(対内直接投資等の届出等)
第二十六条 外国投資家とは、次に掲げるもので、次項各号に掲げる対内直接投資等を行うものをいう。
二 外国法令に基づいて設立された法人その他の団体又は外国に主たる事務所を有する法人その他の団体
三 会社で、第一号又は前号に掲げるものにより直接に所有されるその株式の数又は出資の金額と他の会社を通じて間接に所有されるものとして政令で定めるその株式の数又は出資の金額とを合計した株式の数又は出資の金額の当該会社の発行済株式の総数又は出資の金額の総額に占める割合が百分の五十以上に相当するもの
四 前二号に掲げるもののほか、法人その他の団体で、第一号に掲げる者がその役員(取締役その他これに準ずるものをいう。以下この号において同じ。)又は役員で代表する権限を有するもののいずれかの過半数を占めるもの
2 対内直接投資等とは、次のいずれかに該当する行為をいう。
一 会社の株式又は持分の取得(前項各号に掲げるものから譲受けによるもの及び証券取引法第二条第十一項に規定する証券取引所に上場されている株式又はこれに準ずるものとして政令で定める株式を発行している会社(次号及び第三号において「上場会社等」という。)の株式の取得を除く。)
二 非居住者となる以前から引き続き所有する上場会社等以外の会社の株式又は持分の譲渡(非居住者である個人から前項各号に掲げるものに対して行われる譲渡に限る。)
三 上場会社等の株式の取得(当該取得に係る当該上場会社等の株式の数の当該上場会社等の発行済株式の総数に占める割合又は当該取得をしたものが当該取得の後において所有することとなる当該上場会社等の株式の数と、法人その他の団体で当該取得をしたものと株式の所有関係その他これに準ずる特別の関係にあるものとして政令で定めるものが所有する当該上場会社等の株式の数とを合計した株式の数の当該上場会社等の発行済株式の総数に占める割合が百分の十を下らない率で政令で定める率以上となる場合に限る。)
四 会社の事業目的の実質的な変更に関し行う同意(当該会社の発行済株式の総数又は出資の金額の総額の三分の一以上の割合を占める当該会社の株式の数又は出資の金額を有するものの行う同意に限る。)
五 本邦における支店等の設置又は本邦にある支店等の種類若しくは事業目的の実質的な変更(前項第一号又は第二号に掲げるものが行う政令で定める設置又は変更に限る。)
六 本邦に主たる事務所を有する法人に対する政令で定める金額を超える金銭の貸付け(銀行その他政令で定める金融機関がその業務として行う貸付け及び前項第三号又は第四号に掲げるものが行う本邦通貨による貸付けを除く。)でその期間が一年を超えるもの
七 前各号のいずれかに準ずる行為として政令で定めるもの
3 外国投資家は、前項各号に掲げる対内直接投資等を行おうとするとき(相続、遺贈、法人の合併その他の事情を勘案して政令で定める場合を除く。)は、政令で定めるところにより、あらかじめ、当該対内直接投資等について、事業目的、金額、実行の時期その他の政令で定める事項を大蔵大臣及び事業所管大臣に届け出なければならない。
4 第二項に規定する対内直接投資等(以下「対内直接投資等」という。)について前項の規定による届出をした外国投資家は、大蔵大臣及び事業所管大臣が当該届出を受理した日から起算して三十日を経過する日までは、当該届出に係る対内直接投資等を行つてはならない。ただし、大蔵大臣及び事業所管大臣は、当該届出に係る対内直接投資等に係る事業目的その他からみて特に支障がないと認めるときは、当該期間を短縮することができる。
5 外国投資家以外の者(法人その他の団体を含む。以下この項及び次条第一項において同じ。)が外国投資家のために当該外国投資家の名義によらないで行う対内直接投資等に相当するものについては、当該外国投資家以外の者を外国投資家とみなして、前二項の規定を適用する。
(対内直接投資等に係る内容の審査及び変更勧告等)
第二十七条 大蔵大臣及び事業所管大臣は、前条第三項の規定による届出(同条第五項の規定により外国投資家とみなされる外国投資家以外の者による届出を含む。次項及び第八項において同じ。)があつた場合において、当該届出に係る対内直接投資等が行われたならば第一号若しくは第二号の事態を生ずるおそれがないかどうか、又は当該届出に係る対内直接投資等が第三号若しくは第四号に該当しないかどうかを審査する必要があると認めるときは、当該対内直接投資等を行つてはならない期間を、当該届出を受理した日から起算して四月間に限り、延長することができる。
一 国の安全を損ない、公の秩序の維持を妨げ、又は公衆の安全の保護に支障を来すことになること。
二 当該対内直接投資等に係る事業と同種の我が国における事業(関連する事業を含む。)の活動その他我が国経済の円滑な運営に著しい悪影響を及ぼすことになること。
三 当該対内直接投資等が、我が国との間に対内直接投資等に関し条約その他の国際約束がない国の外国投資家により行われるものであることにより、これに対する取扱いを我が国の投資家が当該国において行う直接投資等(前条第二項各号に掲げる対内直接投資等に相当するものをいう。)に対する取扱いと実質的に同等なものとするため、当該対内直接投資等に係る内容の変更又は中止をさせる必要があると認められるもの
四 資金の使途その他からみて、届出がされた対内直接投資等の全部又は一部が第二十一条第二項の規定により許可を受ける義務を課されている資本取引に当たるものとして当該対内直接投資等に係る内容の変更又は中止をさせる必要があると認められるもの
2 大蔵大臣及び事業所管大臣は、前条第三項の規定による届出があつた場合において、当該届出に係る対内直接投資等が行われたならば前項第一号若しくは第二号の事態を生ずるおそれがあると認めるとき又は当該届出に係る対内直接投資等が同項第三号若しくは第四号に該当すると認めるときは、第五十五条の二に規定する外国為替等審議会の意見を聴いて、当該対内直接投資等の届出をしたものに対し、政令で定めるところにより、当該対内直接投資等に係る内容の変更又は中止を勧告することができる。ただし、当該変更又は中止を勧告することができる期間は、当該届出を受理した日から起算して同項又は次項の規定により延長された期間の満了する日までとする。
3 第一項に規定する審査に当たり第五十五条の二に規定する外国為替等審議会の意見を聴く場合において、同審議会が当該事案の性質にかんがみ、同項に規定する四月の期間内に意見を述べることが困難である旨を申し出た場合には、同項に規定する対内直接投資等を行つてはならない期間は、同項の規定にかかわらず、五月とする。
4 第二項の規定による勧告を受けたものは、当該勧告を受けた日から起算して十日以内に、大蔵大臣及び事業所管大臣に対し、当該勧告を応諾するかしないかを通知しなければならない。
5 前項の規定により勧告を応諾する旨の通知をしたものは、当該勧告をされたところに従い、当該勧告に係る対内直接投資等を行わなければならない。
6 第四項の規定により勧告を応諾する旨の通知をしたものは、第一項又は第三項の規定にかかわらず、当該対内直接投資等に係る届出を行つた日から起算して四月(第三項の規定により延長された場合にあつては、五月)を経過しなくても、当該勧告に係る対内直接投資等を行うことができる。
7 第二項の規定による勧告を受けたものが、第四項の規定による通知をしなかつた場合又は当該勧告を応諾しない旨の通知をした場合には、大蔵大臣及び事業所管大臣は、当該勧告を受けたものに対し、当該対内直接投資等に係る内容の変更又は中止を命ずることができる。ただし、当該変更又は中止を命ずることができる期間は、当該届出を受理した日から起算して第一項又は第三項の規定により延長された期間の満了する日までとする。
8 大蔵大臣及び事業所管大臣は、経済事情の変化その他の事由により、前条第三項の規定による届出に係る対内直接投資等が行われても、第一項第一号若しくは第二号の事態を生ずるおそれがなく、又は当該届出に係る対内直接投資等が同項第三号若しくは第四号に該当しなくなつたと認めるときは、第四項の規定による対内直接投資等に係る内容の変更の勧告を応諾する旨の通知をしたもの又は前項の規定により対内直接投資等に係る内容の変更を命じられたものに対し、当該勧告又は命令の全部又は一部を取り消すことができる。
9 前各項に定めるもののほか、対内直接投資等に係る内容の変更又は中止の勧告の手続その他これらの勧告に関し必要な事項は、政令で定める。
(新株の引受権の譲渡)
第二十八条 第二十六条第一項第一号又は第二号に掲げるもので会社の株式を所有するものは、その所有する株式につき与えられた新株の引受権を他に譲り渡すことができる。
2 新株引受権証書が発行される場合を除き、前項の新株の引受権の譲渡は、書面による会社の承諾がなければ、会社その他の第三者に対して対抗することができない。
(技術導入契約の締結等の届出等)
第二十九条 非居住者(非居住者の本邦にある支店等を含む。以下この項及び第三項において同じ。)及び居住者は、非居住者の行う工業所有権その他の技術に関する権利の譲渡、これらに関する使用権の設定又は事業の経営に関する技術の指導に係る契約の締結又は更新その他当該契約の条項の変更(以下「技術導入契約の締結等」という。)をしようとするときは、政令で定めるところにより、あらかじめ、当該技術導入契約の締結等に係る契約の条項その他の政令で定める事項を大蔵大臣及び事業所管大臣に届け出なければならない。
2 前項の規定は、非居住者の本邦にある支店等が独自に開発した技術につき技術導入契約の締結等をしようとする場合その他政令で定める場合については、適用しない。
3 第一項に規定する技術導入契約の締結等について、同項の規定による届出をした非居住者及び居住者は、大蔵大臣及び事業所管大臣が当該届出を受理した日から起算して三十日を経過する日までは、当該届出に係る技術導入契約の締結等をしてはならない。ただし、大蔵大臣及び事業所管大臣は、当該届出に係る技術導入契約の締結等に係る技術の種類その他からみて特に支障がないと認めるときは、当該期間を短縮することができる。
(技術導入契約の締結等の変更勧告等)
第三十条 大蔵大臣及び事業所管大臣は、前条第一項の規定による届出があつた場合において、当該届出に係る技術導入契約の締結等がされたならば次に掲げるいずれかの事態を生ずるおそれがないかどうかを審査する必要があると認めるときは、当該技術導入契約の締結等をしてはならない期間を、当該届出を受理した日から起算して四月間に限り、延長することができる。
一 国の安全を損ない、公の秩序の維持を妨げ、又は公衆の安全の保護に支障を来すことになること。
二 当該技術を導入する事業と同種の我が国における事業(関連する事業を含む。)の活動その他我が国経済の円滑な運営に著しい悪影響を及ぼすことになること。
2 大蔵大臣及び事業所管大臣は、前条第一項の規定による届出があつた場合において、当該届出に係る技術導入契約の締結等がされたならば前項各号に掲げるいずれかの事態を生ずるおそれがあると認めるときは、第五十五条の二に規定する外国為替等審議会の意見を聴いて、当該技術導入契約の締結等の届出をした者に対し、政令で定めるところにより、当該技術導入契約の締結等に係る条項の全部若しくは一部の変更又は中止を勧告することができる。ただし、当該変更又は中止を勧告することができる期間は、当該届出を受理した日から起算して同項又は次項の規定により延長された期間の満了する日までとする。
3 第一項に規定する審査に当たり第五十五条の二に規定する外国為替等審議会の意見を聴く場合において、同審議会が、当該事案の性質にかんがみ、同項に規定する四月の期間内に意見を述べることが困難である旨を申し出た場合には、同項に規定する技術導入契約の締結等をしてはならない期間は、同項の規定にかかわらず、五月とする。
4 第二十七条第四項から第九項までの規定は、第二項の規定による勧告があつた場合について準用する。この場合において必要な技術的読替えは、政令で定める。