朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル臨時租稅措置法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十三年三月三十日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
大藏大臣 賀屋興宣
商工大臣 吉野信次
法律第五十二號
臨時租稅措置法
第一條 當分ノ內本法ニ依リ田畑地租、營業收益稅、鑛產稅、特別鑛產稅及織物消費稅ヲ輕減又ハ免除シ砂金以外ノ砂鑛ニ付特別砂鑛區稅ヲ課ス
第二條 個人ノ田畑自作ノ所得ガ平常所得ニ對シ二割五分以上減少シタルトキハ其ノ納付スル田畑地租ヲ輕減ス
第三條 田畑地租ノ輕減額ハ田畑自作ノ所得ガ平常所得ニ對シ減少シタル割合ニ從ヒ左ノ割合ノ金額トス
減少割合ガ二割五分以上三割五分未滿ナルトキ 田畑地租額ノ二割
同三割五分以上五割未滿ナルトキ 田畑地租額ノ三割
同五割以上七割未滿ナルトキ 田畑地租額ノ四割
同七割以上ナルトキ 田畑地租額ノ五割
前項ノ輕減額ハ自作ノ田畑ニ對スル其ノ年分ノ地租額ニ付之ヲ計算ス
第四條 平常所得ハ昭和十一年以前三年ノ田畑自作ノ平均所得ニ依ル但シ昭和十二年一月一日ヨリ新ニ田畑自作ヲ開始シタル者ニ付テハ昭和十二年ノ所得ニ依ル
前項ニ規定スルモノヲ除クノ外平常所得ノ算定ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第五條 田畑地租ノ輕減ヲ受ケントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ旨ヲ政府ニ申請スベシ
第六條 田畑地租ノ輕減ヲ申請シタル者ノ田畑自作ノ所得ハ政府ノ調査ニ依リ其ノ年第三種ノ所得金額ヲ決定スル時期ニ於テ政府之ヲ確定ス
第七條 所得稅法第十四條第一項第六號ノ規定及同條第三項中相續シタル資產ノ所得計算ニ關スル規定ハ本法ニ依ル田畑自作ノ所得ノ計算ニ付之ヲ準用ス
第八條 法人又ハ個人ノ營業(個人ニ付テハ營業收益稅法第二條ニ揭グル營業ヲ謂フ以下同ジ)ノ純益ガ平常純益ニ對シ二割五分以上減少シタルトキハ其ノ納付スル營業收益稅ヲ輕減ス
第九條 營業收益稅ノ輕減額ハ營業ノ純益ガ平常純益ニ對シ減少シタル割合ニ從ヒ左ノ割合ノ金額トス
減少割合ガ二割五分以上三割五分未滿ナルトキ 營業收益稅額ノ二割
同三割五分以上五割未滿ナルトキ 營業收益稅額ノ三割
同五割以上七割未滿ナルトキ 營業收益稅額ノ四割
同七割以上ナルトキ 營業收益稅額ノ五割
第十條 法人ノ平常純益ハ昭和十一年以前三年內ニ終了シタル各事業年度ノ平均純益ニ依ル但シ第一次ノ事業年度ガ昭和十二年中ニ終了シタル法人ニ付テハ昭和十二年中ニ終了シタル各事業年度ノ平均純益ニ依ル
個人ノ平常純益ハ昭和十一年以前三年ノ平均純益ニ依ル但シ昭和十二年一月一日ヨリ新ニ營業ヲ開始シタル個人ニ付テハ昭和十二年ノ純益ニ依ル
前二項ニ規定スルモノヲ除クノ外法人又ハ個人ノ平常純益ノ算定ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十一條 營業收益稅ノ輕減ヲ受ケントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ旨ヲ政府ニ申請スベシ
第十二條 左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ營業收益稅ヲ輕減セズ
一 法人ノ營業ノ純益ガ年六千圓以上ナルトキ又ハ資本金額ニ對シ年百分ノ七ノ割合ヲ以テ算出シタル金額ヲ超ユルトキ
二 個人ノ營業ノ純益ガ六千圓以上ナルトキ
三 法人ノ資本金額ガ二十萬圓以上ナルトキ
第十三條 營業收益稅法第四條第一項ノ規定ハ本法ニ依ル法人ノ營業ノ純益ノ計算ニ付、同法第六條ノ規定ハ本法ニ依ル個人ノ營業ノ純益ノ計算ニ付之ヲ準用ス
所得稅法第六條乃至第八條ノ規定ハ本法ニ依ル法人ノ資本金額ノ計算ニ付之ヲ準用ス
第十四條 田畑自作ノ所得又ハ個人ノ營業ノ純益ニ付當初確定額ニ比シ減損アル場合ニ於テハ政府ハ申請ニ依リ第二條乃至第四條又ハ第八條乃至第十條及第十二條ノ規定ニ準ジ田畑地租又ハ營業收益稅ヲ輕減シ又ハ其ノ輕減稅額ヲ變更スルコトヲ得
前項ノ規定ハ田畑自作ノ所得ガ所得確定後相續又ハ贈與ニ因リ減損シタル場合又ハ營業ノ純益ガ純益金額決定後營業繼續ニ因リ減損シタル場合ニハ之ヲ適用セズ
第一項ノ申請ハ翌年一月三十一日迄ニ之ヲ爲スコトヲ要ス
第十五條 前條ノ場合ニ於テ營業ノ純益金額ガ當初決定額ニ比シ四分ノ一以上ノ減損ト爲ルトキハ其ノ實際純益額ニ基キ計算シタル營業收益稅額ニ付前條ノ規定ニ依ル輕減又ハ變更ヲ爲ス
第十六條 個人ノ營業收益稅ニ付純益金額決定後翌年純益金額決定前ニ於テ營業ヲ法人ニ繼續セシメタル者ノ當該營業ノ實際純益額ガ決定純益額ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ハ之ヲ純益金額ノ決定ニ付脫漏アリタルモノト看做シ翌年ニ於ケル所得調査委員會ノ調査ニ依リ政府ニ於テ其ノ純益金額ヲ決定スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ當該營業ノ實際純益額ハ其ノ年ニ於ケル收入金額ヨリ必要ノ經費ヲ控除シタル金額ニ依ル
第十七條 第十四條第一項ノ申請アリタルトキハ政府ハ其ノ處分ノ確定スルニ至ル迄稅金ノ徵收ヲ猶豫スルコトヲ得
第十八條 昭和十三年一月一日以後鑛區ノ合併、分割又ハ分合ニ依ラズシテ設定セラレタル採掘權ニ基キ其ノ鑛區ヨリ產出シタル鑛物ニシテ命令ヲ以テ指定スルモノニハ鑛產稅又ハ特別鑛產稅ヲ課セズ
第十九條 命令ヲ以テ指定スル鑛物又ハ其ノ鑛產物ノ每年ノ產出數量ガ昭和十二年中ニ於ケル產出數量ヲ超過シタル鑛業ノ鑛業權者ニハ其ノ超過部分(鑛物及鑛產物ノ產出數量ガ何レモ超過シタルトキハ其ノ超過割合ノ大ナル一方ノ超過部分)ニ付鑛產稅又ハ特別鑛產稅ヲ免除ス
自己ノ掘採シタル鑛物ト他人ヨリ取得シタル鑛物トヲ合併シ製鍊スル場合ニ於テ其ノ取得鑛物ヨリ產出シタル鑛產物ノ數量ハ前項ノ鑛產物ノ產出數量ニ之ヲ算入セズ但シ其ノ取得鑛物ノ數量ガ自己ノ掘採シタル鑛物ノ數量ヲ超過スルトキハ其ノ超過部分ノ鑛物ヨリ產出スル鑛產物ノ數量ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
昭和十二年以後鑛業ノ全部又ハ一部ノ繼續アリタル場合ニ於テハ當該部分ヨリ昭和十二年中ニ產出シタル鑛物又ハ其ノ鑛產物ノ數量ハ之ヲ繼續者ノ昭和十二年中ノ鑛物又ハ其ノ鑛產物ノ產出數量ニ加算シ被繼續者ノ昭和十二年中ノ鑛物又ハ其ノ鑛產物ノ產出數量ヨリ除算シ第一項ノ超過部分ヲ計算ス
前項ノ繼續アリタル場合ニ於テハ被繼續者ガ當該部分ヨリ其ノ年ニ於テ產出シタル鑛物又ハ其ノ鑛產物ノ數量ハ之ヲ繼續者ノ其ノ年ニ於ケル鑛物又ハ鑛產物ノ產出數量ト看做ス
第二十條 砂金以外ノ砂鑛ノ採取ヲ目的トスル砂鑛權者ニハ左ノ稅率ニ依リ每年特別砂鑛區稅ヲ課ス
河床 砂鑛區城一町每ニ 金三十錢
河床ニ非ザルモノ 砂鑛區域千坪每ニ 金三十錢
前項ノ場合ニ於テ一町未滿又ハ千坪未滿ノ端數ハ之ヲ一町又ハ千坪トシテ計算ス
特別砂鑛區稅ノ賦課徵收ニ關シテハ鑛區稅ノ賦課徵收ニ關スル規定ヲ準用ス
北海道、府縣、市町村其ノ他ノ公共團體ハ特別砂鑛區稅ニ付附加稅ヲ課スルコトヲ得ズ
第二十一條 命令ヲ以テ定ムル混紡絲ハ之ヲ織物消費稅法第一條及第一條ノ二ニ規定スル綿又ハ綿絲ト看做ス
第二十二條 綿絲又ハ前條ノ規定ニ依リ綿絲ト看做シタル絲ト人造絹絲トヲ以テ組成シタル織物ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノハ織物消費稅法第一條ノ二ノ規定ニ拘ラズ之ヲ綿織物ト看做ス
第二十三條 本法ニ依リ輕減又ハ免除セラルル租稅ハ法令上ノ納稅資格要件ニ關シテハ輕減又ハ免除セラレザルモノト看做ス
附 則
第二十四條 本法ハ昭和十三年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
第二十五條 田畑地租ニ付テハ昭和十三年分ヨリ、營業收益稅中法人ノ營業收益稅ニ付テハ昭和十三年一月一日以後ニ終了スル事業年度分、個人ノ營業收益稅ニ付テハ昭和十三年分ヨリ本法ヲ適用ス但シ第十六條ノ規定ハ昭和十二年分營業收益稅ヨリ之ヲ適用ス
第二十六條 鑛產稅及特別鑛產稅ニ付テハ昭和十三年分ヨリ本法ヲ適用ス
第二十七條 昭和十三年分ノ特別砂鑛區稅ニ付テハ昭和十三年四月以後ノ月割ヲ以テ其ノ稅額ヲ計算シ同年五月三十一日迄ニ之ヲ納付セシム
第二十八條 左ニ揭グル織物又ハ之ヲ以テ製造シタル物品ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
一 本法施行前消費稅ヲ課スベカリシモノ
二 本法施行前輸出若ハ朝鮮移出ノ目的ヲ以テ又ハ織物消費稅法第七條ノ規定ニ依リテ消費稅ヲ納付セズシテ製造場又ハ保稅地域ヨリ引取リタルモノ
三 本法施行前消費稅ノ徵收ヲ猶豫シタルモノ
四 本法施行前消費稅ヲ納付シテ輸出シ又ハ朝鮮ニ移出シタルモノ
第二十九條 本法施行前消費稅ヲ納付シタル織物ニシテ本法ニ依リ消費稅ヲ課セザルコトト爲リタルモノ又ハ之ヲ以テ製造シタル物品ヲ本法施行後輸出シ又ハ朝鮮ニ移出スルモ織物消費稅法第三條第二項ノ規定及大正九年法律第五十一號ヲ適用セズ
第三十條 本法ハ支那事變終了後其ノ年ノ翌年十二月三十一日迄ニ之ヲ廢止スルモノトス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル臨時租税措置法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十三年三月三十日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
大蔵大臣 賀屋興宣
商工大臣 吉野信次
法律第五十二号
臨時租税措置法
第一条 当分ノ内本法ニ依リ田畑地租、営業収益税、鉱産税、特別鉱産税及織物消費税ヲ軽減又ハ免除シ砂金以外ノ砂鉱ニ付特別砂鉱区税ヲ課ス
第二条 個人ノ田畑自作ノ所得ガ平常所得ニ対シ二割五分以上減少シタルトキハ其ノ納付スル田畑地租ヲ軽減ス
第三条 田畑地租ノ軽減額ハ田畑自作ノ所得ガ平常所得ニ対シ減少シタル割合ニ従ヒ左ノ割合ノ金額トス
減少割合ガ二割五分以上三割五分未満ナルトキ 田畑地租額ノ二割
同三割五分以上五割未満ナルトキ 田畑地租額ノ三割
同五割以上七割未満ナルトキ 田畑地租額ノ四割
同七割以上ナルトキ 田畑地租額ノ五割
前項ノ軽減額ハ自作ノ田畑ニ対スル其ノ年分ノ地租額ニ付之ヲ計算ス
第四条 平常所得ハ昭和十一年以前三年ノ田畑自作ノ平均所得ニ依ル但シ昭和十二年一月一日ヨリ新ニ田畑自作ヲ開始シタル者ニ付テハ昭和十二年ノ所得ニ依ル
前項ニ規定スルモノヲ除クノ外平常所得ノ算定ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第五条 田畑地租ノ軽減ヲ受ケントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ旨ヲ政府ニ申請スベシ
第六条 田畑地租ノ軽減ヲ申請シタル者ノ田畑自作ノ所得ハ政府ノ調査ニ依リ其ノ年第三種ノ所得金額ヲ決定スル時期ニ於テ政府之ヲ確定ス
第七条 所得税法第十四条第一項第六号ノ規定及同条第三項中相続シタル資産ノ所得計算ニ関スル規定ハ本法ニ依ル田畑自作ノ所得ノ計算ニ付之ヲ準用ス
第八条 法人又ハ個人ノ営業(個人ニ付テハ営業収益税法第二条ニ掲グル営業ヲ謂フ以下同ジ)ノ純益ガ平常純益ニ対シ二割五分以上減少シタルトキハ其ノ納付スル営業収益税ヲ軽減ス
第九条 営業収益税ノ軽減額ハ営業ノ純益ガ平常純益ニ対シ減少シタル割合ニ従ヒ左ノ割合ノ金額トス
減少割合ガ二割五分以上三割五分未満ナルトキ 営業収益税額ノ二割
同三割五分以上五割未満ナルトキ 営業収益税額ノ三割
同五割以上七割未満ナルトキ 営業収益税額ノ四割
同七割以上ナルトキ 営業収益税額ノ五割
第十条 法人ノ平常純益ハ昭和十一年以前三年内ニ終了シタル各事業年度ノ平均純益ニ依ル但シ第一次ノ事業年度ガ昭和十二年中ニ終了シタル法人ニ付テハ昭和十二年中ニ終了シタル各事業年度ノ平均純益ニ依ル
個人ノ平常純益ハ昭和十一年以前三年ノ平均純益ニ依ル但シ昭和十二年一月一日ヨリ新ニ営業ヲ開始シタル個人ニ付テハ昭和十二年ノ純益ニ依ル
前二項ニ規定スルモノヲ除クノ外法人又ハ個人ノ平常純益ノ算定ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十一条 営業収益税ノ軽減ヲ受ケントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ旨ヲ政府ニ申請スベシ
第十二条 左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ニ於テハ営業収益税ヲ軽減セズ
一 法人ノ営業ノ純益ガ年六千円以上ナルトキ又ハ資本金額ニ対シ年百分ノ七ノ割合ヲ以テ算出シタル金額ヲ超ユルトキ
二 個人ノ営業ノ純益ガ六千円以上ナルトキ
三 法人ノ資本金額ガ二十万円以上ナルトキ
第十三条 営業収益税法第四条第一項ノ規定ハ本法ニ依ル法人ノ営業ノ純益ノ計算ニ付、同法第六条ノ規定ハ本法ニ依ル個人ノ営業ノ純益ノ計算ニ付之ヲ準用ス
所得税法第六条乃至第八条ノ規定ハ本法ニ依ル法人ノ資本金額ノ計算ニ付之ヲ準用ス
第十四条 田畑自作ノ所得又ハ個人ノ営業ノ純益ニ付当初確定額ニ比シ減損アル場合ニ於テハ政府ハ申請ニ依リ第二条乃至第四条又ハ第八条乃至第十条及第十二条ノ規定ニ準ジ田畑地租又ハ営業収益税ヲ軽減シ又ハ其ノ軽減税額ヲ変更スルコトヲ得
前項ノ規定ハ田畑自作ノ所得ガ所得確定後相続又ハ贈与ニ因リ減損シタル場合又ハ営業ノ純益ガ純益金額決定後営業継続ニ因リ減損シタル場合ニハ之ヲ適用セズ
第一項ノ申請ハ翌年一月三十一日迄ニ之ヲ為スコトヲ要ス
第十五条 前条ノ場合ニ於テ営業ノ純益金額ガ当初決定額ニ比シ四分ノ一以上ノ減損ト為ルトキハ其ノ実際純益額ニ基キ計算シタル営業収益税額ニ付前条ノ規定ニ依ル軽減又ハ変更ヲ為ス
第十六条 個人ノ営業収益税ニ付純益金額決定後翌年純益金額決定前ニ於テ営業ヲ法人ニ継続セシメタル者ノ当該営業ノ実際純益額ガ決定純益額ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ハ之ヲ純益金額ノ決定ニ付脱漏アリタルモノト看做シ翌年ニ於ケル所得調査委員会ノ調査ニ依リ政府ニ於テ其ノ純益金額ヲ決定スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ当該営業ノ実際純益額ハ其ノ年ニ於ケル収入金額ヨリ必要ノ経費ヲ控除シタル金額ニ依ル
第十七条 第十四条第一項ノ申請アリタルトキハ政府ハ其ノ処分ノ確定スルニ至ル迄税金ノ徴収ヲ猶予スルコトヲ得
第十八条 昭和十三年一月一日以後鉱区ノ合併、分割又ハ分合ニ依ラズシテ設定セラレタル採掘権ニ基キ其ノ鉱区ヨリ産出シタル鉱物ニシテ命令ヲ以テ指定スルモノニハ鉱産税又ハ特別鉱産税ヲ課セズ
第十九条 命令ヲ以テ指定スル鉱物又ハ其ノ鉱産物ノ毎年ノ産出数量ガ昭和十二年中ニ於ケル産出数量ヲ超過シタル鉱業ノ鉱業権者ニハ其ノ超過部分(鉱物及鉱産物ノ産出数量ガ何レモ超過シタルトキハ其ノ超過割合ノ大ナル一方ノ超過部分)ニ付鉱産税又ハ特別鉱産税ヲ免除ス
自己ノ掘採シタル鉱物ト他人ヨリ取得シタル鉱物トヲ合併シ製錬スル場合ニ於テ其ノ取得鉱物ヨリ産出シタル鉱産物ノ数量ハ前項ノ鉱産物ノ産出数量ニ之ヲ算入セズ但シ其ノ取得鉱物ノ数量ガ自己ノ掘採シタル鉱物ノ数量ヲ超過スルトキハ其ノ超過部分ノ鉱物ヨリ産出スル鉱産物ノ数量ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
昭和十二年以後鉱業ノ全部又ハ一部ノ継続アリタル場合ニ於テハ当該部分ヨリ昭和十二年中ニ産出シタル鉱物又ハ其ノ鉱産物ノ数量ハ之ヲ継続者ノ昭和十二年中ノ鉱物又ハ其ノ鉱産物ノ産出数量ニ加算シ被継続者ノ昭和十二年中ノ鉱物又ハ其ノ鉱産物ノ産出数量ヨリ除算シ第一項ノ超過部分ヲ計算ス
前項ノ継続アリタル場合ニ於テハ被継続者ガ当該部分ヨリ其ノ年ニ於テ産出シタル鉱物又ハ其ノ鉱産物ノ数量ハ之ヲ継続者ノ其ノ年ニ於ケル鉱物又ハ鉱産物ノ産出数量ト看做ス
第二十条 砂金以外ノ砂鉱ノ採取ヲ目的トスル砂鉱権者ニハ左ノ税率ニ依リ毎年特別砂鉱区税ヲ課ス
河床 砂鉱区城一町毎ニ 金三十銭
河床ニ非ザルモノ 砂鉱区域千坪毎ニ 金三十銭
前項ノ場合ニ於テ一町未満又ハ千坪未満ノ端数ハ之ヲ一町又ハ千坪トシテ計算ス
特別砂鉱区税ノ賦課徴収ニ関シテハ鉱区税ノ賦課徴収ニ関スル規定ヲ準用ス
北海道、府県、市町村其ノ他ノ公共団体ハ特別砂鉱区税ニ付附加税ヲ課スルコトヲ得ズ
第二十一条 命令ヲ以テ定ムル混紡糸ハ之ヲ織物消費税法第一条及第一条ノ二ニ規定スル綿又ハ綿糸ト看做ス
第二十二条 綿糸又ハ前条ノ規定ニ依リ綿糸ト看做シタル糸ト人造絹糸トヲ以テ組成シタル織物ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノハ織物消費税法第一条ノ二ノ規定ニ拘ラズ之ヲ綿織物ト看做ス
第二十三条 本法ニ依リ軽減又ハ免除セラルル租税ハ法令上ノ納税資格要件ニ関シテハ軽減又ハ免除セラレザルモノト看做ス
附 則
第二十四条 本法ハ昭和十三年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
第二十五条 田畑地租ニ付テハ昭和十三年分ヨリ、営業収益税中法人ノ営業収益税ニ付テハ昭和十三年一月一日以後ニ終了スル事業年度分、個人ノ営業収益税ニ付テハ昭和十三年分ヨリ本法ヲ適用ス但シ第十六条ノ規定ハ昭和十二年分営業収益税ヨリ之ヲ適用ス
第二十六条 鉱産税及特別鉱産税ニ付テハ昭和十三年分ヨリ本法ヲ適用ス
第二十七条 昭和十三年分ノ特別砂鉱区税ニ付テハ昭和十三年四月以後ノ月割ヲ以テ其ノ税額ヲ計算シ同年五月三十一日迄ニ之ヲ納付セシム
第二十八条 左ニ掲グル織物又ハ之ヲ以テ製造シタル物品ニ付テハ仍従前ノ例ニ依ル
一 本法施行前消費税ヲ課スベカリシモノ
二 本法施行前輸出若ハ朝鮮移出ノ目的ヲ以テ又ハ織物消費税法第七条ノ規定ニ依リテ消費税ヲ納付セズシテ製造場又ハ保税地域ヨリ引取リタルモノ
三 本法施行前消費税ノ徴収ヲ猶予シタルモノ
四 本法施行前消費税ヲ納付シテ輸出シ又ハ朝鮮ニ移出シタルモノ
第二十九条 本法施行前消費税ヲ納付シタル織物ニシテ本法ニ依リ消費税ヲ課セザルコトト為リタルモノ又ハ之ヲ以テ製造シタル物品ヲ本法施行後輸出シ又ハ朝鮮ニ移出スルモ織物消費税法第三条第二項ノ規定及大正九年法律第五十一号ヲ適用セズ
第三十条 本法ハ支那事変終了後其ノ年ノ翌年十二月三十一日迄ニ之ヲ廃止スルモノトス