(老人医療費の支給)
第十条の二 市町村長は、当該市町村の区域内に居住地を有する七十歳以上の者の疾病又は負傷について健康保険法(大正十一年法律第七十号)、国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)その他政令で定める法令の規定による医療に関する給付が行なわれた場合において、当該医療に関する給付の額(その者が国民健康保険法による療養の給付を受けたときは、当該療養の給付の額から当該療養の給付に関する同法の規定による一部負担金に相当する額を控除した額とする。)が当該医療に要する費用の額に満たないときは、厚生省令で定める手続に従い、その者に対し、その満たない額に相当する額を老人医療費として支給する。ただし、当該疾病又は負傷について法令の規定により国又は地方公共団体の負担による医療に関する給付が行なわれたときは、この限りでない。
2 前項の医療に要する費用の額は、健康保険の療養に要する費用の額の算定方法の例により算定した額とする。ただし、現に要した費用の額をこえることができない。
3 老人医療費は、第一項に規定する者の前年の所得(一月から六月までの間に受けた医療に係る老人医療費については、前前年の所得とする。以下同じ。)が、その者の所得税法(昭和四十年法律第三十三号)に規定する控除対象配偶者及び扶養親族(以下「扶養親族等」という。)の有無及び数に応じて、政令で定める額をこえるときは、支給しない。第一項に規定する者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻と同様の事情にある者を含む。)の前年の所得又は同項に規定する者の民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百七十七条第一項に定める扶養義務者で主として第一項に規定する者の生計を維持するものの前年の所得が、その者の扶養親族等の有無及び数に応じて、政令で定める額以上であるときも、同様とする。
4 第一項に規定する者が、厚生省令で定める手続に従い、健康保険法第四十三条第三項第一号の保険医療機関又は保険薬局、国民健康保険法第三十六条第四項の療養取扱機関その他の厚生省令で定める病院、診療所又は薬局(以下「保険医療機関等」という。)で医療を受けた場合には、市町村は、老人医療費として当該医療を受けた者に支給すべき額の限度において、その者が当該医療に関し当該保険医療機関等に支払うべき費用を、その者に代わり、当該保険医療機関等に支払うことができる。
5 前項の規定による支払があつたときは、当該医療を受けた者に対し、老人医療費の支給があつたものとみなす。
6 市町村は、第四項の規定により保険医療機関等に支払うべき額の審査及び支払に関する事務を社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険団体連合会その他厚生省令で定める者に委託することができる。
7 国民健康保険の被保険者である第一項に規定する者が、第四項の規定により国民健康保険法第三十六条第四項の療養取扱機関から医療を受ける場合には、同法の規定により当該療養取扱機関に支払うベき一部負担金は、同法第四十二条第一項の規定にかかわらず、当該医療に関し市町村長が第四項の規定による支払をしない旨の決定をするまでは、支払うことを要しない。
8 第三項に規定する所得の範囲及びその額の計算方法は、政令で定める。