(目的)
第一条 この法律は、緊急に保安林を整備するため、保安林整備計画を定め、これに基く森林計画の変更、保安林として指定された森林の国による買入等の措置を講じ、もつて国土の保全に資することを目的とする。
(保安林整備計画)
第二条 農林大臣は、地勢その他の条件を勘案して主として流域別に定める区域ごとに、中央森林審議会の意見を聞いて、保安林整備計画を定めなければならない。
2 前項の保安林整備計画には、左に掲げる事項を定めるものとする。
(森林計画の変更)
第三条 農林大臣は、森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第十条第一項に規定する場合の外、前条第一項の保安林整備計画を実施するため必要がある場合には、同法第四条第一項の規定により定められた森林基本計画の一部を変更することができる。
2 前項の規定による変更は、森林法第十条第一項の規定によりしたものとみなす。
(買入)
第四条 国は、第二条第一項の保安林整備計画に基き、毎年度予算の範囲内において、森林及び原野その他の土地(以下「森林等」という。)で左の各号の一に該当し、国土保全上必要なものを買い入れるものとする。
一 森林法第二十五条第一項第一号から第三号までに掲げる目的を達成するため保安林として指定されている森林
三 前二号の規定により買い入れる森林等に隣接し、これとあわせて経営することを相当とする森林等
(交換)
第五条 前条に掲げる森林等で、その所在する地方の住民の薪炭原木の採取、放牧又は採草の用に供されているものを取得するため、同条の規定による買入に代えて、当該森林等と国有林野法(昭和二十六年法律第二百四十六号)第二条第二号の国有林野とを交換する場合には、国は、国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第二十七条第一項但書の規定にかかわらず、価額の差額がその高価なものの価額の二分の一をこえないときは、交換をすることができる。
(強制買取)
第六条 森林法第二十五条第一項第一号から第三号までに掲げる目的を達成するため保安林として指定されている森林で、国土の保全上特に重要なものの森林所有者(同法第二条第二項に規定する森林所有者又は森林の土地の所有者をいう。以下同じ。)が、その森林につきされた同法第三十八条の規定による命令に従わない場合において、政令の定めるところにより催告をしてもなおこれに従わず、且つ、第四条の規定による国の買入の申込に応じないときは、農林大臣は、当該森林所有者から、当該森林、当該森林の土地又はその土地の上の権利及び立木竹を買い取ることができる。
2 農林大臣は、前項の規定による買取をするには、中央森林審議会の議を経て左に掲げる事項を記載した買収令書を作成し、これを当該森林所有者に交付しなければならない。
二 森林又は土地を買い取る場合には、その所在、地番及び面積、権利及び立木竹を買い取る場合には、その存する土地の所在、地番及び面積並びにその権利の種類及び内容
3 国が、前項の買収令書に記載された買取の期日までに対価を支払い、又は政令の定めるところにより供託したときは、その買取の期日に、その買取の目的となつた森林、土地若しくは立木竹の所有権又は権利は、国に移転する。
4 第一項の規定により買い取られる森林、土地、権利又は立木竹の対価の額に不服がある者は、買収令書の交付を受けた日から六月以内に、訴をもつてその増額を請求することができる。
(評価)
第七条 前三条の規定による買入、交換又は買取をする場合における森林、土地、権利及び立木竹の価額は、時価によるものとし、政令の定めるところにより評価基準に基いて算定しなければならない。