(部分林の設定)
第九條 農林大臣は、国有林野について、契約により、国以外の者に造林させ、その收益を国及び造林者が分收するものとすることができる。
(部分林契約の内容)
第十條 前條の契約(以下「部分林契約」という。)においては、左に掲げる事項を定めなければならない。
一 部分林契約の目的たる国有林野(以下「部分林」という。)の所在及び面積
三 植栽(人工下種を含む。以下同じ。)すべき樹種及び本数
(部分木の持分等)
第十一條 部分林につき、部分林契約に基き植栽した樹木(以下「部分木」という。)は、国と造林者との共有とし、その持分は、当該契約に定められた收益分收の割合によるものとする。
2 根株は、国の所有とする。但し、契約をもつて特別の定をすることができる。
3 部分林契約があつた後において天然に生じた樹木であつて、部分木とともに生育させるものとして営林署長が指定したものは、部分木とみなす。
4 民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百五十六條(共有物の分割請求)の規定は、部分木には、適用しない。
(部分林契約の存続期間)
第十二條 部分林契約の存続期間は、八十年をこえることができない。
(保護義務)
第十三條 造林者は、部分林について、左に掲げる事項を行わなければならない。
三 有害動物及び有害植物の駆除及びそのまん延の防止
(林産物の採取)
第十四條 造林者は、左に掲げる部分林の林産物を採取することができる。
三 部分林契約のあつた後において天然に生じた樹木(第十一條第三項の規定により営林署長が指定したものを除く。)
四 植栽後二十年以内において手入のため伐採する部分木
(権利の処分等の制限)
第十五條 造林者は、その権利を担保に供し、又は処分することができない。但し、営林局長の許可を受けた場合は、この限りでない。
第十六條 造林者は、部分林契約の目的以外の目的に部分林を使用してはならない。但し、部分林契約の目的を妨げないと認めて営林局長が許可した場合は、この限りでない。
(部分林契約の解除)
第十七條 農林大臣は、左の各号の一に該当する場合には、部分林契約を解除することができる。但し、造林者の責に帰することができない場合は、この限りでない。
一 当該契約に定められた植栽期間の始期から一年を経過しても造林者が植栽に着手しないとき。
二 当該契約に定められた植栽期間が満了しても造林者が植栽を完了していないとき。
三 植栽を終つた後五年を経過しても成林の見込がないとき。
四 造林者が当該契約に定められた植栽、手入又は伐採の方法に従わなかつたとき。
五 造林者が第十三條に掲げる事項の実施を怠つたとき。
2 前項の規定により部分林契約を解除した場合には、植栽を終つた樹木は、国の所有に帰する。
3 農林大臣は、国又は公共団体において部分林を公用、公共用又は国の企業若しくは公益事業の用に供する必要を生じたときは、部分林契約を解除することができる。
4 農林大臣は、第一項又は前項の規定により部分林契約を解除しようとするときは、造林者に対し、あらかじめ、理由を附して、その旨を通知し、造林者又はその代理人が公開の聽聞において意見を述べ、且つ、有利な証拠を提出する機会を與えなければならない。
5 第三項の規定により部分林契約を解除した場合には、国有財産法第二十四條第二項及び第二十五條(契約解除の場合の損失補償)の規定を準用する。この場合において、同法第二十四條第二項中「借受人」とあるのは「造林者」と読み替えるものとする。