(災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律を改正する法律)
法令番号: 法律第百七十五号
公布年月日: 昭和22年12月13日
法令の形式: 法律
昭和十四年法律第三十九号災害被害者に対する租税の減免、徴收猶予等に関する法律を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十二年十二月十三日
内閣総理大臣 片山哲
法律第百七十五号
第一條 震災、風水害、落雷、火災その他これらに類する災害(以下災害という。)に因る被害者の納付すべき國税の軽減若しくは免除、その課税標準の計算若しくは課税に関する申告及び申請(審査の請求を含む。以下同じ。)に関する特例又はその徴收の猶予については、他の法律に特別の定のある場合を除く外、この法律の定めるところによる。
第二條 災害に因り住宅又は家財について甚大な被害を受けた者で被害を受けた年分の所得金額が八万円以下であるものに対しては、命令の定めるところにより、当該年分の所得税額(所得税法第五十七條第一項の規定により追徴する税額を除く。)を、左の区分により軽減又は免除する。
所得金額が二万五千円以下であるとき 当該所得税額の全部
所得金額が五万円以下であるとき 当該所得税額の十分の五
所得金額が五万円を超えるとき 当該所得税額の十分の二
前項に規定する被害を受けた年分の所得金額は、所得税法第八條に規定する同居親族については、その所得金額を合算した金額による。
第三條 昭和二十二年五月二日以前に開始した相続に対する相続税の納税義務者で災害に因り相続財産(相続開始前一年以内に被相続人が贈與した財産を含む。以下本條及び第六條中同じ。)について課税價格の決定後に甚大な被害を受けたものに対しては、命令の定めるところにより、被害があつた日以後において納付すべき相続税のうち、被害を受けた部分に対する税額を免除する。
第四條 昭和二十二年五月三日以後に開始した相続に対する相続税の納税義務者で災害に因り相続財産について相続税法第三十八條の規定による申告書の提出期限後に甚大な被害を受けたものに対しては、命令の定めるところにより、被害があつた日以後において納付すべき相続税(同法第五十九條第一項の規定により追徴する税額を除く。)のうち、被害を受けた部分に対する税額を免除する。
第五條 災害に因り所得の基因たる資産又は事業の用に供する資産について甚大な被害を受けた者の被害を受けた年分の所得税につき所得を計算する場合においては、当該資産の滅失又は損壞に因る損害金額を、命令の定めるところにより、所得税法に規定する必要な経費とみなす。
第六條 昭和二十二年五月二日以前に開始した相続に対する相続税の納税義務者で災害に因り相続財産について課税價格の決定前に甚大な被害を受けたものの納付すべき相続税については、その相続財産の價額は、命令の定めるところにより、被害を受けた部分の價額を控除した金額により、これを計算する。
第七條 昭和二十二年五月三日以後に開始した相続に対する相続税の納税義務者で災害に因り相続財産について相続税法第三十八條の規定による申告書の提出期限前に甚大な被害を受けたものの納付すべき相続税については、その相続財産の價額は、命令の定めるところにより、被害を受けた部分の價額を控除した金額により、これを計算する。
第八條 災害に因り被害を受けた者の納付すべき所得税、法人税、特別法人税、相続税、酒税、清涼飮料税、物品税及び入場税については、被害のあつた日以後一箇月以内になすべき課税に関する申告及び申請は、災害の止んだ日から二箇月以内にこれをなすことができる。
第九條 政府は、災害に因り被害を受けた者の被害のあつた日以後一年以内において納付すべき所得税、増加所得税、法人税、特別法人税、相続税、酒税、清涼飮料税、物品税及び入場税については、命令の定めるところにより、各納期限から一年以内その徴收を猶予することができる。
第十條 第二條乃至第七條及び前條の規定の適用を受けようとする者は、命令の定めるところにより、政府に申請しなければならない。
附 則
この法律は、昭和二十二年七月二十二日から、これを適用する。
昭和二十二年七月二十二日からこの法律公布の日までの間に生じた災害に因る被害者に対する第八條の規定の適用については、同條中「災害の止んだ日から二箇月以内」とあるのは、「この法律公布の日から一箇月以内」と読み替えるものとする。
昭和二十二年七月二十一日以前に生じた災害については、なお從前の例による。
大藏大臣 栗栖赳夫
内閣総理大臣 片山哲
昭和十四年法律第三十九号災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十二年十二月十三日
内閣総理大臣 片山哲
法律第百七十五号
第一条 震災、風水害、落雷、火災その他これらに類する災害(以下災害という。)に因る被害者の納付すべき国税の軽減若しくは免除、その課税標準の計算若しくは課税に関する申告及び申請(審査の請求を含む。以下同じ。)に関する特例又はその徴収の猶予については、他の法律に特別の定のある場合を除く外、この法律の定めるところによる。
第二条 災害に因り住宅又は家財について甚大な被害を受けた者で被害を受けた年分の所得金額が八万円以下であるものに対しては、命令の定めるところにより、当該年分の所得税額(所得税法第五十七条第一項の規定により追徴する税額を除く。)を、左の区分により軽減又は免除する。
所得金額が二万五千円以下であるとき 当該所得税額の全部
所得金額が五万円以下であるとき 当該所得税額の十分の五
所得金額が五万円を超えるとき 当該所得税額の十分の二
前項に規定する被害を受けた年分の所得金額は、所得税法第八条に規定する同居親族については、その所得金額を合算した金額による。
第三条 昭和二十二年五月二日以前に開始した相続に対する相続税の納税義務者で災害に因り相続財産(相続開始前一年以内に被相続人が贈与した財産を含む。以下本条及び第六条中同じ。)について課税価格の決定後に甚大な被害を受けたものに対しては、命令の定めるところにより、被害があつた日以後において納付すべき相続税のうち、被害を受けた部分に対する税額を免除する。
第四条 昭和二十二年五月三日以後に開始した相続に対する相続税の納税義務者で災害に因り相続財産について相続税法第三十八条の規定による申告書の提出期限後に甚大な被害を受けたものに対しては、命令の定めるところにより、被害があつた日以後において納付すべき相続税(同法第五十九条第一項の規定により追徴する税額を除く。)のうち、被害を受けた部分に対する税額を免除する。
第五条 災害に因り所得の基因たる資産又は事業の用に供する資産について甚大な被害を受けた者の被害を受けた年分の所得税につき所得を計算する場合においては、当該資産の滅失又は損壊に因る損害金額を、命令の定めるところにより、所得税法に規定する必要な経費とみなす。
第六条 昭和二十二年五月二日以前に開始した相続に対する相続税の納税義務者で災害に因り相続財産について課税価格の決定前に甚大な被害を受けたものの納付すべき相続税については、その相続財産の価額は、命令の定めるところにより、被害を受けた部分の価額を控除した金額により、これを計算する。
第七条 昭和二十二年五月三日以後に開始した相続に対する相続税の納税義務者で災害に因り相続財産について相続税法第三十八条の規定による申告書の提出期限前に甚大な被害を受けたものの納付すべき相続税については、その相続財産の価額は、命令の定めるところにより、被害を受けた部分の価額を控除した金額により、これを計算する。
第八条 災害に因り被害を受けた者の納付すべき所得税、法人税、特別法人税、相続税、酒税、清涼飲料税、物品税及び入場税については、被害のあつた日以後一箇月以内になすべき課税に関する申告及び申請は、災害の止んだ日から二箇月以内にこれをなすことができる。
第九条 政府は、災害に因り被害を受けた者の被害のあつた日以後一年以内において納付すべき所得税、増加所得税、法人税、特別法人税、相続税、酒税、清涼飲料税、物品税及び入場税については、命令の定めるところにより、各納期限から一年以内その徴収を猶予することができる。
第十条 第二条乃至第七条及び前条の規定の適用を受けようとする者は、命令の定めるところにより、政府に申請しなければならない。
附 則
この法律は、昭和二十二年七月二十二日から、これを適用する。
昭和二十二年七月二十二日からこの法律公布の日までの間に生じた災害に因る被害者に対する第八条の規定の適用については、同条中「災害の止んだ日から二箇月以内」とあるのは、「この法律公布の日から一箇月以内」と読み替えるものとする。
昭和二十二年七月二十一日以前に生じた災害については、なお従前の例による。
大蔵大臣 栗栖赳夫
内閣総理大臣 片山哲