(漁港の整備計画)
第十七條 農林大臣は、漁港審議会の意見を徴し、その意見を採択して漁港の整備計画を定め、閣議の決定を経なければならない。もし、農林大臣が、漁港審議会の意見を採択することができないときは、その定めた漁港の整備計画に当該漁港審議会の意見を添えて内閣に提出しなければならない。
2 内閣は、前項の規定により漁港の整備計画を決定したときは、これを国会に提出して、その承認を受けなければならない。この場合において、内閣が決定した漁港の整備計画が漁港審議会の意見と異なるときは、内閣は、漁港審議会の意見を添えて国会に提出しなければならない。
3 内閣は、毎年度、国の財政の許す範囲内において、前項の漁港の整備計画を実施するために、必要な経費を予算に計上しなければならない。
(施行者)
第十八條 漁港修築事業は、国、漁港の所在地の地方公共団体又は漁港を地区内に有する水産業協同組合でなければ、施行することができない。
(施行の許可)
第十九條 国以外の者が漁港修築事業を施行しようとする場合には、第十七條第一項の漁港の整備計画に基いて漁港修築計画を定めた上、農林大臣の許可を受けなければならない。
2 農林大臣は、前項の許可をするについては、あらかじめ漁港審議会の議を経て定めた基準によらなければならない。
3 国が漁港修築事業を施行する場合には、農林大臣は、第十七條第一項の漁港の整備計画に基いて漁港修築計画を定めなければならない。
4 第一項又は前項の規定により漁港修築計画を定める場合においては、その漁港に漁港管理者があるときには、当該漁港管理者の意見を徴し、その意見を尊重して、これをしなければならない。
5 第一項又は第三項の場合において、漁港修築事業を施行しようとする者は、漁港修築計画を定めるために必要があるときには、五日前にその所有者又は占有者に通知して、他人の土地又は水面に立ち入り、測量又は検査をすることができる。この場合において、国以外の者の施行に係るときには、立ち入るべき土地又は水面の区域を定めて、あらかじめ、農林大臣の許可を受けなければならない。
6 前項の規定による立入、測量又は検査をする者は、その身分を示す証票を携帶しなければならない。
7 第五項の場合には、当該施行者たるべき者は、遅滯なく、同項の立入、測量又は検査により現に生じた損害を補償しなければならない。
(費用の負担及び補助)
第二十條 国が漁港修築事業を施行する場合には、国は、政令で定める基準に従い、その費用の一部を当該漁港の漁港管理者の同意を得て、これに負担させることができる。
2 国以外の者が第三種漁港又は第四種漁港について漁港修築事業を施行する場合には、第三條第一号の基本施設の修築に要する費用は、左の区分に従い、各々その定める割合を国において負担する。
区分比率
第三種漁港 北海道にあつては百分の六十、その他の地域にあつては百分の五十
第四種漁港 北海道にあつては百分の八十、その他の地域にあつては百分の七十五又は百分の六十
3 国以外の者が第一種漁港又は第二種漁港について漁港修築事業を施行する場合には、第三條第一号の基本施設の修築に要する費用は、左の区分に従い、各々その定める割合をもつて、国は、当該漁港修築事業の施行者に補助する。
区分比率
第一種漁港 北海道にあつては百分の六十、その他の地域にあつては百分の四十
第二種漁港 北海道にあつては百分の六十、その他の地域にあつては百分の四十
4 国以外の者が漁港修築事業を施行する場合において、特に必要があると認めるときは、国は、前二項に規定するものの外、政令で定める基準に従い、予算の範囲内で当該漁港修築事業に要する費用の一部を当該漁港修築事業の施行者に補助することができる。
5 農林大臣は、前條第一項の許可をするについては、第二項又は第三項の規定により国が負担し、又は補助することとなる金額が、国会の議決を経た予算の金額をこえない範囲内で、これをしなければならない。
(漁港修築事業の施行の許可に係る権利の讓渡及び漁港修築事業の施行の委託)
第二十一條 漁港修築事業の施行の許可に係る権利の讓渡は、農林大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 漁港修築事業の施行者は、農林大臣の許可を受けて、漁港修築事業の施行を委託することができる。
3 第一項の認可及び前項の許可をするについては、第十九條第二項の規定を準用する。
(漁港修築計画の変更、漁港修築事業の廃止その他)
第二十二條 国以外の漁港修築事業の施行者は、事情の変更その他の事由がある場合において農林大臣の許可を受けた後でなければ、漁港修築計画を変更し、又は漁港修築事業の全部若しくは一部を廃止し、若しくはその施行を停止してはならない。
2 農林大臣は、前項の許可をする場合において、その漁港に漁港管理者があるときは、当該漁港管理者の意見を徴し、その意見を尊重して、これをしなければならない。但し、急速を要する場合及び軽微な事項である場合には、この限りでない。
(施行者に対する指示及び命令並びに許可の取消)
第二十三條 農林大臣は、国以外の漁港修築事業の施行者に対し、工事の施行の順序その他漁港修築事業の施行方法に関する必要な事項を指示することができる。
2 農林大臣は、地形の変化その他の事由により必要があると認める場合には、国以外の漁港修築事業の施行者に対し、漁港修築計画の変更又は漁港修築事業の全部若しくは一部の廃止若しくはその施行の停止を命ずることができる。
3 農林大臣は、国以外の漁港修築事業の施行者がする事業の施行が、この法律、この法律に基く命令若しくはこれらの法令に基いてする行政庁の処分に違反し、若しくはしゆん功の見込がないと認めるとき、又は当該施行者が漁港修築計画において定められた期限までに工事に着手しないときは、当該漁港修築事業の施行の許可を取り消すことができる。
(土地、水面等の使用及び收用)
第二十四條 漁港修築事業の施行者は、第三條第一号の基本施設を修築するために必要がある場合には、必要な土地若しくはこれに定着する物件又はこれらに関する権利を土地收用法(明治三十三年法律第二十九号)により、收用又は使用することができる。
2 漁港修築事業の施行者は、漁港修築事業の施行のために必要がある場合には、五日前にその所有者又は占有者に通知して、他人の土地若しくは水面に立ち入り、又はこれらを一時材料置場として使用することができる。この場合において、国以外の者の施行に係るときには、立ち入り、若しくは使用すべき土地若しくは水面の区域又は使用の期間を定めて、あらかじめ、農林大臣の許可を受けなければならない。
3 前項の規定による立入をする者は、その身分を示す証票を携帶しなければならない。
4 第二項の場合には、漁港修築事業の施行者は、遅滯なく、同項の立入若しくは使用により現に生じた損害を補償し、又は相当の使用料を支拂わなければならない。