(油及び廃棄物の焼却の規制)
第十九条の二 何人も、船舶又は海洋施設において、その焼却が海洋環境の保全に著しい障害を及ぼすおそれがあるものとして政令で定める油又は廃棄物の焼却をしてはならない。
2 船舶又は海洋施設において、前項の政令で定める油又は廃棄物以外の油又は廃棄物の焼却をしようとする者は、政令で定める焼却海域及び焼却方法に関する基準に従い、当該油又は廃棄物の焼却をしなければならない。
3 前項の規定により油又は廃棄物の焼却をする場合において、その油又は廃棄物がその焼却につき海洋環境の保全の見地から特に注意を払う必要があるものとして政令で定める油又は廃棄物であるときは、当該油又は廃棄物の焼却をしようとする者は、当該油又は廃棄物の船舶又は海洋施設への積込み前(当該油又は廃棄物が当該船舶又は海洋施設内において生じたものであるときは、その焼却前)に、その焼却に関する計画が同項の基準に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して、海上保安庁長官の確認を受けなければならない。
4 海上保安庁長官は、前項の申請書を受理した場合において、その焼却に関する計画が第二項の基準に適合するものであることを確認したときは、申請者に焼却確認済証を交付しなければならない。
5 焼却確認済証の交付を受けた者は、当該油又は廃棄物の焼却に従事する船舶又は海洋施設内に、焼却確認済証を備え置かなければならない。
6 前三項に定めるもののほか、確認の申請書の様式、焼却確認済証の様式その他確認に関し必要な事項は、運輸省令で定める。
7 第一項から第五項までの規定は、船舶又は海洋施設における次の各号の一に該当する油又は廃棄物の焼却については、適用しない。
一 当該船舶又は海洋施設内にある者の日常生活に伴い生ずる不要な油又は廃棄物その他政令で定める当該船舶又は海洋施設内において生ずる不要な油又は廃棄物の焼却
二 次条第一項又は第十九条の四第一項の検査において行う油又は廃棄物の焼却
三 締約国(海洋投棄規制条約の規定のうち廃棄物その他の物の海洋における焼却の規制に関する規定が効力を生じていない締約国を除く。以下同じ。)において積み込まれた油又は廃棄物の当該締約国の法令に従つてする焼却(本邦周辺海域においてするものを除く。)
(焼却設備の検査等)
第十九条の三 船舶所有者又は海洋施設の設置者は、船舶又は海洋施設において前条第三項の政令で定める油又は廃棄物(同条第七項第一号に規定する油又は廃棄物を除く。以下「要焼却確認廃棄物」という。)の焼却の用に供される設備(以下「焼却設備」という。)を初めて要焼却確認廃棄物の焼却の用に供しようとするときは、当該焼却設備について運輸大臣の検査を受けなければならない。焼却設備検査証の交付を受けた焼却設備をその有効期間満了後も要焼却確認廃棄物の焼却の用に供しようとするときも、同様とする。
2 運輸大臣は、前項の検査の結果、当該焼却設備が運輸省令で定める技術上の基準に適合すると認めるときは、当該船舶所有者又は海洋施設の設置者に対し、当該焼却設備を用いて焼却をすることができる要焼却確認廃棄物の種類及び当該焼却設備の使用の方法(以下「使用方法等」という。)を定めて焼却設備検査証を交付しなければならない。
第十九条の四 焼却設備検査証の交付を受けた船舶所有者又は海洋施設の設置者は、当該焼却設備について運輸省令で定める改造又は修理を行うとき、当該焼却設備について定められた使用方法等を変更してこれを使用しようとするとき、その他運輸省令で定めるときは、焼却設備検査証を提出して、当該焼却設備について運輸大臣の検査を受けなければならない。
2 運輸大臣は、前項の検査の結果、当該焼却設備が前条第二項の運輸省令で定める技術上の基準に適合すると認めるときは、当該船舶所有者又は海洋施設の設置者に焼却設備検査証を返付しなければならない。この場合において、運輸大臣は、必要に応じ、当該焼却設備について定めた使用方法等を変更するものとする。
第十九条の五 第十九条の三第一項又は前条第一項の検査を受けようとする者(国を除く。)は運輸省令で定めるところにより、手数料を納付しなければならない。
第十九条の六 運輸大臣は、焼却設備が第十九条の三第二項の運輸省令で定める技術上の基準に適合しなくなつたと認めるときは、焼却設備検査証の交付を受けた船舶所有者又は海洋施設の設置者に対し、焼却設備検査証の返納又は焼却設備の修理を命ずることができる。
(焼却設備の使用)
第十九条の七 焼却設備は、第十九条の三又は第十九条の四で定めるところにより、運輸大臣の検査を受け、有効な焼却設備検査証の交付を受けているものでなければ、要焼却確認廃棄物の焼却の用に供してはならない。
2 焼却設備は、当該焼却設備について定められた使用方法等に従つて使用するのでなければ、要焼却確認廃棄物の焼却の用に供してはならない。
3 前二項の規定は、第十九条の三第一項又は第十九条の四第一項の検査において行う要焼却確認廃棄物の焼却については、適用しない。
(焼却設備検査証の備え置き)
第十九条の八 焼却設備検査証の交付を受けた船舶所有者又は海洋施設の設置者は、当該船舶又は海洋施設内に、焼却設備検査証を備え置かなければならない。
(焼却記録簿)
第十九条の九 焼却設備検査証の交付を受けた船舶の船長又は海洋施設の管理者は、当該船舶又は海洋施設内に、焼却記録簿を備え付けなければならない。
2 船長又は海洋施設の管理者は、当該焼却設備による要焼却確認廃棄物の焼却その他要焼却確認廃棄物の取扱いに関する作業で運輸省令で定めるものが行われたときは、そのつど、運輸省令で定めるところにより、焼却記録簿への記載を行わなければならない。
3 船長又は海洋施設の管理者は、焼却記録簿をその最後の記載をした日から二年間船舶又は海洋施設内に保存しなければならない。
(省令への委任)
第十九条の十 検査の申請書の様式、焼却設備検査証の様式その他検査に関し必要な事項及び焼却記録簿の様式その他焼却記録簿に関し必要な事項は、運輸省令で定める。
(日本船舶以外の船舶に設置された焼却設備に関する特例)
第十九条の十一 締約国の政府から焼却設備に関する当該締約国の法令に適合していることを証する有効な書面の交付を受けている焼却設備(日本船舶に設置されているもの及び運輸省令で定める要件に該当するものを除く。)については、第十九条の三第一項、第十九条の四第一項、第十九条の六及び第十九条の七第一項の規定は、適用しない。
2 前項の規定は、同項に規定する焼却設備について検査の申請がされた場合において、運輸大臣が当該申請を第十九条の三第一項前段の検査の申請とみなして当該検査を行うことを妨げるものではない。この場合において、運輸大臣が焼却設備検査証を交付したときは、当該焼却設備については、前項の規定にかかわらず、同条第一項後段、第十九条の四第一項、第十九条の六及び第十九条の七第一項の規定を適用する。
3 第一項に規定する焼却設備(前項の規定の適用を受けるものを除く。)の使用については、第十九条の七第二項中「定められた」とあるのは「締約国の政府によつて定められた」と、第十九条の八及び第十九条の九第一項中「焼却設備検査証」とあるのは「第十九条の十一第一項の書面」とする。