(特定保安林の指定)
第三十九条の三 農林水産大臣は、全国森林計画に基づき、指定の目的に即して機能していないと認められる保安林(当該目的に即して機能することを確保するため、その区域内にある森林の全部又は一部について造林、保育、伐採その他の森林施業を早急に実施する必要があると認められるものに限る。)を特定保安林として指定することができる。
2 都道府県知事は、農林水産省令で定めるところにより、当該都道府県の区域内の保安林を特定保安林として指定すべき旨を農林水産大臣に申請することができる。
3 農林水産大臣は、特定保安林の指定をしようとするときは、当該指定をしようとする保安林の所在場所を管轄する都道府県知事に協議しなければならない。
4 農林水産大臣は、特定保安林の指定をしたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5 前三項の規定は、特定保安林の指定の解除について準用する。
(地域森林計画の変更等)
第三十九条の四 都道府県知事は、当該都道府県の区域内の保安林が特定保安林として指定された場合において、当該特定保安林の区域内に第五条第一項の規定によりたてられた地域森林計画の対象となつている民有林があるときは、当該地域森林計画を変更し、当該民有林につき、当該特定保安林が保安林の指定の目的に即して機能することを確保することを旨として、次に掲げる事項を追加して定めなければならない。同項の規定により地域森林計画をたてる場合において特定保安林の区域内の民有林で当該地域森林計画の対象となるものがあるときも、同様とする。
一 造林、保育、伐採その他の森林施業を早急に実施する必要があると認められる森林(以下「要整備森林」という。)の所在
二 要整備森林について実施すべき造林、保育、伐採その他の森林施業の方法及び時期に関する事項
2 都道府県知事は、前項の規定により地域森林計画を変更し、又はこれをたてようとする場合であつて、第六条第二項の規定により前項各号に掲げる事項に関し直接の利害関係を有する者から異議の申立てがあつたときは、公開による意見の聴取を行わなければならない。
3 都道府県知事は、前項の意見の聴取をしようとするときは、その期日の一週間前までに意見の聴取の期日及び場所をその異議の申立てをした者に通知するとともにこれを公示しなければならない。
4 都道府県知事は、第二項の異議の申立てがあつたときは、これについて同項の意見の聴取をした後でなければ、地域森林計画を変更し、又はこれをたてることができない。
(要整備森林に係る施業の勧告等)
第三十九条の五 都道府県知事は、森林所有者等が要整備森林について前条第一項の規定により地域森林計画に定められている森林施業の方法に関する事項を遵守していないと認める場合において、地域森林計画の達成上必要があるときは、当該森林所有者等に対し、遵守すべき事項を示して、これに従つて施業すべき旨を勧告することができる。
2 都道府県知事は、要整備森林について前項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わないとき、又は従う見込みがないと認めるときは、その者に対し、当該要整備森林若しくは当該要整備森林の立木について所有権若しくは使用及び収益を目的とする権利を取得し、又は当該要整備森林の施業の委託を受けようとする者で当該都道府県知事の指定を受けたものと当該要整備森林若しくは当該要整備森林の立木についての所有権の移転若しくは使用及び収益を目的とする権利の設定若しくは移転又は当該要整備森林の施業の委託に関し協議すべき旨を勧告することができる。
(市町村の長による施業の勧告の特例)
第三十九条の六 要整備森林については、第十条の十第一項の規定は、適用しない。
(要整備森林における保安施設事業の実施)
第三十九条の七 都道府県知事が第三十九条の五第二項の規定による勧告をした場合において、その勧告に係る協議が調わず、又は協議をすることができないときであつて、農林水産省令で定めるところにより都道府県知事が当該勧告に係る要整備森林において第四十一条第三項に規定する保安施設事業(森林の造成事業又は森林の造成に必要な事業に限る。)を行うときは、当該要整備森林の土地の所有者その他その土地に関し権利を有する者(次項において「関係人」という。)は、その実施行為を拒んではならない。
2 都道府県は、その行つた前項の行為により損失を受けた関係人に対し、通常生ずべき損失を補償しなければならない。