労働安全衛生法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第三十七号
公布年月日: 昭和63年5月17日
法令の形式: 法律
労働安全衛生法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和六十三年五月十七日
内閣総理大臣 竹下登
法律第三十七号
労働安全衛生法の一部を改正する法律
労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)の一部を次のように改正する。
目次中「第十九条」を「第十九条の二」に、「健康管理」を「健康の保持増進のための措置」に改める。
第十条第一項第三号中「健康管理」を「健康の保持増進のための措置」に改める。
第十二条の次に次の一条を加える。
(安全衛生推進者等)
第十二条の二 事業者は、第十一条第一項の事業場及び前条第一項の事業場以外の事業場で、労働省令で定める規模のものごとに、労働省令で定めるところにより、安全衛生推進者(第十一条第一項の政令で定める業種以外の業種の事業場にあつては、衛生推進者)を選任し、その者に第十条第一項各号の業務(第二十五条の二第二項の規定により技術的事項を管理する者を選任した場合においては、同条第一項各号の措置に該当するものを除くものとし、第十一条第一項の政令で定める業種以外の業種の事業場にあつては、衛生に係る業務に限る。)を担当させなければならない。
第十八条第一項第三号中「前二号」を「前三号」に改め、「防止」の下に「及び健康の保持増進」を加え、同号を同項第四号とし、同項第二号を同項第三号とし、同項第一号の次に次の一号を加える。
二 労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること。
第十八条第二項中第三号を第四号とし、第二号の次に次の一号を加える。
三 産業医のうちから事業者が指名した者
第十八条第三項中「次の者」を「当該事業場の労働者で、作業環境測定を実施している作業環境測定士であるもの」に改め、各号を削る。
第十九条第二項中第四号を第五号とし、第三号を第四号とし、第二号の次に次の一号を加える。
三 産業医のうちから事業者が指名した者
第十九条第三項中「次の者」を「当該事業場の労働者で、作業環境測定を実施している作業環境測定士であるもの」に改め、各号を削る。
第三章中第十九条の次に次の一条を加える。
(安全管理者等に対する教育等)
第十九条の二 事業者は、事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者その他労働災害の防止のための業務に従事する者に対し、これらの者が従事する業務に関する能力の向上を図るための教育、講習等を行い、又はこれらを受ける機会を与えるように努めなければならない。
2 労働大臣は、前項の教育、講習等の適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。
3 労働大臣は、前項の指針に従い、事業者又はその団体に対し、必要な指導等を行うことができる。
第二十八条第四項中「前三項」を「第一項又は前二項」に改め、同項を同条第五項とし、同条第三項を同条第四項とし、同条第二項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 労働大臣は、前項の技術上の指針を定めるに当たつては、中高年齢者に関して、特に配慮するものとする。
第四十二条の前の見出し中「制限」を「制限等」に改める。
第四十三条の次に次の一条を加える。
第四十三条の二 労働大臣又は都道府県労働基準局長は、第四十二条の機械等を製造し、又は輸入した者が、当該機械等で、次の各号のいずれかに該当するものを譲渡し、又は貸与した場合には、その者に対し、当該機械等の回収又は改善を図ること、当該機械等を使用している者へ労働省令で定める事項を通知することその他当該機械等が使用されることによる労働災害を防止するため必要な措置を講ずることを命ずることができる。
一 次条第五項の規定に違反して、同条第四項の表示が付され、又はこれと紛らわしい表示が付された機械等
二 第四十四条の二第三項に規定する型式検定に合格した型式の機械等で、第四十二条の労働大臣が定める規格又は安全装置(第四号において「規格等」という。)を具備していないもの
三 第四十四条の二第六項の規定に違反して、同条第五項の表示が付され、又はこれと紛らわしい表示が付された機械等
四 次条第一項の機械等及び第四十四条の二第一項の機械等以外の機械等で、規格等を具備していないもの
第五十七条の二第一項各号列記以外の部分中「労働省令で定める有害性の調査」を「労働省令で定めるところにより、労働大臣の定める基準に従つて有害性の調査」に改め、「、労働省令で定めるところにより」を削る。
第六十条の次に次の一条を加える。
第六十条の二 事業者は、前二条に定めるもののほか、その事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、危険又は有害な業務に現に就いている者に対し、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行うように努めなければならない。
2 労働大臣は、前項の教育の適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。
3 労働大臣は、前項の指針に従い、事業者又はその団体に対し、必要な指導等を行うことができる。
第七章の章名を次のように改める。
第七章 健康の保持増進のための措置
第六十五条第六項を削り、同条の次に次の三条を加える。
(作業環境測定の結果の評価等)
第六十五条の二 事業者は、前条第一項又は第五項の規定による作業環境測定の結果の評価に基づいて、労働者の健康を保持するため必要があると認められるときは、労働省令で定めるところにより、施設又は設備の設置又は整備、健康診断の実施その他の適切な措置を講じなければならない。
2 事業者は、前項の評価を行うに当たつては、労働省令で定めるところにより、労働大臣の定める作業環境評価基準に従つて行わなければならない。
3 事業者は、前項の規定による作業環境測定の結果の評価を行つたときは、労働省令で定めるところにより、その結果を記録しておかなければならない。
(作業の管理)
第六十五条の三 事業者は、労働者の健康に配慮して、労働者の従事する作業を適切に管理するように努めなければならない。
(作業時間の制限)
第六十五条の四 事業者は、潜水業務その他の健康障害を生ずるおそれのある業務で、労働省令で定めるものに従事させる労働者については、労働省令で定める作業時間についての基準に違反して、当該業務に従事させてはならない。
第六十九条を次のように改める。
(健康教育等)
第六十九条 事業者は、労働者に対する健康教育及び健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置を継続的かつ計画的に講ずるように努めなければならない。
2 労働者は、前項の事業者が講ずる措置を利用して、その健康の保持増進に努めるものとする。
第七十条の見出しを「(体育活動等についての便宜供与等)」に改め、同条中「事業者は」の下に「、前条第一項に定めるもののほか」を加え、「レクリエーシヨン」を「レクリエーション」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(健康の保持増進のための指針の公表等)
第七十条の二 労働大臣は、第六十九条第一項の事業者が講ずべき健康の保持増進のための措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。
2 労働大臣は、前項の指針に従い、事業者又はその団体に対し、必要な指導等を行うことができる。
第七十一条を次のように改める。
(国の援助)
第七十一条 国は、労働者の健康の保持増進に関する措置の適切かつ有効な実施を図るため、必要な資料の提供、作業環境測定及び健康診断の実施の促進、事業場における健康教育等に関する指導員の確保及び資質の向上の促進その他の必要な援助に努めるものとする。
2 国は、前項の援助を行うに当たつては、中小企業者に対し、特別の配慮をするものとする。
第七十二条第一項中「対し」の下に「、労働省令で定めるところにより」を加え、「行なう」を「行う」に改める。
第七十三条第一項中「前条第一項の免許証(以下「免許証」という。)」を「免許」に改め、同条第二項中「免許証の」を「免許の」に、「免許証を有する」を「免許を受けた」に改める。
第八十八条第五項中「事業者は」の下に「、第一項(第二項において準用する場合を含む。)の規定による届出に係る工事のうち労働省令で定める工事の計画」を加え、「及び」を「又は」に、「当該仕事」を「当該工事に係る建設物若しくは機械等又は当該仕事」に改め、同条第六項中「前三項の規定」の下に「(前項の規定のうち、第一項(第二項において準用する場合を含む。)の規定による届出に係る部分を除く。)」を加え、同条に次の一項を加える。
8 労働大臣又は労働基準監督署長は、前項の規定による命令(第三項又は第四項の規定による届出をした事業者に対するものに限る。)をした場合において、必要があると認めるときは、当該命令に係る仕事の発注者(当該仕事を自ら行う者を除く。)に対し、労働災害の防止に関する事項について必要な勧告又は要請を行うことができる。
第九十三条第三項を次のように改める。
3 労働衛生専門官は、第五十六条第一項の許可、第五十七条の二第四項の規定による勧告、第五十七条の三第一項の規定による指示、第六十五条の規定による作業環境測定についての専門技術的事項、安全衛生改善計画及び届出に関する事務並びに労働災害の原因の調査その他特に専門的知識を必要とする事務で、衛生に係るものをつかさどるほか、事業者、労働者その他の関係者に対し、労働者の健康障害を防止するため必要な事項及び労働者の健康の保持増進を図るため必要な事項について指導及び援助を行う。
第九十四条第一項中「(同条第三項において準用する場合を含む。)」を「又は第三項」に改める。
第九十八条に次の一項を加える。
4 都道府県労働基準局長又は労働基準監督署長は、請負契約によつて行われる仕事について第一項の規定による命令をした場合において、必要があると認めるときは、当該仕事の注文者(当該仕事が数次の請負契約によつて行われるときは、当該注文者の請負契約の先次のすべての請負契約の当事者である注文者を含み、当該命令を受けた注文者を除く。)に対し、当該違反する事実に関して、労働災害を防止するため必要な事項について勧告又は要請を行うことができる。
第百七条中「衛生管理者」の下に「、安全衛生推進者、衛生推進者」を加え、「行なう」を「行う」に改める。
第百十二条第一項第九号中「免許証」を「第七十二条第一項の免許証」に改め、同項第十号中「免許証」を「免許」に改める。
第百十四条第二項中「「総括衛生管理者」と」の下に「、「安全衛生推進者」とあるのは「衛生推進者」と」を加える。
第百十九条第一号中「第六十五条第一項」の下に「、第六十五条の四」を加え、「、第六十九条」を削り、同条第二号中「第五十六条第五項」を「第四十三条の二、第五十六条第五項」に改める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、昭和六十三年十月一日から施行する。ただし、第十二条の次に一条を加える改正規定、第八十八条第五項及び第六項の改正規定、第百七条の改正規定、第百十四条第二項の改正規定並びに附則第四条の規定並びに附則第五条中労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)第四十五条第一項の改正規定(「、第十三条」を「から第十三条まで」に改める部分及び「第十二条第一項」の下に「及び第十二条の二」を加える部分に限る。)及び同条第二項の改正規定は、昭和六十四年四月一日から施行する。
(新法第十九条の二の適用に関する特例)
第二条 この法律の施行の日から昭和六十四年三月三十一日までの間における改正後の労働安全衛生法(以下「新法」という。)第十九条の二の規定の適用(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律第四十五条第一項の規定により適用される場合を含む。)については、新法第十九条の二第一項中「衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者」とあるのは、「衛生管理者」とする。
(免許に関する経過措置)
第三条 この法律の施行前に改正前の労働安全衛生法第七十二条第一項の規定によりされた免許は、新法第七十二条第一項の規定によりされた免許とみなす。
(計画の届出に関する経過措置)
第四条 昭和六十四年七月一日前に開始される新法第八十八条第五項に規定する労働省令で定める工事の計画の作成については、同項の規定は、適用しない。
(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の一部改正)
第五条 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の一部を次のように改正する。
第四十五条第一項中「、第十三条」を「から第十三条まで」に、「第五十九条第二項」を「第十九条の二、第五十九条第二項、第六十条の二」に改め、「第六十六条第七項」の下に「、第六十九条」を、「第十二条第一項」の下に「及び第十二条の二」を加え、「同法第十三条」を「「同条第一項各号」とあるのは「第二十五条の二第一項各号」と、同法第十三条」に改め、同条第二項中「、第十二条第一項」の下に「、第十二条の二」を、「。第十二条第一項」及び「同法第十二条第一項」の下に「及び第十二条の二」を加え、同条第三項中「、第六十五条」を「から第六十五条の四まで」に改め、「、第六十九条」を削り、同条第六項中「第六十一条第一項、」の下に「第六十五条の四又は」を加え、「又は第六十九条」を削り、同条第八項中「派遣中の労働者」を「労働者派遣法第四十四条第一項に規定する派遣中の労働者」に改め、同条第十四項中「第二十八条第四項」を「第二十八条第五項」に改め、「第六十三条」の下に「、第七十条の二第二項」を加え、「(同条第三項において準用する場合を含む。)」を「及び第三項」に、「第百六条第一項及び」を「第百六条第一項並びに」に改める。
(罰則に関する経過措置)
第六条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(労働省設置法の一部改正)
第七条 労働省設置法(昭和二十四年法律第百六十二号)の一部を次のように改正する。
第五条第二十一号の次に次の一号を加える。
二十一の二 労働安全衛生法に基づいて、機械等で規格を具備していないもの等を譲渡し、又は貸与した者に対し、当該機械等の回収又は改善を図ることその他必要な措置を命ずること。
労働大臣 中村太郎
内閣総理大臣 竹下登