林業基本法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第百七号
公布年月日: 平成13年7月11日
法令の形式: 法律
林業基本法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成十三年七月十一日
内閣総理大臣 小泉純一郎
法律第百七号
林業基本法の一部を改正する法律
林業基本法(昭和三十九年法律第百六十一号)の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
森林・林業基本法
目次を次のように改める。
目次
第一章
総則(第一条―第十条)
第二章
森林・林業基本計画(第十一条)
第三章
森林の有する多面的機能の発揮に関する施策(第十二条―第十八条)
第四章
林業の持続的かつ健全な発展に関する施策(第十九条―第二十三条)
第五章
林産物の供給及び利用の確保に関する施策(第二十四条―第二十六条)
第六章
行政機関及び団体(第二十七条・第二十八条)
第七章
林政審議会(第二十九条―第三十三条)
附則
第一条から第五条までを次のように改める。
(目的)
第一条 この法律は、森林及び林業に関する施策について、基本理念及びその実現を図るのに基本となる事項を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにすることにより、森林及び林業に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もつて国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展を図ることを目的とする。
(森林の有する多面的機能の発揮)
第二条 森林については、その有する国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、公衆の保健、地球温暖化の防止、林産物の供給等の多面にわたる機能(以下「森林の有する多面的機能」という。)が持続的に発揮されることが国民生活及び国民経済の安定に欠くことのできないものであることにかんがみ、将来にわたつて、その適正な整備及び保全が図られなければならない。
2 森林の適正な整備及び保全を図るに当たつては、山村において林業生産活動が継続的に行われることが重要であることにかんがみ、定住の促進等による山村の振興が図られるよう配慮されなければならない。
(林業の持続的かつ健全な発展)
第三条 林業については、森林の有する多面的機能の発揮に重要な役割を果たしていることにかんがみ、林業の担い手が確保されるとともに、その生産性の向上が促進され、望ましい林業構造が確立されることにより、その持続的かつ健全な発展が図られなければならない。
2 林業の持続的かつ健全な発展に当たつては、林産物の適切な供給及び利用の確保が重要であることにかんがみ、高度化し、かつ、多様化する国民の需要に即して林産物が供給されるとともに、森林及び林業に関する国民の理解を深めつつ、林産物の利用の促進が図られなければならない。
(国の責務)
第四条 国は、前二条に定める森林及び林業に関する施策についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのつとり、森林及び林業に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
(国有林野の管理及び経営の事業)
第五条 国は、基本理念にのつとり、国有林野の管理及び経営の事業について、国土の保全その他国有林野の有する公益的機能の維持増進を図るとともに、あわせて、林産物を持続的かつ計画的に供給し、及び国有林野の活用によりその所在する地域における産業の振興又は住民の福祉の向上に寄与することを旨として、その適切かつ効率的な運営を行うものとする。
第二十六条を第三十三条とする。
第二十五条中「開陳」を「表明」に改め、同条を第三十二条とする。
第二十四条を第三十一条とし、第二十三条を第三十条とし、第二十二条を第二十九条とする。
第六章を第七章とする。
第二十一条の見出しを「(団体の再編整備)」に改め、同条中「林業の発展及び林業従事者の地位の向上を図る」を「基本理念の実現に資する」に、「林業に」を「森林及び林業に」に、「整備」を「効率的な再編整備」に改め、第五章中同条を第二十八条とする。
第二十条の見出しを「(行政組織の整備等)」に改め、同条中「第三条第一項及び第五条の」を「森林及び林業に関する」に、「及び行政運営の改善」を「並びに行政運営の効率化及び透明性の向上」に改め、同条を第二十七条とする。
「第五章 林業行政機関及び林業団体」を「第六章 行政機関及び団体」に改める。
第十九条中「養成」を「育成」に、「充実等」を「充実その他」に改め、第四章中同条を第二十一条とし、同条の次に次の二条及び一章を加える。
(林業生産組織の活動の促進)
第二十二条 国は、地域の林業における効率的な林業生産の確保に資するため、森林組合その他の委託を受けて森林の施業又は経営を行う組織等の活動の促進に必要な施策を講ずるものとする。
(林業災害による損失の補てん)
第二十三条 国は、災害によつて林業の再生産が阻害されることを防止するとともに、林業経営の安定を図るため、災害による損失の合理的な補てんその他必要な施策を講ずるものとする。
第五章 林産物の供給及び利用の確保に関する施策
(木材産業等の健全な発展)
第二十四条 国は、木材産業等が林産物の供給において果たす役割の重要性にかんがみ、その健全な発展を図るため、事業基盤の強化、林業との連携の推進、流通及び加工の合理化その他必要な施策を講ずるものとする。
(林産物の利用の促進)
第二十五条 国は、林産物の適切な利用の促進に資するため、林産物の利用の意義に関する知識の普及及び情報の提供、林産物の新たな需要の開拓、建物及び工作物における木材の使用の促進その他必要な施策を講ずるものとする。
(林産物の輸入に関する措置)
第二十六条 国は、林産物につき、森林の有する多面的機能の持続的な発揮に配慮しつつ適正な輸入を確保するための国際的な連携に努めるとともに、林産物の輸入によつてこれと競争関係にある林産物の生産に重大な支障を与え、又は与えるおそれがある場合において、緊急に必要があるときは、関税率の調整、輸入の制限その他必要な施策を講ずるものとする。
第十八条の見出しを「(人材の育成及び確保)」に改め、同条中「近代的な林業経営を担当し、又は近代的な林業経営に係る林業技術に従事するのにふさわしい者の養成」を「効率的かつ安定的な林業経営を担うべき人材の育成」に、「充実等」を「充実その他」に改め、同条を第二十条とする。
「第四章 林業従事者」を削る。
第二章及び第三章を削る。
第九条の見出し中「林業」を「森林及び林業」に改め、同条第一項中「林業」を「森林及び林業」に、「及び」を「並びに」に改め、同条第二項中「林業」を「森林及び林業」に改め、同条第三項中「きかなければ」を「聴かなければ」に改め、第一章中同条を第十条とし、同条の次に次の二章、章名及び一条を加える。
第二章 森林・林業基本計画
第十一条 政府は、森林及び林業に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、森林・林業基本計画(以下「基本計画」という。)を定めなければならない。
2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 森林及び林業に関する施策についての基本的な方針
二 森林の有する多面的機能の発揮並びに林産物の供給及び利用に関する目標
三 森林及び林業に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策
四 前三号に掲げるもののほか、森林及び林業に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 前項第二号に掲げる森林の有する多面的機能の発揮並びに林産物の供給及び利用に関する目標は、森林の整備及び保全並びに林業及び木材産業等の事業活動並びに林産物の消費に関する指針として、森林所有者等その他の関係者が取り組むべき課題を明らかにして定めるものとする。
4 基本計画のうち森林に関する施策に係る部分については、環境の保全に関する国の基本的な計画との調和が保たれたものでなければならない。
5 政府は、第一項の規定により基本計画を定めようとするときは、林政審議会の意見を聴かなければならない。
6 政府は、第一項の規定により基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを国会に報告するとともに、公表しなければならない。
7 政府は、森林及び林業をめぐる情勢の変化を勘案し、並びに森林及び林業に関する施策の効果に関する評価を踏まえ、おおむね五年ごとに、基本計画を変更するものとする。
8 第五項及び第六項の規定は、基本計画の変更について準用する。
第三章 森林の有する多面的機能の発揮に関する施策
(森林の整備の推進)
第十二条 国は、森林の適正な整備を推進するため、地域の特性に応じた造林、保育及び伐採の計画的な推進、これらの森林の施業を効率的に行うための林道の整備、優良種苗の確保その他必要な施策を講ずるものとする。
2 前項に定めるもののほか、国は、森林所有者等による計画的かつ一体的な森林の施業の実施が特に重要であることにかんがみ、その実施に不可欠な森林の現況の調査その他の地域における活動を確保するための支援を行うものとする。
(森林の保全の確保)
第十三条 国は、森林の適正な保全を図るため、土地の形質の変更その他の森林の保全に著しい支障を及ぼすおそれがある行為に関し、その支障を防止するために必要な規制、災害による土砂の崩壊の防止及びその復旧のための森林土木事業の推進、森林病害虫の駆除及びそのまん延の防止その他必要な施策を講ずるものとする。
(技術の開発及び普及)
第十四条 国は、森林、林業並びに林産物の流通及び加工に関する技術の研究開発及び普及の効果的な推進を図るため、これらの技術の研究開発の目標の明確化、国、独立行政法人及び都道府県の試験研究機関、大学、民間等の連携の強化、地域の特性に応じた森林及び林業に関する技術の普及事業の推進その他必要な施策を講ずるものとする。
(山村地域における定住の促進)
第十五条 国は、森林の適正な整備及び保全を図るためには、森林所有者等が山村地域に生活することが重要であることにかんがみ、地域特産物の生産及び販売等を通じた産業の振興による就業機会の増大、生活環境の整備その他の山村地域における定住の促進に必要な施策を講ずるものとする。
(国民等の自発的な活動の促進)
第十六条 国は、国民、事業者又はこれらの者の組織する民間の団体が自発的に行う緑化活動その他の森林の整備及び保全に関する活動が促進されるように、情報の提供その他必要な施策を講ずるものとする。
(都市と山村の交流等)
第十七条 国は、国民の森林及び林業に対する理解と関心を深めるとともに、健康的でゆとりのある生活に資するため、都市と山村との間の交流の促進、公衆の保健又は教育のための森林の利用の促進その他必要な施策を講ずるものとする。
(国際的な協調及び貢献)
第十八条 国は、森林の有する多面的機能の持続的な発揮を国際的協調の下で促進することの重要性にかんがみ、森林の整備及び保全に関する準則等の整備に向けた取組のための国際的な連携、開発途上地域に対する技術協力及び資金協力その他の国際協力の推進に努めるものとする。
第四章 林業の持続的かつ健全な発展に関する施策
(望ましい林業構造の確立)
第十九条 国は、効率的かつ安定的な林業経営を育成し、これらの林業経営が林業生産の相当部分を担う林業構造を確立するため、地域の特性に応じ、林業経営の規模の拡大、生産方式の合理化、経営管理の合理化、機械の導入その他林業経営基盤の強化の促進に必要な施策を講ずるものとする。
第八条の見出しを「(森林所有者等の責務)」に改め、同条中「林野の所有者又は林野」を「森林の所有者又は森林」に、「は、その林野が、農業上の利用その他林業の用以外の適切な用途に供される場合を除くほか、林業の生産基盤として効率的に利用されるように」を「(以下「森林所有者等」という。)は、基本理念にのつとり、森林の有する多面的機能が確保されることを旨として、その森林の整備及び保全が図られるように」に改め、同条を第九条とする。
第七条の見出し中「助長」を「支援」に改め、同条中「第三条第一項及び第五条の」を「森林及び林業に関する」に、「又は」を「、森林及び」に改め、「関する団体」の下に「並びに木材産業その他の林産物の流通及び加工の事業(以下「木材産業等」という。)の事業者」を加え、「助長する」を「支援する」に改め、同条を第八条とする。
第六条中「第三条第一項の」を「森林及び林業に関する」に改め、同条を第七条とする。
第五条の次に次の一条を加える。
(地方公共団体の責務)
第六条 地方公共団体は、基本理念にのつとり、森林及び林業に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。
(経過措置)
第二条 この法律の施行の際平成十三年におけるこの法律による改正前の林業基本法(以下「旧法」という。)第九条第一項の報告が国会に提出されていない場合には、同項の報告の国会への提出については、なお従前の例による。
2 この法律の施行前に旧法第九条第一項の規定により同項の報告が国会に提出された場合又は前項の規定によりなお従前の例によるものとされた旧法第九条第一項の規定により同項の報告が国会に提出された場合には、これらの報告は、この法律による改正後の森林・林業基本法(以下「新法」という。)第十条第一項の規定により同項の報告として国会に提出されたものとみなす。
3 この法律の施行の際平成十三年における旧法第九条第二項の文書が国会に提出されていない場合には、同項の文書の国会への提出については、なお従前の例による。
4 この法律の施行前に旧法第九条第二項の規定により同項の文書が国会に提出された場合又は前項の規定によりなお従前の例によるものとされた旧法第九条第二項の規定により同項の文書が国会に提出された場合には、これらの文書は、新法第十条第二項の規定により同項の文書として国会に提出されたものとみなす。
(森林法の一部改正)
第三条 森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項中「林業基本法」を「森林・林業基本法」に、「第十条第一項」を「第十一条第一項」に改め、「及び長期の見通し」を削る。
(森林法の一部改正に伴う経過措置)
第四条 この法律の施行の際現にたてられている旧法第十条第一項の基本計画及び長期の見通しは、新法第十一条第一項の規定により最初に同項の基本計画がたてられるまでの間は、前条の規定による改正後の森林法第四条第一項の規定の適用については、同項に規定する新法第十一条第一項の基本計画とみなす。
(農業振興地域の整備に関する法律の一部改正)
第五条 農業振興地域の整備に関する法律(昭和四十四年法律第五十八号)の一部を次のように改正する。
第二十二条第二項中「林業基本法」を「森林・林業基本法」に、「第四条」を「第五条」に改める。
(国有林野の活用に関する法律の一部改正)
第六条 国有林野の活用に関する法律(昭和四十六年法律第百八号)の一部を次のように改正する。
第一条中「林業基本法」を「森林・林業基本法」に、「第四条」を「第五条」に改める。
第二条第二項中「林業基本法第三条第一項第二号の林業構造の改善」を「林地の集団化、機械化、小規模林業経営の規模の拡大その他林地保有の合理化及び林業経営の近代化」に改める。
(農林水産省設置法の一部改正)
第七条 農林水産省設置法(平成十一年法律第九十八号)の一部を次のように改正する。
第三十二条第二項中「林業基本法」を「森林・林業基本法」に改める。
内閣総理大臣 小泉純一郎
総務大臣 片山虎之助
法務大臣 森山眞弓
外務大臣 田中眞紀子
財務大臣 塩川正十郎
文部科学大臣 遠山敦子
厚生労働大臣 坂口力
農林水産大臣臨時代理 国務大臣 片山虎之助
経済産業大臣 平沼赳夫
国土交通大臣 林寛子
環境大臣 川口順子
林業基本法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成十三年七月十一日
内閣総理大臣 小泉純一郎
法律第百七号
林業基本法の一部を改正する法律
林業基本法(昭和三十九年法律第百六十一号)の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
森林・林業基本法
目次を次のように改める。
目次
第一章
総則(第一条―第十条)
第二章
森林・林業基本計画(第十一条)
第三章
森林の有する多面的機能の発揮に関する施策(第十二条―第十八条)
第四章
林業の持続的かつ健全な発展に関する施策(第十九条―第二十三条)
第五章
林産物の供給及び利用の確保に関する施策(第二十四条―第二十六条)
第六章
行政機関及び団体(第二十七条・第二十八条)
第七章
林政審議会(第二十九条―第三十三条)
附則
第一条から第五条までを次のように改める。
(目的)
第一条 この法律は、森林及び林業に関する施策について、基本理念及びその実現を図るのに基本となる事項を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにすることにより、森林及び林業に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もつて国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展を図ることを目的とする。
(森林の有する多面的機能の発揮)
第二条 森林については、その有する国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、公衆の保健、地球温暖化の防止、林産物の供給等の多面にわたる機能(以下「森林の有する多面的機能」という。)が持続的に発揮されることが国民生活及び国民経済の安定に欠くことのできないものであることにかんがみ、将来にわたつて、その適正な整備及び保全が図られなければならない。
2 森林の適正な整備及び保全を図るに当たつては、山村において林業生産活動が継続的に行われることが重要であることにかんがみ、定住の促進等による山村の振興が図られるよう配慮されなければならない。
(林業の持続的かつ健全な発展)
第三条 林業については、森林の有する多面的機能の発揮に重要な役割を果たしていることにかんがみ、林業の担い手が確保されるとともに、その生産性の向上が促進され、望ましい林業構造が確立されることにより、その持続的かつ健全な発展が図られなければならない。
2 林業の持続的かつ健全な発展に当たつては、林産物の適切な供給及び利用の確保が重要であることにかんがみ、高度化し、かつ、多様化する国民の需要に即して林産物が供給されるとともに、森林及び林業に関する国民の理解を深めつつ、林産物の利用の促進が図られなければならない。
(国の責務)
第四条 国は、前二条に定める森林及び林業に関する施策についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのつとり、森林及び林業に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
(国有林野の管理及び経営の事業)
第五条 国は、基本理念にのつとり、国有林野の管理及び経営の事業について、国土の保全その他国有林野の有する公益的機能の維持増進を図るとともに、あわせて、林産物を持続的かつ計画的に供給し、及び国有林野の活用によりその所在する地域における産業の振興又は住民の福祉の向上に寄与することを旨として、その適切かつ効率的な運営を行うものとする。
第二十六条を第三十三条とする。
第二十五条中「開陳」を「表明」に改め、同条を第三十二条とする。
第二十四条を第三十一条とし、第二十三条を第三十条とし、第二十二条を第二十九条とする。
第六章を第七章とする。
第二十一条の見出しを「(団体の再編整備)」に改め、同条中「林業の発展及び林業従事者の地位の向上を図る」を「基本理念の実現に資する」に、「林業に」を「森林及び林業に」に、「整備」を「効率的な再編整備」に改め、第五章中同条を第二十八条とする。
第二十条の見出しを「(行政組織の整備等)」に改め、同条中「第三条第一項及び第五条の」を「森林及び林業に関する」に、「及び行政運営の改善」を「並びに行政運営の効率化及び透明性の向上」に改め、同条を第二十七条とする。
「第五章 林業行政機関及び林業団体」を「第六章 行政機関及び団体」に改める。
第十九条中「養成」を「育成」に、「充実等」を「充実その他」に改め、第四章中同条を第二十一条とし、同条の次に次の二条及び一章を加える。
(林業生産組織の活動の促進)
第二十二条 国は、地域の林業における効率的な林業生産の確保に資するため、森林組合その他の委託を受けて森林の施業又は経営を行う組織等の活動の促進に必要な施策を講ずるものとする。
(林業災害による損失の補てん)
第二十三条 国は、災害によつて林業の再生産が阻害されることを防止するとともに、林業経営の安定を図るため、災害による損失の合理的な補てんその他必要な施策を講ずるものとする。
第五章 林産物の供給及び利用の確保に関する施策
(木材産業等の健全な発展)
第二十四条 国は、木材産業等が林産物の供給において果たす役割の重要性にかんがみ、その健全な発展を図るため、事業基盤の強化、林業との連携の推進、流通及び加工の合理化その他必要な施策を講ずるものとする。
(林産物の利用の促進)
第二十五条 国は、林産物の適切な利用の促進に資するため、林産物の利用の意義に関する知識の普及及び情報の提供、林産物の新たな需要の開拓、建物及び工作物における木材の使用の促進その他必要な施策を講ずるものとする。
(林産物の輸入に関する措置)
第二十六条 国は、林産物につき、森林の有する多面的機能の持続的な発揮に配慮しつつ適正な輸入を確保するための国際的な連携に努めるとともに、林産物の輸入によつてこれと競争関係にある林産物の生産に重大な支障を与え、又は与えるおそれがある場合において、緊急に必要があるときは、関税率の調整、輸入の制限その他必要な施策を講ずるものとする。
第十八条の見出しを「(人材の育成及び確保)」に改め、同条中「近代的な林業経営を担当し、又は近代的な林業経営に係る林業技術に従事するのにふさわしい者の養成」を「効率的かつ安定的な林業経営を担うべき人材の育成」に、「充実等」を「充実その他」に改め、同条を第二十条とする。
「第四章 林業従事者」を削る。
第二章及び第三章を削る。
第九条の見出し中「林業」を「森林及び林業」に改め、同条第一項中「林業」を「森林及び林業」に、「及び」を「並びに」に改め、同条第二項中「林業」を「森林及び林業」に改め、同条第三項中「きかなければ」を「聴かなければ」に改め、第一章中同条を第十条とし、同条の次に次の二章、章名及び一条を加える。
第二章 森林・林業基本計画
第十一条 政府は、森林及び林業に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、森林・林業基本計画(以下「基本計画」という。)を定めなければならない。
2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 森林及び林業に関する施策についての基本的な方針
二 森林の有する多面的機能の発揮並びに林産物の供給及び利用に関する目標
三 森林及び林業に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策
四 前三号に掲げるもののほか、森林及び林業に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 前項第二号に掲げる森林の有する多面的機能の発揮並びに林産物の供給及び利用に関する目標は、森林の整備及び保全並びに林業及び木材産業等の事業活動並びに林産物の消費に関する指針として、森林所有者等その他の関係者が取り組むべき課題を明らかにして定めるものとする。
4 基本計画のうち森林に関する施策に係る部分については、環境の保全に関する国の基本的な計画との調和が保たれたものでなければならない。
5 政府は、第一項の規定により基本計画を定めようとするときは、林政審議会の意見を聴かなければならない。
6 政府は、第一項の規定により基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを国会に報告するとともに、公表しなければならない。
7 政府は、森林及び林業をめぐる情勢の変化を勘案し、並びに森林及び林業に関する施策の効果に関する評価を踏まえ、おおむね五年ごとに、基本計画を変更するものとする。
8 第五項及び第六項の規定は、基本計画の変更について準用する。
第三章 森林の有する多面的機能の発揮に関する施策
(森林の整備の推進)
第十二条 国は、森林の適正な整備を推進するため、地域の特性に応じた造林、保育及び伐採の計画的な推進、これらの森林の施業を効率的に行うための林道の整備、優良種苗の確保その他必要な施策を講ずるものとする。
2 前項に定めるもののほか、国は、森林所有者等による計画的かつ一体的な森林の施業の実施が特に重要であることにかんがみ、その実施に不可欠な森林の現況の調査その他の地域における活動を確保するための支援を行うものとする。
(森林の保全の確保)
第十三条 国は、森林の適正な保全を図るため、土地の形質の変更その他の森林の保全に著しい支障を及ぼすおそれがある行為に関し、その支障を防止するために必要な規制、災害による土砂の崩壊の防止及びその復旧のための森林土木事業の推進、森林病害虫の駆除及びそのまん延の防止その他必要な施策を講ずるものとする。
(技術の開発及び普及)
第十四条 国は、森林、林業並びに林産物の流通及び加工に関する技術の研究開発及び普及の効果的な推進を図るため、これらの技術の研究開発の目標の明確化、国、独立行政法人及び都道府県の試験研究機関、大学、民間等の連携の強化、地域の特性に応じた森林及び林業に関する技術の普及事業の推進その他必要な施策を講ずるものとする。
(山村地域における定住の促進)
第十五条 国は、森林の適正な整備及び保全を図るためには、森林所有者等が山村地域に生活することが重要であることにかんがみ、地域特産物の生産及び販売等を通じた産業の振興による就業機会の増大、生活環境の整備その他の山村地域における定住の促進に必要な施策を講ずるものとする。
(国民等の自発的な活動の促進)
第十六条 国は、国民、事業者又はこれらの者の組織する民間の団体が自発的に行う緑化活動その他の森林の整備及び保全に関する活動が促進されるように、情報の提供その他必要な施策を講ずるものとする。
(都市と山村の交流等)
第十七条 国は、国民の森林及び林業に対する理解と関心を深めるとともに、健康的でゆとりのある生活に資するため、都市と山村との間の交流の促進、公衆の保健又は教育のための森林の利用の促進その他必要な施策を講ずるものとする。
(国際的な協調及び貢献)
第十八条 国は、森林の有する多面的機能の持続的な発揮を国際的協調の下で促進することの重要性にかんがみ、森林の整備及び保全に関する準則等の整備に向けた取組のための国際的な連携、開発途上地域に対する技術協力及び資金協力その他の国際協力の推進に努めるものとする。
第四章 林業の持続的かつ健全な発展に関する施策
(望ましい林業構造の確立)
第十九条 国は、効率的かつ安定的な林業経営を育成し、これらの林業経営が林業生産の相当部分を担う林業構造を確立するため、地域の特性に応じ、林業経営の規模の拡大、生産方式の合理化、経営管理の合理化、機械の導入その他林業経営基盤の強化の促進に必要な施策を講ずるものとする。
第八条の見出しを「(森林所有者等の責務)」に改め、同条中「林野の所有者又は林野」を「森林の所有者又は森林」に、「は、その林野が、農業上の利用その他林業の用以外の適切な用途に供される場合を除くほか、林業の生産基盤として効率的に利用されるように」を「(以下「森林所有者等」という。)は、基本理念にのつとり、森林の有する多面的機能が確保されることを旨として、その森林の整備及び保全が図られるように」に改め、同条を第九条とする。
第七条の見出し中「助長」を「支援」に改め、同条中「第三条第一項及び第五条の」を「森林及び林業に関する」に、「又は」を「、森林及び」に改め、「関する団体」の下に「並びに木材産業その他の林産物の流通及び加工の事業(以下「木材産業等」という。)の事業者」を加え、「助長する」を「支援する」に改め、同条を第八条とする。
第六条中「第三条第一項の」を「森林及び林業に関する」に改め、同条を第七条とする。
第五条の次に次の一条を加える。
(地方公共団体の責務)
第六条 地方公共団体は、基本理念にのつとり、森林及び林業に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。
(経過措置)
第二条 この法律の施行の際平成十三年におけるこの法律による改正前の林業基本法(以下「旧法」という。)第九条第一項の報告が国会に提出されていない場合には、同項の報告の国会への提出については、なお従前の例による。
2 この法律の施行前に旧法第九条第一項の規定により同項の報告が国会に提出された場合又は前項の規定によりなお従前の例によるものとされた旧法第九条第一項の規定により同項の報告が国会に提出された場合には、これらの報告は、この法律による改正後の森林・林業基本法(以下「新法」という。)第十条第一項の規定により同項の報告として国会に提出されたものとみなす。
3 この法律の施行の際平成十三年における旧法第九条第二項の文書が国会に提出されていない場合には、同項の文書の国会への提出については、なお従前の例による。
4 この法律の施行前に旧法第九条第二項の規定により同項の文書が国会に提出された場合又は前項の規定によりなお従前の例によるものとされた旧法第九条第二項の規定により同項の文書が国会に提出された場合には、これらの文書は、新法第十条第二項の規定により同項の文書として国会に提出されたものとみなす。
(森林法の一部改正)
第三条 森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項中「林業基本法」を「森林・林業基本法」に、「第十条第一項」を「第十一条第一項」に改め、「及び長期の見通し」を削る。
(森林法の一部改正に伴う経過措置)
第四条 この法律の施行の際現にたてられている旧法第十条第一項の基本計画及び長期の見通しは、新法第十一条第一項の規定により最初に同項の基本計画がたてられるまでの間は、前条の規定による改正後の森林法第四条第一項の規定の適用については、同項に規定する新法第十一条第一項の基本計画とみなす。
(農業振興地域の整備に関する法律の一部改正)
第五条 農業振興地域の整備に関する法律(昭和四十四年法律第五十八号)の一部を次のように改正する。
第二十二条第二項中「林業基本法」を「森林・林業基本法」に、「第四条」を「第五条」に改める。
(国有林野の活用に関する法律の一部改正)
第六条 国有林野の活用に関する法律(昭和四十六年法律第百八号)の一部を次のように改正する。
第一条中「林業基本法」を「森林・林業基本法」に、「第四条」を「第五条」に改める。
第二条第二項中「林業基本法第三条第一項第二号の林業構造の改善」を「林地の集団化、機械化、小規模林業経営の規模の拡大その他林地保有の合理化及び林業経営の近代化」に改める。
(農林水産省設置法の一部改正)
第七条 農林水産省設置法(平成十一年法律第九十八号)の一部を次のように改正する。
第三十二条第二項中「林業基本法」を「森林・林業基本法」に改める。
内閣総理大臣 小泉純一郎
総務大臣 片山虎之助
法務大臣 森山真弓
外務大臣 田中真紀子
財務大臣 塩川正十郎
文部科学大臣 遠山敦子
厚生労働大臣 坂口力
農林水産大臣臨時代理 国務大臣 片山虎之助
経済産業大臣 平沼赳夫
国土交通大臣 林寛子
環境大臣 川口順子