(森林基本計画)
第四條 農林大臣は、基本計画区につき五年ごとに、翌年四月一日以降五年間の森林基本計画を定めなければならない。
2 前項の森林基本計画は、森林生産の保続を図ること及び左に掲げる原則に従うことを旨とし、森林施業の合理化に資するものでなければならない。
二 幼齢林については、育林上必要な週期的間伐をすること。
三 皆伐した伐採跡地には、伐採後二年以内に造林すること。
3 森林基本計画に定める事項は、左の通りとする。
一 造林面積、植栽樹種その他造林及び保育に関する事項
4 農林大臣は、森林基本計画を定めるには、森林の現況、森林施業に関する事項、経済事情等につき、あらかじめ都道府県知事の意見を聞かなければならない。
5 農林大臣は、森林基本計画を定めようとする場合において必要があると認めるときは、あらかじめ中央森林審議会の意見を聞くことができる。
6 農林大臣は、森林基本計画を定めたときは、遅滯なく、これを都道府県知事に指示するとともにその概要を公表しなければならない。
(基本計画区)
第五條 前條第一項の基本計画区は、農林大臣が、都道府県知事の意見を聞き、地勢その他の條件を勘案し、主として流域別に都道府県の区域を分けて定める。
2 農林大臣は、基本計画区を定め、又はこれを変更したときは、遅滯なくこれを公表しなければならない。
(森林区)
第六條 都道府県知事は、農林大臣の指示に従い、その都道府県内の基本計画区を分けて森林区を定める。
2 都道府県知事は、森林区を定め、又はこれを変更したときは、遅滯なく、これを公表するとともに農林大臣に報告しなければならない。
(森林区施業計画)
第七條 都道府県知事は、第四條第六項の規定により森林基本計画を指示されたときは、その日から三十日以内に、その森林基本計画に基き、民有林について森林区別に、翌年四月一日以降五年間の森林区施業計画案を定めて公表しなければならない。
2 森林所有者、森林組合その他森林区施業計画に利害関係を有する者は、前項の森林区施業計画案の公表があつた日から三十日以内に、都道府県知事に対し、これについて書面により意見を述べることができる。
3 都道府県知事は、前項の意見を勘案し、且つ、必要があると認めるときは都道府県森林審議会の意見を聞き、第四條第六項の指示があつた日から九十日以内に、森林区施業計画を決定しなければならない。
4 森林区施業計画に定める事項は、左の通りとする。
一 人工植栽面積の最小限度、植栽樹種、植栽方法その他造林に関する事項
三 制限林(第二十五條第一項の規定により指定された保安林、第四十一條の規定により指定された保安施設地区の森林、砂防法(明治三十年法律第二十九号)第二條の規定により指定された土地の森林、国立公園法(昭和六年法律第三十六号)第一條の規定により指定された土地の森林その他法令により指定された森林又は指定された土地の森林であつて、それらの法令によつてその立木竹の伐採を制限されている民有林をいう。以下同じ。)の立木について、森林ごと又はその集団ごとの用材林薪炭林別、広葉樹針葉樹別の主伐立木材積、間伐立木材積及び主間伐合計の伐採立木材積のそれぞれの許容限度
四 普通林(民有林であつて、制限林、第十七條第一項の規定により指定された特用林及び同條第二項の規定により指定された自家用林以外のものをいう。以下同じ。)の立木(地域別及び樹種別に省令で定める適正伐期齢級以上の齢級に属する立木を除く。)について、その森林区における用材林薪炭林別、広葉樹針葉樹別の主伐立木材積、間伐立木材積及び主間伐合計の伐採立木材積のそれぞれの許容限度
5 都道府県知事は、森林区施業計画を決定したときは、遅滯なく、これを公表し、農林大臣に報告するとともに、制限林に係る前項第五号の事項をその森林所有者に書面により通知しなければならない。
6 第四條第二項の規定は、森林区施業計画を定める場合に準用する。
(森林区実施計画)
第八條 都道府県知事は、民有林について森林区別に、森林区施業計画に基き、毎年十月三十一日までに翌年の四月一日以降一年間の森林区実施計画案を定めて公表するとともに、これを記載した書面をその森林区に係る市町村の長に送付しなければならない。
2 市町村長は、前項の規定により送付を受けた書面を利害関係人の縱覽に供しなければならない。
3 森林所有者又は権原に基き森林の立木竹の使用若しくは收益をする者その他森林区実施計画に利害関係を有する者は、第一項の森林区実施計画案の公表があつた日から三十日以内に、都道府県知事に対し、これについて書面により意見を述べることができる。
4 都道府県知事は、前項の意見を尊重し、十二月三十一日までに森林区実施計画を決定しなければならない。
5 森林区実施計画に定める事項は、左の通りとする。
一 森林所有者別に、人工植栽をすべき保安林以外の民有林の所在、地番及び面積
二 森林所有者別に、人工植栽をすべき保安林の所在、地番、面積及び植栽樹種
三 制限林の立木について、森林ごと又はその集団ごとの用材林薪炭林別、広葉樹針葉樹別の主伐立木材積、間伐立木材積及び主間伐合計の伐採立木材積のそれぞれの許容限度
四 普通林の立木(前條第四項第四号の適正伐期齢級以上の齢級に属する立木を除く。)について、その森林区における用材林薪炭林別、広葉樹針葉樹別の主伐立木材積、間伐立木材積及び主間伐合計の伐採立木材積のそれぞれの許容限度
6 都道府県知事は、森林区実施計画を定めたときは、遅滯なく、これを公表するとともに前項第一号及び第二号の事項をそれぞれの森林所有者に書面により通知しなければならない。
7 第四條第二項の規定は、森林区実施計画を定める場合に準用する。
(異議の申立)
第九條 前條第四項の規定により決定された森林区実施計画に異議がある者は、その公表があつた日から二十日以内に、省令で定めるところにより、都道府県知事に対し異議の申立をすることができる。
2 都道府県知事は、前項の申立があつたときは、その申立の日から三十日以内に、これについて決定をし、これをその申立人に通知しなければならない。
3 前項の場合において森林区実施計画の変更を相当とする旨の決定をしたときは、都道府県知事は、その決定に従い、遅滯なくその森林区実施計画を変更しなければならない。
(森林計画の変更)
第十條 農林大臣は、森林の現況、経済事情等に著しい変更があつたため森林基本計画の実施が困難であると認めるときは、その森林基本計画の一部を変更することができる。この場合には、第四條第四項及び第五項の規定を準用する。
2 前項の場合には、農林大臣は、その変更に係る部分を都道府県知事に指示するとともに、その概要を公表しなければならない。
3 農林大臣は、森林区施業計画又は森林区実施計画が森林基本計画に抵触すると認めるときは、都道府県知事に対し、その抵触する部分につき必要な変更を命ずることができる。
4 都道府県知事は、第二項の指示又は前項の命令があつたときは、これに基き、その指示又は命令があつた日から三十日以内に、森林区施業計画又は森林区実施計画を変更しなければならない。
5 都道府県知事は、前項の規定により森林区施業計画を変更しようとする場合において必要があると認めるときは、あらかじめ都道府県森林審議会の意見を聞くことができる。
第十一條 森林所有者は、その森林の現況に著しい変更が生じたため、又は造林に必要な資金若しくは苗木が不足するため、森林区実施計画で定められた第八條第五項第一号又は第二号の事項に従つて植栽をすることが困難であるときは、省令で定める手続に従い、都道府県知事に対し、その森林区実施計画の変更を申請することができる。
2 前項の申請があつた場合には、第九條第二項及び第三項の規定を準用する。
第十二條 都道府県知事は、第二十五條第一項の規定による保安林の指定又は第二十六條第一項若しくは第二項の規定によるその解除があり、その他森林の現況、経済事情等に著しい変更があつたため、森林区施業計画又は森林区実施計画の変更を必要と認めるときは、森林基本計画に抵触しない範囲内においてその森林区施業計画又は森林区実施計画を変更することができる。
2 前項の場合には、第十條第五項の規定を準用する。
第十三條 都道府県知事は、第十條第四項又は前條第一項の規定により森林区施業計画を変更したときは、遅滯なく、その変更に係る部分を公表し、農林大臣に報告するとともに、その変更が制限林についての第七條第四項第五号の事項に係る場合には、その変更された事項をその森林所有者に書面により通知しなければならない。
2 都道府県知事は、第九條第三項(第十一條第二項において準用する場合を含む。)、第十條第四項又は前條第一項の規定により森林区実施計画を変更したときは、遅滯なく、その変更に係る部分を公表するとともに、その変更が第八條第五項第一号又は第二号の事項に係る場合には、その変更された事項をそれぞれの森林所有者に書面により通知しなければならない。
(植栽の義務)
第十四條 森林所有者は、森林区実施計画で定められた第八條第五項第一号又は第二号の事項に従つて植栽をしなければならない。
(伐採の届出)
第十五條 森林所有者その他権原に基き森林の立木の使用又は收益をする者は、普通林の立木で第七條第四項第四号の適正伐期齢級以上の齢級に属するもの(風倒木、枯損木その他省令で定める立木を除く。)を伐採しようとするときは、伐採の日の六十日前までに、省令で定めるところにより、都道府県知事に届出書を提出しなければならない。但し、法令又は法令に基く処分により伐採する場合及び国又は都道府県が第四十一條の保安施設事業又は砂防法第一條の砂防工事を実施するため伐採する場合は、この限りでない。
(伐採の許可)
第十六條 森林所有者その他権原に基き森林の立木の使用又は收益をする者は、左に掲げる事項について都道府県知事の許可を受けなければ、制限林又は普通林の立木(風倒木、枯損木、前條の規定により伐採の届出をしなければならない立木その他省令で定める立木を除く。)を伐採してはならない。但し、除伐する場合及び前條但書に規定する場合は、この限りでない。
二 主間伐別、用材林薪炭林別、広葉樹針葉樹別、伐採種別の伐採立木材積
2 前項の許可を受けようとする者は、省令で定めるところにより、第八條第六項の森林区実施計画の公表があつた日から三十日以内に都道府県知事に申請書を提出しなければならない。但し、第九條第三項、第十條第四項又は第十二條第一項の規定による森林区実施計画の変更により第八條第五項第三号の伐採立木材積の許容限度が増加した場合には、その変更につき第十三條第二項の公表があつた日から三十日以内に更に申請書を提出することができる。
3 都道府県知事は、前項の申請があつたときは、同項の期間満了後三十日以内に、許可するかどうかを決定し、これを書面により申請者に通知しなければならない。
4 都道府県知事は、第二項の申請に係る制限林についての伐採が森林区施業計画に定められた伐採に関する施業の要件に反するときは、その許可をしてはならない。
5 都道府県知事は、普通林について第一項の許可をする場合において、申請に係る伐採種が森林区施業計画に照らし不適当であるときは、その伐採種を変更して許可することができる。
6 第二項の規定による申請に係る制限林又は普通林の用材林薪炭林別、広葉樹針葉樹別の主伐、間伐又は主間伐合計の伐採立木材積が森林区実施計画に定められたそれぞれの許容限度(第二項但書の場合には、その増加部分)をこえている場合には、左に掲げる基準に従い、あわせて申請者の経済事情、林産物の需給事情等を勘案し、その許容限度の範囲内において許可すべきものを定めなければならない。但し、特別の必要がある場合には、普通林について、森林区施業計画に抵触せず、且つ、森林区実施計画に定められたそれぞれの許容限度(第二項但書の場合には、その増加部分)の二割をこえない範囲内においてその許容限度をこえる数量の伐採を許可することができる。
三 伐採立木の樹齢の高いものは、樹齢の低いものに優先する。
四 伐採立木の樹齢がおおむね等しい場合には、その平均木の大きいものが優先する。
7 第一項の許可の有効期間は、その許可に係る森林区実施計画の期間とする。但し、第二項但書の規定による申請に基く許可の有効期間の始期は、その許可があつた日とする。
8 都道府県知事は、第一項の許可を受けた者の申請により、六十日をこえない範囲内において、前項の有効期間を延長することができる。
9 第一項の許可に係る森林について、第三十三條第一項(第四十四條において準用する場合を含む。)の規定による保安林又は保安施設地区の指定の告示があつたときは、都道府県知事は、その許可を取り消し、又はその内容を変更することができる。
(特用林及び自家用林)
第十七條 都道府県知事は、省令で定める樹種を主とする森林(制限林を除く。)であつてその立木の果実の採取その他の省令で定める用途に主として供されるものを、その森林の森林所有者の申請に基き、特用林として指定することができる。
2 都道府県知事は、制限林以外の森林であつて、その森林の森林所有者たる個人又はその配偶者若しくは二親等以内の親族の住所の所在する市町村又はその隣接市町村に所在し、自家の生活の用に充てるため必要な木材その他の林産物の採取の目的に供すべきものを、その森林所有者の申請に基き、五反歩以内において省令で定める面積の範囲内で、自家用林として指定することができる。
3 特用林が制限林となつたときは、その指定は、その効力を失う。
4 左の各号の一に該当する場合には、自家用林の指定は、その効力を失う。
二 自家用林の指定の申請者がその自家用林の森林所有者でなくなつたとき。
三 自家用林の指定の申請者並びにその配偶者及び二親等以内の親族がその自家用林の所在する市町村及びその隣接市町村のいずれにも住所を有しなくなつたとき。
(伐採の例外)
第十八條 森林所有者その他権原に基き森林の立木竹の使用又は收益をする者は、左の各号の一に該当する場合には、第十五條、第十六條第一項及び第三十一條(第四十四條において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、森林の立木竹を伐採することができる。
一 火災、風水害その他の非常災害に際し緊急の用に供する必要があるため、その森林の所在地を管轄する市町村長の許可を受けたとき。
二 道路、鉄道、林道、電線又はこれらに準ずる設備に対する支障又は危險を除き、その他省令で定める目的を達する必要があるため、その森林の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けたとき。
2 市町村長は、前項第一号の許可をしたときは、その許可をした日から三十日以内に都道府県知事に報告しなければならない。
(異議の申立等)
第十九條 第十六條第三項の決定又は同條第九項の許可の取消若しくはその内容の変更に異議がある者は、処分の日から二十日以内に、省令で定めるところにより、都道府県知事に対し異議の申立をすることができる。この場合には、第九條第二項の規定を準用する。
(森林計画の遵守)
第二十條 森林所有者その他権原に基き森林の立木の使用又は收益をする者は、第十四條、第十五條、第十六條第一項及び第十八條第一項の規定による外、森林区施業計画及び森林区実施計画に従つて施業することを旨としなければならない。
(火入)
第二十一條 森林又は森林に接近している省令で定める範囲内にある原野、山岳、荒廃地その他の土地においては、省令で定めるところにより、その森林又は土地を管轄する市町村長の許可を受けてその指示するところに従つてでなければ火入をしてはならない。但し、国又は地方公共団体が火入をする場合は、この限りでない。
2 市町村長は、火入をする目的が左の各号の一に該当する場合でなければ前項の許可をしてはならない。
3 市町村長は、国有林野法に規定する国有林野又はこれに接近する森林若しくは土地について第一項の許可をするには、あらかじめその国有林野を管轄する営林局長の承認を受けなければならない。
(防火の設備等)
第二十二條 前條第一項の森林又は土地において火入をする者は、あらかじめ必要な防火の設備をし、且つ火入をしようとする森林又は土地に接近している省令で定める範囲内にある立木竹の所有者又は管理者にその旨を通知しなければならない。
(危害防止のための條例)
第二十三條 前二條に規定するものの外、都道府県は、條例をもつて森林における火災の予防その他危害防止のため必要な定をすることができる。
(適用除外)
第二十四條 前三條の規定を除き、この章の規定は、試験研究の目的に供している森林であつて農林大臣の指定するものその他省令で定める森林には適用しない。