租税特別措置法
法令番号: 法律第十五號
公布年月日: 昭和21年9月1日
法令の形式: 法律
朕は、帝國議會の協贊を經た臨時租税措置法を改正する法律を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十一年九月一日
内閣總理大臣 吉田茂
大藏大臣 石橋湛山
法律第十五號
租税特別措置法
第一條 當分の間この法律により、所得税、法人税、特別法人税、營業税及び登録税を、輕減若しくは免除し、又はその課税標準の計算若しくはその徴收に關する特例を設ける。
第二條 左に掲げる甲種の配當利子所得については、命令の定めるところにより、分類所得税を免除する。
一 明治三十九年法律第三十四號(國債に關する法律)又は社債等登録法により、銀行(日本銀行を除く。)その他命令で定める金融機關の登録した公債又は社債の利子
二 貯蓄銀行法第九條第一項又は昭和十八年法律第四十三號(普通銀行等の貯蓄銀行業務又は信託業務の兼營等に關する法律)第二條第一項の規定により、貯蓄銀行又は貯蓄銀行業務を營む銀行の供託した公債及び社債の利子
三 金融機關に對する金融機關の預金で命令で定めるものの利子
第三條 個人が、法令、法令に基く命令又は行政官廳の指導若しくは斡旋により、木材又は薪炭の増産の必要上、立木の伐採又は讓渡をしたときは、當該立木の伐採又は讓渡に因り生ずる山林の所得から、命令の定めるところにより計算した金額の十分の五を控除して、分類所得税を賦課する。
第四條 個人が、相續税法第十七條ノ二の規定により、相續財産たる不動産又は立木を相續税の物納に充てたときは、命令の定めるところにより、當該不動産又は立木の物納に因り生ずる讓渡所得又は山林の所得から、當該不動産又は立木に課せられた相續税額のうち命令で定める金額に相當する金額を控除して、分類所得税を賦課する。
第五條 個人のその年中の營業の所得金額又は純益金額が、その年分の營業の所得の決定金額又は純益の決定金額に對し、五割以上減少した場合においては、命令の定めるところにより、その年分の當該營業所得に對する所得税及び營業税を左の區分により輕減する。
減少割合が七割以下のとき 税額の十分の三
減少割合が七割を超えるとき 税額の十分の六
前項の規定は、個人でその年中の營業の所得金額が五萬圓以上のものについては、これを適用しない。
前二項の規定は、個人のその年中の乙種の事業所得に該當する所得の金額が、その年分の乙種の事業所得の決定金額に對し、五割以上減少した場合について、これを準用する。
第六條 前條の規定により所得税及び營業税の輕減を受けようとする者は、命令の定めるところにより、その旨を政府に申請しなければならない。
前項の申請があつたときは、政府は輕減處分が確定するまで税金の徴收を猶豫することができる。
第七條 國庫補助金その他これに類する收入で命令で定めるものは、命令の定めるところにより、法人税法による所得及び營業税法による法人の純益の計算上、これを益金に算入しない。
第八條 命令で定める法人の設定した價格平衡資金又は施設補修準備金への繰入金は、命令の定めるところにより、法人税法による所得及び營業税法による純益の計算上、これを損金に算入する。
第九條 法人が額面以上の價額で株式を發行した場合の額面を超える金額については、命令の定めるところにより、その十分の五に相當する金額を、法人税法による所得及び營業税法による純益の計算上益金に算入しない。
第十條 法人のなした寄附金のうち、命令の定めるところにより計算した金額を超える部分の金額は、法人税法による所得及び營業税法による純益又は特別法人税法による剩餘金の計算上、これを損金に算入しない。但し、命令で定める寄附金については、命令の定めるところにより、その一部を損金に算入する。
第十一條 法人の納付した罰金又は科料(通告處分により納付した罰金又は科料に相當する金額を含む。)は、法人税法による所得及び營業税法による純益の計算上、これを損金に算入しない。
第十二條 法人が合併した場合において、合併に因り消滅した法人の株式(出資を含む。本條中以下これに同じ。)を、合併後存續する法人又は合併に因り消滅した他の法人が、合併前において取得したときは、命令の定めるところにより、當該株式の取得に要した金錢を、合併に因り消滅した法人の株主(社員を含む。)が、合併後存續する法人又は合併に因り設立した法人から合併に因り取得した金錢とみなし、法人税法及び營業税法を適用する。
第十三條 命令で定める法人が、各事業年度分の法人税又は各事業年度分の營業税についてなすべき法人税法第十八條又は營業税法第十五條の申告の期限は、これを毎事業年度の決算が確定した後六十日以内とする。
第十四條 前條に規定する法人は、命令の定めるところにより、各事業年度分の法人税及び營業税を、同條の規定による申告と同時に政府に納付しなければならない。
第十五條 第十三條に規定する法人が、前條の規定による法人税若しくは營業税の納付をしないとき又はその納付した税額が納付すべき税額に對し不足するときは、納付すべき税額又は不足する税額に命令の定めるところにより計算した金額を、命令の定めるところにより、加算してこれを徴收する。
第十六條 納税施設法第七條乃至第九條の規定は、第十三條に規定する法人については、これを適用しない。
第十七條 耕作を目的とする土地(その土地に附屬して使用される土地を含む。)について、所有權の交換をした場合においては、交換に因る所有權の取得又は交換のためにする所有權の保存の登記については、命令の定めるところにより、登録税を免除する。
前項の規定は、永小作權の交換又は前項の土地の所有權と永小作權との交換をした場合について、これを準用する。
第十八條 左に掲げる事項が、法令、法令に基く命令又は行政官廳の指導若しくは斡旋によりなされる場合においては、命令の定めるところにより、その登記の登録税の額は、他の法令に特別の定のある場合を除いては、登録税法にかかはらず左の額による。但し、登録税法により計算した登録税の額が、左の額より少いときはその額による。
一 會社の設立
金錢出資による拂込株金額及び金錢を目的とする株金以外の出資の價格の千分の六と、金錢以外の財産の出資による拂込株金額及び金錢以外の財産を目的とする株金以外の出資の價格の千分の一・五との合計額
二 會社資本の増加
金錢出資による増資拂込株金額及び金錢を目的とする株金以外の出資の價格の千分の六と、金錢以外の財産の出資による増資拂込株金額及び金錢以外の財産を目的とする株金以外の出資の價格の千分の一・五との合計額
三 第二囘以後の株金拂込
毎囘の金錢による拂込株金額の千分の六と、金錢以外の財産の出資による拂込株金額の千分の一・五との合計額
四 會社の設立、資本増加若しくは第二囘以後の株金の拂込又は事業の設備若しくは事業の讓受の場合における不動産又は船舶に關する權利の取得
不動産又は船舶の價格の千分の四
附 則
この法律は、公布の日から、これを施行する。
甲種及び乙種の事業所得、山林の所得、讓渡所得及び個人の總所得に對する所得税竝びに個人の營業税については、昭和二十二年分から、この法律を適用する。
各事業年度の普通所得及び超過所得に對する法人税竝びに法人の各事業年度の純益に對する營業税については、昭和二十一年四月一日以後に終了する事業年度分から、清算所得に對する法人税及び清算純益に對する營業税については、同日以後の解散又は合併に因る分から、この法律を適用する。但し、同年八月三十一日までに決算の確定した事業年度分に限り、第十三條中「毎事業年度の決算が確定した後六十日以内」とあるのは、「昭和二十一年十月三十一日まで」と讀み替へるものとする。
特別の法人の各事業年度の剩餘金に對する特別法人税については、昭和二十一年四月一日以後に終了する事業年度分から、この法律を適用する。
昭和二十年分以前の乙種の配當利子所得に對する分類所得税、昭和二十一年分以前の甲種及び乙種の事業所得、乙種の勤勞所得、山林の所得及び個人の總所得に對する所得税、個人の昭和二十一年分以前の營業税及び臨時利得税、昭和二十一年分以前の鑛區税、法人の昭和二十一年三月三十一日以前に終了した各事業年度の所得及び資本に對する法人税及び純益に對する營業税及び臨時利得税、法人の同日以前の解散又は合併に因る清算所得に對する法人税及び清算純益に對する營業税、特別の法人の同日以前に終了した各事業年度の剩餘金に對する特別法人税及び同日以前の解散又は合併に因る清算剩餘金に對する特別法人税及びこの法律施行前に課した又は課すべきであつた甲種の配當利子所得に對する分類所得税及び登録税の輕減又は免除竝びにこれらの租税の課税標準の計算、徴收及びこれらの租税の輕減又は免除に因る納税資格要件の特例に關しては、なほ從前の例による。
朕は、帝国議会の協賛を経た臨時租税措置法を改正する法律を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十一年九月一日
内閣総理大臣 吉田茂
大蔵大臣 石橋湛山
法律第十五号
租税特別措置法
第一条 当分の間この法律により、所得税、法人税、特別法人税、営業税及び登録税を、軽減若しくは免除し、又はその課税標準の計算若しくはその徴収に関する特例を設ける。
第二条 左に掲げる甲種の配当利子所得については、命令の定めるところにより、分類所得税を免除する。
一 明治三十九年法律第三十四号(国債に関する法律)又は社債等登録法により、銀行(日本銀行を除く。)その他命令で定める金融機関の登録した公債又は社債の利子
二 貯蓄銀行法第九条第一項又は昭和十八年法律第四十三号(普通銀行等の貯蓄銀行業務又は信託業務の兼営等に関する法律)第二条第一項の規定により、貯蓄銀行又は貯蓄銀行業務を営む銀行の供託した公債及び社債の利子
三 金融機関に対する金融機関の預金で命令で定めるものの利子
第三条 個人が、法令、法令に基く命令又は行政官庁の指導若しくは斡旋により、木材又は薪炭の増産の必要上、立木の伐採又は譲渡をしたときは、当該立木の伐採又は譲渡に因り生ずる山林の所得から、命令の定めるところにより計算した金額の十分の五を控除して、分類所得税を賦課する。
第四条 個人が、相続税法第十七条ノ二の規定により、相続財産たる不動産又は立木を相続税の物納に充てたときは、命令の定めるところにより、当該不動産又は立木の物納に因り生ずる譲渡所得又は山林の所得から、当該不動産又は立木に課せられた相続税額のうち命令で定める金額に相当する金額を控除して、分類所得税を賦課する。
第五条 個人のその年中の営業の所得金額又は純益金額が、その年分の営業の所得の決定金額又は純益の決定金額に対し、五割以上減少した場合においては、命令の定めるところにより、その年分の当該営業所得に対する所得税及び営業税を左の区分により軽減する。
減少割合が七割以下のとき 税額の十分の三
減少割合が七割を超えるとき 税額の十分の六
前項の規定は、個人でその年中の営業の所得金額が五万円以上のものについては、これを適用しない。
前二項の規定は、個人のその年中の乙種の事業所得に該当する所得の金額が、その年分の乙種の事業所得の決定金額に対し、五割以上減少した場合について、これを準用する。
第六条 前条の規定により所得税及び営業税の軽減を受けようとする者は、命令の定めるところにより、その旨を政府に申請しなければならない。
前項の申請があつたときは、政府は軽減処分が確定するまで税金の徴収を猶予することができる。
第七条 国庫補助金その他これに類する収入で命令で定めるものは、命令の定めるところにより、法人税法による所得及び営業税法による法人の純益の計算上、これを益金に算入しない。
第八条 命令で定める法人の設定した価格平衡資金又は施設補修準備金への繰入金は、命令の定めるところにより、法人税法による所得及び営業税法による純益の計算上、これを損金に算入する。
第九条 法人が額面以上の価額で株式を発行した場合の額面を超える金額については、命令の定めるところにより、その十分の五に相当する金額を、法人税法による所得及び営業税法による純益の計算上益金に算入しない。
第十条 法人のなした寄附金のうち、命令の定めるところにより計算した金額を超える部分の金額は、法人税法による所得及び営業税法による純益又は特別法人税法による剰余金の計算上、これを損金に算入しない。但し、命令で定める寄附金については、命令の定めるところにより、その一部を損金に算入する。
第十一条 法人の納付した罰金又は科料(通告処分により納付した罰金又は科料に相当する金額を含む。)は、法人税法による所得及び営業税法による純益の計算上、これを損金に算入しない。
第十二条 法人が合併した場合において、合併に因り消滅した法人の株式(出資を含む。本条中以下これに同じ。)を、合併後存続する法人又は合併に因り消滅した他の法人が、合併前において取得したときは、命令の定めるところにより、当該株式の取得に要した金銭を、合併に因り消滅した法人の株主(社員を含む。)が、合併後存続する法人又は合併に因り設立した法人から合併に因り取得した金銭とみなし、法人税法及び営業税法を適用する。
第十三条 命令で定める法人が、各事業年度分の法人税又は各事業年度分の営業税についてなすべき法人税法第十八条又は営業税法第十五条の申告の期限は、これを毎事業年度の決算が確定した後六十日以内とする。
第十四条 前条に規定する法人は、命令の定めるところにより、各事業年度分の法人税及び営業税を、同条の規定による申告と同時に政府に納付しなければならない。
第十五条 第十三条に規定する法人が、前条の規定による法人税若しくは営業税の納付をしないとき又はその納付した税額が納付すべき税額に対し不足するときは、納付すべき税額又は不足する税額に命令の定めるところにより計算した金額を、命令の定めるところにより、加算してこれを徴収する。
第十六条 納税施設法第七条乃至第九条の規定は、第十三条に規定する法人については、これを適用しない。
第十七条 耕作を目的とする土地(その土地に附属して使用される土地を含む。)について、所有権の交換をした場合においては、交換に因る所有権の取得又は交換のためにする所有権の保存の登記については、命令の定めるところにより、登録税を免除する。
前項の規定は、永小作権の交換又は前項の土地の所有権と永小作権との交換をした場合について、これを準用する。
第十八条 左に掲げる事項が、法令、法令に基く命令又は行政官庁の指導若しくは斡旋によりなされる場合においては、命令の定めるところにより、その登記の登録税の額は、他の法令に特別の定のある場合を除いては、登録税法にかかはらず左の額による。但し、登録税法により計算した登録税の額が、左の額より少いときはその額による。
一 会社の設立
金銭出資による払込株金額及び金銭を目的とする株金以外の出資の価格の千分の六と、金銭以外の財産の出資による払込株金額及び金銭以外の財産を目的とする株金以外の出資の価格の千分の一・五との合計額
二 会社資本の増加
金銭出資による増資払込株金額及び金銭を目的とする株金以外の出資の価格の千分の六と、金銭以外の財産の出資による増資払込株金額及び金銭以外の財産を目的とする株金以外の出資の価格の千分の一・五との合計額
三 第二回以後の株金払込
毎回の金銭による払込株金額の千分の六と、金銭以外の財産の出資による払込株金額の千分の一・五との合計額
四 会社の設立、資本増加若しくは第二回以後の株金の払込又は事業の設備若しくは事業の譲受の場合における不動産又は船舶に関する権利の取得
不動産又は船舶の価格の千分の四
附 則
この法律は、公布の日から、これを施行する。
甲種及び乙種の事業所得、山林の所得、譲渡所得及び個人の総所得に対する所得税並びに個人の営業税については、昭和二十二年分から、この法律を適用する。
各事業年度の普通所得及び超過所得に対する法人税並びに法人の各事業年度の純益に対する営業税については、昭和二十一年四月一日以後に終了する事業年度分から、清算所得に対する法人税及び清算純益に対する営業税については、同日以後の解散又は合併に因る分から、この法律を適用する。但し、同年八月三十一日までに決算の確定した事業年度分に限り、第十三条中「毎事業年度の決算が確定した後六十日以内」とあるのは、「昭和二十一年十月三十一日まで」と読み替へるものとする。
特別の法人の各事業年度の剰余金に対する特別法人税については、昭和二十一年四月一日以後に終了する事業年度分から、この法律を適用する。
昭和二十年分以前の乙種の配当利子所得に対する分類所得税、昭和二十一年分以前の甲種及び乙種の事業所得、乙種の勤労所得、山林の所得及び個人の総所得に対する所得税、個人の昭和二十一年分以前の営業税及び臨時利得税、昭和二十一年分以前の鉱区税、法人の昭和二十一年三月三十一日以前に終了した各事業年度の所得及び資本に対する法人税及び純益に対する営業税及び臨時利得税、法人の同日以前の解散又は合併に因る清算所得に対する法人税及び清算純益に対する営業税、特別の法人の同日以前に終了した各事業年度の剰余金に対する特別法人税及び同日以前の解散又は合併に因る清算剰余金に対する特別法人税及びこの法律施行前に課した又は課すべきであつた甲種の配当利子所得に対する分類所得税及び登録税の軽減又は免除並びにこれらの租税の課税標準の計算、徴収及びこれらの租税の軽減又は免除に因る納税資格要件の特例に関しては、なほ従前の例による。