森林法
法令番号: 法律第二百四十九号
公布年月日: 昭和26年6月26日
法令の形式: 法律
森林法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十六年六月二十六日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百四十九号
森林法
目次
第一章
総則(第一條―第三條)
第二章
営林の助長及び監督(第四條―第二十四條)
第三章
保安施設
第一節
保安林(第二十五條―第四十條)
第二節
保安施設地区(第四十一條―第四十八條)
第四章
土地の使用(第四十九條―第六十七條)
第五章
森林審議会(第六十八條―第七十三條)
第六章
森林組合及び森林組合連合会
第一節
総則(第七十四條―第七十八條)
第二節
森林組合
第一款
事業(第七十九條―第八十五條)
第二款
組合員(第八十六條―第百二條)
第三款
管理(第百三條―第百三十四條)
第四款
設立(第百三十五條―第百四十三條)
第五款
解散及び清算(第百四十四條―第百五十三條)
第三節
森林組合連合会(第百五十四條―第百五十九條)
第四節
登記(第百六十條―第百七十八條)
第五節
監督(第百七十九條―第百八十五條)
第七章
雑則(第百八十六條―第百九十六條)
第八章
罰則(第百九十七條―第二百十五條)
附則
第一章 総則
(この法律の目的)
第一條 この法律は、森林計画、保安林その他の森林に関する基本的事項及び森林所有者の協同組織の制度を定めて、森林の保続培養と森林生産力の増進とを図り、もつて国土の保全と国民経済の発展とに資することを目的とする。
(定義)
第二條 この法律において「森林」とは、左に掲げるものをいう。但し、主として農地又は住宅地若しくはこれに準ずる土地として使用される土地及びこれらの上にある立木竹を除く。
一 木竹が集団して生育している土地及びその土地の上にある立木竹
二 前号の土地の外、木竹の集団的な生育に供される土地
2 この法律において「森林所有者」とは、権原に基き森林の土地の上に木竹を所有し、及び育成することができる者をいう。
3 この法律において「国有林」とは、国が森林所有者である森林及び国有林野法(昭和二十六年法律第二百四十六号)第四章の規定による部分林である森林をいい、「民有林」とは、国有林以外の森林をいう。
(承継人に対する効力)
第三條 この法律又はこの法律に基く命令の規定によつてした処分、手続その他の行為は、森林所有者、権原に基き森林の立木竹の使用若しくは收益をする者又は土地の所有者若しくは占有者の承継人に対しても、その効力を有する。
第二章 営林の助長及び監督
(森林基本計画)
第四條 農林大臣は、基本計画区につき五年ごとに、翌年四月一日以降五年間の森林基本計画を定めなければならない。
2 前項の森林基本計画は、森林生産の保続を図ること及び左に掲げる原則に従うことを旨とし、森林施業の合理化に資するものでなければならない。
一 幼齢林を皆伐しないこと。
二 幼齢林については、育林上必要な週期的間伐をすること。
三 皆伐した伐採跡地には、伐採後二年以内に造林すること。
四 急傾斜地における森林を皆伐しないこと。
3 森林基本計画に定める事項は、左の通りとする。
一 造林面積、植栽樹種その他造林及び保育に関する事項
二 伐採方法その他森林の立木竹の伐採に関する事項
三 林道の開設その他林産物の搬出に関する事項
四 保安施設に関する事項
五 その他森林施業の基本となるべき事項
4 農林大臣は、森林基本計画を定めるには、森林の現況、森林施業に関する事項、経済事情等につき、あらかじめ都道府県知事の意見を聞かなければならない。
5 農林大臣は、森林基本計画を定めようとする場合において必要があると認めるときは、あらかじめ中央森林審議会の意見を聞くことができる。
6 農林大臣は、森林基本計画を定めたときは、遅滯なく、これを都道府県知事に指示するとともにその概要を公表しなければならない。
(基本計画区)
第五條 前條第一項の基本計画区は、農林大臣が、都道府県知事の意見を聞き、地勢その他の條件を勘案し、主として流域別に都道府県の区域を分けて定める。
2 農林大臣は、基本計画区を定め、又はこれを変更したときは、遅滯なくこれを公表しなければならない。
(森林区)
第六條 都道府県知事は、農林大臣の指示に従い、その都道府県内の基本計画区を分けて森林区を定める。
2 都道府県知事は、森林区を定め、又はこれを変更したときは、遅滯なく、これを公表するとともに農林大臣に報告しなければならない。
(森林区施業計画)
第七條 都道府県知事は、第四條第六項の規定により森林基本計画を指示されたときは、その日から三十日以内に、その森林基本計画に基き、民有林について森林区別に、翌年四月一日以降五年間の森林区施業計画案を定めて公表しなければならない。
2 森林所有者、森林組合その他森林区施業計画に利害関係を有する者は、前項の森林区施業計画案の公表があつた日から三十日以内に、都道府県知事に対し、これについて書面により意見を述べることができる。
3 都道府県知事は、前項の意見を勘案し、且つ、必要があると認めるときは都道府県森林審議会の意見を聞き、第四條第六項の指示があつた日から九十日以内に、森林区施業計画を決定しなければならない。
4 森林区施業計画に定める事項は、左の通りとする。
一 人工植栽面積の最小限度、植栽樹種、植栽方法その他造林に関する事項
二 下刈、除伐その他保育に関する事項
三 制限林(第二十五條第一項の規定により指定された保安林、第四十一條の規定により指定された保安施設地区の森林、砂防法(明治三十年法律第二十九号)第二條の規定により指定された土地の森林、国立公園法(昭和六年法律第三十六号)第一條の規定により指定された土地の森林その他法令により指定された森林又は指定された土地の森林であつて、それらの法令によつてその立木竹の伐採を制限されている民有林をいう。以下同じ。)の立木について、森林ごと又はその集団ごとの用材林薪炭林別、広葉樹針葉樹別の主伐立木材積、間伐立木材積及び主間伐合計の伐採立木材積のそれぞれの許容限度
四 普通林(民有林であつて、制限林、第十七條第一項の規定により指定された特用林及び同條第二項の規定により指定された自家用林以外のものをいう。以下同じ。)の立木(地域別及び樹種別に省令で定める適正伐期齢級以上の齢級に属する立木を除く。)について、その森林区における用材林薪炭林別、広葉樹針葉樹別の主伐立木材積、間伐立木材積及び主間伐合計の伐採立木材積のそれぞれの許容限度
五 伐採方法その他森林の立木竹の伐採に関する事項
六 林道の開設その他林産物の搬出に関する事項
七 保安施設に関する事項
八 その他森林施業の基本となるべき事項
5 都道府県知事は、森林区施業計画を決定したときは、遅滯なく、これを公表し、農林大臣に報告するとともに、制限林に係る前項第五号の事項をその森林所有者に書面により通知しなければならない。
6 第四條第二項の規定は、森林区施業計画を定める場合に準用する。
(森林区実施計画)
第八條 都道府県知事は、民有林について森林区別に、森林区施業計画に基き、毎年十月三十一日までに翌年の四月一日以降一年間の森林区実施計画案を定めて公表するとともに、これを記載した書面をその森林区に係る市町村の長に送付しなければならない。
2 市町村長は、前項の規定により送付を受けた書面を利害関係人の縱覽に供しなければならない。
3 森林所有者又は権原に基き森林の立木竹の使用若しくは收益をする者その他森林区実施計画に利害関係を有する者は、第一項の森林区実施計画案の公表があつた日から三十日以内に、都道府県知事に対し、これについて書面により意見を述べることができる。
4 都道府県知事は、前項の意見を尊重し、十二月三十一日までに森林区実施計画を決定しなければならない。
5 森林区実施計画に定める事項は、左の通りとする。
一 森林所有者別に、人工植栽をすべき保安林以外の民有林の所在、地番及び面積
二 森林所有者別に、人工植栽をすべき保安林の所在、地番、面積及び植栽樹種
三 制限林の立木について、森林ごと又はその集団ごとの用材林薪炭林別、広葉樹針葉樹別の主伐立木材積、間伐立木材積及び主間伐合計の伐採立木材積のそれぞれの許容限度
四 普通林の立木(前條第四項第四号の適正伐期齢級以上の齢級に属する立木を除く。)について、その森林区における用材林薪炭林別、広葉樹針葉樹別の主伐立木材積、間伐立木材積及び主間伐合計の伐採立木材積のそれぞれの許容限度
五 その他森林施業に関し必要な事項
6 都道府県知事は、森林区実施計画を定めたときは、遅滯なく、これを公表するとともに前項第一号及び第二号の事項をそれぞれの森林所有者に書面により通知しなければならない。
7 第四條第二項の規定は、森林区実施計画を定める場合に準用する。
(異議の申立)
第九條 前條第四項の規定により決定された森林区実施計画に異議がある者は、その公表があつた日から二十日以内に、省令で定めるところにより、都道府県知事に対し異議の申立をすることができる。
2 都道府県知事は、前項の申立があつたときは、その申立の日から三十日以内に、これについて決定をし、これをその申立人に通知しなければならない。
3 前項の場合において森林区実施計画の変更を相当とする旨の決定をしたときは、都道府県知事は、その決定に従い、遅滯なくその森林区実施計画を変更しなければならない。
(森林計画の変更)
第十條 農林大臣は、森林の現況、経済事情等に著しい変更があつたため森林基本計画の実施が困難であると認めるときは、その森林基本計画の一部を変更することができる。この場合には、第四條第四項及び第五項の規定を準用する。
2 前項の場合には、農林大臣は、その変更に係る部分を都道府県知事に指示するとともに、その概要を公表しなければならない。
3 農林大臣は、森林区施業計画又は森林区実施計画が森林基本計画に抵触すると認めるときは、都道府県知事に対し、その抵触する部分につき必要な変更を命ずることができる。
4 都道府県知事は、第二項の指示又は前項の命令があつたときは、これに基き、その指示又は命令があつた日から三十日以内に、森林区施業計画又は森林区実施計画を変更しなければならない。
5 都道府県知事は、前項の規定により森林区施業計画を変更しようとする場合において必要があると認めるときは、あらかじめ都道府県森林審議会の意見を聞くことができる。
第十一條 森林所有者は、その森林の現況に著しい変更が生じたため、又は造林に必要な資金若しくは苗木が不足するため、森林区実施計画で定められた第八條第五項第一号又は第二号の事項に従つて植栽をすることが困難であるときは、省令で定める手続に従い、都道府県知事に対し、その森林区実施計画の変更を申請することができる。
2 前項の申請があつた場合には、第九條第二項及び第三項の規定を準用する。
第十二條 都道府県知事は、第二十五條第一項の規定による保安林の指定又は第二十六條第一項若しくは第二項の規定によるその解除があり、その他森林の現況、経済事情等に著しい変更があつたため、森林区施業計画又は森林区実施計画の変更を必要と認めるときは、森林基本計画に抵触しない範囲内においてその森林区施業計画又は森林区実施計画を変更することができる。
2 前項の場合には、第十條第五項の規定を準用する。
第十三條 都道府県知事は、第十條第四項又は前條第一項の規定により森林区施業計画を変更したときは、遅滯なく、その変更に係る部分を公表し、農林大臣に報告するとともに、その変更が制限林についての第七條第四項第五号の事項に係る場合には、その変更された事項をその森林所有者に書面により通知しなければならない。
2 都道府県知事は、第九條第三項(第十一條第二項において準用する場合を含む。)、第十條第四項又は前條第一項の規定により森林区実施計画を変更したときは、遅滯なく、その変更に係る部分を公表するとともに、その変更が第八條第五項第一号又は第二号の事項に係る場合には、その変更された事項をそれぞれの森林所有者に書面により通知しなければならない。
3 前項の場合には、第九條の規定を準用する。
(植栽の義務)
第十四條 森林所有者は、森林区実施計画で定められた第八條第五項第一号又は第二号の事項に従つて植栽をしなければならない。
(伐採の届出)
第十五條 森林所有者その他権原に基き森林の立木の使用又は收益をする者は、普通林の立木で第七條第四項第四号の適正伐期齢級以上の齢級に属するもの(風倒木、枯損木その他省令で定める立木を除く。)を伐採しようとするときは、伐採の日の六十日前までに、省令で定めるところにより、都道府県知事に届出書を提出しなければならない。但し、法令又は法令に基く処分により伐採する場合及び国又は都道府県が第四十一條の保安施設事業又は砂防法第一條の砂防工事を実施するため伐採する場合は、この限りでない。
(伐採の許可)
第十六條 森林所有者その他権原に基き森林の立木の使用又は收益をする者は、左に掲げる事項について都道府県知事の許可を受けなければ、制限林又は普通林の立木(風倒木、枯損木、前條の規定により伐採の届出をしなければならない立木その他省令で定める立木を除く。)を伐採してはならない。但し、除伐する場合及び前條但書に規定する場合は、この限りでない。
一 伐採する森林の所在、地番及び面積
二 主間伐別、用材林薪炭林別、広葉樹針葉樹別、伐採種別の伐採立木材積
2 前項の許可を受けようとする者は、省令で定めるところにより、第八條第六項の森林区実施計画の公表があつた日から三十日以内に都道府県知事に申請書を提出しなければならない。但し、第九條第三項、第十條第四項又は第十二條第一項の規定による森林区実施計画の変更により第八條第五項第三号の伐採立木材積の許容限度が増加した場合には、その変更につき第十三條第二項の公表があつた日から三十日以内に更に申請書を提出することができる。
3 都道府県知事は、前項の申請があつたときは、同項の期間満了後三十日以内に、許可するかどうかを決定し、これを書面により申請者に通知しなければならない。
4 都道府県知事は、第二項の申請に係る制限林についての伐採が森林区施業計画に定められた伐採に関する施業の要件に反するときは、その許可をしてはならない。
5 都道府県知事は、普通林について第一項の許可をする場合において、申請に係る伐採種が森林区施業計画に照らし不適当であるときは、その伐採種を変更して許可することができる。
6 第二項の規定による申請に係る制限林又は普通林の用材林薪炭林別、広葉樹針葉樹別の主伐、間伐又は主間伐合計の伐採立木材積が森林区実施計画に定められたそれぞれの許容限度(第二項但書の場合には、その増加部分)をこえている場合には、左に掲げる基準に従い、あわせて申請者の経済事情、林産物の需給事情等を勘案し、その許容限度の範囲内において許可すべきものを定めなければならない。但し、特別の必要がある場合には、普通林について、森林区施業計画に抵触せず、且つ、森林区実施計画に定められたそれぞれの許容限度(第二項但書の場合には、その増加部分)の二割をこえない範囲内においてその許容限度をこえる数量の伐採を許可することができる。
一 間伐は、主伐に優先する。
二 皆伐以外の主伐は、皆伐に優先する。
三 伐採立木の樹齢の高いものは、樹齢の低いものに優先する。
四 伐採立木の樹齢がおおむね等しい場合には、その平均木の大きいものが優先する。
7 第一項の許可の有効期間は、その許可に係る森林区実施計画の期間とする。但し、第二項但書の規定による申請に基く許可の有効期間の始期は、その許可があつた日とする。
8 都道府県知事は、第一項の許可を受けた者の申請により、六十日をこえない範囲内において、前項の有効期間を延長することができる。
9 第一項の許可に係る森林について、第三十三條第一項(第四十四條において準用する場合を含む。)の規定による保安林又は保安施設地区の指定の告示があつたときは、都道府県知事は、その許可を取り消し、又はその内容を変更することができる。
(特用林及び自家用林)
第十七條 都道府県知事は、省令で定める樹種を主とする森林(制限林を除く。)であつてその立木の果実の採取その他の省令で定める用途に主として供されるものを、その森林の森林所有者の申請に基き、特用林として指定することができる。
2 都道府県知事は、制限林以外の森林であつて、その森林の森林所有者たる個人又はその配偶者若しくは二親等以内の親族の住所の所在する市町村又はその隣接市町村に所在し、自家の生活の用に充てるため必要な木材その他の林産物の採取の目的に供すべきものを、その森林所有者の申請に基き、五反歩以内において省令で定める面積の範囲内で、自家用林として指定することができる。
3 特用林が制限林となつたときは、その指定は、その効力を失う。
4 左の各号の一に該当する場合には、自家用林の指定は、その効力を失う。
一 自家用林が制限林となつたとき。
二 自家用林の指定の申請者がその自家用林の森林所有者でなくなつたとき。
三 自家用林の指定の申請者並びにその配偶者及び二親等以内の親族がその自家用林の所在する市町村及びその隣接市町村のいずれにも住所を有しなくなつたとき。
(伐採の例外)
第十八條 森林所有者その他権原に基き森林の立木竹の使用又は收益をする者は、左の各号の一に該当する場合には、第十五條、第十六條第一項及び第三十一條(第四十四條において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、森林の立木竹を伐採することができる。
一 火災、風水害その他の非常災害に際し緊急の用に供する必要があるため、その森林の所在地を管轄する市町村長の許可を受けたとき。
二 道路、鉄道、林道、電線又はこれらに準ずる設備に対する支障又は危險を除き、その他省令で定める目的を達する必要があるため、その森林の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けたとき。
2 市町村長は、前項第一号の許可をしたときは、その許可をした日から三十日以内に都道府県知事に報告しなければならない。
(異議の申立等)
第十九條 第十六條第三項の決定又は同條第九項の許可の取消若しくはその内容の変更に異議がある者は、処分の日から二十日以内に、省令で定めるところにより、都道府県知事に対し異議の申立をすることができる。この場合には、第九條第二項の規定を準用する。
(森林計画の遵守)
第二十條 森林所有者その他権原に基き森林の立木の使用又は收益をする者は、第十四條、第十五條、第十六條第一項及び第十八條第一項の規定による外、森林区施業計画及び森林区実施計画に従つて施業することを旨としなければならない。
(火入)
第二十一條 森林又は森林に接近している省令で定める範囲内にある原野、山岳、荒廃地その他の土地においては、省令で定めるところにより、その森林又は土地を管轄する市町村長の許可を受けてその指示するところに従つてでなければ火入をしてはならない。但し、国又は地方公共団体が火入をする場合は、この限りでない。
2 市町村長は、火入をする目的が左の各号の一に該当する場合でなければ前項の許可をしてはならない。
一 造林のための地ごしらえ
二 開墾準備
三 害虫駆除
四 燒畑
五 前各号に準ずる事項であつて省令で定めるもの
3 市町村長は、国有林野法に規定する国有林野又はこれに接近する森林若しくは土地について第一項の許可をするには、あらかじめその国有林野を管轄する営林局長の承認を受けなければならない。
(防火の設備等)
第二十二條 前條第一項の森林又は土地において火入をする者は、あらかじめ必要な防火の設備をし、且つ火入をしようとする森林又は土地に接近している省令で定める範囲内にある立木竹の所有者又は管理者にその旨を通知しなければならない。
(危害防止のための條例)
第二十三條 前二條に規定するものの外、都道府県は、條例をもつて森林における火災の予防その他危害防止のため必要な定をすることができる。
(適用除外)
第二十四條 前三條の規定を除き、この章の規定は、試験研究の目的に供している森林であつて農林大臣の指定するものその他省令で定める森林には適用しない。
第三章 保安施設
第一節 保安林
(指定)
第二十五條 農林大臣は、左の各号に掲げる目的を達成するため必要があるときは、森林を保安林として指定することができる。
一 水源のかん養
二 土砂の流出の防備
三 土砂の崩壞の防備
四 飛砂の防備
五 風害、水害、潮害、干害、雪害又は霧害の防備
六 なだれ又は落石の危險の防止
七 火災の防備
八 魚つき
九 航行の目標の保存
十 公衆の保健
十一 名所又は旧跡の風致の保存
2 農林大臣は、前項の指定をしようとするときは、中央森林審議会に諮問することができる。
(解除)
第二十六條 農林大臣は、保安林について、その指定の理由が消滅したときは、遅滯なくその部分につき保安林の指定を解除しなければならない。
2 農林大臣は、公益上の理由により必要が生じたときは、その部分につき保安林の指定を解除することができる。
3 前二項の規定により解除をしようとする場合には、前條第二項の規定を準用する。
(指定又は解除の申請)
第二十七條 保安林の指定若しくは解除に利害関係を有する地方公共団体の長又はその指定若しくは解除に直接の利害関係を有する者は、省令で定める手続に従い、森林を保安林として指定すべき旨又は保安林の指定を解除すべき旨を書面により農林大臣に申請することができる。
2 都道府県知事以外の者が前項の規定により保安林の指定又は解除を申請する場合には、その森林の所在地を管轄する都道府県知事を経由しなければならない。
3 都道府県知事は、前項の場合には、遅滯なくその申請書に意見書を附して農林大臣に進達しなければならない。但し、申請が第一項の條件を具備しないか、又は次條の規定に違反していると認めるときは、その申請を進達しないで却下することができる。
第二十八條 農林大臣が前條第一項の申請に係る指定又は解除をしない旨の処分をしたときは、その申請をした者は、実地の状況に著しい変化が生じた場合でなければ、再び同一の理由で同項の申請をしてはならない。
(保安林予定森林又は解除予定保安林に関する通知等)
第二十九條 農林大臣は、保安林の指定又は解除をしようとするときは、あらかじめその旨及び保安林予定森林又は解除予定保安林の所在場所その他省令で定める事項をその森林の所在地を管轄する都道府県知事に通知しなければならない。その通知した内容を変更しようとするときもまた同様とする。
第三十條 都道府県知事は、前條の通知を受けたときは、遅滯なく、省令で定めるところにより、その通知の内容を告示し、その森林の所在する市町村の事務所に掲示するとともに、その森林の森林所有者及びその森林に関し登記した権利を有する者にその内容を通知しなければならない。この場合において、保安林の指定又は解除が第二十七條第一項の規定による申請に係るものであるときは、その申請者にも通知しなければならない。
(保安林予定森林における制限)
第三十一條 都道府県知事は、前條の規定による告示があつた保安林予定森林について、省令で定めるところにより、九十日をこえない期間内において、立木竹の伐採又は土石若しくは樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為を禁止することができる。
(意見書の提出)
第三十二條 第二十七條第一項に規定する者は、第三十條の告示があつた場合においてその告示の内容に異議があるときは、省令で定める手続に従い、都道府県知事を経由して農林大臣に意見書を提出することができる。この場合には、その告示の日から三十日以内に意見書を都道府県知事に差し出さなければならない。
2 農林大臣は、前項の規定による意見書の提出があつたときは、これについて公開による聽聞を行わなければならない。
3 農林大臣は、前項の聽聞をしようとするときは、その期日の一週間前までに聽聞の期日及び場所をその意見書を提出した者に通知するとともにこれを公示しなければならない。
4 農林大臣は、第三十條の告示の日から四十日を経過した後(第一項の意見書の提出があつたときは、これについて第二項の聽聞をした後)でなければ保安林の指定又は解除をすることができない。
(指定又は解除の通知)
第三十三條 農林大臣は、保安林の指定又は解除をする場合には、その旨及びその保安林の所在場所その他省令で定める事項を告示するとともに関係都道府県知事に通知しなければならない。
2 保安林の指定又は解除は、前項の告示によつてその効力を生ずる。
3 都道府県知事は、第一項の通知を受けたときは、その処分の内容をその処分に係る森林の森林所有者及びその処分が第二十七條第一項の申請に係るものであるときはその申請者に通知しなければならない。
(保安林における制限)
第三十四條 保安林の区域内においては、都道府県知事の許可を受けなければ、立竹を伐採し、家畜を放牧し、又は土石若しくは樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為をしてはならない。
2 都道府県知事は、前項の許可の申請があつた場合には、その申請に係る行為がその保安林の指定の目的の達成に支障を及ぼすと認められる場合を除き、これを許可しなければならない。
(損失の補償)
第三十五條 国は、保安林として指定された森林の森林所有者その他権原に基きその森林の立木竹又は土地の使用又は收益をする者に対し、保安林の指定によりその者が通常受けるべき損失を補償しなければならない。
(受益者の負担)
第三十六條 国は、保安林の指定によつて利益を受ける地方公共団体その他の者に、その受ける利益の限度において、前條の規定により補償すべき金額の全部又は一部を負担させることができる。
2 農林大臣は、前項の場合には、補償金額の全部又は一部を負担する者に対し、その負担すべき金額並びにその納付の期日及び場所を書面により通知しなければならない。
3 農林大臣は、前項の通知を受けた者が納付の期日を過ぎても同項の金額を完納しないときは、督促状により、期限を指定してこれを督促しなければならない。
4 前項の規定による督促を受けた者がその指定の期限までにその負担すべき金額を納付しないときは、農林大臣は、国税滯納処分の例によつてこれを徴收することができる。
(担保権)
第三十七條 保安林の立木竹又は土地について先取特権、質権又は抵当権を有する者は、第三十五條の規定による補償金に対してもその権利を行うことができる。但し、その拂渡前に差押をしなければならない。
(造林又は復旧の命令)
第三十八條 都道府県知事は、保安林又は保安林予定森林につき第十六條第一項の規定に違反した者に対し、期間及び樹種を定めて造林に必要な行為を命じ、又は第三十一條若しくは第三十四條の規定に違反した者に対し、期間を定めて復旧に必要な行為をすべき旨を命ずることができる。
(標識の設置)
第三十九條 農林大臣は、森林を保安林として指定したときは、その保安林の区域内にこれを表示する標識を設置しなければならない。この場合において、保安林の森林所有者は、その設置を拒み、又は妨げてはならない。
(権限の委任)
第四十條 この節に規定する農林大臣の権限は、政令で定めるところにより、その一部を都道府県知事に委任することができる。
2 前項の規定により第二十五條又は第二十六條に規定する農林大臣の権限が委任された場合には、第二十五條第二項(第二十六條第三項において準用する場合を含む。)中「中央森林審議会」とあるのは、「都道府県森林審議会」と読み替えるものとする。
第二節 保安施設地区
(指定)
第四十一條 農林大臣は、第二十五條第一項第一号から第七号までに掲げる目的を達成するため、国が森林の造成事業又は森林の造成若しくは維持に必要な事業を行う必要があると認めるときは、その事業を行うのに必要な限度において森林又は原野その他の土地を保安施設地区として指定することができる。
2 農林大臣は、前項の事業(以下「保安施設事業」という。)を都道府県が行う必要があると認めて都道府県知事から申請があつた場合において、その申請を相当と認めるときは、その事業を行うのに必要な限度において森林又は原野その他の土地を保安施設地区として指定することができる。
(指定の有効期間)
第四十二條 前條の保安施設地区の指定の有効期間は、七年以内において農林大臣が定める期間とする。但し、農林大臣は、必要があると認めるときは、三年を限りその有効期間を延長することができる。
(解除)
第四十三條 農林大臣は、国又は都道府県が保安施設事業を廃止したときは、遅滯なく保安施設地区の指定を解除しなければならない。
2 保安施設地区の指定後一年を経過した時に国又は都道府県がなお保安施設事業に着手していないときは、その時に、指定またはその効力を失う。
(保安林に関する規定の準用)
第四十四條 保安施設地区の規定については、第二十九條から第三十三條まで及び第三十九條の規定を、保安施設地区における制限については、第三十四條の規定を準用する。但し、保安施設地区の指定に係る森林が保安林である場合には第三十一條及び第三十四條の規定、災害を復旧するため緊急に保安施設事業を行う必要がある場合には第三十二條第四項の規定は、準用しない。
(受忍義務)
第四十五條 保安施設地区の土地の所有者その他その土地に関し権利を有する者(以下この節において「関係人」という。)は、国又は都道府県が、その保安施設地区において、その指定の有効期間内に行う造林、森林土木事業その他の保安施設事業の実施行為及びその期間満了後十年以内に行う保安施設事業に係る施設の維持管理行為を拒んではならない。
2 国又は都道府県は、その行つた前項の行為により損失を受けた関係人に対し、通常生ずべき損失を補償しなければならない。
(費用区分)
第四十六條 国は、その行う保安施設事業により利益を受ける都道府県にその事業に要した費用の三分の一以内を負担させることができる。
2 国は、都道府県が行う保安施設事業に対し、その要した費用の三分の二以内を補助することができる。
(保安林への転換)
第四十七條 保安施設地区にあつて第四十二條の規定による指定の有効期間の満了の時に森林であるものは、既に保安林となつているものを除き、その時に第二十五條の規定により保安林として指定され、これについて第三十三條の規定による告示及び通知があつたものとみなす。
(適用除外)
第四十八條 国又は都道府県が保安施設地区において行う第四十五條第一項の行為については、第四十四條において準用する第三十四條の規定(その保安施設地区の指定に係る森林が保安林である場合には第三十四條の規定)は、適用しない。
第四章 土地の使用
(立入調査等)
第四十九條 森林所有者その他権原に基き森林の立木竹の使用又は收益をする者は、森林施業に関する測量又は実施調査のため必要があるときは、都道府県知事の許可を受けて、他人の土地に立ち入り、又は測量若しくは実地調査の支障となる立木竹を伐採することができる。
2 都道府県知事は、前項の許可の申請があつたときは、土地の占有者及び立木竹の所有者にその旨を通知し、意見書を提出する機会を與えなければならない。
3 第一項の許可を受けた者は、他人の土地に立ち入り、又は立木竹を伐採する場合には、あらかじめその土地の占有者又は立木竹の所有者に通知しなければならない。
4 第一項の規定により他人の土地に立ち入り、又は立木竹を伐採しようとする者は、同項の許可を受けたことを証する書面を携帶し、その土地の占有者又は立木竹の所有者の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。
5 第一項の規定により他人の土地に立ち入り、又は立木竹を伐採した者は、これによつて生じた損失を補償しなければならない。
6 森林所有者その他権原に基き森林の立木竹の使用又は收益をする者は、森林に重大な損害を與えるおそれのある害虫、獸類、菌類又はバイラスが森林に発生し、又は発生するおそれがある場合において、その駆除又は予防のため必要があるときは、都道府県知事の許可を受けて他人の土地に立ち入ることができる。この場合には、第二項から前項までの規定を準用する。
(使用権設定に関する認可)
第五十條 森林から木材、竹材若しくは薪炭を搬出し、又は林道、木材集積場その他森林施業に必要な設備をする者は、その搬出又は設備のため他人の土地を使用することが必要且つ適当であつて他の土地をもつて代えることが著しく困難であるときは、その土地を管轄する都道府県知事の認可を受けて、その土地の所有者(所有者以外に権原に基きその土地を使用する者がある場合には、その者及び所有者)に対し、これを使用する権利(以下「使用権」という。)の設定に関する協議を求めることができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による認可の申請があつたときは、その土地の所有者及びその土地に関し所有権以外の権利を有する者(以下「関係人」という。)の意見を聞かなければならない。
3 都道府県知事は、第一項の認可をしたときは、その旨をその土地の所有者及び関係人に通知するとともにその土地の所在する市町村の事務所に掲示しなければならない。
4 第一項の認可を受けた者は、同項の搬出又は設備に関する測量又は実地調査のため必要があるときは、他人の土地に立ち入り、又は測量若しくは実地調査の支障となる立木竹を伐採することができる。この場合には、前條第三項から第五項までの規定を準用する。
(裁定の申請)
第五十一條 前條第一項の規定による協議がととのわず、又は協議をすることができないときは、同項の認可を受けた者は、省令で定める手続に従い、その使用権の設定に関し都道府県知事の裁定を申請することができる。但し、同項の認可があつた日から六箇月を経過したときは、この限りでない。
(意見書の提出)
第五十二條 都道府県知事は、前條の申請があつたときは、省令で定める手続に従い、その旨を公示するとともにその申請に係る土地の所有者及び関係人に通知し、二十日を下らない期間を指定して意見書を提出する機会を與えなければならない。
2 都道府県知事は、前項の期間を経過した後でなければ、裁定をしてはならない。
(裁定)
第五十三條 使用権を設定すべき旨の裁定においては、左に掲げる事項を定めなければならない。
一 使用権を設定すべき土地の所在、地番、地目及び面積
二 設定すべき使用権の内容及び存続期間
三 使用の時期
四 補償金の額並びにその支拂の時期及び方法
2 都道府県知事は、前項第一号及び第二号に掲げる事項については、申請の範囲内で、且つ、第五十條第一項の搬出又は設備のため必要な限度で裁定をしなければならない。
3 都道府県知事は、第一項の裁定をしたときは、遅滯なく、省令で定める手続に従い、その旨をその裁定の申請者及び前條第一項の通知を受けた者に通知するとともにこれを公示しなければならない。
(使用権の取得)
第五十四條 前條第一項の裁定があつたときは、その裁定において定められた使用の時期に、裁定を申請した者は、その土地の使用権を取得し、その土地に関するその他の権利は、その使用権の内容と抵触する限度においてその行使を制限される。
(收用の請求)
第五十五條 使用権が設定された場合において、その土地の使用が三年以上にわたるとき、又はその使用権の行使によつて土地の形質が変更されるときは、土地の所有者は、その土地につき使用権を有する者に対し、その土地の收用に関する協議を求めることができる。この場合において、土地の一部が收用されることによつて残地を従来用いていた目的に供することが著しく困難となるときは、その土地の所有者は、その全部の收用に関する協議を求めることができる。
2 前項の場合には、第五十一條本文及び第五十二條の規定を準用する。この場合において、第五十一條中「同項の認可を受けた者」とあるのは、「第五十五條第一項の協議を求めた者」と読み替えるものとする。
3 前項において準用する第五十一條の裁定においては、その收用の可否を定め、收用すべき旨の裁定においては更に左に掲げる事項を定めなければならない。
一 收用すべき土地の所在、地番、地目及び面積
二 收用の時期
三 補償金の額並びにその支拂の時期及び方法
4 前項の裁定については、第五十三條第二項及び第三項の規定を準用する。
(收用の効果)
第五十六條 前條第三項の收用すべき旨の裁定があつたときは、その裁定において定められた收用の時期に、收用する者は、その土地の所有権を取得し、その他の権利は、消滅する。
(協議がととのつた場合)
第五十七條 第五十條第一項又は第五十五條第一項の規定による協議がととのつた場合において、その当事者が、省令で定めるところにより、それぞれその協議において定められた第五十三條第一項各号の事項又は第五十五條第三項各号の事項を都道府県知事に届け出たときは、その届け出たところに従い、使用権を設定すべき旨の裁定又は收用すべき旨の裁定があつたものとみなす。
(損失補償)
第五十八條 土地の使用又は收用によつてその土地の所有者及び関係人が受ける損失は、土地を使用し、又は收用する者が補償しなければならない。
2 土地の一部を使用し、又は收用することによつて、残地の価格が減じ、その他残地に関して損失が生ずるときは、その損失を補償しなければならない。
3 土地の一部を使用し、又は收用することによつて、残地に通路、みぞ、かきその他の工作物の新築、改築、増築若しくは修繕又は盛土若しくは切土をする必要が生ずるときは、これに要する費用を補償しなければならない。
4 前二項に規定する補償の外、土地を使用し、又は收用することによつてその土地の所有者又は関係人が通常受ける損失は、補償しなければならない。
5 土地の所有者又は関係人が、第五十條第三項の規定による都道府県知事の通知があつた後に土地の形質を変更し、工作物の新築、改築、増築若しくは大修繕をし、又は物件を附加増置したときは、これについての損失は、補償しなくてもよい。但し、あらかじめ都道府県知事の承認を受けてこれらの行為をしたときは、この限りでない。
(使用の廃止による損失の補償)
第五十九條 第五十條第三項の規定による都道府県知事の通知があつた後にその土地を同條第一項の目的のため使用することを廃止した者は、これによつてその土地の所有者又は関係人が損失を受けたときは、これを補償しなければならない。
2 土地の所有者又は関係人は、前項の規定による損失の補償について土地の使用を廃止した者と協議がととのわず、又は協議することができないときは、都道府県知事に裁定の申請をすることができる。この場合には、第五十二條並びに第五十三條第一項第四号及び第三項の規定を準用する。
3 前項において準用する第五十三條第三項の公示があつたときは、裁定の定めるところにより当事者間に協議がととのつたものとみなす。
(訴訟)
第六十條 この章の規定による都道府県知事の裁定において定められた損失の補償に関する事項について不服がある者は、裁定の通知を受けた日から六十日以内に、訴を提起することができる。この場合には、第五十條第一項の認可を受けた者、土地の所有者又は関係人を被告としなければならない。
(供託)
第六十一條 土地を使用し、又は收用する者は、左の各号の一に該当する場合には、補償金を供託することができる。
一 補償金を受ける者がその受領を拒んだとき。
二 土地を使用し、又は收用する者が過失がなく補償金を受ける者を確知することができないとき。
三 土地を使用し、又は收用する者が補償金拂渡の差押又は仮差押を受けたとき。
(協議又は裁定の失効)
第六十二條 土地を使用し、又は收用する者が補償金の支拂の時期までにその支拂(供託を含む。)をしないときは、その協議又は裁定は、その時以後その効力を失う。但し、関係人が損害賠償の請求をすることを妨げない。
(原状回復の義務)
第六十三條 使用者は、土地の使用を終つたとき、又は前條の規定により協議若しくは裁定が失効したときは、土地を原状に回復し、又は原状に回復しないことによつて生ずる損失を補償して、これを返還しなければならない。
(土地收用法の準用)
第六十四條 土地收用法(明治三十三年法律第二十九号)第六十四條から第六十七條まで(危險負担の移転等)の規定は、この章の規定による使用又は收用に係る土地に準用する。この場合において、同法第六十六條第一項但書中「第五十條」とあるのは、「森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第五十五條第一項後段」と読み替えるものとする。
(水の使用権の使用)
第六十五條 この章の土地の使用及び收用に関する規定は、水の使用に関する権利の上に使用権を設定する場合に準用する。
(水流における工作物の使用等)
第六十六條 森林から水流によつて木材若しくは竹材を搬出し、又は搬出する設備をする者は、その搬出又は搬出設備のため水流における他人の工作物を使用し、移動し、改造し、又は除却することが必要且つ適当であつて他の方法をもつて代えることが著しく困難であるときは、その工作物の所在地を管轄する都道府県知事の認可を受けて、その工作物の所有者(所有者以外に権原に基きその工作物を使用する者があるときは、その者及び所有者)に対し、その工作物の使用、移動、改造又は除却に関する協議を求めることができる。この場合には、土地の使用及び收用に関するこの章の規定を準用する。
(流送木竹のための立入)
第六十七條 森林から水流によつて木材又は竹材を搬出する者は、水流に木材又は竹材を流すため必要があるときは、沿岸の土地に立ち入ることができる。この場合には、これによつて生じた損失を補償しなければならない。
第五章 森林審議会
(設置及び所掌事務)
第六十八條 農林省に中央森林審議会を、都道府県に都道府県森林審議会を置く。
2 中央森林審議会又は都道府県森林審議会は、森林に関する重要事項について、それぞれ農林大臣又は都道府県知事の諮問に応じて答申する。
3 中央森林審議会及び都道府県森林審議会は、森林に関する重要事項について、関係行政庁に建議することができる。
(組織)
第六十九條 中央森林審議会は、委員をもつて組織する。
2 委員は、左に掲げる者をもつて充てる。
一 学識経験を有する者 十七人
二 農林省その他の関係行政機関の職員 十人
3 委員は、内閣総理大臣の承認を得て農林大臣が任命する。
4 第二項第一号の委員の任期は、二年とし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。但し、再任を妨げない。
5 委員は、非常勤とする。
第七十條 都道府県森林審議会は、委員をもつて組織する。
2 委員は、左に掲げる者をもつて充てる。
一 学識経験を有する者 十人
二 都道府県その他の関係行政機関の職員 五人
3 委員は、都道府県知事が任命する。
4 第二項第一号の委員の任期は、二年とし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。但し、再任を妨げない。
5 委員は、非常勤とする。
(会長)
第七十一條 中央森林審議会及び都道府県森林審議会の会長は、それぞれ第六十九條第二項第一号の委員又は前條第二項第一号の委員が互選した者をもつて充てる。
2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
3 会長に事故があるときは、第一項の委員が互選した者がその職務を代行する。
(專門委員)
第七十二條 農林大臣は、專門の事項を調査させるため必要があると認めるときは、中央森林審議会に專門委員を置くことができる。
2 專門委員は、非常勤とする。
(政令への委任)
第七十三條 この法律に定めるものの外、中央森林審議会及び都道府県森林審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
第六章 森林組合及び森林組合連合会
第一節 総則
(組合の目的)
第七十四條 森林組合及び森林組合連合会は、森林所有者の協同組織により森林施業の合理化と森林生産力の増進とを図り、あわせて森林所有者の経済的社会的地位の向上を期することを目的とする。
2 森林組合及び森林組合連合会は、その行う事業によつてその組合員又は会員のために直接の奉仕をすることを旨とすべきであつて、営利を目的としてその事業を行つてはならない。
(組合の名称)
第七十五條 森林組合及び森林組合連合会(以下この節において「組合」と総称する。)は、その名称中に森林組合又は森林組合連合会という文字を用いなければならない。
2 組合でないものは、その名称中に森林組合又は森林組合連合会という文字を用いてはならない。
(組合の人格及び住所)
第七十六條 組合は、法人とする。
2 組合の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。
(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律との関係)
第七十七條 森林組合の組合員は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の適用については、同法第二十四條第一号の小規模の事業者とみなす。但し、法人(第七十九條第一項第二号の事業を行う組合を除く。)たる組合員であつて常時使用する従業員の数が百人(商業又はサービス業を主たる事業とするものについては二十人)をこえ、又はその経営する森林の面積が三千町歩をこえるものは、この限りでない。
(登記)
第七十八條 この法律の規定により登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
第二節 森林組合
第一款 事業
(事業の種類)
第七十九條 森林組合(以下「組合」という。)は、左の各号のいずれか一に掲げる事業を行うものとする。
一 組合員のための森林経営案の作成その他の森林の経営に関する指導、組合員の委託を受けて行う森林の施業若しくは経営又は組合員の所有する森林の経営を目的とする信託の引受及びこれらに附帶する事業
二 森林の経営(委託又は信託を受けて行うものを除く。)及びこれに附帶する事業
2 前項第一号に掲げる事業を行う組合(以下「施設組合」という。)は、同号に掲げる事業の外、左に掲げる事業の全部又は一部を行うことができる。
一 組合員の行う林業に必要な資金の貸付
二 組合員の行う林業に必要な物資の供給
三 組合員の生産する林産物の運搬、加工、保管又は販売
四 組合員の行う林業に必要な種苗の採取又は育成に関する施設
五 組合員の行う林業に必要な林道の設置その他共同利用に関する施設
六 防火線の設置、病虫害の防除その他組合員の森林の保護に関する施設
七 組合員の福利厚生に関する施設
八 林業に関する組合員の技術の向上及び組合事業に関する組合員の知識の向上を図るための教育並びに組合員に対する一般的情報の提供に関する施設
九 組合員の経済的地位の改善のためにする団体協約の締結
十 前各号の事業に附帶する事業
3 組合員に出資をさせる組合でなければ、組合員の信託を受けて森林の経営を行い、又は第一項第二号に掲げる事業を行うことができない。
4 組合は、組合員以外の者が林道を利用することを拒んではならない。
5 組合は、前項の場合において利用料の納付その他の條件を附することを妨げない。但し、施設組合は、第八十五條第一項の規定による分担金を負担させた者に対しては、組合員に附した條件をこえる條件を附してはならない。
6 第二項第一号に掲げる事業を行う組合は、定款で定める金融機関に対して組合員の負担する債務を保証し、又はその金融機関の委任を受けてその債権を取り立てることができる。
7 施設組合は、定款で定めるところにより、組合員以外の者に林道以外の施設を利用させることができる。但し、一事業年度において組合員以外の者が利用することができる事業の分量の額は、その事業年度において組合員が利用するその事業の分量の額をこえてはならない。
(倉荷証券の発行)
第八十條 前條第二項第三号に掲げる保管事業を行う施設組合は、主務大臣の許可を受けて、組合員の寄託物について倉荷証券を発行することができる。
2 前項の許可を受けた施設組合は、寄託者の請求により、寄託物の倉荷証券を交付しなければならない。
3 商法(明治三十二年法律第四十八号)第六百二十七條第二項(預証券に関する規定の準用)及び第六百二十八條(倉荷証券による寄託物質入の場合の一部出庫)の規定は、第一項の倉荷証券に準用する。
4 倉庫業法(昭和十年法律第四十一号)第八條から第十條まで(行政官庁の監督)及び第十二條(職権委任)の規定は、第一項の場合に準用する。
第八十一條 前條第一項の許可を受けた施設組合の作成する倉荷証券には、その施設組合の名称を冠する倉荷証券という文字を記載しなければならない。
2 施設組合でない者の作成する倉荷証券には、森林組合倉荷証券という文字を記載してはならない。
第八十二條 施設組合が倉荷証券を発行した寄託物の保管期間は、寄託の日から六箇月以内とする。
2 前項の寄託物の保管期間は、六箇月を限度として更新することができる。但し、更新の際の証券の所持人が組合員でないときは、組合員の利用に支障がない場合に限る。
第八十三條 商法第六百十六條から第六百十九條まで(寄託者、証券所持人の倉庫業者に対する権利等)及び第六百二十四條から第六百二十六條まで(供託又は競売の権利等)の規定は、施設組合が倉荷証券を発行した場合に準用する。
(団体協約の効力)
第八十四條 第七十九條第二項第九号の団体協約は、書面をもつてすることによつて、その効力を生ずる。
2 前項の団体協約は、直接に組合員に対してその効力を生ずる。
3 組合員の締結する契約であつてその内容が第一項の団体協約に定める規準に違反するものについては、その規準に違反する契約の部分は、その規準によつて契約したものとみなす。
(分担金)
第八十五條 施設組合は、林道を開設し、拡張し、又は復旧したときは、都道府県知事の認可を受け、その事業の実施によつて特に利益を受ける者(その組合の組合員を除く。)にその事業に要した費用の一部を負担させることができる。
2 施設組合は、前項の認可を受けようとするときは、申請書にその事業に関する事業計画書、経費明細書及び受益者別分担金額を記載した書面を添え、その林道の所在地を管轄する都道府県知事に提出しなければならない。
3 都道府県知事は、第一項の認可をしようとするときは、あらかじめ同項の受益者の意見を聞かなければならない。
第二款 組合員
(組合員たる資格)
第八十六條 施設組合の組合員たる資格を有する者は、左に掲げる者であつて定款で定めるものとする。
一 森林所有者
二 前号に掲げる者の外、組合の地区内において林業を行う者又はこれに従事する者でその組合の施設を利用することを相当とするもの
2 第七十九條第一項第二号に掲げる事業を行う組合(以下「生産組合」という。)の組合員たる資格を有する者は、左に掲げる者であつて定款で定めるものとする。
一 組合の地区内に住所を有する個人
二 組合の地区内にある森林又はその森林についての権利を組合に現物出資する個人
3 第一項第一号の規定の適用については、組合に森林を信託したことによつて森林所有者でなくなつた者は、その組合との関係においては、同号の森林所有者とみなす。
(生産組合の事業と組合員との関係)
第八十七條 生産組合の組合員の三分の二以上は、その組合の行う事業に常時従事する者でなければならない。
2 生産組合の行う事業に常時従事する者の三分の一以上は、その組合の組合員でなければならない。
(出資)
第八十八條 組合は、定款で定めるところにより、組合員に出資をさせることができる。
2 前項の規定により組合員に出資をさせる組合(以下「出資組合」という。)の組合員は、出資一口以上を有しなければならない。
3 出資一口の金額は、均一でなければならない。
4 出資組合の組合員の責任は、その出資額を限度とする。
5 生産組合の総出資口数の過半数は、その組合の行う事業に常時従事する組合員によつて保有されなければならない。
6 組合員は、出資の拂込について、相殺をもつて出資組合に対抗することができない。
(持分の讓渡)
第八十九條 出資組合の組合員は、組合の承認を得なければ、その持分を讓り渡すことができない。
2 組合員でない者が持分を讓り受けようとするときは、加入の例によらなければならない。
3 持分の讓受人は、その持分について、讓渡人の権利義務を承継する。
4 組合員は、持分を共有することができない。
(議決権及び選挙権)
第九十條 組合員は、各々一個の議決権及び役員又は総代の選挙権を有する。但し、第八十六條第一項第二号の規定による組合員(以下「准組合員」という。)は、議決権及び選挙権を有しない。
2 各組合員は、前項但書の規定にかかわらず、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第二十四條第三号の適用については、平等の議決権を有するものとみなす。
3 組合員は、定款で定めるところにより、第百十三條の規定によりあらかじめ通知のあつた事項につき、書面又は代理人をもつて議決権又は選挙権を行うことができる。
4 前項の規定により議決権又は選挙権を行う者は、出席者とみなす。
5 代理人は、五人以上の組合員を代理することができない。
6 代理人は、代理権を証する書面を組合に提出しなければならない。
(経費)
第九十一條 施設組合は、定款で定めるところにより、組合員に経費を賦課することができる。
2 組合員は、前項の経費の支拂について、相殺をもつて施設組合に対抗することができない。
(過怠金)
第九十二條 組合は、定款で定めるところにより、組合員に対し過怠金を課することができる。
(專用契約)
第九十三條 施設組合は、定款で定めるところにより、一年をこえない期間を限り、組合員がその組合の施設の一部をもつぱら利用すべき旨の契約を組合員と締結することができる。
2 前項の契約の締結は、組合員の任意とし、施設組合は、その締結を拒んだことを理由としてその組合員がその組合の施設を利用することを拒んではならない。
(加入の自由)
第九十四條 組合員たる資格を有する者が組合に加入しようとするときは、組合は、正当な理由がないのに、その加入を拒み、又はその加入につき現在の組合員が加入の際に附されたよりも困難な條件を附してはならない。
(加入)
第九十五條 組合員に出資をさせない組合(以下「非出資組合」という。)に加入しようとする者は、定款で定めるところにより加入につきその組合の承諾を得た時(組合が加入金を徴收することを定めた場合には、その支拂を了した時)に組合員となる。
2 出資組合に加入しようとする者は、定款で定めるところにより加入につきその組合の承諾を得て、引受出資口数に応ずる金額の拂込を了した時(その組合が加入金を徴收することを定めた場合には、その支拂をも了した時)又は組合員の持分の全部若しくは一部を承継した時に組合員となる。
第九十六條 死亡した組合員の相続人であつて組合員たる資格を有するものが組合に対し定款で定める期間内に加入の申出をしたときは、前條の規定にかかわらず、相続開始の時に組合員となつたものとみなす。この場合には、相続人たる組合員は、被相続人の持分について、死亡した組合員の権利義務を承継する。
2 死亡した組合員の相続人が数人あるときは、相続人の同意をもつて選定された一人の相続人に限り、前項の規定を適用する。
(脱退の自由)
第九十七條 組合員は、六十日前までに予告し、事業年度の終において脱退することができる。
2 前項の予告期間は、定款で延長することができる。但し、その期間は、一年をこえてはならない。
(法定脱退)
第九十八條 組合員は、左に掲げる事由によつて脱退する。
一 組合員たる資格の喪失
二 死亡又は解散
三 除名
2 除名は、左に掲げる組合員につき、総会の議決によつてすることができる。この場合において、組合は、その総会の日の七日前までに、その組合員に対しその旨を通知し、その者又は代理人が総会において弁明する機会を與えなければならない。
一 長期間にわたつて組合の施設を利用しない組合員
二 出資の拂込、経費の支拂その他組合に対する義務を怠つた組合員
三 その他定款で定める事由に該当する組合員
3 除名は、除名した組合員にその旨を通知しなければ、これをもつてその組合員に対抗することができない。
(脱退者の持分の拂戻)
第九十九條 出資組合の組合員は、脱退したときは、定款で定めるところにより、その持分の全部又は一部の拂戻を請求することができる。
2 前項の持分は、脱退した事業年度の終におけるその出資組合の財産によつて定める。
(時効)
第百條 前條の規定による請求権は、脱退の時から二年間行わないときは、時効によつて消滅する。
(拂戻の停止)
第百一條 出資組合は、脱退した組合員がその出資組合に対する債務を完済するまでは、その持分の拂戻を停止することができる。
(出資口数の減少)
第百二條 出資組合の組合員は、定款で定めるところにより、総会の議決を経てその出資口数を減少することができる。
2 前項の場合には、第九十九條及び第百條の規定を準用する。
第三款 管理
(定款に記載すべき事項)
第百三條 組合の定款には、左に掲げる事項を記載しなければならない。但し、非出資組合であつて第七十九條第二項第一号から第六号までに掲げる事業及び組合員の委託を受けて行う森林の施業又は経営に関する事業(以下「委託事業」という。)のいずれをも行わないものの定款には第六号、第八号及び第九号に掲げる事項を、その他の非出資組合の定款には第六号に掲げる事項を、生産組合の定款には第七号に掲げる事項を記載しなくてもよい。
一 事業
二 名称
三 地区
四 事務所の所在地
五 組合員たる資格並びに組合員の加入及び脱退に関する規定
六 出資一口の金額及びその拂込の方法並びに一組合員の有することのできる出資口数の最高限度
七 経費の分担に関する規定
八 剰余金の処分及び損失金の処理に関する規定
九 準備金の額及びその積立の方法
十 役員の定数、職務の分担及び選挙に関する規定
十一 事業年度
十二 公告の方法
2 組合の定款には、前項に掲げる事項の外、組合の存立時期を定めたときはその時期を、現物出資をする者を定めたときはその者の氏名、出資の目的たる財産及びその価額並びにこれに対して與える出資口数を記載しなければならない。
3 農林大臣は、模範定款例を定めることができる。
(規約で定めうる事項)
第百四條 左に掲げる事項は、定款で定めなければならない事項を除いて、規約で定めることができる。
一 総会又は総代会に関する規定
二 業務の執行及び会計に関する規定
三 役員に関する規定
四 組合員に関する規定
五 その他必要な事項
(役員の定数及び選挙)
第百五條 組合に役員として理事及び監事を置く。
2 理事の定数は、施設組合にあつては五人以上、生産組合にあつては三人以上とし、監事の定数は、施設組合にあつては二人以上、生産組合にあつては一人以上とする。
3 役員は、定款で定めるところにより、総会において選挙する。但し、設立当時の役員は、創立総会において選挙する。
4 役員の選挙は、無記名投票によつて行う。
5 投票は、組合員(准組合員を除く。以下この條において同じ。)一人につき一票とする。
6 定款によつて定めた投票方法による選挙の結果投票の多数を得た者を当選人とする。
7 組合の理事は、施設組合にあつてはその定数の少くとも五分の三、生産組合にあつてはその全員が、組合員たる個人又は組合員たる法人の業務を執行する役員でなければならない。但し、設立当時の理事は、施設組合にあつてはその定数の少くとも五分の三、生産組合にあつてはその全員が、組合員になろうとする個人又は組合員になろうとする法人の業務を執行する役員でなければならない。
(役員の任期)
第百六條 役員の任期は、三年以内において定款で定める期間とする。
2 設立当時の役員の任期は、前項の規定にかかわらず、創立総会(合併による設立の場合は設立委員)において定める期間とする。但し、その期間は、一年をこえてはならない。
3 理事又は監事の全員が欠けたときは、第百十七條の改選の場合を除き、退任した理事又は監事は、後任者のうち少くとも一人が就任するまでなおその職務を行う。
(役員の兼職禁止)
第百七條 監事は、理事(仮理事を含む。以下同じ。)又は組合の使用人と兼ねてはならない。
(競業関係にある者の役員への就任禁止)
第百八條 組合の行う事業と実質的に競争関係にある事業(その組合の組合員の営む林業及びその組合が直接又は間接にその構成員となつている連合会の行う事業を除く。)を営む者(その者が法人であるときは、これを代表する地位にある者)は、その組合の理事又は監事になることができない。
(理事の自己契約等の禁止)
第百九條 組合が理事と契約をするときは、監事が組合を代表する。組合と理事との訴訟についても、また同様とする。
(総会の招集)
第百十條 理事は、定款で定めるところにより、毎事業年度一回通常総会を招集しなければならない。
第百十一條 理事は、必要があると認めるときは、定款で定めるところにより、何時でも臨時総会を招集することができる。
2 組合員(准組合員を除く。)が総組合員(准組合員を除く。)の五分の一以上の同意を得て、会議の目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を理事に提出して総会の招集を請求したときは、理事は、その請求があつた日から二十日以内に臨時総会を招集しなければならない。
第百十二條 理事の職務を行う者がないとき、又は前條第二項の請求があつた場合において理事が正当な理由がないのに総会招集の手続をしないときは、監事は、総会を招集しなければならない。
(総会招集の手続)
第百十三條 総会招集の通知は、その総会の日の十日前までに、その会議の目的たる事項を示し、定款で定めた方法に従つてしなければならない。
(組合員に対する通知又は催告)
第百十四條 組合が組合員に対してする通知又は催告は、組合員名簿に記載したその者の住所(その者が別に通知又は催告を受ける場所を組合に通知したときはその場所)にあてればよい。
2 前項の通知又は催告は、通常到達すべきであつた時に到達したものとみなす。
(定款その他の書類の備付及び閲覽)
第百十五條 理事は、定款、規約及び総会の議事録を各事務所に、組合員名簿を主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 組合員名簿には、各組合員について左に掲げる事項を記載しなければならない。但し、非出資組合の組合員名簿には、第三号及び第四号に掲げる事項を記載しなくてもよい。
一 氏名又は名称及び住所
二 加入の年月日
三 出資口数及び出資各口の取得の年月日
四 拂込済出資額及びその拂込の年月日
五 准組合員である者については、その旨
3 組合員及び組合の債権者は、第一項の書類の閲覽を求めることができる。
(決算関係書類の提出、備付及び閲覽)
第百十六條 理事は、通常総会の日の一週間前までに、非出資組合であつて第七十九條第二項第一号から第六号までに掲げる事業及び委託事業のいずれをも行わないものにあつては事業報告書及び財産目録を、その他の組合にあつては事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書及び剰余金処分案又は損失処理案を監事に提出し、且つ、これらを主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 理事は、監事の意見書を添えて前項の書類を通常総会に提出し、その承認を求めなければならない。
3 組合員及び組合の債権者は、第一項の書類の閲覽を求めることができる。
(役員の改選の請求)
第百十七條 組合員(准組合員を除く。)は、総組合員(准組合員を除く。)の五分の一以上の連署をもつて、その代表者から役員の改選を請求することができる。
2 前項の規定による改選の請求は、理事の全員又は監事の全員について同時にしなければならない。但し、法令、法令に基いてする行政庁の処分又は定款若しくは規約の違反を理由として改選を請求する場合は、この限りでない。
3 第一項の規定による改選の請求は、改選の理由を記載した書面を理事に提出してしなければならない。
4 第一項の規定による改選の請求があつたときは、理事は、これを総会の議に附さなければならない。この場合には、第百十一條第二項及び第百十二條の規定を準用する。
5 第三項の規定による書面の提出があつたときは、理事は、総会の日の七日前までにその請求に係る役員にその書面又はその写を送付し、且つ、総会において弁明する機会を與えなければならない。
6 第一項の規定による請求につき第四項の総会において出席者の過半数の同意があつたときは、その請求に係る役員は、その時にその職を失う。
(役員に対する民法の準用)
第百十八條 理事については、民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四條第一項(法人の損害賠償)、第五十二條第二項(理事の業務執行)及び第五十三條から第五十六條まで(理事の代表権等)の規定を、監事については、同法第五十九條(監事の職務)の規定を準用する。
(総会の議決事項)
第百十九條 左に掲げる事項は、総会の議決を経なければならない。
一 定款の変更
二 規約の設定、変更又は廃止
三 毎事業年度の事業計画の設定又は変更
四 経費の賦課及び徴收の方法
五 貸付金の利率の最高限度
六 毎事業年度内における借入金の最高限度
2 定款の変更は、行政庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。
3 前項の認可については、第百三十九條第二項、第百四十條及び第百四十一條の規定を準用する。
(総会の議事)
第百二十條 総会の議事は、この法律又は定款若しくは規約に特別の定がある場合を除いて、出席者の議決権の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
2 議長は、総会において選任する。
3 議長は、組合員として総会の議決に加わることができない。
4 総会の決議について特別の利害関係を有する者は、総会の議決に加わることができない。
5 前二項の規定によつて議決に加わることができない者の議決権の数は、第一項の出席者の議決権の数に算入しない。
(特別議決事項)
第百二十一條 左に掲げる事項は、総組合員(准組合員を除く。)の半数以上が出席し、その議決権の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
一 定款の変更
二 解散又は合併
三 組合員の除名
(総会に対する民法及び商法の準用)
第百二十二條 総会については、民法第六十四條(総会の決議事項)並びに商法第二百四十四條(総会の議事録)及び第二百四十七條から第二百五十三條まで(決議取消の訴等)の規定を準用する。この場合において、民法第六十四條中「第六十二條」とあるのは「森林法第百十三條」と、商法第二百四十七條第一項中「第三百四十三條」とあるのは「森林法第百二十一條」と読み替えるものとする。
(総代会)
第百二十三條 組合員(准組合員を除く。以下この條において同じ。)の総数が百人をこえる施設組合は、定款で定めるところにより、総会に代るべき総代会を設けることができる。
2 総代は、組合員でなければならない。
3 総代の定数は、組合員の総数の四分の一以上でなければならない。但し、組合員の総数が二百人をこえる施設組合にあつては、五十人以上であればよい。
4 総代には、第百五條第三項から第六項までの規定を準用する。
5 総代会には、総会に関する規定を準用する。但し、総代会においては、役員若しくは総代を選挙し、第百四十六條第一項の設定委員を選任し、又は第百二十一條の事項について議決することができない。
6 施設組合は、第一項の規定により総代会を設けた場合においても、第百十條の規定に基く通常総会を招集しなければならない。
(出資一口の金額の減少)
第百二十四條 出資組合は、出資一口の金額の減少を議決したときは、その議決の日から二週間以内に財産目録及び貸借対照表を作成しなければならない。
2 出資組合は、前項の期間内に、債権者に対して、異議があれば一定の期間内にこれを述べるべき旨を公告し、且つ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。
3 前項の一定の期間は、一箇月を下つてはならない。
第百二十五條 債権者が前條第二項の一定の期間内に異議を述べなかつたときは、出資一口の金額の減少を承認したものとみなす。
2 債権者が異議を述べたときは、出資組合は、弁済し、若しくは相当の担保を供し、又は債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社若しくは信託業務を営む銀行に相当の財産を信託しなければならない。
3 出資組合の出資一口の金額の減少については、商法第三百八十條(株式会社の資本の減少の無効の訴)の規定を準用する。
(準備金及び繰越金)
第百二十六條 組合(非出資組合であつて第七十九條第二項第一号から第六号までに掲げる事業及び委託事業のいずれをも行わないものを除く。)は、定款で定める額に達するまでは、毎事業年度の剰余金の十分の一以上を準備金として積み立てなければならない。
2 前項の定款で定める準備金の額は、出資組合にあつては、出資総額の二分の一を下つてはならない。
3 第一項の準備金は、損失のてん補に充てる場合を除いては、取りくずしてはならない。
4 組合は、第七十九條第一項第一号に掲げる指導事業及び同條第二項第八号に掲げる事業の費用に充てるため、毎事業年度の剰余金の二十分の一以上を翌事業年度に繰り越さなければならない。
(剰余金の配当)
第百二十七條 組合は、損失をてん補し、前條第一項の準備金及び同條第四項の繰越金を控除した後でなければ、剰余金の配当をしてはならない。
2 施設組合の剰余金の配当は、定款で定めるところにより、組合員の組合事業の利用分量又は拂込済出資額に応じてしなければならない。この場合において、拂込済出資額に応じてする配当の率は、年五分をこえてはならない。
3 生産組合の剰余金の配当は、定款で定めるところにより、年一割をこえない範囲内において拂い込んだ出資額の割合に応じてし、なお剰余があるときは、組合員が組合の事業に従事した程度に応じてしなければならない。
第百二十八條 出資組合は、定款で定めるところにより、組合員が出資の拂込を終るまでは、組合員に配当する剰余金をその拂込に充てることができる。
(財務基準)
第百二十九條 前三條に定めるものの外、出資組合が、その組合員との間の財務関係を明らかにし、組合員の利益を保全することができるように、その財務を適正に処理するために従わなければならない自己資本の額、余裕金の運用及び資金の貸付に関する基準は、政令で定める。
(組合の持分取得の禁止)
第百三十條 出資組合は、組合員の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けることができない。
(信託法の特例)
第百三十一條 組合員の信託を受けて森林の経営を行う施設組合(以下「信託組合」という。)に森林を信託した組合員は、受益者となり信託の利益の全部を享受する。
2 信託組合は、他の者と共同して組合員から信託の引受をすることはできない。
3 信託組合は、受託者たる組合員に資金を貸し付ける場合において必要があるときは、信託法(大正十一年法律第六十二号)第二十二條(受託者の権利取得の制限)の規定にかかわらず、その組合員の信託財産につき抵当権を取得することができる。
第百三十二條 信託組合については、信託法第二十二條第一項但書(受託者の権利取得の特例)、第二十三條(管理方法の変更)、第四十六條(受託者の辞任)、第四十七條(受託者の解任)及び第五十八條(信託の解除)に規定する裁判所の権限は、行政庁に属する。
第百三十三條 信託組合への信託は、信託法第五十六條(信託の終了)に規定する事由の外、左に掲げる事由によつて終了する。
一 信託法第四十四條(受託者の資格喪失)又は第四十六條の規定による受託者としての任務の終了
二 信託法第四十七條の規定による解任
三 組合の解散(合併による解散を除く。)
第百三十四條 信託組合への信託には、信託法第七條(受益者の受益享受)、第二十六條(受託者の管理委任)、第四十一條から第四十三條まで(裁判所の監督、受託者の任務終了及び受託者の辞任の制限)、第四十五條(受託者の管理継続)、第四十八條(裁判所の管理人選任等の処分)、第四十九條(新受託者の選任)及び第六十六條から第七十三條まで(公益信託)の規定は、適用しない。
第四款 設立
(発起人)
第百三十五條 組合を設立するには、施設組合にあつては十人以上、生産組合にあつては五人以上の森林所有者たる個人が発起人となることを必要とする。
(設立準備会)
第百三十六條 発起人は、あらかじめ組合の事業及び地区並びに組合員たる資格に関する目論見書を作成し、これを設立準備会の日時及び場所とともに公告して、設立準備会を開かなければならない。
2 前項の公告は、会議開催日の少くとも二週間前までにしなければならない。
第百三十七條 設立準備会においては、地区、組合員たる資格その他定款作成の基本となるべき事項を定め、且つ、出席した者のうち組合員(准組合員を除く。)たる資格を有するもの(その者が法人である場合には、その業務を執行する役員)の中から定款の作成に当るべき者(以下「定款作成委員」という。)を選任しなければならない。
2 定款作成委員は、施設組合にあつては十人以上、生産組合にあつては五人以上でなければならない。
3 設立準備会の議事は、出席した者のうち施設組合にあつては第八十六條第一項第一号に掲げる者の、生産組合にあつては同條第二項各号に掲げる者の過半数の同意をもつて決する。
(創立総会)
第百三十八條 定款作成委員が定款を作成したときは、発起人は、これを創立総会の日時及び場所とともに公告して、創立総会を開かなければならない。
2 前項の公告は、会議開催日の少くとも二週間前までにしなければならない。
3 定款作成委員が作成した定款の承認、事業計画の設定その他設立に必要な事項の決定は、創立総会の議決によらなければならない。
4 創立総会においては、前項の定款を修正することができる。但し、地区及び組合員たる資格に関する規定については、この限りでない。
5 創立総会の議事は、組合員(准組合員を除く。)たる資格を有する者であつてその会日までに発起人に対し設立の同意を申し出たものの半数以上が出席し、その議決権の三分の二以上で決する。
6 創立総会については、第九十條、第百二十條第四項及び第五項並びに商法第二百四十四條(総会の議事録)及び第二百四十七條から第二百五十三條まで(決議取消の訴等)の規定を準用する。この場合において、商法第二百四十七條第一項中「第三百四十三條」とあるのは、「森林法第百二十一條」と読み替えるものとする。
(設立の認可の申請)
第百三十九條 発起人は、創立総会の終了の後遅滯なく、定款及び事業計画を行政庁に提出して設立の認可を申請しなければならない。
2 発起人は、行政庁の要求があるときは、組合の設立に関する報告書を提出しなければならない。
(設立の認可)
第百四十條 行政庁は、前條第一項の認可の申請があつたときは、設立の手続又は定款若しくは事業計画の内容が法令又は法令に基いてする行政庁の処分に違反する場合を除いては、設立の認可をしなければならない。
第百四十一條 第百三十九條第一項の認可の申請があつたときは、行政庁は、申請書を受理した日から二箇月以内に、発起人に対し、認可又は不認可の通知を発しなければならない。
2 行政庁が前項の期間内に同項の通知を発しなかつたときは、その期間満了の日に設立の認可があつたものとみなす。この場合には、発起人は、行政庁に対し、認可に関する証明をすべきことを請求することができる。
3 行政庁が第百三十九條第二項の規定により報告書提出の要求を発したときは、その日からその報告書が行政庁に到達するまでの期間は、これを第一項の期間に算入しない。
4 行政庁は、不認可の通知をするときは、その理由を通知書に記載しなければならない。
5 発起人が不認可の取消を求める訴を提起した場合において、裁判所がその取消の判決をしたときは、その判決の確定の日に設立の認可があつたものとみなす。この場合には、第二項後段の規定を準用する。
(理事への事務引渡)
第百四十二條 設立の認可があつたときは、発起人は、遅滯なくその事務を理事に引き渡さなければならない。
2 出資組合の理事は、前項の規定による引渡を受けたときは、遅滯なく出資の第一回の拂込をさせなければならない。
3 現物出資者は、第一回の拂込の期日に、出資の目的たる財産の全部を給付しなければならない。但し、登記、登録その他権利の設定又は移転をもつて第三者に対抗するため必要な行為は、組合の成立の後にこれをすることを妨げない。
(成立の時期)
第百四十三條 組合は、主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによつて成立する。
第五款 解散及び清算
(解散の事由)
第百四十四條 組合は、左に掲げる事由によつて解散する。
一 総会の決議
二 組合の合併
三 組合の破産
四 定款で定める存立時期の満了
五 第百八十二條第一項の規定による解散の命令
2 解散の決議は、行政庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。
3 前項の認可の申請があつた場合には、第百三十九條第二項、第百四十條及び第百四十一條の規定を準用する。
4 第一項に掲げる事由による外、施設組合は、組合員(准組合員を除く。)が十人未満になつたことにより、生産組合は、組合員が五人未満になつたことにより解散する。
5 組合は、前項の規定により解散したときは、遅滯なくその旨を行政庁に届け出なければならない。
(合併の手続)
第百四十五條 組合が合併しようとするときは、各組合の総会において合併を議決しなければならない。
2 合併をするには、行政庁の認可を受けなければならない。
3 前項の認可の申請があつた場合には、第百三十九條第二項、第百四十條及び第百四十一條の規定を準用する。
4 出資組合の合併には、第百二十四條及び第百二十五條の規定を準用する。
第百四十六條 合併によつて組合を設立するには、各組合の総会において組合員(准組合員を除く。)たる個人又は組合員(准組合員を除く。)たる法人の業務を執行する役員の中から選任した設立委員が共同して、定款を作成し、役員を選任し、その他設立に必要な行為をしなければならない。
2 前項の規定による設立委員の選任には、第百二十一條の規定を準用する。
3 第一項の規定による役員のうち理事の選任には、第百五條第七項本文の規定を準用する。
(合併の時期)
第百四十七條 組合の合併は、合併後存続する組合又は合併によつて成立する組合が、その主たる事務所の所在地において、第百六十五條の規定による登記をすることによつてその効力を生ずる。
(合併による権利義務の承継)
第百四十八條 合併後存続する組合又は合併によつて成立した組合は、合併によつて消滅した組合の権利義務(その組合がその行う事業に関し、行政庁の許可、認可その他の処分に基いて有する権利義務及びその組合が信託組合である場合には、その組合の信託に関する権利義務を含む。)を承継する。
(清算人)
第百四十九條 組合が解散したときは、合併及び破産による解散の場合を除いては、理事が、その清算人となる。但し、総会において他人を選任したときは、この限りでない。
(清算事務)
第百五十條 清算人は、就職の後遅滯なく、組合の財産の状況を調査し、非出資組合にあつては財産目録、出資組合にあつては財産目録及び貸借対照表を作成し、財産処分の方法を定め、これを総会に提出してその承認を求めなければならない。
第百五十一條 清算人は、組合の債務を弁済した後でなければ、組合の財産を処分することができない。
第百五十二條 清算事務が終つたときは、清算人は、遅滯なく、決算報告書を作成し、これを総会に提出してその承認を求めなければならない。
(民法及び非訟事件手続法の準用)
第百五十三條 組合の解散及び清算には、民法第七十三條(清算法人)、第七十五條(裁判所による清算人の選任)、第七十六條(清算人の解任)及び第七十八條から第八十三條まで(清算人の職務権限等)並びに非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第三十五條第二項(法人の解散及び清算の監督の管轄)、第三十六條(検査人の選任)、第三十七條ノ二(準用規定)、第百三十五條ノ二十五第二項及び第三項(意見の聽取等)、第百三十六條(管轄裁判所)、第百三十七條(清算人の選任又は解任の裁判)及び第百三十八條(清算人不適格者)の規定を準用する。この場合において、民法第七十五條中「前條」とあるのは、「森林法第百四十九條」と読み替えるものとする。
第三節 森林組合連合会
(事業の種類)
第百五十四條 森林組合連合会(以下「連合会」という。)は、左に掲げる事業の全部又は一部を行うことができる。
一 連合会を直接又は間接に構成する者(以下この節において「所属員」という。)のためにする森林の経営に関する指導
二 会員の行う事業に必要な資金の貸付
三 会員の行う事業に必要な物資の供給
四 所属員の生産する林産物の運搬、加工、保管又は販売
五 所属員の行う林業に必要な種苗の採取又は育成に関する施設
六 所属員の行う林業に必要な林道の設置その他共同利用に関する施設
七 防火線の設置、病虫害の防除その他所属員の森林の保護に関する施設
八 所属員の福利厚生に関する施設
九 林業に関する所属員の技術の向上及び組合事業に関する所属員の知識の向上を図るための教育並びに所属員に対する一般的情報の提供に関する施設
十 所属員の経済的地位の改善のためにする団体協約の締結
十一 前各号に掲げる事業の外、会員の指導及び連絡に関する施設
十二 前各号に掲げる事業に附帶する事業
2 連合会は、所属員以外の者が林道を利用することを拒んではならない。
3 連合会は、前項の場合において利用料の納付その他の條件を附することを妨げない。但し、第百五十九條第一項において準用する第八十五條第一項の規定による分担金を負担させた者に対しては、所属員に附した條件をこえる條件を附してはならない。
4 第一項第二号に掲げる事業を行う連合会は、会員のために、手形の割引をし、定款で定める金融機関に対して会員の負担する債務を保証し、又はその金融機関の委任を受けてその債権を取り立てることができる。
5 連合会は、定款で定めるところにより、所属員以外の者に林道以外の施設を利用させることができる。但し、一事業年度において所属員以外の者が利用することができる事業の分量の額は、その事業年度において所属員が利用するその事業の分量の額をこえてはならない。
(会員たる資格)
第百五十五條 連合会の会員たる資格を有する者は、左に掲げる者であつて定款で定めるものとする。
一 連合会の地区の全部又は一部を地区とする組合又は連合会
二 連合会の地区の全部又は一部を地区として、他の法律に基いて設立された協同組合(その連合会を含む。)であつて、前号に掲げる者の事業と同種の事業を行うもの
(役員)
第百五十六條 連合会の理事の定数の少くとも五分の三は、所属員たる森林所有者(その者が法人である場合は、その業務を執行する役員。以下この條において同じ。)又は会員たる生産組合の理事でなければならない。但し、設立当時の理事の定数の少くとも五分の三は、設立の同意を申し出た施設組合若しくは連合会の組合員若しくは所属員たる森林所有者又は設立の同意を申し出た生産組合の理事でなければならない。
(総会の議決事項)
第百五十七條 左に掲げる事項は、総会の議決を経なければならない。
一 第百十九條第一項各号に掲げる事項
二 一会員のためにする手形の割引金額の最高限度
(発起人)
第百五十八條 連合会を設立するには、二以上の組合又は連合会が発起人となることを必要とする。
(準用規定)
第百五十九條 連合会の事業に関する事項については、第百五十四條に規定するものの外、第八十條から第八十五條までの規定を準用する。この場合において、第八十條第一項中「前條第二項第三号」とあるのは「第百五十四條第一項第四号」と、第八十四條第一項中「第七十九條第二項第九号」とあるのは「第百五十四條第一項第十号」と読み替えるものとする。
2 連合会の会員に関する事項については、第百五十五條に規定するものの外、第八十八條から第百二條までの規定を準用する。この場合において、第九十條第一項但書中「第八十六條第一項第二号の規定による組合員(以下「准組合員」という。)」とあるのは「第百五十五條第二号の規定による会員(以下第百五十九條において準用する各規定において「准会員」という。)」と読み替えるものとする。
3 連合会の管理に関する事項については、第百五十六條及び第百五十七條に規定するものの外、第百三條、第百四條、第百五條第一項から第六項まで(同條第二項中生産組合に関する部分を除く。)、第百六條から第百十八條まで、第百十九條第二項及び第三項並びに第百二十條から第百三十條までの規定を準用する。この場合において、第百三條第一項中「第七十九條第二項第一号から第六号までに掲げる事業及び組合員の委託を受けて行う森林の施業又は経営に関する事業(以下「委託事業」という。)」とあるのは「第百五十四條第一項第二号から第七号までに掲げる事業」と、第百八條中「(その組合の組合員の営む林業及びその組合が直接又は間接にその構成員となつている連合会の行う事業を除く。)」とあるのは「(その連合会の所属員の営む林業及びその連合会の所属員たる組合若しくは連合会又はその連合会が所属する連合会の行う事業を除く。)」と、第百十六條第一項及び第百二十六條第一項中「第七十九條第二項第一号から第六号までに掲げる事業及び委託事業」とあるのは「第百五十四條第一項第二号から第七号までに掲げる事業」と、第百二十六條第四項中「第七十九條第一項第一号に掲げる指導事業及び同條第二項第八号に掲げる事業」とあるのは「第百五十四條第一項第一号に掲げる指導事業及び同項第九号に掲げる事業」と読み替えるものとする。
4 連合会の設立に関する事項については、前條に規定するものの外、第百三十六條から第百四十三條までの規定を準用する。この場合において、第百三十七條第一項中「組合員(准組合員を除く。)たる資格を有するもの(その者が法人である場合には、その業務を執行する役員)」とあるのは「会員(准会員を除く。)たる資格を有する組合又は連合会の理事」と、同條第二項中「施設組合にあつては十人以上、生産組合にあつては五人以上」とあるのは「二人以上」と、同條第三項中「出席した者のうち施設組合にあつては第八十六條第一項第一号に掲げる者の、生産組合にあつては同條第二項各号に掲げる者の過半数」とあるのは「出席した組合又は連合会の過半数」と、第百三十八條第六項において準用する第九十條第一項但書中「第八十六條第一項第二号の規定による組合員(以下「准組合員」という。)」とあるのは「准会員」と読み替えるものとする。
5 連合会の解散及び清算に関する事項については、第百四十四條から第百五十三條までの規定を準用する。この場合において、第百四十四條第四項中「施設組合は、組合員(准組合員を除く。)が十人未満になつたことにより、生産組合は、組合員が五人未満になつたことにより」とあるのは「連合会は、会員(准会員を除く。)が二人未満になつたことにより」と、第百四十六條第一項中「組合員(准組合員を除く。)たる個人又は組合員(准組合員を除く。)たる法人の業務を執行する役員」とあるのは「会員(准会員を除く。)の理事」と読み替えるものとする。
第四節 登記
(設立の登記)
第百六十條 組合又は連合会は、非出資組合又は会員に出資をさせない連合会にあつては設立の認可があつた日から、出資組合又は会員に出資をさせる連合会(以下「出資連合会」という。)にあつては出資の第一回の拂込があつた日から、それぞれ二週間以内に、主たる事務所の所在地において設立の登記をしなければならない。
2 設立の登記には、左の事項を掲げなければならない。
一 事業
二 名称
三 地区
四 事務所
五 出資組合又は出資連合会にあつては、出資一口の金額、その拂込の方法並びに出資の総口数及び拂い込んだ出資の総額
六 存立の時期を定めたときは、その時期
七 役員の氏名及び住所
八 公告の方法
3 組合又は連合会は、設立の登記をした後二週間以内に、従たる事務所の所在地において、前項の事項を登記しなければならない。
(従たる事務所の新設の登記)
第百六十一條 組合又は連合会が新たに従たる事務所を設けたときは、主たる事務所の所在地においては二週間以内に従たる事務所を設けたことを登記し、その従たる事務所の所在地においては三週間以内に前條第二項の事項を登記し、他の従たる事務所においては同期間内にその従たる事務所を設けたことを登記しなければならない。
2 主たる事務所又は従たる事務所の所在地を管轄する登記所の管轄区域内において、新たに従たる事務所を設けたときは、その従たる事務所を設けたことを登記すればよい。
(事務所の移転の登記)
第百六十二條 組合又は連合会が主たる事務所を移転したときは、旧所在地においては二週間以内に移転の登記をし、新所在地においては三週間以内に第百六十條第二項の事項を登記し、従たる事務所を移転したときは、旧所在地においては三週間以内に移転の登記をし、新所在地においては四週間以内に同項の事項を登記しなければならない。
2 同一の登記所の管轄区域内において主たる事務所又は従たる事務所を移転したときは、その移転の登記をすればよい。
(変更の登記)
第百六十三條 第百六十條第二項の事項中に変更を生じたときは、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に変更の登記をしなければならない。
2 第百六十條第二項第五号の事項中出資の総口数及び拂い込んだ出資の総額の変更の登記は、前項の規定にかかわらず、毎事業年度末日現在により、事業年度終了後、主たる事務所の所在地においては四週間以内に、従たる事務所の所在地においては五週間以内にすればよい。
(解散の登記)
第百六十四條 組合又は連合会が解散したときは、合併及び破産の場合を除いては、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に解散の登記をしなければならない。
(合併の登記)
第百六十五條 組合又は連合会が合併したときは、合併の認可のあつた日から主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に、合併後存続する組合又は連合会については変更の登記、合併によつて消滅する組合又は連合会については解散の登記、合併によつて成立する組合又は連合会については第百六十條第二項の登記をしなければならない。
(清算人の登記)
第百六十六條 清算人は、その就任の日から主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に清算人の氏名及び住所を登記しなければならない。
2 前項の規定により登記した事項の変更の登記については、第百六十三條第一項の規定を準用する。
(清算結了の登記)
第百六十七條 組合又は連合会の清算が結了したときは、清算結了の日から主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に清算結了の登記をしなければならない。
(管轄登記所及び登記簿)
第百六十八條 組合又は連合会の登記については、その事務所の所在地を管轄する法務局若しくは地方法務局又はその支局若しくは出張所が管轄登記所としてこれをつかさどる。
2 登記所に、森林組合登記簿及び森林組合連合会登記簿を備える。
(設立の登記の申請)
第百六十九條 組合又は連合会の設立の登記は、役員の全員の申請によつてする。
2 前項の登記の申請書には、定款及び役員たることを証する書面並びに出資組合及び出資連合会にあつては出資総口数及び出資の第一回の拂込のあつたことを証する書面を添附しなければならない。
3 合併による組合又は連合会の設立の登記の申請書には、前項の書面の外、第百四十五條第四項(第百五十九條第五項において準用する場合を含む。)において準用する第百二十四條第二項の規定による公告及び催告をしたこと並びに異議を述べた債権者があるときはこれに対し弁済し、若しくは担保を供し、又は財産を信託したことを証する書面を添附しなければならない。
第百七十條 第百六十條第三項の規定による登記は、理事の申請によつてする。
(事務所の新設、移転及び変更の登記の申請)
第百七十一條 組合又は連合会の事務所の新設又は事務所の移転その他第百六十條第二項の事項の変更の登記は、理事又は清算人の申請によつてする。
2 前項の登記の申請書には、事務所の新設又は登記事項の変更を証する書面を添附しなければならない。
3 出資一口の金額の減少又は出資組合若しくは出資連合会の合併による変更の登記の申請書には、前項の書面の外、第百二十四條第二項(第百四十五條第四項及び第百五十九條第三項において準用する場合並びに第百五十九條第五項において第百四十五條第四項を準用する場合を含む。)の規定による公告及び催告をしたこと並びに異議を述べた債権者があるときはこれに対し弁済し、若しくは担保を供し、又は財産を信託したことを証する書面を添附しなければならない。
(解散の登記の申請)
第百七十二條 第百六十四條の規定による組合又は連合会の解散の登記は、第三項に規定する場合を除いて、清算人の申請によつてする。
2 前項の登記の申請書には、解散の事由を証する書面を添附しなければならない。
3 組合又は連合会の解散を命ずる裁判が確定した場合には、非訟事件手続法第百三十五條及び第百九十三條第三項(裁判による会社の解散の登記)の規定を準用する。
第百七十三條 第百六十五條の規定による解散の登記は、合併によつて消滅する組合又は連合会の理事の申請によつてする。
2 前項の場合には、第百六十九條第三項及び前條第二項の規定を準用する。
(清算人の登記の申請)
第百七十四條 第百六十六條第一項の規定による登記の申請書には、理事が清算人でないときは、申請人の資格を証する書面を添附しなければならない。
2 第百六十六條第二項の規定による登記は、清算人の申請によつてし、その申請書には、登記事項の変更を証する書面を添附しなければならない。
(清算結了の登記の申請)
第百七十五條 組合又は連合会の清算結了の登記は、清算人の申請によつてする。
2 前項の登記の申請書には、清算人が第百五十二條(第百五十九條第五項において準用する場合を含む。)の規定により決算報告書の承認を得たことを証する書面を添附しなければならない。
(登記の期間の計算)
第百七十六條 登記すべき事項であつて行政庁の認可を要するものは、その認可書の到達した時から登記の期間を計算する。但し、第百四十一條第二項及び第五項(第百五十九條第四項において準用する場合を含む。)の場合には、認可に関する証明書の到達した時から登記の期間を計算する。
(登記事項の公告)
第百七十七條 登記した事項は、登記所において、遅滯なくこれを公告しなければならない。
(非訟事件手続法の準用)
第百七十八條 組合又は連合会の登記には、非訟事件手続法第百四十二條から第百五十一條ノ六まで及び第百五十四條から第百五十七條まで(商業登記の通則)の規定を準用する。
第五節 監督
(業務又は財産状況の報告の徴取)
第百七十九條 行政庁は、組合若しくは連合会から、その組合若しくは連合会が法令、法令に基いてする行政庁の処分、定款若しくは規約を守つているかどうかを知るために必要な報告を徴し、又は組合若しくは連合会に対し、その組合員若しくは会員、役員、使用人、事業の分量その他組合の一般的状況に関する資料であつて組合若しくは連合会に関する行政を適正に処理するために特に必要なものの提出を命ずることができる。
(業務又は会計状況の検査)
第百八十條 組合員又は会員が総組合員又は総会員の十分の一以上の同意を得て、組合又は連合会の業務又は会計が法令、法令に基いてする行政庁の処分又は定款若しくは規約に違反する疑があることを理由として検査を請求したときは、行政庁は、その組合又は連合会の業務又は会計の状況を検査しなければならない。
2 行政庁は、組合又は連合会の業務又は会計が法令、法令に基いてする行政庁の処分又は定款若しくは規約に違反する疑があると認めるときは、何時でも、その組合又は連合会の業務又は会計の状況を検査することができる。
(法令等の違反に対する措置)
第百八十一條 行政庁は、第百七十九條の規定による報告を徴した場合又は前條の規定による検査を行つた場合において、その組合又は連合会の業務又は会計が法令、法令に基いてする行政庁の処分又は定款若しくは規約に違反すると認めるときは、その組合又は連合会に対し、必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。
(裁判所による解散命令)
第百八十二條 組合若しくは連合会がこの法律の規定若しくは他の法律の特別の規定に基いて行うことができる事業以外の事業を行つたとき若しくは前條の規定による命令に従わなかつたとき、又は生産組合につき第八十七條若しくは第八十八條第五項の規定の違反があつたときは、裁判所は、行政庁の申立により、その組合又は連合会の解散を命ずることができる。
2 前項の規定による事件は、その組合又は連合会の主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄とする。
3 第一項の場合における手続については、最高裁判所の定めるところによる。
(議決、選挙及び当選の取消)
第百八十三條 組合員(准組合員を除く。)又は会員(准会員を除く。)が総組合員(准組合員を除く。)又は総会員(准会員を除く。)の十分の一以上の同意を得て、総会の招集手続、議決の方法又は選挙が法令、法令に基いてする行政庁の処分又は定款若しくは規約に違反することを理由とし、その議決又は選挙若しくは当選決定の日から一箇月以内にその議決又は選挙若しくは当選の取消を請求した場合において、行政庁は、その違反の事実があると認めるときは、その議決又は選挙若しくは当選を取り消すことができる。
2 前項の規定は、創立総会の場合に準用する。
(專用契約の取消)
第百八十四條 行政庁は、第九十三條第一項(第百五十九條第二項において準用する場合を含む。)の規定による契約の内容が公益に反すると認めるときは、その契約を取り消すことができる。
(所管行政庁)
第百八十五條 この章中「行政庁」とあるのは、第百四十八條(第百五十九條第五項において準用する場合を含む。)の場合を除いては、都道府県の区域又はその区域をこえる区域を地域とする組合又は連合会については農林大臣、その他の組合又は連合会については都道府県知事とする。
2 この章に規定する農林大臣の権限は、政令で定めるところにより、その一部を都道府県知事に委任することができる。
第七章 雑則
(共有林の分割請求の制限)
第百八十六條 森林の共有者は、民法第二百五十六條第一項(共有物の分割請求)の規定にかかわらず、その共有に係る森林の分割を請求することができない。但し、各共有者の持分の価額に従いその過半数をもつて分割の請求をすることを妨げない。
(林業技術普及員及び林業経営指導員)
第百八十七條 都道府県に林業技術普及員及び林業経営指導員を置き、その都道府県の吏員をもつて充てる。
2 都道府県知事は森林区ごとに、これを担当する林業経営指導員を定めなければならない。
3 林業技術普及員は、林業技術に関する試験研究の成果の普及に関する事務に、林業経営指導員は、森林区実施計画の作成及びその実施の監督に関する事務に従事する。
(立入調査等)
第百八十八條 農林大臣又は都道府県知事は、この法律の施行のため必要があるときは、森林所有者又は権原に基き森林の立木竹の使用若しくは收益をする者からその施業の状況に関する報告を徴することができる。
2 農林大臣又は都道府県知事は、この法律の施行のため必要があるときは、当該職員に、他人の森林に立ち入つて、測量若しくは実地調査をさせ、標識を建設させ、又は測量、実地調査若しくは標識建設の支障となる立木竹を伐採させることができる。
3 前項の規定により他人の森林に立ち入つて測量、実地調査、標識建設又は立木竹の伐採をする当該職員は、その身分を示す証票を携帶し、関係者の要求があるときはこれを呈示しなければならない。
4 第二項の規定による立入調査の権限は、犯罪搜査のために認められたものと解してはならない。
5 国又は都道府県は、第二項の規定による当該職員の処分によつて損失を受けた者に対し、通常生ずべき損失を補償しなければならない。
(掲示)
第百八十九條 農林大臣又は都道府県知事は、この法律又はこの法律に基く命令の規定による通知又は命令をする場合において、相手方が知れないとき、又はその所在が不分明なときは、その通知又は命令に係る森林、土地又は工作物等の所在地の属する市町村の事務所の掲示場にその通知又は命令の内容を掲示するとともに、その要旨及び掲示した旨を官報又は都道府県の公報に掲載しなければならない。この場合においては、その掲示を始めた日又は官報若しくは都道府県の公報に掲載した日のいずれか遅い日から十四日を経過した日に、その通知又は命令は、相手方に到達したものとみなす。
(特別区等に対する適用)
第百九十條 この法律中市町村に関する規定は、特別区のある地にあつては特別区に、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百五十五條第二項の市にあつては区に、全部事務組合又は役場事務組合のある地にあつては組合に適用する。
(訴願)
第百九十一條 この法律又はこの法律に基く命令の規定による許可又は認可の申請に対する許否、裁定その他の行政庁の処分(第四章の規定による都道府県知事の裁定のうち損失の補償に関する部分を除く。)に不服がある者は、訴願を提起することができる。
2 農林大臣は、第四章の規定による都道府県知事の認可又は裁定に関する訴願の裁決をする場合には、あらかじめ土地調整委員会の意見を聞かなければならない。保安林又は保安施設地区の指定又は解除に関する訴願であつてその不服の理由が鉱業又は採石業との調整に関するものの裁決をする場合もまた同様とする。
(都道府県の費用負担)
第百九十二條 左の各号に掲げる費用は、都道府県の負担とする。
一 森林区施業計画の作成及び実施に要する費用
二 森林区実施計画の作成及び実施に要する費用
三 都道府県森林審議会に要する費用
四 保安林に関し都道府県知事が行う事務に要する費用
(国庫の補助)
第百九十三條 国は、都道府県に対し、毎年度予算の範囲内において、政令で定めるところにより、造林及び森林区施業計画に定める林道の開設又は拡張につき、都道府県が自ら行う場合にあつてはその要する費用の一部を、市町村その他政令で定める者が行う場合にあつてはその者に対し都道府県が補助する費用の一部を補助する。
第百九十四條 国は、林業に関する試験研究をする者に対し、毎年度予算の範囲内において、政令で定めるところにより、その試験研究に要する費用の一部を補助する。
第百九十五條 国は、都道府県に対し、毎年度予算の範囲内において、政令で定めるところにより、林業技術普及員及び林業経営指導員の設置のため必要な費用の二分の一以内を補助する。
第百九十六條 国は、都道府県に対し、毎年度予算の範囲内において、政令で定めるところにより、第百九十二條の規定により都道府県が負担する費用の二分の一以内を補助する。
第八章 罰則
第百九十七條 森林においてその産物(人工を加えたものを含む。)を窃取した者は、森林窃盜とし、三年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
第百九十八條 森林窃盜が保安林の区域内において犯したものであるときは、五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
第百九十九條 森林窃盜の贓物を原料として木材、木炭その他の物品を製造した場合には、その物品は、森林窃盜の贓物とみなす。
第二百條 民法第百九十六條(占有者の費用償還請求権)の規定は、森林窃盜の贓物の回復には適用しない。但し、善意の取得者についてはこの限りでない。
第二百一條 森林窃盜の贓物を收受した者は、三年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
2 森林窃盜の贓物の運搬、寄蔵、故買又は牙保をした者は、五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
第二百二條 他人の森林に放火した者は、二年以上の有期懲役に処する。
2 自己の森林に放火した者は、六月以上七年以下の懲役に処する。
3 前項の場合において、他人の森林に延燒したときは、六月以上十年以下の懲役に処する。
4 前二項の場合において、その森林が保安林であるときは、一年以上の有期懲役に処する。
第二百三條 火を失して他人の森林を燒燬した者は、五万円以下の罰金に処する。
2 火を失して自己の森林を燒燬し、これによつて公共の危險を生じさせた者も前項と同様とする。
第二百四條 第百九十七條、第百九十八條及び第二百二條の未遂罪は、これを罰する。
第二百五條 第二十一條第一項又は第二十二條の規定に違反した者は、一万円以下の罰金に処する。この場合において、その火入をした森林が保安林であるときは、三万円以下の罰金に処する。
2 第二十一條第一項又は第二十二條の規定に違反し、これによつて他人の森林を燒燬した者は、三万円以下の罰金に処する。この場合において、その森林が保安林であるときは、五万円以下の罰金に処する。
第二百六條 第十六條第一項の規定に違反し、制限林の立木を伐採した者は、三万円以下の罰金に処する。
第二百七條 左の各号の一に該当する者は、二万円以下の罰金に処する。
一 第三十一條の規定による禁止命令に違反し、立木竹の伐採又は土石若しくは樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為をした者
二 第三十四條第一項の規定に違反し、立竹を伐採し、家畜を放牧し、又は土石若しくは樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為をした者
第二百八條 左の各号の一に該当する者は、一万円以下の罰金に処する。
一 第十六條第一項の規定に違反し、普通林の立木を伐採した者
二 第三十九條(第四十四條において準用する場合を含む。)の規定により設置した標識を移動し、汚損し、又は破壞した者
第二百九條 第十五條の規定に違反し、届出書を提出しないで立木を伐採した者は、五千円以下の罰金に処する。
第二百十條 組合又は連合会の役員が、どのような名義をもつてするのであつても、組合若しくは連合会の事業の範囲外において貸付をし、若しくは手形の割引をし、又は投機取引のために組合若しくは連合会の財産を処分したときは、これを三年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
2 前項の規定は、刑法(明治四十年法律第四十五号)に正條がある場合には、適用しない。
第二百十一條 第八十條第四項(第百五十九條第一項において準用する場合を含む。以下この條において同じ。)において準用する倉庫業法第八條第一項若しくは本法第百七十九條の規定による報告をせず、若しくは虚僞の報告をし、又は第八十條第四項において準用する倉庫業法第八條第一項若しくは本法第百八十條の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避をした者は、千円以下の罰金に処する。
第二百十二條 第百九十七條若しくは第百九十八條の罪(これらの未遂罪を含む。)又は第二百一條若しくは第二百十條第一項の罪を犯した者には、情状により懲役刑及び罰金刑を併科することができる。
第二百十三條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、第二百五條から第二百九條まで及び第二百十一條の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対して各本條の罰金刑を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため、その業務又は財産に対し相当の注意及び監督が盡されたことの証明があつたときは、その法人又は人についてはこの限りでない。
第二百十四條 左の場合には、組合又は連合会の役員又は清算人は、一万円以下の過料に処する。
一 この法律の規定又は他の法律の特別の規定に基いて組合又は連合会が行うことができる事業以外の事業を行つたとき。
二 第七十九條第四項、第五項但書若しくは第七項但書又は第百五十四條第二項、第三項但書若しくは第五項但書の規定に違反したとき。
三 第九十三條第二項(第百五十九條第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
四 第九十四條(第百五十九條第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
五 第百七條(第百五十九條第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
六 第百十條、第百十一條第二項又は第百十二條(以上の各規定を第百五十九條第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
七 第百十五條又は第百十六條(以上の各規定を第百五十九條第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、書類を備えて置かず、その書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をし、又は正当の理由がないのにその書類の閲覽を拒んだとき。
八 第百十七條第五項(第百五十九條第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
九 第百二十四條若しくは第百二十五條第二項(以上の各規定を第百五十九條第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反して出資一口の金額を減少し、又は第百四十五條第四項(第百五十九條第五項において準用する場合を含む。)において準用する第百二十四條又は第百二十五條第二項の規定に違反して出資組合の合併をしたとき。
十 第百二十六條又は第百二十七條(以上の各規定を第百五十九條第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
十一 第百三十條(第百五十九條第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反して組合員の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けたとき。
十二 第百四十四條第五項(第百五十九條第五項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
十三 第百五十條又は第百五十二條(以上の各規定を第百五十九條第五項において準用する場合を含む。)の書類に記載すべき事項を記載せず、又は不実の記載をしたとき。
十四 第百五十一條(第百五十九條第五項において準用する場合を含む。)の規定に違反して組合の財産を処分したとき。
十五 第百五十三條(第百五十九條第五項において準用する場合を含む。以下この條において同じ。)において準用する民法第七十九條第一項(債権申出の公告と催告)又は同法第八十一條第一項(清算中の破産)に規定する公告を怠り、又は不正の公告をしたとき。
十六 第百五十三條において準用する民法第七十九條の規定に違反して同項の期間内に債権者に弁済したとき。
十七 第百五十三條において準用する民法第八十一條第一項の規定に違反して破産宣告の請求を怠つたとき。
十八 この法律の規定による登記を怠つたとき。
第二百十五條 第七十五條第二項又は第八十一條第二項(第百五十九條第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、千円以下の過料に処する。
附 則
1 この法律の施行期日は、公布の日から起算して九十日をこえない期間内において、政令で定める。
2 森林法(明治四十年法律第四十三号)は、廃止する。
農林大臣 広川弘禅
内閣総理大臣 吉田茂
森林法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十六年六月二十六日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百四十九号
森林法
目次
第一章
総則(第一条―第三条)
第二章
営林の助長及び監督(第四条―第二十四条)
第三章
保安施設
第一節
保安林(第二十五条―第四十条)
第二節
保安施設地区(第四十一条―第四十八条)
第四章
土地の使用(第四十九条―第六十七条)
第五章
森林審議会(第六十八条―第七十三条)
第六章
森林組合及び森林組合連合会
第一節
総則(第七十四条―第七十八条)
第二節
森林組合
第一款
事業(第七十九条―第八十五条)
第二款
組合員(第八十六条―第百二条)
第三款
管理(第百三条―第百三十四条)
第四款
設立(第百三十五条―第百四十三条)
第五款
解散及び清算(第百四十四条―第百五十三条)
第三節
森林組合連合会(第百五十四条―第百五十九条)
第四節
登記(第百六十条―第百七十八条)
第五節
監督(第百七十九条―第百八十五条)
第七章
雑則(第百八十六条―第百九十六条)
第八章
罰則(第百九十七条―第二百十五条)
附則
第一章 総則
(この法律の目的)
第一条 この法律は、森林計画、保安林その他の森林に関する基本的事項及び森林所有者の協同組織の制度を定めて、森林の保続培養と森林生産力の増進とを図り、もつて国土の保全と国民経済の発展とに資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「森林」とは、左に掲げるものをいう。但し、主として農地又は住宅地若しくはこれに準ずる土地として使用される土地及びこれらの上にある立木竹を除く。
一 木竹が集団して生育している土地及びその土地の上にある立木竹
二 前号の土地の外、木竹の集団的な生育に供される土地
2 この法律において「森林所有者」とは、権原に基き森林の土地の上に木竹を所有し、及び育成することができる者をいう。
3 この法律において「国有林」とは、国が森林所有者である森林及び国有林野法(昭和二十六年法律第二百四十六号)第四章の規定による部分林である森林をいい、「民有林」とは、国有林以外の森林をいう。
(承継人に対する効力)
第三条 この法律又はこの法律に基く命令の規定によつてした処分、手続その他の行為は、森林所有者、権原に基き森林の立木竹の使用若しくは収益をする者又は土地の所有者若しくは占有者の承継人に対しても、その効力を有する。
第二章 営林の助長及び監督
(森林基本計画)
第四条 農林大臣は、基本計画区につき五年ごとに、翌年四月一日以降五年間の森林基本計画を定めなければならない。
2 前項の森林基本計画は、森林生産の保続を図ること及び左に掲げる原則に従うことを旨とし、森林施業の合理化に資するものでなければならない。
一 幼齢林を皆伐しないこと。
二 幼齢林については、育林上必要な週期的間伐をすること。
三 皆伐した伐採跡地には、伐採後二年以内に造林すること。
四 急傾斜地における森林を皆伐しないこと。
3 森林基本計画に定める事項は、左の通りとする。
一 造林面積、植栽樹種その他造林及び保育に関する事項
二 伐採方法その他森林の立木竹の伐採に関する事項
三 林道の開設その他林産物の搬出に関する事項
四 保安施設に関する事項
五 その他森林施業の基本となるべき事項
4 農林大臣は、森林基本計画を定めるには、森林の現況、森林施業に関する事項、経済事情等につき、あらかじめ都道府県知事の意見を聞かなければならない。
5 農林大臣は、森林基本計画を定めようとする場合において必要があると認めるときは、あらかじめ中央森林審議会の意見を聞くことができる。
6 農林大臣は、森林基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを都道府県知事に指示するとともにその概要を公表しなければならない。
(基本計画区)
第五条 前条第一項の基本計画区は、農林大臣が、都道府県知事の意見を聞き、地勢その他の条件を勘案し、主として流域別に都道府県の区域を分けて定める。
2 農林大臣は、基本計画区を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なくこれを公表しなければならない。
(森林区)
第六条 都道府県知事は、農林大臣の指示に従い、その都道府県内の基本計画区を分けて森林区を定める。
2 都道府県知事は、森林区を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するとともに農林大臣に報告しなければならない。
(森林区施業計画)
第七条 都道府県知事は、第四条第六項の規定により森林基本計画を指示されたときは、その日から三十日以内に、その森林基本計画に基き、民有林について森林区別に、翌年四月一日以降五年間の森林区施業計画案を定めて公表しなければならない。
2 森林所有者、森林組合その他森林区施業計画に利害関係を有する者は、前項の森林区施業計画案の公表があつた日から三十日以内に、都道府県知事に対し、これについて書面により意見を述べることができる。
3 都道府県知事は、前項の意見を勘案し、且つ、必要があると認めるときは都道府県森林審議会の意見を聞き、第四条第六項の指示があつた日から九十日以内に、森林区施業計画を決定しなければならない。
4 森林区施業計画に定める事項は、左の通りとする。
一 人工植栽面積の最小限度、植栽樹種、植栽方法その他造林に関する事項
二 下刈、除伐その他保育に関する事項
三 制限林(第二十五条第一項の規定により指定された保安林、第四十一条の規定により指定された保安施設地区の森林、砂防法(明治三十年法律第二十九号)第二条の規定により指定された土地の森林、国立公園法(昭和六年法律第三十六号)第一条の規定により指定された土地の森林その他法令により指定された森林又は指定された土地の森林であつて、それらの法令によつてその立木竹の伐採を制限されている民有林をいう。以下同じ。)の立木について、森林ごと又はその集団ごとの用材林薪炭林別、広葉樹針葉樹別の主伐立木材積、間伐立木材積及び主間伐合計の伐採立木材積のそれぞれの許容限度
四 普通林(民有林であつて、制限林、第十七条第一項の規定により指定された特用林及び同条第二項の規定により指定された自家用林以外のものをいう。以下同じ。)の立木(地域別及び樹種別に省令で定める適正伐期齢級以上の齢級に属する立木を除く。)について、その森林区における用材林薪炭林別、広葉樹針葉樹別の主伐立木材積、間伐立木材積及び主間伐合計の伐採立木材積のそれぞれの許容限度
五 伐採方法その他森林の立木竹の伐採に関する事項
六 林道の開設その他林産物の搬出に関する事項
七 保安施設に関する事項
八 その他森林施業の基本となるべき事項
5 都道府県知事は、森林区施業計画を決定したときは、遅滞なく、これを公表し、農林大臣に報告するとともに、制限林に係る前項第五号の事項をその森林所有者に書面により通知しなければならない。
6 第四条第二項の規定は、森林区施業計画を定める場合に準用する。
(森林区実施計画)
第八条 都道府県知事は、民有林について森林区別に、森林区施業計画に基き、毎年十月三十一日までに翌年の四月一日以降一年間の森林区実施計画案を定めて公表するとともに、これを記載した書面をその森林区に係る市町村の長に送付しなければならない。
2 市町村長は、前項の規定により送付を受けた書面を利害関係人の縦覧に供しなければならない。
3 森林所有者又は権原に基き森林の立木竹の使用若しくは収益をする者その他森林区実施計画に利害関係を有する者は、第一項の森林区実施計画案の公表があつた日から三十日以内に、都道府県知事に対し、これについて書面により意見を述べることができる。
4 都道府県知事は、前項の意見を尊重し、十二月三十一日までに森林区実施計画を決定しなければならない。
5 森林区実施計画に定める事項は、左の通りとする。
一 森林所有者別に、人工植栽をすべき保安林以外の民有林の所在、地番及び面積
二 森林所有者別に、人工植栽をすべき保安林の所在、地番、面積及び植栽樹種
三 制限林の立木について、森林ごと又はその集団ごとの用材林薪炭林別、広葉樹針葉樹別の主伐立木材積、間伐立木材積及び主間伐合計の伐採立木材積のそれぞれの許容限度
四 普通林の立木(前条第四項第四号の適正伐期齢級以上の齢級に属する立木を除く。)について、その森林区における用材林薪炭林別、広葉樹針葉樹別の主伐立木材積、間伐立木材積及び主間伐合計の伐採立木材積のそれぞれの許容限度
五 その他森林施業に関し必要な事項
6 都道府県知事は、森林区実施計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表するとともに前項第一号及び第二号の事項をそれぞれの森林所有者に書面により通知しなければならない。
7 第四条第二項の規定は、森林区実施計画を定める場合に準用する。
(異議の申立)
第九条 前条第四項の規定により決定された森林区実施計画に異議がある者は、その公表があつた日から二十日以内に、省令で定めるところにより、都道府県知事に対し異議の申立をすることができる。
2 都道府県知事は、前項の申立があつたときは、その申立の日から三十日以内に、これについて決定をし、これをその申立人に通知しなければならない。
3 前項の場合において森林区実施計画の変更を相当とする旨の決定をしたときは、都道府県知事は、その決定に従い、遅滞なくその森林区実施計画を変更しなければならない。
(森林計画の変更)
第十条 農林大臣は、森林の現況、経済事情等に著しい変更があつたため森林基本計画の実施が困難であると認めるときは、その森林基本計画の一部を変更することができる。この場合には、第四条第四項及び第五項の規定を準用する。
2 前項の場合には、農林大臣は、その変更に係る部分を都道府県知事に指示するとともに、その概要を公表しなければならない。
3 農林大臣は、森林区施業計画又は森林区実施計画が森林基本計画に抵触すると認めるときは、都道府県知事に対し、その抵触する部分につき必要な変更を命ずることができる。
4 都道府県知事は、第二項の指示又は前項の命令があつたときは、これに基き、その指示又は命令があつた日から三十日以内に、森林区施業計画又は森林区実施計画を変更しなければならない。
5 都道府県知事は、前項の規定により森林区施業計画を変更しようとする場合において必要があると認めるときは、あらかじめ都道府県森林審議会の意見を聞くことができる。
第十一条 森林所有者は、その森林の現況に著しい変更が生じたため、又は造林に必要な資金若しくは苗木が不足するため、森林区実施計画で定められた第八条第五項第一号又は第二号の事項に従つて植栽をすることが困難であるときは、省令で定める手続に従い、都道府県知事に対し、その森林区実施計画の変更を申請することができる。
2 前項の申請があつた場合には、第九条第二項及び第三項の規定を準用する。
第十二条 都道府県知事は、第二十五条第一項の規定による保安林の指定又は第二十六条第一項若しくは第二項の規定によるその解除があり、その他森林の現況、経済事情等に著しい変更があつたため、森林区施業計画又は森林区実施計画の変更を必要と認めるときは、森林基本計画に抵触しない範囲内においてその森林区施業計画又は森林区実施計画を変更することができる。
2 前項の場合には、第十条第五項の規定を準用する。
第十三条 都道府県知事は、第十条第四項又は前条第一項の規定により森林区施業計画を変更したときは、遅滞なく、その変更に係る部分を公表し、農林大臣に報告するとともに、その変更が制限林についての第七条第四項第五号の事項に係る場合には、その変更された事項をその森林所有者に書面により通知しなければならない。
2 都道府県知事は、第九条第三項(第十一条第二項において準用する場合を含む。)、第十条第四項又は前条第一項の規定により森林区実施計画を変更したときは、遅滞なく、その変更に係る部分を公表するとともに、その変更が第八条第五項第一号又は第二号の事項に係る場合には、その変更された事項をそれぞれの森林所有者に書面により通知しなければならない。
3 前項の場合には、第九条の規定を準用する。
(植栽の義務)
第十四条 森林所有者は、森林区実施計画で定められた第八条第五項第一号又は第二号の事項に従つて植栽をしなければならない。
(伐採の届出)
第十五条 森林所有者その他権原に基き森林の立木の使用又は収益をする者は、普通林の立木で第七条第四項第四号の適正伐期齢級以上の齢級に属するもの(風倒木、枯損木その他省令で定める立木を除く。)を伐採しようとするときは、伐採の日の六十日前までに、省令で定めるところにより、都道府県知事に届出書を提出しなければならない。但し、法令又は法令に基く処分により伐採する場合及び国又は都道府県が第四十一条の保安施設事業又は砂防法第一条の砂防工事を実施するため伐採する場合は、この限りでない。
(伐採の許可)
第十六条 森林所有者その他権原に基き森林の立木の使用又は収益をする者は、左に掲げる事項について都道府県知事の許可を受けなければ、制限林又は普通林の立木(風倒木、枯損木、前条の規定により伐採の届出をしなければならない立木その他省令で定める立木を除く。)を伐採してはならない。但し、除伐する場合及び前条但書に規定する場合は、この限りでない。
一 伐採する森林の所在、地番及び面積
二 主間伐別、用材林薪炭林別、広葉樹針葉樹別、伐採種別の伐採立木材積
2 前項の許可を受けようとする者は、省令で定めるところにより、第八条第六項の森林区実施計画の公表があつた日から三十日以内に都道府県知事に申請書を提出しなければならない。但し、第九条第三項、第十条第四項又は第十二条第一項の規定による森林区実施計画の変更により第八条第五項第三号の伐採立木材積の許容限度が増加した場合には、その変更につき第十三条第二項の公表があつた日から三十日以内に更に申請書を提出することができる。
3 都道府県知事は、前項の申請があつたときは、同項の期間満了後三十日以内に、許可するかどうかを決定し、これを書面により申請者に通知しなければならない。
4 都道府県知事は、第二項の申請に係る制限林についての伐採が森林区施業計画に定められた伐採に関する施業の要件に反するときは、その許可をしてはならない。
5 都道府県知事は、普通林について第一項の許可をする場合において、申請に係る伐採種が森林区施業計画に照らし不適当であるときは、その伐採種を変更して許可することができる。
6 第二項の規定による申請に係る制限林又は普通林の用材林薪炭林別、広葉樹針葉樹別の主伐、間伐又は主間伐合計の伐採立木材積が森林区実施計画に定められたそれぞれの許容限度(第二項但書の場合には、その増加部分)をこえている場合には、左に掲げる基準に従い、あわせて申請者の経済事情、林産物の需給事情等を勘案し、その許容限度の範囲内において許可すべきものを定めなければならない。但し、特別の必要がある場合には、普通林について、森林区施業計画に抵触せず、且つ、森林区実施計画に定められたそれぞれの許容限度(第二項但書の場合には、その増加部分)の二割をこえない範囲内においてその許容限度をこえる数量の伐採を許可することができる。
一 間伐は、主伐に優先する。
二 皆伐以外の主伐は、皆伐に優先する。
三 伐採立木の樹齢の高いものは、樹齢の低いものに優先する。
四 伐採立木の樹齢がおおむね等しい場合には、その平均木の大きいものが優先する。
7 第一項の許可の有効期間は、その許可に係る森林区実施計画の期間とする。但し、第二項但書の規定による申請に基く許可の有効期間の始期は、その許可があつた日とする。
8 都道府県知事は、第一項の許可を受けた者の申請により、六十日をこえない範囲内において、前項の有効期間を延長することができる。
9 第一項の許可に係る森林について、第三十三条第一項(第四十四条において準用する場合を含む。)の規定による保安林又は保安施設地区の指定の告示があつたときは、都道府県知事は、その許可を取り消し、又はその内容を変更することができる。
(特用林及び自家用林)
第十七条 都道府県知事は、省令で定める樹種を主とする森林(制限林を除く。)であつてその立木の果実の採取その他の省令で定める用途に主として供されるものを、その森林の森林所有者の申請に基き、特用林として指定することができる。
2 都道府県知事は、制限林以外の森林であつて、その森林の森林所有者たる個人又はその配偶者若しくは二親等以内の親族の住所の所在する市町村又はその隣接市町村に所在し、自家の生活の用に充てるため必要な木材その他の林産物の採取の目的に供すべきものを、その森林所有者の申請に基き、五反歩以内において省令で定める面積の範囲内で、自家用林として指定することができる。
3 特用林が制限林となつたときは、その指定は、その効力を失う。
4 左の各号の一に該当する場合には、自家用林の指定は、その効力を失う。
一 自家用林が制限林となつたとき。
二 自家用林の指定の申請者がその自家用林の森林所有者でなくなつたとき。
三 自家用林の指定の申請者並びにその配偶者及び二親等以内の親族がその自家用林の所在する市町村及びその隣接市町村のいずれにも住所を有しなくなつたとき。
(伐採の例外)
第十八条 森林所有者その他権原に基き森林の立木竹の使用又は収益をする者は、左の各号の一に該当する場合には、第十五条、第十六条第一項及び第三十一条(第四十四条において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、森林の立木竹を伐採することができる。
一 火災、風水害その他の非常災害に際し緊急の用に供する必要があるため、その森林の所在地を管轄する市町村長の許可を受けたとき。
二 道路、鉄道、林道、電線又はこれらに準ずる設備に対する支障又は危険を除き、その他省令で定める目的を達する必要があるため、その森林の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けたとき。
2 市町村長は、前項第一号の許可をしたときは、その許可をした日から三十日以内に都道府県知事に報告しなければならない。
(異議の申立等)
第十九条 第十六条第三項の決定又は同条第九項の許可の取消若しくはその内容の変更に異議がある者は、処分の日から二十日以内に、省令で定めるところにより、都道府県知事に対し異議の申立をすることができる。この場合には、第九条第二項の規定を準用する。
(森林計画の遵守)
第二十条 森林所有者その他権原に基き森林の立木の使用又は収益をする者は、第十四条、第十五条、第十六条第一項及び第十八条第一項の規定による外、森林区施業計画及び森林区実施計画に従つて施業することを旨としなければならない。
(火入)
第二十一条 森林又は森林に接近している省令で定める範囲内にある原野、山岳、荒廃地その他の土地においては、省令で定めるところにより、その森林又は土地を管轄する市町村長の許可を受けてその指示するところに従つてでなければ火入をしてはならない。但し、国又は地方公共団体が火入をする場合は、この限りでない。
2 市町村長は、火入をする目的が左の各号の一に該当する場合でなければ前項の許可をしてはならない。
一 造林のための地ごしらえ
二 開墾準備
三 害虫駆除
四 焼畑
五 前各号に準ずる事項であつて省令で定めるもの
3 市町村長は、国有林野法に規定する国有林野又はこれに接近する森林若しくは土地について第一項の許可をするには、あらかじめその国有林野を管轄する営林局長の承認を受けなければならない。
(防火の設備等)
第二十二条 前条第一項の森林又は土地において火入をする者は、あらかじめ必要な防火の設備をし、且つ火入をしようとする森林又は土地に接近している省令で定める範囲内にある立木竹の所有者又は管理者にその旨を通知しなければならない。
(危害防止のための条例)
第二十三条 前二条に規定するものの外、都道府県は、条例をもつて森林における火災の予防その他危害防止のため必要な定をすることができる。
(適用除外)
第二十四条 前三条の規定を除き、この章の規定は、試験研究の目的に供している森林であつて農林大臣の指定するものその他省令で定める森林には適用しない。
第三章 保安施設
第一節 保安林
(指定)
第二十五条 農林大臣は、左の各号に掲げる目的を達成するため必要があるときは、森林を保安林として指定することができる。
一 水源のかん養
二 土砂の流出の防備
三 土砂の崩壊の防備
四 飛砂の防備
五 風害、水害、潮害、干害、雪害又は霧害の防備
六 なだれ又は落石の危険の防止
七 火災の防備
八 魚つき
九 航行の目標の保存
十 公衆の保健
十一 名所又は旧跡の風致の保存
2 農林大臣は、前項の指定をしようとするときは、中央森林審議会に諮問することができる。
(解除)
第二十六条 農林大臣は、保安林について、その指定の理由が消滅したときは、遅滞なくその部分につき保安林の指定を解除しなければならない。
2 農林大臣は、公益上の理由により必要が生じたときは、その部分につき保安林の指定を解除することができる。
3 前二項の規定により解除をしようとする場合には、前条第二項の規定を準用する。
(指定又は解除の申請)
第二十七条 保安林の指定若しくは解除に利害関係を有する地方公共団体の長又はその指定若しくは解除に直接の利害関係を有する者は、省令で定める手続に従い、森林を保安林として指定すべき旨又は保安林の指定を解除すべき旨を書面により農林大臣に申請することができる。
2 都道府県知事以外の者が前項の規定により保安林の指定又は解除を申請する場合には、その森林の所在地を管轄する都道府県知事を経由しなければならない。
3 都道府県知事は、前項の場合には、遅滞なくその申請書に意見書を附して農林大臣に進達しなければならない。但し、申請が第一項の条件を具備しないか、又は次条の規定に違反していると認めるときは、その申請を進達しないで却下することができる。
第二十八条 農林大臣が前条第一項の申請に係る指定又は解除をしない旨の処分をしたときは、その申請をした者は、実地の状況に著しい変化が生じた場合でなければ、再び同一の理由で同項の申請をしてはならない。
(保安林予定森林又は解除予定保安林に関する通知等)
第二十九条 農林大臣は、保安林の指定又は解除をしようとするときは、あらかじめその旨及び保安林予定森林又は解除予定保安林の所在場所その他省令で定める事項をその森林の所在地を管轄する都道府県知事に通知しなければならない。その通知した内容を変更しようとするときもまた同様とする。
第三十条 都道府県知事は、前条の通知を受けたときは、遅滞なく、省令で定めるところにより、その通知の内容を告示し、その森林の所在する市町村の事務所に掲示するとともに、その森林の森林所有者及びその森林に関し登記した権利を有する者にその内容を通知しなければならない。この場合において、保安林の指定又は解除が第二十七条第一項の規定による申請に係るものであるときは、その申請者にも通知しなければならない。
(保安林予定森林における制限)
第三十一条 都道府県知事は、前条の規定による告示があつた保安林予定森林について、省令で定めるところにより、九十日をこえない期間内において、立木竹の伐採又は土石若しくは樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為を禁止することができる。
(意見書の提出)
第三十二条 第二十七条第一項に規定する者は、第三十条の告示があつた場合においてその告示の内容に異議があるときは、省令で定める手続に従い、都道府県知事を経由して農林大臣に意見書を提出することができる。この場合には、その告示の日から三十日以内に意見書を都道府県知事に差し出さなければならない。
2 農林大臣は、前項の規定による意見書の提出があつたときは、これについて公開による聴聞を行わなければならない。
3 農林大臣は、前項の聴聞をしようとするときは、その期日の一週間前までに聴聞の期日及び場所をその意見書を提出した者に通知するとともにこれを公示しなければならない。
4 農林大臣は、第三十条の告示の日から四十日を経過した後(第一項の意見書の提出があつたときは、これについて第二項の聴聞をした後)でなければ保安林の指定又は解除をすることができない。
(指定又は解除の通知)
第三十三条 農林大臣は、保安林の指定又は解除をする場合には、その旨及びその保安林の所在場所その他省令で定める事項を告示するとともに関係都道府県知事に通知しなければならない。
2 保安林の指定又は解除は、前項の告示によつてその効力を生ずる。
3 都道府県知事は、第一項の通知を受けたときは、その処分の内容をその処分に係る森林の森林所有者及びその処分が第二十七条第一項の申請に係るものであるときはその申請者に通知しなければならない。
(保安林における制限)
第三十四条 保安林の区域内においては、都道府県知事の許可を受けなければ、立竹を伐採し、家畜を放牧し、又は土石若しくは樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為をしてはならない。
2 都道府県知事は、前項の許可の申請があつた場合には、その申請に係る行為がその保安林の指定の目的の達成に支障を及ぼすと認められる場合を除き、これを許可しなければならない。
(損失の補償)
第三十五条 国は、保安林として指定された森林の森林所有者その他権原に基きその森林の立木竹又は土地の使用又は収益をする者に対し、保安林の指定によりその者が通常受けるべき損失を補償しなければならない。
(受益者の負担)
第三十六条 国は、保安林の指定によつて利益を受ける地方公共団体その他の者に、その受ける利益の限度において、前条の規定により補償すべき金額の全部又は一部を負担させることができる。
2 農林大臣は、前項の場合には、補償金額の全部又は一部を負担する者に対し、その負担すべき金額並びにその納付の期日及び場所を書面により通知しなければならない。
3 農林大臣は、前項の通知を受けた者が納付の期日を過ぎても同項の金額を完納しないときは、督促状により、期限を指定してこれを督促しなければならない。
4 前項の規定による督促を受けた者がその指定の期限までにその負担すべき金額を納付しないときは、農林大臣は、国税滞納処分の例によつてこれを徴収することができる。
(担保権)
第三十七条 保安林の立木竹又は土地について先取特権、質権又は抵当権を有する者は、第三十五条の規定による補償金に対してもその権利を行うことができる。但し、その払渡前に差押をしなければならない。
(造林又は復旧の命令)
第三十八条 都道府県知事は、保安林又は保安林予定森林につき第十六条第一項の規定に違反した者に対し、期間及び樹種を定めて造林に必要な行為を命じ、又は第三十一条若しくは第三十四条の規定に違反した者に対し、期間を定めて復旧に必要な行為をすべき旨を命ずることができる。
(標識の設置)
第三十九条 農林大臣は、森林を保安林として指定したときは、その保安林の区域内にこれを表示する標識を設置しなければならない。この場合において、保安林の森林所有者は、その設置を拒み、又は妨げてはならない。
(権限の委任)
第四十条 この節に規定する農林大臣の権限は、政令で定めるところにより、その一部を都道府県知事に委任することができる。
2 前項の規定により第二十五条又は第二十六条に規定する農林大臣の権限が委任された場合には、第二十五条第二項(第二十六条第三項において準用する場合を含む。)中「中央森林審議会」とあるのは、「都道府県森林審議会」と読み替えるものとする。
第二節 保安施設地区
(指定)
第四十一条 農林大臣は、第二十五条第一項第一号から第七号までに掲げる目的を達成するため、国が森林の造成事業又は森林の造成若しくは維持に必要な事業を行う必要があると認めるときは、その事業を行うのに必要な限度において森林又は原野その他の土地を保安施設地区として指定することができる。
2 農林大臣は、前項の事業(以下「保安施設事業」という。)を都道府県が行う必要があると認めて都道府県知事から申請があつた場合において、その申請を相当と認めるときは、その事業を行うのに必要な限度において森林又は原野その他の土地を保安施設地区として指定することができる。
(指定の有効期間)
第四十二条 前条の保安施設地区の指定の有効期間は、七年以内において農林大臣が定める期間とする。但し、農林大臣は、必要があると認めるときは、三年を限りその有効期間を延長することができる。
(解除)
第四十三条 農林大臣は、国又は都道府県が保安施設事業を廃止したときは、遅滞なく保安施設地区の指定を解除しなければならない。
2 保安施設地区の指定後一年を経過した時に国又は都道府県がなお保安施設事業に着手していないときは、その時に、指定またはその効力を失う。
(保安林に関する規定の準用)
第四十四条 保安施設地区の規定については、第二十九条から第三十三条まで及び第三十九条の規定を、保安施設地区における制限については、第三十四条の規定を準用する。但し、保安施設地区の指定に係る森林が保安林である場合には第三十一条及び第三十四条の規定、災害を復旧するため緊急に保安施設事業を行う必要がある場合には第三十二条第四項の規定は、準用しない。
(受忍義務)
第四十五条 保安施設地区の土地の所有者その他その土地に関し権利を有する者(以下この節において「関係人」という。)は、国又は都道府県が、その保安施設地区において、その指定の有効期間内に行う造林、森林土木事業その他の保安施設事業の実施行為及びその期間満了後十年以内に行う保安施設事業に係る施設の維持管理行為を拒んではならない。
2 国又は都道府県は、その行つた前項の行為により損失を受けた関係人に対し、通常生ずべき損失を補償しなければならない。
(費用区分)
第四十六条 国は、その行う保安施設事業により利益を受ける都道府県にその事業に要した費用の三分の一以内を負担させることができる。
2 国は、都道府県が行う保安施設事業に対し、その要した費用の三分の二以内を補助することができる。
(保安林への転換)
第四十七条 保安施設地区にあつて第四十二条の規定による指定の有効期間の満了の時に森林であるものは、既に保安林となつているものを除き、その時に第二十五条の規定により保安林として指定され、これについて第三十三条の規定による告示及び通知があつたものとみなす。
(適用除外)
第四十八条 国又は都道府県が保安施設地区において行う第四十五条第一項の行為については、第四十四条において準用する第三十四条の規定(その保安施設地区の指定に係る森林が保安林である場合には第三十四条の規定)は、適用しない。
第四章 土地の使用
(立入調査等)
第四十九条 森林所有者その他権原に基き森林の立木竹の使用又は収益をする者は、森林施業に関する測量又は実施調査のため必要があるときは、都道府県知事の許可を受けて、他人の土地に立ち入り、又は測量若しくは実地調査の支障となる立木竹を伐採することができる。
2 都道府県知事は、前項の許可の申請があつたときは、土地の占有者及び立木竹の所有者にその旨を通知し、意見書を提出する機会を与えなければならない。
3 第一項の許可を受けた者は、他人の土地に立ち入り、又は立木竹を伐採する場合には、あらかじめその土地の占有者又は立木竹の所有者に通知しなければならない。
4 第一項の規定により他人の土地に立ち入り、又は立木竹を伐採しようとする者は、同項の許可を受けたことを証する書面を携帯し、その土地の占有者又は立木竹の所有者の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。
5 第一項の規定により他人の土地に立ち入り、又は立木竹を伐採した者は、これによつて生じた損失を補償しなければならない。
6 森林所有者その他権原に基き森林の立木竹の使用又は収益をする者は、森林に重大な損害を与えるおそれのある害虫、獣類、菌類又はバイラスが森林に発生し、又は発生するおそれがある場合において、その駆除又は予防のため必要があるときは、都道府県知事の許可を受けて他人の土地に立ち入ることができる。この場合には、第二項から前項までの規定を準用する。
(使用権設定に関する認可)
第五十条 森林から木材、竹材若しくは薪炭を搬出し、又は林道、木材集積場その他森林施業に必要な設備をする者は、その搬出又は設備のため他人の土地を使用することが必要且つ適当であつて他の土地をもつて代えることが著しく困難であるときは、その土地を管轄する都道府県知事の認可を受けて、その土地の所有者(所有者以外に権原に基きその土地を使用する者がある場合には、その者及び所有者)に対し、これを使用する権利(以下「使用権」という。)の設定に関する協議を求めることができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による認可の申請があつたときは、その土地の所有者及びその土地に関し所有権以外の権利を有する者(以下「関係人」という。)の意見を聞かなければならない。
3 都道府県知事は、第一項の認可をしたときは、その旨をその土地の所有者及び関係人に通知するとともにその土地の所在する市町村の事務所に掲示しなければならない。
4 第一項の認可を受けた者は、同項の搬出又は設備に関する測量又は実地調査のため必要があるときは、他人の土地に立ち入り、又は測量若しくは実地調査の支障となる立木竹を伐採することができる。この場合には、前条第三項から第五項までの規定を準用する。
(裁定の申請)
第五十一条 前条第一項の規定による協議がととのわず、又は協議をすることができないときは、同項の認可を受けた者は、省令で定める手続に従い、その使用権の設定に関し都道府県知事の裁定を申請することができる。但し、同項の認可があつた日から六箇月を経過したときは、この限りでない。
(意見書の提出)
第五十二条 都道府県知事は、前条の申請があつたときは、省令で定める手続に従い、その旨を公示するとともにその申請に係る土地の所有者及び関係人に通知し、二十日を下らない期間を指定して意見書を提出する機会を与えなければならない。
2 都道府県知事は、前項の期間を経過した後でなければ、裁定をしてはならない。
(裁定)
第五十三条 使用権を設定すべき旨の裁定においては、左に掲げる事項を定めなければならない。
一 使用権を設定すべき土地の所在、地番、地目及び面積
二 設定すべき使用権の内容及び存続期間
三 使用の時期
四 補償金の額並びにその支払の時期及び方法
2 都道府県知事は、前項第一号及び第二号に掲げる事項については、申請の範囲内で、且つ、第五十条第一項の搬出又は設備のため必要な限度で裁定をしなければならない。
3 都道府県知事は、第一項の裁定をしたときは、遅滞なく、省令で定める手続に従い、その旨をその裁定の申請者及び前条第一項の通知を受けた者に通知するとともにこれを公示しなければならない。
(使用権の取得)
第五十四条 前条第一項の裁定があつたときは、その裁定において定められた使用の時期に、裁定を申請した者は、その土地の使用権を取得し、その土地に関するその他の権利は、その使用権の内容と抵触する限度においてその行使を制限される。
(収用の請求)
第五十五条 使用権が設定された場合において、その土地の使用が三年以上にわたるとき、又はその使用権の行使によつて土地の形質が変更されるときは、土地の所有者は、その土地につき使用権を有する者に対し、その土地の収用に関する協議を求めることができる。この場合において、土地の一部が収用されることによつて残地を従来用いていた目的に供することが著しく困難となるときは、その土地の所有者は、その全部の収用に関する協議を求めることができる。
2 前項の場合には、第五十一条本文及び第五十二条の規定を準用する。この場合において、第五十一条中「同項の認可を受けた者」とあるのは、「第五十五条第一項の協議を求めた者」と読み替えるものとする。
3 前項において準用する第五十一条の裁定においては、その収用の可否を定め、収用すべき旨の裁定においては更に左に掲げる事項を定めなければならない。
一 収用すべき土地の所在、地番、地目及び面積
二 収用の時期
三 補償金の額並びにその支払の時期及び方法
4 前項の裁定については、第五十三条第二項及び第三項の規定を準用する。
(収用の効果)
第五十六条 前条第三項の収用すべき旨の裁定があつたときは、その裁定において定められた収用の時期に、収用する者は、その土地の所有権を取得し、その他の権利は、消滅する。
(協議がととのつた場合)
第五十七条 第五十条第一項又は第五十五条第一項の規定による協議がととのつた場合において、その当事者が、省令で定めるところにより、それぞれその協議において定められた第五十三条第一項各号の事項又は第五十五条第三項各号の事項を都道府県知事に届け出たときは、その届け出たところに従い、使用権を設定すべき旨の裁定又は収用すべき旨の裁定があつたものとみなす。
(損失補償)
第五十八条 土地の使用又は収用によつてその土地の所有者及び関係人が受ける損失は、土地を使用し、又は収用する者が補償しなければならない。
2 土地の一部を使用し、又は収用することによつて、残地の価格が減じ、その他残地に関して損失が生ずるときは、その損失を補償しなければならない。
3 土地の一部を使用し、又は収用することによつて、残地に通路、みぞ、かきその他の工作物の新築、改築、増築若しくは修繕又は盛土若しくは切土をする必要が生ずるときは、これに要する費用を補償しなければならない。
4 前二項に規定する補償の外、土地を使用し、又は収用することによつてその土地の所有者又は関係人が通常受ける損失は、補償しなければならない。
5 土地の所有者又は関係人が、第五十条第三項の規定による都道府県知事の通知があつた後に土地の形質を変更し、工作物の新築、改築、増築若しくは大修繕をし、又は物件を附加増置したときは、これについての損失は、補償しなくてもよい。但し、あらかじめ都道府県知事の承認を受けてこれらの行為をしたときは、この限りでない。
(使用の廃止による損失の補償)
第五十九条 第五十条第三項の規定による都道府県知事の通知があつた後にその土地を同条第一項の目的のため使用することを廃止した者は、これによつてその土地の所有者又は関係人が損失を受けたときは、これを補償しなければならない。
2 土地の所有者又は関係人は、前項の規定による損失の補償について土地の使用を廃止した者と協議がととのわず、又は協議することができないときは、都道府県知事に裁定の申請をすることができる。この場合には、第五十二条並びに第五十三条第一項第四号及び第三項の規定を準用する。
3 前項において準用する第五十三条第三項の公示があつたときは、裁定の定めるところにより当事者間に協議がととのつたものとみなす。
(訴訟)
第六十条 この章の規定による都道府県知事の裁定において定められた損失の補償に関する事項について不服がある者は、裁定の通知を受けた日から六十日以内に、訴を提起することができる。この場合には、第五十条第一項の認可を受けた者、土地の所有者又は関係人を被告としなければならない。
(供託)
第六十一条 土地を使用し、又は収用する者は、左の各号の一に該当する場合には、補償金を供託することができる。
一 補償金を受ける者がその受領を拒んだとき。
二 土地を使用し、又は収用する者が過失がなく補償金を受ける者を確知することができないとき。
三 土地を使用し、又は収用する者が補償金払渡の差押又は仮差押を受けたとき。
(協議又は裁定の失効)
第六十二条 土地を使用し、又は収用する者が補償金の支払の時期までにその支払(供託を含む。)をしないときは、その協議又は裁定は、その時以後その効力を失う。但し、関係人が損害賠償の請求をすることを妨げない。
(原状回復の義務)
第六十三条 使用者は、土地の使用を終つたとき、又は前条の規定により協議若しくは裁定が失効したときは、土地を原状に回復し、又は原状に回復しないことによつて生ずる損失を補償して、これを返還しなければならない。
(土地収用法の準用)
第六十四条 土地収用法(明治三十三年法律第二十九号)第六十四条から第六十七条まで(危険負担の移転等)の規定は、この章の規定による使用又は収用に係る土地に準用する。この場合において、同法第六十六条第一項但書中「第五十条」とあるのは、「森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第五十五条第一項後段」と読み替えるものとする。
(水の使用権の使用)
第六十五条 この章の土地の使用及び収用に関する規定は、水の使用に関する権利の上に使用権を設定する場合に準用する。
(水流における工作物の使用等)
第六十六条 森林から水流によつて木材若しくは竹材を搬出し、又は搬出する設備をする者は、その搬出又は搬出設備のため水流における他人の工作物を使用し、移動し、改造し、又は除却することが必要且つ適当であつて他の方法をもつて代えることが著しく困難であるときは、その工作物の所在地を管轄する都道府県知事の認可を受けて、その工作物の所有者(所有者以外に権原に基きその工作物を使用する者があるときは、その者及び所有者)に対し、その工作物の使用、移動、改造又は除却に関する協議を求めることができる。この場合には、土地の使用及び収用に関するこの章の規定を準用する。
(流送木竹のための立入)
第六十七条 森林から水流によつて木材又は竹材を搬出する者は、水流に木材又は竹材を流すため必要があるときは、沿岸の土地に立ち入ることができる。この場合には、これによつて生じた損失を補償しなければならない。
第五章 森林審議会
(設置及び所掌事務)
第六十八条 農林省に中央森林審議会を、都道府県に都道府県森林審議会を置く。
2 中央森林審議会又は都道府県森林審議会は、森林に関する重要事項について、それぞれ農林大臣又は都道府県知事の諮問に応じて答申する。
3 中央森林審議会及び都道府県森林審議会は、森林に関する重要事項について、関係行政庁に建議することができる。
(組織)
第六十九条 中央森林審議会は、委員をもつて組織する。
2 委員は、左に掲げる者をもつて充てる。
一 学識経験を有する者 十七人
二 農林省その他の関係行政機関の職員 十人
3 委員は、内閣総理大臣の承認を得て農林大臣が任命する。
4 第二項第一号の委員の任期は、二年とし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。但し、再任を妨げない。
5 委員は、非常勤とする。
第七十条 都道府県森林審議会は、委員をもつて組織する。
2 委員は、左に掲げる者をもつて充てる。
一 学識経験を有する者 十人
二 都道府県その他の関係行政機関の職員 五人
3 委員は、都道府県知事が任命する。
4 第二項第一号の委員の任期は、二年とし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。但し、再任を妨げない。
5 委員は、非常勤とする。
(会長)
第七十一条 中央森林審議会及び都道府県森林審議会の会長は、それぞれ第六十九条第二項第一号の委員又は前条第二項第一号の委員が互選した者をもつて充てる。
2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
3 会長に事故があるときは、第一項の委員が互選した者がその職務を代行する。
(専門委員)
第七十二条 農林大臣は、専門の事項を調査させるため必要があると認めるときは、中央森林審議会に専門委員を置くことができる。
2 専門委員は、非常勤とする。
(政令への委任)
第七十三条 この法律に定めるものの外、中央森林審議会及び都道府県森林審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
第六章 森林組合及び森林組合連合会
第一節 総則
(組合の目的)
第七十四条 森林組合及び森林組合連合会は、森林所有者の協同組織により森林施業の合理化と森林生産力の増進とを図り、あわせて森林所有者の経済的社会的地位の向上を期することを目的とする。
2 森林組合及び森林組合連合会は、その行う事業によつてその組合員又は会員のために直接の奉仕をすることを旨とすべきであつて、営利を目的としてその事業を行つてはならない。
(組合の名称)
第七十五条 森林組合及び森林組合連合会(以下この節において「組合」と総称する。)は、その名称中に森林組合又は森林組合連合会という文字を用いなければならない。
2 組合でないものは、その名称中に森林組合又は森林組合連合会という文字を用いてはならない。
(組合の人格及び住所)
第七十六条 組合は、法人とする。
2 組合の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。
(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律との関係)
第七十七条 森林組合の組合員は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の適用については、同法第二十四条第一号の小規模の事業者とみなす。但し、法人(第七十九条第一項第二号の事業を行う組合を除く。)たる組合員であつて常時使用する従業員の数が百人(商業又はサービス業を主たる事業とするものについては二十人)をこえ、又はその経営する森林の面積が三千町歩をこえるものは、この限りでない。
(登記)
第七十八条 この法律の規定により登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
第二節 森林組合
第一款 事業
(事業の種類)
第七十九条 森林組合(以下「組合」という。)は、左の各号のいずれか一に掲げる事業を行うものとする。
一 組合員のための森林経営案の作成その他の森林の経営に関する指導、組合員の委託を受けて行う森林の施業若しくは経営又は組合員の所有する森林の経営を目的とする信託の引受及びこれらに附帯する事業
二 森林の経営(委託又は信託を受けて行うものを除く。)及びこれに附帯する事業
2 前項第一号に掲げる事業を行う組合(以下「施設組合」という。)は、同号に掲げる事業の外、左に掲げる事業の全部又は一部を行うことができる。
一 組合員の行う林業に必要な資金の貸付
二 組合員の行う林業に必要な物資の供給
三 組合員の生産する林産物の運搬、加工、保管又は販売
四 組合員の行う林業に必要な種苗の採取又は育成に関する施設
五 組合員の行う林業に必要な林道の設置その他共同利用に関する施設
六 防火線の設置、病虫害の防除その他組合員の森林の保護に関する施設
七 組合員の福利厚生に関する施設
八 林業に関する組合員の技術の向上及び組合事業に関する組合員の知識の向上を図るための教育並びに組合員に対する一般的情報の提供に関する施設
九 組合員の経済的地位の改善のためにする団体協約の締結
十 前各号の事業に附帯する事業
3 組合員に出資をさせる組合でなければ、組合員の信託を受けて森林の経営を行い、又は第一項第二号に掲げる事業を行うことができない。
4 組合は、組合員以外の者が林道を利用することを拒んではならない。
5 組合は、前項の場合において利用料の納付その他の条件を附することを妨げない。但し、施設組合は、第八十五条第一項の規定による分担金を負担させた者に対しては、組合員に附した条件をこえる条件を附してはならない。
6 第二項第一号に掲げる事業を行う組合は、定款で定める金融機関に対して組合員の負担する債務を保証し、又はその金融機関の委任を受けてその債権を取り立てることができる。
7 施設組合は、定款で定めるところにより、組合員以外の者に林道以外の施設を利用させることができる。但し、一事業年度において組合員以外の者が利用することができる事業の分量の額は、その事業年度において組合員が利用するその事業の分量の額をこえてはならない。
(倉荷証券の発行)
第八十条 前条第二項第三号に掲げる保管事業を行う施設組合は、主務大臣の許可を受けて、組合員の寄託物について倉荷証券を発行することができる。
2 前項の許可を受けた施設組合は、寄託者の請求により、寄託物の倉荷証券を交付しなければならない。
3 商法(明治三十二年法律第四十八号)第六百二十七条第二項(預証券に関する規定の準用)及び第六百二十八条(倉荷証券による寄託物質入の場合の一部出庫)の規定は、第一項の倉荷証券に準用する。
4 倉庫業法(昭和十年法律第四十一号)第八条から第十条まで(行政官庁の監督)及び第十二条(職権委任)の規定は、第一項の場合に準用する。
第八十一条 前条第一項の許可を受けた施設組合の作成する倉荷証券には、その施設組合の名称を冠する倉荷証券という文字を記載しなければならない。
2 施設組合でない者の作成する倉荷証券には、森林組合倉荷証券という文字を記載してはならない。
第八十二条 施設組合が倉荷証券を発行した寄託物の保管期間は、寄託の日から六箇月以内とする。
2 前項の寄託物の保管期間は、六箇月を限度として更新することができる。但し、更新の際の証券の所持人が組合員でないときは、組合員の利用に支障がない場合に限る。
第八十三条 商法第六百十六条から第六百十九条まで(寄託者、証券所持人の倉庫業者に対する権利等)及び第六百二十四条から第六百二十六条まで(供託又は競売の権利等)の規定は、施設組合が倉荷証券を発行した場合に準用する。
(団体協約の効力)
第八十四条 第七十九条第二項第九号の団体協約は、書面をもつてすることによつて、その効力を生ずる。
2 前項の団体協約は、直接に組合員に対してその効力を生ずる。
3 組合員の締結する契約であつてその内容が第一項の団体協約に定める規準に違反するものについては、その規準に違反する契約の部分は、その規準によつて契約したものとみなす。
(分担金)
第八十五条 施設組合は、林道を開設し、拡張し、又は復旧したときは、都道府県知事の認可を受け、その事業の実施によつて特に利益を受ける者(その組合の組合員を除く。)にその事業に要した費用の一部を負担させることができる。
2 施設組合は、前項の認可を受けようとするときは、申請書にその事業に関する事業計画書、経費明細書及び受益者別分担金額を記載した書面を添え、その林道の所在地を管轄する都道府県知事に提出しなければならない。
3 都道府県知事は、第一項の認可をしようとするときは、あらかじめ同項の受益者の意見を聞かなければならない。
第二款 組合員
(組合員たる資格)
第八十六条 施設組合の組合員たる資格を有する者は、左に掲げる者であつて定款で定めるものとする。
一 森林所有者
二 前号に掲げる者の外、組合の地区内において林業を行う者又はこれに従事する者でその組合の施設を利用することを相当とするもの
2 第七十九条第一項第二号に掲げる事業を行う組合(以下「生産組合」という。)の組合員たる資格を有する者は、左に掲げる者であつて定款で定めるものとする。
一 組合の地区内に住所を有する個人
二 組合の地区内にある森林又はその森林についての権利を組合に現物出資する個人
3 第一項第一号の規定の適用については、組合に森林を信託したことによつて森林所有者でなくなつた者は、その組合との関係においては、同号の森林所有者とみなす。
(生産組合の事業と組合員との関係)
第八十七条 生産組合の組合員の三分の二以上は、その組合の行う事業に常時従事する者でなければならない。
2 生産組合の行う事業に常時従事する者の三分の一以上は、その組合の組合員でなければならない。
(出資)
第八十八条 組合は、定款で定めるところにより、組合員に出資をさせることができる。
2 前項の規定により組合員に出資をさせる組合(以下「出資組合」という。)の組合員は、出資一口以上を有しなければならない。
3 出資一口の金額は、均一でなければならない。
4 出資組合の組合員の責任は、その出資額を限度とする。
5 生産組合の総出資口数の過半数は、その組合の行う事業に常時従事する組合員によつて保有されなければならない。
6 組合員は、出資の払込について、相殺をもつて出資組合に対抗することができない。
(持分の譲渡)
第八十九条 出資組合の組合員は、組合の承認を得なければ、その持分を譲り渡すことができない。
2 組合員でない者が持分を譲り受けようとするときは、加入の例によらなければならない。
3 持分の譲受人は、その持分について、譲渡人の権利義務を承継する。
4 組合員は、持分を共有することができない。
(議決権及び選挙権)
第九十条 組合員は、各々一個の議決権及び役員又は総代の選挙権を有する。但し、第八十六条第一項第二号の規定による組合員(以下「准組合員」という。)は、議決権及び選挙権を有しない。
2 各組合員は、前項但書の規定にかかわらず、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第二十四条第三号の適用については、平等の議決権を有するものとみなす。
3 組合員は、定款で定めるところにより、第百十三条の規定によりあらかじめ通知のあつた事項につき、書面又は代理人をもつて議決権又は選挙権を行うことができる。
4 前項の規定により議決権又は選挙権を行う者は、出席者とみなす。
5 代理人は、五人以上の組合員を代理することができない。
6 代理人は、代理権を証する書面を組合に提出しなければならない。
(経費)
第九十一条 施設組合は、定款で定めるところにより、組合員に経費を賦課することができる。
2 組合員は、前項の経費の支払について、相殺をもつて施設組合に対抗することができない。
(過怠金)
第九十二条 組合は、定款で定めるところにより、組合員に対し過怠金を課することができる。
(専用契約)
第九十三条 施設組合は、定款で定めるところにより、一年をこえない期間を限り、組合員がその組合の施設の一部をもつぱら利用すべき旨の契約を組合員と締結することができる。
2 前項の契約の締結は、組合員の任意とし、施設組合は、その締結を拒んだことを理由としてその組合員がその組合の施設を利用することを拒んではならない。
(加入の自由)
第九十四条 組合員たる資格を有する者が組合に加入しようとするときは、組合は、正当な理由がないのに、その加入を拒み、又はその加入につき現在の組合員が加入の際に附されたよりも困難な条件を附してはならない。
(加入)
第九十五条 組合員に出資をさせない組合(以下「非出資組合」という。)に加入しようとする者は、定款で定めるところにより加入につきその組合の承諾を得た時(組合が加入金を徴収することを定めた場合には、その支払を了した時)に組合員となる。
2 出資組合に加入しようとする者は、定款で定めるところにより加入につきその組合の承諾を得て、引受出資口数に応ずる金額の払込を了した時(その組合が加入金を徴収することを定めた場合には、その支払をも了した時)又は組合員の持分の全部若しくは一部を承継した時に組合員となる。
第九十六条 死亡した組合員の相続人であつて組合員たる資格を有するものが組合に対し定款で定める期間内に加入の申出をしたときは、前条の規定にかかわらず、相続開始の時に組合員となつたものとみなす。この場合には、相続人たる組合員は、被相続人の持分について、死亡した組合員の権利義務を承継する。
2 死亡した組合員の相続人が数人あるときは、相続人の同意をもつて選定された一人の相続人に限り、前項の規定を適用する。
(脱退の自由)
第九十七条 組合員は、六十日前までに予告し、事業年度の終において脱退することができる。
2 前項の予告期間は、定款で延長することができる。但し、その期間は、一年をこえてはならない。
(法定脱退)
第九十八条 組合員は、左に掲げる事由によつて脱退する。
一 組合員たる資格の喪失
二 死亡又は解散
三 除名
2 除名は、左に掲げる組合員につき、総会の議決によつてすることができる。この場合において、組合は、その総会の日の七日前までに、その組合員に対しその旨を通知し、その者又は代理人が総会において弁明する機会を与えなければならない。
一 長期間にわたつて組合の施設を利用しない組合員
二 出資の払込、経費の支払その他組合に対する義務を怠つた組合員
三 その他定款で定める事由に該当する組合員
3 除名は、除名した組合員にその旨を通知しなければ、これをもつてその組合員に対抗することができない。
(脱退者の持分の払戻)
第九十九条 出資組合の組合員は、脱退したときは、定款で定めるところにより、その持分の全部又は一部の払戻を請求することができる。
2 前項の持分は、脱退した事業年度の終におけるその出資組合の財産によつて定める。
(時効)
第百条 前条の規定による請求権は、脱退の時から二年間行わないときは、時効によつて消滅する。
(払戻の停止)
第百一条 出資組合は、脱退した組合員がその出資組合に対する債務を完済するまでは、その持分の払戻を停止することができる。
(出資口数の減少)
第百二条 出資組合の組合員は、定款で定めるところにより、総会の議決を経てその出資口数を減少することができる。
2 前項の場合には、第九十九条及び第百条の規定を準用する。
第三款 管理
(定款に記載すべき事項)
第百三条 組合の定款には、左に掲げる事項を記載しなければならない。但し、非出資組合であつて第七十九条第二項第一号から第六号までに掲げる事業及び組合員の委託を受けて行う森林の施業又は経営に関する事業(以下「委託事業」という。)のいずれをも行わないものの定款には第六号、第八号及び第九号に掲げる事項を、その他の非出資組合の定款には第六号に掲げる事項を、生産組合の定款には第七号に掲げる事項を記載しなくてもよい。
一 事業
二 名称
三 地区
四 事務所の所在地
五 組合員たる資格並びに組合員の加入及び脱退に関する規定
六 出資一口の金額及びその払込の方法並びに一組合員の有することのできる出資口数の最高限度
七 経費の分担に関する規定
八 剰余金の処分及び損失金の処理に関する規定
九 準備金の額及びその積立の方法
十 役員の定数、職務の分担及び選挙に関する規定
十一 事業年度
十二 公告の方法
2 組合の定款には、前項に掲げる事項の外、組合の存立時期を定めたときはその時期を、現物出資をする者を定めたときはその者の氏名、出資の目的たる財産及びその価額並びにこれに対して与える出資口数を記載しなければならない。
3 農林大臣は、模範定款例を定めることができる。
(規約で定めうる事項)
第百四条 左に掲げる事項は、定款で定めなければならない事項を除いて、規約で定めることができる。
一 総会又は総代会に関する規定
二 業務の執行及び会計に関する規定
三 役員に関する規定
四 組合員に関する規定
五 その他必要な事項
(役員の定数及び選挙)
第百五条 組合に役員として理事及び監事を置く。
2 理事の定数は、施設組合にあつては五人以上、生産組合にあつては三人以上とし、監事の定数は、施設組合にあつては二人以上、生産組合にあつては一人以上とする。
3 役員は、定款で定めるところにより、総会において選挙する。但し、設立当時の役員は、創立総会において選挙する。
4 役員の選挙は、無記名投票によつて行う。
5 投票は、組合員(准組合員を除く。以下この条において同じ。)一人につき一票とする。
6 定款によつて定めた投票方法による選挙の結果投票の多数を得た者を当選人とする。
7 組合の理事は、施設組合にあつてはその定数の少くとも五分の三、生産組合にあつてはその全員が、組合員たる個人又は組合員たる法人の業務を執行する役員でなければならない。但し、設立当時の理事は、施設組合にあつてはその定数の少くとも五分の三、生産組合にあつてはその全員が、組合員になろうとする個人又は組合員になろうとする法人の業務を執行する役員でなければならない。
(役員の任期)
第百六条 役員の任期は、三年以内において定款で定める期間とする。
2 設立当時の役員の任期は、前項の規定にかかわらず、創立総会(合併による設立の場合は設立委員)において定める期間とする。但し、その期間は、一年をこえてはならない。
3 理事又は監事の全員が欠けたときは、第百十七条の改選の場合を除き、退任した理事又は監事は、後任者のうち少くとも一人が就任するまでなおその職務を行う。
(役員の兼職禁止)
第百七条 監事は、理事(仮理事を含む。以下同じ。)又は組合の使用人と兼ねてはならない。
(競業関係にある者の役員への就任禁止)
第百八条 組合の行う事業と実質的に競争関係にある事業(その組合の組合員の営む林業及びその組合が直接又は間接にその構成員となつている連合会の行う事業を除く。)を営む者(その者が法人であるときは、これを代表する地位にある者)は、その組合の理事又は監事になることができない。
(理事の自己契約等の禁止)
第百九条 組合が理事と契約をするときは、監事が組合を代表する。組合と理事との訴訟についても、また同様とする。
(総会の招集)
第百十条 理事は、定款で定めるところにより、毎事業年度一回通常総会を招集しなければならない。
第百十一条 理事は、必要があると認めるときは、定款で定めるところにより、何時でも臨時総会を招集することができる。
2 組合員(准組合員を除く。)が総組合員(准組合員を除く。)の五分の一以上の同意を得て、会議の目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を理事に提出して総会の招集を請求したときは、理事は、その請求があつた日から二十日以内に臨時総会を招集しなければならない。
第百十二条 理事の職務を行う者がないとき、又は前条第二項の請求があつた場合において理事が正当な理由がないのに総会招集の手続をしないときは、監事は、総会を招集しなければならない。
(総会招集の手続)
第百十三条 総会招集の通知は、その総会の日の十日前までに、その会議の目的たる事項を示し、定款で定めた方法に従つてしなければならない。
(組合員に対する通知又は催告)
第百十四条 組合が組合員に対してする通知又は催告は、組合員名簿に記載したその者の住所(その者が別に通知又は催告を受ける場所を組合に通知したときはその場所)にあてればよい。
2 前項の通知又は催告は、通常到達すべきであつた時に到達したものとみなす。
(定款その他の書類の備付及び閲覧)
第百十五条 理事は、定款、規約及び総会の議事録を各事務所に、組合員名簿を主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 組合員名簿には、各組合員について左に掲げる事項を記載しなければならない。但し、非出資組合の組合員名簿には、第三号及び第四号に掲げる事項を記載しなくてもよい。
一 氏名又は名称及び住所
二 加入の年月日
三 出資口数及び出資各口の取得の年月日
四 払込済出資額及びその払込の年月日
五 准組合員である者については、その旨
3 組合員及び組合の債権者は、第一項の書類の閲覧を求めることができる。
(決算関係書類の提出、備付及び閲覧)
第百十六条 理事は、通常総会の日の一週間前までに、非出資組合であつて第七十九条第二項第一号から第六号までに掲げる事業及び委託事業のいずれをも行わないものにあつては事業報告書及び財産目録を、その他の組合にあつては事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書及び剰余金処分案又は損失処理案を監事に提出し、且つ、これらを主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 理事は、監事の意見書を添えて前項の書類を通常総会に提出し、その承認を求めなければならない。
3 組合員及び組合の債権者は、第一項の書類の閲覧を求めることができる。
(役員の改選の請求)
第百十七条 組合員(准組合員を除く。)は、総組合員(准組合員を除く。)の五分の一以上の連署をもつて、その代表者から役員の改選を請求することができる。
2 前項の規定による改選の請求は、理事の全員又は監事の全員について同時にしなければならない。但し、法令、法令に基いてする行政庁の処分又は定款若しくは規約の違反を理由として改選を請求する場合は、この限りでない。
3 第一項の規定による改選の請求は、改選の理由を記載した書面を理事に提出してしなければならない。
4 第一項の規定による改選の請求があつたときは、理事は、これを総会の議に附さなければならない。この場合には、第百十一条第二項及び第百十二条の規定を準用する。
5 第三項の規定による書面の提出があつたときは、理事は、総会の日の七日前までにその請求に係る役員にその書面又はその写を送付し、且つ、総会において弁明する機会を与えなければならない。
6 第一項の規定による請求につき第四項の総会において出席者の過半数の同意があつたときは、その請求に係る役員は、その時にその職を失う。
(役員に対する民法の準用)
第百十八条 理事については、民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条第一項(法人の損害賠償)、第五十二条第二項(理事の業務執行)及び第五十三条から第五十六条まで(理事の代表権等)の規定を、監事については、同法第五十九条(監事の職務)の規定を準用する。
(総会の議決事項)
第百十九条 左に掲げる事項は、総会の議決を経なければならない。
一 定款の変更
二 規約の設定、変更又は廃止
三 毎事業年度の事業計画の設定又は変更
四 経費の賦課及び徴収の方法
五 貸付金の利率の最高限度
六 毎事業年度内における借入金の最高限度
2 定款の変更は、行政庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。
3 前項の認可については、第百三十九条第二項、第百四十条及び第百四十一条の規定を準用する。
(総会の議事)
第百二十条 総会の議事は、この法律又は定款若しくは規約に特別の定がある場合を除いて、出席者の議決権の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
2 議長は、総会において選任する。
3 議長は、組合員として総会の議決に加わることができない。
4 総会の決議について特別の利害関係を有する者は、総会の議決に加わることができない。
5 前二項の規定によつて議決に加わることができない者の議決権の数は、第一項の出席者の議決権の数に算入しない。
(特別議決事項)
第百二十一条 左に掲げる事項は、総組合員(准組合員を除く。)の半数以上が出席し、その議決権の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
一 定款の変更
二 解散又は合併
三 組合員の除名
(総会に対する民法及び商法の準用)
第百二十二条 総会については、民法第六十四条(総会の決議事項)並びに商法第二百四十四条(総会の議事録)及び第二百四十七条から第二百五十三条まで(決議取消の訴等)の規定を準用する。この場合において、民法第六十四条中「第六十二条」とあるのは「森林法第百十三条」と、商法第二百四十七条第一項中「第三百四十三条」とあるのは「森林法第百二十一条」と読み替えるものとする。
(総代会)
第百二十三条 組合員(准組合員を除く。以下この条において同じ。)の総数が百人をこえる施設組合は、定款で定めるところにより、総会に代るべき総代会を設けることができる。
2 総代は、組合員でなければならない。
3 総代の定数は、組合員の総数の四分の一以上でなければならない。但し、組合員の総数が二百人をこえる施設組合にあつては、五十人以上であればよい。
4 総代には、第百五条第三項から第六項までの規定を準用する。
5 総代会には、総会に関する規定を準用する。但し、総代会においては、役員若しくは総代を選挙し、第百四十六条第一項の設定委員を選任し、又は第百二十一条の事項について議決することができない。
6 施設組合は、第一項の規定により総代会を設けた場合においても、第百十条の規定に基く通常総会を招集しなければならない。
(出資一口の金額の減少)
第百二十四条 出資組合は、出資一口の金額の減少を議決したときは、その議決の日から二週間以内に財産目録及び貸借対照表を作成しなければならない。
2 出資組合は、前項の期間内に、債権者に対して、異議があれば一定の期間内にこれを述べるべき旨を公告し、且つ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。
3 前項の一定の期間は、一箇月を下つてはならない。
第百二十五条 債権者が前条第二項の一定の期間内に異議を述べなかつたときは、出資一口の金額の減少を承認したものとみなす。
2 債権者が異議を述べたときは、出資組合は、弁済し、若しくは相当の担保を供し、又は債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社若しくは信託業務を営む銀行に相当の財産を信託しなければならない。
3 出資組合の出資一口の金額の減少については、商法第三百八十条(株式会社の資本の減少の無効の訴)の規定を準用する。
(準備金及び繰越金)
第百二十六条 組合(非出資組合であつて第七十九条第二項第一号から第六号までに掲げる事業及び委託事業のいずれをも行わないものを除く。)は、定款で定める額に達するまでは、毎事業年度の剰余金の十分の一以上を準備金として積み立てなければならない。
2 前項の定款で定める準備金の額は、出資組合にあつては、出資総額の二分の一を下つてはならない。
3 第一項の準備金は、損失のてん補に充てる場合を除いては、取りくずしてはならない。
4 組合は、第七十九条第一項第一号に掲げる指導事業及び同条第二項第八号に掲げる事業の費用に充てるため、毎事業年度の剰余金の二十分の一以上を翌事業年度に繰り越さなければならない。
(剰余金の配当)
第百二十七条 組合は、損失をてん補し、前条第一項の準備金及び同条第四項の繰越金を控除した後でなければ、剰余金の配当をしてはならない。
2 施設組合の剰余金の配当は、定款で定めるところにより、組合員の組合事業の利用分量又は払込済出資額に応じてしなければならない。この場合において、払込済出資額に応じてする配当の率は、年五分をこえてはならない。
3 生産組合の剰余金の配当は、定款で定めるところにより、年一割をこえない範囲内において払い込んだ出資額の割合に応じてし、なお剰余があるときは、組合員が組合の事業に従事した程度に応じてしなければならない。
第百二十八条 出資組合は、定款で定めるところにより、組合員が出資の払込を終るまでは、組合員に配当する剰余金をその払込に充てることができる。
(財務基準)
第百二十九条 前三条に定めるものの外、出資組合が、その組合員との間の財務関係を明らかにし、組合員の利益を保全することができるように、その財務を適正に処理するために従わなければならない自己資本の額、余裕金の運用及び資金の貸付に関する基準は、政令で定める。
(組合の持分取得の禁止)
第百三十条 出資組合は、組合員の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けることができない。
(信託法の特例)
第百三十一条 組合員の信託を受けて森林の経営を行う施設組合(以下「信託組合」という。)に森林を信託した組合員は、受益者となり信託の利益の全部を享受する。
2 信託組合は、他の者と共同して組合員から信託の引受をすることはできない。
3 信託組合は、受託者たる組合員に資金を貸し付ける場合において必要があるときは、信託法(大正十一年法律第六十二号)第二十二条(受託者の権利取得の制限)の規定にかかわらず、その組合員の信託財産につき抵当権を取得することができる。
第百三十二条 信託組合については、信託法第二十二条第一項但書(受託者の権利取得の特例)、第二十三条(管理方法の変更)、第四十六条(受託者の辞任)、第四十七条(受託者の解任)及び第五十八条(信託の解除)に規定する裁判所の権限は、行政庁に属する。
第百三十三条 信託組合への信託は、信託法第五十六条(信託の終了)に規定する事由の外、左に掲げる事由によつて終了する。
一 信託法第四十四条(受託者の資格喪失)又は第四十六条の規定による受託者としての任務の終了
二 信託法第四十七条の規定による解任
三 組合の解散(合併による解散を除く。)
第百三十四条 信託組合への信託には、信託法第七条(受益者の受益享受)、第二十六条(受託者の管理委任)、第四十一条から第四十三条まで(裁判所の監督、受託者の任務終了及び受託者の辞任の制限)、第四十五条(受託者の管理継続)、第四十八条(裁判所の管理人選任等の処分)、第四十九条(新受託者の選任)及び第六十六条から第七十三条まで(公益信託)の規定は、適用しない。
第四款 設立
(発起人)
第百三十五条 組合を設立するには、施設組合にあつては十人以上、生産組合にあつては五人以上の森林所有者たる個人が発起人となることを必要とする。
(設立準備会)
第百三十六条 発起人は、あらかじめ組合の事業及び地区並びに組合員たる資格に関する目論見書を作成し、これを設立準備会の日時及び場所とともに公告して、設立準備会を開かなければならない。
2 前項の公告は、会議開催日の少くとも二週間前までにしなければならない。
第百三十七条 設立準備会においては、地区、組合員たる資格その他定款作成の基本となるべき事項を定め、且つ、出席した者のうち組合員(准組合員を除く。)たる資格を有するもの(その者が法人である場合には、その業務を執行する役員)の中から定款の作成に当るべき者(以下「定款作成委員」という。)を選任しなければならない。
2 定款作成委員は、施設組合にあつては十人以上、生産組合にあつては五人以上でなければならない。
3 設立準備会の議事は、出席した者のうち施設組合にあつては第八十六条第一項第一号に掲げる者の、生産組合にあつては同条第二項各号に掲げる者の過半数の同意をもつて決する。
(創立総会)
第百三十八条 定款作成委員が定款を作成したときは、発起人は、これを創立総会の日時及び場所とともに公告して、創立総会を開かなければならない。
2 前項の公告は、会議開催日の少くとも二週間前までにしなければならない。
3 定款作成委員が作成した定款の承認、事業計画の設定その他設立に必要な事項の決定は、創立総会の議決によらなければならない。
4 創立総会においては、前項の定款を修正することができる。但し、地区及び組合員たる資格に関する規定については、この限りでない。
5 創立総会の議事は、組合員(准組合員を除く。)たる資格を有する者であつてその会日までに発起人に対し設立の同意を申し出たものの半数以上が出席し、その議決権の三分の二以上で決する。
6 創立総会については、第九十条、第百二十条第四項及び第五項並びに商法第二百四十四条(総会の議事録)及び第二百四十七条から第二百五十三条まで(決議取消の訴等)の規定を準用する。この場合において、商法第二百四十七条第一項中「第三百四十三条」とあるのは、「森林法第百二十一条」と読み替えるものとする。
(設立の認可の申請)
第百三十九条 発起人は、創立総会の終了の後遅滞なく、定款及び事業計画を行政庁に提出して設立の認可を申請しなければならない。
2 発起人は、行政庁の要求があるときは、組合の設立に関する報告書を提出しなければならない。
(設立の認可)
第百四十条 行政庁は、前条第一項の認可の申請があつたときは、設立の手続又は定款若しくは事業計画の内容が法令又は法令に基いてする行政庁の処分に違反する場合を除いては、設立の認可をしなければならない。
第百四十一条 第百三十九条第一項の認可の申請があつたときは、行政庁は、申請書を受理した日から二箇月以内に、発起人に対し、認可又は不認可の通知を発しなければならない。
2 行政庁が前項の期間内に同項の通知を発しなかつたときは、その期間満了の日に設立の認可があつたものとみなす。この場合には、発起人は、行政庁に対し、認可に関する証明をすべきことを請求することができる。
3 行政庁が第百三十九条第二項の規定により報告書提出の要求を発したときは、その日からその報告書が行政庁に到達するまでの期間は、これを第一項の期間に算入しない。
4 行政庁は、不認可の通知をするときは、その理由を通知書に記載しなければならない。
5 発起人が不認可の取消を求める訴を提起した場合において、裁判所がその取消の判決をしたときは、その判決の確定の日に設立の認可があつたものとみなす。この場合には、第二項後段の規定を準用する。
(理事への事務引渡)
第百四十二条 設立の認可があつたときは、発起人は、遅滞なくその事務を理事に引き渡さなければならない。
2 出資組合の理事は、前項の規定による引渡を受けたときは、遅滞なく出資の第一回の払込をさせなければならない。
3 現物出資者は、第一回の払込の期日に、出資の目的たる財産の全部を給付しなければならない。但し、登記、登録その他権利の設定又は移転をもつて第三者に対抗するため必要な行為は、組合の成立の後にこれをすることを妨げない。
(成立の時期)
第百四十三条 組合は、主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによつて成立する。
第五款 解散及び清算
(解散の事由)
第百四十四条 組合は、左に掲げる事由によつて解散する。
一 総会の決議
二 組合の合併
三 組合の破産
四 定款で定める存立時期の満了
五 第百八十二条第一項の規定による解散の命令
2 解散の決議は、行政庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。
3 前項の認可の申請があつた場合には、第百三十九条第二項、第百四十条及び第百四十一条の規定を準用する。
4 第一項に掲げる事由による外、施設組合は、組合員(准組合員を除く。)が十人未満になつたことにより、生産組合は、組合員が五人未満になつたことにより解散する。
5 組合は、前項の規定により解散したときは、遅滞なくその旨を行政庁に届け出なければならない。
(合併の手続)
第百四十五条 組合が合併しようとするときは、各組合の総会において合併を議決しなければならない。
2 合併をするには、行政庁の認可を受けなければならない。
3 前項の認可の申請があつた場合には、第百三十九条第二項、第百四十条及び第百四十一条の規定を準用する。
4 出資組合の合併には、第百二十四条及び第百二十五条の規定を準用する。
第百四十六条 合併によつて組合を設立するには、各組合の総会において組合員(准組合員を除く。)たる個人又は組合員(准組合員を除く。)たる法人の業務を執行する役員の中から選任した設立委員が共同して、定款を作成し、役員を選任し、その他設立に必要な行為をしなければならない。
2 前項の規定による設立委員の選任には、第百二十一条の規定を準用する。
3 第一項の規定による役員のうち理事の選任には、第百五条第七項本文の規定を準用する。
(合併の時期)
第百四十七条 組合の合併は、合併後存続する組合又は合併によつて成立する組合が、その主たる事務所の所在地において、第百六十五条の規定による登記をすることによつてその効力を生ずる。
(合併による権利義務の承継)
第百四十八条 合併後存続する組合又は合併によつて成立した組合は、合併によつて消滅した組合の権利義務(その組合がその行う事業に関し、行政庁の許可、認可その他の処分に基いて有する権利義務及びその組合が信託組合である場合には、その組合の信託に関する権利義務を含む。)を承継する。
(清算人)
第百四十九条 組合が解散したときは、合併及び破産による解散の場合を除いては、理事が、その清算人となる。但し、総会において他人を選任したときは、この限りでない。
(清算事務)
第百五十条 清算人は、就職の後遅滞なく、組合の財産の状況を調査し、非出資組合にあつては財産目録、出資組合にあつては財産目録及び貸借対照表を作成し、財産処分の方法を定め、これを総会に提出してその承認を求めなければならない。
第百五十一条 清算人は、組合の債務を弁済した後でなければ、組合の財産を処分することができない。
第百五十二条 清算事務が終つたときは、清算人は、遅滞なく、決算報告書を作成し、これを総会に提出してその承認を求めなければならない。
(民法及び非訟事件手続法の準用)
第百五十三条 組合の解散及び清算には、民法第七十三条(清算法人)、第七十五条(裁判所による清算人の選任)、第七十六条(清算人の解任)及び第七十八条から第八十三条まで(清算人の職務権限等)並びに非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第三十五条第二項(法人の解散及び清算の監督の管轄)、第三十六条(検査人の選任)、第三十七条ノ二(準用規定)、第百三十五条ノ二十五第二項及び第三項(意見の聴取等)、第百三十六条(管轄裁判所)、第百三十七条(清算人の選任又は解任の裁判)及び第百三十八条(清算人不適格者)の規定を準用する。この場合において、民法第七十五条中「前条」とあるのは、「森林法第百四十九条」と読み替えるものとする。
第三節 森林組合連合会
(事業の種類)
第百五十四条 森林組合連合会(以下「連合会」という。)は、左に掲げる事業の全部又は一部を行うことができる。
一 連合会を直接又は間接に構成する者(以下この節において「所属員」という。)のためにする森林の経営に関する指導
二 会員の行う事業に必要な資金の貸付
三 会員の行う事業に必要な物資の供給
四 所属員の生産する林産物の運搬、加工、保管又は販売
五 所属員の行う林業に必要な種苗の採取又は育成に関する施設
六 所属員の行う林業に必要な林道の設置その他共同利用に関する施設
七 防火線の設置、病虫害の防除その他所属員の森林の保護に関する施設
八 所属員の福利厚生に関する施設
九 林業に関する所属員の技術の向上及び組合事業に関する所属員の知識の向上を図るための教育並びに所属員に対する一般的情報の提供に関する施設
十 所属員の経済的地位の改善のためにする団体協約の締結
十一 前各号に掲げる事業の外、会員の指導及び連絡に関する施設
十二 前各号に掲げる事業に附帯する事業
2 連合会は、所属員以外の者が林道を利用することを拒んではならない。
3 連合会は、前項の場合において利用料の納付その他の条件を附することを妨げない。但し、第百五十九条第一項において準用する第八十五条第一項の規定による分担金を負担させた者に対しては、所属員に附した条件をこえる条件を附してはならない。
4 第一項第二号に掲げる事業を行う連合会は、会員のために、手形の割引をし、定款で定める金融機関に対して会員の負担する債務を保証し、又はその金融機関の委任を受けてその債権を取り立てることができる。
5 連合会は、定款で定めるところにより、所属員以外の者に林道以外の施設を利用させることができる。但し、一事業年度において所属員以外の者が利用することができる事業の分量の額は、その事業年度において所属員が利用するその事業の分量の額をこえてはならない。
(会員たる資格)
第百五十五条 連合会の会員たる資格を有する者は、左に掲げる者であつて定款で定めるものとする。
一 連合会の地区の全部又は一部を地区とする組合又は連合会
二 連合会の地区の全部又は一部を地区として、他の法律に基いて設立された協同組合(その連合会を含む。)であつて、前号に掲げる者の事業と同種の事業を行うもの
(役員)
第百五十六条 連合会の理事の定数の少くとも五分の三は、所属員たる森林所有者(その者が法人である場合は、その業務を執行する役員。以下この条において同じ。)又は会員たる生産組合の理事でなければならない。但し、設立当時の理事の定数の少くとも五分の三は、設立の同意を申し出た施設組合若しくは連合会の組合員若しくは所属員たる森林所有者又は設立の同意を申し出た生産組合の理事でなければならない。
(総会の議決事項)
第百五十七条 左に掲げる事項は、総会の議決を経なければならない。
一 第百十九条第一項各号に掲げる事項
二 一会員のためにする手形の割引金額の最高限度
(発起人)
第百五十八条 連合会を設立するには、二以上の組合又は連合会が発起人となることを必要とする。
(準用規定)
第百五十九条 連合会の事業に関する事項については、第百五十四条に規定するものの外、第八十条から第八十五条までの規定を準用する。この場合において、第八十条第一項中「前条第二項第三号」とあるのは「第百五十四条第一項第四号」と、第八十四条第一項中「第七十九条第二項第九号」とあるのは「第百五十四条第一項第十号」と読み替えるものとする。
2 連合会の会員に関する事項については、第百五十五条に規定するものの外、第八十八条から第百二条までの規定を準用する。この場合において、第九十条第一項但書中「第八十六条第一項第二号の規定による組合員(以下「准組合員」という。)」とあるのは「第百五十五条第二号の規定による会員(以下第百五十九条において準用する各規定において「准会員」という。)」と読み替えるものとする。
3 連合会の管理に関する事項については、第百五十六条及び第百五十七条に規定するものの外、第百三条、第百四条、第百五条第一項から第六項まで(同条第二項中生産組合に関する部分を除く。)、第百六条から第百十八条まで、第百十九条第二項及び第三項並びに第百二十条から第百三十条までの規定を準用する。この場合において、第百三条第一項中「第七十九条第二項第一号から第六号までに掲げる事業及び組合員の委託を受けて行う森林の施業又は経営に関する事業(以下「委託事業」という。)」とあるのは「第百五十四条第一項第二号から第七号までに掲げる事業」と、第百八条中「(その組合の組合員の営む林業及びその組合が直接又は間接にその構成員となつている連合会の行う事業を除く。)」とあるのは「(その連合会の所属員の営む林業及びその連合会の所属員たる組合若しくは連合会又はその連合会が所属する連合会の行う事業を除く。)」と、第百十六条第一項及び第百二十六条第一項中「第七十九条第二項第一号から第六号までに掲げる事業及び委託事業」とあるのは「第百五十四条第一項第二号から第七号までに掲げる事業」と、第百二十六条第四項中「第七十九条第一項第一号に掲げる指導事業及び同条第二項第八号に掲げる事業」とあるのは「第百五十四条第一項第一号に掲げる指導事業及び同項第九号に掲げる事業」と読み替えるものとする。
4 連合会の設立に関する事項については、前条に規定するものの外、第百三十六条から第百四十三条までの規定を準用する。この場合において、第百三十七条第一項中「組合員(准組合員を除く。)たる資格を有するもの(その者が法人である場合には、その業務を執行する役員)」とあるのは「会員(准会員を除く。)たる資格を有する組合又は連合会の理事」と、同条第二項中「施設組合にあつては十人以上、生産組合にあつては五人以上」とあるのは「二人以上」と、同条第三項中「出席した者のうち施設組合にあつては第八十六条第一項第一号に掲げる者の、生産組合にあつては同条第二項各号に掲げる者の過半数」とあるのは「出席した組合又は連合会の過半数」と、第百三十八条第六項において準用する第九十条第一項但書中「第八十六条第一項第二号の規定による組合員(以下「准組合員」という。)」とあるのは「准会員」と読み替えるものとする。
5 連合会の解散及び清算に関する事項については、第百四十四条から第百五十三条までの規定を準用する。この場合において、第百四十四条第四項中「施設組合は、組合員(准組合員を除く。)が十人未満になつたことにより、生産組合は、組合員が五人未満になつたことにより」とあるのは「連合会は、会員(准会員を除く。)が二人未満になつたことにより」と、第百四十六条第一項中「組合員(准組合員を除く。)たる個人又は組合員(准組合員を除く。)たる法人の業務を執行する役員」とあるのは「会員(准会員を除く。)の理事」と読み替えるものとする。
第四節 登記
(設立の登記)
第百六十条 組合又は連合会は、非出資組合又は会員に出資をさせない連合会にあつては設立の認可があつた日から、出資組合又は会員に出資をさせる連合会(以下「出資連合会」という。)にあつては出資の第一回の払込があつた日から、それぞれ二週間以内に、主たる事務所の所在地において設立の登記をしなければならない。
2 設立の登記には、左の事項を掲げなければならない。
一 事業
二 名称
三 地区
四 事務所
五 出資組合又は出資連合会にあつては、出資一口の金額、その払込の方法並びに出資の総口数及び払い込んだ出資の総額
六 存立の時期を定めたときは、その時期
七 役員の氏名及び住所
八 公告の方法
3 組合又は連合会は、設立の登記をした後二週間以内に、従たる事務所の所在地において、前項の事項を登記しなければならない。
(従たる事務所の新設の登記)
第百六十一条 組合又は連合会が新たに従たる事務所を設けたときは、主たる事務所の所在地においては二週間以内に従たる事務所を設けたことを登記し、その従たる事務所の所在地においては三週間以内に前条第二項の事項を登記し、他の従たる事務所においては同期間内にその従たる事務所を設けたことを登記しなければならない。
2 主たる事務所又は従たる事務所の所在地を管轄する登記所の管轄区域内において、新たに従たる事務所を設けたときは、その従たる事務所を設けたことを登記すればよい。
(事務所の移転の登記)
第百六十二条 組合又は連合会が主たる事務所を移転したときは、旧所在地においては二週間以内に移転の登記をし、新所在地においては三週間以内に第百六十条第二項の事項を登記し、従たる事務所を移転したときは、旧所在地においては三週間以内に移転の登記をし、新所在地においては四週間以内に同項の事項を登記しなければならない。
2 同一の登記所の管轄区域内において主たる事務所又は従たる事務所を移転したときは、その移転の登記をすればよい。
(変更の登記)
第百六十三条 第百六十条第二項の事項中に変更を生じたときは、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に変更の登記をしなければならない。
2 第百六十条第二項第五号の事項中出資の総口数及び払い込んだ出資の総額の変更の登記は、前項の規定にかかわらず、毎事業年度末日現在により、事業年度終了後、主たる事務所の所在地においては四週間以内に、従たる事務所の所在地においては五週間以内にすればよい。
(解散の登記)
第百六十四条 組合又は連合会が解散したときは、合併及び破産の場合を除いては、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に解散の登記をしなければならない。
(合併の登記)
第百六十五条 組合又は連合会が合併したときは、合併の認可のあつた日から主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に、合併後存続する組合又は連合会については変更の登記、合併によつて消滅する組合又は連合会については解散の登記、合併によつて成立する組合又は連合会については第百六十条第二項の登記をしなければならない。
(清算人の登記)
第百六十六条 清算人は、その就任の日から主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に清算人の氏名及び住所を登記しなければならない。
2 前項の規定により登記した事項の変更の登記については、第百六十三条第一項の規定を準用する。
(清算結了の登記)
第百六十七条 組合又は連合会の清算が結了したときは、清算結了の日から主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に清算結了の登記をしなければならない。
(管轄登記所及び登記簿)
第百六十八条 組合又は連合会の登記については、その事務所の所在地を管轄する法務局若しくは地方法務局又はその支局若しくは出張所が管轄登記所としてこれをつかさどる。
2 登記所に、森林組合登記簿及び森林組合連合会登記簿を備える。
(設立の登記の申請)
第百六十九条 組合又は連合会の設立の登記は、役員の全員の申請によつてする。
2 前項の登記の申請書には、定款及び役員たることを証する書面並びに出資組合及び出資連合会にあつては出資総口数及び出資の第一回の払込のあつたことを証する書面を添附しなければならない。
3 合併による組合又は連合会の設立の登記の申請書には、前項の書面の外、第百四十五条第四項(第百五十九条第五項において準用する場合を含む。)において準用する第百二十四条第二項の規定による公告及び催告をしたこと並びに異議を述べた債権者があるときはこれに対し弁済し、若しくは担保を供し、又は財産を信託したことを証する書面を添附しなければならない。
第百七十条 第百六十条第三項の規定による登記は、理事の申請によつてする。
(事務所の新設、移転及び変更の登記の申請)
第百七十一条 組合又は連合会の事務所の新設又は事務所の移転その他第百六十条第二項の事項の変更の登記は、理事又は清算人の申請によつてする。
2 前項の登記の申請書には、事務所の新設又は登記事項の変更を証する書面を添附しなければならない。
3 出資一口の金額の減少又は出資組合若しくは出資連合会の合併による変更の登記の申請書には、前項の書面の外、第百二十四条第二項(第百四十五条第四項及び第百五十九条第三項において準用する場合並びに第百五十九条第五項において第百四十五条第四項を準用する場合を含む。)の規定による公告及び催告をしたこと並びに異議を述べた債権者があるときはこれに対し弁済し、若しくは担保を供し、又は財産を信託したことを証する書面を添附しなければならない。
(解散の登記の申請)
第百七十二条 第百六十四条の規定による組合又は連合会の解散の登記は、第三項に規定する場合を除いて、清算人の申請によつてする。
2 前項の登記の申請書には、解散の事由を証する書面を添附しなければならない。
3 組合又は連合会の解散を命ずる裁判が確定した場合には、非訟事件手続法第百三十五条及び第百九十三条第三項(裁判による会社の解散の登記)の規定を準用する。
第百七十三条 第百六十五条の規定による解散の登記は、合併によつて消滅する組合又は連合会の理事の申請によつてする。
2 前項の場合には、第百六十九条第三項及び前条第二項の規定を準用する。
(清算人の登記の申請)
第百七十四条 第百六十六条第一項の規定による登記の申請書には、理事が清算人でないときは、申請人の資格を証する書面を添附しなければならない。
2 第百六十六条第二項の規定による登記は、清算人の申請によつてし、その申請書には、登記事項の変更を証する書面を添附しなければならない。
(清算結了の登記の申請)
第百七十五条 組合又は連合会の清算結了の登記は、清算人の申請によつてする。
2 前項の登記の申請書には、清算人が第百五十二条(第百五十九条第五項において準用する場合を含む。)の規定により決算報告書の承認を得たことを証する書面を添附しなければならない。
(登記の期間の計算)
第百七十六条 登記すべき事項であつて行政庁の認可を要するものは、その認可書の到達した時から登記の期間を計算する。但し、第百四十一条第二項及び第五項(第百五十九条第四項において準用する場合を含む。)の場合には、認可に関する証明書の到達した時から登記の期間を計算する。
(登記事項の公告)
第百七十七条 登記した事項は、登記所において、遅滞なくこれを公告しなければならない。
(非訟事件手続法の準用)
第百七十八条 組合又は連合会の登記には、非訟事件手続法第百四十二条から第百五十一条ノ六まで及び第百五十四条から第百五十七条まで(商業登記の通則)の規定を準用する。
第五節 監督
(業務又は財産状況の報告の徴取)
第百七十九条 行政庁は、組合若しくは連合会から、その組合若しくは連合会が法令、法令に基いてする行政庁の処分、定款若しくは規約を守つているかどうかを知るために必要な報告を徴し、又は組合若しくは連合会に対し、その組合員若しくは会員、役員、使用人、事業の分量その他組合の一般的状況に関する資料であつて組合若しくは連合会に関する行政を適正に処理するために特に必要なものの提出を命ずることができる。
(業務又は会計状況の検査)
第百八十条 組合員又は会員が総組合員又は総会員の十分の一以上の同意を得て、組合又は連合会の業務又は会計が法令、法令に基いてする行政庁の処分又は定款若しくは規約に違反する疑があることを理由として検査を請求したときは、行政庁は、その組合又は連合会の業務又は会計の状況を検査しなければならない。
2 行政庁は、組合又は連合会の業務又は会計が法令、法令に基いてする行政庁の処分又は定款若しくは規約に違反する疑があると認めるときは、何時でも、その組合又は連合会の業務又は会計の状況を検査することができる。
(法令等の違反に対する措置)
第百八十一条 行政庁は、第百七十九条の規定による報告を徴した場合又は前条の規定による検査を行つた場合において、その組合又は連合会の業務又は会計が法令、法令に基いてする行政庁の処分又は定款若しくは規約に違反すると認めるときは、その組合又は連合会に対し、必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。
(裁判所による解散命令)
第百八十二条 組合若しくは連合会がこの法律の規定若しくは他の法律の特別の規定に基いて行うことができる事業以外の事業を行つたとき若しくは前条の規定による命令に従わなかつたとき、又は生産組合につき第八十七条若しくは第八十八条第五項の規定の違反があつたときは、裁判所は、行政庁の申立により、その組合又は連合会の解散を命ずることができる。
2 前項の規定による事件は、その組合又は連合会の主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄とする。
3 第一項の場合における手続については、最高裁判所の定めるところによる。
(議決、選挙及び当選の取消)
第百八十三条 組合員(准組合員を除く。)又は会員(准会員を除く。)が総組合員(准組合員を除く。)又は総会員(准会員を除く。)の十分の一以上の同意を得て、総会の招集手続、議決の方法又は選挙が法令、法令に基いてする行政庁の処分又は定款若しくは規約に違反することを理由とし、その議決又は選挙若しくは当選決定の日から一箇月以内にその議決又は選挙若しくは当選の取消を請求した場合において、行政庁は、その違反の事実があると認めるときは、その議決又は選挙若しくは当選を取り消すことができる。
2 前項の規定は、創立総会の場合に準用する。
(専用契約の取消)
第百八十四条 行政庁は、第九十三条第一項(第百五十九条第二項において準用する場合を含む。)の規定による契約の内容が公益に反すると認めるときは、その契約を取り消すことができる。
(所管行政庁)
第百八十五条 この章中「行政庁」とあるのは、第百四十八条(第百五十九条第五項において準用する場合を含む。)の場合を除いては、都道府県の区域又はその区域をこえる区域を地域とする組合又は連合会については農林大臣、その他の組合又は連合会については都道府県知事とする。
2 この章に規定する農林大臣の権限は、政令で定めるところにより、その一部を都道府県知事に委任することができる。
第七章 雑則
(共有林の分割請求の制限)
第百八十六条 森林の共有者は、民法第二百五十六条第一項(共有物の分割請求)の規定にかかわらず、その共有に係る森林の分割を請求することができない。但し、各共有者の持分の価額に従いその過半数をもつて分割の請求をすることを妨げない。
(林業技術普及員及び林業経営指導員)
第百八十七条 都道府県に林業技術普及員及び林業経営指導員を置き、その都道府県の吏員をもつて充てる。
2 都道府県知事は森林区ごとに、これを担当する林業経営指導員を定めなければならない。
3 林業技術普及員は、林業技術に関する試験研究の成果の普及に関する事務に、林業経営指導員は、森林区実施計画の作成及びその実施の監督に関する事務に従事する。
(立入調査等)
第百八十八条 農林大臣又は都道府県知事は、この法律の施行のため必要があるときは、森林所有者又は権原に基き森林の立木竹の使用若しくは収益をする者からその施業の状況に関する報告を徴することができる。
2 農林大臣又は都道府県知事は、この法律の施行のため必要があるときは、当該職員に、他人の森林に立ち入つて、測量若しくは実地調査をさせ、標識を建設させ、又は測量、実地調査若しくは標識建設の支障となる立木竹を伐採させることができる。
3 前項の規定により他人の森林に立ち入つて測量、実地調査、標識建設又は立木竹の伐採をする当該職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係者の要求があるときはこれを呈示しなければならない。
4 第二項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
5 国又は都道府県は、第二項の規定による当該職員の処分によつて損失を受けた者に対し、通常生ずべき損失を補償しなければならない。
(掲示)
第百八十九条 農林大臣又は都道府県知事は、この法律又はこの法律に基く命令の規定による通知又は命令をする場合において、相手方が知れないとき、又はその所在が不分明なときは、その通知又は命令に係る森林、土地又は工作物等の所在地の属する市町村の事務所の掲示場にその通知又は命令の内容を掲示するとともに、その要旨及び掲示した旨を官報又は都道府県の公報に掲載しなければならない。この場合においては、その掲示を始めた日又は官報若しくは都道府県の公報に掲載した日のいずれか遅い日から十四日を経過した日に、その通知又は命令は、相手方に到達したものとみなす。
(特別区等に対する適用)
第百九十条 この法律中市町村に関する規定は、特別区のある地にあつては特別区に、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百五十五条第二項の市にあつては区に、全部事務組合又は役場事務組合のある地にあつては組合に適用する。
(訴願)
第百九十一条 この法律又はこの法律に基く命令の規定による許可又は認可の申請に対する許否、裁定その他の行政庁の処分(第四章の規定による都道府県知事の裁定のうち損失の補償に関する部分を除く。)に不服がある者は、訴願を提起することができる。
2 農林大臣は、第四章の規定による都道府県知事の認可又は裁定に関する訴願の裁決をする場合には、あらかじめ土地調整委員会の意見を聞かなければならない。保安林又は保安施設地区の指定又は解除に関する訴願であつてその不服の理由が鉱業又は採石業との調整に関するものの裁決をする場合もまた同様とする。
(都道府県の費用負担)
第百九十二条 左の各号に掲げる費用は、都道府県の負担とする。
一 森林区施業計画の作成及び実施に要する費用
二 森林区実施計画の作成及び実施に要する費用
三 都道府県森林審議会に要する費用
四 保安林に関し都道府県知事が行う事務に要する費用
(国庫の補助)
第百九十三条 国は、都道府県に対し、毎年度予算の範囲内において、政令で定めるところにより、造林及び森林区施業計画に定める林道の開設又は拡張につき、都道府県が自ら行う場合にあつてはその要する費用の一部を、市町村その他政令で定める者が行う場合にあつてはその者に対し都道府県が補助する費用の一部を補助する。
第百九十四条 国は、林業に関する試験研究をする者に対し、毎年度予算の範囲内において、政令で定めるところにより、その試験研究に要する費用の一部を補助する。
第百九十五条 国は、都道府県に対し、毎年度予算の範囲内において、政令で定めるところにより、林業技術普及員及び林業経営指導員の設置のため必要な費用の二分の一以内を補助する。
第百九十六条 国は、都道府県に対し、毎年度予算の範囲内において、政令で定めるところにより、第百九十二条の規定により都道府県が負担する費用の二分の一以内を補助する。
第八章 罰則
第百九十七条 森林においてその産物(人工を加えたものを含む。)を窃取した者は、森林窃盗とし、三年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
第百九十八条 森林窃盗が保安林の区域内において犯したものであるときは、五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
第百九十九条 森林窃盗の贓物を原料として木材、木炭その他の物品を製造した場合には、その物品は、森林窃盗の贓物とみなす。
第二百条 民法第百九十六条(占有者の費用償還請求権)の規定は、森林窃盗の贓物の回復には適用しない。但し、善意の取得者についてはこの限りでない。
第二百一条 森林窃盗の贓物を収受した者は、三年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
2 森林窃盗の贓物の運搬、寄蔵、故買又は牙保をした者は、五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
第二百二条 他人の森林に放火した者は、二年以上の有期懲役に処する。
2 自己の森林に放火した者は、六月以上七年以下の懲役に処する。
3 前項の場合において、他人の森林に延焼したときは、六月以上十年以下の懲役に処する。
4 前二項の場合において、その森林が保安林であるときは、一年以上の有期懲役に処する。
第二百三条 火を失して他人の森林を焼燬した者は、五万円以下の罰金に処する。
2 火を失して自己の森林を焼燬し、これによつて公共の危険を生じさせた者も前項と同様とする。
第二百四条 第百九十七条、第百九十八条及び第二百二条の未遂罪は、これを罰する。
第二百五条 第二十一条第一項又は第二十二条の規定に違反した者は、一万円以下の罰金に処する。この場合において、その火入をした森林が保安林であるときは、三万円以下の罰金に処する。
2 第二十一条第一項又は第二十二条の規定に違反し、これによつて他人の森林を焼燬した者は、三万円以下の罰金に処する。この場合において、その森林が保安林であるときは、五万円以下の罰金に処する。
第二百六条 第十六条第一項の規定に違反し、制限林の立木を伐採した者は、三万円以下の罰金に処する。
第二百七条 左の各号の一に該当する者は、二万円以下の罰金に処する。
一 第三十一条の規定による禁止命令に違反し、立木竹の伐採又は土石若しくは樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為をした者
二 第三十四条第一項の規定に違反し、立竹を伐採し、家畜を放牧し、又は土石若しくは樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為をした者
第二百八条 左の各号の一に該当する者は、一万円以下の罰金に処する。
一 第十六条第一項の規定に違反し、普通林の立木を伐採した者
二 第三十九条(第四十四条において準用する場合を含む。)の規定により設置した標識を移動し、汚損し、又は破壊した者
第二百九条 第十五条の規定に違反し、届出書を提出しないで立木を伐採した者は、五千円以下の罰金に処する。
第二百十条 組合又は連合会の役員が、どのような名義をもつてするのであつても、組合若しくは連合会の事業の範囲外において貸付をし、若しくは手形の割引をし、又は投機取引のために組合若しくは連合会の財産を処分したときは、これを三年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
2 前項の規定は、刑法(明治四十年法律第四十五号)に正条がある場合には、適用しない。
第二百十一条 第八十条第四項(第百五十九条第一項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)において準用する倉庫業法第八条第一項若しくは本法第百七十九条の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は第八十条第四項において準用する倉庫業法第八条第一項若しくは本法第百八十条の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避をした者は、千円以下の罰金に処する。
第二百十二条 第百九十七条若しくは第百九十八条の罪(これらの未遂罪を含む。)又は第二百一条若しくは第二百十条第一項の罪を犯した者には、情状により懲役刑及び罰金刑を併科することができる。
第二百十三条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、第二百五条から第二百九条まで及び第二百十一条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため、その業務又は財産に対し相当の注意及び監督が尽されたことの証明があつたときは、その法人又は人についてはこの限りでない。
第二百十四条 左の場合には、組合又は連合会の役員又は清算人は、一万円以下の過料に処する。
一 この法律の規定又は他の法律の特別の規定に基いて組合又は連合会が行うことができる事業以外の事業を行つたとき。
二 第七十九条第四項、第五項但書若しくは第七項但書又は第百五十四条第二項、第三項但書若しくは第五項但書の規定に違反したとき。
三 第九十三条第二項(第百五十九条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
四 第九十四条(第百五十九条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
五 第百七条(第百五十九条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
六 第百十条、第百十一条第二項又は第百十二条(以上の各規定を第百五十九条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
七 第百十五条又は第百十六条(以上の各規定を第百五十九条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、書類を備えて置かず、その書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をし、又は正当の理由がないのにその書類の閲覧を拒んだとき。
八 第百十七条第五項(第百五十九条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
九 第百二十四条若しくは第百二十五条第二項(以上の各規定を第百五十九条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反して出資一口の金額を減少し、又は第百四十五条第四項(第百五十九条第五項において準用する場合を含む。)において準用する第百二十四条又は第百二十五条第二項の規定に違反して出資組合の合併をしたとき。
十 第百二十六条又は第百二十七条(以上の各規定を第百五十九条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
十一 第百三十条(第百五十九条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反して組合員の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けたとき。
十二 第百四十四条第五項(第百五十九条第五項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
十三 第百五十条又は第百五十二条(以上の各規定を第百五十九条第五項において準用する場合を含む。)の書類に記載すべき事項を記載せず、又は不実の記載をしたとき。
十四 第百五十一条(第百五十九条第五項において準用する場合を含む。)の規定に違反して組合の財産を処分したとき。
十五 第百五十三条(第百五十九条第五項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)において準用する民法第七十九条第一項(債権申出の公告と催告)又は同法第八十一条第一項(清算中の破産)に規定する公告を怠り、又は不正の公告をしたとき。
十六 第百五十三条において準用する民法第七十九条の規定に違反して同項の期間内に債権者に弁済したとき。
十七 第百五十三条において準用する民法第八十一条第一項の規定に違反して破産宣告の請求を怠つたとき。
十八 この法律の規定による登記を怠つたとき。
第二百十五条 第七十五条第二項又は第八十一条第二項(第百五十九条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、千円以下の過料に処する。
附 則
1 この法律の施行期日は、公布の日から起算して九十日をこえない期間内において、政令で定める。
2 森林法(明治四十年法律第四十三号)は、廃止する。
農林大臣 広川弘禅
内閣総理大臣 吉田茂