(特別地区)
第二十五条 環境庁長官は、自然環境保全地域に関する保全計画に基づいて、その区域内に、特別地区を指定することができる。
2 第十四条第四項及び第五項の規定は、特別地区の指定及び指定の解除並びにその区域の変更について準用する。
3 環境庁長官は、特別地区を指定し、又はその区域を拡張するときは、あわせて、当該自然環境保全地域に関する保全計画に基づいて、その区域内において次項の許可を受けないで行なうことができる木竹の伐採(第十項に規定する行為に該当するものを除く。)の方法及びその限度を農林大臣と協議して指定するものとする。自然環境保全地域に関する保全計画で当該特別地区に係るものの変更(第二十三条第二項第三号に掲げる事項に係る変更以外の変更を除く。)をするときも、同様とする。
4 特別地区内においては、次の各号に掲げる行為は、環境庁長官の許可を受けなければ、してはならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行なう行為、第一号若しくは第三号に掲げる行為で森林法第二十五条第一項若しくは第二項の規定により指定された保安林の区域若しくは同法第四十一条の規定により指定された保安施設地区(第二十八条第一項において「保安林等の区域」という。)内において同法第三十四条第二項(同法第四十四条において準用する場合を含む。)の許可を受けた者が行なう当該許可に係るもの又は第二号に掲げる行為で前項の規定により環境庁長官が指定する方法により当該限度内において行なうものについては、この限りでない。
一 第十七条第一項第一号から第五号までに掲げる行為
三 環境庁長官が指定する湖沼又は湿原及びこれらの周辺一キロメートルの区域内において当該湖沼若しくは湿原又はこれらに流水が流入する水域若しくは水路に汚水又は廃水を排水設備を設けて排出すること。
5 第十七条第二項の規定は、前項の許可について準用する。
6 環境庁長官は、第四項各号に掲げる行為で総理府令で定める基準に適合しないものについては、同項の許可をしてはならない。
7 特別地区内において非常災害のために必要な応急措置として第四項各号に掲げる行為をした者は、その行為をした日から起算して十四日以内に、環境庁長官にその旨を届け出なければならない。
8 特別地区が指定され、若しくはその区域が拡張された際当該特別地区内において第四項第一号若しくは第二号に掲げる行為に着手し、又は同項第三号に規定する湖沼若しくは湿原が指定された際同号に規定する区域内において同号に掲げる行為に着手している者は、その指定又は区域の拡張の日から起算して六月間は、同項の規定にかかわらず、引き続き当該行為をすることができる。
9 前項に規定する者が同項の期間内に当該行為について環境庁長官に届け出たときは、第四項の許可を受けたものとみなす。
10 次の各号に掲げる行為については、第四項及び第七項の規定は、適用しない。
一 自然環境保全地域に関する保全事業の執行として行なう行為
二 法令に基づいて国又は地方公共団体が行なう行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので総理府令で定めるもの
三 通常の管理行為又は軽易な行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので総理府令で定めるもの
(野生動植物保護地区)
第二十六条 環境庁長官は、特別地区内における特定の野生動植物の保護のために特に必要があると認めるときは、自然環境保全地域に関する保全計画に基づいて、その区域内に、当該保護すべき野生動植物の種類ごとに、野生動植物保護地区を指定することができる。
2 第十四条第四項及び第五項の規定は、野生動植物保護地区の指定及び指定の解除並びにその区域の変更について準用する。
3 何人も、野生動植物保護地区内においては、当該野生動植物保護地区に係る野生動植物(動物の卵を含む。)を捕獲し、又は採取してはならない。ただし、次の各号に掲げる場合は、この限りでない。
一 前条第四項の許可を受けた行為(第三十条において準用する第二十一条第一項後段の規定による協議に係る行為を含む。)を行なうためにする場合
二 非常災害のために必要な応急措置を行なうためにする場合
三 自然環境保全地域に関する保全事業を執行するためにする場合
四 法令に基づいて国又は地方公共団体が行なう行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので総理府令で定めるものを行なうためにする場合
五 通常の管理行為又は軽易な行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので総理府令で定めるものを行なうためにする場合
六 前各号に掲げるもののほか、環境庁長官が特に必要があると認めて許可した場合
4 第十七条第二項の規定は、前項第六号の許可について準用する。
(海中特別地区)
第二十七条 環境庁長官は、自然環境保全地域に関する保全計画に基づいて、その区域内に、海中特別地区を指定することができる。
2 第十四条第四項及び第五項の規定は、海中特別地区の指定及び指定の解除並びにその区域の変更について準用する。
3 海中特別地区内においては、次の各号に掲げる行為は、環境庁長官の許可を受けなければ、してはならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行なう行為又は第一号から第三号まで及び第六号に掲げる行為で漁具の設置その他漁業を行なうために必要とされるものについては、この限りでない。
五 熱帯魚、さんご、海そうその他これらに類する動植物で、海中特別地区ごとに環境庁長官が農林大臣の同意を得て指定するものを採捕すること。
4 第十七条第二項の規定は、前項の許可について準用する。
5 環境庁長官は、第三項各号に掲げる行為で総理府令で定める基準に適合しないものについては、同項の許可をしてはならない。
6 海中特別地区内において非常災害のために必要な応急措置として第三項各号に掲げる行為をした者は、その行為をした日から起算して十四日以内に、環境庁長官にその旨を届け出なければならない。
7 海中特別地区が指定され、又はその区域が拡張された際当該海中特別地区内において第三項各号に掲げる行為に着手している者は、その指定又は区域の拡張の日から起算して六月間は、同項の規定にかかわらず、引き続き当該行為をすることができる。
8 前項に規定する者が同項の期間内に当該行為について環境庁長官に届け出たときは、第三項の許可を受けたものとみなす。
9 次の各号に掲げる行為については、第三項及び第六項の規定は、適用しない。
一 自然環境保全地域に関する保全事業の執行として行なう行為
二 法令に基づいて国又は地方公共団体が行なう行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので総理府令で定めるもの
三 通常の管理行為又は軽易な行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので総理府令で定めるもの
(普通地区)
第二十八条 自然環境保全地域の区域のうち特別地区及び海中特別地区に含まれない区域(以下「普通地区」という。)内において次の各号に掲げる行為をしようとする者は、あらかじめ、環境庁長官にその旨を届け出なければならない。ただし、第一号から第三号までに掲げる行為で森林法第三十四条第二項本文の規定に該当するものを保安林等の区域内においてしようとする者及び第一号から第三号までに掲げる行為で海面内において漁具の設置その他漁業を行なうために必要とされるものをしようとする者は、この限りでない。
一 その規模が総理府令で定める基準をこえる建築物その他の工作物を新築し、改築し、又は増築すること(改築又は増築後において、その規模が総理府令で定める基準をこえるものとなる場合における改築又は増築を含む。)。
二 宅地を造成し、土地を開墾し、その他土地(海底を含む。)の形質を変更すること。
五 特別地区内の河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること。
2 環境庁長官は、前項の規定による届出があつた場合において、自然環境保全地域における自然環境の保全のために必要があると認めるときは、その届出をした者に対して、その届出があつた日から起算して三十日以内に限り、当該自然環境の保全のために必要な限度において、その届出に係る行為を禁止し、若しくは制限し、又は必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。
3 環境庁長官は、第一項の規定による届出があつた場合において、実地の調査をする必要があるとき、その他前項の期間内に同項の処分をすることができない合理的な理由があるときは、その理由が存続する間、同項の期間を延長することができる。この場合においては、同項の期間内に、第一項の規定による届出をした者に対して、その旨及び期間を延長する理由を通知しなければならない。
4 各の各号に掲げる行為については、前三項の規定は、適用しない。
一 非常災害のために必要な応急措置として行なう行為
二 自然環境保全地域に関する保全事業の執行として行なう行為
三 法令に基づいて国又は地方公共団体が行なう行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので総理府令で定めるもの
四 通常の管理行為又は軽易な行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので総理府令で定めるもの
五 自然環境保全地域が指定され、又はその区域が拡張された際着手している行為
(報告及び検査等)
第二十九条 環境庁長官は、自然環境保全地域における自然環境の保全のために必要な限度において、第二十五条第四項、第二十六条第三項第六号若しくは第二十七条第三項の許可を受けた者若しくは前条第二項の規定により行為を制限され、若しくは必要な措置をとるべき旨を命ぜられた者に対し、当該行為の実施状況その他必要な事項について報告を求め、又はその職員に、自然環境保全地域の区域内の土地若しくは建物内に立ち入り、第二十五条第四項各号、第二十六条第三項本文、第二十七条第三項各号若しくは前条第一項各号に掲げる行為の実施状況を検査させ、若しくはこれらの行為の自然環境に及ぼす影響を調査させることができる。
2 前項の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(準用)
第三十条 第十八条の規定は自然環境保全地域の区域内における行為に対する命令について、第二十一条の規定は当該区域内において国の機関又は地方公共団体が行なう行為について、それぞれ準用する。この場合において、第十八条第一項中「前条第一項の規定に違反し、又は同条第二項の規定により許可に附せられた条件」とあるのは「第二十五条第四項、第二十六条第三項若しくは第二十七条第三項の規定に違反し、若しくは第二十五条第五項、第二十六条第四項若しくは第二十七条第四項において準用する第十七条第二項の規定により許可に附せられた条件に違反した者、第二十八条第一項の規定による届出をせず、同項各号に掲げる行為をした者又は同条第二項の規定による処分」と、第二十一条第一項中「第十七条第一項ただし書又は第十九条第三項第五号」とあるのは「第二十五条第四項、第二十六条第三項第六号又は第二十七条第三項」と、同条第二項中「第十七条第三項」とあるのは「第二十五条第七項、第二十七条第六項又は第二十八条第一項」と、「同項」とあるのは「これら」と読み替えるものとする。