(確認に係る南極地域活動以外の南極地域活動の制限)
第五条 何人も、南極地域においては、第七条第一項各号に掲げる要件に該当する旨の環境庁長官の確認(次項を除き、以下単に「確認」という。)を受けた南極地域活動計画に含まれる南極地域活動以外の南極地域活動をしてはならない。ただし、特定活動については、この限りでない。
2 議定書の締約国たる外国(以下「締約国」という。)の法令であってこの法律に相当するもの(以下「締約国の相当法令」という。)の規定により当該締約国において前項に規定する確認に類する許可その他の行政処分を受けてする南極地域活動又は当該処分を受けることを要しないとされている南極地域活動については、同項の規定は、適用しない。
3 前項に規定する南極地域活動をしようとする者は、あらかじめ、総理府令で定めるところにより、環境庁長官にその旨を届け出なければならない。
(南極地域活動計画の確認の申請)
第六条 南極地域活動計画の確認についての申請(以下この条から第十条までにおいて単に「申請」という。)は、当該南極地域活動計画に含まれる南極地域活動を主宰しようとする者が次に掲げる事項を記載した申請書(以下単に「申請書」という。)を環境庁長官に提出して行わなければならない。
一 主宰者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者及び役員の氏名
三 当該南極地域活動計画に含まれる南極地域活動の行為者の人数
四 当該南極地域活動計画に含まれる南極地域活動の行為者の氏名が確定している場合にあっては、当該氏名
五 当該南極地域活動計画に含まれる南極地域活動の行為者が当該南極地域活動をその業務に関してする法人がある場合にあっては、その名称及び住所並びに代表者の氏名
六 当該南極地域活動計画に含まれる南極地域活動の目的、時期、場所及び実施方法
七 当該南極地域活動計画に含まれる南極地域活動を構成する行為(次条第一項第一号から第三号までに掲げる要件に関連するものに限る。)の詳細な内容及び当該行為の行為者の氏名が確定している場合にあっては、当該氏名
2 南極地域活動を主宰しようとする者が次の各号のいずれかに該当するときは、確認を受けることができない。
一 この法律の規定に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者
二 法人であって、その役員のうちに前号に該当する者があるもの
3 第一項の規定により申請書を環境庁長官に提出する者(以下「申請者」という。)は、当該申請書に係る南極地域活動計画に含まれる南極地域活動の南極環境影響について環境庁長官が定めるところにより調査、予測及び評価を行い、その結果を記載した図書を当該申請書とともに環境庁長官に提出することができる。
4 申請書の様式、記載要領その他の必要な事項は、総理府令で定める。
(南極地域活動計画の確認の基準)
第七条 環境庁長官は、申請に係る南極地域活動計画に含まれるすべての南極地域活動が次の要件に該当すると認めるときは、次条及び第九条に規定する手続に従い確認をするものとする。
一 当該南極地域活動を構成する行為中に第十三条、第十四条第一項、第十六条、第十八条及び第二十条の規定に違反するものがないこと。
二 当該南極地域活動を構成する行為の全部又は一部が第十四条第二項各号に該当する場合には、当該行為の目的が総理府令で定める当該行為の区分ごとに総理府令で定めるもの(科学的調査、教育資料の収集その他これに類する目的に限る。)であり、かつ、当該目的を達成するため必要な限度においてするものであることその他の総理府令で定める条件に適合すること。
三 当該南極地域活動を構成する行為の全部又は一部が南極特別保護地区への立入りに該当する場合には、当該行為が議定書附属書V第六条の指定に係る管理計画に従い南極特別保護地区ごとに総理府令で定める要件に適合すること(当該管理計画が指定されていない南極特別保護地区にあっては、科学的調査のため欠くことができないものであること。)。
五 前三号に掲げる南極地域活動のうちその南極環境影響の程度が軽微でないものにあっては、これらの号に規定するところに適合するほか、当該南極環境影響の程度がその時点において国際的に到達されている水準の南極環境影響に関する科学的知見に照らし著しいものとなるおそれがないこと。
2 南極地域活動は、次に掲げるものであってはならない。
一 南極地域の気候の自然な変動に影響を及ぼすおそれのある南極地域活動
二 南極地域の大気の著しい汚染、水質の著しい汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質の著しい悪化を含む。)又は土壌の著しい汚染の原因となるおそれのある南極地域活動
三 南極地域の大気の組成を変化させ、土地(海底を含む。)若しくは氷床の形質を著しく変更し、又は河川、湖沼等の水位若しくは水量に著しい増減を及ぼすおそれのある南極地域活動
四 南極地域に生息し、又は生育する動植物の種について、その種の個体の主要な生息地又は生育地を消滅させるおそれのある南極地域活動、種の存続に支障を来す程度にその種の個体の数を著しく減少させる南極地域活動その他のその種の個体の生息状態又は生育状態に著しく影響を及ぼすおそれのある南極地域活動
五 南極地域の固有の価値であって重要なものを有する地域において、当該価値を著しく減ずるおそれのある南極地域活動
(南極地域活動計画の確認)
第八条 環境庁長官は、申請書が提出された場合において、当該申請書に係る南極地域活動計画に含まれる南極地域活動が前条第一項各号に掲げる要件に該当するかどうかの審査を適正に行うため必要があると認めるときは、申請者に対し、相当な期限を付して、書面をもって、次に掲げる措置をとるべきことを命ずることができる。この場合において、当該書面には、当該措置をとるべき理由を付さなければならない。
三 第六条第三項に規定する図書の記載事項の修正又は補充を行うこと。
2 前項の規定による命令があった場合において、申請者が同項の期限までに当該命令に係る措置をとらないときは、環境庁長官は、当該申請を却下しなければならない。
3 環境庁長官は、申請書が提出された場合において、申請に係る南極地域活動計画が次の各号に掲げるものに該当すると認めるときは、それぞれ当該各号に定める措置をとらなければならない。
一 それに含まれるすべての南極地域活動が前条第一項各号に掲げる要件に該当する南極地域活動計画 当該南極地域活動計画の確認をし、その旨を書面をもって申請者に通知すること。
二 それに含まれるすべての南極地域活動が前条第一項第一号から第四号までに該当し、かつ、それに含まれる南極地域活動の全部又は一部が同項第五号に掲げる要件に該当しないおそれがあることから締約国の政府並びに日本国内及び日本国外の一般の意見を求める必要がある南極地域活動計画 次条の規定による措置をとる旨及びその理由を書面をもって申請者に通知すること。
三 前二号に掲げるもの以外のもの 当該南極地域活動計画の確認を拒否し、その旨及びその理由を書面をもって申請者に通知すること。
4 環境庁長官は、前項の規定による措置をとろうとする場合において必要があると認めるときは、総理府令で定めるところにより、当該南極地域活動計画に含まれる南極地域活動について、南極地域に関し専門の学識経験のある者の意見を聴くことができる。
5 環境庁長官は、南極地域の環境を保護するため必要があると認めるときは、その必要の限度において、第三項第一号の規定による確認に係る南極地域活動計画に含まれる南極地域活動(その南極環境影響が極めて軽微なものを除く。)について南極環境構成要素(あらかじめ環境庁長官が通知する南極環境影響に係るものに限る。)の観測又は測定を総理府令で定めるところにより行いその結果を環境庁長官に報告すること、南極地域において環境庁長官の権限を行う職員との間の連絡手段を確保することその他の条件を付することができる。
6 第三項第二号の規定による通知について不服がある者は、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)に基づく異議申立てをすることができる。
7 申請者は、申請に係る南極地域活動計画について確認をし、又は確認を拒否した旨の通知を受けるまでは、いつでも申請を取り下げることができる。
(南極地域活動計画の縦覧等)
第九条 環境庁長官は、前条第三項第二号に定める措置をとった日から起算して二週間以内に、申請に係る南極地域活動計画について、総理府令で定めるところにより、総理府令で定める事項を公告し、及び当該公告の日から起算して三十日間、当該南極地域活動計画に係る申請書及び第六条第三項に規定する図書を縦覧に供し、並びに当該南極地域活動計画についての意見を求めるため議定書附属書I第三条2に規定する事項を記載した包括的な環境評価書を作成して締約国の政府及び議定書第十一条の環境保護委員会に送付する手続をとらなければならない。
2 何人も、前項の規定により縦覧に供された南極地域活動計画について、同項の規定による公告の日から、同項の縦覧期間の満了の日の翌日から起算して六十日を経過する日までの間に、環境庁長官に対し、南極地域の環境の保護の見地からの意見を、意見書の提出により述べることができる。
3 環境庁長官は、第一項に規定する包括的な環境評価書に対する締約国の政府の意見若しくは前項の意見の内容に照らし南極地域の環境を保護するため必要があると認めるとき、又は議定書附属書Ⅰ第三条5若しくは6の規定に従うため必要があると認めるときは、申請者に対し、相当な期限を付して、書面をもって、当該南極地域活動計画について必要な修正を行うべきことを命ずることができる。この場合において、当該書面には、当該修正を行うべき理由を付さなければならない。
4 前条第二項の規定は、前項の規定による命令について準用する。この場合において、同条第二項中「当該命令に係る措置をとらない」とあるのは、「第九条第三項の規定による命令に係る修正を行わない」と読み替えるものとする。
5 環境庁長官は、第三項の規定による命令に係る修正後の南極地域活動計画(同項の規定による命令をしない場合にあっては、第一項の規定による公告に係る南極地域活動計画)が第七条第一項各号に掲げる要件に該当すると認めるときは、当該南極地域活動計画の確認をし、その旨を書面をもって申請者に通知しなければならない。
6 前条第五項の規定は、前項の規定による確認について準用する。
(承継)
第十条 申請者に代わって申請中の南極地域活動計画に係る南極地域活動を主宰しようとする者は、総理府令で定めるところにより、環境庁長官に届け出て、その申請者の地位を引き継ぐことができる。
2 申請者について相続又は合併があったときは、相続人(相続人が二人以上ある場合において、その全員の同意により当該申請の手続を承継すべき相続人を選定したときは、その選定された者)又は合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人は、その申請者の地位を承継する。
3 前項の規定により申請者の地位を承継した者は、総理府令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を環境庁長官に届け出なければならない。
4 第一項の規定は確認を受けた南極地域活動計画に係る主宰者となろうとする者について、第二項の規定は確認を受けた南極地域活動計画に係る主宰者について準用する。この場合において、第一項中「環境庁長官に届け出て」とあるのは「環境庁長官の承認を受けて」と、第二項中「その申請者」とあるのは「環境庁長官の承認を受けて、その主宰者」と、「承継する」とあるのは「承継することができる」と読み替えるものとする。
(行為者証の交付等)
第十一条 申請書を提出した時に第六条第一項第四号又は第七号に規定する氏名が確定していなかった場合には、申請者又は主宰者は、南極地域活動計画に含まれる南極地域活動が開始される日(当該南極地域活動計画に含まれる南極地域活動が二以上である場合にあっては、それらが開始される日のいずれか早い日。以下この条において「計画開始日」という。)の三十日前までに、当該氏名を確定し、これを環境庁長官に届け出なければならない。
2 第六条第一項第四号若しくは第七号に規定する氏名又は同項第五号に掲げる事項に変更があった場合には、申請者又は主宰者は、計画開始日の三十日前までに、その旨を環境庁長官に届け出なければならない。
3 前二項の規定は、当該南極地域活動計画に含まれる一の南極地域活動が開始される日が計画開始日から起算して六月を経過した日以後の日である場合における当該南極地域活動の行為者の氏名及び当該南極地域活動に係る第六条第一項第五号に掲げる事項については、適用しない。
4 前項の場合においては、主宰者は、当該南極地域活動が開始される日の三十日前までに、当該南極地域活動の行為者の氏名及び当該南極地域活動に係る第六条第一項第五号に掲げる事項を環境庁長官に届け出なければならない。
5 環境庁長官は、主宰者から申請があったときは、総理府令で定めるところにより、当該主宰者に対し、その者の主宰する南極地域活動の行為者について、その南極地域活動が確認を受けた南極地域活動計画に含まれるものであることを証明する行為者証の交付をするものとする。
6 主宰者又は確認を受けた南極地域活動計画に含まれる南極地域活動の行為者は、前項の行為者証を亡失し、又は同項の行為者証が滅失したときは、総理府令で定めるところにより、その行為者証の再発行を受けることができる。
7 確認を受けた南極地域活動計画に含まれる南極地域活動の行為者は、南極地域において、第五項の行為者証を携帯しなければならない。
(主宰者の責務)
第十二条 主宰者は、確認を受けた南極地域活動計画に含まれる自己の主宰する南極地域活動の行為者に対し、少なくとも当該南極地域活動に係る第六条第一項第六号及び第七号の事項について説明し、その他この法律又はこれに基づく命令の規定に違反しないように必要な指導を行わなければならない。