租税特別措置法等の一部を改正する法律
法令番号: 法律第61号
公布年月日: 昭和27年3月31日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

国民の租税負担の軽減と課税の簡素化等を図るため、所得税法改正案に加え、社会経済情勢に対応した租税負担の軽減合理化と所得税の災害減免制度の合理化等を行うことを目的としている。具体的には、住宅建築促進のための特別償却制度の導入、譲渡所得課税の合理化、外国技術導入のための源泉徴収税率の軽減、賠償指定施設解除に伴う法人税納付期限の延長、航空機燃料用揮発油の課税免除、酒類販売に関する規定整備、国税徴収における利子税の減免措置などを実施するものである。

参照した発言:
第13回国会 衆議院 大蔵委員会 第34号

審議経過

第13回国会

衆議院
(昭和27年3月15日)
参議院
(昭和27年3月18日)
衆議院
(昭和27年3月19日)
参議院
(昭和27年3月24日)
衆議院
(昭和27年3月25日)
(昭和27年3月26日)
(昭和27年3月27日)
(昭和27年3月27日)
参議院
(昭和27年3月28日)
(昭和27年3月31日)
(昭和27年4月23日)
衆議院
(昭和27年7月31日)
租税特別措置法等の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十七年三月三十一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第六十一号
租税特別措置法等の一部を改正する法律
(租税特別措置法の一部改正)
第一條 租税特別措置法(昭和二十一年法律第十五号)の一部を次のように改正する。
第一條中「富裕税、」の下に「財産税、」を加え、「及び印紙税」を「、印紙税、酒税及び揮発油税」に改める。
第三條第一項中「規定する対外支払手段」の下に「及びその他命令で定めるこれと同等の価値のあるもの」を加え、「地方債又は同法」を「地方債、同法」に改め、「受益証券」の下に「又は貸付金債権」を加え、「又は配当所得」を「、配当所得又は当該貸付金債権の利子」に改め、「第十八條」の下に「若しくは第四十一條」を加え、同條第二項中「又は証券投資信託の受益証券」を「、証券投資信託の受益証券又は貸付金債権」に改め、「収益」の下に「若しくは利子」を加え、同條の次に次の一條を加える。
第三條の二 所得税法の施行地に住所及び一年以上居所を有しない個人又は法人税法の施行地に本店若しくは主たる事務所を有しない法人が、その有する第五條第一項に規定する事業の用に供する工業所有権その他の技術に関する権利又は特別の技術による生産方式及びこれに準ずるもの(これらの権利に関する使用権を含む。)で、これらの法律の施行地外において取得したもののうち命令で定めるものの提供に因り、昭和二十七年四月一日から同年十二月三十一日までの間に支払を受ける所得税法第一條第二項第六号に規定する所得については、同法第十七條、第十八條及び第四十一條の規定は、これを適用しない。
前項に規定する個人又は法人が、その有する同項に規定する命令で定めるものの提供に因り昭和二十八年一月一日以後支払を受ける所得税法第一條第二項第六号に規定する所得に対する同法第十七條、第十八條及び第四十一條の規定の適用については、これらの規定に規定する百分の二十の税率は、百分の十の税率とする。
前項の規定は、同項の規定の適用を受けようとする者が、当該工業所有権その他の技術に関する権利又は特別の技術による生産方式及びこれに準ずるもの(これらの権利に関する使用権を含む。)が第五條第一項に規定する事業の用に供するものであり、且つ、所得税法の施行地外において取得したものである旨を示して、その所得の支払をなす者の備え付ける帳簿にその氏名、国籍及び住所又は名称及び主たる事務所の所在地並びに命令で定める事項の登載を受けた場合において、その登載を受けている期間に限り、これを適用する。
第四條第三項中「所得税法の施行地における」を削り、「通常必要な金額が同法」を「通常必要な金額として大蔵大臣の定める金額が所得税法」に改める。
第五條第一項中「(その年の総所得金額から所得税法第九條第二項、第九條の二、第十一條の三又は第十一條の四の規定により控除をなす場合においては、当該所得の収入金額からこれらの規定により控除すべき金額を控除した金額。以下同じ。)」を削り、同條第四項第一号及び第二号中「技術に関する権利」の下に「若しくは特別の技術による生産方式及びこれに準ずるもの」を加える。
第五條の二第三項中「(その年分の総所得金額から同法第九條第二項、第九條の二、第十一條の三又は第十一條の四の規定による控除をなす場合においては、当該所得の金額からこれらの規定により控除すべき金額を控除した金額)」を削る。
第五條の三に次の一項を加える。
第五條第一項及び前條第一項並びに第一項の規定の適用に関し必要な事項は、命令でこれを定める。
第五條の十三の次に次の一條を加える。
第五條の十四 法人が、その有する資産再評価法第三條第九号に規定する賠償指定施設につきその指定の解除を受け、当該資産について、新たに帳簿価額を附した場合において、その新たに附した帳簿価額(以下新帳簿価額という。)の合計額がその新たに帳簿価額を附した日を含む事業年度の所得金額に等しいか若しくはこれをこえるとき又は当該新帳簿価額の合計額が当該所得金額から当該新帳簿価額の合計額を控除した金額の三割に相当する金額をこえるときは、当該法人が納付すべき当該事業年度の法人税法第二十六條第一項若しくは第三項又は第二十六條の二第一項に規定する法人税額(当該新帳簿価額の合計額が当該所得金額から当該新帳簿価額の合計額を控除した金額の三割に相当する金額をこえるときは、そのこえる金額が当該所得金額のうちに占める割合を当該法人税額に乗じて得た金額に相当する法人税額)に相当する税額の法人税の納付の期日は、同法第二十六條第一項及び第三項、第二十六條の二第一項並びに第二十六條の三の規定にかかわらず、命令の定めるところにより、当該税額の三分の一に相当する税額については当該事業年度終了の日から八箇月を経過した日の前日、当該税額の三分の一に相当する税額については当該事業年度終了の日から十四箇月を経過した日の前日、残余の税額については当該事業年度終了の日から二十箇月を経過した日の前日とする。
前項の規定の適用を受けた法人に係る同項に規定する新帳簿価額の合計額が当該法人の同項に規定する事業年度の所得金額と等しいか又はこれをこえる場合においては、法人税法第二十六條の三の規定は、これを適用しない。
第一項の規定の適用を受ける法人に係る同項に規定する新帳簿価額の合計額が、同項に規定する事業年度の所得金額から当該新帳簿価額の合計額を控除した金額の三割に相当する金額をこえる場合における法人税法第二十六條の三第一項の規定の適用については、同項中「当該法人税額の二分の一に相当する金額」とあるのは、「当該法人税額から租税特別措置法第五條の十四第一項の規定によりその納付の期日の延期を認められた税額を控除した税額の二分の一に相当する金額」とする。
第一項の規定の適用を受けた法人が同項に規定する事業年度の翌事業年度において法人税法第十九條第一項の規定により同項に規定する申告書を提出する場合においては、同項に規定する前事業年度の法人税として納付した税額及び納付すべきことが確定した税額の合計額には、第一項の規定により納付の期日の延期を認められた税額を含まないものとする。
第一項の規定により納付の期日の延期を認められた法人が当該延期を認められた期間内に終了する各事業年度において法人税法第二十六條の四第四項の規定により法人税の還付の請求をなした場合においては、政府は、命令の定めるところにより、当該延期を認められた税額の全部又は一部をこれに充当することができる。
第一項の規定の適用を受けた法人が同項の規定により納付の期日の延期を認められた法人税をその納付の期日までに完納しなかつたときは、政府は、国税徴収法第九條の規定により、これを督促する。
第九條の次に次の二條を加える。
第九條の二 住宅の用に供する目的をもつて昭和二十七年四月一日から昭和三十一年十二月三十一日までの間に新築した家屋で命令で定めるものの所有権の保存の登記については、命令の定めるところにより、当該期間内に登記を受けるものに限り、その登記の登録税の額は、他の法令に特別の定のある場合を除き、登録税法の規定にかかわらず、当該家屋の価格の千分の一とする。家屋につき当該期間内に増築をなし、当該増築後の家屋がその命令で定める家屋に該当するものである場合における当該増築に因る家屋の床面積の増加に係る所有権の保存の登記の登録税の額についても、また同様とする。
前項に規定する家屋の取得のための資金の貸付がなされる場合にその貸付に係る債権の担保として、当該家屋の上に設定される抵当権の取得の登記の登録税の額は、命令の定めるところにより、他の法令に特別の定のある場合を除き、登録税法の規定にかかわらず、債権金額の千分の一とする。
第九條の三 民法第三十四條の規定により設立された法人で更正緊急保護法第五條第一項の規定により更正保護事業を営むことについて中央更生保護委員会の認可を受けたものが同法第六條の規定により行う事業の用に供する土地又は建物の所有権の取得の登記については、命令の定めるところにより当該土地又は建物が当該法人の同條の規定により行う事業の用に供するものであることの証明がなされたものに限り、その登記の登録税を免除する。
第十四條に次の一項を加える。
第一項及び第二項の規定は、これらの項の規定の適用を受ける土地等の再評価に係る資産再評価法第四十七條第一項の規定による申告書にこれらの項の規定の適用を受ける旨の記載をなした場合に限り、これを適用する。
第十六條第一項中「第十四條第一項又は第二項の適用を受けるもの」を「当該収用、換地処分又は交換に係る従前の土地又は土地の上に存する権利のうち当該補償金の額又は清算金の額に対応する部分」に改め、同條第二項中「交換の時後譲渡、相続、遺贈」を「交換の時後譲渡、遺贈(被相続人の相続人に対する遺贈を除く。以下同じ。)」に、「当該譲渡、相続、」を「当該譲渡、」に改める。
第十七條中「又は地方公共団体に対する贈与若しくは」を「若しくは地方公共団体又は民法第三十四條の規定により設立された法人その他の公益を目的とする事業を営む法人で命令で定めるものに対する贈与又は」に改める。
第十八條を次のように改める。
第十八條 個人が、居住の用に供する家屋、当該家屋の存する土地又は当該土地の上に存する権利を譲渡し、当該譲渡の日前一年又は当該譲渡の日以後一年の間にその者の居住の用に供する家屋、当該家屋の存する土地又は当該土地の上に存する権利を取得し、その取得した財産(以下居住用取得財産という。)が、命令の定める期間内に、その者の居住の用に供する家屋、当該家屋の存する土地又は当該土地の上に存する権利となつた場合(当該居住用取得財産が、当該期間内に、更に居住以外の用に供する家屋、当該家屋の存する土地又は当該土地の上に存する権利となつた場合を除く。)においては、所得税法第九條第一項の規定の適用については、命令の定めるところにより、当該譲渡した財産(以下居住用譲渡財産という。)の譲渡に因る収入金額が当該居住用取得財産の取得価額をこえるときは、当該居住用譲渡財産についてはそのこえる金額に対応する部分についてのみ譲渡があつたものとみなし、当該居住用譲渡財産の譲渡に因る収入金額が当該居住用取得財産の取得価額以下であるときは、当該居住用譲渡財産の譲渡がなかつたものとみなす。
前項の規定の適用を受けた居住用譲渡財産に係る居住用取得財産につき、その取得の時後譲渡、遺贈又は贈与があつた場合において当該譲渡、遺贈又は贈与に因る所得税法第九條第一項第八号に規定する譲渡所得を計算するときは、命令の定めるところにより、当該居住用譲渡財産並びにその取得価額及び取得の時期をそれぞれ当該居住用取得財産並びにその取得価額及び取得の時期とみなす。
第一項に規定する居住用譲渡財産の譲渡があつた場合において、その譲渡の日の属する年の翌年に、当該居住用譲渡財産について居住用取得財産を取得し、且つ、当該居住用取得財産が同項の規定に該当することとなるものであることが明らかであるときは、命令の定めるところにより、同項中「居住用取得財産の取得価額」とあるのを「居住用取得財産について命令の定めるところにより政府の承認を受けたその取得価額の見積額」と読み替えて、同項の規定を適用する。
前項の規定の適用を受けた同項に規定する居住用取得財産について、その取得価額が同項の規定により読み替えられた第一項の規定の適用を受けた当該居住用取得財産について政府の承認を受けたその取得価額の見積額に対して過不足額があることとなつた場合においては、その者は、所得税法第二十七條の規定による修正申告又は更正の請求をすることができる。
前項に規定する場合に該当する場合において、同項の規定による修正申告がないときは、政府は、所得税法第四十六條の規定に準じ所得金額を更正する。
第十九條 個人が、耕作の用に供する土地又は当該土地の上に存する耕作に関する権利を譲渡し、当該譲渡の日前一年又は当該譲渡の日以後一年の間にその者の耕作の用に供する土地又は当該土地の上に存する耕作に関する権利を取得し、その取得した財産(以下耕作用取得財産という。)が、命令の定める期間内に、その者の耕作の用に供する土地又は当該土地の上に存する耕作に関する権利となつた場合(当該財産が、当該期間内に、更に耕作以外の用に供する土地又は当該土地の上に存する権利となつた場合を除く。)においては、所得税法第九條第一項の規定の適用については、命令の定めるところにより、当該譲渡した財産(以下耕作用譲渡財産という。)の譲渡に因る収入金額が当該耕作用取得財産の取得価額をこえるときは、当該耕作用譲渡財産についてはそのこえる金額に対応する部分についてのみ譲渡があつたものとみなし、当該耕作用譲渡財産の譲渡に因る収入金額が当該耕作用取得財産の取得価額以下であるときは、当該耕作用譲渡財産の譲渡がなかつたものとみなす。
前條第二項の規定は、前項の規定の適用を受けた耕作用譲渡財産に係る耕作用取得財産につき、その取得の時後譲渡、遺贈又は贈与があつた場合において当該譲渡、遺贈又は贈与に因る所得税法第九條第一項第八号に規定する譲渡所得の計算をする場合について、前條第三項から第五項までの規定は、前項に規定する耕作用譲渡財産の譲渡があつた場合について、それぞれこれを準用する。この場合において、前條第二項から第四項まで中「居住用譲渡財産」とあるのは「耕作用譲渡財産」と、「居住用取得財産」とあるのは「耕作用取得財産」と読み替えるものとする。
第二十條 第十八條第一項及び前條第一項の場合において、これらの項に規定する居住用譲渡財産又は耕作用譲渡財産の譲渡が交換に因るものであり、且つ、当該交換に因り取得した居住用取得財産又は耕作用取得財産とともに金銭その他当該居住用取得財産又は耕作用取得財産以外の財産を取得しなかつた場合においては、これらの規定を適用せず、所得税法第九條第一項又は資産再評価法第八條第二項若しくは第九條第一項の規定の適用については、当該居住用譲渡財産又は耕作用譲渡財産の譲渡がなかつたものとみなす。
前項の規定の適用を受けた居住用譲渡財産又は耕作用譲渡財産の交換に因り取得した居住用取得財産又は耕作用取得財産につき当該交換の時後譲渡、遺贈若しくは贈与があつた場合において当該譲渡、遺贈若しくは贈与に因る所得税法第九條第一項第八号に規定する譲渡所得を計算するとき又は資産再評価法第八條第二項若しくは第九條第一項の規定により再評価を行うときは、当該居住用譲渡財産又は耕作用譲渡財産並びにその取得価額及び取得の時期をそれぞれ当該居住用取得財産又は耕作用取得財産並びにその取得価額及び取得の時期とみなす。
第二十一條 個人が、昭和二十七年一月一日から昭和三十一年十二月三十一日までの間に貸家の用に供する目的をもつて住宅の用に供する命令で定める家屋を取得して、これを貸家の用に供したときは、その貸家の用に供した日以後三年間、所得税法第十條第二項の規定にかかわらず、当該家屋について同法の規定により総収入金額から控除されるべき減価償却費の額で当該期間に係るものの百分の百五十に相当する金額を、同法第九條第一項第三号に規定する所得の計算上必要な経費に算入する。第五條の五第二項の規定は、この場合について、これを準用する。
法人が、昭和二十七年一月一日から昭和三十一年十二月三十一日までの間に貸家の用に供する目的をもつて住宅の用に供する命令で定める家屋を取得して、これを貸家の用に供したときは、その貸家の用に供した日以後三年内の日を含む各事業年度について法人税法及び同法に基く命令の規定により計算される当該家屋の償却範囲額は、その貸家の用に供した日以後三年間を限り、これらの規定により計算される当該家屋の償却範囲額(これらの規定に定める償却不足額があるときは、当該償却不足額に相当する金額を控除した金額)の百分の百五十に相当する金額(これらの規定に定める償却不足額があるときは、当該償却不足額に相当する金額を加算した金額)とする。第五條の六第二項及び第三項の規定は、この場合について、これを準用する。
第二十二條 個人の有する財産について相続税法の規定による物納があつた場合においては、所得税法の適用については、当該財産についての同法第九條第一項第七号又は第八号に規定する所得がなかつたものとみなす。
第二十三條 小型機船底びき網漁業整理特別措置法第六條の規定により整理すべきものとして指定された船舶をその指定の時に個人が有し、且つ、当該船舶を基準日にその者が有していた場合において、その者が当該船舶を命令の定めるところにより沈め、同法第九條の規定により補助金の交付を受けたときは、当該船舶を資産再評価法第八條第二項に規定する資産と、当該船舶が沈められたことを当該船舶の譲渡と、当該補助金を当該譲渡の対価とみなして同法の規定を適用する。
前項に規定する船舶について資産再評価法第八條第二項本文の規定により行われたものとみなされた再評価の再評価額及び同項但書に規定する再評価の限度額は、同項の規定にかかわらず、前項に規定する個人が当該船舶について交付を受ける同項の補助金の額とする。
前項の規定は、同項の規定の適用を受ける第一項に規定する船舶の再評価に係る資産再評価法第四十七條第一項の規定による申告書に前項の規定の適用を受ける旨の記載をなした場合に限り、これを適用する。
第二十四條 個人が財産税又は相続税を課せられた場合において、その課税価格の計算の基礎に算入されたもののうちに旧外貨債処理法による借換済外貨債の証券の一部の有効化等に関する法律第三條第一項の規定によりその証券が有効なものとされた外貨債の旧外貨債処理法第二條第一項の規定による借換に際し当該外貨債に代えて発行された国債、地方債又は社債があるときは、政府は、命令の定めるところにより、その者が当該外貨債に代えて発行された当該国債、地方債又は社債で財産税又は相続税の課税価格の計算の基礎となつたものを有していなかつたものとし、その者が当該外貨債を有していたものとみなして、財産税又は相続税の課税価格及び税額の更正をすることができる。
第二十五條 酒税法第二十七條ノ二第一項に規定する酒類製造者(以下本條中酒類製造者という。)又は指定販売業者(以下本條中指定販売業者という。)が酒類製造者及び指定販売業者以外の者に対して製造場又は指定販売業者の販売場(以下本條中指定販売場という。)から移出する酒類(酒類製造者がその製造を廃止し若しくはその製造の免許を取り消された場合又は指定販売業者がその販売業を廃止し若しくはその販売業の免許若しくはその指定を取り消された場合において、その製造場又は指定販売場に現存する酒類で同法第三十四條ノ二第三号の規定により移出したものとみなされるものを含む。)のうち、生産の奨励その他の用に供するもので命令で定めるもの(以下本條中特殊用途酒類という。)については、命令の定めるところにより同法第二十七條ノ二第一項の規定により加算する酒税を免除する。
前項の規定は、指定販売業者以外の酒類販売業者が、特殊用途酒類として移入した酒類を、酒類製造者及び指定販売業者以外の者に対して、販売場から特殊用途酒類以外の酒類として移出する場合(その者が特殊用途酒類として移入した後これを飲用に供した場合を含む。)においては、これを適用しない。この場合においては、酒税法第二十七條ノ二第一項中「酒類製造者又ハ政府ノ指定スル酒類販売業者(指定販売業者ト称ス以下同ジ)」とあるのを「政府ノ指定スル酒類販売業者(指定販売業者ト称ス以下同ジ)以外ノ酒類販売業者」と、「製造場又ハ販売場ヨリ移出スル酒類及保税地域ヨリ引取ル酒類」とあるのを「租税特別措置法第二十五條第一項ニ規定スル特殊用途酒類トシテ移入シタル後特殊用途酒類以外ノ酒類トシテ移出スル酒類(其ノ者ガ特殊用途酒類トシテ移入シタル酒類ニシテ其ノ者ノ飲用ニ供シタルモノヲ含ム)」と、第三十五條ノ二第一項中「酒類ノ製造者又ハ指定販売業者」とあるのを「指定販売業者以外ノ酒類販売業者」と、「製造場又ハ指定販売場」とあるのを「販売場」と読み替えて、同法第二十七條ノ二第一項及び第三十五條ノ二第一項の規定を適用する。
酒類製造者の製造場又は指定販売業者の指定販売場から移出した特殊用途酒類が酒税法第二十七條ノ二第一項の規定により加算する酒税を課せられた又は課せられるべきであつたものであるときは、命令の定めるところにより、当該酒類製造者又は指定販売業者がその移出した月の翌月以降において納付すべき酒税額から、当該酒類について同項の規定により課せられた又は課せられるべきであつた酒税額に相当する金額を控除する。この場合においてその移出した月の翌月以降において納付すべき酒税額がないとき又はその他の事由により控除を受けることが困難なときは、命令の定めるところにより、当該酒類について課せられた又は課せられるべきであつた酒税額に相当する金額を酒類製造者又は指定販売業者に還付する。
第二十六條 命令の定めるところにより政府の承認を受けて、航空機の燃料用に供する目的をもつて昭和二十八年三月三十一日までに製造場又は保税地域から引き取る揮発油(命令で定める規格を有するものに限る。)については、揮発油税を免除する。
揮発油税法第七條第三項の規定は、前項の揮発油で政府の指定した期間内にその用途に供せられたことの証明のないものについて、これを準用する。
(酒税法の一部改正)
第二條 酒税法(昭和十五年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
第二十七條ノ二第一項前段中「ニシテ臨時物資需給調整法ニ基キ配給スル酒類(配給酒類ト称ス以下同ジ)以外ノモノ」を削り、同項後段を削る。
第三十四條ノ二第二号を次のように改める。
二 削除
第三十四條ノ二第三号中「配給酒類以外ノ」を削る。
第三十五條ノ二第二項を削り、同條第三項中「前二項」を「前項」に改める。
第三十六條第二項中「若ハ第二項」を削る。
第三十八條第四項を削り、同條第五項中「前二項」を「前項」に改める。
第六十一條第一項第一号及び第六十四條第一項第二号中「第三十五條ノ二第一項若ハ第二項」を「第三十五條ノ二第一項」に改める。
(国税徴収法の一部改正)
第三條 国税徴収法(明治三十年法律第二十一号)の一部を次のように改正する。
第八條中「免除スルコトヲ得」の下に「第七條第一項第三号乃至第五号ノ規定ニ依リ徴収ヲ猶予シタル場合又ハ第十二條ノ二第一項ノ規定ニ依リ滞納処分ノ執行ヲ猶予シタル場合ニ於テ納税人ノ事業ノ現況其ノ他ノ状況ニ依リ己ムヲ得ザル事由アリト認メラルル場合亦同ジ」を加える。
附 則
1 この法律は、昭和二十七年四月一日から施行する。
2 改正後の租税特別措置法第十六條から第十九條まで及び第二十條の規定は、昭和二十七年一月一日以後譲渡、遺贈又は贈与があつたものから、同法第二十一條第一項の規定は、昭和二十七年分の所得税から、同條第二項の規定は、昭和二十七年一月一日以後終了する事業年度分の法人税から、同法第二十二條の規定は、昭和二十七年一月一日以後相続、遺贈又は贈与に因り取得した財産に係る相続税について物納があつたものから適用する。
3 改正後の租税特別措置法第三條の二第一項の規定は、同項の規定の適用を受ける工業所有権その他の技術に関する権利又は特別の技術による生産方式及びこれに準ずるもの(これらの権利に関する使用権を含む。)の提供に関する契約に基き支払を受ける使用料で当該契約に定められているその支払期日が昭和二十八年一月一日以後の日であるものについては、適用しない。
4 改正後の租税特別措置法第十六條第二項の規定は、同項に規定する資産について同項の収用、換地処分又は交換の時後昭和二十六年十二月三十一日までの間に相続又は遺贈(被相続人の相続人に対する遺贈に限る。)があつた場合においては、適用しない。
5 改正前の租税特別措置法第十八條の規定は、この法律施行の際までに信託会社(信託業務を兼営する銀行を含む。)が引き受けた証券投資信託の信託財産に属する株式又は出資について支払を受ける利益の配当又は剰余金の分配に因る所得については、なおその効力を有する。
6 漁業法の一部を改正する法律(昭和二十六年法律第三百九号)中小型機船底びき網漁業に係る部分の施行の際スクリユーを備える船舶により底びき網を使用して行う漁業の用に供せられていた船舶で、当該部分の施行に伴い漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)第六十六條の二第一項の規定により小型機船底びき網漁業の用に供することができなくなつたものをその際個人が有し、且つ、当該船舶を資産再評価法(昭和二十五年法律第百十号)第三條に規定する基準日にその者が有していた場合において、その者が当該船舶を当該部分の施行の日以後命令の定めるところにより沈め、命令で定める国庫補助金の交付を受けたときは、当該船舶を資産再評価法第八條第二項に規定する資産と、当該船舶の沈められたことを当該船舶の譲渡と、当該国庫補助金を当該譲渡の対価とみなして、同法の規定を適用する。この場合において、当該資産について資産再評価法第八條第二項本文の規定により行われたものとみなされた再評価の再評価額及び同項但書に規定する再評価の限度額は、同項の規定にかかわらず、当該国庫補助金の額とする。
7 前項後段の規定は、同項の規定の適用を受ける同項に規定する資産の再評価に係る資産再評価法第四十七條第一項の規定による申告書に前項後段の規定の適用を受ける旨の記載をした場合に限り、適用する。
8 酒類製造者又は酒類販売業者がこの法律施行の際所持する酒税法第二十七條ノ二第一項に規定する配給酒類は、この法律施行後は、改正後の租税特別措置法第二十五條第一項に規定する特殊用途酒類とみなす。
9 連合国財産の返還等に関する政令(昭和二十六年政令第六号)の一部を次のように改正する。
第三十二條第六項中「第五條の二第三項」を「第五條の二第二項」に改める。
10 企業合理化促進法(昭和二十七年法律第五号)の一部を次のように改正する。
第四條第三項を削り、同條第四項を同條第三項とし、同條第五項を同條第四項とし、同條第六項中「第三項の規定は、所得税法第二十九條の規定による申告書に同項に規定する事業を承継し、且つ、試験研究を継続する事実の記載がある場合に限り、」を削り、同項を同條第五項とする。
11 所得税法の一部を改正する法律(昭和二十七年法律第五十三号)の一部を次のように改正する。
附則第七項中「租税特別措置法」を「租税特別措置法等の一部を改正する法律(昭和二十七年法律第六十一号)による改正前の租税特別措置法」に改める。
大蔵大臣 池田勇人
内閣総理大臣 吉田茂
租税特別措置法等の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十七年三月三十一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第六十一号
租税特別措置法等の一部を改正する法律
(租税特別措置法の一部改正)
第一条 租税特別措置法(昭和二十一年法律第十五号)の一部を次のように改正する。
第一条中「富裕税、」の下に「財産税、」を加え、「及び印紙税」を「、印紙税、酒税及び揮発油税」に改める。
第三条第一項中「規定する対外支払手段」の下に「及びその他命令で定めるこれと同等の価値のあるもの」を加え、「地方債又は同法」を「地方債、同法」に改め、「受益証券」の下に「又は貸付金債権」を加え、「又は配当所得」を「、配当所得又は当該貸付金債権の利子」に改め、「第十八条」の下に「若しくは第四十一条」を加え、同条第二項中「又は証券投資信託の受益証券」を「、証券投資信託の受益証券又は貸付金債権」に改め、「収益」の下に「若しくは利子」を加え、同条の次に次の一条を加える。
第三条の二 所得税法の施行地に住所及び一年以上居所を有しない個人又は法人税法の施行地に本店若しくは主たる事務所を有しない法人が、その有する第五条第一項に規定する事業の用に供する工業所有権その他の技術に関する権利又は特別の技術による生産方式及びこれに準ずるもの(これらの権利に関する使用権を含む。)で、これらの法律の施行地外において取得したもののうち命令で定めるものの提供に因り、昭和二十七年四月一日から同年十二月三十一日までの間に支払を受ける所得税法第一条第二項第六号に規定する所得については、同法第十七条、第十八条及び第四十一条の規定は、これを適用しない。
前項に規定する個人又は法人が、その有する同項に規定する命令で定めるものの提供に因り昭和二十八年一月一日以後支払を受ける所得税法第一条第二項第六号に規定する所得に対する同法第十七条、第十八条及び第四十一条の規定の適用については、これらの規定に規定する百分の二十の税率は、百分の十の税率とする。
前項の規定は、同項の規定の適用を受けようとする者が、当該工業所有権その他の技術に関する権利又は特別の技術による生産方式及びこれに準ずるもの(これらの権利に関する使用権を含む。)が第五条第一項に規定する事業の用に供するものであり、且つ、所得税法の施行地外において取得したものである旨を示して、その所得の支払をなす者の備え付ける帳簿にその氏名、国籍及び住所又は名称及び主たる事務所の所在地並びに命令で定める事項の登載を受けた場合において、その登載を受けている期間に限り、これを適用する。
第四条第三項中「所得税法の施行地における」を削り、「通常必要な金額が同法」を「通常必要な金額として大蔵大臣の定める金額が所得税法」に改める。
第五条第一項中「(その年の総所得金額から所得税法第九条第二項、第九条の二、第十一条の三又は第十一条の四の規定により控除をなす場合においては、当該所得の収入金額からこれらの規定により控除すべき金額を控除した金額。以下同じ。)」を削り、同条第四項第一号及び第二号中「技術に関する権利」の下に「若しくは特別の技術による生産方式及びこれに準ずるもの」を加える。
第五条の二第三項中「(その年分の総所得金額から同法第九条第二項、第九条の二、第十一条の三又は第十一条の四の規定による控除をなす場合においては、当該所得の金額からこれらの規定により控除すべき金額を控除した金額)」を削る。
第五条の三に次の一項を加える。
第五条第一項及び前条第一項並びに第一項の規定の適用に関し必要な事項は、命令でこれを定める。
第五条の十三の次に次の一条を加える。
第五条の十四 法人が、その有する資産再評価法第三条第九号に規定する賠償指定施設につきその指定の解除を受け、当該資産について、新たに帳簿価額を附した場合において、その新たに附した帳簿価額(以下新帳簿価額という。)の合計額がその新たに帳簿価額を附した日を含む事業年度の所得金額に等しいか若しくはこれをこえるとき又は当該新帳簿価額の合計額が当該所得金額から当該新帳簿価額の合計額を控除した金額の三割に相当する金額をこえるときは、当該法人が納付すべき当該事業年度の法人税法第二十六条第一項若しくは第三項又は第二十六条の二第一項に規定する法人税額(当該新帳簿価額の合計額が当該所得金額から当該新帳簿価額の合計額を控除した金額の三割に相当する金額をこえるときは、そのこえる金額が当該所得金額のうちに占める割合を当該法人税額に乗じて得た金額に相当する法人税額)に相当する税額の法人税の納付の期日は、同法第二十六条第一項及び第三項、第二十六条の二第一項並びに第二十六条の三の規定にかかわらず、命令の定めるところにより、当該税額の三分の一に相当する税額については当該事業年度終了の日から八箇月を経過した日の前日、当該税額の三分の一に相当する税額については当該事業年度終了の日から十四箇月を経過した日の前日、残余の税額については当該事業年度終了の日から二十箇月を経過した日の前日とする。
前項の規定の適用を受けた法人に係る同項に規定する新帳簿価額の合計額が当該法人の同項に規定する事業年度の所得金額と等しいか又はこれをこえる場合においては、法人税法第二十六条の三の規定は、これを適用しない。
第一項の規定の適用を受ける法人に係る同項に規定する新帳簿価額の合計額が、同項に規定する事業年度の所得金額から当該新帳簿価額の合計額を控除した金額の三割に相当する金額をこえる場合における法人税法第二十六条の三第一項の規定の適用については、同項中「当該法人税額の二分の一に相当する金額」とあるのは、「当該法人税額から租税特別措置法第五条の十四第一項の規定によりその納付の期日の延期を認められた税額を控除した税額の二分の一に相当する金額」とする。
第一項の規定の適用を受けた法人が同項に規定する事業年度の翌事業年度において法人税法第十九条第一項の規定により同項に規定する申告書を提出する場合においては、同項に規定する前事業年度の法人税として納付した税額及び納付すべきことが確定した税額の合計額には、第一項の規定により納付の期日の延期を認められた税額を含まないものとする。
第一項の規定により納付の期日の延期を認められた法人が当該延期を認められた期間内に終了する各事業年度において法人税法第二十六条の四第四項の規定により法人税の還付の請求をなした場合においては、政府は、命令の定めるところにより、当該延期を認められた税額の全部又は一部をこれに充当することができる。
第一項の規定の適用を受けた法人が同項の規定により納付の期日の延期を認められた法人税をその納付の期日までに完納しなかつたときは、政府は、国税徴収法第九条の規定により、これを督促する。
第九条の次に次の二条を加える。
第九条の二 住宅の用に供する目的をもつて昭和二十七年四月一日から昭和三十一年十二月三十一日までの間に新築した家屋で命令で定めるものの所有権の保存の登記については、命令の定めるところにより、当該期間内に登記を受けるものに限り、その登記の登録税の額は、他の法令に特別の定のある場合を除き、登録税法の規定にかかわらず、当該家屋の価格の千分の一とする。家屋につき当該期間内に増築をなし、当該増築後の家屋がその命令で定める家屋に該当するものである場合における当該増築に因る家屋の床面積の増加に係る所有権の保存の登記の登録税の額についても、また同様とする。
前項に規定する家屋の取得のための資金の貸付がなされる場合にその貸付に係る債権の担保として、当該家屋の上に設定される抵当権の取得の登記の登録税の額は、命令の定めるところにより、他の法令に特別の定のある場合を除き、登録税法の規定にかかわらず、債権金額の千分の一とする。
第九条の三 民法第三十四条の規定により設立された法人で更正緊急保護法第五条第一項の規定により更正保護事業を営むことについて中央更生保護委員会の認可を受けたものが同法第六条の規定により行う事業の用に供する土地又は建物の所有権の取得の登記については、命令の定めるところにより当該土地又は建物が当該法人の同条の規定により行う事業の用に供するものであることの証明がなされたものに限り、その登記の登録税を免除する。
第十四条に次の一項を加える。
第一項及び第二項の規定は、これらの項の規定の適用を受ける土地等の再評価に係る資産再評価法第四十七条第一項の規定による申告書にこれらの項の規定の適用を受ける旨の記載をなした場合に限り、これを適用する。
第十六条第一項中「第十四条第一項又は第二項の適用を受けるもの」を「当該収用、換地処分又は交換に係る従前の土地又は土地の上に存する権利のうち当該補償金の額又は清算金の額に対応する部分」に改め、同条第二項中「交換の時後譲渡、相続、遺贈」を「交換の時後譲渡、遺贈(被相続人の相続人に対する遺贈を除く。以下同じ。)」に、「当該譲渡、相続、」を「当該譲渡、」に改める。
第十七条中「又は地方公共団体に対する贈与若しくは」を「若しくは地方公共団体又は民法第三十四条の規定により設立された法人その他の公益を目的とする事業を営む法人で命令で定めるものに対する贈与又は」に改める。
第十八条を次のように改める。
第十八条 個人が、居住の用に供する家屋、当該家屋の存する土地又は当該土地の上に存する権利を譲渡し、当該譲渡の日前一年又は当該譲渡の日以後一年の間にその者の居住の用に供する家屋、当該家屋の存する土地又は当該土地の上に存する権利を取得し、その取得した財産(以下居住用取得財産という。)が、命令の定める期間内に、その者の居住の用に供する家屋、当該家屋の存する土地又は当該土地の上に存する権利となつた場合(当該居住用取得財産が、当該期間内に、更に居住以外の用に供する家屋、当該家屋の存する土地又は当該土地の上に存する権利となつた場合を除く。)においては、所得税法第九条第一項の規定の適用については、命令の定めるところにより、当該譲渡した財産(以下居住用譲渡財産という。)の譲渡に因る収入金額が当該居住用取得財産の取得価額をこえるときは、当該居住用譲渡財産についてはそのこえる金額に対応する部分についてのみ譲渡があつたものとみなし、当該居住用譲渡財産の譲渡に因る収入金額が当該居住用取得財産の取得価額以下であるときは、当該居住用譲渡財産の譲渡がなかつたものとみなす。
前項の規定の適用を受けた居住用譲渡財産に係る居住用取得財産につき、その取得の時後譲渡、遺贈又は贈与があつた場合において当該譲渡、遺贈又は贈与に因る所得税法第九条第一項第八号に規定する譲渡所得を計算するときは、命令の定めるところにより、当該居住用譲渡財産並びにその取得価額及び取得の時期をそれぞれ当該居住用取得財産並びにその取得価額及び取得の時期とみなす。
第一項に規定する居住用譲渡財産の譲渡があつた場合において、その譲渡の日の属する年の翌年に、当該居住用譲渡財産について居住用取得財産を取得し、且つ、当該居住用取得財産が同項の規定に該当することとなるものであることが明らかであるときは、命令の定めるところにより、同項中「居住用取得財産の取得価額」とあるのを「居住用取得財産について命令の定めるところにより政府の承認を受けたその取得価額の見積額」と読み替えて、同項の規定を適用する。
前項の規定の適用を受けた同項に規定する居住用取得財産について、その取得価額が同項の規定により読み替えられた第一項の規定の適用を受けた当該居住用取得財産について政府の承認を受けたその取得価額の見積額に対して過不足額があることとなつた場合においては、その者は、所得税法第二十七条の規定による修正申告又は更正の請求をすることができる。
前項に規定する場合に該当する場合において、同項の規定による修正申告がないときは、政府は、所得税法第四十六条の規定に準じ所得金額を更正する。
第十九条 個人が、耕作の用に供する土地又は当該土地の上に存する耕作に関する権利を譲渡し、当該譲渡の日前一年又は当該譲渡の日以後一年の間にその者の耕作の用に供する土地又は当該土地の上に存する耕作に関する権利を取得し、その取得した財産(以下耕作用取得財産という。)が、命令の定める期間内に、その者の耕作の用に供する土地又は当該土地の上に存する耕作に関する権利となつた場合(当該財産が、当該期間内に、更に耕作以外の用に供する土地又は当該土地の上に存する権利となつた場合を除く。)においては、所得税法第九条第一項の規定の適用については、命令の定めるところにより、当該譲渡した財産(以下耕作用譲渡財産という。)の譲渡に因る収入金額が当該耕作用取得財産の取得価額をこえるときは、当該耕作用譲渡財産についてはそのこえる金額に対応する部分についてのみ譲渡があつたものとみなし、当該耕作用譲渡財産の譲渡に因る収入金額が当該耕作用取得財産の取得価額以下であるときは、当該耕作用譲渡財産の譲渡がなかつたものとみなす。
前条第二項の規定は、前項の規定の適用を受けた耕作用譲渡財産に係る耕作用取得財産につき、その取得の時後譲渡、遺贈又は贈与があつた場合において当該譲渡、遺贈又は贈与に因る所得税法第九条第一項第八号に規定する譲渡所得の計算をする場合について、前条第三項から第五項までの規定は、前項に規定する耕作用譲渡財産の譲渡があつた場合について、それぞれこれを準用する。この場合において、前条第二項から第四項まで中「居住用譲渡財産」とあるのは「耕作用譲渡財産」と、「居住用取得財産」とあるのは「耕作用取得財産」と読み替えるものとする。
第二十条 第十八条第一項及び前条第一項の場合において、これらの項に規定する居住用譲渡財産又は耕作用譲渡財産の譲渡が交換に因るものであり、且つ、当該交換に因り取得した居住用取得財産又は耕作用取得財産とともに金銭その他当該居住用取得財産又は耕作用取得財産以外の財産を取得しなかつた場合においては、これらの規定を適用せず、所得税法第九条第一項又は資産再評価法第八条第二項若しくは第九条第一項の規定の適用については、当該居住用譲渡財産又は耕作用譲渡財産の譲渡がなかつたものとみなす。
前項の規定の適用を受けた居住用譲渡財産又は耕作用譲渡財産の交換に因り取得した居住用取得財産又は耕作用取得財産につき当該交換の時後譲渡、遺贈若しくは贈与があつた場合において当該譲渡、遺贈若しくは贈与に因る所得税法第九条第一項第八号に規定する譲渡所得を計算するとき又は資産再評価法第八条第二項若しくは第九条第一項の規定により再評価を行うときは、当該居住用譲渡財産又は耕作用譲渡財産並びにその取得価額及び取得の時期をそれぞれ当該居住用取得財産又は耕作用取得財産並びにその取得価額及び取得の時期とみなす。
第二十一条 個人が、昭和二十七年一月一日から昭和三十一年十二月三十一日までの間に貸家の用に供する目的をもつて住宅の用に供する命令で定める家屋を取得して、これを貸家の用に供したときは、その貸家の用に供した日以後三年間、所得税法第十条第二項の規定にかかわらず、当該家屋について同法の規定により総収入金額から控除されるべき減価償却費の額で当該期間に係るものの百分の百五十に相当する金額を、同法第九条第一項第三号に規定する所得の計算上必要な経費に算入する。第五条の五第二項の規定は、この場合について、これを準用する。
法人が、昭和二十七年一月一日から昭和三十一年十二月三十一日までの間に貸家の用に供する目的をもつて住宅の用に供する命令で定める家屋を取得して、これを貸家の用に供したときは、その貸家の用に供した日以後三年内の日を含む各事業年度について法人税法及び同法に基く命令の規定により計算される当該家屋の償却範囲額は、その貸家の用に供した日以後三年間を限り、これらの規定により計算される当該家屋の償却範囲額(これらの規定に定める償却不足額があるときは、当該償却不足額に相当する金額を控除した金額)の百分の百五十に相当する金額(これらの規定に定める償却不足額があるときは、当該償却不足額に相当する金額を加算した金額)とする。第五条の六第二項及び第三項の規定は、この場合について、これを準用する。
第二十二条 個人の有する財産について相続税法の規定による物納があつた場合においては、所得税法の適用については、当該財産についての同法第九条第一項第七号又は第八号に規定する所得がなかつたものとみなす。
第二十三条 小型機船底びき網漁業整理特別措置法第六条の規定により整理すべきものとして指定された船舶をその指定の時に個人が有し、且つ、当該船舶を基準日にその者が有していた場合において、その者が当該船舶を命令の定めるところにより沈め、同法第九条の規定により補助金の交付を受けたときは、当該船舶を資産再評価法第八条第二項に規定する資産と、当該船舶が沈められたことを当該船舶の譲渡と、当該補助金を当該譲渡の対価とみなして同法の規定を適用する。
前項に規定する船舶について資産再評価法第八条第二項本文の規定により行われたものとみなされた再評価の再評価額及び同項但書に規定する再評価の限度額は、同項の規定にかかわらず、前項に規定する個人が当該船舶について交付を受ける同項の補助金の額とする。
前項の規定は、同項の規定の適用を受ける第一項に規定する船舶の再評価に係る資産再評価法第四十七条第一項の規定による申告書に前項の規定の適用を受ける旨の記載をなした場合に限り、これを適用する。
第二十四条 個人が財産税又は相続税を課せられた場合において、その課税価格の計算の基礎に算入されたもののうちに旧外貨債処理法による借換済外貨債の証券の一部の有効化等に関する法律第三条第一項の規定によりその証券が有効なものとされた外貨債の旧外貨債処理法第二条第一項の規定による借換に際し当該外貨債に代えて発行された国債、地方債又は社債があるときは、政府は、命令の定めるところにより、その者が当該外貨債に代えて発行された当該国債、地方債又は社債で財産税又は相続税の課税価格の計算の基礎となつたものを有していなかつたものとし、その者が当該外貨債を有していたものとみなして、財産税又は相続税の課税価格及び税額の更正をすることができる。
第二十五条 酒税法第二十七条ノ二第一項に規定する酒類製造者(以下本条中酒類製造者という。)又は指定販売業者(以下本条中指定販売業者という。)が酒類製造者及び指定販売業者以外の者に対して製造場又は指定販売業者の販売場(以下本条中指定販売場という。)から移出する酒類(酒類製造者がその製造を廃止し若しくはその製造の免許を取り消された場合又は指定販売業者がその販売業を廃止し若しくはその販売業の免許若しくはその指定を取り消された場合において、その製造場又は指定販売場に現存する酒類で同法第三十四条ノ二第三号の規定により移出したものとみなされるものを含む。)のうち、生産の奨励その他の用に供するもので命令で定めるもの(以下本条中特殊用途酒類という。)については、命令の定めるところにより同法第二十七条ノ二第一項の規定により加算する酒税を免除する。
前項の規定は、指定販売業者以外の酒類販売業者が、特殊用途酒類として移入した酒類を、酒類製造者及び指定販売業者以外の者に対して、販売場から特殊用途酒類以外の酒類として移出する場合(その者が特殊用途酒類として移入した後これを飲用に供した場合を含む。)においては、これを適用しない。この場合においては、酒税法第二十七条ノ二第一項中「酒類製造者又ハ政府ノ指定スル酒類販売業者(指定販売業者ト称ス以下同ジ)」とあるのを「政府ノ指定スル酒類販売業者(指定販売業者ト称ス以下同ジ)以外ノ酒類販売業者」と、「製造場又ハ販売場ヨリ移出スル酒類及保税地域ヨリ引取ル酒類」とあるのを「租税特別措置法第二十五条第一項ニ規定スル特殊用途酒類トシテ移入シタル後特殊用途酒類以外ノ酒類トシテ移出スル酒類(其ノ者ガ特殊用途酒類トシテ移入シタル酒類ニシテ其ノ者ノ飲用ニ供シタルモノヲ含ム)」と、第三十五条ノ二第一項中「酒類ノ製造者又ハ指定販売業者」とあるのを「指定販売業者以外ノ酒類販売業者」と、「製造場又ハ指定販売場」とあるのを「販売場」と読み替えて、同法第二十七条ノ二第一項及び第三十五条ノ二第一項の規定を適用する。
酒類製造者の製造場又は指定販売業者の指定販売場から移出した特殊用途酒類が酒税法第二十七条ノ二第一項の規定により加算する酒税を課せられた又は課せられるべきであつたものであるときは、命令の定めるところにより、当該酒類製造者又は指定販売業者がその移出した月の翌月以降において納付すべき酒税額から、当該酒類について同項の規定により課せられた又は課せられるべきであつた酒税額に相当する金額を控除する。この場合においてその移出した月の翌月以降において納付すべき酒税額がないとき又はその他の事由により控除を受けることが困難なときは、命令の定めるところにより、当該酒類について課せられた又は課せられるべきであつた酒税額に相当する金額を酒類製造者又は指定販売業者に還付する。
第二十六条 命令の定めるところにより政府の承認を受けて、航空機の燃料用に供する目的をもつて昭和二十八年三月三十一日までに製造場又は保税地域から引き取る揮発油(命令で定める規格を有するものに限る。)については、揮発油税を免除する。
揮発油税法第七条第三項の規定は、前項の揮発油で政府の指定した期間内にその用途に供せられたことの証明のないものについて、これを準用する。
(酒税法の一部改正)
第二条 酒税法(昭和十五年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
第二十七条ノ二第一項前段中「ニシテ臨時物資需給調整法ニ基キ配給スル酒類(配給酒類ト称ス以下同ジ)以外ノモノ」を削り、同項後段を削る。
第三十四条ノ二第二号を次のように改める。
二 削除
第三十四条ノ二第三号中「配給酒類以外ノ」を削る。
第三十五条ノ二第二項を削り、同条第三項中「前二項」を「前項」に改める。
第三十六条第二項中「若ハ第二項」を削る。
第三十八条第四項を削り、同条第五項中「前二項」を「前項」に改める。
第六十一条第一項第一号及び第六十四条第一項第二号中「第三十五条ノ二第一項若ハ第二項」を「第三十五条ノ二第一項」に改める。
(国税徴収法の一部改正)
第三条 国税徴収法(明治三十年法律第二十一号)の一部を次のように改正する。
第八条中「免除スルコトヲ得」の下に「第七条第一項第三号乃至第五号ノ規定ニ依リ徴収ヲ猶予シタル場合又ハ第十二条ノ二第一項ノ規定ニ依リ滞納処分ノ執行ヲ猶予シタル場合ニ於テ納税人ノ事業ノ現況其ノ他ノ状況ニ依リ己ムヲ得ザル事由アリト認メラルル場合亦同ジ」を加える。
附 則
1 この法律は、昭和二十七年四月一日から施行する。
2 改正後の租税特別措置法第十六条から第十九条まで及び第二十条の規定は、昭和二十七年一月一日以後譲渡、遺贈又は贈与があつたものから、同法第二十一条第一項の規定は、昭和二十七年分の所得税から、同条第二項の規定は、昭和二十七年一月一日以後終了する事業年度分の法人税から、同法第二十二条の規定は、昭和二十七年一月一日以後相続、遺贈又は贈与に因り取得した財産に係る相続税について物納があつたものから適用する。
3 改正後の租税特別措置法第三条の二第一項の規定は、同項の規定の適用を受ける工業所有権その他の技術に関する権利又は特別の技術による生産方式及びこれに準ずるもの(これらの権利に関する使用権を含む。)の提供に関する契約に基き支払を受ける使用料で当該契約に定められているその支払期日が昭和二十八年一月一日以後の日であるものについては、適用しない。
4 改正後の租税特別措置法第十六条第二項の規定は、同項に規定する資産について同項の収用、換地処分又は交換の時後昭和二十六年十二月三十一日までの間に相続又は遺贈(被相続人の相続人に対する遺贈に限る。)があつた場合においては、適用しない。
5 改正前の租税特別措置法第十八条の規定は、この法律施行の際までに信託会社(信託業務を兼営する銀行を含む。)が引き受けた証券投資信託の信託財産に属する株式又は出資について支払を受ける利益の配当又は剰余金の分配に因る所得については、なおその効力を有する。
6 漁業法の一部を改正する法律(昭和二十六年法律第三百九号)中小型機船底びき網漁業に係る部分の施行の際スクリユーを備える船舶により底びき網を使用して行う漁業の用に供せられていた船舶で、当該部分の施行に伴い漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)第六十六条の二第一項の規定により小型機船底びき網漁業の用に供することができなくなつたものをその際個人が有し、且つ、当該船舶を資産再評価法(昭和二十五年法律第百十号)第三条に規定する基準日にその者が有していた場合において、その者が当該船舶を当該部分の施行の日以後命令の定めるところにより沈め、命令で定める国庫補助金の交付を受けたときは、当該船舶を資産再評価法第八条第二項に規定する資産と、当該船舶の沈められたことを当該船舶の譲渡と、当該国庫補助金を当該譲渡の対価とみなして、同法の規定を適用する。この場合において、当該資産について資産再評価法第八条第二項本文の規定により行われたものとみなされた再評価の再評価額及び同項但書に規定する再評価の限度額は、同項の規定にかかわらず、当該国庫補助金の額とする。
7 前項後段の規定は、同項の規定の適用を受ける同項に規定する資産の再評価に係る資産再評価法第四十七条第一項の規定による申告書に前項後段の規定の適用を受ける旨の記載をした場合に限り、適用する。
8 酒類製造者又は酒類販売業者がこの法律施行の際所持する酒税法第二十七条ノ二第一項に規定する配給酒類は、この法律施行後は、改正後の租税特別措置法第二十五条第一項に規定する特殊用途酒類とみなす。
9 連合国財産の返還等に関する政令(昭和二十六年政令第六号)の一部を次のように改正する。
第三十二条第六項中「第五条の二第三項」を「第五条の二第二項」に改める。
10 企業合理化促進法(昭和二十七年法律第五号)の一部を次のように改正する。
第四条第三項を削り、同条第四項を同条第三項とし、同条第五項を同条第四項とし、同条第六項中「第三項の規定は、所得税法第二十九条の規定による申告書に同項に規定する事業を承継し、且つ、試験研究を継続する事実の記載がある場合に限り、」を削り、同項を同条第五項とする。
11 所得税法の一部を改正する法律(昭和二十七年法律第五十三号)の一部を次のように改正する。
附則第七項中「租税特別措置法」を「租税特別措置法等の一部を改正する法律(昭和二十七年法律第六十一号)による改正前の租税特別措置法」に改める。
大蔵大臣 池田勇人
内閣総理大臣 吉田茂