又は名称及び住所並びに優先出資の移転の口数を優先出資社員名簿に記載しなければ、特定目的会社に対抗することができない。
2 商法第二百六条第二項及び第三項(名義書換代理人及び登録機関)の規定は、特定目的会社の優先出資又は優先出資証券について準用する。この場合において、同条第二項中「株主名簿」とあるのは「優先出資社員名簿」と、「前項」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第四十二条第一項」と読み替えるものとする。
(自己の優先出資の取得等)
第四十三条 特定目的会社は、次に掲げる場合を除き、自己の優先出資を取得し、又は質権の目的として発行済優先出資の総口数の二十分の一を超える口数の自己の優先出資を受けることはできない。
一 優先出資の消却のためにするとき。
二 特定目的会社の権利の実行に当たり、その目的を達成するために必要なとき。
2 特定目的会社は、前項第一号に掲げる場合において取得した優先出資については遅滞なくその失効の手続をとり、同項第二号に掲げる場合において取得した優先出資又は質権についてはこれを相当の時期に処分しなければならない。
(優先出資社員名簿の記載事項)
第四十四条 特定目的会社は、優先出資社員名簿に次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 優先出資社員の氏名又は名称及び住所
二 各優先出資社員の有する優先出資の種類及び口数
三 各優先出資社員の有する優先出資につき優先出資証券を発行したときは、その優先出資証券の番号
四 各優先出資の取得の年月日
2 商法第二百二十四条から第二百二十四条ノ三まで(株主名簿の効力、所在不明の株主並びに株主名簿の閉鎖及び基準日)の規定は、特定目的会社の優先出資社員名簿について準用する。この場合において、同法第二百二十四条第一項中「株主」とあるのは「優先出資社員」と、同条第三項中「株式申込人、株式引受人」とあるのは「優先出資申込人、優先出資引受人」と、同法第二百二十四条ノ二第一項及び第二項並びに第二百二十四条ノ三第一項及び第三項中「株主」とあるのは「優先出資社員」と読み替えるものとする。
(優先出資証券の記載事項)
第四十五条 優先出資証券には、次に掲げる事項並びにその番号、その発行の年月日、優先出資の口数及び優先出資者の氏名又は名称を記載し、取締役がこれに署名しなければならない。
一 特定目的会社の商号並びに第三条の登録の年月日(第十一条第一項の変更登録を受けた場合には、当該変更登録の年月日)及び登録番号
二 特定目的会社の成立の年月日
三 優先出資一口の金額
四 優先出資の内容
(優先出資証券の発行の時期)
第四十六条 特定目的会社は、第四十条第一項の規定による登記をした後、遅滞なく、優先出資証券を発行しなければならない。
2 優先出資証券は、前項の登記後でなければ発行することができない。
3 前項の規定に違反して発行した優先出資証券は、無効とする。ただし、当該優先出資証券を発行した者に対する損害賠償の請求を妨げない。
(優先出資社員の議決権)
第四十七条 優先出資社員は、この法律又は定款に別段の定めがある場合を除き、社員総会において議決権を有しない。
(優先出資の消却)
第四十八条 特定目的会社は、第百十九条第一項の規定による手続を経て行う場合を除き、優先出資の消却を行うことができない。
(優先出資についての商法の準用)
第四十九条 商法第二百一条(仮設人及び他人名義で株式を引き受けた者の責任)、第二百三条(株式の共有)、第二百七条(株式の質入れ)、第二百八条(質権の効力)並びに第二百九条第一項及び第二項(株式の登録質)の規定は優先出資について、同法第二百二十六条ノ二(株券の不発行及び寄託制度)、第二百二十九条(株券の即時取得)及び第二百三十条(除権判決による再発行)の規定は優先出資証券について、同法第二百八十条ノ十(発行の差止め)の規定は優先出資の発行の差止めについて、同法第二百八十条ノ十五から第二百八十条ノ十八まで(新株発行無効の訴え)の規定は優先出資の発行の無効の訴えについて、それぞれ準用する。この場合において、同法第二百一条第一項中「株式引受人」とあるのは「優先出資引受人」と、同法第二百三条第二項及び第三項中「株主」とあるのは「優先出資社員」と、同法第二百七条中「株券」とあるのは「優先出資証券」と、同法第二百八条中「消却、併合、分割、転換又ハ買取」とあるのは「消却」と、「株主」とあるのは「優先出資社員」と、「金銭又ハ株式」とあるのは「金銭」と、同法第二百九条第一項中「株主名簿」とあるのは「優先出資社員名簿」と、「株券」とあるのは「優先出資証券」と、「利益若ハ利息ノ配当」とあるのは「利益ノ配当」と、同法第二百二十六条ノ二第一項中「株主」とあるのは「優先出資社員」と、同条第二項中「株主名簿」及び「株主」とあるのはそれぞれ「優先出資社員名簿」及び「優先出資社員」と、同条第四項及び第五項中「株主」とあるのは「優先出資社員」と、同法第二百八十条ノ十及び第二百八十条ノ十五第二項中「株主」とあるのは「社員」と、同法第二百八十条ノ十七第二項中「株券及端株券」とあるのは「優先出資証券」と、「株主及株主名簿」とあるのは「社員及優先出資社員名簿」と、同法第二百八十条ノ十八第一項及び第二項中「株主」とあるのは「優先出資社員」と読み替えるものとする。
第四節 特定目的会社の機関
第一款 社員総会
(社員総会の種類及び権限)
第五十条 この節、次節及び第七節から第九節までにおいて、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 第一種特定目的会社 優先出資社員が存在しない特定目的会社
二 第二種特定目的会社 優先出資社員が存在する特定目的会社
三 無議決権事項 次に掲げる事項
イ 第一種特定目的会社の社員総会が会議の目的とすべき事項
ロ 第二種特定目的会社の社員総会が会議の目的とすべき事項のうち、優先出資社員がこの法律又は定款の定めにより議決権を有する事項以外の事項
四 有議決権事項 第二種特定目的会社の社員総会が会議の目的とすべき事項のうち、優先出資社員がこの法律又は定款の定めにより議決権を有する事項
(招集及びその決定)
第五十一条 定時社員総会は、毎決算期の終了後一定の時期に招集しなければならない。
2 臨時社員総会は、必要がある場合に随時招集することができる。
3 社員総会は、この法律に別段の定めがある場合を除き、取締役が招集する。
4 取締役が数人ある場合においては、社員総会を招集するには、その過半数をもってする決議によらなければならない。
(社員総会の招集の通知等)
第五十二条 第一種特定目的会社の社員総会又は第二種特定目的会社の無議決権事項のみを会議の目的とする社員総会を招集するには、その会日の一週間前に、各特定社員に対して、招集の通知を発しなければならない。ただし、この期間は、定款をもって短縮することができる。
2 前項の社員総会は、特定社員の全員の同意があるときは、同項の規定にかかわらず、招集の手続を経ることなく開催することができる。
(社員総会の招集の通知の特例)
第五十三条 第二種特定目的会社の有議決権事項を会議の目的に含む社員総会を招集するには、その会日の二週間前に、各社員に対して、招集の通知を発しなければならない。
2 前項の通知には、会議の目的たる事項を記載しなければならない。
3 前二項の規定は、議決権のない社員については適用しない。
4 商法特例法第二十一条の二(招集通知への参考書類の添付)の規定は、第一項の招集の通知について準用する。この場合において、同条中「株主の」とあるのは「優先出資社員の」と、「法務省令」とあるのは「総理府令・大蔵省令」と読み替えるものとする。
(少数社員による招集の請求)
第五十四条 特定資本の十分の一以上に当たる特定出資口数を有する特定社員は、会議の目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を取締役に提出して社員総会の招集を請求することができる。
2 前項の規定による場合を除くほか、有議決権事項を会議の目的とする社員総会については、六月前から引き続き発行済優先出資の総口数の百分の三以上に当たる優先出資を有する優先出資社員は、会議の目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を取締役に提出して当該社員総会の招集を請求することができる。
3 商法第二百三十七条第二項(少数株主による招集)の規定は前二項の規定による請求があった場合について、同条第三項(業務及び財産の状況の調査のための検査役の選任)の規定は前二項の規定又はこの項において準用する同条第二項の規定による社員総会について、それぞれ準用する。この場合において、同法第二百三十七条第二項中「株主」とあるのは、「特定社員又は優先出資社員」と読み替えるものとする。
(社員総会検査役)
第五十五条 第二種特定目的会社にあっては、特定資本の十分の一以上に当たる特定出資口数を有する特定社員又は六月前から引き続き発行済優先出資の総口数の百分の一以上に当たる優先出資を有する優先出資社員は、有議決権事項を会議の目的とする社員総会に係る招集手続及び決議の方法を調査させるため、当該社員総会に先立ち、検査役の選任を裁判所に請求することができる。
2 商法第二百三十七条ノ二第二項(検査役の報告)の規定は前項の規定により選任された検査役について、同条第三項(株主総会の招集命令)の規定は当該検査役の報告があった場合について、それぞれ準用する。この場合において、同項中「株主総会」とあり、並びに同項において準用する同法第百八十一条第三項及び第百八十四条第二項中「創立総会」とあるのは、「社員総会」と読み替えるものとする。
3 前項において読み替えて準用する商法第百八十一条第三項及び第百八十四条第二項に規定する社員総会は、有議決権事項をその会議の目的とする社員総会とみなす。
(社員提案権)
第五十六条 第二種特定目的会社の特定資本の十分の一以上に当たる特定出資口数を有する特定社員又は六月前から引き続き発行済優先出資の総口数の百分の一以上に当たる優先出資若しくは三百口以上の優先出資を有する優先出資社員は、取締役に対し、社員総会の会日から六週間前に、書面をもって一定の事項(有議決権事項に限る。)を当該社員総会の会議の目的とすべきことを請求することができる。
2 第二種特定目的会社の前項に規定する特定社員又は優先出資社員は、取締役に対し、社員総会の会日から六週間前に、書面をもって、会議の目的たる有議決権事項につきその提出すべき議案の要領を第五十三条第一項に規定する通知に記載することを請求することができる。ただし、当該議案が法令若しくは定款に違反するとき、又は同一の議案につき社員総会において議決権の十分の一以上の賛成を得られなかった日から三年を経過していないときは、この限りでない。
3 前二項の規定は、特定社員が社員総会において一定の事項(無議決権事項に限る。)を会議の目的とすべきことを請求し、又は当該事項につき議案を提出することを妨げるものと解してはならない。
(決議方法の原則)
第五十七条 社員総会の決議のうち無議決権事項に係るものは、この法律又は定款に別段の定めがある場合を除き、特定目的会社の総特定社員の議決権の過半数を有する特定社員が出席し、出席した特定社員の議決権の過半数をもって行う。
2 社員総会の決議のうち有議決権事項に係るものは、この法律又は定款に別段の定めがある場合を除き、総社員(総特定社員及び総優先出資社員をいう。以下同じ。)の議決権の過半数を有する社員が出席し、出席した社員の議決権の過半数をもって行う。
3 社員総会の特定の決議について議決権を行使することのできない社員が有する議決権は、これを前二項の総特定社員又は総社員及び出席した特定社員又は社員の議決権の数に算入しない。
(議決権の数)
第五十八条 社員総会が会議の目的とすべき事項のうち、無議決権事項については特定社員は特定出資一口につき一個の議決権を、有議決権事項については社員は特定出資又は優先出資一口につき一個の議決権を有する。ただし、無議決権事項についての特定社員の議決権の数については、定款で別段の定めをすることができる。
2 特定目的会社は、その有する自己の特定出資又は優先出資については、議決権を有しない。
(優先出資社員の議決権の行使方法等)
第五十九条 社員総会の有議決権事項について議決権を有する優先出資社員の数が千人以上である場合には、当該社員総会に出席しない優先出資社員は、当該有議決権事項について書面によって議決権を行使することができる。
2 商法特例法第二十一条の三第二項から第六項まで(書面による議決権の行使)の規定は前項の書面による議決権の行使について、商法第二百三十九条ノ二(議決権の不統一行使)の規定は優先出資社員の議決権の行使について、それぞれ準用する。この場合において、商法特例法第二十一条の三第二項中「株主総会」とあるのは「社員総会」と、「株主が」とあるのは「優先出資社員が」と、同条第三項中「株主総会」とあるのは「社員総会」と、同条第四項中「株主」とあるのは「社員」と、同条第五項中「法務省令」とあるのは「総理府令・大蔵省令」と、同条第六項において準用する商法第二百三十九条第五項中「総会」とあるのは「社員総会」と、同条第六項中「株主」とあるのは「社員」と、商法第二百三十九条ノ二第二項中「株式」とあるのは「優先出資」と読み替えるものとする。
(優先出資社員の議決権)
第六十条 利益の配当に関し優先的内容を有する優先出資に係る優先出資社員は、優先的配当を受ける旨の議案が定時社員総会に提出されないときは当該総会から、当該議案が定時社員総会において否決されたときは当該総会の終結の時から、優先的配当を受ける旨の決議がされる時までは、この法律又は定款の定めにより社員総会で決議すべき事項のうち第二十九条第二項、第三十四条第三項、次条第一項(第百十六条第三項において準用する場合を含む。)、第七十一条第一項(第七十二条第一項において準用する場合を含む。)及び第百十四条第一項に規定する事項以外の事項(次項において「特殊議決事項」という。)について、議決権を有する。
2 前項の規定は、定款をもって、優先的配当を受けない旨の決議があったときにその配当が累積する優先出資につき、当該優先出資に係る優先出資社員がその決議のあった定時社員総会の次の定時社員総会に優先的配当を受ける旨の議案が提出されないときは当該総会から、当該議案が定時社員総会において否決されたときは当該総会の終結の時から特殊議決事項について議決権を有する旨を定めることを妨げない。
(事後設立)
第六十一条 特定目的会社は、その成立後二年以内に、その成立前から存在する財産であってその営業のために継続して使用すべきものを特定資本の五分の一を超える額の対価をもって取得する契約をする場合には、第百十四条第二項に規定する決議によらなければならない。ただし、当該契約により取得する財産が定款に記載した資産流動化計画に定められた特定資産であるときは、この限りでない。
2 取締役は、前項の決議を求めようとする場合には、同項の契約に関する調査をさせるため、検査役の選任を裁判所に請求しなければならない。
3 商法第百七十三条第三項(弁護士の証明等)の規定は前項の調査に係る検査役の選任について、同法第百八十一条第三項(検査役の報告書等の総会への提出)及び第百八十四条第二項(設立手続の調査の総会への報告)の規定は前項の検査役の報告書及びこの項において準用する同法第百七十三条第三項前段の弁護士の証明書について、それぞれ準用する。この場合において、同法第百七十三条第三項中「第百六十八条第一項第五号又ハ第六号ノ財産」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第六十一条第一項ノ契約ニ係ル財産」と、「同項第五号又ハ第六号ニ掲グル事項」とあり、及び「其ノ事項」とあるのは「其ノ契約」と、同法第百八十一条第三項及び第百八十四条第二項中「創立総会」とあるのは「社員総会」と読み替えるものとする。
(商法の準用)
第六十二条 商法第二百三十三条(招集地)、第二百三十七条ノ三から第二百三十八条まで(取締役等の説明義務、総会の議長及び検査役の選任)、第二百三十九条第二項から第六項まで(代理人による議決権行使)、第二百四十三条(延期及び続行の決議)及び第二百四十四条(総会の議事録)の規定は特定目的会社の社員総会について、同法第二百四十七条から第二百五十一条まで(決議取消しの訴え)の規定は社員総会の決議の取消しについて、同法第二百五十二条(決議不存在及び無効確認の訴え)の規定は社員総会の決議の不存在又は無効の確認について、それぞれ準用する。この場合において、同法第二百三十七条ノ三並びに第二百三十九条第二項、第四項及び第六項中「株主」とあるのは「社員」と、同法第二百四十三条中「第二百三十二条」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第五十二条及第五十三条」と、同法第二百四十四条第四項において準用する同法第二百六十三条第二項並びに商法第二百四十七条第一項及び第二百四十九条第一項中「株主」とあるのは「社員」と読み替えるものとする。
(書面による決議)
第六十三条 社員総会が会議の目的とすべき事項のうち無議決権事項について決議を行う場合において、特定社員の全員の同意があるときは、書面による決議を行うことができる。
2 無議決権事項につき特定社員の全員が書面をもって同意の意思表示をしたときは、書面による決議を行うことについての特定社員の全員の同意があって当該書面による決議があったものとみなす。
3 無議決権事項についての書面による決議は、社員総会の決議と同一の効力を有する。
4 取締役は、書面による決議のあった日から一年間、当該決議に係る書面を本店に備え置かなければならない。
5 特定社員及び優先出資社員は、特定目的会社の営業時間内においていつでも、前項の書面の閲覧又は謄写を求めることができる。
6 社員総会に関する規定(有議決権事項に係るものを除く。)は、書面による決議を行う場合について準用する。
第二款 取締役
(取締役の存置)
第六十四条 特定目的会社には、一人又は数人の取締役を置かなければならない。
(取締役の選任等)
第六十五条 取締役は、社員総会において選任する。
2 優先出資社員は、取締役の選任について議決権を有する。ただし、第六十七条第一項の規定による解任により取締役が欠け、又は定款に定めた取締役の定員を下回ることとなった場合においてその解任された取締役に代わる新たな取締役を選任するときを除き、定款の定めをもって、優先出資社員が取締役の選任についての議決権を有しないものとすることができる。
3 商法第二百五十四条第二項及び第三項(会社との関係)の規定は、特定目的会社の取締役について準用する。この場合において、同条第二項中「株主」とあるのは、「社員」と読み替えるものとする。
(取締役の欠格事由)
第六十六条 次に掲げる者は、取締役となることができない。
一 第八条第一項第三号イからニまでに掲げる者
二 定款に記載した資産流動化計画に定められた特定資産の譲渡人(当該譲渡人が法人であるときは、その役員)
三 定款に記載した資産流動化計画に定められた特定資産(信託の受益権を除く。)の管理及び処分に係る業務の受託者(当該受託者が法人であるときは、その役員)
四 定款に記載した資産流動化計画に定められた特定資産が信託の受益権である場合には、当該信託の受託者である法人の役員
(取締役の解任)
第六十七条 取締役は、いつでも、社員総会の決議をもってこれを解任することができる。
2 優先出資社員は、前項の決議について議決権を有する。
3 第一項の決議は、総社員の議決権の過半数を有する社員が出席し、出席した社員の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行わなければならない。
4 取締役の職務遂行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があったにもかかわらず、社員総会において当該取締役の解任が否決されたときは、特定資本の十分の一以上に当たる特定出資口数を有する特定社員又は六月前から引き続き発行済優先出資の総口数の百分の三以上に当たる優先出資を有する優先出資社員は、当該社員総会の日から三十日以内に当該取締役の解任を裁判所に請求することができる。
5 商法第八十八条(管轄裁判所)の規定は前項の訴えについて、同法第二百五十七条第一項ただし書(解任による損害賠償請求)の規定は第一項の規定による取締役の解任の場合について、それぞれ準用する。
(業務の執行)
第六十八条 取締役が数人ある場合において、定款に別段の定めがないときは、特定目的会社の業務執行は、取締役の過半数をもって決定する。
(特定目的会社の代表)
第六十九条 取締役は、特定目的会社を代表する。
2 取締役が数人ある場合には、次に掲げる場合を除き、取締役は、それぞれ特定目的会社を代表する。
一 定款又は社員総会の決議をもって特定目的会社を代表すべき取締役を定めたとき。
二 定款又は社員総会の決議をもって数人の取締役が共同して特定目的会社を代表すべきことを定めたとき。
三 定款の規定に基づき取締役の互選をもって特定目的会社を代表すべき取締役を定めたとき。
3 第六十五条第二項の規定は、特定目的会社を代表すべき取締役を定める場合及び数人の取締役が共同して特定目的会社を代表すべきことを定める場合について準用する。
4 商法第七十八条第一項(代表社員の権限)の規定は特定目的会社を代表すべき取締役について、同条第二項(会社の不法行為能力及び代表権の制限)の規定は特定目的会社及びその取締役について、同法第三十九条第二項(受動代理の特則)の規定は数人の取締役が共同して特定目的会社を代表すべき旨を定めた場合について、それぞれ準用する。この場合において、同項中「支配人」とあるのは「特定目的会社ヲ代表スベキ取締役」と、「営業主」とあるのは「其ノ特定目的会社」と読み替えるものとする。
(定款、社員名簿等の公示)
第七十条 取締役は、定款を本店及び支店に、特定社員名簿、優先出資社員名簿及び特定社債原簿を本店に備え置かなければならない。ただし、名義書換代理人を置いた場合には、優先出資社員名簿又は特定社債原簿を本店に備え置くことに代えて、これらの書類を当該名義書換代理人の営業所に備え置くことができる。
2 取締役は、名義書換代理人を置いた場合には、名義書換のための優先出資社員名簿又は特定社債原簿の複本を、当該名義書換代理人の営業所に備え置くことができる。
3 社員及び特定目的会社の債権者は、当該特定目的会社の営業時間内においていつでも、前二項に規定する書類の閲覧又は謄写を請求することができる。
(競業避止義務)
第七十一条 取締役は、自己又は第三者のために特定目的会社の営業の部類に属する取引をしようとするときは、社員総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
2 前項の承認は、第百十四条第二項に規定する決議によらなければならない。
3 有限会社法第二十九条第三項及び第四項(会社の介入権)の規定は、第一項の取引について準用する。この場合において、同条第三項中「第一項」とあるのは、「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第七十一条第一項」と読み替えるものとする。
(特定目的会社との取引等)
第七十二条 前条第一項及び第二項の規定は、取締役が、特定目的会社の財産を譲り受け、特定目的会社に財産を譲り渡し、特定目的会社から金銭の貸付けを受け、その他自己又は第三者のために特定目的会社と取引を行う場合について準用する。特定目的会社が取締役以外の者との間において、特定目的会社とその取締役との利益が相反する取引を行う場合も、同様とする。
2 民法第百八条(自己契約等の禁止)の規定は、前項において準用する前条第一項の承認を受けた前項前段の取引については、適用しない。
(特定目的会社に対する責任)
第七十三条 次の各号に掲げる場合には、当該各号に規定する行為をした取締役は、特定目的会社に対し連帯して、当該各号に定める額について弁済又は賠償する責任を負う。
一 第百一条第一項の規定に違反する利益の配当に関する議案を社員総会に提出し、又は第百二条第三項の規定に違反する金銭の分配をしたとき。 違法に配当又は分配をされた金額
二 第百六条第一項の規定に違反して財産上の利益を供与したとき。 供与した利益の価額
三 第七十一条第一項又は前条第一項の規定に違反してこれらの規定に規定する取引をしたとき。 特定目的会社の被った損害額
四 前三号に掲げる場合のほか、法令又は定款に違反する行為をしたとき。 特定目的会社の被った損害額
2 前項各号に規定する行為をすることにつき同意した取締役については、当該行為をしたものとみなして、同項の規定を適用する。
3 第一項の取締役の責任は、特定社員及び優先出資社員の全員の同意がある場合でなければ、これを免除することができない。
4 商法第二百六十六条第四項(損害額の推定)の規定は、特定目的会社の取締役が第七十一条第一項の規定に違反して同項に規定する取引をした場合について準用する。この場合において、同法第二百六十六条第四項中「第一項ノ会社ノ蒙リタル損害額」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第七十三条第一項第三号ニ定ムル損害額」と、「同条第三項」とあるのは「同法第七十一条第三項ニ於テ準用スル有限会社法第二十九条第三項」と読み替えるものとする。
5 第一項の規定は、同項第一号に掲げる場合において同号に定める金額につき弁済をした取締役から悪意の社員に対する求償権の行使を妨げるものと解してはならない。
(第三者に対する責任)
第七十四条 取締役がその職務を行うにつき悪意又は重大な過失があったときは、当該取締役は、第三者に対してもまた連帯して損害賠償の責任を負う。
2 取締役が、優先出資申込証、特定社債申込証、目論見書若しくは第八十五条第一項の書類に記載すべき重要な事項について虚偽の記載をし、又は虚偽の登記若しくは公告をしたときも、前項と同様とする。ただし、当該取締役がその記載、登記又は公告を行うことについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
3 前条第二項の規定は、取締役が前二項に規定する行為をすることにつき同意した取締役について準用する。
(社員の代表訴訟)
第七十五条 特定社員又は六月前から引き続き優先出資を有する優先出資社員は、特定目的会社に対し、書面をもって、取締役の責任を追求する訴えの提起を請求することができる。
2 商法第二百六十七条第二項から第六項まで(株主の代表訴訟)及び第二百六十八条から第二百六十八条ノ三まで(管轄、訴訟参加及び訴訟の告知、弁護士の報酬の請求及び損害賠償の責任並びに再審の訴え)の規定は、特定目的会社の取締役の責任を追求する訴えについて準用する。この場合において、同法第二百六十七条第二項中「前項ノ請求」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第七十五条第一項ノ請求」と、「前項ノ株主」とあるのは「同項ノ社員」と、同条第三項中「前二項」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第七十五条第一項及同条第二項ニ於テ準用スル前項」と、「第一項ノ株主」とあるのは「同条第一項ノ社員」と、同法第二百六十七条第五項、第二百六十八条第二項及び第三項、第二百六十八条ノ二並びに第二百六十八条ノ三第一項中「株主」とあるのは「社員」と読み替えるものとする。
(取締役の報酬)
第七十六条 取締役が受けるべき報酬は、定款でその額を定めていないときは、社員総会の決議をもって定めなければならない。
(社員の差止請求権)
第七十七条 取締役が特定目的会社の目的の範囲内にない行為その他法令又は定款に違反する行為をし、これにより当該特定目的会社に回復することのできない損害が生ずるおそれがある場合においては、特定社員又は六月前から引き続き優先出資を有する優先出資社員は、当該特定目的会社のために、当該取締役に対し、その行為をやめるよう請求することができる。
(商法の準用)
第七十八条 商法第二百五十四条ノ三(取締役の忠実義務)及び第二百五十八条(欠員の場合の措置)の規定は特定目的会社の取締役について、同法第二百五十六条ノ二(選任決議の定足数)及び有限会社法第二十五条ノ二(累積投票)の規定は特定目的会社の取締役の選任について、商法第七十条ノ二(業務代行者の権限)の規定は特定目的会社の取締役の職務代行者について、同法第二百六十二条(表見代表取締役の行為についての責任)の規定は特定目的会社について、それぞれ準用する。この場合において、同法第二百五十四条ノ三中「総会」とあるのは「社員総会」と、同法第二百五十六条ノ二中「総会」とあるのは「社員総会」と、「株主」とあるのは「社員」と、「株式ノ数」とあるのは「議決権ノ数」と、「発行済株式ノ総数」とあるのは「総社員ノ議決権ノ総数」と、同法第七十条ノ二第一項中「第六十七条ノ二」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第二十四条第三項ニ於テ準用スル第六十七条ノ二」と読み替えるものとする。
第三款 監査役
(監査役の存置)
第七十九条 特定目的会社には、一人又は数人の監査役を置かなければならない。
(監査役の権限)
第八十条 監査役は、取締役の職務の執行を監査する。
2 監査役は、いつでも、取締役及び使用人に対し営業の報告を求め、若しくは特定目的会社の業務及び財産の状況を調査し、又は取締役に対し意見を述べることができる。
(監査役の報告義務)
第八十一条 監査役は、取締役が特定目的会社の目的の範囲内にない行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし、又はその行為をするおそれがあると認める場合には、当該取締役以外に他の取締役があるときは当該他の取締役に対し、当該取締役以外に他の取締役がいないときは社員総会(特定社員を構成員とするものに限る。以下この条において同じ。)において、その旨を報告しなければならない。
2 監査役は、前項に規定する場合において必要があると認めるときは、取締役に社員総会の招集を請求することができる。
3 前項の請求があった場合において、当該請求の日から一週間以内に、当該請求の日から二週間以内の日を会日とする社員総会の招集の通知が発せられないときは、当該請求をした監査役は、社員総会の招集をすることができる。
(監査役の兼任禁止)
第八十二条 監査役は、特定目的会社の取締役又は使用人を兼ねることができない。
(監査役の報酬)
第八十三条 監査役の報酬は、定款でその額を定めていないときは、社員総会の決議をもって定めなければならない。
2 商法第二百七十九条第二項及び第三項(監査役が数人ある場合の協議及び意見を述べる権利)の規定は、特定目的会社の監査役の報酬について準用する。この場合において、同条第二項中「総会」とあるのは「社員総会」と、同条第三項中「第一項」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第八十三条第一項」と、同項において準用する同法第二百七十五条ノ三中「株主総会」とあるのは「社員総会」と読み替えるものとする。
(取締役に関する規定等の準用)
第八十四条 第六十五条から第六十七条まで、第七十三条第三項、第七十四条第一項及び第七十五条の規定並びに商法第二百五十六条ノ二(選任決議の定足数)及び第二百五十八条(欠員の場合の措置)の規定は、特定目的会社の監査役について準用する。この場合において、同法第二百五十六条ノ二中「総会」とあるのは「社員総会」と、「株主」とあるのは「社員」と、「株式ノ数」とあるのは「議決権ノ数」と、「発行済株式ノ総数」とあるのは「総社員ノ議決権ノ総数」と読み替えるものとする。
2 第七十四条第二項の規定は、監査役が監査報告書に記載すべき重要な事項について虚偽の記載をした場合について準用する。
3 商法第二百七十四条ノ二(取締役の報告義務)、第二百七十五条から第二百七十五条ノ四まで(調査及び報告をする義務、監査役の差止請求、監査役の任免について意見を述べる権利並びに会社と取締役間の訴えの代表)、第二百七十七条(会社に対する責任)、第二百七十八条(取締役との連帯責任)及び第二百七十九条ノ二(監査費用)の規定は、特定目的会社の監査役について準用する。この場合において、同法第二百七十五条及び第二百七十五条ノ三中「株主総会」とあるのは「社員総会」と、同法第二百七十五条ノ四中「第二百六十七条第一項」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第七十五条第一項」と読み替えるものとする。
第五節 計算及び会計監査人
(計算書類等の作成と監査)
第八十五条 取締役は、毎決算期に次に掲げる書類及びその附属明細書を作成しなければならない。
一 貸借対照表
二 損益計算書
三 営業報告書
四 利益の処分又は損失の処理に関する議案
2 前項の書類は、監査役及び会計監査人の監査を受けなければならない。ただし、資産対応証券として特定社債のみを発行する特定目的会社であって、その定款に記載した資産流動化計画に定められた特定社債の発行総額が政令で定める額に満たないものに係る同項の書類については、会計監査人の監査を受けることを要しない。
3 前項ただし書の規定は、定款をもって、同項ただし書に規定する特定目的会社に係る第一項の書類について会計監査人の監査を受けるべきことを定めることを妨げるものと解してはならない。
4 第一項第三号に掲げる書類及びその附属明細書に係る第二項の規定又は定款の定めによる会計監査人の監査は、会計に関する部分に限る。
5 第一項の書類の記載方法は、総理府令・大蔵省令で定める。
(会計監査人の選任)
第八十六条 会計監査人は、社員総会において選任する。
2 取締役は、会計監査人の選任に関する議案を社員総会に提出する場合には、監査役(監査役が数人あるときは、その過半数。次項において同じ。)の同意を得なければならない。
3 監査役は、取締役に対し、会計監査人の選任を社員総会の会議の目的とすることを請求することができる。会計監査人の選任に関する議案の提出についても、同様とする。
4 特定目的会社の設立の場合においては、会計監査人は、発起人が選任する。
5 第二十一条第二項の規定は、前項の規定により発起人が会計監査人を選任する場合について準用する。
(会計監査人の資格等)
第八十七条 会計監査人は、公認会計士(公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第十六条の二第三項に規定する外国公認会計士を含む。以下同じ。)又は監査法人でなければならない。
2 次に掲げる者は、会計監査人となることができない。
一 公認会計士法第二十四条又は第三十四条の十一の規定により、特定目的会社の第八十五条第一項の書類について監査することができない者
二 定款に記載した資産流動化計画に定められた特定資産の譲渡人、当該特定資産の管理及び処分に係る業務の受託者若しくは当該特定資産が信託の受益権である場合における当該信託の受託者(以下この号及び第九十一条第三項において「特定資産譲渡人等」という。)若しくは特定資産譲渡人等の取締役若しくは監査役から公認会計士若しくは監査法人の業務以外の業務により継続的な報酬を受けている者又はその配偶者
三 業務の停止の処分を受け、その停止の期間を経過しない者
四 監査法人で、その社員のうちに前号に掲げる者があるもの又はその社員の半数以上が第二号に掲げる者であるもの
3 商法特例法第五条(会計監査人の職務を行うべき社員の指名)並びに第五条の二第一項及び第二項(会計監査人の任期)の規定は特定目的会社の会計監査人について、前条第二項及び第三項前段の規定は会計監査人を再任しないことを社員総会の会議の目的とする場合について、それぞれ準用する。この場合において、商法特例法第五条中「前条第二項第二号」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第八十七条第二項第二号」と、商法特例法第五条の二第一項中「定時総会」とあるのは「定時社員総会」と、同条第二項中「定時総会」とあるのは「定時社員総会」と、「総会」とあるのは「社員総会」と読み替えるものとする。
(会計監査人の解任)
第八十八条 会計監査人は、いつでも、社員総会の決議をもってこれを解任することができる。
2 商法特例法第六条第二項(解任による損害賠償請求)の規定は前項の規定により解任された特定目的会社の会計監査人について、第八十六条第二項及び第三項前段の規定は会計監査人の解任を社員総会の会議の目的とする場合について、それぞれ準用する。
(監査役による会計監査人の解任)
第八十九条 会計監査人は、次の各号のいずれかに該当するときは、監査役の決定(監査役が数人あるときは、その全員の一致をもってする決定)をもってこれを解任することができる。
一 職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったとき。
二 会計監査人としてふさわしくない非行があったとき。
三 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えないとき。
2 監査役は、前項の規定により会計監査人を解任したときは、その旨及び解任の理由を解任後最初に招集される社員総会に報告しなければならない。
3 第一項の規定により解任された会計監査人は、前項の社員総会に出席して意見を述べることができる。
(会計監査人の欠けた場合の処置)
第九十条 第八十五条第二項の規定又は定款の定めにより会計監査人の監査を受けるべき特定目的会社(以下「会計監査人存置会社」という。)の会計監査人が欠け、又は定款で定めた会計監査人の員数が欠けた場合において、遅滞なく会計監査人が選任されないときは、監査役は、その決定(監査役が数人あるときは、その過半数をもってする決定)をもって一時会計監査人の職務を行うべき者を選任しなければならない。
2 第八十七条第一項及び第二項並びに前条の規定並びに商法特例法第五条(会計監査人の職務を行うべき社員の指名)の規定は、前項の一時会計監査人の職務を行うべき者について準用する。この場合において、同条中「前条第二項第二号」とあるのは、「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第九十条第二項において準用する同法第八十七条第二項第二号」と読み替えるものとする。
(会計監査人の権限等)
第九十一条 会計監査人は、いつでも、特定目的会社の会計の帳簿及び書類の閲覧若しくは謄写をし、又は取締役及び使用人に対して会計に関する報告を求めることができる。
2 会計監査人は、その職務を行うため必要があるときは、特定目的会社の業務及び財産の状況を調査することができる。
3 会計監査人は、その職務を行うに当たって、第八十七条第二項第一号から第三号までに掲げる者に該当する公認会計士、特定資産譲渡人等、特定目的会社若しくは特定資産譲渡人等の取締役、監査役若しくは使用人である者又は特定目的会社若しくは特定資産譲渡人等から公認会計士若しくは監査法人の業務以外の業務により継続的な報酬を受けている者を使用してはならない。
(監査役に対する会計監査人の報告)
第九十二条 会計監査人は、その職務を行うに際して取締役の職務執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを発見したときは、これを監査役に報告しなければならない。
2 監査役は、その職務を行うため必要があるときは、会計監査人に対して、その監査に関する報告を求めることができる。
(会計監査人のある場合の計算書類等の監査)
第九十三条 会計監査人存置会社の取締役は、定時社員総会の会日の八週間前までに、第八十五条第一項各号に掲げる書類を監査役及び会計監査人に提出しなければならない。
2 前項の取締役は、同項の書類を提出した日から三週間以内に、その附属明細書を監査役及び会計監査人に提出しなければならない。
3 会計監査人は、第一項の書類を受領した日から四週間以内に、監査報告書を監査役及び取締役に提出しなければならない。
4 前項の監査報告書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。ただし、第六号及び第八号に掲げる事項については、会計に関する部分に限る。
一 監査の方法の概要
二 会計帳簿に記載すべき事項について記載がなく、若しくは不実の記載があるとき、又は貸借対照表若しくは損益計算書の記載が会計帳簿の記載と合致しないときは、その旨
三 貸借対照表及び損益計算書が法令及び定款に従い特定目的会社の財産及び損益の状況を正しく示したものであるときは、その旨
四 貸借対照表又は損益計算書が法令又は定款に違反し特定目的会社の財産及び損益の状況を正しく示していないものであるときは、その旨及びその内容
五 貸借対照表又は損益計算書の作成に関する会計の方針の変更があるときは、その当否及びその理由
六 営業報告書が法令及び定款に従い特定目的会社の状況を正しく示したものかどうかの判定
七 利益の処分又は損失の処理に関する議案が法令及び定款に適合するかどうかの判定
八 第八十五条第一項の附属明細書に記載すべき事項について、記載がなく、又は不実の記載若しくは会計帳簿、貸借対照表、損益計算書若しくは営業報告書の記載と合致しない記載があるときは、その旨
九 監査のために必要な調査をすることができなかったときは、その旨及びその理由
5 監査役は、会計監査人に対して、第三項の監査報告書について説明を求めることができる。
6 監査役は、第三項の監査報告書を受領した日から一週間以内に、監査報告書を取締役に提出し、かつ、その謄本を会計監査人に送付しなければならない。
7 前項の監査報告書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 会計監査人の監査の方法又は結果を相当でないと認めたときは、その旨及びその理由並びに監査役の監査の方法の概要又は結果
二 会計以外の業務の監査の方法の概要
三 第四項第六号、第八号及び第九号に掲げる事項(同項第六号及び第八号に掲げる事項については、会計に関する部分以外の部分に限る。)
四 利益の処分又は損失の処理に関する議案が特定目的会社の財産の状況その他の事情に照らして著しく不当であるときは、その旨
五 取締役の職務遂行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があったときは、その事実
8 第三項及び第六項の監査報告書の記載方法は、総理府令・大蔵省令で定める。
9 商法第二百三十八条(検査役の選任)の規定は、会計監査人の監査報告書について準用する。この場合において、同条中「総会」とあるのは、「社員総会」と読み替えるものとする。
(計算書類及び監査報告書の公示)
第九十四条 会計監査人存置会社の取締役は、定時社員総会の会日の二週間前から、第八十五条第一項の書類並びに前条第三項及び第六項の監査報告書を五年間本店に、これらの書類の謄本を三年間支店に備え置かなければならない。
2 商法第二百八十二条第二項(計算書類等の閲覧権)の規定は、前項に規定する書類について準用する。この場合において、同条第二項中「株主」とあるのは、「社員」と読み替えるものとする。
(定時社員総会における貸借対照表及び損益計算書の取扱い等)
第九十五条 会計監査人存置会社の取締役は、第八十五条第一項各号に掲げる書類を定時社員総会に提出して、同項第三号に掲げる書類にあってはその内容を報告し、同項第一号、第二号及び第四号に掲げる書類にあってはその承認を求めなければならない。
2 前項の定時社員総会を第五十二条第一項又は第五十三条第一項の規定により招集する場合には、その招集の通知には、第八十五条第一項各号に掲げる書類並びに第九十三条第三項及び第六項の監査報告書の謄本を添付しなければならない。ただし、前項の承認につき議決権を有しない者に対し第五十三条第一項の規定により招集の通知が発せられる場合における当該招集の通知については、この限りでない。
3 会計監査人存置会社の取締役は、各会計監査人の監査報告書に第九十三条第四項第三号に掲げる事項の記載があり、かつ、各監査役の監査報告書にその事項についての会計監査人の監査の結果を相当でないと認めた旨の記載がないときは、第一項の規定にかかわらず、第八十五条第一項第一号及び第二号に掲げる書類について定時社員総会の承認を求めることを要しない。この場合においては、当該取締役は、定時社員総会にこれらの書類を提出し、その内容について報告しなければならない。
4 会計監査人存置会社の取締役は、第一項の承認を得、又は前項後段の報告をしたときは、遅滞なく、第八十五条第一項第一号及び第二号に掲げる書類又はその要旨を公告しなければならない。
5 前項の要旨の記載方法は、総理府令・大蔵省令で定める。
(会計監査人についての商法特例法の準用)
第九十六条 商法特例法第六条の三(会計監査人の選任等についての意見陳述)、第九条から第十一条まで(会計監査人の損害賠償責任及び取締役等との連帯責任)及び第十七条(定時総会における会計監査人の意見陳述)の規定は、特定目的会社の会計監査人について準用する。この場合において、商法特例法第六条の三中「株主総会」とあるのは「社員総会」と、商法特例法第十条中「第十三条第一項」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第九十三条第三項」と、商法特例法第十七条中「第二条」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第八十五条第一項」と、「監査役会又は監査役」とあるのは「監査役」と、「定時総会」とあるのは「定時社員総会」と読み替えるものとする。
(会計監査人による監査を要しない場合の計算書類等の監査)
第九十七条 会計監査人存置会社以外の特定目的会社の取締役は、定時社員総会の会日の七週間前までに、第八十五条第一項各号に掲げる書類を監査役に提出しなければならない。
2 前項の取締役は、同項の書類を提出した日から三週間以内に、その附属明細書を監査役に提出しなければならない。
3 監査役は、第一項の書類を受領した日から四週間以内に、監査報告書を取締役に提出しなければならない。
4 前項の監査報告書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 第九十三条第四項各号に掲げる事項
二 第九十三条第七項第四号及び第五号に掲げる事項
(計算書類及び監査報告書の公示)
第九十八条 第九十四条の規定は、会計監査人存置会社以外の特定目的会社に係る第八十五条第一項の書類及び前条第三項の監査報告書について準用する。
(計算書類の報告、承認等)
第九十九条 会計監査人存置会社以外の特定目的会社の取締役は、第八十五条第一項各号に掲げる書類を定時社員総会に提出して、同項第三号に掲げる書類にあってはその内容を報告し、同項第一号、第二号及び第四号に掲げる書類にあってはその承認を求めなければならない。
2 前項の定時社員総会を第五十二条第一項又は第五十三条第一項の規定により招集する場合には、その招集の通知には、第八十五条第一項各号に掲げる書類及び第九十七条第三項の監査報告書の謄本を添付しなければならない。ただし、前項の承認につき議決権を有しない者に対し第五十三条第一項の規定により招集の通知が発せられる場合における当該招集の通知については、この限りでない。
3 第一項の取締役は、同項の承認を得た後、遅滞なく、貸借対照表又はその要旨を公告しなければならない。
4 前項の要旨の記載方法は、総理府令・大蔵省令で定める。
(資産評価に関する特則)
第百条 特定目的会社に係る商法第三十四条第二号(固定資産の評価)の規定の適用については、特定目的会社は、同号に規定する会社とみなす。
2 特定目的会社の会計帳簿に記載すべき財産の価額については、前項の規定により適用する商法第三十四条第二号の規定によるほか、同法第二百八十五条ノ二(流動資産の評価)及び第二百八十五条ノ四から第二百八十五条ノ六まで(金銭債権の評価、社債その他の債券の評価及び株式その他の出資の評価)の規定を準用する。
(利益の配当)
第百一条 利益の配当は、貸借対照表上の純資産の額から次に掲げる金額の合計額を控除した残額を限度として、これを行うことができる。
一 資本の総額
二 第三十四条第二項の規定により取得して有する特定持分について貸借対照表の資産の部に計上した金額
2 特定目的会社が前項の規定に違反して配当をしたときは、当該特定目的会社の債権者は、当該特定目的会社の社員から、その配当を受けた金額を当該特定目的会社に対し返還させることができる。
3 利益の配当は、定款に記載した資産流動化計画で定められた優先出資社員に対する優先的配当の規定に従うほか、各社員の有する優先出資又は特定出資の口数に応じて、これを行わなければならない。ただし、特定目的会社の有する自己の優先出資及び特定出資については、利益の配当は、これを行ってはならない。
(中間配当)
第百二条 営業年度を一年とする特定目的会社については、定款をもって、一営業年度につき一回に限り営業年度中の一定の日を定めその日における社員に対し取締役の決定(取締役が数人あるときは、その過半数をもってする決定)により金銭の分配を行うことができる旨を定めることができる。
2 前項の決定は、同項の一定の日から三月以内に行わなければならない。
3 第一項の金銭の分配は、最終の貸借対照表上の純資産の額から次に掲げる金額の合計額を控除した残額を限度として、これを行うことができる。
一 最終の決算期における資本の総額
二 最終の決算期において第三十四条第二項の規定により取得して有する特定持分について貸借対照表の資産の部に計上した金額
三 最終の決算期に関する定時社員総会において利益から配当し、又は支払うものと定めた金額
4 取締役は、特定目的会社の営業年度の終了の時において貸借対照表上の純資産の額が前条第一項各号の金額の合計額を下回るおそれがあると認めるときは、当該営業年度において第一項の金銭の分配を決定してはならない。
5 特定目的会社の営業年度の終了の時において、前項の純資産の額が、同項の合計額から第三十四条第二項の規定により取得して有する特定持分の時価の合計額を控除した額を下回った場合には、当該営業年度において第一項の金銭の分配を決定した取締役は、当該特定目的会社に対して連帯して、その差額(当該差額がその分配をした金銭の額を超えるときは、その分配をした金銭の額)について賠償の責任を負う。ただし、当該取締役が前項に規定するおそれがないものと認めたことについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
6 第一項の金銭の分配は、これを利益の配当とみなして、第三十一条第三項、第四十九条において準用する商法第二百九条第一項、第六十条及び前条第三項の規定を適用する。
7 第七十三条第二項の規定は第五項の金銭の分配をすることにつき同意した取締役について、同条第三項の規定は当該取締役及び第五項の取締役の責任について、前条第二項の規定は第三項の規定に違反して金銭の分配を行った場合について、それぞれ準用する。
(会社の配当する利益又は利息の支払に関する法律の適用)
第百三条 特定目的会社のその社員(特定持分又は優先出資の質権者を含む。)に配当する利益又は前条第一項の規定により分配する金銭は、これを会社がその株主(株式の質権者を含む。)に配当する利益又は商法第二百九十三条ノ五第一項の規定により分配する金銭とみなして、会社の配当する利益又は利息の支払に関する法律(昭和二十三年法律第六十四号)の規定を適用する。
(社員の帳簿閲覧権)
第百四条 特定目的会社の特定資本の十分の一以上に当たる特定出資口数を有する特定社員又は発行済優先出資の総口数の百分の三以上に当たる優先出資を有する優先出資社員は、当該特定目的会社の会計の帳簿及び書類の閲覧又は謄写を求めることができる。
2 前項の請求は、理由を付した書面をもって行わなければならない。
3 商法第二百九十三条ノ七(閲覧請求を拒むことができる場合)の規定は、第一項に規定する社員から同項の請求があった場合について準用する。この場合において、同条第一号中「株主」とあるのは「社員」と、同条第二号中「会社ト競業ヲ為ス者」とあるのは「特定目的会社ト競業ヲ為ス者」と、「会社ト競業ヲ為ス会社ノ社員、株主若ハ取締役」とあるのは「特定目的会社ト競業ヲ為ス他ノ特定目的会社若ハ会社ノ社員、株主若ハ取締役」と、「会社ノ株式」とあるのは「特定目的会社ノ特定持分若ハ優先出資」と、同条第三号中「其ノ会社若ハ他ノ会社」とあるのは「其ノ特定目的会社若ハ他ノ特定目的会社若ハ会社」と読み替えるものとする。
(特定目的会社の業務及び財産状況の検査)
第百五条 特定目的会社の業務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを疑うべき事由があるときは、特定資本の十分の一以上に当たる特定出資口数を有する特定社員又は発行済優先出資の総口数の十分の一以上に当たる優先出資を有する優先出資社員は、当該特定目的会社の業務及び財産の状況を調査させるため、裁判所に検査役の選任を請求することができる。
2 商法第二百三十七条ノ二第二項及び第三項(総会検査役の報告及び総会招集命令)の規定は、それぞれ前項の規定により選任された検査役及びその報告があった場合について準用する。この場合において、同条第三項中「株主総会」とあり、並びに同項において準用する同法第百八十一条第三項及び第百八十四条第二項中「創立総会」とあるのは、「社員総会」と読み替えるものとする。
3 前項の規定により読み替えて準用する商法第二百三十七条ノ二第三項並びに同項において準用する商法第百八十一条第三項及び第百八十四条第二項に規定する社員総会は、第二種特定目的会社にあっては、有議決権事項をその会議の目的とする社員総会とみなす。
(社員の権利の行使に関する利益供与)
第百六条 特定目的会社は、何人に対しても、社員の権利の行使に関し、財産上の利益を供与してはならない。
2 商法第二百九十四条ノ二第二項の規定は、特定目的会社について準用する。この場合において、同項中「株主」とあるのは、「社員」と読み替えるものとする。
3 特定目的会社が第一項の規定に違反して財産上の利益を供与したときは、当該利益の供与を受けた者は、これを当該特定目的会社に返還しなければならない。この場合において、当該利益を受けた者は、当該特定目的会社に対して当該利益と引換えに給付をしたものがあるときは、その返還を受けることができる。
4 第七十五条の規定は、前項の規定による利益の返還を求める訴えについて準用する。
(計算に関する商法の準用)
第百七条 商法第二百八十六条(創立費の繰延べ)、第二百八十六条ノ四から第二百八十七条ノ二まで(新株発行費用の繰延べ、社債発行費用の繰延べ、社債差額の繰延べ及び引当金)及び第二百九十五条(会社使用人の先取特権)の規定は、特定目的会社について準用する。この場合において、同法第二百八十六条中「第百六十八条第一項第七号及第八号」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第十八条第三項第四号及第五号」と、「同号但書ノ」とあるのは「同号ニ定ムル」と、「会社成立ノ後、若シ開業前ニ利息ヲ配当スベキコトヲ定メタルトキハ其ノ配当ヲ止メタル後」とあるのは「特定目的会社ノ成立後」と、同法第二百八十六条ノ四中「新株」とあるのは「優先出資」と、同法第二百八十六条ノ五中「社債」とあるのは「特定社債」と、同法第二百八十七条中「社債」及び「社債権者」とあるのはそれぞれ「特定社債」及び「特定社債権者」と読み替えるものとする。
第六節 特定社債
(募集の決定)
第百八条 特定目的会社は、定款に記載した資産流動化計画の定めるところに従い、取締役の決定(取締役が数人あるときは、その過半数をもってする決定)により、特定社債を募集することができる。
(特定社債管理会社の設置)
第百九条 特定目的会社は、特定社債を募集する場合には、特定社債管理会社を定め、特定社債権者のために、弁済の受領、債権の保全その他の特定社債の管理を行うことを委託しなければならない。ただし、その募集に係る各特定社債の金額が一億円以上である場合については、この限りでない。
(公募発行の方法)
第百十条 特定社債の募集に応じようとする者は、特定社債申込証に引き受けようとする特定社債の数及び住所を記載し、これに署名しなければならない。
2 取締役は、次に掲げる事項を記載した特定社債申込証を作成しなければならない。
一 特定目的会社の商号並びに第三条の登録の年月日(第十一条第一項の変更登録を受けた場合には、当該変更登録の年月日)及び登録番号並びに特定社債管理会社の商号
二 申込みの対象が特定社債であること。
三 特定社債に係る特定資産の種類
四 特定社債の総額
五 各特定社債の金額
六 特定社債の利率
七 特定社債の償還の方法及び期限
八 利息支払の方法及び期限
九 数回に分けて特定社債の払込みを行わせるときは、その払込みの金額及び時期
十 特定社債の発行の価額又はその最低価額
十一 第百十三条第一項において準用する商法第三百八条に規定する別段の定めがあるときは、その規定
十二 定款に記載した資産流動化計画に定められた特定資産を特定するに足りる事項、当該特定資産の上に存在する特定目的会社に対抗し得る権利その他当該特定資産の価格を知るために必要な事項の概要
十三 特定目的会社以外の者であって政令で定めるものが前号の特定資産の価格につき調査した結果(当該特定資産が不動産であるときは、不動産鑑定士による鑑定評価を踏まえて調査したものに限る。)
十四 特定社債の応募額が総額に達しない場合においてその残額を引き受けることを約した者があるときは、その氏名又は名称
十五 定款に記載した資産流動化計画に他の特定社債の発行についての定めがあるときは、当該他の特定社債の第四号から第十号までに掲げる事項及びその発行状況
十六 定款に記載した資産流動化計画に特定約束手形の発行についての定めがあるときは、当該特定約束手形の限度額その他の総理府令・大蔵省令で定める事項及びその発行状況
十七 名義書換代理人を置いたときは、その名称及び住所並びに営業所
3 特定目的会社は、前項第十四号に掲げる事項の記載がない場合において、特定社債の応募額が特定社債申込証に記載した特定社債の総額に達しないときは、当該特定社債を発行してはならない。
4 商法第三百一条第四項(応募価額の記載)の規定は、特定社債の発行の最低価額を定めた場合について準用する。この場合において、同項中「社債申込証」とあるのは、「特定社債申込証」と読み替えるものとする。
5 取締役は、特定社債の応募者から定款に記載した資産流動化計画の閲覧又は当該資産流動化計画の謄本若しくは抄本の交付の求めがあったときは、これに応じなければならない。
(特定社債管理会社の権限等)
第百十一条 特定社債管理会社は、特定社債権者のために特定社債に係る債権の弁済を受け、又は特定社債に係る債権の実現を保全するために必要な一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
2 特定社債管理会社は、前項の弁済を受けたときは、遅滞なく、その旨を公告し、かつ、知れている特定社債権者にはその旨を各別に通知しなければならない。
3 前項の場合において、特定社債権者は、特定社債券と引換えに特定社債の償還額の支払を、利札と引換えに利息の支払を請求することができる。
4 特定社債管理会社は、特定社債権者集会の決議によらなければ、次に掲げる行為をしてはならない。
一 総特定社債についてするその支払の猶予、その債務の不履行によって生じた責任の免除又は和解
二 総特定社債についてする訴訟行為又は破産手続、和議手続若しくは特別清算に関する手続に属する一切の行為(第一項に規定するものを除く。)
5 第二項の規定は、特定社債管理会社が前項各号に掲げる行為をした場合について準用する。
6 特定社債管理会社は、その管理の委託を受けた特定社債につき第一項に規定する行為又は第四項各号に掲げる行為をするために必要があるときは、当該特定社債を発行した特定目的会社の業務及び財産の状況を調査することができる。
7 商法第二百九十七条ノ二(社債管理会社の資格)、第二百九十七条ノ三(社債管理会社の義務)及び第三百九条ノ四から第三百十四条まで(特別代理人の選任、行為の方式、二以上の社債管理会社がある場合の特則、責任、辞任、解任及び事務承継者を定める義務等)の規定は、特定社債管理会社について準用する。この場合において、これらの規定中「社債」、「社債権者」及び「社債権者集会」とあるのは、それぞれ「特定社債」、「特定社債権者」及び「特定社債権者集会」と読み替えるものとする。
(一般担保)
第百十二条 特定目的会社の特定社債権者は、当該特定目的会社の財産について他の債権者に先立って自己の特定社債に係る債権の弁済を受ける権利を有する。
2 前項の先取特権の順位は、民法の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
(特定社債に関する商法の準用等)
第百十三条 商法第二百三条(株式の共有)の規定は特定社債が二以上の者の共有に属する場合について、同法第二百二十四条第一項及び第二項(株主名簿の効力)の規定は特定社債の応募者又は特定社債権者に対する通知及び催告について、同法第二百九十八条から第三百条まで(既存社債に未払込みがある場合の制限、各社債の金額及び割増償還の制限)、第三百二条(総額引受けの方法)、第三百三条(社債の払込み)、第三百六条から第三百八条まで(債券の発行、記名社債の移転及び記名式と無記名式との間の転換)、第三百十五条から第三百十七条まで(利札が欠けた場合の特則、社債元利金請求権の時効及び社債原簿の記載事項)及び第三百十九条から第三百四十一条まで(社債権者集会)並びに商法中改正法律施行法(昭和十三年法律第七十三号)第六十一条(社債権者集会に関する公告の方法)の規定は特定目的会社が特定社債を発行する場合又はその場合における特定社債、特定社債権者、特定社債券、特定社債管理会社、特定社債原簿若しくは特定社債権者集会について、民法第三百六十五条(記名社債質の対抗要件)の規定は記名の特定社債について、それぞれ準用する。この場合において、商法第二百三条第二項及び第三項中「株主」とあるのは「特定社債権者」と、同法第二百二十四条第一項中「株主名簿」とあるのは「特定社債原簿」と、同法第三百二条中「前条」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第百十条」と、同法第三百六条第二項中「第三百一条第二項第一号乃至第六号、第九号及第十号」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第百十条第二項第一号、第三号乃至第八号及第十一号」と、同法第三百十七条第三号中「第三百一条第二項第一号乃至第七号及第九号」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第百十条第二項第一号及第三号乃至第九号」と読み替えるものとする。
2 特定目的会社が発行する特定社債は、社債等登録法(昭和十七年法律第十一号)その他の政令で定める法令の適用については、政令で定めるところにより、商法第二編第四章第五節の規定により発行される社債とみなす。
第七節 定款の変更
(定款変更の方法及び決議方法)
第百十四条 定款の変更は、社員総会の決議によらなければすることができない。ただし、資産流動化計画に係る第九条第二項第一号に規定する軽微な内容の変更については、この限りでない。
2 前項の決議は、総特定社員の過半数であって総特定社員の議決権の四分の三以上に当たる多数をもって行わなければならない。この場合において、議決権を行使することのできない特定社員はこれを総特定社員の数に、その行使することのできない議決権はこれを議決権の数に、それぞれ算入しない。
(定款変更の制限)
第百十五条 前条第一項の規定による定款の変更のうち、次の各号に掲げる事項に係る定款の変更は、当該各号に定める場合を除き、することができない。
一 第十八条第二項第六号に掲げる資産流動化計画 次に掲げる場合
イ 第九条第二項の規定により変更をする場合
ロ 当該資産流動化計画に基づく業務が終了した後他の資産流動化計画に基づく業務を行うために変更をする場合
二 第十八条第二項第九号に掲げる事項 同項第六号に掲げる資産流動化計画の変更と同時に変更をする場合
2 前項の規定による同項の資産流動化計画に係る定款の変更(同項第一号ロに掲げる場合においてするものに限る。)は、特定目的会社の最終の貸借対照表上の純資産の額が特定資本の額に満たないときは、これをすることができない。
(特定資本の増加)
第百十六条 次に掲げる事項は、定款に別段の定めがないときでも、特定資本の増加に係る社員総会の決議において、定めることができる。
一 現物出資を行う者の氏名又は名称、出資の目的たる財産、その価格及びこれに対して与える特定出資の口数
二 特定資本の増加後に譲り受けることを約した財産、その価格及び譲渡人の氏名又は名称
三 増加する特定資本につき特定出資の引受けをする権利を与えるべき者及びその権利の内容
2 特定社員は、前項の決議において同項第三号に掲げる事項を定めた場合を除き、増加する特定資本につき、その持分に応じて出資の引受けをする権利を有する。
3 有限会社法第五十二条(出資引受けの方法)及び第五十二条ノ二(出資引受人の権利)の規定は特定資本の増加の場合における特定出資の引受けについて、同法第五十二条ノ三(現物出資の検査)の規定は特定資本の増加の場合の現物出資の検査について、同法第五十三条(資本増加の登記)及び第五十三条ノ二(資本増加の効力発生)の規定は特定資本の増加の登記について、同法第五十四条(社員等の財産価格てん補責任)及び第五十五条(取締役の引受担保責任及び払込担保責任)の規定は特定資本の増加の場合の特定社員及び取締役の責任について、同法第五十六条(資本増加無効の訴え)の規定は特定資本の増加の無効の訴えについて、同法第十二条(出資の払込み及び給付並びに払込取扱機関の証明)の規定並びに第二十七条第二項及び第六十一条第一項の規定は特定資本の増加の場合について、それぞれ準用する。この場合において、同法第五十二条ノ二中「社員」とあるのは「特定社員」と、同法第五十二条ノ三第一項中「第四十九条第一号」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第百十六条第一項第一号」と、「出資総口数」とあるのは「特定出資総口数」と、「資本」とあるのは「特定資本」と、同条第二項において準用する商法第二百八十条ノ八第二項中「第百七十三条第二項後段及第三項」とあるのは「第百七十三条第三項」と、「前項本文」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第百十六条第三項ニ於テ準用スル有限会社法第五十二条ノ三第一項本文」と、同条第三項及び第五項中「第一項」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第百十六条第三項ニ於テ準用スル有限会社法第五十二条ノ三第一項」と、有限会社法第五十三条中「出資全額」とあるのは「特定出資全額」と、同法第五十四条第一項及び第二項中「第四十九条第一号又ハ第二号」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第百十六条第一項第一号又ハ第二号」と、「総会」とあるのは「社員総会」と、同条第三項中「第三十条ノ二第二項」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第七十三条第二項」と、同条第四項中「第四十九条第一号」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第百十六条第一項第一号」と、同条第五項中「第十六条」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第七十三条第三項」と、同法第五十五条第一項中「出資」とあるのは「特定出資」と、同条第二項中「出資全額」とあるのは「特定出資全額」と、「未済ナル出資」とあるのは「未済ナル特定出資」と、同条第三項中「第十六条」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第七十三条第三項」と、同法第五十六条第二項中「社員」とあるのは「特定社員若ハ優先出資社員」と、同法第十二条第一項中「社員」とあるのは「特定社員」と、「出資全額」とあるのは「特定出資全額」と読み替えるものとする。
(優先出資社員の議決権)
第百十七条 第二種特定目的会社の定款の変更が優先出資社員に損害を及ぼすおそれがあるときは、当該定款の変更は、第百十四条の規定による決議のほか、当該優先出資社員を構成員とする総会(当該定款の変更が損害を及ぼすおそれのある優先出資社員に係る優先出資の種類が二以上ある場合には、当該二以上の種類別に区分された優先出資に係る優先出資社員を構成員とする各総会)の承認を受けなければならない。
2 前項の規定による承認の決議は、同項の定款の変更が損害を及ぼすおそれのある優先出資社員に係る発行済優先出資の総口数(当該決議が二以上の種類別に区分された優先出資に係る優先出資社員を構成員とする各総会において行われる場合には、当該種類別の各総会の構成員たる優先出資社員に係る発行済優先出資の口数)の過半数に当たる優先出資を有する優先出資社員が出席し、かつ、その議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行わなければならない。
3 有議決権事項を会議の目的とする社員総会に関する規定は、第一項の総会について準用する。
4 第一項に規定する定款の変更に関する議案の要領は、前項において準用する第五十三条第一項の規定による招集の通知に記載しなければならない。
(特定資本の減少)
第百十八条 特定資本の減少は、資本の欠損の補てんのためにするものであって、出資金額の払戻しを伴わない特定出資一口の金額の減少の方法又は特定出資の併合の方法による場合に限り、これを行うことができる。ただし、優先出資を発行する特定目的会社にあっては、特定出資一口の金額の減少は、当該優先出資の消却の後でなければ、これを行うことができない。
2 特定出資の併合により一口に満たない端数が生ずるときは、特定目的会社は、その生じた端数に係る部分につき新たに発行した特定出資を競売し、又は裁判所の許可を得て競売以外の方法により売却し、かつ、その端数に応じてその競売又は売却により得られた代金を当該特定出資に係る併合前の特定社員に交付しなければならない。
3 商法第三百七十六条第二項及び第三項(債権者の異議)の規定は特定目的会社の特定資本の減少の場合について、同法第三百八十条(資本減少無効の訴え)の規定は特定資本の減少の無効の訴えについて、それぞれ準用する。この場合において、同項中「社債権者」及び「社債権者集会」とあるのはそれぞれ「特定社債権者」及び「特定社債権者集会」と、同条第二項及び同条第三項において準用する同法第二百四十九条第一項中「株主」とあるのは「社員」と読み替えるものとする。
第八節 資産流動化計画の終了に伴う仮清算
(貸借対照表の作成等)
第百十九条 特定目的会社(その定款に資産流動化計画に基づく業務が終了した後他の資産流動化計画に基づく業務を行う旨の定めのない第一種特定目的会社及びその資産流動化計画に優先出資の消却を行う旨の定めのない第二種特定目的会社を除く。)の取締役は、資産流動化計画の定めによる特定資産の管理及び処分が終了し、かつ、特定社債又は特定約束手形を発行している場合においてはその償還及び支払を完了したときは、第一種特定目的会社にあっては遅滞なく、第二種特定目的会社にあっては資産流動化計画の定めにより優先出資を消却する前に、当該特定目的会社の貸借対照表を作成し、社員総会の承認を受けなければならない。
2 第八十五条から第九十四条まで、第九十五条第一項、第二項、第四項及び第五項並びに第九十六条から第九十九条までの規定(貸借対照表に係る部分に限る。)は、前項の貸借対照表について準用する。
3 第一項の規定により貸借対照表を作成した第二種特定目的会社の当該貸借対照表上の純資産の額が、同項の資産流動化計画の定めるところに従った優先出資の消却を行うために必要となる金額に満たない場合には、優先出資社員は、当該貸借対照表の承認について、議決権を有する。
4 前項の場合において、同項の貸借対照表について承認の決議があったときは、解散の決議があったものとみなす。
(優先出資の消却)
第百二十条 商法第二百十五条第一項及び第二項(株式併合の手続)の規定は、第二種特定目的会社が前条第一項の承認を受けて行う優先出資の消却について準用する。この場合において、同法第二百十五条第一項中「株券及端株券」とあるのは「優先出資証券」と、「提出スベキ旨並ニ前条第二項ノ規定ニ依ル定アルトキハ其ノ内容」とあるのは「提出スベキ旨」と、「株主及株主名簿」とあるのは「優先出資社員及優先出資社員名簿」と読み替えるものとする。
第九節 解散
(解散の原因)
第百二十一条 特定目的会社は、次に掲げる事由によって、解散する。
一 定款で定めた存立の時期の満了又は定款で定めた解散の事由の発生
二 破産
三 解散を命じる裁判
四 登録の取消し
五 社員総会の決議
六 資産流動化計画に記載する特定資産又は資産対応証券の譲受け又は発行の不能
七 その他政令で定める事由の発生
(解散の決議)
第百二十二条 優先出資社員は、前条第五号に掲げる解散の決議について、議決権を有する。
2 前条第五号の決議は、第一種特定目的会社にあっては第百十四条第二項の規定、第二種特定目的会社にあっては第六十七条第三項の規定に定めるところにより行わなければならない。
3 前項の決議は、特定目的会社の資産流動化計画の定めによる特定社債の償還及び特定約束手形の支払が完了した後でなければ、行うことができない。
(解散判決)
第百二十三条 次に掲げる場合においてやむを得ない事由があるときは、特定資本の十分の一以上に当たる特定出資口数を有する特定社員又は発行済優先出資の総口数の十分の一以上に当たる優先出資を有する優先出資社員は、特定目的会社の解散を裁判所に請求することができる。
一 特定目的会社がその業務の遂行上著しい難局にほう着し、当該特定目的会社に回復することのできない損害を生じ、又は生ずるおそれがあるとき。
二 特定目的会社の財産の管理又は処分が著しく失当で、当該特定目的会社の存立を危うくするとき。
2 商法第八十八条(管轄裁判所)及び第百九条第二項(敗訴原告の賠償責任)の規定は、前項の規定による訴えについて準用する。
(商法の準用)
第百二十四条 商法第九十六条(解散の登記)及び第四百七条(解散の公示)の規定は、特定目的会社の解散について準用する。この場合において、同条中「株主」とあるのは、「社員」と読み替えるものとする。
第十節 清算
第一款 総則
(清算人の決定)
第百二十五条 特定目的会社が解散したときは、第百二十一条第二号から第四号までに掲げる事由による場合を除き、取締役が当該特定目的会社の清算人となる。ただし、定款に別段の定めがあるとき、又は社員総会において他の者を清算人に選任したときは、この限りでない。
2 優先出資社員は、前項ただし書の清算人の選任について、議決権を有する。
3 第一項の規定により清算人となる者がいないときは、裁判所は、利害関係人の請求により清算人を選任する。
4 特定目的会社が第百二十一条第三号に掲げる事由により解散したときは、裁判所は、利害関係人若しくは法務大臣の請求により、又は職権をもって清算人を選任する。
5 特定目的会社が第百二十一条第四号に掲げる事由により解散したときは、裁判所は、利害関係人若しくは内閣総理大臣の請求により、又は職権をもって清算人を選任する。
(財産調査報告義務)
第百二十六条 清算人は、就職の後遅滞なく、特定目的会社の財産の現況を調査し、財産目録及び貸借対照表を作成し、これらを社員総会に提出して、その承認を求めなければならない。
2 優先出資社員は、前項の財産目録及び貸借対照表の承認について、議決権を有する。
3 清算人は、第一項の承認を得た後遅滞なく、同項の財産目録及び貸借対照表を裁判所に提出しなければならない。
(計算書類の作成と監査)
第百二十七条 清算人は、定時社員総会の会日から五週間前に貸借対照表及び事務報告書を、当該会日の三週間前にこれらの附属明細書を、監査役に提出しなければならない。
2 商法第四百二十条第二項から第五項まで(計算書類の監査)の規定は、前項の書類の提出があったときにおける監査役及び清算人について準用する。この場合において、同条第二項及び第三項中「定時総会」とあるのは「定時社員総会」と、同条第四項において準用する同法第二百八十二条第二項中「株主」とあるのは「社員」と、商法第四百二十条第五項中「定時総会」とあるのは「定時社員総会」と読み替えるものとする。
3 優先出資社員は、前項において読み替えて準用する商法第四百二十条第五項の規定による貸借対照表及び事務報告書の承認について、議決権を有する。
(残余財産の分配)
第百二十八条 残余財産は、定款に記載した資産流動化計画で定められた優先出資社員に対する残余財産の優先的分配の規定に従い特定社員に先立って優先出資社員に対し分配するものを除くほか、各社員の有する優先出資又は特定出資の口数に応じて、これを社員に分配しなければならない。
(清算人の解任)
第百二十九条 清算人は、裁判所によって選任されたものを除き、いつでも社員総会の決議をもって解任することができる。
2 優先出資社員は、前項の規定による清算人の解任について、議決権を有する。
3 第百二十五条第五項の規定により選任された清算人については、裁判所は、利害関係人若しくは内閣総理大臣の請求により、又は職権をもって解任することができる。
4 裁判所は、重要な事由があるときは、特定資本の十分の一以上に当たる特定出資口数を有する特定社員又は発行済優先出資の総口数の百分の三以上に当たる優先出資を有する優先出資社員の請求により、清算人を解任することができる。
(特定目的会社の清算等に関する商法等の準用)
第百三十条 商法第四百十八条(清算人の届出義務)、第四百二十一条から第四百二十四条まで(債権者に対する催告、債権申出期間内の弁済及び除斥された債権者に対する弁済)、第四百二十七条(清算の終了)及び第四百二十九条(書類の保存)の規定は特定目的会社の清算の場合について、同法第四百二十八条(設立無効の訴え)の規定は特定目的会社の設立の無効の訴えについて、同法第百十六条(清算中の会社)、第百二十三条から第百二十五条まで(清算人の登記、清算人の職務及び権限並びに債務の弁済)、第百二十九条第二項及び第三項(清算人の会社代表)、第百三十一条(残余財産の分配)並びに第百三十四条(清算結了の登記)の規定は特定目的会社について、第五十一条第三項及び第四項、第五十四条、第五十六条、第六十六条、第六十八条から第七十条まで、第七十二条から第七十七条まで、第八十条から第八十二条まで、第九十九条第三項並びに第百四条の規定並びに同法第二百三十七条ノ三(取締役等の説明義務)、第二百三十八条(検査役の選任)、第二百四十四条第二項から第四項まで(総会議事録の作成及び公示)、第二百四十七条(決議取消しの訴え)、第二百四十九条(担保の提供)、第二百五十四条第三項(会社との関係)、第二百五十四条ノ三(取締役の忠実義務)、第二百五十八条(欠員の場合の措置)、第二百七十一条(職務代行者の権限)、第二百七十四条ノ二(取締役の報告義務)、第二百七十五条(調査及び報告の義務)、第二百七十五条ノ二(監査役の差止請求権)、第二百七十五条ノ四(会社と取締役間の訴えの代表)及び第二百七十八条(取締役との連帯責任)の規定は特定目的会社の清算人について、それぞれ準用する。この場合において、同法第四百二十四条第二項中「株主」とあるのは「社員」と、同法第四百二十七条第一項中「株主総会」とあるのは「社員総会」と、同法第四百二十八条第二項中「株主」とあるのは「社員」と、同法第百二十三条第一項及び第百二十九条第二項中「業務執行社員」とあるのは「取締役」と、同法第百三十四条中「前条」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第百三十条第一項ニ於テ準用スル第四百二十七条」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
2 優先出資社員は、前項において読み替えて準用する商法第四百二十七条第一項の規定による決算報告書の承認について、議決権を有する。
第二款 特別清算
(特別清算の開始及び特別清算に関する商法の準用)
第百三十一条 特定目的会社の清算の遂行に著しい支障を来すべき事情があると認めるときは、裁判所は、当該特定目的会社の債権者、清算人、監査役若しくは社員の申立てにより、又は職権をもって、当該特定目的会社に対し特別清算の開始を命じることができる。特定目的会社に債務超過の疑いがあると認めるときも、同様とする。
2 商法第四百三十一条第二項及び第三項、第四百三十二条から第四百四十四条まで(特別清算の開始、特別清算開始前の処分、登記及び効果、清算人の義務、裁判所による清算人の任免、裁判所の監督のための調査及び処分、債務の弁済、債権者集会並びに監査委員)、第四百四十五条第一項から第三項まで(清算行為に関する特則)並びに第四百四十六条から第四百五十六条まで(競売による財産の換価、協定、検査命令、検査役の報告事項、裁判所の処分、破産手続の開始及び破産法等の規定の準用)の規定は、特定目的会社の特別清算について準用する。この場合において、同法第四百三十一条第二項中「前項」とあり、及び同条第三項中「第一項」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第百三十一条第一項」と、同法第四百三十四条中「株主」とあるのは「社員」と、同法第四百五十二条第一項中「六月前ヨリ引続キ発行済株式ノ総数ノ百分ノ三以上ニ当ル株式ヲ有スル株主」とあるのは「特定資本ノ十分ノ一以上ニ当ル特定出資口数ヲ有スル特定社員若ハ六月前ヨリ引続キ発行済優先出資ノ総口数ノ百分ノ三以上ニ当ル優先出資ヲ有スル優先出資社員」と、同法第四百五十三条第一号中「第百九十二条第一項第二項第四項、第百九十二条ノ二、第百九十三条第一項、第二百六十六条、第二百七十七条、第二百八十条ノ十三、第二百八十条ノ十三ノ二又ハ第四百三十条第二項」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第二十五条ニ於テ準用スル第百九十二条第一項第二項若ハ第四項、第百九十二条ノ二若ハ第百九十三条第一項、同法第四十条第三項ニ於テ準用スル第百九十二条第一項第二項若ハ第四項、同法第七十三条第一項乃至第四項、同法第八十四条第三項ニ於テ準用スル第二百七十七条、同法第百十六条第三項ニ於テ準用スル有限会社法第五十四条若ハ第五十五条又ハ特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第百三十条第一項ニ於テ準用スル同法第七十三条第一項乃至第四項」と、同法第四百五十四条第一項第二号中「株主」とあるのは「優先出資社員」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
第十一節 雑則
(銀行法等の規定の適用)
第百三十二条 特定目的会社並びにその特定出資及び優先出資は、銀行法その他の法令の規定で政令で定めるものの適用については、政令で定めるところにより、それぞれ当該政令で定める法令の規定に規定する会社及びその出資とみなす。
2 次の各号に掲げる金融機関は、当該各号に規定する業務を行う場合には、第十八条第三項第五号、第二十一条第三項において準用する商法第百七十条第二項、第二十五条及び第三十九条第四項において準用する商法第百八十九条、第三十八条第二項第九号、同条第三項、第三十九条第四項において準用する商法第百七十八条、第百十六条第三項において準用する有限会社法第十二条第二項及び同条第三項において準用する商法第百八十九条、第百三十五条第七号、第百三十六条第三号並びに第百三十八条(第百三十五条第七号に係る部分に限る。)の規定の適用については、銀行とみなす。
一 信用金庫又は信用金庫連合会 信用金庫法(昭和二十六年法律第二百三十八号)第五十三条第三項第八号又は第五十四条第四項第八号に掲げる業務
二 労働金庫又は労働金庫連合会 労働金庫法(昭和二十八年法律第二百二十七号)第五十八条第二項第十四号又は第五十八条の二第一項第十二号に掲げる業務
三 信用協同組合又は中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第九条の九第一項第一号の事業を行う協同組合連合会 同法第九条の八第二項第十三号又は第九条の九第五項第一号(同法第九条の八第二項第十三号に係る部分に限る。)に掲げる業務
四 農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第十条第一項第二号の事業を行う農業協同組合又は農業協同組合連合会 同条第六項第九号に掲げる業務
五 水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第十一条第一項第二号、第八十七条第一項第二号、第九十三条第一項第二号又は第九十七条第一項第二号の事業を行う漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合又は水産加工業協同組合連合会 同法第十一条第三項第六号、第八十七条第四項第六号、第九十三条第二項第六号又は第九十七条第三項第六号に掲げる業務
六 農林中央金庫 農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)第十三条第一項第十号に掲げる業務
七 商工組合中央金庫 商工組合中央金庫法(昭和十一年法律第十四号)第二十八条第一項第十三号に掲げる業務
(登記簿)
第百三十三条 登記所に、特定目的会社登記簿を備える。
(商業登記法の準用)
第百三十四条 商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第一条から第五条まで(登記所及び登記官)、第七条から第二十六条まで(登記簿等及び登記手続通則)、第三十四条から第四十二条まで(会社の商号の登記)、第五十二条、第五十三条(会社の支配人の特則)、第五十五条第一項(設立の登記)、第五十六条から第五十九条まで(支店所在地における登記及び本店移転の登記)、第六十一条から第六十三条まで(解散の登記及び清算人の登記)、第六十四条第二項(清算結了の登記)、第七十九条第二項(添付書面の通則)、第八十一条(取締役等の変更の登記)、第八十八条(名義書換代理人等の設置による変更の登記)、第九十四条(添付書面の通則)及び第百七条から第百二十条まで(登記の更正及び抹消、電子情報処理組織による登記に関する特則並びに雑則)の規定は、特定目的会社に関する登記について準用する。この場合において、同法第五十六条第三項中「商法第六十四条第一項」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第二十四条第二項又は第四十条第一項」と、同法第六十一条第三項中「商法第百二十九条第二項」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第百三十条第一項において準用する商法第百二十九条第二項」と、同法第六十二条第一項中「業務執行社員」とあるのは「取締役」と、同条第二項中「商法第百二十三条第一項第二号及び第三号」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第百三十条第一項において準用する商法第百二十三条第一項第二号及び第三号」と、同法第六十三条第二項中「商法第百二十三条第一項第二号又は第三号」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第百三十条第一項において準用する商法第百二十三条第一項第二号又は第三号」と、同法第六十四条第二項中「商法第百三十四条」とあるのは「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第百三十条第一項において準用する商法第百三十四条」と読み替えるものとする。
(設立の登記の添付書面)
第百三十五条 設立の登記の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
一 定款
二 特定出資の引受けを証する書面
三 取締役及び監査役又は検査役の調査報告書及び第二十二条第二項において準用する商法第百七十三条第三項前段の弁護士の証明書並びにこれらの附属書類
四 検査役の報告に関する裁判があったときは、その謄本
五 取締役及び監査役の選任に関する書類
六 取締役及び監査役が就任を承諾したことを証する書面
七 特定出資の払込みを取り扱った銀行又は信託会社の払込金の保管に関する証明書
(優先出資の発行の登記)
第百三十六条 優先出資の発行の登記の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
一 優先出資の申込み及び引受けを証する書面
二 名義書換代理人又は登録機関を置いたときは、定款及びこれらの者との契約を証する書面
三 優先出資の払込みを取り扱った銀行又は信託会社の払込金の保管に関する証明書
(優先出資の消却による変更の登記)
第百三十七条 優先出資の消却による変更の登記の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
一 定款並びに特定社債の償還及び特定約束手形の支払を証する書面
二 第百二十条において準用する商法第二百十五条第一項の規定による公告をしたことを証する書面
(特定資本の増加による変更の登記)
第百三十八条 特定資本の増加による変更の登記の申請書には、第百三十五条第二号から第四号まで及び第七号に掲げる書類を添付しなければならない。
(特定資本の減少による変更の登記)
第百三十九条 特定資本の減少による変更の登記の申請書には、第百十八条第三項において準用する商法第三百七十六条第二項において準用する商法第百条第一項の規定による公告及び催告をしたこと並びに異議を述べた債権者があるときは、その者に対し弁済し、若しくは担保を供し、若しくは信託したこと又は特定資本の減少をしてもその者を害するおそれがないことを証する書面を添付しなければならない。
(非訟事件手続法の準用)
第百四十条 非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第百二十六条第一項、第百二十七条から第百三十二条ノ五まで、第百三十二条ノ七、第百三十三条ノ二から第百三十五条ノ六まで(会社及び競売に関する事件)、第百三十五条ノ十五から第百三十五条ノ二十一まで、第百三十五条ノ二十三(社債に関する事件)、第百三十六条前段、第百三十六条ノ二、第百三十七条前段、第百三十七条ノ二、第百三十八条、第百三十八条ノ三から第百三十八条ノ十五まで(会社の清算に関する事件)、第百三十九条(第二号及び第三号を除く。)(登記の嘱託をなすべき場合)及び第百四十条(裁判の謄本の添付)の規定は、特定目的会社について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
(商法中改正法律施行法等の準用)
第百四十一条 商法中改正法律施行法第五条(市の意義)の規定は、特定目的会社について準用する。
2 商法中署名すべき場合に関する法律(明治三十三年法律第十七号)の規定は、特定目的会社について準用する。
第四章 業務
(他業禁止)
第百四十二条 特定目的会社は、第三条の登録に係る資産流動化計画に従って営む特定資産の流動化に係る業務及びその附帯業務(対価を得て、当該資産流動化計画に記載された特定資産以外の資産の譲渡若しくは貸付け又は役務の提供を行うことを除く。)のほか、他の業務を営むことができない。
(特定資産の譲受けの契約の要件等)
第百四十三条 特定目的会社は、資産流動化計画に従い特定資産を譲り受けようとする場合において、その譲受けに係る契約書に、当該特定資産の譲渡人が、当該特定資産に係る資産対応証券に関する有価証券届出書等(証券取引法第二条第七項に規定する有価証券届出書その他の総理府令・大蔵省令において規定する書類をいう。以下同じ。)に記載すべき重要な事項につき、譲受人たる当該特定目的会社に告知する義務を有する旨の記載がないときは、当該特定資産を譲り受けてはならない。
(業務の委託)
第百四十四条 特定目的会社は、特定資産(第二条第一項第三号に掲げる信託の受益権を除く。以下この条において同じ。)の管理及び処分に係る業務については、当該特定目的会社に当該特定資産を譲り渡した者又は当該特定資産の管理及び処分を適正に遂行するに足りる財産的基礎及び人的構成を有する者に委託しなければならない。
2 特定目的会社は、前項の規定にかかわらず、特定資産を信託財産として信託することができる。
3 特定目的会社は、特定資産の管理及び処分に係る業務の委託に関する契約書に、当該業務を委託する相手方(以下この条において「受託者」という。)が次に掲げる義務を有する旨の記載がないときは、当該業務を委託してはならない。
一 受託者は、特定資産その他当該業務を委託した特定目的会社(以下この項において「委託者」という。)に帰属すべき資産を、自己の固有財産その他の財産と分別して管理すること。
二 受託者は、委託者の求めに応じ、当該委託に係る特定資産の管理及び処分の状況について説明しなければならないこと。
三 受託者は、その委託に係る特定資産の管理及び処分の状況を記載した書類を主たる事務所に備え置き、委託者の求めに応じ、これを閲覧させること。
四 受託者は、資産対応証券に係る有価証券届出書等に記載すべき当該委託に係る特定資産の管理及び処分に関する重要な事項につき知った事実を、遅滞なく委託者に通知すること。
五 受託者は、委託者の同意なく業務の再委託を行わないこと。
4 特定目的会社は、特定資産を信託する信託に係る契約書に、当該信託の受託者が、資産対応証券に係る有価証券届出書等に記載すべき当該信託に係る信託財産の管理及び処分に関する重要な事項につき知った事実を遅滞なく受益者たる当該特定目的会社に通知する義務を有する旨の記載がないときは、当該信託を行ってはならない。
(信託受益権を譲り受ける場合の特例)
第百四十五条 特定目的会社は、資産流動化計画に従い第二条第一項第三号に掲げる信託の受益権を譲り受けようとする場合において、当該信託に係る契約書に、当該信託の受託者が当該信託に係る信託財産の管理及び処分に関する重要な事項(当該特定目的会社が当該資産流動化計画に従い発行する資産対応証券に係る有価証券届出書等に記載すべき事項を含むものに限る。)につき知った事実を遅滞なく受益者に通知する義務を有する旨の記載がないときは、当該受益権を譲り受けてはならない。
(債権の取立委託の制限)
第百四十六条 特定目的会社は、第百四十四条第一項及び第三項の規定に定めるところによるほか、資産流動化計画に従い譲り受けた指名金銭債権(以下この条において「譲受債権」という。)について、その取立ての委託又はその取立ての再委託に対する同項第五号の同意をしようとする場合において、その委託又は再委託の相手方が譲受債権の取立てに当たり貸金業の規制等に関する法律第二十一条第一項の規定若しくはこの法律の規定に違反し、若しくは刑法若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯すおそれが明らかである者であることを知り、又は知ることができるときは、当該相手方に当該委託をし、又は当該相手方に当該再委託をすることに当該同意をしてはならない。
(不動産取引の委託の制限)
第百四十七条 特定目的会社は、資産流動化計画に従い譲り受けた不動産の売買、交換又は賃貸に係る業務については、第百四十四条第一項及び第三項の規定に定めるところによるほか、不動産特定共同事業法第六条各号のいずれにも該当しない者に委託しなければならない。
(宅地建物取引業法の適用除外)
第百四十八条 宅地建物取引業法の規定は、第三条の登録を受けた特定目的会社には、適用しない。
(約束手形の発行)
第百四十九条 特定目的会社は、証券取引法第二条第一項第八号に掲げる約束手形(第二号において「特定手形」という。)については、次に掲げる場合に限り、これを発行することができる。
一 その発行の目的が特定資産を取得するため必要な資金を調達するものであること、第三条の登録に係る資産流動化計画においてその発行の限度額が定められていることその他一般投資者の保護のため必要なものとして総理府令・大蔵省令で定める要件に適合する場合
二 この条の規定により発行した特定手形の支払のための資金を調達する場合
(種類等を異にする優先出資証券又は特定社債券の発行)
第百五十条 特定目的会社は、一般投資者の保護に反しない場合として総理府令・大蔵省令で定める場合に限り、一の資産流動化計画において、種類又は発行の時期を異にする優先出資証券又は特定社債券を発行することができる。
(資金の借入れの制限)
第百五十一条 特定目的会社は、資産流動化計画にあらかじめ定められた方法に基づき特定社債又は特定約束手形に係る債務の履行に充てるため資金の借入れを行う場合その他一般投資者の保護に反しない場合として総理府令・大蔵省令で定める場合を除き、資金の借入れを行ってはならない。
(特定資産の処分等の制限)
第百五十二条 特定目的会社は、資産流動化計画に定められたところによる場合を除き、特定資産を貸し付け、譲渡し、交換し、又は担保に供してはならない。
(余裕金の運用の制限)
第百五十三条 特定目的会社は、次の方法によるほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
一 国債その他大蔵大臣及び内閣総理大臣の指定する有価証券の保有
二 大蔵大臣及び内閣総理大臣の指定する銀行その他の金融機関への預金
三 その他総理府令・大蔵省令で定める方法
第五章 監督
(業務に関する帳簿書類)
第百五十四条 特定目的会社は、総理府令・大蔵省令で定めるところにより、その業務に関する帳簿書類を作成し、これを保存しなければならない。
(事業報告書の提出)
第百五十五条 特定目的会社は、毎営業年度、総理府令・大蔵省令で定めるところにより、事業報告書を作成し、当該営業年度経過後三月以内に、これを内閣総理大臣に提出しなければならない。
(立入検査等)
第百五十六条 内閣総理大臣は、特定目的会社の業務の運営がこの法律若しくはこの法律に基づく命令に違反し、又は違反するおそれがあると認めるときは、特定目的会社に対し、その業務若しくは財産に関して報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該職員に、特定目的会社の営業所若しくは事務所に立ち入り、その業務若しくは財産の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があった時は、これを提示しなければならない。
3 第一項に規定する立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(違法行為等の是正命令)
第百五十七条 内閣総理大臣は、特定目的会社の業務の運営がこの法律若しくはこの法律に基づく命令に違反し、又は違反するおそれがあると認めるときは、当該特定目的会社に対し、当該業務の運営の是正のため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(登録の取消し)
第百五十八条 内閣総理大臣は、第三条の登録を受けた特定目的会社が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消し、又は六月以内の期間を定めてその業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一 第八条第一項第二号又は第三号に該当することとなったとき。
二 不正の手段により第三条の登録又は第十一条第一項の変更登録を受けたとき。
三 この法律若しくはこの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したとき。
2 内閣総理大臣は、第三条の登録を受けた特定目的会社が、第十条第一項の届出をした日から三年以内に第十一条第一項の変更登録の申請を行わないときは、当該登録を取り消すものとする。
(登録の抹消)
第百五十九条 内閣総理大臣は、第十二条の規定により第三条の登録がその効力を失ったとき、又は前条の規定により第三条の登録を取り消したときは、当該登録を抹消しなければならない。
(監督処分の公告)
第百六十条 内閣総理大臣は、第百五十八条の規定による処分をしたときは、総理府令・大蔵省令で定めるところにより、その旨を公告しなければならない。
第六章 雑則
(大蔵大臣への資料提出等)
第百六十一条 大蔵大臣は、特定資産の流動化に係る制度の調査、企画又は立案をするため必要があると認めるときは、内閣総理大臣に対し、必要な資料の提出及び説明を求めることができる。
2 大蔵大臣は、特定資産の流動化に係る制度の調査、企画又は立案をするため特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、特定目的会社に対し、資料の提出、説明その他の協力を求めることができる。
(権限の委任)
第百六十二条 内閣総理大臣は、この法律による権限(政令で定めるものを除く。)を金融監督庁長官に委任する。
2 金融監督庁長官は、政令で定めるところにより、前項の規定により委任された権限の一部を財務局長又は財務支局長に委任することができる。
(総理府令・大蔵省令への委任)
第百六十三条 この法律に定めるもののほか、この法律による届出に関する手続その他この法律を実施するため必要な事項は、総理府令・大蔵省令で定める。
(経過措置)
第百六十四条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に係る経過措置を含む。)を定めることができる。
第七章 罰則
第百六十五条 次の各号に掲げる違反があった場合においては、その違反行為をした者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第三条の規定に違反して、同条の登録を受けないで特定資産の流動化に係る業務を行ったとき。
二 第十一条第一項の規定による変更登録を受けないで同項に規定する業務を行ったとき。
三 不正の手段により、第三条の登録又は第十一条第一項の変更登録を受けたとき。
四 第九条第二項第二号の規定による承認を受けないで同項の資産流動化計画を変更したとき。
五 第十三条の規定に違反したとき。
六 第百四十二条の規定に違反したとき。
七 第百四十七条の規定に違反して同条に規定する者に同条に規定する業務を委託せず、当該業務を行ったとき。
第百六十六条 次の各号に掲げる違反があった場合においては、その違反行為をした者は、二年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第百五十二条の規定に違反したとき(前条第一号、第二号又は第六号に該当する場合を除く。)。
二 第百五十八条第一項の規定による業務の全部又は一部の停止の命令に違反したとき。
第百六十七条 次の各号に掲げる違反があった場合においては、その違反行為をした者は、一年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第四条第一項の申請書若しくは同条第二項各号に掲げる書類、第九条第三項の承認申請書又は第十一条第二項の変更登録申請書に虚偽の記載をして提出したとき。
二 第百五十四条の規定による帳簿書類の作成若しくは保存をせず、又は虚偽の帳簿書類の作成をしたとき。
三 第百五十五条の規定による事業報告書を提出せず、又は虚偽の事業報告書を提出したとき。
四 第百五十六条第一項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告若しくは資料の提出をし、同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。
第百六十八条 第百五十七条の規定による命令に違反したときは、その違反行為をした者は、六月以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第百六十九条 次の各号に掲げる違反があった場合においては、その違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第九条第一項若しくは第五項又は第十条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
二 第百五十一条又は第百五十三条の規定に違反したとき。
第百七十条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第百六十五条から前条までの違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
(発起人、取締役等の特別背任罪)
第百七十一条 特定目的会社の発起人、取締役、監査役、第二十四条第三項において準用する商法第六十七条ノ二の職務代行者、第七十八条若しくは第八十四条第一項において準用する商法第二百五十八条第二項の職務代行者又は支配人その他営業に関するある種類若しくは特定の事項の委任を受けた使用人が、自己若しくは第三者の利益を図り、又は特定目的会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該特定目的会社に財産上の損害を加えたときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 特定目的会社の清算人又は第百三十条第一項において準用する商法第百二十三条第三項において準用する商法第六十七条ノ二の職務代行者若しくは第百三十条第一項において準用する商法第二百五十八条第二項の職務代行者が、自己若しくは第三者の利益を図り、又は特定目的会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該特定目的会社に財産上の損害を加えたときも、前項と同様とする。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。
(特定社債権者集会の代表者等の特別背任罪)
第百七十二条 特定目的会社の特定社債権者集会の代表者又はその決議を執行する者が、自己若しくは第三者の利益を図り、又は特定社債権者に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、特定社債権者に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。
(特定目的会社財産を危うくする罪等)
第百七十三条 第百七十一条第一項に規定する者又は特定目的会社の検査役は、次の各号のいずれかに該当する場合には、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 特定目的会社の設立又は特定資本の増加の場合において、特定出資の総口数の引受け、特定出資の払込み若しくは現物出資の給付について、又は第十八条第三項各号若しくは第百十六条第一項第一号若しくは第二号に掲げる事項について、裁判所に対し、虚偽の申立てを行い、又は事実を隠ぺいしたとき。
二 第百十九条第一項の規定による手続により優先出資の消却を行う場合において、同項の貸借対照表上の純資産の額について、特定目的会社の社員総会に対し、虚偽の申立てを行い、又は事実を隠ぺいしたとき。
三 何人の名義をもってするかを問わず、特定目的会社の計算において不正にその特定持分若しくは優先出資を取得し、又は質権の目的としてその特定持分若しくは優先出資を受けたとき。
四 法令又は定款の規定に違反して、利益の配当、第百二条第一項の金銭の分配又は特定持分若しくは優先出資の消却を行ったとき。
五 特定目的会社の業務の範囲外において、投機取引のために当該特定目的会社の財産を処分したとき。
(不実文書行使罪)
第百七十四条 特定目的会社の取締役、監査役、第二十四条第三項において準用する商法第六十七条ノ二の職務代行者、第七十八条若しくは第八十四条第一項において準用する商法第二百五十八条第二項の職務代行者、支配人その他営業に関するある種類若しくは特定の事項の委任を受けた使用人又は資産対応証券の募集の委託を受けた者が、資産対応証券の募集に当たり、重要な事項について不実の記載のある優先出資申込証、特定社債申込証、目論見書、資産対応証券の募集の広告その他資産対応証券の募集に関する文書を行使したときは、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 資産対応証券の売出しを行う者が、その売出しに関する文書であって、重要な事項について不実の記載のあるものを行使したときも、前項と同様とする。
(預合いの罪)
第百七十五条 第百七十一条第一項に規定する者が、特定出資又は優先出資の払込みを仮装するため預合いを行ったときは、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。預合いに応じた者も、同様とする。
(超過発行等の罪)
第百七十六条 特定目的会社の取締役又は第二十四条第三項において準用する商法第六十七条ノ二の取締役の職務代行者若しくは第七十八条において準用する商法第二百五十八条第二項の職務代行者が、第三条の登録に係る資産流動化計画に記載された資産対応証券以外の資産対応証券を発行し、又は当該資産流動化計画に記載された資産対応証券の発行総口数若しくは発行総額若しくは発行限度額を超えて当該資産対応証券を発行したときは、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。
(発起人、取締役等の汚職の罪)
第百七十七条 第百七十一条第一項若しくは第二項若しくは第百七十二条第一項に規定する者又は特定目的会社の検査役若しくは監査委員が、その職務に関し、不正の請託を受けて、財産上の利益を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。
2 前項の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
(会計監査人の汚職の罪)
第百七十八条 特定目的会社の会計監査人が、その職務に関し、不正の請託を受けて、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。
2 特定目的会社の会計監査人が監査法人である場合においては、特定目的会社の会計監査人の職務を行う社員が、その職務に関し、不正の請託を受けて、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときも、前項と同様とする。特定目的会社の会計監査人が監査法人である場合において、その社員が、特定目的会社の会計監査人の職務に関し、不正の請託を受けて、特定目的会社の会計監査人に賄賂を収受させ、又はその供与を要求し、若しくは約束をしたときも、同様とする。
3 前二項に規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
(特定目的会社荒し等に関する贈収賄罪)
第百七十九条 次の各号に掲げる事項に関し、不正の請託を受けて、財産上の利益を収受し、又はその要求若しくは約束をした者は、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。
一 特定目的会社の社員総会、特定社債権者集会又は債権者集会における発言又は議決権の行使
二 第三章(同章において準用する商法又は有限会社法の規定を含む。)に定める訴えの提起、第七十五条第二項において準用する商法第二百六十八条第二項に規定する訴訟参加又は特定資本の十分の一以上に当たる特定出資口数を有する特定社員、発行済優先出資の総口数の百分の一、百分の三若しくは十分の一以上に当たる優先出資若しくは三百口以上の優先出資を有する優先出資社員若しくは特定社債総額の十分の一以上に当たる特定社債権者の権利の行使
三 第四十九条において準用する商法第二百八十条ノ十の規定、第七十七条の規定、第百三十一条第一項の規定並びに同条第二項において準用する商法第四百三十九条第二項及び第三項並びに第四百五十二条第一項の規定に規定する権利の行使
2 前項の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(利益等の没収及び追徴)
第百八十条 第百七十七条第一項、第百七十八条第一項若しくは第二項又は前条第一項の場合において、犯人の収受した利益又は賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
(出資払込責任免脱の罪)
第百八十一条 優先出資の払込みの責任を免れる目的をもって、他人又は仮設人の名義を用いて優先出資を引き受けた者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
(社員の権利の行使に関する利益供与の罪)
第百八十二条 特定目的会社の取締役、監査役、第二十四条第三項において準用する商法第六十七条ノ二の職務代行者、第七十八条若しくは第八十四条第一項において準用する商法第二百五十八条第二項の職務代行者又は支配人その他の使用人が、特定目的会社の社員の権利の行使に関し、特定目的会社の計算において財産上の利益を供与したときは、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
2 情を知って、前項の利益の供与を受け、又は第三者にこれを供与させた者も、同項と同様とする。
3 特定目的会社の社員の権利の行使に関し、特定目的会社の計算において第一項の利益を自己又は第三者に供与することを同項に規定する者に要求した者も、同項と同様とする。
4 前二項の罪を犯した者が、その実行につき第一項に規定する者に対し威迫の行為があったときは、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。
5 前三項の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。
(過料に処せられる行為)
第百八十三条 特定目的会社の発起人、取締役、監査役、会計監査人若しくはその職務を行うべき社員、検査役、清算人、監査委員、名義書換代理人、特定社債管理会社、事務を承継すべき特定社債管理会社、特定社債権者集会の代表者若しくはその決議を執行する者、第二十四条第三項において準用する商法第六十七条ノ二の職務代行者、第百三十条第一項において準用する商法第百二十三条第三項において準用する商法第六十七条ノ二の職務代行者、第七十八条、第八十四条第一項若しくは第百三十条第一項において準用する商法第二百五十八条第二項の職務代行者又は支配人は、次の各号のいずれかに該当する場合には、百万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。
一 第三章(同章において準用する商法又は有限会社法の規定を含む。次号及び第四号において同じ。)に定める登記をすることを怠ったとき。
二 第三章に定める公告若しくは通知をすることを怠り、又は不正の公告若しくは通知をしたとき。
三 第三章(同章において準用する商法、商法特例法又は有限会社法の規定を含む。第五号において同じ。)の規定に違反し、正当な事由がないのに、帳簿、書類若しくは書面の閲覧若しくは謄写又はこれらの謄本若しくは抄本の交付を拒んだとき。
四 第三章に定める検査又は調査を妨げたとき。
五 第三章に定める事項について、官庁、社員総会、特定社債権者集会又は債権者集会に対し、虚偽の申立てを行い、又は事実を隠ぺいしたとき。
六 第二十三条の規定に違反して特定出資の引受けによる権利を譲渡したとき。
七 第三十三条の規定に違反して特定持分について指図式又は無記名式の証券を発行したとき。
八 第三十四条第六項又は第四十三条第二項の規定に違反して、特定持分若しくはその質権の処分又は優先出資の失効の手続若しくは優先出資若しくはその質権の処分を行うことを怠ったとき。
九 第三十八条第二項又は第百十条第二項の規定に違反して、優先出資申込証又は特定社債申込証を作成せず、これらに記載すべき事項を記載せず、又は不実の記載をしたとき。
十 第三十八条第三項の規定に違反して書面を交付せず、これに記載すべき事項を記載せず、又は不実の記載をしたとき。
十一 正当な事由がないのに優先出資証券の名義書換をしないとき。
十二 優先出資証券又は特定社債券に記載すべき事項を記載せず、又は不実の記載をしたとき。
十三 第四十六条第二項の規定に違反して優先出資証券を発行したとき。
十四 第四十九条において準用する商法第二百二十六条ノ二第二項の規定に違反して優先出資社員名簿に記載をせず、かつ、優先出資証券を寄託しないとき。
十五 第五十一条第一項の規定に違反して、若しくは第五十五条第二項若しくは第百五条第二項において準用する商法第二百三十七条ノ二第三項の規定による裁判所の命令に違反して、社員総会を招集せず、又は定款に定めた地以外の地において、若しくは第六十二条において準用する商法第二百三十三条の規定に違反して、社員総会を招集したとき。
十六 第五十六条第一項(第百三十条第一項において準用する場合を含む。)の規定による請求がある場合において、その請求に係る事項を社員総会の会議の目的としないとき。
十七 正当な事由がないのに社員総会において社員の求めた事項について説明をしないとき。
十八 法律又は定款に定めた取締役又は監査役の員数を欠いた場合において、これらの者の選任の手続を行うことを怠ったとき。
十九 定款、特定社員名簿若しくは優先出資社員名簿若しくはこれらの複本、特定社債原簿若しくはその複本、議事録、財産目録、貸借対照表、営業報告書、事務報告書、損益計算書、利益の処分若しくは損失の処理に関する議案、決算報告書、会計帳簿、第八十五条第一項若しくは第百二十七条第一項の附属明細書、第九十三条第三項若しくは第六項若しくは第九十七条第三項の監査報告書又は第百三十一条第二項において準用する商法第四百四十三条の調査書に記載すべき事項を記載せず、又は不実の記載をしたとき。
二十 第六十二条において準用する商法第二百三十九条第五項(第五十九条第二項において準用する商法特例法第二十一条の三第六項において準用する場合を含む。)、第六十二条若しくは第百三十条第一項において準用する商法第二百四十四条第三項、第七十条第一項(第百三十条第一項において準用する場合を含む。)、第九十四条第一項(第九十八条において準用する場合を含む。)、第百十三条第一項において準用する商法第三百三十九条第三項又は第百二十七条第二項において準用する商法第四百二十条第三項の規定に違反して、帳簿、書類又は書面を備え置かないとき。
二十一 会計監査人存置会社において、会計監査人又は一時会計監査人の職務を行うべき者の選任の手続を行うことを怠ったとき。
二十二 第九十五条第二項若しくは第九十九条第二項の規定又は第五十三条第四項において準用する商法特例法第二十一条の二若しくは第五十九条第二項において準用する商法特例法第二十一条の三第二項の規定に違反して、社員総会の招集の通知に書類又は書面を添付しなかったとき。
二十三 第九十六条において準用する商法特例法第十七条第一項又は第二項の規定により定時社員総会において意見を述べるに当たり、虚偽の申立てを行い、又は事実を隠ぺいしたとき。
二十四 第百九条の規定に違反して特定社債を募集し、又は第百十一条第七項において準用する商法第三百十四条第一項の規定に違反して事務を承継すべき特定社債管理会社を定めなかったとき。
二十五 第百十三条第一項において準用する商法第三百六条第一項の規定に違反して特定社債券を発行したとき。
二十六 第百十六条第三項において準用する有限会社法第五十二条第二項の規定に違反して特定出資の引受人を公募したとき。
二十七 第百十八条第三項において準用する商法第三百七十六条第二項において準用する商法第百条の規定に違反して特定資本の減少を行ったとき。
二十八 裁判所の選任した清算人に事務の引渡しをしないとき。
二十九 第百二十八条の規定又は第百三十条第一項において準用する商法第百三十一条の規定に違反して特定目的会社の財産を分配したとき。
三十 第百三十条第一項において準用する商法第百二十四条第三項の規定に違反して破産宣告の請求をすることを怠り、又は第百三十一条第二項において準用する商法第四百三十一条第二項の規定に違反して特別清算開始の申立てをすることを怠ったとき。
三十一 清算の結了を遅延させる目的で第百三十条第一項において準用する商法第四百二十一条第一項の期間を不当に定めたとき。
三十二 第百三十条第一項において準用する商法第四百二十三条又は第百三十一条第二項において準用する商法第四百三十八条の規定に違反して債務の弁済をしたとき。
三十三 第百三十一条第二項において準用する商法第四百三十二条、第四百三十七条又は第四百五十四条第一項の規定による裁判所の財産保全の処分に違反したとき。
三十四 第百三十一条第二項において準用する商法第四百四十五条第一項又は第二項の規定に違反したとき。
2 第六十六条(第八十四条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反して特定目的会社の取締役又は監査役となった者も、前項と同様とする。特定目的会社の取締役又は監査役が第六十六条第二号から第四号までに掲げる者となったときも、同様とする。
第百八十四条 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の過料に処する。
一 第十二条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 第十六条第二項の規定に違反して商号中に特定目的会社であることを示す文字を用いた者
(法人に対する罰則の適用)
第百八十五条 第百七十一条第一項若しくは第二項、第百七十二条第一項、第百七十三条から第百七十五条まで又は第百七十七条第一項に規定する者が法人であるときは、これらの規定は、その行為をした取締役その他業務を執行する役員又は支配人に適用する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成十年九月一日から施行する。
(検討)
第二条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、特定目的会社が業として特定資産の流動化を行う制度について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
内閣総理大臣 橋本龍太郎
大蔵大臣 松永光