(趣旨)
第一条 この法律は、株式会社以外の法人(以下「法人」という。)について、資産再評価法(昭和二十五年法律第百十号)第百九条の規定による再評価積立金の資本への組入に関し必要な事項を定めるものとする。
(資本組入の決議)
第二条 法人が再評価積立金を資本(払込済の出資の総額をいう。以下同じ。)に組み入れるには、定款変更の場合と同様の決議によらなければならない。
(出資口数の増加)
第三条 法人が再評価積立金を資本に組み入れる場合においては、その資本に組み入れる金額を出資一口の金額(第五条第一項の規定により出資一口の金額の一部を払い込ませる旨を定めた場合には、払込金額を控除した金額)で除して得た数に相当する出資の総口数が増加するものとし、各出資者の出資口数は、それぞれ、その現に有する出資口数に応じて増加するものとする。但し、各出資者の増加する出資口数に一口未満の端数を生ずるときは、当該出資者については、その端数の出資口数の増加はないものとする。
(端数口数の売却等)
第四条 法人は、次条第一項の規定により出資一口の金額の一部を払い込ませる旨を定めた場合を除くの外、前条但書の端数が生じた場合においては、第二条の決議の日から起算して二週間以内に、その端数の合計数に相当する口数の出資を、法令又は定款の規定により出資者となることができる者に対し、適正な価額で売却しなければならない。この場合においては、売却した出資の対価に相当する金額を、前条但書の規定により端数の出資口数の増加がないこととなつた出資者に対し、その端数に応じて分配しなければならない。
2 前項の規定により売却すべき口数の出資の全部又は一部を、同項に規定する期間内に、売却することができなかつたときは、売却できなかつた出資の金額に相当する再評価積立金の金額は、第二条の決議にかかわらず、資本に組み入れられなかつたものとみなす。
(払込を伴う資本組入)
第五条 第二条の決議に際しては、出資一口の金額の一部を出資者に払い込ませる旨を定めることができる。この場合においては、出資者が現に有する出資の総口数と第三条の規定により増加する出資の総口数との比率、払込金額及び払込期日をも定めなければならない。
2 前項の払込金額は、分割して払い込ませることができない。
(通知義務等)
第六条 法人は、前条第一項の規定により出資一口の金額の一部を出資者に払い込ませる旨を定めた場合においては、出資者に対し、同項の決議の内容を遅滞なく通知しなければならない。
2 前項の通知を受けた出資者が、払込期日までに払込をしないときは、払込をしない口数の出資に関する権利を与えられないものとする。
(端数口数又は払込のない口数についての出資者の募集等)
第七条 法人は、第五条第一項の規定により出資一口の金額の一部を払い込ませる場合において、出資者の出資口数に一ロ未満の端数が生ずるときはその端数の合計数に相当する出資口数につき、同項の払込期日までに払込をしなかつた者があるときは払込のなかつた出資の総口数につき、それぞれ、法令又は定款の規定により出資者となることができる者のうちから、出資者を募集しなければならない。
2 前項の場合における出資の払込期日は、第五条第一項の規定により定められた払込期日の翌日から二月以内としなければならない。
3 第五条第二項の規定は、第一項の規定に基き応募した出資者の払込金額について準用する。
4 法人は、第一項の規定により出資者を募集した場合においては、出資一口の金額から第五条第一項の払込金額を控除した金額に応募のあつた出資の総口数を乗じて得た金額に相当する金額を、第三条但書の規定により端数の出資口数の増加がないこととなつた出資者に対してはその端数に応じ、払込をしなかつた出資者に対してはその払込のなかつた出資口数に応じ、分配しなければならない。
5 第一項の規定により出資者を募集する場合において、最後の募集に係る払込期日までに払込のなかつた出資があるときは、その出資に対応する部分の再評価積立金の金額は、第二条の決議にかかわらず、資本に組み入れられないものとする。
(資本組入の効力の発生)
第八条 第五条第一項の規定により出資一口の金額の一部を払い込ませる場合においては、資本の増加(再評価積立金の資本への組入を含む。以下同じ。)は、他の法律に別段の定がない限り、最後に払込が行われた日において、その効力を生ずるものとする。
(出資口数の保有限度の特例)
第九条 第四条第二項又は第七条第五項の規定により資本に組み入れられない金額が生じた場合において、出資者の出資口数が法令に定める一出資者の有することができる口数の最高限度をこえることとなるときは、そのこえる出資口数に応ずる持分は、資本の増加の効力が生じた日から六月以内に、法令又は定款の規定により出資者となることができる者に対し、譲渡しなければならない。
(合名会社及び合資会社における資本組入)
第十条 合名会社又は合資会社が再評価積立金を資本に組み入れる場合においては、当該積立金を社員の出資の履行をしていない部分に充ててはならない。
(有限会社における質権の効力)
第十一条 商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百八条(質権の効力)の規定は、第三条の規定により増加することとなる有限会社の出資者の出資口数に応ずる持分及び第四条第一項後段又は第七条第四項の規定により有限会社の出資者が受けるべき金銭について準用する。
2 商法第二百九条(登録質の効力)第一項及び第二項の規定は、第四条第一項後段又は第七条第四項の規定により有限会社の出資者が受けるべき金銭について準用する。
(所得計算の特例)
第十二条 第四条第一項の規定による売却又は第七条第一項の規定による募集による収入金のうち、第四条第一項後段又は第七条第四項の規定により分配すべき金額は、法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)又は地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の規定による各事業年度の所得の計算上益金に算入しない。
2 第四条第一項後段又は第七条第四項の規定により分配した金額は、法人税法又は地方税法の規定による各事業年度の所得の計算上損金に算入しない。
(罰則)
第十三条 法人の代表者が、第六条第一項の通知を怠り、又は不正の通知をしたときは、三十万円以下の過料に処する。