(目的)
第一条 この法律は、銀行の業務の公共性にかんがみ、信用を維持し、預金者等の保護を確保するとともに金融の円滑を図るため、銀行の業務の健全かつ適切な運営を期し、もつて国民経済の健全な発展に資することを目的とする。
2 この法律の運用に当たつては、銀行の業務の運営についての自主的な努力を尊重するよう配慮しなければならない。
(定義等)
第二条 この法律において「銀行」とは、第四条第一項の大蔵大臣の免許を受けて銀行業を営む者をいう。
2 この法律において「銀行業」とは、次に掲げる行為のいずれかを行う営業をいう。
一 預金又は定期積金の受入れと資金の貸付け又は手形の割引とを併せ行うこと。
3 この法律において「定期積金」とは、期限を定めて一定金額の給付を行うことを約して、定期に又は一定の期間内において数回にわたり受け入れる金銭をいう。
4 この法律において「預金者等」とは、預金者及び定期積金の積金者をいう。
第三条 預金又は定期積金の受入れ(前条第二項第一号に掲げる行為に該当するものを除く。)を行う営業は、銀行業とみなして、この法律を適用する。
(営業の免許)
第四条 銀行業は、大蔵大臣の免許を受けた者でなければ、営むことができない。
2 大蔵大臣は、銀行業の免許の申請があつたときは、次に掲げる基準に適合するかどうかを審査しなければならない。
一 銀行業の免許を申請した者(以下この項において「申請者」という。)が銀行の業務を健全かつ効率的に遂行するに足りる財産的基礎を有し、かつ、申請者の当該業務に係る収支の見込みが良好であること。
二 申請者が、その人的構成等に照らして、銀行の業務を的確、公正かつ効率的に遂行することができる知識及び経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者であること。
三 申請者による銀行の業務の開始が、当該銀行の業務が営まれる地域における資金の需給状況、銀行その他の金融機関の営業状況その他経済金融の状況に照らして、金融秩序を乱すおそれがない等適当なものであること。
3 外国の法令に準拠して外国において銀行業を営む者(その者と政令で定める特殊の関係のある者を含むものとし、銀行等を除く。以下この項において「外国銀行等」という。)をその株主の全部又は一部とする者が銀行業の免許を申請した場合において、当該外国銀行等が当該免許を申請した者の発行済株式の総数に大蔵省令で定める率を乗じて得た数を超える株式を適法に保有しているときは、大蔵大臣は、前項各号に掲げる基準のほか、当該外国銀行等の主たる営業所が所在する国において、銀行に対し、この法律による取扱いと実質的に同等な取扱いが行われると認められるかどうかの審査をしなければならない。ただし、当該審査が国際約束の誠実な履行を妨げることとなる場合その他の政令で定める場合は、この限りでない。
4 大蔵大臣は、前二項の規定による審査の基準に照らし公益上必要があると認めるときは、その必要の限度において、第一項の免許に条件を付し、及びこれを変更することができる。
5 第三項の「銀行等」とは、銀行、相互銀行、長期信用銀行法(昭和二十七年法律第百八十七号)に規定する長期信用銀行及び外国為替銀行法(昭和二十九年法律第六十七号)に規定する外国為替銀行をいう。
(資本の額)
第五条 銀行は、資本の額が政令で定める額以上の株式会社でなければならない。
2 前項の政令で定める額は、十億円を下回つてはならない。
3 銀行は、その資本の額を減少しようとするときは、大蔵大臣の認可を受けなければならない。
(商号)
第六条 銀行は、その商号中に銀行という文字を使用しなければならない。
2 銀行でない者は、その商号中に銀行であることを示す文字を使用してはならない。
3 銀行は、その商号を変更しようとするときは、大蔵大臣の認可を受けなければならない。
(取締役の兼職の制限)
第七条 銀行の常務に従事する取締役は、大蔵大臣の認可を受けた場合を除くほか、他の会社の常務に従事してはならない。
(営業所の設置等)
第八条 銀行は、支店その他の営業所の設置、位置の変更(本店の位置の変更を含む。)、種類の変更又は廃止をしようとするときは、大蔵省令で定める場合を除き、大蔵省令で定めるところにより、大蔵大臣の認可を受けなければならない。代理店の設置又は廃止をしようとするときも、同様とする。
(海外現地法人の株式等の取得)
第九条 銀行は、銀行業を営むため外国において設立される会社又は銀行業を営む外国の会社の株式又は持分の取得をしようとする場合において、当該取得によりこれらの会社の発行株式若しくは発行済株式の総数又は出資の総額に大蔵省令で定める率を乗じて得た数又は額を超えてこれらの会社の株式又は持分を保有することとなるときは、大蔵省令で定める場合を除き、当該取得につき、大蔵大臣の認可を受けなければならない。
2 前項の規定は、銀行が銀行業以外の事業を営む外国の会社の発行済株式の総数又は出資の総額に大蔵省令で定める率を乗じて得た数又は額を超えて当該外国の会社の株式又は持分を保有している場合において、当該外国の会社が銀行業を営むこととなるときについて準用する。