森林法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第二十号
公布年月日: 平成16年3月31日
法令の形式: 法律
森林法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成十六年三月三十一日
内閣総理大臣 小泉純一郎
法律第二十号
森林法の一部を改正する法律
森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)の一部を次のように改正する。
第十条の十第二項中「当該要間伐森林又は」を「当該要間伐森林若しくは」に、「所有権又は」を「所有権若しくは」に、「取得しよう」を「取得し、又は当該要間伐森林の施業の委託を受けよう」に、「移転又は」を「移転若しくは」に改め、「若しくは移転」の下に「又は当該要間伐森林の施業の委託」を加える。
第十条の十一第一項中「又は使用」を「若しくは使用」に改め、「若しくは移転」の下に「又は施業の委託」を加える。
第十条の十一の四第一項中「当該要間伐森林及びその周辺の地域における土砂の流出又は崩壊その他の災害の」を「第二号イからニまでに規定する事態の」に改め、同項第二号を次のように改める。
二 引き続き間伐又は保有が実施されないときは次に掲げる要件のいずれかに該当するものであること。
イ 当該要間伐森林及びその周辺の地域における土砂の流出又は崩壊その他の災害を発生させるおそれがあること。
ロ 当該要間伐森林の現に有する水害の防止の機能に依存する地域における水害を発生させるおそれがあること。
ハ 当該要間伐森林の現に有する水源のかん養の機能に依存する地域における水の確保に著しい支障を及ぼすおそれがあること。
ニ 当該要間伐森林及びその周辺の地域における環境を著しく悪化させるおそれがあること。
第十条の十一の七中「及びその周辺の地域において土砂の流出又は崩壊その他の災害の発生のおそれ(当該森林について間伐又は保育が実施されないことに起因するものに限る。)」を「について間伐又は保育が実施されないことに起因する第十条の十一の四第一項第二号イからニまでに規定する事態の発生のおそれ」に改める。
第十条の十一の八第一項中「受けて、」の下に「森林施業の実施に関する協定(以下「施業実施協定」という。)であつて」を加え、「協定(以下「施業実施協定」という。)」を「措置を内容とするもの」に改め、同条第四項を同条第五項とし、同条第三項を同条第四項とし、同条第二項第二号を次のように改める。
二 森林施業の実施に関する次に掲げる事項
イ 第一項の申請に係る施業実施協定にあつては、森林所有者等が共同して行う森林施業の種類並びにその実施の方法及び時期その他農林水産省令で定める事項
ロ 前項の申請に係る施業実施協定にあつては、特定非営利活動法人等が行う森林施業の種類並びにその実施の方法及び時期その他農林水産省令で定める事項
第十条の十一の八中第二項を第三項とし、第一項の次に次の一項を加える。
2 緑化活動その他の森林の整備及び保全を図ることを目的として設立された特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人、民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の法人その他農林水産省令で定める営利を目的としない者(以下「特定非営利活動法人等」という。)は、市町村の区域内に存する公益的機能別施業森林(地域森林計画の対象となつているものに限る。以下この項において「対象森林」という。)の森林所有者等又は当該対象森林の土地の所有者と、当該市町村の長の認可を受けて、施業実施協定であつて当該対象森林について当該特定非営利活動法人等が行う間伐又は保育その他の森林施業の実施及びそのために必要な施設の整備に関する措置を内容とするものを締結することができる。
第十条の十一の十第一項及び第十条の十一の十一第一項中「第十条の十一の八第一項」の下に「又は第二項」を加える。
第十条の十一の十二第一項中「及び森林」を「、森林」に改め、「の所有者」の下に「及び特定非営利活動法人等」を加える。
第十条の十一の十三中「に定める事項のうち、第十条の十一の八第二項第三号に掲げる事項(施設の維持運営に関する事項に限る。)」を削る。
第十条の十一の十四第一項中「及び森林」を「、森林」に改め、「の所有者」の下に「及び特定非営利活動法人等」を、「第十条の十一の八第一項」の下に「若しくは第二項」を加える。
第十条の十一の十五第一項中「第十条の十一の八第一項」の下に「若しくは第二項」を加え、同条第二項中「及び森林」を「、森林」に改め、「の所有者」の下に「及び特定非営利活動法人等」を加える。
第十一条第四項に次の一号を加える。
四 当該森林施業計画の対象とする森林の全部又は一部が第三十九条の四第一項第一号に規定する要整備森林である場合には、同項の規定により地域森林計画に定められている事項に照らして適当であると認められること。
第二十五条第三項ただし書を削る。
第三十四条第一項中第八号を第九号とし、第四号から第七号までを一号ずつ繰り下げ、第三号の次に次の一号を加える。
四 第三十九条の四第一項の規定により地域森林計画に定められている森林施業の方法及び時期に関する事項に従つて立木の伐採をする場合
第三十四条第九項及び第十項中「第一項第四号」を「第一項第七号」に改める。
第三十四条の二第一項及び第三十四条の三第一項中「第六号まで及び第八号」を「第七号まで及び第九号」に改める。
第四十条を削る。
第三十九条の三中「行ない、その他保安林の」を「行い、その他保安林の整備及び」に改め、第三章第一節中同条を第四十条とする。
第三十九条の二の次に次の五条を加える。
(特定保安林の指定)
第三十九条の三 農林水産大臣は、全国森林計画に基づき、指定の目的に即して機能していないと認められる保安林(当該目的に即して機能することを確保するため、その区域内にある森林の全部又は一部について造林、保育、伐採その他の森林施業を早急に実施する必要があると認められるものに限る。)を特定保安林として指定することができる。
2 都道府県知事は、農林水産省令で定めるところにより、当該都道府県の区域内の保安林を特定保安林として指定すべき旨を農林水産大臣に申請することができる。
3 農林水産大臣は、特定保安林の指定をしようとするときは、当該指定をしようとする保安林の所在場所を管轄する都道府県知事に協議しなければならない。
4 農林水産大臣は、特定保安林の指定をしたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5 前三項の規定は、特定保安林の指定の解除について準用する。
(地域森林計画の変更等)
第三十九条の四 都道府県知事は、当該都道府県の区域内の保安林が特定保安林として指定された場合において、当該特定保安林の区域内に第五条第一項の規定によりたてられた地域森林計画の対象となつている民有林があるときは、当該地域森林計画を変更し、当該民有林につき、当該特定保安林が保安林の指定の目的に即して機能することを確保することを旨として、次に掲げる事項を追加して定めなければならない。同項の規定により地域森林計画をたてる場合において特定保安林の区域内の民有林で当該地域森林計画の対象となるものがあるときも、同様とする。
一 造林、保育、伐採その他の森林施業を早急に実施する必要があると認められる森林(以下「要整備森林」という。)の所在
二 要整備森林について実施すべき造林、保育、伐採その他の森林施業の方法及び時期に関する事項
三 その他必要な事項
2 都道府県知事は、前項の規定により地域森林計画を変更し、又はこれをたてようとする場合であつて、第六条第二項の規定により前項各号に掲げる事項に関し直接の利害関係を有する者から異議の申立てがあつたときは、公開による意見の聴取を行わなければならない。
3 都道府県知事は、前項の意見の聴取をしようとするときは、その期日の一週間前までに意見の聴取の期日及び場所をその異議の申立てをした者に通知するとともにこれを公示しなければならない。
4 都道府県知事は、第二項の異議の申立てがあつたときは、これについて同項の意見の聴取をした後でなければ、地域森林計画を変更し、又はこれをたてることができない。
(要整備森林に係る施業の勧告等)
第三十九条の五 都道府県知事は、森林所有者等が要整備森林について前条第一項の規定により地域森林計画に定められている森林施業の方法に関する事項を遵守していないと認める場合において、地域森林計画の達成上必要があるときは、当該森林所有者等に対し、遵守すべき事項を示して、これに従つて施業すべき旨を勧告することができる。
2 都道府県知事は、要整備森林について前項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わないとき、又は従う見込みがないと認めるときは、その者に対し、当該要整備森林若しくは当該要整備森林の立木について所有権若しくは使用及び収益を目的とする権利を取得し、又は当該要整備森林の施業の委託を受けようとする者で当該都道府県知事の指定を受けたものと当該要整備森林若しくは当該要整備森林の立木についての所有権の移転若しくは使用及び収益を目的とする権利の設定若しくは移転又は当該要整備森林の施業の委託に関し協議すべき旨を勧告することができる。
(市町村の長による施業の勧告の特例)
第三十九条の六 要整備森林については、第十条の十第一項の規定は、適用しない。
(要整備森林における保安施設事業の実施)
第三十九条の七 都道府県知事が第三十九条の五第二項の規定による勧告をした場合において、その勧告に係る協議が調わず、又は協議をすることができないときであつて、農林水産省令で定めるところにより都道府県知事が当該勧告に係る要整備森林において第四十一条第三項に規定する保安施設事業(森林の造成事業又は森林の造成に必要な事業に限る。)を行うときは、当該要整備森林の土地の所有者その他その土地に関し権利を有する者(次項において「関係人」という。)は、その実施行為を拒んではならない。
2 都道府県は、その行つた前項の行為により損失を受けた関係人に対し、通常生ずべき損失を補償しなければならない。
第百八十七条の見出しを「(林業普及指導員)」に改め、同条第一項中「林業専門技術員及び林業改良指導員」を「林業普及指導員」に、「吏員」を「職員」に改め、同条第二項を次のように改める。
2 林業普及指導員は、次に掲げる事務を行う。
一 試験研究機関と密接な連絡を保ち、専門の事項について調査研究を行うこと。
二 森林所有者その他林業を行う者又は林業に従事する者に接して林業に関する技術及び知識を普及すること。
三 森林の施業に関する指導を行うこと。
第百八十七条第三項を削り、同条第四項中「林業専門技術員資格試験」を「林業普及指導員資格試験」に、「林業専門技術員に」を「林業普及指導員に」に改め、同項を同条第三項とし、同条第五項を削る。
第百九十五条第一項第一号中「林業専門技術員及び林業改良指導員」を「林業普及指導員」に改め、同項第二号中「林業専門技術員又は林業改良指導員」を「林業普及指導員」に改め、「又は第三項」を削る。
第二百条中「(明治二十九年法律第八十九号)」を削る。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成十六年四月一日から施行する。ただし、第百八十七条及び第百九十五条第一項の改正規定並びに附則第三条の規定は、平成十七年四月一日から施行する。
(施業実施協定に関する経過措置)
第二条 この法律による改正後の森林法(以下「新法」という。)第十条の十一の八第三項及び第十条の十一の十三の規定は、この法律の施行後に新法第十条の十一の十一第二項の規定による認可の公告のあった新法第十条の十一の八第一項に規定する施業実施協定について適用し、この法律の施行前にこの法律による改正前の森林法(以下「旧法」という。)第十条の十一の十一第二項の規定による認可の公告のあった旧法第十条の十一の八第一項に規定する施業実施協定については、なお従前の例による。
(林業普及指導員に関する経過措置)
第三条 附則第一条ただし書に規定する規定の施行前に旧法第百八十七条第四項の林業専門技術員資格試験に合格した者は、新法第百八十七条第三項の林業普及指導員資格試験に合格した者とみなす。
2 附則第一条ただし書に規定する規定の施行前に旧法第百八十七条第五項の林業改良指導員資格試験に合格した者は、附則第一条ただし書に規定する規定の施行後三年間は、新法第百八十七条第三項の林業普及指導員資格試験に合格した者とみなす。
(政令への委任)
第四条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
農林水産大臣 亀井善之
内閣総理大臣 小泉純一郎