老人福祉法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第九十六号
公布年月日: 昭和47年6月23日
法令の形式: 法律
老人福祉法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和四十七年六月二十三日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第九十六号
老人福祉法の一部を改正する法律
老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)の一部を次のように改正する。
目次中「第三十六条」を「第四十一条」に改める。
第十条の次に次の一条を加える。
(老人医療費の支給)
第十条の二 市町村長は、当該市町村の区域内に居住地を有する七十歳以上の者の疾病又は負傷について健康保険法(大正十一年法律第七十号)、国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)その他政令で定める法令の規定による医療に関する給付が行なわれた場合において、当該医療に関する給付の額(その者が国民健康保険法による療養の給付を受けたときは、当該療養の給付の額から当該療養の給付に関する同法の規定による一部負担金に相当する額を控除した額とする。)が当該医療に要する費用の額に満たないときは、厚生省令で定める手続に従い、その者に対し、その満たない額に相当する額を老人医療費として支給する。ただし、当該疾病又は負傷について法令の規定により国又は地方公共団体の負担による医療に関する給付が行なわれたときは、この限りでない。
2 前項の医療に要する費用の額は、健康保険の療養に要する費用の額の算定方法の例により算定した額とする。ただし、現に要した費用の額をこえることができない。
3 老人医療費は、第一項に規定する者の前年の所得(一月から六月までの間に受けた医療に係る老人医療費については、前前年の所得とする。以下同じ。)が、その者の所得税法(昭和四十年法律第三十三号)に規定する控除対象配偶者及び扶養親族(以下「扶養親族等」という。)の有無及び数に応じて、政令で定める額をこえるときは、支給しない。第一項に規定する者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻と同様の事情にある者を含む。)の前年の所得又は同項に規定する者の民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百七十七条第一項に定める扶養義務者で主として第一項に規定する者の生計を維持するものの前年の所得が、その者の扶養親族等の有無及び数に応じて、政令で定める額以上であるときも、同様とする。
4 第一項に規定する者が、厚生省令で定める手続に従い、健康保険法第四十三条第三項第一号の保険医療機関又は保険薬局、国民健康保険法第三十六条第四項の療養取扱機関その他の厚生省令で定める病院、診療所又は薬局(以下「保険医療機関等」という。)で医療を受けた場合には、市町村は、老人医療費として当該医療を受けた者に支給すべき額の限度において、その者が当該医療に関し当該保険医療機関等に支払うべき費用を、その者に代わり、当該保険医療機関等に支払うことができる。
5 前項の規定による支払があつたときは、当該医療を受けた者に対し、老人医療費の支給があつたものとみなす。
6 市町村は、第四項の規定により保険医療機関等に支払うべき額の審査及び支払に関する事務を社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険団体連合会その他厚生省令で定める者に委託することができる。
7 国民健康保険の被保険者である第一項に規定する者が、第四項の規定により国民健康保険法第三十六条第四項の療養取扱機関から医療を受ける場合には、同法の規定により当該療養取扱機関に支払うベき一部負担金は、同法第四十二条第一項の規定にかかわらず、当該医療に関し市町村長が第四項の規定による支払をしない旨の決定をするまでは、支払うことを要しない。
8 第三項に規定する所得の範囲及びその額の計算方法は、政令で定める。
第二十一条第一号中「第十条」の下に「、第十条の二」を加える。
第二十四条第一項中「その三分の一を」の下に「、第十条の二に規定する措置に要する費用についてはその六分の一を」を加える。
第二十六条第一項中「その三分の一を」の下に「、第十条の二に規定する措置に要する費用についてはその三分の二を」を加える。
第二十八条第一項中「(明治二十九年法律第八十九号)」を削る。
第三十六条中「措置の実施機関」を「都道府県知事又は市町村長」に、「又は収入の状況」を「若しくは収入の状況又は医療に関する給付の受給状況」に改め、同条を第四十条とし、第三十五条の次に次の四条を加える。
(損害賠償との調整)
第三十六条 市町村長は、第十条の二第一項に規定する者が疾病又は負傷に関し損害賠償を受けたときは、その価額の限度において、老人医療費の全部若しくは一部を支給せず、又はすでに支給した老人医療費の額に相当する金額を返還させることができる。
(不正利得の徴収)
第三十七条 市町村長は、偽りその他不正の手段により老人医療費の支給を受けた者があるときは、国税徴収の例により、その者から、その支給を受けた額に相当する金額の全部又は一部を徴収することができる。
2 前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
(受給権の保護)
第三十八条 老人医療費の支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。
(公課の禁止)
第三十九条 租税その他の公課は、老人医療費として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。
本則に次の一条を加える。
(実施命令)
第四十一条 この法律に特別の規定があるものを除くほか、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な細則は、厚生省令で定める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、昭和四十八年一月一日から施行する。
(地方財政法の一部改正)
2 地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)の一部を次のように改正する。
第十条第七号の四中「葬祭」の下に「、老人医療費の支給」を加える。
(社会保険診療服酬支払基金法の一部改正)
3 社会保険診療報酬支払基金法(昭和二十三年法律第百二十九号)の一部を次のように改正する。
第十三条第二項後段中「又は麻薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)第五十八条の十五」を「、麻薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)第五十八条の十五又は老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第十条の二第六項」に改め、同条第三項中「、市若しくは社会福祉事業法(昭和二十六年法律第四十五号)に規定する福祉に関する事務所を設置する町村」を「若しくは市町村」に改める。
第十九条中「、市又は社会福祉事業法に規定する福祉に関する事務所を設置する町村」を「又は市町村」に改める。
厚生大臣 齋藤昇
自治大臣 渡海元三郎
内閣総理大臣 佐藤栄作
老人福祉法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和四十七年六月二十三日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第九十六号
老人福祉法の一部を改正する法律
老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)の一部を次のように改正する。
目次中「第三十六条」を「第四十一条」に改める。
第十条の次に次の一条を加える。
(老人医療費の支給)
第十条の二 市町村長は、当該市町村の区域内に居住地を有する七十歳以上の者の疾病又は負傷について健康保険法(大正十一年法律第七十号)、国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)その他政令で定める法令の規定による医療に関する給付が行なわれた場合において、当該医療に関する給付の額(その者が国民健康保険法による療養の給付を受けたときは、当該療養の給付の額から当該療養の給付に関する同法の規定による一部負担金に相当する額を控除した額とする。)が当該医療に要する費用の額に満たないときは、厚生省令で定める手続に従い、その者に対し、その満たない額に相当する額を老人医療費として支給する。ただし、当該疾病又は負傷について法令の規定により国又は地方公共団体の負担による医療に関する給付が行なわれたときは、この限りでない。
2 前項の医療に要する費用の額は、健康保険の療養に要する費用の額の算定方法の例により算定した額とする。ただし、現に要した費用の額をこえることができない。
3 老人医療費は、第一項に規定する者の前年の所得(一月から六月までの間に受けた医療に係る老人医療費については、前前年の所得とする。以下同じ。)が、その者の所得税法(昭和四十年法律第三十三号)に規定する控除対象配偶者及び扶養親族(以下「扶養親族等」という。)の有無及び数に応じて、政令で定める額をこえるときは、支給しない。第一項に規定する者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻と同様の事情にある者を含む。)の前年の所得又は同項に規定する者の民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百七十七条第一項に定める扶養義務者で主として第一項に規定する者の生計を維持するものの前年の所得が、その者の扶養親族等の有無及び数に応じて、政令で定める額以上であるときも、同様とする。
4 第一項に規定する者が、厚生省令で定める手続に従い、健康保険法第四十三条第三項第一号の保険医療機関又は保険薬局、国民健康保険法第三十六条第四項の療養取扱機関その他の厚生省令で定める病院、診療所又は薬局(以下「保険医療機関等」という。)で医療を受けた場合には、市町村は、老人医療費として当該医療を受けた者に支給すべき額の限度において、その者が当該医療に関し当該保険医療機関等に支払うべき費用を、その者に代わり、当該保険医療機関等に支払うことができる。
5 前項の規定による支払があつたときは、当該医療を受けた者に対し、老人医療費の支給があつたものとみなす。
6 市町村は、第四項の規定により保険医療機関等に支払うべき額の審査及び支払に関する事務を社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険団体連合会その他厚生省令で定める者に委託することができる。
7 国民健康保険の被保険者である第一項に規定する者が、第四項の規定により国民健康保険法第三十六条第四項の療養取扱機関から医療を受ける場合には、同法の規定により当該療養取扱機関に支払うベき一部負担金は、同法第四十二条第一項の規定にかかわらず、当該医療に関し市町村長が第四項の規定による支払をしない旨の決定をするまでは、支払うことを要しない。
8 第三項に規定する所得の範囲及びその額の計算方法は、政令で定める。
第二十一条第一号中「第十条」の下に「、第十条の二」を加える。
第二十四条第一項中「その三分の一を」の下に「、第十条の二に規定する措置に要する費用についてはその六分の一を」を加える。
第二十六条第一項中「その三分の一を」の下に「、第十条の二に規定する措置に要する費用についてはその三分の二を」を加える。
第二十八条第一項中「(明治二十九年法律第八十九号)」を削る。
第三十六条中「措置の実施機関」を「都道府県知事又は市町村長」に、「又は収入の状況」を「若しくは収入の状況又は医療に関する給付の受給状況」に改め、同条を第四十条とし、第三十五条の次に次の四条を加える。
(損害賠償との調整)
第三十六条 市町村長は、第十条の二第一項に規定する者が疾病又は負傷に関し損害賠償を受けたときは、その価額の限度において、老人医療費の全部若しくは一部を支給せず、又はすでに支給した老人医療費の額に相当する金額を返還させることができる。
(不正利得の徴収)
第三十七条 市町村長は、偽りその他不正の手段により老人医療費の支給を受けた者があるときは、国税徴収の例により、その者から、その支給を受けた額に相当する金額の全部又は一部を徴収することができる。
2 前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
(受給権の保護)
第三十八条 老人医療費の支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。
(公課の禁止)
第三十九条 租税その他の公課は、老人医療費として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。
本則に次の一条を加える。
(実施命令)
第四十一条 この法律に特別の規定があるものを除くほか、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な細則は、厚生省令で定める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、昭和四十八年一月一日から施行する。
(地方財政法の一部改正)
2 地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)の一部を次のように改正する。
第十条第七号の四中「葬祭」の下に「、老人医療費の支給」を加える。
(社会保険診療服酬支払基金法の一部改正)
3 社会保険診療報酬支払基金法(昭和二十三年法律第百二十九号)の一部を次のように改正する。
第十三条第二項後段中「又は麻薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)第五十八条の十五」を「、麻薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)第五十八条の十五又は老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第十条の二第六項」に改め、同条第三項中「、市若しくは社会福祉事業法(昭和二十六年法律第四十五号)に規定する福祉に関する事務所を設置する町村」を「若しくは市町村」に改める。
第十九条中「、市又は社会福祉事業法に規定する福祉に関する事務所を設置する町村」を「又は市町村」に改める。
厚生大臣 斎藤昇
自治大臣 渡海元三郎
内閣総理大臣 佐藤栄作