(目的)
第一条 この法律は、地方公共団体が処理する事務のうち特定のものを郵政官署において取り扱うための措置を講ずることにより、住民の利便の増進を図るとともに、地方公共団体の組織及び運営の合理化に資することを目的とする。
(郵政官署における事務の取扱い)
第二条 地方公共団体は、郵政事業庁長官との協議により規約を定め、次に掲げる当該地方公共団体の事務を、当該地方公共団体において取り扱うほか、郵政官署において取り扱わせることができる。
一 戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)第十条第一項の規定に基づく同項の戸籍の謄本若しくは抄本若しくは戸籍に記載した事項に関する証明書若しくは同法第百十七条の四第一項の磁気ディスクをもって調製された戸籍に記録されている事項の全部若しくは一部を証明した書面(以下この号において「戸籍謄本等」という。)の交付(当該戸籍に記載され、又は記録されている者に対するものに限る。)又は同法第十二条の二第一項の規定に基づく同項の除かれた戸籍の謄本若しくは抄本若しくは除かれた戸籍に記載した事項に関する証明書若しくは同法第百十七条の四第一項の磁気ディスクをもって調製された除かれた戸籍に記録されている事項の全部若しくは一部を証明した書面(以下この号において「除籍謄本等」という。)の交付(当該除かれた戸籍に記載され、又は記録されている者に対するものに限る。)の請求の受付及び当該請求に係る戸籍謄本等又は除籍謄本等の引渡し
二 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第二十条の十の規定に基づく同条の証明書(以下この号において「納税証明書」という。)の交付の請求の受付及び当該請求に係る納税証明書の引渡し
三 外国人登録法(昭和二十七年法律第百二十五号)第四条の三第二項の規定に基づく同項の登録原票の写し又は登録原票記載事項証明書(以下この号において「登録原票の写し等」という。)の交付の請求の受付及び当該請求に係る登録原票の写し等の引渡し
四 住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)第十二条第一項の規定に基づく同項の住民票の写し又は住民票記載事項証明書(以下この号において「住民票の写し等」という。)の交付の請求の受付及び当該請求に係る住民票の写し等の引渡し
五 住民基本台帳法第二十条第一項の規定に基づく同項の戸籍の附票の写し(以下この号において「戸籍の附票の写し」という。)の交付(当該戸籍の附票に記載されている者に対するものに限る。)の請求の受付及び当該請求に係る戸籍の附票の写しの引渡し
六 市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、市長又は区長とする。)が作成する印鑑に関する証明書(以下この号において「印鑑登録証明書」という。)の交付(当該印鑑登録証明書に記載されている者に対するものに限る。)の請求の受付及び当該請求に係る印鑑登録証明書の引渡し
2 前項の協議については、地方公共団体の議会の議決を経なければならない。
3 地方公共団体は、前二項の規定により地方公共団体の事務を郵政官署において取り扱わせることとしたときは、その旨及び第一項の規約(以下「規約」という。)を告示しなければならない。
4 地方公共団体は、郵政事業庁長官との協議により、規約を変更し、又は第一項の規定による郵政官署における事務の取扱いを廃止することができる。この場合においては、前二項の規定を準用する。
(規約)
第三条 規約においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 前条第一項各号に掲げる事務のうち郵政官署において取り扱う事務(以下「郵政官署取扱事務」という。)及び当該郵政官署取扱事務を取り扱う郵政官署の名称
四 郵政官署取扱事務を郵政官署において取り扱う期間
五 前各号に掲げるもののほか、郵政官署取扱事務の取扱いに関し必要な事項
(報告の請求及び指示)
第四条 地方公共団体の長は、郵政官署取扱事務の適正な処理を確保するため必要があると認めるときは、郵政事業庁長官(第六条の規定により第二条第一項の規定により規約を定める権限を委任した場合にあっては、当該権限を委任された者)に対し、報告を求め、又は必要な指示をすることができる。
(郵政事業庁長官の責務)
第五条 郵政事業庁長官は、郵政官署取扱事務に従事する郵政官署の職員が当該郵政官署取扱事務に関して知り得た情報を当該郵政官署取扱事務の取扱い以外の目的のために利用することを防止するために、必要な措置を講じなければならない。
(権限の委任)
第六条 この法律に規定する郵政事業庁長官の権限は、総務省令で定めるところにより、地方郵政局、沖縄総合通信事務所又は郵便局の長に委任することができる。
(省令への委任)
第七条 この法律に規定するもののほか、郵政官署取扱事務の取扱いに関し必要な事項は、総務省令(第二条第一項第一号、第三号又は第五号に掲げる事務に係る事項については、総務省令・法務省令)で定める。