(特定取得の届出及び変更勧告等)
第二十八条 外国投資家は、特定取得(相続、遺贈、法人の合併その他の事情を勘案して政令で定めるものを除く。以下この条において同じ。)のうち第三項の規定による審査が必要となる特定取得に該当するおそれがあるものとして政令で定めるものを行おうとするときは、政令で定めるところにより、あらかじめ、当該特定取得について、事業目的、金額、実行の時期その他の政令で定める事項を財務大臣及び事業所管大臣に届け出なければならない。
2 特定取得について前項の規定による届出をした外国投資家は、財務大臣及び事業所管大臣が当該届出を受理した日から起算して三十日を経過する日までは、当該届出に係る特定取得を行つてはならない。ただし、財務大臣及び事業所管大臣は、その期間の満了前に当該届出に係る特定取得がその事業目的その他からみて次項の規定による審査が必要となる特定取得に該当しないと認めるときは、当該期間を短縮することができる。
3 財務大臣及び事業所管大臣は、第一項の規定による届出があつた場合において、当該届出に係る特定取得が国の安全を損なう事態を生ずるおそれが大きい特定取得(我が国が加盟する特定取得に関する多数国間の条約その他の国際約束で政令で定めるもの(以下この項において「条約等」という。)の加盟国の外国投資家が行う特定取得で特定取得に関する制限の除去について当該条約等に基づく義務がないもの及び当該条約等の加盟国以外の国の外国投資家が行う特定取得でその国が当該条約等の加盟国であるものとした場合に当該義務がないこととなるものに限る。次項及び第五項並びに次条第一項及び第二項において「国の安全に係る特定取得」という。)に該当しないかどうかを審査する必要があると認めるときは、当該届出に係る特定取得を行つてはならない期間を、当該届出を受理した日から起算して四月間に限り、延長することができる。
4 財務大臣及び事業所管大臣は、前項の規定により特定取得を行つてはならない期間を延長した場合において、同項の規定による審査をした結果、当該延長された期間の満了前に第一項の規定による届出に係る特定取得が国の安全に係る特定取得に該当しないと認めるときは、当該延長された期間を短縮することができる。
5 財務大臣及び事業所管大臣は、第三項の規定により特定取得を行つてはならない期間を延長した場合において、同項の規定による審査をした結果、第一項の規定による届出に係る特定取得が国の安全に係る特定取得に該当すると認めるときは、関税・外国為替等審議会の意見を聴いて、当該特定取得の届出をしたものに対し、政令で定めるところにより、当該特定取得に係る内容の変更又は中止を勧告することができる。ただし、当該変更又は中止を勧告することができる期間は、当該届出を受理した日から起算して第三項又は次項の規定により延長された期間の満了する日までとする。
6 前項の規定により関税・外国為替等審議会の意見を聴く場合において、関税・外国為替等審議会が当該事案の性質に鑑み、第三項に規定する四月の期間内に意見を述べることが困難である旨を申し出た場合には、同項に規定する特定取得を行つてはならない期間は、同項の規定にかかわらず、五月とする。
7 前条第七項から第十二項までの規定は、第五項の規定による勧告があつた場合について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
8 外国投資家以外の者(法人その他の団体を含む。)が外国投資家のために当該外国投資家の名義によらないで行う特定取得に相当するものについては、当該外国投資家以外の者を外国投資家とみなして、前各項及び次条の規定を適用する。
(措置命令)
第二十九条 財務大臣及び事業所管大臣は、次に掲げる場合において、当該対内直接投資等又は特定取得が第二十七条第三項第一号に掲げる対内直接投資等(国の安全を損なう事態を生ずるおそれがあるものに限る。以下この条において「国の安全に係る対内直接投資等」という。)又は国の安全に係る特定取得に該当すると認めるときは、関税・外国為替等審議会の意見を聴いて、当該対内直接投資等又は特定取得を行つた外国投資家に対し、政令で定めるところにより、当該対内直接投資等又は特定取得により取得した株式又は持分の全部又は一部の処分その他必要な措置を命ずることができる。
一 第二十七条第一項又は前条第一項の規定による届出をしなければならない外国投資家が、当該届出をせずに対内直接投資等又は特定取得を行つた場合
二 第二十七条第一項又は前条第一項の規定による届出をした外国投資家が、禁止期間の満了前に、当該届出に係る対内直接投資等又は特定取得を行つた場合
2 財務大臣及び事業所管大臣は、第二十七条第一項又は前条第一項の規定による届出をした外国投資家が、当該届出に関し虚偽の届出をした場合において、当該届出に係る対内直接投資等又は特定取得が国の安全に係る対内直接投資等又は国の安全に係る特定取得に該当すると認めるときは、関税・外国為替等審議会の意見を聴いて、当該対内直接投資等又は特定取得を行つた外国投資家に対し、政令で定めるところにより、必要な措置を命ずることができる。
3 財務大臣及び事業所管大臣は、第二十七条第一項又は前条第一項の規定による届出をした外国投資家が、第二十七条第七項(前条第七項において準用する場合を含む。)の規定により応諾する旨の通知をした対内直接投資等若しくは特定取得に係る内容の変更の勧告に従わず、又は第二十七条第十項(前条第七項において準用する場合を含む。)の規定による対内直接投資等若しくは特定取得に係る内容の変更の命令に違反した場合(対内直接投資等にあつては、当該対内直接投資等が国の安全に係る対内直接投資等に該当すると認める場合に限る。)には、当該対内直接投資等又は特定取得を行つた外国投資家に対し、政令で定めるところにより、当該対内直接投資等又は特定取得により取得した株式又は持分(第二十七条第五項若しくは前条第五項の規定により当該対内直接投資等若しくは特定取得に係る株式の数若しくは金額若しくは持分の口数若しくは金額の変更を勧告した場合における当該変更に係る部分又は第二十七条第十項(前条第七項において準用する場合を含む。)の規定により当該対内直接投資等若しくは特定取得に係る株式の数若しくは金額若しくは持分の口数若しくは金額の変更を命じた場合における当該変更に係る部分に限る。)の全部又は一部の処分その他必要な措置を命ずることができる。
4 財務大臣及び事業所管大臣は、第二十七条第一項又は前条第一項の規定による届出をした外国投資家が、第二十七条第七項(前条第七項において準用する場合を含む。)の規定により応諾する旨の通知をした対内直接投資等若しくは特定取得の中止の勧告に従わず、又は第二十七条第十項(前条第七項において準用する場合を含む。)の規定による対内直接投資等若しくは特定取得の中止の命令に違反した場合(対内直接投資等にあつては、当該対内直接投資等が国の安全に係る対内直接投資等に該当すると認める場合に限る。)には、当該対内直接投資等又は特定取得を行つた外国投資家に対し、政令で定めるところにより、当該対内直接投資等又は特定取得により取得した株式又は持分の全部又は一部の処分その他必要な措置を命ずることができる。
5 第一項第二号の「禁止期間」とは、第二十七条第二項本文に規定する期間(同条第三項若しくは第六項の規定により延長され、又は同条第二項ただし書若しくは第四項の規定により短縮された場合には、当該延長され、又は短縮された期間)又は前条第二項本文に規定する期間(同条第三項若しくは第六項の規定により延長され、又は同条第二項ただし書若しくは第四項の規定により短縮された場合には、当該延長され、又は短縮された期間)をいう。