外国為替資金特別会計法
法令番号: 法律第56号
公布年月日: 昭和26年3月30日
法令の形式: 法律

審議経過

第10回国会

衆議院
(昭和26年3月7日)
参議院
(昭和26年3月7日)
(昭和26年3月9日)
(昭和26年3月13日)
衆議院
(昭和26年3月14日)
参議院
(昭和26年3月14日)
衆議院
(昭和26年3月15日)
(昭和26年3月17日)
(昭和26年3月19日)
(昭和26年3月20日)
参議院
(昭和26年3月22日)
衆議院
(昭和26年3月24日)
参議院
(昭和26年3月26日)
(昭和26年3月27日)
衆議院
(昭和26年6月5日)
参議院
(昭和26年6月6日)
外国為替資金特別会計法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十六年三月三十日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第五十六号
外国為替資金特別会計法
(設置)
第一條 政府の行う外国為替等(外国為替及び外国貿易管理法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第六條第一項に規定する対外支拂手段及び外貨債権並びに対外支拂の決済上必要な金銀地金をいう。以下同じ。)の売買及びこれに伴う取引を円滑にするために外国為替資金を置き、その運営に関する経理を一般会計と区分して特別に行うため、特別会計を設置する。
(管理及び運営)
第二條 この会計は、外国為替管理委員会を所轄する内閣総理大臣が、法令の定めるところに従い、管理する。
2 内閣総理大臣は、外国為替管理委員会をしてこの会計の運営を行わせるものとする。
(外国為替資金)
第三條 外国為替資金は、予算の定めるところにより一般会計から繰り入れる繰入金をもつて充てる。
(外国為替資金補足のための一時借入金及び融通証券)
第四條 外国為替資金に属する現金(本邦通貨たる現金をいう。以下同じ。)に不足があるときは、この会計の負担において、一時借入金をし、又は融通証券を発行して、一時これを補足することができる。
2 前項の規定による一時借入金及び融通証券の限度額については、予算をもつて、国会の議決を経なければならない。
3 第一項の規定による一時借入金及び融通証券は、一年内に償還しなければならない。
(外国為替資金の運営)
第五條 外国為替資金は、外国為替等の売買に運用するものとする。
2 外国為替管理委員会は、外国為替等の売買及びこれに伴う取引上必要があると認めるときは、外国為替資金に属する外国為替等を外国為替銀行(外国為替及び外国貿易管理法第十條第三項に規定する外国為替銀行をいう。)及び外国にある外国銀行で大蔵大臣の指定するもの(以下「外国為替銀行等」と総称する。)に対して預入し、若しくは貸し付け(貸越の契約に基く場合を含む。以下本項中同じ。)又は同資金に属する現金を外国為替銀行等に預入し、若しくは貸し付けることができる。
3 外国為替管理委員会は、外国為替等の売買及びこれに伴う取引上必要があると認めるときは、この会計の負担において、外国為替銀行等から、外国為替等の預入を受け、若しくは外国為替等を借り入れ(借越の契約に基く場合を含む。)、又は外国為替手形の引受若しくは外国為替銀行等の外国為替等に係る債務の保証をし、又、この会計の負担において、外国為替銀行等から現金の預入を受け、若しくは借越の契約に基いて現金を借り入れることができる。
4 外国為替管理委員会は、外国為替等の売買及びこれに伴う取引上必要があると認めるときは、この会計の負担において、外国為替銀行等から外国為替等の寄託を受け、又は外国為替銀行等に外国為替等を寄託することができる。
5 この会計において、外国為替資金に属する現金に余裕があるときは、これを資金運用部に預託することができる。
(外国為替資金の運営の事務の委託)
第六條 外国為替管理委員会は、前條の規定による外国為替資金の運営に関する事務を、日本銀行に取り扱わせることができる。
(外国為替等の売買に伴う損益の処理)
第七條 外国為替等の売買に伴つて生じた利益は、この会計の当該年度の歳入に組み入れ、外国為替等の売買に伴つて生じた損失は、この会計の当該年度の歳出をもつて補てんする。但し、補てんのためのこの会計の当該年度の歳出予算額が当該補てん額に対して不足するときは、当該不足額は、翌年度において補てんするものとする。
2 前項の規定による利益及び損失の計算の方法並びに当該利益の繰入及び当該損失の補てんの時期は、政令で定める。
(外国為替等の価額の改定及びこれに伴う損益の処理)
第八條 外国為替資金に属する外国為替等の価額は、外国為替相場(外国為替等のうち金銀地金以外のものについては外国為替及び外国貿易管理法第七條第一項又は第二項の規定により大蔵大臣が定める基準外国為替相場又は裁定外国為替相場をいい、金銀地金については物価統制令(昭和二十一年勅令第百十八号)に規定する統制額とする。以下同じ。)に変更があつたときは、その都度、変更後の外国為替相場により改定するものとする。
2 前項の規定による外国為替等の価額の改定に基いて生ずる利益又は損失は、外国為替資金の評価益又は評価損として整理するものとする。
(歳入及び歳出)
第九條 この会計においては、第七條第一項の規定による利益の組入金、外国為替資金の運営に基く收益金(外国通貨をもつて表示されるものについてはその円貨代り金とし、第七條第一項に規定する利益を除く。以下同じ。)、第十八條第二項但書の規定による借入金の借入及び融通証券の発行に因る收入金、第十四條の規定による一般会計からの補てん金及び附属雑收入をもつてその歳入とし、事務取扱費、事務委託費、外国為替資金の運営に要する経費(外国通貨をもつて表示されるものについては、その円貨代り金。以下同じ。)、第十八條第二項但書の規定による借入金及び融通証券の償還金、一時借入金、借入金及び融通証券の利子、融通証券の発行及び償還に関する経費、第七條第一項の規定による損失の補てん金並びに附属諸費をもつてその歳出とする。
(歳入歳出予定計算書の作製及び送付)
第十條 内閣総理大臣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出予定計算書を作製し、大蔵大臣に送付しなければならない。
2 前項の歳入歳出予定計算書には、左の書類を添附しなければならない。
一 前前年度の貸借対照表及び損益計算書
二 前年度及び当該年度の予定貸借対照表及び予定損益計算書
(歳入歳出予算の区分)
第十一條 この会計の歳入歳出予算は、歳入の性質及び歳出の目的に従つて、款及び項に区分する。
(予算の作成及び提出)
第十二條 内閣は、毎会計年度、この会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、国会に提出しなければならない。
2 前項の予算には、第十條第一項に規定する歳入歳出予定計算書及び同條第二項各号に掲げる書類を添附しなければならない。
(決算上の剰余の繰入)
第十三條 この会計において、毎会計年度の歳入歳出の決算上、当該年度における第七條第一項の規定による利益の組入金、外国為替資金の運営に基く收益金及び附属雑收入の收納済額の合計額(以下「收納済額の合計額」という。)から当該年度における事務取扱費、事務委託費、外国為替資金の運営に要する経費、一時借入金、借入金及び融通証券の利子、融通証券の発行及び償還に関する経費、第七條第一項の規定による損失の補てん金並びに附属諸費の支出済額と当該年度における第二十二條第一項の規定による歳出金の翌年度への繰越額との合計額(以下「支出済額等の合計額」という。)を控除して残余があるときは、これを一般会計の歳入に繰り入れるものとする。
(決算上の不足の補てん)
第十四條 この会計において、毎会計年度の歳入歳出の決算上、收納済額の合計額が支出済額等の合計額に不足するときは、これを当該年度の一般会計の歳出をもつて補てんする。但し、その補てんのための歳出予算額が当該年度において計上されていないため補てんできないとき、又は計上された当該年度の歳出予算額が当該補てん額に対して不足するため補てんできないときは、その補てんできない金額は、翌年度において補てんするものとする。
(歳入歳出決定計算書の作製及び送付)
第十五條 内閣総理大臣は、毎会計年度、歳入歳出予定計算書と同一の区分により、この会計の歳入歳出決定計算書を作製し、大蔵大臣に送付しなければならない。
2 前項の歳入歳出決定計算書には、当該年度の貸借対照表及び損益計算書を添附しなければならない。
(歳入歳出決算の作成及び提出)
第十六條 内閣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出決算を作成し、一般会計の歳入歳出決算とともに、国会に提出しなければならない。
2 前項の歳入歳出決算には、前條第一項に規定する歳入歳出決定計算書並びに同條第二項に規定する当該年度の貸借対照表及び損益計算書を添附しなければならない。
(歳出の支拂上の余裕金の預託)
第十七條 この会計において、歳出の支拂上現金に余裕があるときは、これを資金運用部に預託することができる。
(一時借入金、借入金及び融通証券の起債並びに外国為替資金に属する現金の繰替使用)
第十八條 この会計において、歳出の支拂上現金に不足があるときは、この会計の負担において、一時借入金をし、若しくは融通証券を発行し、又は外国為替資金に属する現金を繰替使用することができる。
2 前項の規定による一時借入金、融通証券及び繰替使用金は、当該年度の歳入をもつて償還しなければならない。但し、歳入不足のため償還できないときは、その償還することができない金額を限り、この会計の負担において借入金をし、又は融通証券を発行することができる。
3 前項但書の規定による借入金又は融通証券は、一年内に償還しなければならない。
(一時借入金、借入金及び融通証券の起債、償還等の事務)
第十九條 第四條第一項の規定による一時借入金及び融通証券、前條第一項の規定による一時借入金及び融通証券並びに同條第二項但書の規定による借入金及び融通証券の起債、償還等に関する事務は、大蔵大臣が行う。
(国債整理基金特別会計への繰入)
第二十條 第四條第一項の規定による一時借入金及び融通証券の利子、第十八條第一項の規定による一時借入金及び融通証券の利子、同條第二項但書の規定による借入金及び融通証券の利子及び償還金並びにこの会計の負担に属する融通証券の発行及び償還に関する諸費の支出に必要な金額は、毎会計年度、国債整理基金特別会計に繰り入れなければならない。
(資金支出負担行為計画及び資金支拂計画)
第二十一條 外国為替管理委員会は、政令で定めるところにより、外国為替等の買取並びに外国為替資金に属する現金の預入及び貸付の原因となる契約その他の行為(以下「資金支出負担行為」という。)の所要額並びに外国為替資金に属する現金の支拂(以下「資金支拂」という。)の所要額を定め、資金支出負担行為の計画(以下「資金支出負担行為計画」という。)又は資金支拂の計画(以下「資金支拂計画」という。)に関する書類を作製して、これを大蔵大臣に送付し、その承認を経なければならない。
2 大蔵大臣は、前項の規定による資金支出負担行為計画及び資金支拂計画の承認をしたときは、資金支出負担行為計画については、外国為替管理委員会及び会計検査院に、資金支拂計画については、外国為替管理委員会、会計検査院及び日本銀行にその旨を通知しなければならない。
3 外国為替管理委員会は、資金支出負担行為又は資金支拂をしようとするときは、第一項の規定による大蔵大臣の承認を経た資金支出負担行為計画又は資金支拂計画に定める金額をこえてはならない。
(支出未済額の繰越)
第二十二條 この会計において、支拂義務の生じた歳出金で、当該年度の出納の完結までに支出済とならなかつたものに係る歳出予算は、翌年度に繰り越して使用することができる。
2 内閣総理大臣は、前項の規定により繰越をしたときは、大蔵大臣及び会計検査院に通知しなければならない。
3 第一項の規定により繰越をしたときは、当該経費については、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第三十一條第一項の規定による予算の配賦があつたものとみなす。
(金銀地金の取得)
第二十三條 この会計において取得することができる金銀地金は、対外支拂の決済上必要なものに限る。
(会計の運営に関する事務の委託)
第二十四條 外国為替管理委員会は、第六條に規定する事務の外、この会計の運営に関する事務を日本銀行に取り扱わせることができる。
2 前項の場合において、外国為替管理委員会は、外国為替資金の運営に要する経費の支拂に必要な資金を日本銀行に交付することができる。
(実施規定)
第二十五條 この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、政令で定める。
附 則
1 この法律は、昭和二十六年四月一日から施行する。
2 外国為替特別会計法(昭和二十四年法律第二百二十七号)は、廃止する。
3 外国為替特別会計の昭和二十五年度分の收入支出並びに昭和二十四年度及び昭和二十五年度の決算に関しては、なお従前の例による。
4 外国為替特別会計において、一時借入金、借入金及び融通証券の利子、融通証券の発行及び償還に関する経費、事務取扱費、事務委託費並びに附属諸費につき、昭和二十五年度中に支拂義務の生じた歳出金(以下「支出決定済歳出金」という。)で、当該年度の出納の完結までに支出済とならなかつたものに係る歳出予算は、この会計に繰り越して使用することができる。
5 第二十二條第二項及び第三項の規定は、前項の規定による繰越について準用する。
6 この法律施行の際外国為替特別会計に属する資産(現金及び未收金債権を除く。)及び負債(支出決定済歳出金に係るものを除く。)は、外国為替資金に帰属するものとする。
7 外国為替特別会計の昭和二十五年度の出納の完結(以下「出納の完結」という。)の際同特別会計に属する現金のうち支出決定済歳出金に係る負債で出納の完結までに弁済を終らなかつたもの(以下「繰越負債」という。)の額に相当する金額を除いたもの及び出納の完結の際同特別会計に属する未收金債権は、出納の完結の際外国為替資金に帰属するものとする。
8 繰越負債は、出納の完結の際この会計に帰属するものとし、同特別会計の歳出をもつて弁済するものとする。
9 出納の完結の際外国為替特別会計に属する現金のうち繰越負債の額に相当するものは、その際この会計の歳入に繰り入れるものとする。
10 旧外国為替特別会計法第十四條第四項但書の規定により借り入れ、又は発行した借入金又は融通証券でこの法律施行の際償還未済のものは、第四條第一項の規定により当該借入又は発行の日において借り入れ、又は発行した一時借入金又は融通証券とみなす。但し、当該借入金又は融通証券の額は、同條第二項の規定による一時借入金及び融通証券の限度額の計算には算入しないものとする。
11 外国為替及び外国貿易管理法の一部を次のように改正する。
第二十一條及び第二十二條中「外国為替特別会計」を「外国為替資金特別会計」に改める。
12 外国為替管理委員会設置法(昭和二十四年法律第二百二十九号)の一部を次のように改める。
第三條第一号中「外国為替特別会計」を「外国為替資金特別会計」に改める。
第四條第九号中「外国為替特別会計への」を「外国為替資金特別会計への」に、「外国為替特別会計の資金」を「外国為替資金」に改める。
第十四條第二項中「外国為替特別会計」を「外国為替資金特別会計」に改める。
13 退職職員に支給する退職手当支給の財源に充てるための特別会計等からする一般会計への繰入及び納付に関する法律(昭和二十五年法律第六十二号)の一部を次のように改正する。
第一條中「造幣庁特別会計」を「外国為替資金特別会計、造幣庁特別会計」に改める。
内閣総理大臣 吉田茂
大蔵大臣 池田勇人
外国為替資金特別会計法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十六年三月三十日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第五十六号
外国為替資金特別会計法
(設置)
第一条 政府の行う外国為替等(外国為替及び外国貿易管理法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第六条第一項に規定する対外支払手段及び外貨債権並びに対外支払の決済上必要な金銀地金をいう。以下同じ。)の売買及びこれに伴う取引を円滑にするために外国為替資金を置き、その運営に関する経理を一般会計と区分して特別に行うため、特別会計を設置する。
(管理及び運営)
第二条 この会計は、外国為替管理委員会を所轄する内閣総理大臣が、法令の定めるところに従い、管理する。
2 内閣総理大臣は、外国為替管理委員会をしてこの会計の運営を行わせるものとする。
(外国為替資金)
第三条 外国為替資金は、予算の定めるところにより一般会計から繰り入れる繰入金をもつて充てる。
(外国為替資金補足のための一時借入金及び融通証券)
第四条 外国為替資金に属する現金(本邦通貨たる現金をいう。以下同じ。)に不足があるときは、この会計の負担において、一時借入金をし、又は融通証券を発行して、一時これを補足することができる。
2 前項の規定による一時借入金及び融通証券の限度額については、予算をもつて、国会の議決を経なければならない。
3 第一項の規定による一時借入金及び融通証券は、一年内に償還しなければならない。
(外国為替資金の運営)
第五条 外国為替資金は、外国為替等の売買に運用するものとする。
2 外国為替管理委員会は、外国為替等の売買及びこれに伴う取引上必要があると認めるときは、外国為替資金に属する外国為替等を外国為替銀行(外国為替及び外国貿易管理法第十条第三項に規定する外国為替銀行をいう。)及び外国にある外国銀行で大蔵大臣の指定するもの(以下「外国為替銀行等」と総称する。)に対して預入し、若しくは貸し付け(貸越の契約に基く場合を含む。以下本項中同じ。)又は同資金に属する現金を外国為替銀行等に預入し、若しくは貸し付けることができる。
3 外国為替管理委員会は、外国為替等の売買及びこれに伴う取引上必要があると認めるときは、この会計の負担において、外国為替銀行等から、外国為替等の預入を受け、若しくは外国為替等を借り入れ(借越の契約に基く場合を含む。)、又は外国為替手形の引受若しくは外国為替銀行等の外国為替等に係る債務の保証をし、又、この会計の負担において、外国為替銀行等から現金の預入を受け、若しくは借越の契約に基いて現金を借り入れることができる。
4 外国為替管理委員会は、外国為替等の売買及びこれに伴う取引上必要があると認めるときは、この会計の負担において、外国為替銀行等から外国為替等の寄託を受け、又は外国為替銀行等に外国為替等を寄託することができる。
5 この会計において、外国為替資金に属する現金に余裕があるときは、これを資金運用部に預託することができる。
(外国為替資金の運営の事務の委託)
第六条 外国為替管理委員会は、前条の規定による外国為替資金の運営に関する事務を、日本銀行に取り扱わせることができる。
(外国為替等の売買に伴う損益の処理)
第七条 外国為替等の売買に伴つて生じた利益は、この会計の当該年度の歳入に組み入れ、外国為替等の売買に伴つて生じた損失は、この会計の当該年度の歳出をもつて補てんする。但し、補てんのためのこの会計の当該年度の歳出予算額が当該補てん額に対して不足するときは、当該不足額は、翌年度において補てんするものとする。
2 前項の規定による利益及び損失の計算の方法並びに当該利益の繰入及び当該損失の補てんの時期は、政令で定める。
(外国為替等の価額の改定及びこれに伴う損益の処理)
第八条 外国為替資金に属する外国為替等の価額は、外国為替相場(外国為替等のうち金銀地金以外のものについては外国為替及び外国貿易管理法第七条第一項又は第二項の規定により大蔵大臣が定める基準外国為替相場又は裁定外国為替相場をいい、金銀地金については物価統制令(昭和二十一年勅令第百十八号)に規定する統制額とする。以下同じ。)に変更があつたときは、その都度、変更後の外国為替相場により改定するものとする。
2 前項の規定による外国為替等の価額の改定に基いて生ずる利益又は損失は、外国為替資金の評価益又は評価損として整理するものとする。
(歳入及び歳出)
第九条 この会計においては、第七条第一項の規定による利益の組入金、外国為替資金の運営に基く収益金(外国通貨をもつて表示されるものについてはその円貨代り金とし、第七条第一項に規定する利益を除く。以下同じ。)、第十八条第二項但書の規定による借入金の借入及び融通証券の発行に因る収入金、第十四条の規定による一般会計からの補てん金及び附属雑収入をもつてその歳入とし、事務取扱費、事務委託費、外国為替資金の運営に要する経費(外国通貨をもつて表示されるものについては、その円貨代り金。以下同じ。)、第十八条第二項但書の規定による借入金及び融通証券の償還金、一時借入金、借入金及び融通証券の利子、融通証券の発行及び償還に関する経費、第七条第一項の規定による損失の補てん金並びに附属諸費をもつてその歳出とする。
(歳入歳出予定計算書の作製及び送付)
第十条 内閣総理大臣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出予定計算書を作製し、大蔵大臣に送付しなければならない。
2 前項の歳入歳出予定計算書には、左の書類を添附しなければならない。
一 前前年度の貸借対照表及び損益計算書
二 前年度及び当該年度の予定貸借対照表及び予定損益計算書
(歳入歳出予算の区分)
第十一条 この会計の歳入歳出予算は、歳入の性質及び歳出の目的に従つて、款及び項に区分する。
(予算の作成及び提出)
第十二条 内閣は、毎会計年度、この会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、国会に提出しなければならない。
2 前項の予算には、第十条第一項に規定する歳入歳出予定計算書及び同条第二項各号に掲げる書類を添附しなければならない。
(決算上の剰余の繰入)
第十三条 この会計において、毎会計年度の歳入歳出の決算上、当該年度における第七条第一項の規定による利益の組入金、外国為替資金の運営に基く収益金及び附属雑収入の収納済額の合計額(以下「収納済額の合計額」という。)から当該年度における事務取扱費、事務委託費、外国為替資金の運営に要する経費、一時借入金、借入金及び融通証券の利子、融通証券の発行及び償還に関する経費、第七条第一項の規定による損失の補てん金並びに附属諸費の支出済額と当該年度における第二十二条第一項の規定による歳出金の翌年度への繰越額との合計額(以下「支出済額等の合計額」という。)を控除して残余があるときは、これを一般会計の歳入に繰り入れるものとする。
(決算上の不足の補てん)
第十四条 この会計において、毎会計年度の歳入歳出の決算上、収納済額の合計額が支出済額等の合計額に不足するときは、これを当該年度の一般会計の歳出をもつて補てんする。但し、その補てんのための歳出予算額が当該年度において計上されていないため補てんできないとき、又は計上された当該年度の歳出予算額が当該補てん額に対して不足するため補てんできないときは、その補てんできない金額は、翌年度において補てんするものとする。
(歳入歳出決定計算書の作製及び送付)
第十五条 内閣総理大臣は、毎会計年度、歳入歳出予定計算書と同一の区分により、この会計の歳入歳出決定計算書を作製し、大蔵大臣に送付しなければならない。
2 前項の歳入歳出決定計算書には、当該年度の貸借対照表及び損益計算書を添附しなければならない。
(歳入歳出決算の作成及び提出)
第十六条 内閣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出決算を作成し、一般会計の歳入歳出決算とともに、国会に提出しなければならない。
2 前項の歳入歳出決算には、前条第一項に規定する歳入歳出決定計算書並びに同条第二項に規定する当該年度の貸借対照表及び損益計算書を添附しなければならない。
(歳出の支払上の余裕金の預託)
第十七条 この会計において、歳出の支払上現金に余裕があるときは、これを資金運用部に預託することができる。
(一時借入金、借入金及び融通証券の起債並びに外国為替資金に属する現金の繰替使用)
第十八条 この会計において、歳出の支払上現金に不足があるときは、この会計の負担において、一時借入金をし、若しくは融通証券を発行し、又は外国為替資金に属する現金を繰替使用することができる。
2 前項の規定による一時借入金、融通証券及び繰替使用金は、当該年度の歳入をもつて償還しなければならない。但し、歳入不足のため償還できないときは、その償還することができない金額を限り、この会計の負担において借入金をし、又は融通証券を発行することができる。
3 前項但書の規定による借入金又は融通証券は、一年内に償還しなければならない。
(一時借入金、借入金及び融通証券の起債、償還等の事務)
第十九条 第四条第一項の規定による一時借入金及び融通証券、前条第一項の規定による一時借入金及び融通証券並びに同条第二項但書の規定による借入金及び融通証券の起債、償還等に関する事務は、大蔵大臣が行う。
(国債整理基金特別会計への繰入)
第二十条 第四条第一項の規定による一時借入金及び融通証券の利子、第十八条第一項の規定による一時借入金及び融通証券の利子、同条第二項但書の規定による借入金及び融通証券の利子及び償還金並びにこの会計の負担に属する融通証券の発行及び償還に関する諸費の支出に必要な金額は、毎会計年度、国債整理基金特別会計に繰り入れなければならない。
(資金支出負担行為計画及び資金支払計画)
第二十一条 外国為替管理委員会は、政令で定めるところにより、外国為替等の買取並びに外国為替資金に属する現金の預入及び貸付の原因となる契約その他の行為(以下「資金支出負担行為」という。)の所要額並びに外国為替資金に属する現金の支払(以下「資金支払」という。)の所要額を定め、資金支出負担行為の計画(以下「資金支出負担行為計画」という。)又は資金支払の計画(以下「資金支払計画」という。)に関する書類を作製して、これを大蔵大臣に送付し、その承認を経なければならない。
2 大蔵大臣は、前項の規定による資金支出負担行為計画及び資金支払計画の承認をしたときは、資金支出負担行為計画については、外国為替管理委員会及び会計検査院に、資金支払計画については、外国為替管理委員会、会計検査院及び日本銀行にその旨を通知しなければならない。
3 外国為替管理委員会は、資金支出負担行為又は資金支払をしようとするときは、第一項の規定による大蔵大臣の承認を経た資金支出負担行為計画又は資金支払計画に定める金額をこえてはならない。
(支出未済額の繰越)
第二十二条 この会計において、支払義務の生じた歳出金で、当該年度の出納の完結までに支出済とならなかつたものに係る歳出予算は、翌年度に繰り越して使用することができる。
2 内閣総理大臣は、前項の規定により繰越をしたときは、大蔵大臣及び会計検査院に通知しなければならない。
3 第一項の規定により繰越をしたときは、当該経費については、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第三十一条第一項の規定による予算の配賦があつたものとみなす。
(金銀地金の取得)
第二十三条 この会計において取得することができる金銀地金は、対外支払の決済上必要なものに限る。
(会計の運営に関する事務の委託)
第二十四条 外国為替管理委員会は、第六条に規定する事務の外、この会計の運営に関する事務を日本銀行に取り扱わせることができる。
2 前項の場合において、外国為替管理委員会は、外国為替資金の運営に要する経費の支払に必要な資金を日本銀行に交付することができる。
(実施規定)
第二十五条 この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、政令で定める。
附 則
1 この法律は、昭和二十六年四月一日から施行する。
2 外国為替特別会計法(昭和二十四年法律第二百二十七号)は、廃止する。
3 外国為替特別会計の昭和二十五年度分の収入支出並びに昭和二十四年度及び昭和二十五年度の決算に関しては、なお従前の例による。
4 外国為替特別会計において、一時借入金、借入金及び融通証券の利子、融通証券の発行及び償還に関する経費、事務取扱費、事務委託費並びに附属諸費につき、昭和二十五年度中に支払義務の生じた歳出金(以下「支出決定済歳出金」という。)で、当該年度の出納の完結までに支出済とならなかつたものに係る歳出予算は、この会計に繰り越して使用することができる。
5 第二十二条第二項及び第三項の規定は、前項の規定による繰越について準用する。
6 この法律施行の際外国為替特別会計に属する資産(現金及び未収金債権を除く。)及び負債(支出決定済歳出金に係るものを除く。)は、外国為替資金に帰属するものとする。
7 外国為替特別会計の昭和二十五年度の出納の完結(以下「出納の完結」という。)の際同特別会計に属する現金のうち支出決定済歳出金に係る負債で出納の完結までに弁済を終らなかつたもの(以下「繰越負債」という。)の額に相当する金額を除いたもの及び出納の完結の際同特別会計に属する未収金債権は、出納の完結の際外国為替資金に帰属するものとする。
8 繰越負債は、出納の完結の際この会計に帰属するものとし、同特別会計の歳出をもつて弁済するものとする。
9 出納の完結の際外国為替特別会計に属する現金のうち繰越負債の額に相当するものは、その際この会計の歳入に繰り入れるものとする。
10 旧外国為替特別会計法第十四条第四項但書の規定により借り入れ、又は発行した借入金又は融通証券でこの法律施行の際償還未済のものは、第四条第一項の規定により当該借入又は発行の日において借り入れ、又は発行した一時借入金又は融通証券とみなす。但し、当該借入金又は融通証券の額は、同条第二項の規定による一時借入金及び融通証券の限度額の計算には算入しないものとする。
11 外国為替及び外国貿易管理法の一部を次のように改正する。
第二十一条及び第二十二条中「外国為替特別会計」を「外国為替資金特別会計」に改める。
12 外国為替管理委員会設置法(昭和二十四年法律第二百二十九号)の一部を次のように改める。
第三条第一号中「外国為替特別会計」を「外国為替資金特別会計」に改める。
第四条第九号中「外国為替特別会計への」を「外国為替資金特別会計への」に、「外国為替特別会計の資金」を「外国為替資金」に改める。
第十四条第二項中「外国為替特別会計」を「外国為替資金特別会計」に改める。
13 退職職員に支給する退職手当支給の財源に充てるための特別会計等からする一般会計への繰入及び納付に関する法律(昭和二十五年法律第六十二号)の一部を次のように改正する。
第一条中「造幣庁特別会計」を「外国為替資金特別会計、造幣庁特別会計」に改める。
内閣総理大臣 吉田茂
大蔵大臣 池田勇人