海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律
法令番号: 法律第79号
公布年月日: 平成8年6月14日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

海洋法に関する国際連合条約の実施に伴い、海洋環境の保護及び保全に関する規定の整備を行う必要があることから、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部改正を行うものである。具体的には、同法の規定に違反した外国船舶について担保金等の提供を条件に速やかに釈放する制度を創設するとともに、所要の罰則規定の整備及び罰金額の引き上げ等を行うこととしている。

参照した発言:
第136回国会 衆議院 本会議 第23号

審議経過

第136回国会

衆議院
(平成8年5月10日)
(平成8年5月14日)
(平成8年5月15日)
(平成8年5月24日)
(平成8年5月28日)
参議院
(平成8年5月31日)
(平成8年6月7日)
海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成八年六月十四日
内閣総理大臣 橋本龍太郎
法律第七十九号
海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律
海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律(昭和四十五年法律第百三十六号)の一部を次のように改正する。
目次中「第八章 罰則(第五十四条の二―第六十三条)」を
第八章
罰則(第五十四条の二―第六十四条)
第九章
外国船舶に係る担保金等の提供による釈放等(第六十五条―第六十九条)
に改める。
第四十二条の四十三第二項中「これに」の下に「当該事業年度の事業報告書及び」を加え、「当該事業年度の」を削り、同条第三項中「財務諸表」の下に「及び附属明細書並びに前項の事業報告書及び決算報告書」を加える。
第五十四条の二中「五十万円」を「百万円」に改める。
第五十五条第一項中「六月以下の懲役又は五十万円」を「千万円」に改め、同項中第四号から第六号までを削り、第七号を第四号とし、第八号を第五号とし、第九号及び第十号を削り、第十一号を第六号とし、第十二号を第七号とし、第十三号を削り、第十四号を第八号とし、同条第二項中「第七号」を「第四号」に、「三月以下の禁又は三十万円」を「五百万円」に改め、同条の次に次の一条を加える。
第五十五条の二 次の各号の一に該当する者は、二百万円以下の罰金に処する。
一 偽りその他不正の行為により海洋汚染防止証書、臨時海洋汚染防止証書又は国際海洋汚染防止証書の交付を受けた者
二 第十七条の四又は第十七条の五の規定による検査を受けないで船舶を航行の用に供した者
三 第十七条の十第一項から第三項までの規定に違反して船舶を航行の用に供し、又は国際航海に従事させた者
四 第二十条第一項の規定に違反して廃油処理事業を行つた者
五 第二十四条(第二十八条第四項(第三十五条において準用する場合を含む。)又は第三十四条第三項において準用する場合を含む。)又は第三十条第三項(第三十五条において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反した者
六 第四十二条の七の規定による命令に違反した者
第五十六条中「三月以下の懲役又は三十万円」を「百万円」に改める。
第五十七条中「三十万円」を「五十万円」に改める。
第五十八条から第五十八条の三までの規定中「二十万円」を「三十万円」に改める。
第五十九条中「罰金刑」を「刑」に改める。
本則に次の一条及び一章を加える。
(第一審の裁判権の特例)
第六十四条 第五十五条から第五十六条までの罪に係る訴訟の第一審の裁判権は、地方裁判所にも属する。
第九章 外国船舶に係る担保金等の提供による釈放等
(外国船舶に係る担保金等の提供による釈放等)
第六十五条 司法警察員である者であつて政令で定めるもの(以下「取締官」という。)は、次に掲げる場合には、当該船舶の船長及び違反者(当該船舶の乗組員に限る。以下同じ。)に対し、遅滞なく、次項各号に掲げる事項を告知しなければならない。
一 この法律の規定に違反した罪に当たる事件であつて外国船舶(政令で定めるものを除く。)に係るもの(以下「事件」という。)に関して船長その他の乗組員の逮捕が行われた場合
二 前号に掲げる場合のほか、事件に関して船舶又は船舶の国籍を証する文書その他の船舶の航行のために必要な文書(以下「船舶国籍証書等」という。)の押収が行われた場合であつて船長その他の乗組員又は船舶所有者が当該罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認められるとき。
2 前項の規定により告知しなければならない事項は、次に掲げるものとする。
一 担保金又はその提供を保証する書面が次条第一項の政令で定めるところにより主務大臣に対して提供されたときは、遅滞なく、違反者は釈放され、及び船舶、船舶国籍証書等その他の押収物(以下「押収物」という。)は返還されること。
二 提供すべき担保金の額
三 次項の規定により条件を付する場合は、その条件
3 取締官は、第一項各号に掲げる場合において、当該船舶の航行を継続することが海洋環境の保全に障害を及ぼすおそれがあると認めるときは、当該船舶の修理その他の必要な措置がとられることを違反者の釈放又は押収物の返還の条件とすることができる。
4 第二項第二号の担保金の額は、事件の種別及び態様その他の情状に応じ、政令で定めるところにより、主務大臣の定める基準に従つて、取締官が決定するものとする。
第六十六条 前条第一項の規定により告知した額の担保金又はその提供を保証する書面が政令で定めるところにより主務大臣に対して提供されたときは、主務大臣は、遅滞なく、その旨を取締官又は検察官に通知するものとする。
2 主務大臣は、前条第三項の規定により条件が付された場合において、同項に規定する必要な措置がとられたと認めるときは、遅滞なく、その旨を取締官又は検察官に通知するものとする。
3 取締官は、第一項の規定による通知を受けたとき(前条第三項の規定により条件が付された場合にあつては、前二項の規定による通知を受けたとき)は、遅滞なく、違反者を釈放し、及び押収物を返還しなければならない。
4 検察官は、第一項の規定による通知を受けたとき(前条第三項の規定により条件が付された場合にあつては、第一項及び第二項の規定による通知を受けたとき)は、遅滞なく、違反者の釈放及び押収物の返還に関し、必要な措置を講じなければならない。
第六十七条 担保金は、主務大臣が保管する。
2 担保金は、事件に関する手続において、違反者がその求められた期日及び場所に出頭せず、又は返還された押収物で提出を求められたものがその求められた期日及び場所に提出されなかつたときは、当該期日の翌日から起算して一月を経過した日に、国庫に帰属する。ただし、当該期日の翌日から起算して一月を経過する日までに、当該期日の翌日から起算して三月を経過する日以前の特定の日に出頭し又は当該押収物を提出する旨の申出があつたときは、この限りでない。
3 前項ただし書の場合において、当該申出に係る特定の日に違反者が出頭せず、又は当該押収物が提出されなかつたときは、担保金は、その日の翌日に、国庫に帰属する。
4 担保金は、事件に関する手続が終結した場合等その保管を必要としない事由が生じた場合には、返還する。
(主務省令への委任)
第六十八条 前三条の規定の実施のため必要な手続その他の事項は、主務省令で定める。
(主務大臣等)
第六十九条 第六十五条から第六十七条までにおける主務大臣及び前条における主務省令は、政令で定める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、海洋法に関する国際連合条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。ただし、第四十二条の四十三の改正規定及び次条の規定は、公布の日から施行する。
(経過措置)
第二条 改正後の第四十二条の四十三第二項及び第三項の規定は、平成七年四月一日に始まる事業年度に係る同条第二項及び第三項に規定する書類から適用する。
第三条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
内閣総理大臣 橋本龍太郎
法務大臣 長尾立子
大蔵大臣 久保亘
運輸大臣 亀井善之