国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法
法令番号: 法律第141号
公布年月日: 昭和29年6月1日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

郵政、国有林野、印刷、造幣及びアルコール専売の事業を行う企業において、管理監督者等は団結権が認められず、一般職の国家公務員と同一の法令が適用される一方、その他の職員は公共企業体等労働関係法の適用を受け、給与等は団体交渉で決定される。この状況により に不均衡が生じ、事務も複雑化している。そこで、職員の給与の調整と事務の簡素化を図るため、これらの企業に勤務する職員の給与等について国家公務員法の特例を定めることとし、本法案を提出するものである。

参照した発言:
第19回国会 衆議院 人事委員会 第18号

審議経過

第19回国会

衆議院
(昭和29年4月28日)
参議院
(昭和29年4月28日)
(昭和29年4月30日)
衆議院
(昭和29年5月7日)
参議院
(昭和29年5月8日)
衆議院
(昭和29年5月10日)
参議院
(昭和29年5月11日)
衆議院
(昭和29年5月12日)
参議院
衆議院
(昭和29年5月18日)
参議院
(昭和29年5月18日)
(昭和29年5月20日)
(昭和29年5月22日)
(昭和29年5月28日)
(昭和29年5月29日)
衆議院
(昭和29年6月15日)
参議院
(昭和29年6月15日)
国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十九年六月一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百四十一号
国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法
(この法律の趣旨)
第一条 この法律は、国の経営する企業に勤務する職員の職務と責任の特殊性に基き、その給与等に関し国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)の特例等を定めるものとする。
(定義)
第二条 この法律において「国の経営する企業」とは、公共企業体等労働関係法(昭和二十三年法律第二百五十七号)第二条第一項第二号に規定する国の経営する企業をいう。
2 この法律において「職員」とは、国の経営する企業に勤務する一般職の国家公務員(管理又は監督の地位にある者のうち政令で定める官職にあるものを除く。)をいう。
(給与の根本原則)
第三条 職員の給与は、その職務の内容と責任に応ずるものであり、且つ、職員が発揮した能率が考慮されるものでなければならない。
2 職員の給与は、一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)の適用を受ける国家公務員及び民間事業の従業員の給与その他の事情を考慮して定めなければならない。
(給与準則)
第四条 国の経営する企業の主務大臣(以下「主務大臣」という。)又は政令の定めるところによりその委任を受けた者は、その企業に勤務する職員に対して支給する給与について給与準則を定めなければならない。
(給与総額)
第五条 職員で常時勤務する者(二月以内の期間を定めて雇用される者を除く。)に係る給与準則については、その給与準則に基いて各会計年度において支出する給与の額が、その会計年度の予算の中で給与の総額として定められた額をこえないようにしなければならない。但し、職員の能率の向上により収入が予定より増加し、又は経費を予定より節減した場合において、その収入の増加額又は経費の節減額の一部に相当する金額を、予算の定めるところにより、大蔵大臣の承認を受けて、特別の給与として支給するときは、この限りでない。
(勤務時間等)
第六条 主務大臣又は政令の定めるところによりその委任を受けた者は、その企業に勤務する職員の勤務時間、休憩、休日及び休暇について規程を定めなければならない。
2 前項の規程は、一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける国家公務員の勤務条件その他の事情を考慮したものでなければならない。
(他の法律の適用除外等)
第七条 左に掲げる法律の規定は、職員には適用しない。
一 国家公務員法第十八条、第二十八条(第一項前段を除く。)、第二十九条から第三十二条まで、第六十二条から第七十条まで、第七十五条第二項及び第百六条の規定
二 国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当の支給に関する法律(昭和二十四年法律第二百号)の規定
三 一般職の職員の給与に関する法律の規定
四 国家公務員の職階制に関する法律(昭和二十五年法律第百八十号)の規定
五 国家公務員に対する年末手当の支給に関する法律(昭和二十五年法律第二百六十六号)の規定
2 第四条に規定する給与準則は、国家公務員法第八十条第四項の規定の適用については、同項の給与準則とみなす。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(他の法律の改正)
2 公共企業体等労働関係法の一部を次のように改正する。
第四十条第一項第一号を次のように改め、同条同項第三号から第六号までを削る。
一 国家公務員法第三条第三項から第五項まで、第十七条、第十九条、第二十条、第二十二条、第二十三条、第七十一条、第七十三条、第七十七条、第八十四条第二項、第八十六条から第八十八条まで、第九十六条第二項、第九十八条(第一項及び第四項を除く。)、第百条第四項、第百一条第三項及び附則第十六条の規定
3 印刷局特別会計法(昭和二十二年法律第三十六号)の一部を次のように改正する。
第十四条の二を削る。
4 国有林野事業特別会計法(昭和二十二年法律第三十八号)の一部を次のように改正する。
第十七条の二を削る。
5 アルコール専売事業特別会計法(昭和二十二年法律第三十九号)の一部を次のように改正する。
第十五条の二を削る。
6 郵政事業特別会計法(昭和二十四年法律第百九号)の一部を次のように改正する。
第四十一条の二を削る。
7 造幣局特別会計法(昭和二十五年法律第六十三号)の一部を次のように改正する。
第三十六条の二を削る。
8 一般職の職員の給与に関する法律の一部を次のように改正する。
第六条第二項中「企業官庁職員級別俸給表(別表第五)」を削り、同条中第五項を削り、第六項を第五項とし、同法別表第五を次のように改める。
別表第五 削除
9 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律(昭和二十八年法律第二百三十七号)の一部を次のように改正する。
附則第六項中「第六条第六項第三号」を「第六条第五項第三号」に改める。
内閣総理大臣 吉田茂
大蔵大臣 小笠原三九郎
農林大臣 保利茂
通商産業大臣 愛知揆一
郵政大臣 塚田十一郎
労働大臣 小坂善太郎