(受給要件)
第十五條 被保險者が、失業した場合において、離職の日以前一年間に、通算して六箇月以上被保險者であつたときは、保險給付として、失業保險金を支給する。
前項の規定によつて、失業保險金の支給を受けることができる者が、第十八條に規定する一年の期間内に再び就職した後離職した場合においては、前項の規定に該当しないときでも、前の資格に基く失業保險金の支給を受けることができる。
第十六條 前條の規定に該当する者(以下受給資格者という。)が、失業保險金の支給を受けるには、離職後、政令の定めるところによつて、公共職業安定所に出頭し求職の申込をした上、失業の認定を受けなければならない。
(給付額)
第十七條 失業保險金は、被保險者の離職した月前において、被保險者期間として計算された最後の月及びその前月(月の末日において離職し、その月が被保險者期間として計算される場合は、その月及びその月前において被保險者期間として計算された最後の月)に支拂われた賃金の総額をその期間の総日数で除した額によつて算定する。但し、その二箇月間における後の月に支拂われた賃金が、法令又は労働協約若しくは就業規則に基く昇給その他これに準ずる賃金の増加によつて、その前の月に支拂われた賃金より高いときは、その後の月に支拂われた賃金の総額をその期間の総日数で除して得た額によつて算定する。
前項の額が左の各号の一によつて計算した額に満たないときは、失業保險金は、前項の規定にかかわらず、左の各号の一によつて計算した額によつて算定する。
一 賃金が、労働した日若しくは時間によつて算定され、又は出來高拂制その他の請負制によつて定められた場合においては、前項の期間に支拂われた賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の百分の七十
二 賃金の一部が、月、週その他一定の期間によつて定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と前号の金額との合算額
失業保險金は、労働大臣の定める失業保險金額表における賃金等級に属する賃金に應じて定められた定額とする。但し、失業保險金算定の基礎となる賃金の最高額は、一日につき、百七十円を超えてはならない。
失業保險金の額は、第一項及び第二項の規定によつて算定した賃金の額が、四十円以上八十円未満の賃金等級に属する場合には、その賃金の額の百分の六十に相当する額、その賃金の額が八十円以上百七十円以下の賃金等級に属する場合には、百七十円について百分の四十を最低の率として逓減した率によつて算定した額、又はその賃金の額が十円(十円未満のものも含む。)以上四十円未満の賃金等級に属する場合には、十円について百分の八十を最高の率として逓増した率によつて算定した額を基準とした金額とする。
労働大臣は、総理廳統計局の発表する毎月勤労統計に示された工場労働者の平均給與額が、失業保險金額表の制定又は改正がその効力を生ずる月におけるその統計に示された当該平均給與額の百分の百二十五を超えるに至つたことを認めたときは、失業保險金額表を改正し、その平均給與額の上昇した比率に應じて、前項の賃金等級に属する賃金額を引き上げ、その賃金等級に應ずる失業保險金の額をあらたに定めなければならない。但し、前項の賃金等級における失業保險金の額と賃金額との比率は、これを変えてはならない。
前項の規定によつて失業保險金額表が改正され、その効力が生じた後においては、失業保險金は、第三項及び第四項の規定にかかわらず、改正された当該失業保險金額表によつて支給されるものとする。
受給資格者は、第十六條の規定によつて公共職業安定所において認定を受けた失業の期間中、自己の労働によつて收入を得るに至つた場合において、その收入の額が失業保險金算定の基礎となつた賃金の百分の八十に相当する額を基準とする金額に達しないときは、失業保險金の支給を受けることができる。この場合における失業保險金算定の方法は、政令でこれを定める。
受給資格者が健康保險法第五十五條の規定によつて傷病手当金の支給を受ける場合においては、失業保險金は、その者に支給すべき失業保險金の額からその支給を受けるべき傷病手当金の額を控除した残りの額を支給する。
(受給期間)
第十八條 失業保險金の支給を受ける期間は、受給資格者が第十五條第一項の規定に該当するに至つた後における最初の離職の日の翌日から起算して、一年間とする。
前項の期間内において、受給資格者が再び就職し、あらたに第十五條第一項の規定に該当するに至つた後離職したときは、前項の期間は、その離職の日から、あらたにこれを起算するものとする。
(待期)
第十九條 失業保險金は、受給資格者が公共職業安定所に離職後最初に求職の申込をした日以後において、失業の日数が通算して七日に満たない間は、これを支給しない。但し、失業保險金の支給を受けることができる者が前條に規定する一年の期間内において再び就職した後離職した場合は、この限りでない。
(給付日数)
第二十條 失業保險金は、第十八條に規定する一年の期間内において、通算して百八十日分を超えては、これを支給しない。
受給資格者が第十八條第二項の規定に該当するに至つたときは、前の資格に基く失業保險金は、これを支給しない。
(給付の制限)
第二十一條 受給資格者が、公共職業安定所の紹介する職業に就くこと又はその指示した職業の補導を受けることを拒んだときは、その拒んだ日から起算して一箇月間は、失業保險金を支給しない。但し、左の各号の一に該当するときは、この限りでない。
一 紹介された職業又は補導を受けることを指示された職業が、受給資格者の能力からみて不適当と認められるとき。
二 就職するために、現在の住所又は居所を変更することを要する場合において、その変更が困難であると認められるとき。
三 就職先の賃金が、同一地域における同種の業務及び技能について行われる一般の賃金水準に比べて、不当に低いとき。
四 職業安定法第二十條の規定に違反して、労働爭議の発生している事業所に受給資格者を紹介したとき。
公共職業安定所は、受給資格者について、前項各号の一に該当するかしないかを認定しようとするときは、労働大臣が失業保險委員会の意見を聞いて定めた基準によらなければならない。
第二十二條 被保險者が、自己の責に帰すべき重大な事由によつて解雇され、又はやむを得ない事由がないと認められるにもかかわらず自己の都合によつて退職したときは、第十九條に規定する期間の満了後一箇月以上二箇月以内の間において公共職業安定所の定める期間は、失業保險金を支給しない。
公共職業安定所は、被保險者の離職が前項に規定する事由によるかどうかを認定しようとするときは、労働大臣が失業保險委員会の意見を聞いて定めた基準によらなければならない。
第二十三條 受給資格者が、詐欺その他不正の行爲によつて、失業保險金の支給を受け、又は受けようとしたときは、失業保險金を支給しない。
前項の場合において、政府は、失業保險金の支給を受けた者又はその相続人に対し、当該支給金額に相当する金額の返還を命ずることができる。
(支給方法及び支給期日)
第二十四條 失業保險金は、公共職業安定所において、一週間に一回、その日以前の七日分(失業の認定を受けなかつた日分を除く。)を支給する。但し、労働大臣は、必要であると認めるときは、失業保險委員会の意見を聞いて、失業保險金の支給について別段の定めをすることができる。
公共職業安定所は、各受給資格者について失業保險金を支給すべき日を定め、これをその者に知らせなければならない。
(受給権の讓渡及び差押の禁止)
第二十五條 失業保險金の支給を受ける権利は、これを讓り渡し、又は差し押えることはできない。
(租税その他の公課の非課税)
第二十六條 失業保險金を標準として、租税その他の公課は、これを課さない。
(費用の支給)
第二十七條 受給資格者が、公共職業安定所の紹介した職業に就くため、その住所又は居住を変更する場合においては、政府は、受給資格者及びその者により生計を維持されている同居の親族(届出をしないが、事実上その者と婚姻関係と同樣の事情にある者を含む。)の移轉に要する費用を支給することができる。
前項の費用の支給に関し必要な事項は、労働大臣が、失業保險委員会の意見を聞いて、これを定める。
第二十三條の規定は、第一項の場合に、これを準用する。