船舶安全法及び海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律
法令番号: 法律第78号
公布年月日: 平成9年6月11日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

船舶の安全確保と海洋環境保全のため、船舶の構造・設備の検査が義務付けられているが、日本船舶の信頼性向上と事故の減少傾向を踏まえ、検査証書の有効期間の見直しが可能となってきた。また、外国造船所での日本船舶建造が増加しており、円滑な検査実施が必要とされている。さらに、国際海事機関による船舶による汚染防止のための国際条約議定書の改正に伴い、船舶発生廃棄物汚染防止規程の船内備え置き義務化等、国内法制の整備が必要となった。これらの状況を踏まえ、検査証書の有効期間延長、海外建造船舶の検査体制整備、船舶発生廃棄物汚染防止規程関連の規定整備等を行うため、本法律案を提出するものである。

参照した発言:
第140回国会 参議院 運輸委員会 第5号

審議経過

第140回国会

参議院
(平成9年3月14日)
(平成9年3月17日)
(平成9年3月25日)
(平成9年3月26日)
衆議院
(平成9年5月23日)
(平成9年6月4日)
(平成9年6月5日)
船舶安全法及び海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
国事行為臨時代行名
平成九年六月十一日
内閣総理大臣 橋本龍太郎
法律第七十八号
船舶安全法及び海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律
(船舶安全法の一部改正)
第一条 船舶安全法(昭和八年法律第十一号)の一部を次のように改正する。
第六条第二項中「三十メートル未満ノ船舶」の下に「及本法施行地外ニ於テ製造スル船舶」を加える。
第十条第一項中「四年」を「五年」に改め、同条第二項中「五月」を「三月」に改める。
(海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部改正)
第二条 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律(昭和四十五年法律第百三十六号)の一部を次のように改正する。
目次中「第十九条」を「第十九条の二の二」に、「第十九条の二」を「第十九条の二の三」に改める。
第十条の次に次の三条を加える。
(船舶発生廃棄物汚染防止規程)
第十条の二 船舶所有者は、運輸省令で定める船舶ごとに、運輸省令で定めるところにより、船舶発生廃棄物(当該船舶内にある船員その他の者の日常生活に伴い生ずるごみ又はこれに類する廃棄物その他の政令で定める廃棄物をいう。以下同じ。)の取扱いに関する作業を行う者が遵守すべき事項その他船舶発生廃棄物の不適正な排出の防止に関する事項について、船舶発生廃棄物汚染防止規程を定め、これを当該船舶内に備え置き、又は掲示しておかなければならない。
2 船長は、前項の船舶発生廃棄物汚染防止規程に定められた事項を、当該船舶の乗組員及び乗組員以外の者で当該船舶に係る業務を行う者のうち船舶発生廃棄物の取扱いに関する作業を行うものに周知させなければならない。
(船舶発生廃棄物記録簿)
第十条の三 国際航海(一国の港と他の国の港との間の航海をいう。以下同じ。)に従事する船舶のうち運輸省令で定めるものの船長は、船舶発生廃棄物記録簿を船舶内に備え付けなければならない。
2 前項に規定する船舶の船長は、当該船舶における船舶発生廃棄物の排出その他船舶発生廃棄物の取扱いに関する作業で運輸省令で定めるものが行われたときは、その都度、運輸省令で定めるところにより、船舶発生廃棄物記録簿への記載を行わなければならない。
3 船長は、船舶発生廃棄物記録簿をその最後の記載をした日から二年間船舶内に保存しなければならない。
4 前三項に定めるもののほか、船舶発生廃棄物記録簿の様式その他船舶発生廃棄物記録簿に関し必要な事項は、運輸省令で定める。
(船舶発生廃棄物の排出に関して遵守すべき事項等の掲示)
第十条の四 運輸省令で定める船舶の船舶所有者は、運輸省令で定めるところにより、当該船舶内にある船員その他の者が船舶発生廃棄物の排出に関して遵守すべき事項その他船舶発生廃棄物の不適正な排出の防止に関する事項を当該船舶内において当該船舶内にある船員その他の者に見やすいように掲示しなければならない。
第十一条中「前条第二項第三号」を「第十条第二項第三号」に改める。
第十七条の三第二項中「四年」を「五年」に、「五月」を「三月」に改める。
第十七条の九第一項中「(一国の港と他の国の港との間の航海をいう。以下同じ。)」を削る。
第十九条の二を第十九条の二の三とし、第四章中第十九条の次に次の二条を加える。
(海洋施設発生廃棄物汚染防止規程)
第十九条の二 運輸省令で定める海洋施設の管理者は、運輸省令で定めるところにより、海洋施設発生廃棄物(当該海洋施設内にある者の日常生活に伴い生ずるごみ又はこれに類する廃棄物その他の政令で定める廃棄物をいう。以下同じ。)の取扱いに関する作業を行う者が遵守すべき事項その他海洋施設発生廃棄物の不適正な排出の防止に関する事項について、海洋施設発生廃棄物汚染防止規程を定め、これを海洋施設内に備え置き、又は掲示しておかなければならない。ただし、当該海洋施設内に備え置き、又は掲示しておくことが困難である場合においては、当該海洋施設の管理者の事務所に備え置くことができる。
2 海洋施設の管理者は、前項の海洋施設発生廃棄物汚染防止規程に定められた事項を、当該海洋施設内にある者のうち海洋施設発生廃棄物の取扱いに関する作業を行うものに周知させなければならない。
(海洋施設発生廃棄物の排出に関して遵守すべき事項等の掲示)
第十九条の二の二 運輸省令で定める海洋施設の管理者は、運輸省令で定めるところにより、当該海洋施設内にある者が海洋施設発生廃棄物の排出に関して遵守すべき事項その他海洋施設発生廃棄物の不適正な排出の防止に関する事項を当該海洋施設内において当該海洋施設内にある者に見やすいように掲示しなければならない。
第四十八条第五項中「有害液体物質記録簿」の下に「、船舶発生廃棄物汚染防止規程、船舶発生廃棄物記録簿」を、「条約証書」の下に「、海洋施設発生廃棄物汚染防止規程」を加える。
第四十九条中「又は有害液体物質記録簿」を「、有害液体物質記録簿又は船舶発生廃棄物記録簿」に改める。
第五十五条第一項第五号中「第十九条の二第一項」を「第十九条の二の三第一項」に改める。
第五十七条第二号中「第二項」の下に「、第十条の二第一項、第十九条の二第一項」を加え、同条第四号中「第十九条の二第三項」を「第十九条の二の三第三項」に改める。
第五十八条第二号中「第九条の五第一項若しくは第三項」の下に「、第十条の三第一項若しくは第三項、第十条の四」を、「第十九条第一項若しくは第三項」の下に「、第十九条の二の二」を加え、同条第三号中「第九条の五第二項」の下に「、第十条の三第二項」を、「有害液体物質記録簿」の下に「、船舶発生廃棄物記録簿」を加え、同条第四号中「第十九条の二第五項」を「第十九条の二の三第五項」に改める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第一条中船舶安全法第六条第二項の改正規定 公布の日
二 第二条の規定(海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律第十七条の三第二項の改正規定を除く。)並びに附則第四条及び第五条の規定 平成九年七月一日
(船舶安全法の改正に伴う経過措置)
第二条 この法律の施行の際現に交付されている船舶検査証書の有効期間については、なお従前の例による。
(海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の改正に伴う経過措置)
第三条 この法律の施行の際現に交付されている海洋汚染防止証書の有効期間については、なお従前の例による。
第四条 附則第一条第二号に掲げる規定の施行前に建造された船舶又は海洋施設については、同号に定める日から起算して一年を経過する日までの間は、第二条の規定による改正後の海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律第十条の二から第十条の四まで又は第十九条の二及び第十九条の二の二の規定は、適用しない。
(海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律の一部改正)
第五条 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律(昭和五十八年法律第五十八号)の一部を次のように改正する。
第五条中海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律第十条の次に一条を加える改正規定の前に次のように加える。
第十条の四を第十条の五とし、第十条の三第一項中「(一国の港と他の国の港との間の航海をいう。以下同じ。)」を削り、同条を第十条の四とし、第十条の二を第十条の三とする。
第五条中海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律第十一条の改正規定及び同法第十七条の九第一項の改正規定を削り、同法第十七条の十五の改正規定の次に次のように加える。
第五十七条第二号中「第十条の二第一項」を「第十条の三第一項」に改める。
第五十八条第二号中「第十条の三第一項」を「第十条の四第一項」に、「第十条の四」を「第十条の五」に改め、同条第三号中「第十条の三第二項」を「第十条の四第二項」に改める。
運輸大臣 古賀誠
内閣総理大臣 橋本龍太郎