(目的)
第一條 この法律は、外国貿易の正常な発展を図り、国際收支の均衡、通貨の安定及び外貨資金の最も有効な利用を確保するために必要な外国為替、外国貿易及びその他の対外取引の管理を行い、もつて国民経済の復興と発展とに寄與することを目的とする。
(再検討)
第二條 この法律及びこの法律に基く命令の規定は、これらの規定による制限を、その必要の減少に伴い逐次緩和又は廃止する目的をもつて再検討するものとする。
(閣僚審議会)
第三條 内閣に閣僚審議会を設置し、外国為替予算を作成する責任を負う機関とする。
(外国為替管理委員会)
第四條 別に法律で定めるところにより、外国為替管理委員会を設置する。
(適用範囲)
第五條 この法律は、本邦内に主たる事務所を有する法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者が、外国においてその法人の財産又は業務についてした行為にも適用する。本邦内に住所を有する人又はその代理人、使用人その他の従業者が、外国においてその人の財産又は業務についてした行為についても、同様とする。
(定義)
第六條 この法律又はこの法律に基く命令の適用を斎一にするため、左に掲げる用語は、左の定義に従うものとする。
一 「本邦」とは、本州、北海道、四国、九州及び命令で定めるその附属の島をいう。
三 「本邦通貨」とは、日本円を單位とする通貨をいう。
五 「居住者」とは、本邦内に住所又は居住を有する自然人及び本邦内に主たる事務所を有する法人をいう。非居住者の本邦内の支店、出張所その他の事務所は、法律上代理権があると否とにかかわらず、その主たる事務所が外国にある場合においても居住者とみなす。
六 「非居住者」とは、居住者以外の自然人及び法人をいう。
七 「支拂手段」とは、銀行券、政府紙幣、小額紙幣、硬貨、小切手、為替手形、郵便為替、信用状その他の支拂指図をいう。
八 「対外支拂手段」とは、外国通貨その他通貨の單位のいかんにかかわらず、外国通貨をもつて表示され、又は外国において支拂手段として使用することのできる支拂手段をいう。
九 「内国支拂手段」とは、対外支拂手段以外の支拂手段をいう。
十 「貴金属」とは、金、銀、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及びイリドスミンの地金、これらのものの合金の地金並びに金貨及び銀貨(流通していないものに限る。)、取引の対象又は記念品たる硬貨、金メタルその他これらの金属を主たる材料とする物をいう。
十一 「証券」とは、登録されていると否とを問わず、公債、社債、株式、出資の持分、公債又は株式に関する権利を與える証書、債券、国庫証券、抵当証券、利潤証券及び類似の証券、利札、配当金受領証並びに利札引換券をいう。
十二 「外貨証券」とは、外国において支拂を受けることができる証券又は外国通貨をもつて表示される証券をいう。
十三 「債権」とは、定期預金、当座預金、特別当座預金、通知預金、保險証券及び当座勘定残高並びに貸借、入札その他に因り生ずる金銭債権で前各号に掲げられていないものをいう。
十四 「外貨債権」とは、外国において又は外貨をもつて支拂を受けることができる債権をいう。
十五 「貨物」とは、貴金属、支拂手段及び証券その他債権を化体する証書以外の動産をいう。
十六 「財産」とは、第七号、第十号、第十一号、第十三号及び前号に規定するものを含む財産をいう。
2 居住者又は非居住者の区別が明白でない場合については、大蔵大臣の定めるところによる。
(外国為替相場)
第七條 本邦通貨の基準外国為替相場は、すべての取引を通じ單一とし、内閣の承認を得て、大蔵大臣が定める。
2 大蔵大臣は、各外国通貨について正しい裁定外国為替相場を決定し、維持しなければならない。
3 外国為替管理委員会は、大蔵大臣の承認を得て、外国為替管理委員会が外国為替を売買する相場を定めなければならない。
4 外国為替管理委員会は、大蔵大臣の承認を得て、正当な外国為替取引における外国為替の売相場及び買相場並びに取扱手数料を定めることができる。
5 外国為替の直物(電信又は一覽拂のものに限る。以下同じ。)取引における売相場及び買相場は、第一項の基準外国為替相場又は第二項の裁定外国為替相場から百分の一以上の開きがあつてはならない。
6 大蔵大臣又は外国為替管理委員会が第一項から第四項までの規定により基準外国為替相場、裁定外国為替相場並びに外国為替の売相場、買相場及び取扱手数料を定めたときは、何人も、これによらないで取引してはならない。
(通貨の指定)
第八條 この法律により認められる取引は、大蔵大臣の指定する通貨により行わなければならない。
(取引の非常停止)
第九條 主務大臣は、国際経済の事情に急激な変化があつた場合において、緊急の必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、政令で定める期間内において、この法律の適用を受ける取引を停止することができる。
2 前項の規定による停止は、その停止の時までにこの法律により認められている支拂を不可能とするものではなく、その停止に因る支拂の遅延は、政令で定める期間内に限られるものとする。