(目的)
第一条 この法律は、土砂等の運搬の用に供する大型自動車の使用について必要な規制を行なうとともに、土砂等の運搬に関する事業の協業化等を図ること等により、土砂等の輸送に関する秩序を確立し、もつて道路交通の安全に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「土砂等」とは、土、砂利(砂及び玉石を含む。)、砕石その他政令で定める物をいう。
2 この法律において「大型自動車」とは、道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第三条に規定する大型自動車であつて、もつぱら貨物を運搬する構造のものをいう。
3 この法律において「事業用自動車」とは、道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第二条第八項に規定する事業用自動車をいう。
(表示番号の指定)
第三条 土砂等の運搬の用に供するため大型自動車(事業用自動車であるものを除く。)を使用しようとする者は、運輸省令で定めるところにより、次に掲げる事項を運輸大臣に届け出るとともに、運輸大臣に申請して、当該大型自動車について表示番号の指定を受けなければならない。
三 自動車の自動車登録番号、車名、初度登録年及び最大積載量
六 運転者を雇用する場合にあつては、運転者の勤務時間、乗務時間及び乗務距離
七 自らその運転者である場合にあつては、その乗務時間及び乗務距離
八 前各号に掲げるもののほか、運輸省令で定めるもの
2 土砂等の運搬の用に供するため大型自動車(事業用自動車であるものに限る。)を使用しようとする者は、運輸省令で定めるところにより、運輸大臣に申請して、当該大型自動車について表示番号の指定を受けなければならない。
3 第一項の規定による届出をした者は、当該届出事項に変更があつたときは、運輸省令で定めるところにより、すみやかに、その旨を運輸大臣に届け出るとともに、運輸大臣に申請して、当該大型自動車について表示番号の指定を受けなければならない。
4 第一項又は前項の規定による届出は、道路運送法第九十九条第一項の規定による届出とみなす。
(表示番号等の表示)
第四条 土砂等の運搬の用に供する大型自動車(以下「土砂等運搬大型自動車」という。)を使用する者は、運輸省令で定めるところにより、前条第一項から第三項までの規定による指定に係る表示番号その他運輸省令で定める事項を当該土砂等運搬大型自動車の外側に見やすいように表示しなければならない。
(使用廃止の届出)
第五条 第三条第一項から第三項までの規定による表示番号の指定に係る土砂等運搬大型自動車を使用する者は、当該土砂等運搬大型自動車を土砂等の運搬の用に供しないこととなつたときは、その日から三十日以内に、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(積載重量の自重計の取付け)
第六条 土砂等運搬大型自動車を使用する者は、通商産業省令、運輸省令で定める技術上の基準に適合する積載重量の自重計(積載重量を自動的に計量するための装置をいう。)を当該土砂等運搬大型自動車に取り付けなければならない。
(使用の制限及び禁止)
第七条 運輸大臣は、土砂等運搬大型自動車の運転者が、土砂等の運搬のための当該土砂等運搬大型自動車の運転に関し、次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、当該土砂等運搬大型自動車を使用する者に対し、六箇月以内の期間を定めて、土砂等運搬大型自動車の使用を制限し、又は禁止することができる。ただし、当該運転者に対し当該違反行為を防止するために相当の注意及び監督が尽くされたことの証明があつたときは、当該土砂等運搬大型自動車を使用する者については、この限りでない。
一 交通事故を起こして人を死亡させ、又は傷つけた場合において、道路交通法第百十七条の違反行為をしたとき。
二 道路交通法第百十七条の二第一号の違反行為をし、よつて交通事故を起こして人を死亡させ、又は傷つけたとき。
三 道路交通法第百十八条第一項第一号から第三号まで若しくは第五号又は第百十九条第一項第一号から第二号の二まで、第三号の二、第五号、第九号の二若しくは第十五号の違反行為をし、よつて交通事故を起こして人を死亡させたとき。
2 警視総監又は道府県警察本部長は、土砂等運搬大型自動事の運転者が、当該土砂等運搬大型自動車の運転に関し、前項各号のいずれかに該当することとなつたと認めたときは、すみやかに、意見を附して、その旨を当該土砂等運搬大型自動車を使用する者の住所地を管轄する陸運局長に通報しなければならない。
3 運輸大臣は、第一項の処分をしようとするときは、当該土砂等運搬大型自動車を使用する者に対し、あらかじめ、期日及び場所を指定して、聴聞をしなければならない。聴聞に際しては、当該土砂等運搬大型自動車を使用する者に対し、意見を述べ、及び証拠を提出する機会が与えられなければならない。
第八条 運輸大臣は、土砂等の運搬のための土砂等運搬大型自動車の運転に係る労働につき、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第五条、第三十二条、第三十五条若しくは第三十七条の規定、同法第四十条の規定に基づいて発する命令の規定又は同法第五十一条の規定に違反する行為があつたときは、当該土砂等運搬大型自動車を使用する者に対し、六箇月以内の期間を定めて、土砂等運搬大型自動車の使用を制限し、又は禁止することができる。ただし、当該違反行為を防止するために相当の注意及び監督が尽くされたことの証明があつたときは、当該土砂等運搬大型自動車を使用する者については、この限りでない。
2 都道府県労働基準局長は、土砂等の運搬のための土砂等運搬大型自動車の運転に係る労働につき、前項の違反行為があつたと認めたときは、すみやかに、意見を附して、その旨を当該土砂等運搬大型自動車を使用する者の住所地を管轄する陸運局長に通報しなければならない。
3 前条第三項の規定は、第一項の処分をしようとする場合に準用する。
(自動車検査証の返納等)
第九条 運輸大臣は、第七条第一項又は前条第一項の規定により土砂等運搬大型自動車の使用を禁止したときは、当該土砂等運搬大型自動車の道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)による自動車検査証を陸運局長に返納し、又は当該土砂等運搬大型自動車の同法による自動車登録番号標及びその封印を取りはずしたうえ、その自動車登録番号標について陸運局長の領置を受けるべきことを命ずることができる。
2 陸運局長は、前二条に規定する土砂等運搬大型自動車の使用の禁止の期間が満了したときは、前項の規定により返納を受けた自動車検査証又は同項の規定により領置した自動車登録番号標を返付しなければならない。
3 前項の自動車登録番号標の返付を受けた者は、当該自動車登録番号標を当該土砂等運搬大型自動車に取り付け、陸運局長の封印の取付けを受けなければならない。
4 陸運局長は、第一項の規定による命令に係る土砂等運搬大型自動車であつて、道路運送車両法の規定による抹消登録をしたものについては、前二条に規定する土砂等運搬大型自動車の使用の禁止の期間が満了するまでは、同法第二十二条第一項の新規登録用謄本を交付しないものとする。
(不服申立てと訴訟との関係)
第十条 第七条第一項、第八条第一項又は前条第一項の規定による処分の取消しの訴えは、当該処分についての異議申立て又は審査請求に対する決定又は裁決を経た後でなければ、提起することができない。
(協業化等の促進)
第十一条 国は、大型自動車を使用して行なう土砂等の運搬に関する事業(以下単に「土砂等の運搬に関する事業」という。)の協業化及びその経営の近代化を促進するため、税制上及び金融上の措置その他必要な措置を講ずるものとする。
2 地方公共団体は、土砂等の運搬に関する事業の協業化及びその経営の近代化を促進するため、金融上の措置その他必要な措置を講ずるものとする。
(土砂等の運搬に関する事業を行なう者の団体)
第十二条 土砂等の運搬に関する事業を行なう者が次に掲げる事項の全部又は一部を行なうことを主たる目的として組織する団体(法人であるものに限る。)は、その成立の日から三十日以内に、政令で定めるところにより、内閣総理大臣又は都道府県知事に、政令で定める事項を届け出なければならない。
一 構成員が行なう交通事故の防止を図るための措置に関する指導、調査及び研究
二 構成員が雇用する運転者の技能及び教養の向上を図るための指導、調査及び研究
三 団体としての交通安全に関する意見の公表又は行政庁に対する申出
四 行政庁が構成員に対して発する通知の構成員への伝達その他行政庁が交通安全に関し行なう措置に対する協力
五 この法律その他交通関係法令及び労働基準関係法令の違反行為の予防
2 内閣総理大臣は、前項の規定による届出を受けたときは、当該届出の内容を関係各大臣に通知するものとする。
3 都道府県知事は、第一項の規定による届出を受けたときは、当該届出の内容を内閣総理大臣及び関係各大臣に通知するものとする。
(報告等)
第十三条 内閣総理大臣及び関係各大臣並びに都道府県知事は、第一条の目的を達成するため必要があると認めるときは、前条第一項の規定による届出をした団体に対し、その行なう事業に関して必要な報告又は資料の提出を求めることができる。
(指導及び育成)
第十四条 国及び地方公共団体は、第十二条第一項の規定による届出をした団体の指導及び育成に努めるものとする。
(土砂等の輸送体系の整備等)
第十五条 国及び地方公共団体は、安全かつ合理的な土砂等の輸送体系を確立するため、鉄道又は船舶による大量輸送を促進するとともに、輸送施設の整備その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
(報告及び検査)
第十六条 運輸大臣は、第一条の目的を達成するため必要があると認めるときは、土砂等運搬大型自動車を使用する者に対し、土砂等運搬大型自動車の使用に関して必要な報告を求めることができる。
2 運輸大臣は、第一条の目的を達成するため特に必要があると認めるときは、その職員に、前項に規定する者の事務所その他の事業場又は土砂等運搬大型自動車の所在する場所に立ち入り、土砂等運搬大型自動車、帳簿書類その他の物件を検査し、又は関係者に質問させることができる。
3 前項の規定により職員が立入検査をする場合においては、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
4 第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(権限の委任)
第十七条 この法律に規定する運輸大臣の権限は、政令で定めるところにより、陸運局長又は都道府県知事に委任することができる。
2 第七条第二項、第八条第二項又は第九条に規定する陸運局長の権限は、政令で定めるところにより、都道府県知事に委任することができる。
(政令への委任)
第十八条 この法律に規定するもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。
(罰則)
第十九条 第七条第一項又は第八条第一項の規定による処分に違反した者は、三月以下の懲役若しくは五万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第二十条 次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第四条の規定に違反して、表示をせず、又は虚偽の表示をした者
第二十一条 次の各号の一に該当する者は、一万円以下の罰金に処する。
二 第十六条第一項の規定による報告を求められて、報告をせず、又は虚偽の報告をした者
三 第十六条第二項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
第二十二条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人若しくは人の業務又はその法人若しくは人が使用する大型自動車に関し、第十九条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
第二十三条 第三条第一項若しくは第三項又は第五条の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、三万円以下の過料に処する。