(油、有害液体物質等及び廃棄物の海底下廃棄の禁止)
第十八条の七 何人も、油、有害液体物質等又は廃棄物(以下この条、第十九条の二十六及び第五十五条第一項第六号において「油等」という。)の海底下廃棄をしてはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する海底下廃棄については、この限りでない。
一 海底及びその下における鉱物資源の掘採に伴い発生する油等の海底下廃棄であつて、海底下廃棄をする海域及び海底下廃棄の方法に関し政令で定める基準に従つてするもの
二 二酸化炭素が大部分を占めるガスで政令で定める基準に適合するもの(以下「特定二酸化炭素ガス」という。)の海底下廃棄であつて、次条第一項の許可を受けてするもの
(特定二酸化炭素ガスの海底下廃棄の許可)
第十八条の八 特定二酸化炭素ガスの海底下廃棄をしようとする者は、環境大臣の許可を受けなければならない。
2 前項の許可を受けようとする者は、環境省令で定めるところにより、次の事項を記載した申請書を環境大臣に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつてはその代表者の氏名及び住所
二 特定二酸化炭素ガスの海底下廃棄に関する実施計画
三 特定二酸化炭素ガスの海底下廃棄をする海域の特定二酸化炭素ガスに起因する汚染状況の監視(次条第三号及び第十八条の十において単に「汚染状況の監視」という。)に関する計画
(許可の基準)
第十八条の九 環境大臣は、前条第一項の許可の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。
一 海底下廃棄をする海域及び海底下廃棄の方法が、環境省令で定める基準に適合するものであり、かつ、当該海底下廃棄をする海域の海洋環境の保全に障害を及ぼすおそれがないものであること。
二 海底下廃棄以外に適切な処分の方法がないものであること。
三 申請者の能力が特定二酸化炭素ガスの海底下廃棄に関する実施計画及び汚染状況の監視に関する計画に従つて特定二酸化炭素ガスの海底下廃棄及び汚染状況の監視を的確に、かつ、継続して行うに足りるものとして環境省令で定める基準に適合するものであること。
(改善命令等)
第十八条の十 環境大臣は、次の各号のいずれかに該当するときは、第十八条の八第一項の許可を受けた者(以下「許可廃棄者」という。)に対し、期限を定めて当該海底下廃棄若しくは当該汚染状況の監視につき必要な改善を命じ、又は期間を定めて当該海底下廃棄の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一 第十八条の八第一項の許可に係る海底下廃棄が、当該許可に係る同条第二項第二号の実施計画(この計画について第十八条の十二において準用する第十条の十第一項の許可を受けたときは、変更後のもの)に適合していないと認めるとき。
二 第十八条の八第一項の許可に係る汚染状況の監視が、当該許可に係る同条第二項第三号の監視に関する計画(この計画について第十八条の十二において準用する第十条の十第一項の許可を受けたときは、変更後のもの)に適合していないと認めるとき。
三 許可廃棄者の能力が前条第三号に規定する環境省令で定める基準に適合していないと認めるとき。
(許可の取消し)
第十八条の十一 環境大臣は、許可廃棄者が次の各号のいずれかに該当するときは、第十八条の八第一項の許可を取り消すことができる。
三 前号に掲げるもののほか、この法律に基づく処分に違反したとき。
四 次条において準用する第十条の七第一号又は第三号に該当するに至つたとき。
五 偽りその他不正の行為により第十八条の八第一項の許可又は次条において準用する第十条の十第一項の許可を受けたとき。
(準用)
第十八条の十二 第十条の六第三項から第七項まで、第十条の七、第十条の八第二項、第十条の九及び第十条の十の規定は、第十八条の八第一項の許可について準用する。この場合において、第十条の六第三項中「前項」とあるのは「第十八条の八第二項」と、「当該廃棄物の海洋投入処分」とあるのは「特定二酸化炭素ガスの海底下廃棄」と、同条第四項中「第二項」とあるのは「第十八条の八第二項」と、同条第五項中「廃棄物の排出」とあるのは「特定二酸化炭素ガスの海底下廃棄」と、第十条の七第二号中「第十条の十一」とあるのは「第十八条の十一」と、第十条の九第一項中「同条第二項第四号」とあるのは「第十八条の八第二項第三号」と、「廃棄物の排出海域の」とあるのは「特定二酸化炭素ガスの海底下廃棄をする海域の特定二酸化炭素ガスに起因する」と、第十条の十第一項中「同条第二項第二号」とあるのは「第十八条の八第二項第二号」と、同条第三項中「及び第十条の八」とあるのは「、第十条の八第二項及び第十八条の九」と、同条第四項中「同条第二項第一号」とあるのは「第十八条の八第二項第一号」と読み替えるものとする。
(合併及び分割)
第十八条の十三 許可廃棄者である法人の合併の場合(許可廃棄者である法人と許可廃棄者でない法人が合併する場合において、許可廃棄者である法人が存続するときを除く。)又は分割の場合(当該許可に係る海底下廃棄の事業の全部を承継させる場合に限る。)において当該合併又は分割について環境大臣の承認を受けたときは、合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人又は分割により当該事業の全部を承継した法人は、許可廃棄者の地位を承継する。
2 第十条の七及び第十八条の九(第三号に係る部分に限る。)の規定は、前項の承認について準用する。この場合において、第十条の七第二号中「第十条の十一」とあるのは「第十八条の十一」と、「前条第一項」とあるのは「第十八条の八第一項」と、第十八条の九第三号中「申請者」とあるのは「合併後存続する法人若しくは合併により設立される法人又は分割により当該許可に係る海底下廃棄の事業の全部を承継する法人」と読み替えるものとする。
(相続)
第十八条の十四 許可廃棄者が死亡した場合において、相続人(相続人が二人以上ある場合において、その全員の同意により当該許可に係る海底下廃棄の事業を承継すべき相続人を選定したときは、その者。以下同じ。)が当該許可に係る海底下廃棄の事業を引き続き行おうとするときは、その相続人は、被相続人の死亡後六十日以内に環境大臣に申請して、その承認を受けなければならない。
2 相続人が前項の承認の申請をした場合においては、被相続人の死亡の日からその承認を受ける日又は承認をしない旨の通知を受ける日までは、被相続人に対してした第十八条の八第一項の許可は、その相続人に対してしたものとみなす。
3 第十条の七(第三号に係る部分を除く。)及び第十八条の九(第三号に係る部分に限る。)の規定は、第一項の承認について準用する。この場合において、第十条の七第二号中「第十条の十一」とあるのは「第十八条の十一」と、「前条第一項」とあるのは「第十八条の八第一項」と読み替えるものとする。
4 第一項の承認を受けた相続人は、被相続人に係る許可廃棄者の地位を承継する。
(指定海域の指定等)
第十八条の十五 環境大臣は、特定二酸化炭素ガスの海底下廃棄がされた海域であつて、海底及びその下の掘削その他の海底及びその下の形質の変更が行われることにより当該特定二酸化炭素ガスに起因する海洋環境の保全上の障害が生ずるおそれがあるものとして政令で定めるものを指定海域として指定するものとする。
2 環境大臣は、前項の指定をするときは、環境省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。
3 第一項の指定は、前項の公示によつてその効力を生ずる。
4 環境大臣は、海底の下にある特定二酸化炭素ガスの除去等により、指定海域の全部又は一部について第一項の指定の事由がなくなつたと認めるときは、当該指定海域の全部又は一部について同項の指定を解除するものとする。
5 第二項及び第三項の規定は、前項の解除について準用する。
(指定海域台帳)
第十九条 環境大臣は、指定海域の台帳(以下この条において「指定海域台帳」という。)を調製し、これを保管しなければならない。
2 指定海域台帳の記載事項その他その調製及び保管に関し必要な事項は、環境省令で定める。
3 環境大臣は、指定海域台帳の閲覧を求められたときは、正当な理由がなければ、これを拒むことができない。
(海底及びその下の形質の変更の届出及び計画変更命令)
第十九条の二 指定海域内において海底及びその下の形質の変更をしようとする者は、当該海底及びその下の形質の変更に着手する日の三十日前までに、環境省令で定めるところにより、当該海底及びその下の形質の変更の種類、場所、施行方法及び着手予定日その他環境省令で定める事項を環境大臣に届け出なければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する行為については、この限りでない。
一 第十八条の八第一項の許可に係る海底下廃棄に必要な行為
二 第十八条の十の規定による命令に基づく改善措置として行う行為
三 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為であつて、環境省令で定めるもの
2 指定海域が指定された際当該指定海域内において既に海底及びその下の形質の変更に着手している者は、その指定の日から起算して十四日以内に、環境省令で定めるところにより、環境大臣にその旨を届け出なければならない。
3 指定海域内において非常災害のために必要な応急措置として海底及びその下の形質の変更をした者は、当該海底及びその下の形質の変更をした日から起算して十四日以内に、環境省令で定めるところにより、環境大臣にその旨を届け出なければならない。
4 環境大臣は、第一項の届出があつた場合において、その届出に係る海底及びその下の形質の変更の施行方法が環境省令で定める基準に適合しないと認めるときは、その届出を受理した日から三十日以内に限り、その届出をした者に対し、その届出に係る海底及びその下の形質の変更の施行方法に関する計画の変更を命ずることができる。