雇用保険法
法令番号: 法律第百十六号
公布年月日: 昭和49年12月28日
法令の形式: 法律
雇用保険法をここに公布する。
御名御璽
昭和四十九年十二月二十八日
内閣総理大臣 三木武夫
法律第百十六号
雇用保険法
目次
第一章
総則(第一条―第四条)
第二章
適用事業等(第五条―第九条)
第三章
失業給付
第一節
通則(第十条―第十二条)
第二節
一般被保険者の求職者給付
第一款
基本手当(第十三条―第三十五条)
第二款
技能習得手当及び寄宿手当(第三十六条)
第三款
傷病手当(第三十七条)
第三節
短期雇用特例被保険者の求職者給付(第三十八条―第四十一条)
第四節
日雇労働被保険者の求職者給付(第四十二条―第五十六条)
第五節
就職促進給付(第五十七条―第六十一条)
第四章
雇用改善事業、能力開発事業及び雇用福祉事業(第六十二条―第六十五条)
第五章
費用の負担(第六十六条―第六十八条)
第六章
不服申立て及び訴訟(第六十九条―第七十一条)
第七章
雑則(第七十二条―第八十二条)
第八章
罰則(第八十三条―第八十六条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 雇用保険は、労働者が失業した場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、雇用構造の改善、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図ることを目的とする。
(管掌)
第二条 雇用保険は、政府が管掌する。
2 雇用保険の事務の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事に行わせることができる。
(雇用保険事業)
第三条 雇用保険は、第一条の目的を達成するため、失業給付を行うほか、雇用改善事業、能力開発事業及び雇用福祉事業を行うことができる。
(定義)
第四条 この法律において「被保険者」とは、適用事業に雇用される労働者であつて、第六条各号に掲げる者以外のものをいう。
2 この法律において「離職」とは、被保険者について、事業主との雇用関係が終了することをいう。
3 この法律において「失業」とは、被保険者が離職し、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあることをいう。
4 この法律において「貸金」とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うもの(通貨以外のもので支払われるものであつて、労働省令で定める範囲外のものを除く。)をいう。
5 賃金のうち通貨以外のもので支払われるものの評価に関して必要な事項は、労働省令で定める。
第二章 適用事業等
(適用事業)
第五条 この法律においては、労働者が雇用される事業を適用事業とする。
2 適用事業についての保険関係の成立及び消滅については、労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和四十四年法律第八十四号。以下「徴収法」という。)の定めるところによる。
(適用除外)
第六条 次の各号に掲げる者については、この法律は、適用しない。
一 第四十二条に規定する日雇労働者であつて、第四十三条第一項各号のいずれにも該当しないもの(労働省令で定めるところにより公共職業安定所長の認可を受けた者を除く。)
二 四箇月以内の期間を予定して行われる季節的事業に雇用される者
三 船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)第十七条の規定による船員保険の被保険者
四 国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業に雇用される者のうち、離職した場合に、他の法令、条例、規則等に基づいて支給を受けるべき諸給与の内容が、失業給付の内容を超えると認められる者であつて、労働省令で定めるもの
(被保険者に関する届出)
第七条 事業主(徴収法第八条第一項又は第二項の規定により元請負人が事業主とされる場合にあつては、当該事業に係る労働者のうち元請負人が雇用する労働者以外の労働者については、当該労働者を雇用する下請負人。以下同じ。)は、労働省令で定めるところにより、その雇用する労働者に関し、当該事業主の行う適用事業(同条第一項又は第二項の規定により数次の請負によつて行われる事業が一の事業とみなされる場合にあつては、当該事業に係る労働者のうち元請負人が雇用する労働者以外の労働者については、当該請負に係るそれぞれの事業。以下同じ。)に係る被保険者となつたこと、当該事業主の行う適用事業に係る被保険者でなくなつたことその他労働省令で定める事項を労働大臣に届け出なければならない。当該事業主から徴収法第三十三条第一項の委託を受けて同項に規定する労働保険事務の一部として前段の届出に関する事務を処理する同条第三項に規定する労働保険事務組合(以下「労働保険事務組合」という。)についても、同様とする。
(確認の請求)
第八条 被保険者又は被保険者であつた者は、いつでも、次条の規定による確認を請求することができる。
(確認)
第九条 労働大臣は、第七条の規定による届出若しくは前条の規定による請求により、又は職権で、労働者が被保険者となつたこと又は被保険者でなくなつたことの確認を行うものとする。
第三章 失業給付
第一節 通則
(失業給付)
第十条 失業給付は、求職者給付及び就職促進給付とする。
2 求職者給付は、次のとおりとする。
一 基本手当
二 技能習得手当
三 寄宿手当
四 傷病手当
3 前項の規定にかかわらず、第三十八条第一項に規定する短期雇用特例被保険者に係る求職者給付は、特例一時金とし、第四十三条第一項に規定する日雇労働被保険者に係る求職者給付は、日雇労働求職者給付金とする。
4 就職促進給付は、次のとおりとする。
一 常用就職支度金
二 移転費
三 広域求職活動費
(受給権の保護)
第十一条 失業給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。
(公課の禁止)
第十二条 租税その他の公課は、失業給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない。
第二節 一般被保険者の求職者給付
第一款 基本手当
(基本手当の受給資格)
第十三条 基本手当は、被保険者が失業した場合において、離職の日以前一年間(当該一年間に疾病、負傷その他労働省令で定める理由により引き続き三十日以上賃金の支払を受けることができなかつた被保険者については、当該理由により賃金の支払を受けることができなかつた日数を一年に加算した期間(その期間が四年を超えるときは、四年間)。第十七条第一項において「算定対象期間」という。)に、次条の規定による被保険者期間が通算して六箇月以上であつたときに、この款の定めるところにより、支給する。
(被保険者期間)
第十四条 被保険者期間は、被保険者であつた期間のうち、当該被保険者でなくなつた日又は各月においてその日に応当し、かつ、当該被保険者であつた期間内にある日(その日に応当する日がない月においては、その月の末日。以下この項において「喪失応当日」という。)の各前日から各前月の喪失応当日までさかのぼつた各期間(賃金の支払の基礎となつた日数が十四日以上であるものに限る。)を一箇月として計算し、その他の期間は、被保険者期間に算入しない。ただし、当該被保険者となつた日からその日後における最初の喪失応当日の前日までの期間の日数が十五日以上であり、かつ、当該期間内における賃金の支払の基礎となつた日数が十四日以上であるときは、当該期間を二分の一箇月の被保険者期間として計算する。
2 前項の規定により被保険者期間を計算する場合において、次の各号に掲げる期間は、同項に規定する被保険者であつた期間に含めない。
一 最後に被保険者となつた日前に、当該被保険者が受給資格(前条の規定により基本手当の支給を受けることができる資格をいう。次節及び第四節を除き、以下同じ。)又は第三十九条第二項に規定する特例受給資格を取得したことがある場合には、当該受給資格又は特例受給資格に係る離職の日以前における被保険者であつた期間
二 第九条の規定による被保険者となつたことの確認があつた日の二年前の日前における被保険者であつた期間
(失業の認定)
第十五条 基本手当は、受給資格を有する者(次節及び第四節を除き、以下「受給資格者」という。)が失業している日(失業していることについての認定を受けた日に限る。以下この款において同じ。)について支給する。
2 前項の失業していることについての認定(以下この款において「失業の認定」という。)を受けようとする受給資格者は、離職後、労働省令で定めるところにより、公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをしなければならない。
3 失業の認定は、求職の申込みを受けた公共職業安定所において、受給資格者が離職後最初に出頭した日から起算して四週間に一回ずつ直前の二十八日の各日について行うものとする。ただし、労働大臣は、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等(職業訓練法(昭和四十四年法律第六十四号)第十四条に規定する公共職業訓練施設(第六十三条第一項第二号及び第五号において「公共職業訓練施設」という。)の行う職業訓練その他法令の規定に基づき失業者に対して作業環境に適応することを容易にさせ、又は就職に必要な知識及び技能を習得させるために行われる訓練又は講習であつて、政令で定めるものをいう。以下同じ。)を受ける受給資格者その他労働省令で定める受給資格者に係る失業の認定について別段の定めをすることができる。
4 受給資格者は、次の各号のいずれかに該当するときは、前二項の規定にかかわらず、労働省令で定めるところにより、公共職業安定所に出頭することができなかつた理由を記載した証明書を提出することによつて、失業の認定を受けることができる。
一 疾病又は負傷のために公共職業安定所に出頭することができなかつた場合において、その期間が継続して十五日未満であるとき。
二 公共職業安定所の紹介に応じて求人者に面接するために公共職業安定所に出頭することができなかつたとき。
三 公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるために公共職業安定所に出頭することができなかつたとき。
四 天災その他やむを得ない理由のために公共職業安定所に出頭することができなかつたとき。
(基本手当の日額)
第十六条 基本手当の日額は、次条に規定する賃金日額に百分の六十(千八百円以上三千円以下の賃金日額(その額が第十八条第一項の規定により変更されたときは、その変更された額)については、百分の八十から百分の六十までの範囲で、賃金日額の逓増に応じ、逓減した率)を乗じて得た額を基準として、労働大臣が定める基本手当日額表における受給資格者の賃金日額の属する賃金等級に応じて定められた金額とする。
(賃金日額)
第十七条 賃金日額は、算定対象期間において第十四条(第一項ただし書を除く。)の規定により被保険者期間として計算された最後の六箇月間に支払われた賃金の総額を百八十で除して得た額とする。
2 前項の規定による額が次の各号に掲げる額に満たないときは、賃金日額は、同項の規定にかかわらず、当該各号に掲げる額とする。
一 賃金が、労働した日若しくは時間によつて算定され、又は出来高払制その他の請負制によつて定められている場合には、前項に規定する六箇月間に支払われた賃金の総額を当該六箇月間に労働した日数で除して得た額の百分の七十に相当する額
二 賃金の一部が、月、週その他一定の期間によつて定められている場合には、その部分の総額をその期間の総日数(賃金の一部が月によつて定められている場合には、一箇月を三十日として計算する。)で除して得た額と前号に掲げる額との合算額
3 前二項の規定により賃金日額を算定することが困難であるとき、又はこれらの規定により算定した賃金日額が著しく不当であるときは、労働大臣が定めるところにより算定した額を賃金日額とする。
4 前三項の規定にかかわらず、これらの規定により算定した賃金日額が、第一号に掲げる額を下るときはその額を、第二号に掲げる額を超えるときはその額を、それぞれ賃金日額とする。
一 千八百円(その額が次条第一項の規定により変更されたときは、その変更された額)
二 七千五百円(その額が次条第一項の規定により変更されたときは、その変更された額)
(基本手当の日額の自動的変更)
第十八条 労働大臣は、労働省において作成する毎月勤労統計における労働者の平均定期給与額(以下この条において「平均定期給与額」という。)が、基本手当日額表の制定又は改正の基礎となつた平均定期給与額の百分の百二十を超え、又は百分の八十を下るに至つた場合において、その状態が継続すると認めるときは、その平均定期給与額の上昇し、又は低下した比率に応じて、基本手当日額表における第十六条に規定する千八百円以上三千円以下の賃金日額及び前条第四項各号に掲げる額を変更した上、基本手当日額表を改正しなければならない。
2 前項の規定により基本手当日額表が改正された場合において、改正の基礎となつた平均定期給与額が、当該平均定期給与額に係る月の前十二月のいずれかの月の平均定期給与額の百分の百二十を超え、又は百分の八十を下るものであるときは、改正の基礎となつた平均定期給与額に係る月前に離職した受給資格者に支給すべき基本手当については、改正後の基本手当日額表は、適用しない。この場合において、労働大臣は、当該受給資格者に支給すべき基本手当について、その者が離職した日の属する月の平均定期給与額に対する改正の基礎となつた平均定期給与額の上昇又は低下の比率を考慮して、改正の基礎となつた平均定期給与額に係る月以後に離職した受給資格者に支給すべき基本手当の日額と均衡を失しないように、基本手当の日額を新たに定めるものとする。
(基本手当の減額)
第十九条 受給資格者が、失業の認定に係る期間中に自己の労働によつて収入を得た場合には、その収入の基礎となつた日数(以下この項において「基礎日数」という。)分の基本手当の支給については、次の各号に定めるところによる。
一 その収入の一日分に相当する額(収入の総額を基礎日数で除して得た額をいう。)から五百円を控除した額と基本手当の日額との合計額(次号において「合計額」という。)が賃金日額の百分の八十に相当する額を超えないとき。 基本手当の日額に基礎日数を乗じて得た額を支給する。
二 合計額が賃金日額の百分の八十に相当する額を超えるとき(次号に該当する場合を除く。)。当該超える額(次号において「超過額」という。)を基本手当の日額から控除した残りの額に基礎日数を乗じて得た額を支給する。
三 超過額が基本手当の日額以上であるとき。 基礎日数分の基本手当を支給しない。
2受給資格者は、失業の認定を受けた期間中に自己の労働によつて収入を得たときは、労働省令で定めるところにより、その収入の額その他の事項を公共職業安定所長に届け出なければならない。
(支給の期間及び日数)
第二十条 基本手当は、この法律に別段の定めがある場合を除き、当該基本手当の受給資格に係る離職の日の翌日から起算して一年(当該一年の期間内に妊娠、出産、育児その他労働省令で定める理由により引き続き三十日以上職業に就くことができない者が、労働省令で定めるところにより公共職業安定所長にその旨を申し出た場合には、当該理由により職業に就くことができない日数を加算するものとし、その加算された期間が四年を超えるときは、四年とする。)の期間内の失業している日について、第二十二条第一項に規定する所定給付日数に相当する日数分を限度として支給する。
2 前項の場合において、同項の受給資格(以下この項において「前の受給資格」という。)を有する者が、前項の規定による期間内に新たに受給資格又は第三十九条第二項に規定する特例受給資格を取得したときは、その取得した日以後においては、前の受給資格に基づく基本手当は、支給しない。
(待期)
第二十一条 基本手当は、受給資格者が当該基本手当の受給資格に係る離職後最初に公共職業安定所に求職の申込みをした日以後において、失業している日(疾病又は負傷のため職業に就くことができない日を含む。)が通算して七日に満たない間は、支給しない。
(所定給付日数)
第二十二条 一の受給資格に基づき基本手当を支給する日数(以下「所定給付日数」という。)は、次の各号に掲げる受給資格者の区分に応じ、当該各号に定める日数とする。
一 当該基本手当の受給資格に係る離職の日(以下この条において「基準日」という。)において五十五歳以上である受給資格者 三百日
二 基準日において四十五歳以上五十五歳未満である受給資格者及び基準日において四十五歳未満である受給資格者で労働省令で定める理由により就職が困難なもの 二百四十日
三 基準日において三十歳以上四十五歳未満である受給資格者(前号に掲げる労働省令で定める理由により就職が困難な者を除く。) 百八十日
四 基準日において三十歳未満である受給資格者(第二号に掲げる労働省令で定める理由により就職が困難な者を除く。)九十日
2 前項第一号から第三号までに掲げる受給資格者であつて、基準日まで引き続いて同一の事業主の適用事業に雇用された期間(以下この項において「基準日前の雇用期間」という。)が一年未満であるもの(当該基準日前の雇用期間に係る被保険者となつた日前一年の期間内に被保険者であつたことがある者であつて、当該基準日前の雇用期間と当該被保険者であつた期間(当該基準日前の雇用期間に係る被保険者となつた日前に基本手当又は特例一時金の支給を受けたことのある者については、これらの給付の受給資格又は第三十九条第二項に規定する特例受給資格に係る離職の日以前の被保険者であつた期間を除くものとし、当該被保険者であつた期間に係る被保険者となつた日が第九条の規定による当該被保険者となつたことの確認があつた日の二年前の日より前の日である者については、当該期間のうち当該確認があつた日の二年前の日前の期間を除く。)とを通算した期間が一年以上であるものを除く。)に係る所定給付日数は、前項第一号から第三号までの規定にかかわらず、九十日とする。
(個別延長給付)
第二十三条 公共職業安定所長が政令で定める基準に照らして就職が困難な者であると認めた受給資格者については、次項の規定による期間内の失業している日について、所定給付日数(当該受給資格者が第二十条第一項の規定による期間内に基本手当の支給を受けた日数が所定給付日数に満たない場合には、その支給を受けた日数。以下この節において同じ。)を超えて、基本手当を支給することができる。この場合において、所定給付日数を超えて基本手当を支給する日数は、政令で定める日数を限度とするものとする。
2 前項の規定による基本手当の支給(以下「個別延長給付」という。)を受ける受給資格者の受給期間(当該期間内の失業している日について基本手当の支給を受けることができる期間をいう。以下同じ。)は、第二十条第一項の規定にかかわらず、同項の規定による期間に前項後段に規定する政令で定める日数を加えた期間とする。
(訓練延長給付)
第二十四条 受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等(その期間が政令で定める期間を超えるものを除く。次項、第三十六条第一項及び第二項並びに第四十一条第一項において同じ。)を受ける場合には、当該公共職業訓練等を受ける期間内の失業している日について、所定給付日数を超えてその者に基本手当を支給することができる。
2 前項の規定による基本手当の支給(第二十八条において「訓練延長給付」という。)を受ける受給資格者が第二十条第一項の規定による期間を超えて公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるときは、その者の受給期間は、同項の規定にかかわらず、当該公共職業訓練等を受け終わる日までの間とする。
(広域延長給付)
第二十五条 労働大臣は、職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第十九条の二に規定する職業紹介活動(以下この条において「広域職業紹介活動」という。)をすることを命じた場合において、当該広域職業紹介活動の命令に係る地域について、政令で定める基準に照らして必要があると認めるときは、その指定する期間内に限り、公共職業安定所長が当該地域に係る当該広域職業紹介活動により職業のあつせんを受けることが適当であると認定する受給資格者について、第四項の規定による期間内の失業している日について、所定給付日数を超えて基本手当を支給する措置を決定することができる。この場合において、所定給付日数を超えて基本手当を支給する日数は、政令で定める日数を限度とするものとする。
2 前項の措置に基づく基本手当の支給(以下「広域延長給付」という。)を受けることができる者が労働大臣の指定する地域に住所又は居所を変更した場合には、引き続き当該措置に基づき基本手当を支給することができる。
3 公共職業安定所長は、受給資格者が広域職業紹介活動により職業のあつせんを受けることが適当であるかどうかを認定するときは、労働大臣の定める基準によらなければならない。
4 広域延長給付を受ける受給資格者の受給期間は、第二十条第一項の規定にかかわらず、同項の規定による期間に第一項後段に規定する政令で定める日数を加えた期間とする。
第二十六条 前条第一項の措置が決定された日以後に他の地域から当該措置に係る地域に移転した受給資格者であつて、その移転について特別の理由がないと認められるものには、当該措置に基づく基本手当は、支給しない。
2 前項に規定する特別の理由があるかどうかの認定は、公共職業安定所長が労働大臣の定める基準に従つてするものとする。
(全国延長給付)
第二十七条 労働大臣は、失業の状況が全国的に著しく悪化し、政令で定める基準に該当するに至つた場合において、受給資格者の就職状況からみて必要があると認めるときは、その指定する期間内に限り、第三項の規定による期間内の失業している日について、所定給付日数を超えて受給資格者に基本手当を支給する措置を決定することができる。この場合において、所定給付日数を超えて基本手当を支給する日数は、政令で定める日数を限度とするものとする。
2 労働大臣は、前項の措置を決定した後において、政令で定める基準に照らして必要があると認めるときは、同項の規定により指定した期間(その期間がこの項の規定により延長されたときは、その延長された期間)を延長することができる。
3 第一項の措置に基づく基本手当の支給(以下「全国延長給付」という。)を受ける受給資格者の受給期間は、第二十条第一項の規定にかかわらず、同項の規定による期間に第一項後段に規定する政令で定める日数を加えた期間とする。
(延長給付に関する調整)
第二十八条 広域延長給付を受けている受給資格者については、当該広域延長給付が終わつた後でなければ全国延長給付、個別延長給付及び訓練延長給付は行わず、全国延長給付を受けている受給資格者については、当該全国延長給付が終わつた後でなければ個別延長給付及び訓練延長給付は行わず、個別延長給付を受けている受給資格者については、当該個別延長給付が終わつた後でなければ訓練延長給付は行わない。
2 個別延長給付又は訓練延長給付を受けている受給資格者について広域延長給付又は全国延長給付が行われることとなつたときは、これらの延長給付が行われる間は、その者について個別延長給付又は訓練延長給付は行わず、全国延長給付を受けている受給資格者について広域延長給付が行われることとなつたときは、広域延長給付が行われる間は、その者について全国延長給付は行わない。
3 前二項に規定するもののほか、第一項に規定する各延長給付を順次受ける受給資格者に係る基本手当を支給する日数、受給期間その他これらの延長給付についての調整に関して必要な事項は、政令で定める。
(給付日数を延長した場合の給付制限)
第二十九条 個別延長給付、広域延長給付又は全国延長給付を受けている受給資格者が、正当な理由がなく、公共職業安定所の紹介する職業に就くこと、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けること又は労働大臣の定める基準に従つて公共職業安定所が行うその者の再就職を促進するために必要な職業指導を受けることを拒んだときは、その拒んだ日以後基本手当を支給しない。ただし、その者が新たに受給資格を取得したときは、この限りでない。
2 前項に規定する正当な理由があるかどうかの認定は、公共職業安定所長が労働大臣の定める基準に従つてするものとする。
(支給方法及び支給期日)
第三十条 基本手当は、労働省令で定めるところにより、四週間に一回、失業の認定を受けた日分を支給するものとする。ただし、労働大臣は、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける受給資格者その他労働省令で定める受給資格者に係る基本手当の支給について別段の定めをすることができる。
2 公共職業安定所長は、各受給資格者について基本手当を支給すべき日を定め、その者に通知するものとする。
(未支給の基本手当)
第三十一条 受給資格者が死亡した場合において、その者に支給されるべき基本手当でまだ支給されていないものがあるときは、その者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の基本手当の支給を請求することができる。
2 前項の規定により、受給資格者が死亡したため失業の認定を受けることができなかつた期間に係る基本手当の支給を請求する者は、労働省令で定めるところにより、当該受給資格者について失業の認定を受けなければならない。
3 第一項の受給資格者が第十九条第一項の規定に該当する場合には、第一項の規定による未支給の基本手当の支給を受けるべき者は、労働省令で定めるところにより、同条第一項の収入の額その他の事項を公共職業安定所長に届け出なければならない。
4 第一項の規定による未支給の基本手当の支給を受けるべき者の順位は、同項に規定する順序による。
5 第一項の規定による未支給の基本手当の支給を受けるべき同順位者が二人以上あるときは、その一人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その一人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。
(給付制限)
第三十二条 受給資格者(個別延長給付、広域延長給付又は全国延長給付を受けている者を除く。以下この条において同じ。)が、公共職業安定所の紹介する職業に就くこと又は公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けることを拒んだときは、その拒んだ日から起算して一箇月間は、基本手当を支給しない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
一 紹介された職業又は公共職業訓練等を受けることを指示された職種が、受給資格者の能力からみて不適当であると認められるとき。
二 就職するため、又は公共職業訓練等を受けるため、現在の住所又は居所を変更することを要する場合において、その変更が困難であると認められるとき。
三 就職先の賃金が、同一地域における同種の業務及び同程度の技能に係る一般の賃金水準に比べて、不当に低いとき。
四 職業安定法第二十条(第二項ただし書を除く。)の規定に該当する事業所に紹介されたとき。
五 その他正当な理由があるとき。
2 受給資格者が、正当な理由がなく、労働大臣の定める基準に従つて公共職業安定所が行うその者の再就職を促進するために必要な職業指導を受けることを拒んだときは、その拒んだ日から起算して一箇月を超えない範囲内において公共職業安定所長の定める期間は、基本手当を支給しない。
3 受給資格者についての第一項各号のいずれかに該当するかどうかの認定及び前項に規定する正当な理由があるかどうかの認定は、公共職業安定所長が労働大臣の定める基準に従つてするものとする。
第三十三条 被保険者が自己の責めに帰すべき重大な理由によつて解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によつて退職した場合には、第二十一条の規定による期間の満了後一箇月以上二箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間は、基本手当を支給しない。
2 受給資格者が前項の場合に該当するかどうかの認定は、公共職業安定所長が労働大臣の定める基準に従つてするものとする。
第三十四条 偽りその他不正の行為により失業給付の支給を受け、又は受けようとした者には、当該給付の支給を受け、又は受けようとした日以後、基本手当を支給しない。ただし、やむを得ない理由がある場合には、基本手当の全部又は一部を支給することができる。
2 前項に規定する者が同項に規定する日以後新たに受給資格を取得した場合には、同項の規定にかかわらず、その新たに取得した受給資格に基づく基本手当を支給する。
3 受給資格者が第一項の規定により基本手当を支給されないこととされたため、当該受給資格に基づき基本手当の支給を受けることができる日数の全部について基本手当の支給を受けることができなくなつた場合においても、第二十二条第二項の規定の適用については、当該受給資格に基づく基本手当の支給があつたものとみなす。
4 受給資格者が第一項の規定により基本手当を支給されないこととされたため、同項に規定する日以後当該受給資格に基づき基本手当の支給を受けることができる日数の全部又は一部について基本手当の支給を受けることができなくなつたときは、第三十七条第四項の規定の適用については、その支給を受けることができないこととされた日数分の基本手当の支給があつたものとみなす。
(返還命令等)
第三十五条 偽りその他不正の行為により基本手当の支給を受けた者がある場合には、政府は、その者に対して、支給した基本手当の全部又は一部を返還することを命ずることができ、また、労働大臣の定める基準により、当該偽りその他不正の行為により支給を受けた基本手当の額に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができる。
2 前項の場合において、事業主が偽りの届出、報告又は証明をしたためその基本手当が支給されたものであるときは、政府は、その事業主に対し、その基本手当の支給を受けた者と連帯して、同項の規定による基本手当の返還又は納付を命ぜられた金額の納付をすることを命ずることができる。
3 徴収法第二十六条及び第四十一条第二項の規定は、前二項の規定により返還又は納付を命ぜられた金額の納付を怠った場合に準用する。
第二款 技能習得手当及び寄宿手当
(技能習得手当及び寄宿手当)
第三十六条 技能習得手当は、受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける場合に、その公共職業訓練等を受ける期間について支給する。
2 寄宿手当は、受給資格者が、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるため、その者により生計を維持されている同居の親族(婚姻の届出をしていないが、事実上その者と婚姻関係と同様の事情にある者を含む。第五十八条第二項において同じ。)と別居して寄宿する場合に、その寄宿する期間について支給する。
3 第三十二条第一項若しくは第二項又は第三十三条第一項の規定により基本手当を支給しないこととされる期間については、技能習得手当及び寄宿手当を支給しない。
4 技能習得手当及び寄宿手当の支給要件及び額は、労働省令で定める。
5 第三十一条第一項、第四項及び第五項、第三十四条第一項及び第二項並びに前条の規定は、技能習得手当及び寄宿手当について準用する。
第三款 傷病手当
(傷病手当)
第三十七条 傷病手当は、受給資格者が、離職後公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをした後において、疾病又は負傷のために職業に就くことができない場合に、第二十条第一項の規定による期間内の当該疾病又は負傷のために基本手当の支給を受けることができない日(疾病又は負傷のために基本手当の支給を受けることができないことについての認定を受けた日に限る。)について、第四項の規定による日数に相当する日数分を限度として支給する。
2 前項の認定は、労働省令で定めるところにより、公共職業安定所長が行う。
3 傷病手当の日額は、第十六条の規定による基本手当の日額に相当する額とする。
4 傷病手当を支給する日数は、第一項の認定を受けた受給資格者の所定給付日数から当該受給資格に基づき既に基本手当を支給した日数を差し引いた日数とする。
5 第三十二条第一項若しくは第二項又は第三十三条第一項の規定により基本手当を支給しないこととされる期間については、傷病手当を支給しない。
6 傷病手当を支給したときは、この法律の規定(第三十四条及び第三十五条の規定を除く。)の適用については、当該傷病手当を支給した日数に相当する日数分の基本手当を支給したものとみなす。
7 傷病手当は、労働省令で定めるところにより、第一項の認定を受けた日分を、当該職業に就くことができない理由がやんだ後最初に基本手当を支給すべき日(当該職業に就くことができない理由がやんだ後において基本手当を支給すべき日がない場合には、公共職業安定所長の定める日)に支給する。ただし、労働大臣は、必要があると認めるときは、傷病手当の支給について別段の定めをすることができる。
8 第一項の認定を受けた受給資格者が、当該認定を受けた日について、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第四十五条の規定による傷病手当金、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第七十六条の規定による休業補償、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)の規定による休業補償給付又は休業給付その他これらに相当する給付であつて法令(法令の規定に基づく条例又は規約を含む。)により行われるもののうち政令で定めるものの支給を受けることができる場合には、傷病手当は、支給しない。
9 第十九条、第二十一条、第三十一条、第三十四条第一項及び第二項並びに第三十五条の規定は、傷病手当について準用する。この場合において、第十九条及び第三十一条第二項中「失業の認定」とあるのは、「第三十七条第一項の認定」と読み替えるものとする。
第三節 短期雇用特例被保険者の求職者給付
(短期雇用特例被保険者)
第三十八条 被保険者であつて、次の各号のいずれかに該当するもの(第四十三条第一項に規定する日雇労働被保険者を除く。以下「短期雇用特例被保険者」という。)が失業した場合には、この節の定めるところにより、特例一時金を支給する。
一 季節的に雇用される者(次号に掲げる者を除く。)
二 短期の雇用(同一の事業主に引き続き被保険者として雇用される期間が一年未満である雇用をいう。)に就くことを常態とする者
2 被保険者が前項各号に掲げる者に該当するかどうかの確認は、労働大臣が行う。
3 短期雇用特例被保険者に関しては、前節及び次節の規定は、適用しない。
(特例受給資格)
第三十九条 特例一時金は、短期雇用特例被保険者が失業した場合において、離職の日以前一年間(当該一年間に疾病、負傷その他労働省令で定める理由により引き続き三十日以上賃金の支払を受けることができなかつた短期雇用特例被保険者については、当該理由により賃金の支払を受けることができなかつた日数を一年に加算した期間(その期間が四年を超えるときは、四年間))に、第十四条の規定による被保険者期間が通算して六箇月以上であつたときに、次条に定めるところにより、支給する。
2 前項の規定により特例一時金の支給を受けることができる資格(以下「特例受給資格」という。)を有する者(以下「特例受給資格者」という。)が次条第二項の規定による期間内に特例一時金の支給を受けることなく就職した後再び失業した場合(新たに第十四条第二項第一号に規定する受給資格又は特例受給資格を取得した場合を除く。)において、当該期間内に公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをした上、次条第二項の認定を受けたときは、その者は、当該特例受給資格に基づく特例一時金の支給を受けることができる。
(特例一時金)
第四十条 特例一時金の額は、特例受給資格者を第十五条第一項に規定する受給資格者とみなして第十六条から第十八条までの規定を適用した場合にその者に支給されることとなる基本手当の日額の五十日分(次項の認定があつた日から同項の規定による期間の最後の日までの日数が五十日に満たない場合には、その日数に相当する日数分)とする。
2 特例一時金の支給を受けようとする特例受給資格者は、離職の日の翌日から起算して六箇月を経過する日までに、労働省令で定めるところにより、公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをした上、失業していることについての認定を受けなければならない。
3 第二十一条、第三十一条(第三項を除く。)、第三十二条、第三十三条、第三十四条第一項から第三項まで及び第三十五条の規定は、特例一時金について準用する。この場合において、第二十一条中「受給資格者」とあるのは「特例受給資格者」と、「受給資格」とあるのは「特例受給資格」と、第三十一条第一項中「受給資格者」とあるのは「特例受給資格者」と、同条第二項中「受給資格者」とあるのは「特例受給資格者」と、「失業の認定を受けることができなかつた期間に係る」とあるのは「第四十条第二項の認定を受けることができなかつた」と、「失業の認定を受けなければならない」とあるのは「同項の認定を受けなければならない」と、第三十二条及び第三十三条第二項中「受給資格者」とあるのは「特例受給資格者」と、第三十四条第二項中「受給資格」とあるのは「特例受給資格」と、同条第三項中「受給資格者」とあるのは「特例受給資格者」と、「受給資格」とあるのは「特例受給資格」とそれぞれ読み替えるものとする。
(公共職業訓練等を受ける場合)
第四十一条 特例受給資格者が、当該特例受給資格に基づく特例一時金の支給を受ける前に公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等(その期間が政令で定める期間に達しないものを除く。)を受ける場合には、第十条第三項及び前二条の規定にかかわらず、特例一時金を支給しないものとし、その者を第十五条第一項に規定する受給資格者とみなして、当該公共職業訓練等を受け終わる日までの間に限り、前節に定めるところにより、求職者給付を支給する。
2 前項の特例受給資格者は、当該特例受給資格に係る被保険者となつた日前に第二十九条第一項又は第三十四条第一項の規定により基本手当の支給を受けることができないこととされている場合においても、前項の規定により求職者給付の支給を受けることができる。
第四節 日雇労働被保険者の求職者給付
(日雇労働者)
第四十二条 この節において日雇労働者とは、次の各号のいずれかに該当する労働者(前二月の各月において十八日以上同一の事業主の適用事業に雇用された者(次条第二項の認可を受けた者を除く。)を除く。)をいう。
一 日々雇用される者
二 三十日以内の期間を定めて雇用される者
(日雇労働被保険者)
第四十三条 被保険者である日雇労働者であつて、次の各号のいずれかに該当するもの及び第六条第一項の認可を受けたもの(以下「日雇労働被保険者」という。)が失業した場合には、この節の定めるところにより、日雇労働求職者給付金を支給する。
一 特別区若しくは公共職業安定所の所在する市町村の区域(労働大臣が指定する区域を除く。)又はこれらに隣接する市町村の全部又は一部の区域であつて、労働大臣が指定するもの(以下この項において「適用区域」という。)に居住し、適用事業に雇用される者
二 適用区域外の地域に居住し、適用区域内にある適用事業に雇用される者
三 適用区域外の地域に居住し、適用区域外の地域にある適用事業であつて、日雇労働の労働市場の状況その他の事情に基づいて労働大臣が指定したものに雇用される者
2 日雇労働被保険者が前二月の各月において十八日以上同一の事業主の適用事業に雇用された場合において、労働省令で定めるところにより公共職業安定所長の認可を受けたときは、その者は、引き続き、日雇労働被保険者となることができる。
3 前二月の各月において十八日以上同一の事業主の適用事業に雇用された日雇労働被保険者が前項の認可を受けなかつたため、日雇労働被保険者とされなくなつた最初の月に離職し、失業した場合には、その失業した月の間における日雇労働求職者給付金の支給については、その者を日雇労働被保険者とみなす。
4 日雇労働被保険者に関しては、第六条(第二号に限る。)及び第七条から第九条まで並びに前二節の規定は、適用しない。
(日雇労働被保険者手帳)
第四十四条 日雇労働被保険者は、労働省令で定めるところにより、公共職業安定所において、日雇労働被保険者手帳の交付を受けなければならない。
(日雇労働求職者給付金の受給資格)
第四十五条 日雇労働求職者給付金は、日雇労働被保険者が失業した場合において、その失業の日の属する月の前二月間に、その者について、徴収法第十条第二項第四号の印紙保険料(以下「印紙保険料」という。)が通算して二十八日分以上納付されているときに、第四十七条から第五十二条までに定めるところにより支給する。
第四十六条 前条の規定により日雇労働求職者給付金の支給を受けることができる者が第十五条第一項に規定する受給資格者である場合において、その者が、基本手当の支給を受けたときはその支給の対象となつた日については日雇労働求職者給付金を支給せず、日雇労働求職者給付金の支給を受けたときはその支給の対象となつた日については基本手当を支給しない。
(日雇労働被保険者に係る失業の認定)
第四十七条 日雇労働求職者給付金は、日雇労働被保険者が失業している日(失業していることについての認定を受けた日に限る。第五十四条第一号において同じ。)について支給する。
2 前項の失業していることについての認定(以下この節において「失業の認定」という。)を受けようとする者は、労働省令で定めるところにより、公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをしなければならない。
3 労働大臣は、必要があると認めるときは、前項の規定にかかわらず、日雇労働被保険者に係る失業の認定について別段の定めをすることができる。
(日雇労働求職者給付金の日額)
第四十八条 日雇労働求職者給付金の日額は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める額とする。
一 前二月間に納付された印紙保険料のうち、徴収法第二十二条第一項第一号に掲げる額(その額が同条第二項又は第四項の規定により変更されたときは、その変更された額)の印紙保険料(以下「第一級印紙保険料」という。)が二十四日分以上であるとき。 二千七百円(その額が次条第一項の規定により変更されたときは、その変更された額)
二 次のいずれかに該当するとき。 千七百七十円(その額が次条第一項の規定により変更されたときは、その変更された額)
イ 前二月間に納付された印紙保険料のうち、第一級印紙保険料及び徴収法第二十二条第一項第二号に掲げる額(その額が同条第二項又は第四項の規定により変更されたときは、その変更された額)の印紙保険料(以下「第二級印紙保険料」という。)が二十四日分以上であるとき(前号に該当するときを除く。)。
ロ 前二月間に納付された印紙保険料のうち、第一級印紙保険料及び第二級印紙保険料が二十四日分未満である場合において、第一級印紙保険料の納付額と第二級印紙保険料の納付額との合計額に、徴収法第二十二条第一項第三号に掲げる額(その額が同条第二項又は第四項の規定により変更されたときは、その変更された額)の印紙保険料(次条第二項及び第五十四条において「第三級印紙保険料」という。)の納付額のうち二十四日から第一級印紙保険料及び第二級印紙保険料の納付日数を差し引いた日数に相当する日数分の額を加算した額を二十四で除して得た額が第二級印紙保険料の日額以上であるとき。
三 前二号のいずれにも該当しないとき。 千百六十円(その額が次条第一項の規定により変更されたときは、その変更された額)
(日雇労働求職者給付金の日額等の自動的変更)
第四十九条 労働大臣は、日雇労働者の賃金水準の変動等により、毎月における前条第一号に定める額の日雇労働求職者給付金(以下この条及び第五十四条において「第一級給付金」という。)の支給を受ける者の数(以下この条において「第一級受給者数」という。)に前条第二号に定める額の日雇労働求職者給付金(以下この条及び第五十四条において「第二級給付金」という。)の支給を受ける者の数(以下この条において「第二級受給者数」という。)の二分の一に相当する数を加えた数と前条第三号に定める額の日雇労働求職者給付金(以下この条及び第五十四条において「第三級給付金」という。)の支給を受ける者の数(以下この条において「第三級受給者数」という。)に第二級受給者数の二分の一に相当する数を加えた数との比率が著しく不均衡となるに至つた場合において、その状態が継続すると認めるときは、第一級給付金の日額、第二級給付金の日額及び第三級給付金の日額並びに徴収法第二十二条第一項に規定する印紙保険料の額の区分に係る賃金の日額(その額がこの項の規定により変更されたときは、その変更された額。次項において「等級区分日額」という。)を、次項及び第三項に定めるところにより、変更することができる。
2 前項の場合において、第一級受給者数に第二級受給者数の二分の一に相当する数を加えた数が第三級受給者数に第二級受給者数の二分の一に相当する数を加えた数を著しく上回り、同項に規定する比率が著しく不均衡となつたときは、第二級給付金の日額及び第三級給付金の日額並びに等級区分日額のうち第二級印紙保険料と第三級印紙保険料との区分に係る賃金の日額(以下この条において「二級・三級印紙保険料区分日額」という。)は、それぞれ、従前の第一級給付金の日額及び第二級給付金の日額並びに等級区分日額のうち第一級印紙保険料と第二級印紙保険料との区分に係る賃金の日額(以下この条において「一級・二級印紙保険料区分日額」という。)に相当する額に引き上げ、第一級給付金の日額及び一級・二級印紙保険料区分日額は、第二級給付金の日額を引き上げた比率に応じて、引き上げるものとする。
3 第一項の場合において、第三級受給者数に第二級受給者数の二分の一に相当する数を加えた数が第一級受給者数に第二級受給者数の二分の一に相当する数を加えた数を著しく上回り、同項に規定する比率が著しく不均衡となつたときは、第一級給付金の日額及び第二級給付金の日額並びに一級・二級印紙保険料区分日額は、それぞれ、従前の第二級給付金の日額及び第三級給付金の日額並びに二級・三級印紙保険料区分日額に相当する額に引き下げ、第三級給付金の日額及び二級・三級印紙保険料区分日額は、第二級給付金の日額を引き下げた比率に応じて、引き下げるものとする。
4 徴収法第二十二条第五項の規定により同条第二項に規定する第一級保険料日額、第二級保険料日額及び第三級保険料日額の変更があつた場合には、労働大臣は、その変更のあつた日から一年を経過した日の前日(その日前に当該変更に関して国会の議決があつた場合には、その議決のあつた日の前日)までの間は、第一項の規定による第一級給付金の日額、第二級給付金の日額及び第三級給付金の日額並びに一級・二級印紙保険料区分日額及び二級・三級印紙保険料区分日額の変更を行うことができない。
(日雇労働求職者給付金の支給日数等)
第五十条 日雇労働求職者給付金は、日雇労働被保険者が失業した日の属する月における失業の認定を受けた日について、その月の前二月間に、その者について印紙保険料が通算して二十八日分納付されているときは、通算して十三日分を限度として支給し、その者について印紙保険料が通算して二十八日分を超えて納付されているときは、通算して、二十八日分を超える四日分ごとに一日を十三日に加えて得た日数分を限度として支給する。ただし、その月において通算して十七日分を超えては支給しない。
2 日雇労働求職者給付金は、各週(日曜日から土曜日までの七日をいう。)につき日雇労働被保険者が職業に就かなかつた最初の日については、支給しない。
(日雇労働求職者給付金の支給方法等)
第五十一条 日雇労働求職者給付金は、公共職業安定所において、失業の認定を行つた日に支給するものとする。
2 労働大臣は、必要があると認めるときは、前項の規定にかかわらず、日雇労働求職者給付金の支給について別段の定めをすることができる。
3 第三十一条(第三項を除く。)の規定は、日雇労働求職者給付金について準用する。この場合において、同条第一項中「受給資格者」とあるのは「日雇労働求職者給付金の支給を受けることができる者」と、同条第二項中「受給資格者」とあるのは「日雇労働求職者給付金の支給を受けることができる者」と、「失業の認定」とあるのは「第四十七条第二項の失業の認定」と読み替えるものとする。
(給付制限)
第五十二条 日雇労働求職者給付金の支給を受けることができる者が公共職業安定所の紹介する業務に就くことを拒んだときは、その拒んだ日から起算して七日間は、日雇労働求職者給付金を支給しない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
一 紹介された業務が、その者の能力からみて不適当であると認められるとき。
二 紹介された業務に対する賃金が、同一地域における同種の業務及び同程度の技能に係る一般の賃金水準に比べて、不当に低いとき。
三 職業安定法第二十条(第二項ただし書を除く。)の規定に該当する事業所に紹介されたとき。
四 その他正当な理由があるとき。
2 日雇労働求職者給付金の支給を受けることができる者についての前項各号のいずれかに該当するかどうかの認定は、公共職業安定所長が労働大臣の定める基準に従つてするものとする。
3 日雇労働求職者給付金の支給を受けることができる者が、偽りその他不正の行為により失業給付の支給を受け、又は受けようとしたときは、その支給を受け、又は受けようとした月及びその月の翌月から三箇月間は、日雇労働求職者給付金を支給しない。ただし、やむを得ない理由がある場合には、日雇労働求職者給付金の全部又は一部を支給することができる。
4 第三十五条の規定は、日雇労働求職者給付金について準用する。
(日雇労働求職者給付金の特例)
第五十三条 日雇労働被保険者が失業した場合において、次の各号のいずれにも該当するときは、その者は、公共職業安定所長に申し出て、次条に定める日雇労働求職者給付金の支給を受けることができる。
一 継続する六月間に当該日雇労働被保険者について印紙保険料が各月十一日分以上、かつ、通算して八十四日分以上納付されていること。
二 前号に規定する継続する六月間(以下「基礎期間」という。)のうち後の五月間に第四十五条の規定による日雇労働求職者給付金の支給を受けていないこと。
三 基礎期間の最後の月の翌月以後二月間(申出をした日が当該二月の期間内にあるときは、同日までの間)に第四十五条の規定による日雇労働求職者給付金の支給を受けていないこと。
2 前項の申出は、基礎期間の最後の月の翌月以後四月の期間内に行わなければならない。
第五十四条 前条第一項の申出をした者に係る日雇労働求職者給付金の支給については、第四十八条及び第五十条第一項の規定にかかわらず、次の各号に定めるところによる。
一 日雇労働求職者給付金の支給を受けることができる期間及び日数は、基礎期間の最後の月の翌月以後四月の期間内の失業している日について、通算して六十日分を限度とする。
二 日雇労働求職者給付金の日額は、次のイからハまでに掲げる区分に応じ、それぞれイからハまでに定める額とする。
イ 基礎期間に納付された印紙保険料のうち、第一級印紙保険料が七十二日分以上であるとき。第一級給付金の日額
ロ 次のいずれかに該当するとき。 第二級給付金の日額
(1) 基礎期間に納付された印紙保険料のうち、第一級印紙保険料及び第二級印紙保険料が七十二日分以上であるとき(イに該当するときを除く。)。
(2) 基礎期間に納付された印紙保険料のうち、第一級印紙保険料及び第二級印紙保険料が七十二日分未満である場合において、第一級印紙保険料の納付額と第二級印紙保険料の納付額との合計額に、第三級印紙保険料の納付額のうち七十二日から第一級印紙保険料及び第二級印紙保険料の納付日数を差し引いた日数に相当する日数分の額を加算した額を七十二で除して得た額が第二級印紙保険料の日額以上であるとき。
ハ イ又はロに該当しないとき。 第三級給付金の日額
第五十五条 基礎期間の最後の月の翌月以後二月の期間内に第五十三条第一項の申出をした者については、当該二月を経過する日までは、第四十五条の規定による日雇労働求職者給付金は、支給しない。
2 第五十三条第一項の申出をした者が、基礎期間の最後の月の翌月から起算して第三月目又は第四月目に当たる月において、第四十五条の規定による日雇労働求職者給付金の支給を受けたときは当該日雇労働求職者給付金の支給の対象となつた日については前条の規定による日雇労働求職者給付金を支給せず、同条の規定による日雇労働求職者給付金の支給を受けたときは当該日雇労働求職者給付金の支給の対象となつた日については第四十五条の規定による日雇労働求職者給付金を支給しない。
3 前条の規定による日雇労働求職者給付金の支給を受けた者がその支給を受けた後に第五十三条第一項の申出をする場合における同項第二号の規定の適用については、その者は、第四十五条の規定による日雇労働求職者給付金の支給を受けたものとみなす。
4 第四十六条、第四十七条、第五十条第二項、第五十一条及び第五十二条の規定は、前条の規定による日雇労働求職者給付金について準用する。
(日雇労働被保険者であつた者に係る被保険者期間の特例)
第五十六条 日雇労働被保険者が二月の各月において十八日以上同一の事業主の適用事業に雇用され、その翌月以後において離職した場合には、その二月を第十四条の規定による被保険者期間の二箇月として計算することができる。ただし、その者が第四十三条第二項又は第三項の規定の適用を受けた者である場合には、この限りでない。
2 前項の規定により同項に規定する二月を被保険者期間として計算することによつて第十四条第二項第一号に規定する受給資格又は特例受給資格を取得した者について、第十七条に規定する賃金日額を算定する場合には、その二月の各月において納付された印紙保険料の額を労働省令で定める率で除して得た額をそれぞれその各月に支払われた賃金額とみなす。
第五節 就職促進給付
(常用就職支度金)
第五十七条 常用就職支度金は、受給資格者、特例受給資格者(特例一時金の支給を受けた者であつて、当該特例受給資格に係る離職の日の翌日から起算して六箇月を経過していないもの(以下「特例一時金受給者」という。)を含む。以下同じ。)又は日雇受給資格者(第四十五条又は第五十四条の規定による日雇労働求職者給付金の支給を受けることができる者をいう。以下同じ。)であつて、身体障害者その他の就職が困難な者として政令で定めるものが安定した職業に就いた場合において、公共職業安定所長が政令で定める基準に従つて必要があると認めたときに、支給する。
2 受給資格者、特例受給資格者又は日雇受給資格者(以下「受給資格者等」という。)が、安定した職業に就いた日前三年以内の就職について常用就職支度金の支給を受けたことがあるときは、前項の規定にかかわらず、常用就職支度金は、支給しない。
3 常用就職支度金の額は、第十六条の規定による基本手当の日額(特例受給資格者については、その者を基本手当の受給資格者とみなして第十六条から第十八条までの規定を適用した場合にその者に支給されることとなる基本手当の日額とし、日雇受給資格者については、第四十八条又は第五十四条第二号の規定による日雇労働求職者給付金の日額とする。)に三十を乗じて得た額を限度として労働省令で定める額とする。
(移転費)
第五十八条 移転費は、受給資格者等が公共職業安定所の紹介した職業に就くため、又は公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるため、その住所又は居所を変更する場合において、公共職業安定所長が労働大臣の定める基準に従つて必要があると認めたときに、支給する。
2 移転費の額は、受給資格者等及びその者により生計を維持されている同居の親族の移転に通常要する費用を考慮して、労働省令で定める。
(広域求職活動費)
第五十九条 広域求職活動費は、受給資格者等が公共職業安定所の紹介により広範囲の地域にわたる求職活動をする場合において、公共職業安定所長が労働大臣の定める基準に従つて必要があると認めたときに、支給する。
2 広域求職活動費の額は、前項の求職活動に通常要する費用を考慮して、労働省令で定める。
(給付制限)
第六十条 偽りその他不正の行為により失業給付の支給を受け、又は受けようとした者には、当該給付の支給を受け、又は受けようとした日以後、就職促進給付を支給しない。ただし、やむを得ない理由がある場合には、就職促進給付の全部又は一部を支給することができる。
2 前項に規定する者が同項に規定する日以後新たに受給資格又は特例受給資格を取得した場合には、同項の規定にかかわらず、その受給資格又は特例受給資格に基づく就職促進給付を支給する。
3 第一項に規定する者であつて、第五十二条第三項(第五十五条第四項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定により日雇労働求職者給付金の支給を受けることができない者とされたものが、その支給を受けることができない期間を経過した後において、日雇受給資格者である場合又は日雇受給資格者となつた場合には、第一項の規定にかかわらず、その日雇受給資格者たる資格に基づく就職促進給付を支給する。
4 第一項に規定する者(第五十二条第三項の規定により日雇労働求職者給付金の支給を受けることができない者とされている者を除く。)が新たに日雇受給資格者となつた場合には、第一項の規定にかかわらず、その日雇受給資格者たる資格に基づく就職促進給付を支給する。
(準用)
第六十一条 第三十一条第一項、第四項及び第五項並びに第三十五条の規定は、就職促進給付について準用する。この場合において、第三十一条第一項中「受給資格者」とあるのは、「就職促進給付の支給を受けることができる者」と読み替えるものとする。
第四章 雇用改善事業、能力開発事業及び雇用福祉事業
(雇用改善事業)
第六十二条 政府は、被保険者及び被保険者であつた者(以下この章において「被保険者等」という。)に関し、雇用状態の是正、失業の予防その他雇用構造の改善を図るため、雇用改善事業として、次の事業を行うことができる。
一 事業主に対して、定年の引上げの促進、高年齢者の雇入れの促進その他年齢別の雇用構造の改善を図るために必要な助成及び援助を行うこと。
二 事業主に対して、雇用機会を増大させる必要がある地域への事業所の移転による雇用機会の増大、季節的に失業する者が多数居住する地域における通年雇用の促進その他地域的な雇用構造の改善を図るために必要な助成及び援助を行うこと。
三 事業主に対して、産業構造の変化等に伴い特定の産業から一時に多数発生した離職者の雇入れの促進その他産業間の雇用構造の改善を図るために必要な助成及び援助を行うこと。
四 事業主に対して、景気の変動、国際経済事情の急激な変化その他の経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた場合における失業を予防するために必要な助成及び援助を行うこと。
五 前各号に掲げるもののほか、雇用構造の改善を図るために必要な事業であつて、労働省令で定めるものを行うこと。
2 前項各号に掲げる事業の実施に関して必要な基準は、労働省令で定める。
(能力開発事業)
第六十三条 政府は、被保険者等に関し、職業生活の全期間を通じて、これらの者の能力を開発し、及び向上させることを促進するため、能力開発事業として、次の事業を行うことができる。
一 職業訓練法第二十四条第一項に規定する事業主等及び職業訓練の推進のための活動を行う者に対して、当該事業主等の行う職業訓練を振興するために必要な助成及び援助を行うこと並びに当該職業訓練を振興するために必要な助成及び援助を行う都道府県に対して、これらに要する経費の全部又は一部の補助を行うこと。
二 公共職業訓練施設(公共職業訓練施設の行う職業訓練を受ける者のための宿泊施設を含む。以下この号において同じ。)を設置し、又は運営すること及び公共職業訓練施設を設置し、又は運営する都道府県に対して、これらに要する経費の全部又は一部の補助を行うこと。
三 求職者及び退職を予定する者に対して、再就職を容易にするために必要な知識及び技能を習得させるための講習(第五号において「職業講習」という。)並びに作業環境に適応させるための訓練を実施すること。
四 職業人としての資質の向上その他職業に関する教育訓練を受ける労働者に有給休暇(労働基準法第三十九条の規定による年次有給休暇として与えられるものを除く。)を与える事業主に対して、必要な助成及び援助を行うこと。
五 職業訓練(公共職業訓練施設の行うものに限る。以下この号において同じ。)又は職業講習を受ける労働者に対して、当該職業訓練又は職業講習を受けることを容易にし、又は促進するために必要な交付金を支給すること及びその雇用する労働者に職業訓練を受けさせる事業主(当該職業訓練を受ける期間、労働者に対し所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払う事業主に限る。)に対して、必要な助成を行うこと。
六 技能検定の実施に要する経費を負担すること及び技能検定を行う法人その他の団体に対して、技能検定を促進するために必要な助成を行うこと。
七 前各号に掲げるもののほか、労働者の能力の開発及び向上のために必要な事業であつて、労働省令で定めるものを行うこと。
2 前項各号に掲げる事業の実施に関して必要な基準については、同項第二号の規定による都道府県に対する経費の補助に係るものにあつては政令で、その他の事業に係るものにあつては労働省令で定める。
3 政府は、雇用促進事業団法(昭和三十六年法律第百十六号)及びこれに基づく命令で定めるところにより、第一項各号に掲げる事業の一部を雇用促進事業団に行わせるものとする。
(雇用福祉事業)
第六十四条 政府は、被保険者等に関し、職業生活上の環境の整備改善、就職の援助その他これらの者の福祉の増進を図るため、雇用福祉事業として、次の事業を行うことができる。
一 就職に伴いその住居を移転する者のための宿舎を設置し、及び運営すること。
二 労働者の就職、雇入れ、配置等についての相談その他の援助を行うこと並びに当該援助のための施設を設置し、及び運営すること。
三 教養、文化、体育又はレクリエーションの施設その他の福祉施設を設置し、及び運営すること。
四 求職者の就職のため、資金の貸付け、身元保証その他必要な援助を行うこと。
五 労働者の職業に対する適応性その他職業の安定に関する調査、研究及び資料の整備を行うこと。
六 前各号に掲げるもののほか、被保険者等の福祉の増進を図るために必要な事業であつて、労働省令で定めるものを行うこと。
2 前条第三項の規定は、前項各号に掲げる事業の全部又は一部の実施について準用する。
(事業等の利用)
第六十五条 前三条の事業又は当該事業に係る施設は、被保険者等の利用に支障がなく、かつ、その利益を害しない限り、被保険者等以外の者に利用させることができる。
第五章 費用の負担
(国庫の負担)
第六十六条 国庫は、次の各号に掲げる区分によつて、求職者給付に要する費用の一部を負担する。
一 日雇労働求職者給付金以外の求職者給付については、当該求職者給付に要する費用の四分の一
二 日雇労働求職者給付金については、当該日雇労働求職者給付金に要する費用の三分の一
2 前項第一号に掲げる求職者給付については、国庫は、毎会計年度において、支給した当該求職者給付の総額の四分の三に相当する額が徴収法の規定により徴収した一般保険料の額を超える場合には、同号の規定にかかわらず、当該超過額について、同号の規定による国庫の負担額を加えて国庫の負担が当該会計年度において支給した当該求職者給付の総額の三分の一に相当する額に達する額までを負担する。
3 前項に規定する一般保険料の額は、第一号に掲げる額から第二号及び第三号に掲げる額の合計額を減じた額とする。
一 次に掲げる額の合計額(以下この条及び第六十八条第二項において「一般保険料徴収額」という。)
イ 徴収法の規定により徴収した徴収法第十二条第一項第一号に掲げる事業に係る一般保険料の額のうち雇用保険率(その率が徴収法第十二条第五項の規定により変更されたときは、その変更された率。以下この条において同じ。)に応ずる部分の額(徴収法第十一条の二の規定により高年齢労働者を使用する事業の一般保険料の額を同条の規定による額とすることとする場合には、当該一般保険料の額に徴収法第十二条第六項に規定する高年齢者免除額(徴収法第十二条第一項第一号に掲げる事業に係るものに限る。以下この号において同じ。)を加えた額のうち雇用保険率に応ずる部分の額から高年齢者免除額を減じた額)
ロ 徴収法第十二条第一項第三号に掲げる事業に係る一般保険料の額
二 徴収法の規定により徴収した印紙保険料の額に相当する額に労働大臣が大蔵大臣と協議して定める率を乗じて得た額
三 一般保険料徴収額から前号に掲げる額を減じた額に千分の三の率を雇用保険率で除して得た率(次項及び第六十八条第二項において「三事業率」という。)を乗じて得た額
4 日雇労働求職者給付金については、国庫は、毎会計年度において第一号に掲げる額が第二号に掲げる額を超える場合には、第一項第二号の規定にかかわらず、同号の規定による国庫の負担額から当該超過額に相当する額を減じた額(その額が当該会計年度において支給した日雇労働求職者給付金の総額の四分の一に相当する額を下回る場合には、その四分の一に相当する額)を負担する。
一 次に掲げる額を合計した額
イ 徴収法の規定により徴収した印紙保険料の額
ロ イの額に相当する額に前項第二号に掲げる労働大臣が大蔵大臣と協議して定める率を乗じて得た額から、その額に三事業率を乗じて得た額を減じた額
二 支給した日雇労働求職者給付金の総額の三分の二に相当する額
5 国庫は、前各項に規定するもののほか、毎年度、予算の範囲内において、雇用保険事業の事務の執行に要する経費を負担する。
第六十七条 第二十五条第一項の措置が決定された場合には、前条第一項第一号の規定にかかわらず、国庫は、広域延長給付を受ける者に係る求職者給付に要する費用の三分の一を負担する。この場合において、同条第二項中「支給した当該求職者給付の総額」とあるのは「支給した当該求職者給付の総額から広域延長給付を受ける者に係る求職者給付の総額を控除した額」と、「一般保険料の額を超える場合には」とあるのは「一般保険料の額から広域延長給付を受ける者に係る求職者給付の総額の三分の二に相当する額を控除した額を超える場合には」と読み替えるものとする。
(保険料)
第六十八条 雇用保険事業に要する費用に充てるため政府が徴収する保険料については、徴収法の定めるところによる。
2 前項の保険料のうち、一般保険料徴収額からその額に三事業率を乗じて得た額を減じた額及び印紙保険料の額に相当する額の合計額は、失業給付に要する費用に充てるものとし、一般保険料徴収額に三事業率を乗じて得た額は、雇用改善事業、能力開発事業及び雇用福祉事業に要する費用に充てるものとする。
第六章 不服申立て及び訴訟
(不服申立て)
第六十九条 第九条の規定による確認、失業給付に関する処分又は第三十五条第一項若しくは第二項(第三十六条第五項、第三十七条第九項、第四十条第三項、第五十二条第四項(第五十五条第四項において準用する場合を含む。)及び第六十一条において準用する場合を含む。)の規定による処分に不服のある者は、雇用保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服のある者は、労働保険審査会に対して再審査請求をすることができる。
2 前項の審査請求又は再審査請求は、時効の中断に関しては、裁判上の請求とみなす。
3 第一項の審査請求及び再審査請求については、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)第二章第一節、第二節(第十八条及び第十九条を除く。)及び第五節の規定を適用しない。
(不服理由の制限)
第七十条 第九条の規定による確認に関する処分が確定したときは、当該処分についての不服を当該処分に基づく失業給付に関する処分についての不服の理由とすることができない。
(不服申立てと訴訟との関係)
第七十一条 第六十九条第一項に規定する処分の取消しの訴えは、当該処分についての再審査請求に対する労働保険審査会の裁決を経た後でなければ、提起することができない。
第七章 雑則
(中央職業安定審議会への諮問)
第七十二条 労働大臣は、第二十三条第一項、第二十五条第一項、第二十七条第一項若しくは第二項若しくは第五十七条第一項の基準又は同項の就職が困難な者を政令で定めようとするとき、第十三条、第二十条第一項又は第二十二条第一項第二号の理由を労働省令で定めようとするとき、第二十五条第三項、第二十六条第二項、第二十九条第二項、第三十二条第三項、第三十三条第二項、第三十五条第一項(第三十六条第五項、第三十七条第九項、第四十条第三項、第五十二条第四項(第五十五条第四項において準用する場合を含む。)及び第六十一条において準用する場合を含む。)又は第五十二条第二項(第五十五条第四項において準用する場合を含む。)の基準を定めようとするとき、その他この法律の施行に関する重要事項について決定しようとするときは、あらかじめ、中央職業安定審議会の意見を聴かなければならない。
2 中央職業安定審議会は、労働大臣の諮問に応ずるほか、必要に応じ、雇用保険事業の運営に関し、関係行政庁に建議し、又はその報告を求めることができる。
(不利益取扱いの禁止)
第七十三条 事業主は、労働者が第八条の規定による確認の請求をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
(時効)
第七十四条 失業給付の支給を受け、又はその返還を受ける権利及び第三十五条第一項又は第二項(第三十六条第五項、第三十七条第九項、第四十条第三項、第五十二条第四項(第五十五条第四項において準用する場合を含む。)及び第六十一条において準用する場合を含む。)の規定により納付をすべきことを命ぜられた金額を徴収する権利は、二年を経過したときは、時効によつて消滅する。
(戸籍事項の無料証明)
第七十五条 市町村長(特別区及び地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市においては、区長とする。)は、行政庁又は失業給付の支給を受ける者に対して、当該市(特別区を含む。)町村の条例の定めるところにより、失業給付の支給を受ける者の戸籍に関し、無料で証明を行うことができる。
(報告等)
第七十六条 行政庁は、労働省令で定めるところにより、被保険者若しくは受給資格者等を雇用し、若しくは雇用していた事業主又は労働保険事務組合若しくは労働保険事務組合であつた団体に対して、この法律の施行に関して必要な報告、文書の提出又は出頭を命ずることができる。
2 離職した者は、労働省令で定めるところにより、従前の事業主又は当該事業主から徴収法第三十三条第一項の委託を受けて同項に規定する労働保険事務の一部として求職者給付の支給を受けるために必要な証明書の交付に関する事務を処理する労働保険事務組合に対して、求職者給付の支給を受けるために必要な証明書の交付を請求することができる。その請求があつたときは、当該事業主又は労働保険事務組合は、その請求に係る証明書を交付しなければならない。
第七十七条 行政庁は、被保険者、受給資格者等又は未支給の失業給付の支給を請求する者に対して、この法律の施行に関して必要な報告、文書の提出又は出頭を命ずることができる。
(診断)
第七十八条 行政庁は、求職者給付の支給を行うため必要があると認めるときは、第十五条第四項第一号の規定により同条第二項に規定する失業の認定を受け、若しくは受けようとする者、第二十条第一項の規定による申出をした者又は傷病手当の支給を受け、若しくは受けようとする者に対して、その指定する医師の診断を受けるべきことを命ずることができる。
(立入検査)
第七十九条 行政庁は、この法律の施行のため必要があると認めるときは、当該職員に、被保険者若しくは受給資格者等を雇用し、若しくは雇用していた事業主の事業所又は労働保険事務組合若しくは労働保険事務組合であつた団体の事務所に立ち入り、関係者に対して質問させ、又は帳簿書類の検査をさせることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(経過措置の命令への委任)
第八十条 この法律に基づき政令又は労働省令を制定し、又は改廃する場合においては、それぞれ政令又は労働省令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置を定めることができる。この法律に基づき、労働大臣が基本手当日額表その他の事項を定め、又はこれを改廃する場合においても、同様とする。
(権限の委任)
第八十一条 この法律に定める労働大臣の権限は、労働省令で定めるところにより、その一部を公共職業安定所長に委任することができる。
(労働省令への委任)
第八十二条 この法律に規定するもののほか、この法律の実施のため必要な手続その他の事項は、労働省令で定める。
第八章 罰則
第八十三条 事業主が次の各号のいずれかに該当するときは、六箇月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
一 第七条の規定に違反して届出をせず、又は偽りの届出をした場合
二 第七十三条の規定に違反した場合
三 第七十六条第一項の規定による命令に違反して報告をせず、若しくは偽りの報告をし、又は文書を提出せず、若しくは偽りの記載をした文書を提出した場合
四 第七十六条第二項の規定に違反して証明書の交付を拒んだ場合
五 第七十九条第一項の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは偽りの陳述をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合
第八十四条 労働保険事務組合が次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした労働保険事務組合の代表者又は代理人、使用人その他の従業者は、六箇月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
一 第七条の規定に違反して届出をせず、又は偽りの届出をした場合
二 第七十六条第一項の規定による命令に違反して報告をせず、若しくは偽りの報告をし、又は文書を提出せず、若しくは偽りの記載をした文書を提出した場合
三 第七十六条第二項の規定に違反して証明書の交付を拒んだ場合
四 第七十九条第一項の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは偽りの陳述をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合
第八十五条 被保険者、受給資格者等又は未支給の失業給付の支給を請求する者その他の関係者が次の各号のいずれかに該当するときは、六箇月以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
一 第四十四条の規定に違反して偽りその他不正の行為によつて日雇労働被保険者手帳の交付を受けた場合
二 第七十七条の規定による命令に違反して報告をせず、若しくは偽りの報告をし、文書を提出せず、若しくは偽りの記載をした文書を提出し、又は出頭しなかつた場合
三 第七十九条第一項の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは偽りの陳述をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合
第八十六条 法人(法人でない労働保険事務組合を含む。以下この項において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。
2 前項の規定により法人でない労働保険事務組合を処罰する場合においては、その代表者又は管理人が訴訟行為につきその労働保険事務組合を代表するほか、法人を被告人とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、昭和五十年四月一日から施行する。ただし、附則第二十一条の規定は、同年一月一日から施行する。
(失業保険法の廃止)
第二条 失業保険法(昭和二十二年法律第百四十六号)は、廃止する。
(適用範囲に関する暫定措置)
第三条 次の各号に掲げる事業(国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業及び法人である事業主の事業(事務所に限る。)を除く。)であつて、政令で定めるものは、当分の間、第五条第一項の規定にかかわらず、任意適用事業とする。
一 土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業
二 動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他畜産、養蚕又は水産の事業
2 前項に規定する事業の保険関係の成立及び消滅については、徴収法附則の定めるところによるものとし、徴収法附則第二条又は第三条の規定により雇用保険に係る労働保険の保険関係が成立している事業は、第五条第一項に規定する適用事業に含まれるものとする。
(被保険者に関する届出等に関する経過措置)
第四条 この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に発生した事項につき附則第二条の規定による廃止前の失業保険法(以下「旧法」という。)第八条の規定により届け出なければならないこととされていた事項の届出については、なお従前の例による。
2 旧法第五条に規定する被保険者(以下「旧被保険者」という。)となつたこと又は旧被保険者でなくなつたことの確認及びその確認の請求については、なお従前の例による。
3 施行日の前日に旧被保険者であつた者であつて、引き続き同一の事業主に雇用され、施行日に第四条第一項に規定する被保険者(以下「新被保険者」という。)となつたもの(以下「継続雇用被保険者」という。)のうち、既に旧法第十条の規定により当該旧被保険者となつたことの確認を受けているもの (前項の規定により当該旧被保険者となつたことの確認を受けた者を含む。)については、施行日(前項の規定により当該旧被保険者となつたことの確認を受けた者については、当該確認を受けた日)に、新被保険者となつたことの第九条の規定による確認がされたものとみなす。
(被保険者期間に関する経過措置)
第五条 旧被保険者であつた者であつて新被保険者となつたものに関するこの法律の規定の適用については、旧法の規定による被保険者期間(施行日前に旧法第十五条第一項の規定に該当するに至つた場合における離職の日以前の被保険者期間を除く。)は、第十四条第一項の規定による被保険者期間とみなす。
2 継続雇用被保険者(施行日に短期雇用特例被保険者となつた者を除く。)のうち、昭和五十年四月における喪失応当日(第十四条第一項に規定する喪失応当日をいう。以下この条において同じ。)が同月一日(以下この条において「基準日」という。)以外の日である者(同月に新被保険者でなくなつた者を含む。)に関する第十四条第一項の規定の適用については、基準日を基準日の属する月の前月における喪失応当日とみなす。
3 前項の規定により基準日を喪失応当日とみなされた者のうち、昭和五十年四月における喪失応当日(同月に新被保険者でなくなつた者については、当該新被保険者でなくなつた日)の前日から基準日までさかのぼつた期間が第十四条第一項の規定による被保険者期間の一箇月として計算された者に関する第十七条第一項の規定の適用については、当該一箇月として計算された被保険者期間は、同項に規定する被保険者期間に算入しない。
第六条 短期雇用特例被保険者が当該短期雇用特例被保険者でなくなつた場合(引き続き同一事業主に被保険者として雇用される場合を除く。)における当該短期雇用特例被保険者となつた日(以下この条において「資格取得日という。)から当該短期雇用特例被保険者でなくなつた日(以下この条において「資格喪失日」という。)の前日までの間の短期雇用特例被保険者であつた期間についての第十四条第一項の規定の適用については、当分の間、当該短期雇用特例被保険者は、資格取得日の属する月の初日から資格喪失日の前日の属する月の末日まで引き続き短期雇用特例被保険者として雇用された後当該短期雇用特例被保険者でなくなつたものとみなす。この場合において、同項本文中「十四日」とあるのは、「十一日」とする。
(旧法に規定する受給資格に関する経過措置)
第七条 旧法第十五条第一項の規定に該当する者に係る受給資格は、第十四条第二項第一号に規定する受給資格とみなす。
2 前項の受給資格を有する者に対する第三章の規定の適用については、次の各号に定めるところによる。
一 第十五条第三項の規定の適用については、同項中「離職後最初に出頭した日」とあるのは、「旧失業保険法(昭和二十二年法律第百四十六号)第十六条第二項(附則第九条第一項においてその例によることとされる場合を含む。)の規定により最後に失業の認定を行つた日の翌日」とする。
二 前項の受給資格に係る離職後最初に公共職業安定所に求職の申込みをした日が施行日前である者に係る基本手当又は傷病手当の日額については、第十六条の規定による基本手当の日額が旧法第十七条の規定による失業保険金の日額(施行日の前日において旧法第二十七条第一項に規定する扶養親族があり、施行日以後最初に第十五条第二項に規定する失業の認定を受ける日までにその旨を公共職業安定所長に届け出た者については、その失業保険金の日額に届出に係る扶養親族について旧法第二十七条の規定によりその者に支給される扶養手当の日額を加算した額。以下この号において同じ。)を下回ることとなるときは、第十六条又は第三十七条第三項の規定にかかわらず、旧法第十七条の規定による失業保険金の日額に相当する額とする。
三 第二十条の規定の適用については、同条第一項中「当該一年の期間内」とあるのは、「昭和五十年四月一日から当該受給資格に係る離職の日の属する年の翌年のこれに応当する日までの間」とする。
四 第二十条第一項の規定による期間内の失業している日について基本手当を支給することができる日数については、第二十二条の規定にかかわらず、旧法第二十条及び第二十条の二の規定により受給期間内において失業保険金を支給することができる日数から旧法の規定により失業保険金及び傷病給付金(旧法第二十三条第二項の規定により支給があつたとみなされた失業保険金並びに附則第九条第一項の規定により従前の例によることとされる施行日前の期間に係る失業保険金及び傷病給付金を含む。)の支給を受けた日数を差し引いて得た日数に相当する日数分を限度とする。
五 第二十三条の規定は、適用しない。
六 第二十四条第一項、第二十五条第一項、第二十七条第一項及び第三十七条第四項の規定の適用については、これらの規定中「所定給付日数」とあるのは、「附則第七条第二項第四号の規定による基本手当を支給することができる日数」とする。
七 施行日前に旧法の規定により公共職業安定所が行つた公共職業訓練等を受けることの指示は、この法律の規定により公共職業安定所長が行つた公共職業訓練等を受けることの指示とみなす。
八 旧法第二十条の五第一項、第二十一条第一項若しくは第二項、第二十二条第一項又は第二十三条第一項(旧法第二十五条第四項、第二十六条第十一項又は第二十七条第五項において準用する場合を含む。)の規定(附則第九条第三項の規定によりなおその効力を有することとされる場合を含む。)によりされた給付に関する処分は、それぞれ、第二十九条第一項、第三十二条第一項若しくは第二項、第三十三条第一項又は第三十四条第一項(第三十六条第五項又は第三十七条第九項において準用する場合を含む。)の規定によりされた給付に関する処分とみなす。
九 第五十七条第三項の規定の適用については、同項中「第十六条の規定」とあるのは、「第十六条又は附則第七条第二項第二号の規定」とする。
(基本手当の給付日数の延長措置に関する経過措置)
第八条 施行日の前日において旧法第二十条の四第一項の規定による措置が決定されていた地域について、施行日に第二十五条第一項の規定による措置が決定された場合においては、当該地域に係る旧法第二十条の四第一項の規定による措置及び同項の規定による認定を受けた受給資格者は、それぞれ、第二十五条第一項の規定により決定された措置及び同項の規定により認定を受けた受給資格者とみなして基本手当を支給する。
2 炭鉱離職者臨時措置法(昭和三十四年法律第百九十九号)第三条の規定により労働大臣が他の地域において職業に就くことを促進するための措置として職業紹介活動をすることを命じた場合には、第二十五条の規定の適用については、労働大臣が職業安定法第十九条の二に規定する職業紹介活動をすることを命じたものとみなす。
(旧法の規定による保険給付等に関する経過措置)
第九条 施行日前の期間に係る旧法の規定による保険給付、施行日前に就職するに至つた場合における旧法の規定による就職支度金及び施行日前に公共職業安定所の紹介した職業に就くため、その住所又は居所を変更した場合における旧法の規定による移転費(以下「旧保険給付等」という。)の支給については、なお従前の例による。
2 旧法に規定する受給資格者が死亡したために旧法第十六条第一項の失業の認定又は旧法第二十六条第二項の認定を受けることができなかつた場合におけるその者の配偶者その他旧法第十六条の二第一項又は第二十六条第三項に規定するその者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた者に対する旧法の規定による失業保険金又は傷病給付金の支給については、なお従前の例による。
3 旧保険給付等については、旧法第二十条の五、第二十一条、第二十二条及び第二十三条(旧法第二十五条第四項、第二十六条第十一項、第二十七条第五項、第二十七条の三第五項又は第二十七条の四第三項において準用する場合を含む。)の規定は、なおその効力を有する。
(返還命令等に関する経過措置)
第十条 詐欺その他不正の行為によつて旧保険給付等の支給を受けた者並びに当該旧保険給付等の支給に関し虚偽の届出、報告又は証明をした事業主及び労働保険事務組合に対してするその支給した旧保険給付等の全部又は一部を返還すべきことの命令及び当該詐欺その他不正の行為によつて支給を受けた旧保険給付等に相当する額以下の金額を納付すべきことの命令については、なお従前の例による。
(短期雇用特例被保険者に関する経過措置)
第十一条 労働大臣は、継続雇用被保険者であつて、施行日に短期雇用特例被保険者となつたもの(次項において「継続雇用特例被保険者」という。)を雇用する事業主に、労働省令で定めるところにより、その雇用する短期雇用特例被保険者に関して必要な報告をすることを命ずることができる。
2 継続雇用特例被保険者が離職し、特例受給資格を取得した場合には、第十条第三項、第三十九条及び第四十条の規定にかかわらず、特例一時金を支給しないものとし、その者を第十五条第一項に規定する受給資格者とみなして、第三章第二節に定めるところにより、求職者給付を支給する。この場合において、その者に係る所定給付日数は、旧法第二十条及び第二十条の二の規定がなおその効力を有するものとした場合に、これらの規定により受給期間内に失業保険金を支給することができる日数とする。
(旧法の規定による日雇労働被保険者等に関する経過措置)
第十二条 施行日前に旧法第三十八条の四第一項の認可を受けた者は、施行日に第六条第一号の認可を受けた者とみなす。
2 施行日前に旧法第三十八条の三第一項第一号の規定により労働大臣が指定した区域又は同項第三号の規定により労働大臣が指定した適用事業は、それぞれ第四十三条第一項第一号の規定により労働大臣が指定した区域又は同項第三号の規定により労働大臣が指定した適用事業とみなす。
3 施行日前に旧法第三十八条の五第二項ただし書の認可を受けた者は、施行日に第四十三条第二項の認可を受けた者とみなす。
4 施行日前に旧法第三十八条の三第二項又は第三十八条の四第二項の規定により交付された日雇労働被保険者手帳は、第四十四条の規定により交付された日雇労働被保険者手帳とみなす。
第十三条 旧法の規定による日雇労働被保険者であつた者についての施行日前の日に係る旧法の規定による失業保険金の支給については、なお従前の例による。
2 昭和五十年五月中の第四十七条第一項に規定する失業している日について支給する日雇労働求職者給付金に関する第四十八条第一号の規定の適用については、同号中「前二月間」とあるのは「昭和五十年四月」と、「二十四日分」とあるのは「十二日分」とする。
3 旧法第五章の規定により支給を受けた失業保険金(第一項に規定する失業保険金を含む。)は、第五十三条第一項の規定の適用については、この法律の規定により支給を受けた日雇労働求職者給付金とみなす。
4 施行日前に旧法第三十八条の九の二第一項の申出をした者は、第五十三条第一項の申出をした者とみなす。この場合において、その者が第五十四条第一号の規定により日雇労働求職者給付金の支給を受けることができる日数は、六十日から旧法第三十八条の九の三の規定により失業保険金(第一項に規定する失業保険金を含む。)の支給を受けた日数を差し引いた日数分を限度とする。
5 第五十三条第一項の申出をした者であつて、同項第二号に規定する基礎期間の最後の月(以下この項において「最終月」という。)が次の表の上欄に掲げる月であるものに対して支給する日雇労働求職者給付金に関する第五十四条第二号イの規定の適用については、同号イ中「基礎期間」とあるのは最終月の区分に応じそれぞれ同表の中欄に掲げる字句と、「七十二日分」とあるのは最終月の区分に応じそれぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。
昭和五十年四月
昭和五十年四月一日から同月三十日までの期間
十二日分
昭和五十年五月
昭和五十年四月一日から同年五月三十一日までの期間
二十四日分
昭和五十年六月
昭和五十年四月一日から同年六月三十日までの期間
三十六日分
昭和五十年七月
昭和五十年四月一日から同年七月三十一日までの期間
四十八日分
昭和五十年八月
昭和五十年四月一日から同年八月三十一日までの期間
六十日分
6 旧法第三十八条の十第一項又は第二項(次項の規定によりなおその効力を有することとされる場合を含む。)の規定によりされた給付に関する処分は、第五十二条第一項又は第三項(第五十五条第四項において準用する場合を含む。)の規定によりされた給付に関する処分とみなす。
7 第一項に規定する失業保険金については、旧法第三十八条の十の規定は、なおその効力を有する。
8 旧法第三十八条の六の規定に該当する者又は旧法第三十八条の九の二第一項の申出をした者が死亡したために旧法第三十八条の九第三項の失業の認定を受けることができなかつた場合におけるその者の配偶者その他同条第四項に規定するその者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた者に対する旧法の規定による失業保険金の支給については、なお従前の例による。
(雇用改善事業等に関する経過措置)
第十四条 旧被保険等であつた者は、第四章の規定の適用については、新被保険者であつた者とみなす。
(国庫負担に関する経過措置)
第十五条 附則第九条第一項及び第二項の規定により従前の例によることとされる旧保険給付等(就職支度金及び移転費を除く。以下この項において同じ。)は、第六十六条第一項及び第二項並びに第六十七条の規定の適用については、第六十六条第一項第一号に規定する求職者給付とみなす。この場合において、旧法第二十条の四第一項の措置に基づき支給された旧保険給付等は、第二十五条第一項の措置に基づき支給された求職者給付とみなす。
2 附則第十三条第一項又は第八項の規定により従前の例によることとされる旧法の規定による失業保険金は、第六十六条第一項又は第四項の規定の適用については、同条第一項第二号に規定する日雇労働求職者給付金とみなす。
3 次条の規定により徴収した旧法の規定による特別保険料がある会計年度については、第六十六条第二項中「一般保険料の額」とあるのは、「一般保険料の額と附則第十六条の規定により徴収した旧失業保険法(昭和二十二年法律第百四十六号)の規定による特別保険料の額との合計額」とする。
(旧法の規定による特別保険料に関する経過措置)
第十六条 施行日前に納付しなければならないこととされていた旧法の規定による特別保険料及び当該特別保険料に係る徴収金については、なお従前の例による。
(不服申立てに関する経過措置)
第十七条 旧法の規定(これらの規定の例によることとされる場合及びなおその効力を有することとされる場合を含む。)による処分であつて、旧法第四十条第一項に規定するものに対する不服申立て及び当該処分の取消しの訴えについては、旧法第七章の規定は、なおその効力を有する。この場合において、同項中「失業保険審査官」とあるのは、「雇用保険審査官」とする。
2 旧法第十条(附則第四条第二項の規定によりその例によることとされる場合を含む。)の規定による確認に関する処分は、第七十条の規定の適用については、第九条の規定による確認に関する処分とみなす。
(不利益取扱いの禁止に関する経過措置)
第十八条 旧法第九条(附則第四条第二項の規定によりその例によることとされる場合を含む。)の規定による確認の請求をしたことを理由とする労働者に対する解雇その他不利益な取扱いの禁止については、なお従前の例による。
(失業保険金等に係る時効等に関する経過措置)
第十九条 旧法の規定による保険給付に係る時効、受給権の譲渡及び差押えの禁止、公課の禁止並びに戸籍事項の無料証明については、なお従前の例による。
2 失業保険に関する書類に係る印紙税の非課税については、なお従前の例による。
(報告等に関する経過措置)
第二十条 旧法の規定(これらの規定の例によることとされる場合を含む。)に係る失業保険の施行に関し必要な旧法第四十九条から第五十一条までにおいて規定する事項については、なお従前の例による。
(失業保険法の規定による福祉施設に関する暫定措置)
第二十一条 政府は、昭和五十年一月一日から施行日の前日までの間において、必要があるときは、失業保険法第二十七条の二第一項の規定による福祉施設として、事業主に対して、景気の変動、国際経済事情の急激な変化その他の経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた場合における失業を予防するために必要な助成及び援助を行うことができる。
(その他の経過措置の政令への委任)
第二十二条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
(罰則に関する経過措置)
第二十三条 施行日前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされた事項に関する施行日以後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
内閣総理大臣 三木武夫
大蔵大臣 大平正芳
厚生大臣 田中正巳
労働大臣 長谷川峻