(團体交渉の範囲)
第八條 公共企業体の管理及び運営に関する事項は、團体交渉の対象とすることができない。
2 第四條の規定により組合に加入できない者以外の職員に関する左に掲げる事項は、團体交渉の対象とし、これに関し労働協約を締結することを妨げない。
五 懲戒規則並びに昇職、降職、轉職、免職、休停職及び先任権の基準に関する規則
(交渉委員)
第九條 團体交渉は、もつぱら、公共企業体を代表する交渉委員とその公共企業体の職員を代表する交渉委員とにより行う。
2 交渉委員の最大限の数及びその機能は、政令で定める。
(團体交渉を行うに適当な單位の決定)
第十條 公共企業体とその職員又はその組合は、協議により團体交渉を行うに適当な單位(以下單位という。)を決定しなければならない。
2 公共企業体とその職員又はその組合は、毎年一月三十一日までに労働大臣に前項の單位を届け出なければならない。
(職員を代表する交渉委員の選出)
第十一條 公共企業体の職員を代表する主たる組合は、その組合員以外の職員の代表者と協議して交渉委員を指名し、毎年二月二十五日までに労働大臣に届け出なければならない。交渉委員(交渉委員の辞任の場合の補欠者を含む。)は、公共企業体の交渉委員と交渉するために、公共企業体の総ての職員を代表する排他的代表者である。この代表者が選出され得なかつたときは、左の條項が適用されるものとする。
組合と他の職員の代表者が交渉委員の指名に参加する適当な組合の代表者について意見が一致しないか又はその他の理由によつて、二月二十五日までに交渉委員を選出することができなかつたときは、労働大臣は、交渉委員がこの法律によつて定められる基準によつて選出されるために、三十日以内に必要な措置をしなければならない。この目的のために、労働大臣は、左のことを決定するものとする。
一 職員のいかなる單位が團体交渉を行うに適当であるか。
二 指定された單位の中でいかなる組合又は他の職員の代表者が交渉委員の最終的選出に参加すべきであるか。
三 組合又は他の職員の代表者による交渉委員の最終的選出の投票手続。この投票手続には、投票に参加する組合又はその他の職員の集團の職種と数的勢力に適当な考慮が拂われなければならない。
2 前項第一号の決定を行うときは、労働大臣は、單位の職員の集團がその職種、資格、経驗、義務、賃金、労働時間及びその他の労働條件において利害を同一にするように考慮を拂わなければならない。
3 第一項第二号の決定を行うときは、労働大臣は、特別の事情があると認めるときは、職員の多数の希望を確めるために、職員に無記名投票による選挙を命じ、これを管理することができる。この選挙における有権者の指定に関する事項、選挙日に関する適当な注意事項の決定、適当な投票所の選定、選挙監視者の任命、並びに迅速な、正確な、忠実な投票の計算の保障等選挙の管理に関する事項は、政令で定める。
(異議の申立)
第十二條 公共企業体の職員又はその組合で前條の交渉委員の指名について異議のあるものは、その指名後五日以内に労働大臣に対し、異議の申立をすることができる。
2 前條の異議の申立及び解決の手続は、政令で定める。
(公共企業体を代表する交渉委員の選出)
第十三條 公共企業体は、交渉委員(交渉委員辞任のときの後任者を含む。)を決定し、毎年二月二十五日までに労働大臣に通知しなければならない。
(交渉委員の証明及びその任期)
第十四條 労働大臣は、関係者の請求があるときは、交渉委員であることの証明書を交付しなければならない。
2 交渉委員の任期は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終る。但し、補欠委員は、前任者の残任期間その職務を行う。
(團体交渉の回数)
第十五條 公共企業体及び職員を代表する交渉委員の会合は、一方の請求があれば開くことができる。但し、その会合は、毎年少くとも一回賃金その他雇用の基礎的條件に関する事項を具体化した成文の労働協約を締結する目的をもつて開かなければならない。
(資金の追加支出に対する國会の承認の要件)
第十六條 公共企業体の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とするいかなる協定も、政府を拘束するものではない。又國会によつて所定の行爲がなされるまでは、そのような協定に基いていかなる資金といえども支出してはならない。
2 前項の協定をしたときは、政府は、その締結後十日以内に、これを國会に付議して、その承認を求めなければならない。但し、國会が閉会中のときは、國会召集後五日以内に付議しなければならない。國会による承認があつたときは、この協定は、それに記載された日附にさかのぼつて効力を発生するものとする。