災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律
法令番号: 法律第70号
公布年月日: 昭和25年3月31日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

今回の税制改正に関連して、所得税、相続税、富裕税法等の災害減免に関する規定を整備するものである。所得税については、住宅または家財について甚大な被害を受けた者に対する所得税の軽減免除を受ける者の所得金額の範囲を、従来の15万円から30万円に引き上げる。富裕税については、災害による被害を受けた財産の価格を控除した金額で計算することとし、相続税の減免についても必要な整備を行う。また、昭和23年及び24年中の災害による事業用資産等の被害者については、個人・法人とも損失額を3年間必要経費等として認める特例を設け、被害負担の不均衡を是正する。

参照した発言:
第7回国会 衆議院 大蔵委員会 第39号

審議経過

第7回国会

衆議院
(昭和25年3月24日)
参議院
(昭和25年3月24日)
(昭和25年3月27日)
(昭和25年3月28日)
衆議院
(昭和25年3月29日)
(昭和25年3月30日)
参議院
(昭和25年3月30日)
(昭和25年3月31日)
(昭和25年3月31日)
衆議院
(昭和25年5月3日)
参議院
(昭和25年5月2日)
災害被害者に対する租税の減免、徴收猶予等に関する法律の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十五年三月三十一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第七十号
災害被害者に対する租税の減免、徴收猶予等に関する法律の一部を改正する法律
災害被害者に対する租税の減免、徴收猶予等に関する法律(昭和二十二年法律第百七十五号)の一部を次のように改正する。
第二條及び第三條を次のように改める。
第二條 災害に因り住宅又は家財について甚大な被害を受けた者で被害を受けた年分の総所得金額が三十万円以下であるもの(当該災害に因る損失額について所得税法第十一條の三の規定による控除をしない者に限る。)に対しては、命令の定めるところにより、当該年分の所得税額(同法第五十七條第一項から第三項まで、第五十七條の二第一項から第三項まで又は第六十二條の四第一項の規定により徴收する過少申告加算税額、無申告加算税額、重加算税額又は加算税額及び国税徴收法第九條第三項の規定により徴收する延滯加算税額を除く。)を、左の区分により軽減し又は免除する。
総所得金額が十五万円以下であるとき 当該所得税額の全部
総所得金額が十五万円をこえるとき 当該所得税額の十分の五
所得税法第十三條の二第一項又は第十三條の三第一項の規定により所得の金額を合算する場合においては、前項の総所得金額は、同法第十三條の二第一項に規定する主たる所得者以外の親族の同項に規定する資産所得の金額又は扶養親族の総所得金額(同法第十三條の二第二項の規定の適用がある場合においては、総所得金額から資産所得の金額を控除した金額)を主たる所得者の総所得金額又は納税義務者の総所得金額(同項の規定の適用がある場合においては、総所得金額から資産所得の金額を控除した金額)に合算した金額による。
第一項の総所得金額は、所得税法第十四條の二第一項又は第二項の規定の適用がある場合においては、当該総所得金額に被害を受けた年分に係る同法第十四條第一項第二号に規定する特別所得金額の四分の一に相当する金額を加算した金額による。
第三條 削除
第四條中「昭和二十二年五月三日以後に開始した相続に対する」を削り、「相続財産」を「相続、遺贈又は贈與に因り取得した財産」に、「第三十八條」を「第二十七條第一項、第二十八條第一項から第四項まで又は第二十九條第一項」に、「第五十九條第一項の規定により追徴する税額」を「第五十三條第一項若しくは第二項又は第五十四條第一項の規定により徴收する過少申告加算税額、無申告加算税額又は重加算税額及び国税徴收法第九條第三項の規定により徴收する延滯加算税額」に改める。
第五條を次のように改める。
第五條 削除
第六條を削り、第七條中「昭和二十二年五月三日以後に開始した相続に対する」を削り、「相続財産について相続税法第三十八條」を「相続、遺贈又は贈與に因り取得した財産について相続税法第二十七條第一項、第二十八條第一項から第四項まで又は第二十九條第一項」に、「その相続財産」を「当該財産」に改め、同條を第六條とし、同條の次に次の一條を加える。
第七條 富裕税の納税義務者で災害に因り富裕税の課税価格計算の基礎となつた財産について富裕税法第一條第一号に規定する課税時期後同法第十八條第一項から第四項までの規定による申告書の提出期限前に甚大な被害を受けたものの納付すべき当該課税時期を含む年分の富裕税については、その財産の価額は、命令の定めるところにより、被害を受けた部分の価額を控除した金額により、これを計算する。
第八條中「相続税、」の下に「富裕税、」を加える。
第九條中「相続税、」の下に「富裕税、」を加える。
第十條中「第二條乃至第七條」を「第二條、第四條、第六條、第七條」に改める。
附 則
1 この法律は、昭和二十五年四月一日から施行する。
2 第二條の改正規定は、昭和二十五年分の所得税から適用する。
3 昭和二十三年一月一日から昭和二十四年十二月三十一日までの間に生じた災害に因り所得の基因たる資産又は事業の用に供する資産について甚大な被害を受けた個人の被害を受けた年の翌年から三年間の各年分の所得税につき所得を計算する場合においては、当該資産の滅失又は損壞に因る損害金額(保險金等に因り補てんされた金額を除く。以下同じ。)で被害を受けた年分の確定申告書に記載された金額に相当する金額のうち、同年分の所得の計算上改正前の第五條の規定により必要な経費として控除されなかつたものは、所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)に規定する必要な経費とみなす。但し、当該各年の前年までに所得の計算上控除された金額については、この限りでない。
4 前項の規定は、第五項に規定する場合を除く外、その適用を受けようとする年分の所得税法第二十一條第一項、第二十一條の二第一項、第二十二條第一項、第二十二條の二第一項、第二十六條第一項、第二十六條の二第一項、第二十六條の三第一項又は第二十九條第一項若しくは第二項の規定による申告書にその旨、被害の状況及び損害金額のうち当該年の前年までに所得の計算上必要な経費として控除されなかつた金額を記載した場合に限り適用する。
5 第三項の規定により昭和二十四年分の所得の計算についてその災害に因る損害金額を新たに必要な経費として控除することができることとなつた者が、同年分の所得税について同項の規定の適用を受けようとするときは、この法律施行後二月以内に、同年分の所得税額につき更正の請求をしなければならない。
6 第三項の規定に該当する場合を除く外、昭和二十四年分以前の所得税については、なお改正前の第五條の例による。
7 昭和二十三年一月一日以後昭和二十四年十二月三十一日を含む事業年度終了の日までの間に生じた災害に因り法人がその有する資産の過半を滅失し、又は損壞したために生じた損金は、法人税法の一部を改正する法律(昭和二十五年法律第七十三号)による改正前の法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)第九條第四項の規定にかかわらず、当該損金の生じた事業年度終了の日の翌日から三年以内に終了する各事業年度の所得(昭和二十五年三月三十一日以前に終了した事業年度については、各事業年度の普通所得。以下同じ。)の計算上、損金に算入する。但し、当該各事業年度の前事業年度までに各事業年度の所得の計算上総益金から控除された金額については、この限りでない。
8 前項の規定の適用を受けようとする法人は、第九項に規定する場合を除く外、その適用を受けようとする事業年度分の法人税法第十八條第一項、第十九條第一項但書(同條第七項において準用する場合を含む。)、第二十條第一項又は第二十一條第一項の規定による申告書にその旨、被害の状況及び災害に因り生じた損失の額のうち当該事業年度の前事業年度までに各事業年度の所得の計算上総益金から控除されなかつた金額を記載しなければならない。
9 第七項の規定によりこの法律施行前に終了した事業年度分についてその災害に因り生じた損金を新たに総益金から控除を受けることができることとなつた法人が、当該事業年度分の法人税について同項の規定の適用を受けようとするときは、この法律施行後二月以内に、当該事業年度の普通所得金額若しくは超過所得金額又は資本金額を修正する申告書を提出しなければならない。
10 第四條又は第六條の改正規定は、昭和二十五年一月一日以後相続、遺贈又は贈與に因り取得した財産に対する相続税から適用する。
11 昭和二十四年十二月三十一日以前に開始した相続に対する相続税については、なお改正前の第三條、第四條、第六條又は第七條の例による。
大蔵大臣 池田勇人
内閣総理大臣 吉田茂
災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十五年三月三十一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第七十号
災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律
災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律(昭和二十二年法律第百七十五号)の一部を次のように改正する。
第二条及び第三条を次のように改める。
第二条 災害に因り住宅又は家財について甚大な被害を受けた者で被害を受けた年分の総所得金額が三十万円以下であるもの(当該災害に因る損失額について所得税法第十一条の三の規定による控除をしない者に限る。)に対しては、命令の定めるところにより、当該年分の所得税額(同法第五十七条第一項から第三項まで、第五十七条の二第一項から第三項まで又は第六十二条の四第一項の規定により徴収する過少申告加算税額、無申告加算税額、重加算税額又は加算税額及び国税徴収法第九条第三項の規定により徴収する延滞加算税額を除く。)を、左の区分により軽減し又は免除する。
総所得金額が十五万円以下であるとき 当該所得税額の全部
総所得金額が十五万円をこえるとき 当該所得税額の十分の五
所得税法第十三条の二第一項又は第十三条の三第一項の規定により所得の金額を合算する場合においては、前項の総所得金額は、同法第十三条の二第一項に規定する主たる所得者以外の親族の同項に規定する資産所得の金額又は扶養親族の総所得金額(同法第十三条の二第二項の規定の適用がある場合においては、総所得金額から資産所得の金額を控除した金額)を主たる所得者の総所得金額又は納税義務者の総所得金額(同項の規定の適用がある場合においては、総所得金額から資産所得の金額を控除した金額)に合算した金額による。
第一項の総所得金額は、所得税法第十四条の二第一項又は第二項の規定の適用がある場合においては、当該総所得金額に被害を受けた年分に係る同法第十四条第一項第二号に規定する特別所得金額の四分の一に相当する金額を加算した金額による。
第三条 削除
第四条中「昭和二十二年五月三日以後に開始した相続に対する」を削り、「相続財産」を「相続、遺贈又は贈与に因り取得した財産」に、「第三十八条」を「第二十七条第一項、第二十八条第一項から第四項まで又は第二十九条第一項」に、「第五十九条第一項の規定により追徴する税額」を「第五十三条第一項若しくは第二項又は第五十四条第一項の規定により徴収する過少申告加算税額、無申告加算税額又は重加算税額及び国税徴収法第九条第三項の規定により徴収する延滞加算税額」に改める。
第五条を次のように改める。
第五条 削除
第六条を削り、第七条中「昭和二十二年五月三日以後に開始した相続に対する」を削り、「相続財産について相続税法第三十八条」を「相続、遺贈又は贈与に因り取得した財産について相続税法第二十七条第一項、第二十八条第一項から第四項まで又は第二十九条第一項」に、「その相続財産」を「当該財産」に改め、同条を第六条とし、同条の次に次の一条を加える。
第七条 富裕税の納税義務者で災害に因り富裕税の課税価格計算の基礎となつた財産について富裕税法第一条第一号に規定する課税時期後同法第十八条第一項から第四項までの規定による申告書の提出期限前に甚大な被害を受けたものの納付すべき当該課税時期を含む年分の富裕税については、その財産の価額は、命令の定めるところにより、被害を受けた部分の価額を控除した金額により、これを計算する。
第八条中「相続税、」の下に「富裕税、」を加える。
第九条中「相続税、」の下に「富裕税、」を加える。
第十条中「第二条乃至第七条」を「第二条、第四条、第六条、第七条」に改める。
附 則
1 この法律は、昭和二十五年四月一日から施行する。
2 第二条の改正規定は、昭和二十五年分の所得税から適用する。
3 昭和二十三年一月一日から昭和二十四年十二月三十一日までの間に生じた災害に因り所得の基因たる資産又は事業の用に供する資産について甚大な被害を受けた個人の被害を受けた年の翌年から三年間の各年分の所得税につき所得を計算する場合においては、当該資産の滅失又は損壊に因る損害金額(保険金等に因り補てんされた金額を除く。以下同じ。)で被害を受けた年分の確定申告書に記載された金額に相当する金額のうち、同年分の所得の計算上改正前の第五条の規定により必要な経費として控除されなかつたものは、所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)に規定する必要な経費とみなす。但し、当該各年の前年までに所得の計算上控除された金額については、この限りでない。
4 前項の規定は、第五項に規定する場合を除く外、その適用を受けようとする年分の所得税法第二十一条第一項、第二十一条の二第一項、第二十二条第一項、第二十二条の二第一項、第二十六条第一項、第二十六条の二第一項、第二十六条の三第一項又は第二十九条第一項若しくは第二項の規定による申告書にその旨、被害の状況及び損害金額のうち当該年の前年までに所得の計算上必要な経費として控除されなかつた金額を記載した場合に限り適用する。
5 第三項の規定により昭和二十四年分の所得の計算についてその災害に因る損害金額を新たに必要な経費として控除することができることとなつた者が、同年分の所得税について同項の規定の適用を受けようとするときは、この法律施行後二月以内に、同年分の所得税額につき更正の請求をしなければならない。
6 第三項の規定に該当する場合を除く外、昭和二十四年分以前の所得税については、なお改正前の第五条の例による。
7 昭和二十三年一月一日以後昭和二十四年十二月三十一日を含む事業年度終了の日までの間に生じた災害に因り法人がその有する資産の過半を滅失し、又は損壊したために生じた損金は、法人税法の一部を改正する法律(昭和二十五年法律第七十三号)による改正前の法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)第九条第四項の規定にかかわらず、当該損金の生じた事業年度終了の日の翌日から三年以内に終了する各事業年度の所得(昭和二十五年三月三十一日以前に終了した事業年度については、各事業年度の普通所得。以下同じ。)の計算上、損金に算入する。但し、当該各事業年度の前事業年度までに各事業年度の所得の計算上総益金から控除された金額については、この限りでない。
8 前項の規定の適用を受けようとする法人は、第九項に規定する場合を除く外、その適用を受けようとする事業年度分の法人税法第十八条第一項、第十九条第一項但書(同条第七項において準用する場合を含む。)、第二十条第一項又は第二十一条第一項の規定による申告書にその旨、被害の状況及び災害に因り生じた損失の額のうち当該事業年度の前事業年度までに各事業年度の所得の計算上総益金から控除されなかつた金額を記載しなければならない。
9 第七項の規定によりこの法律施行前に終了した事業年度分についてその災害に因り生じた損金を新たに総益金から控除を受けることができることとなつた法人が、当該事業年度分の法人税について同項の規定の適用を受けようとするときは、この法律施行後二月以内に、当該事業年度の普通所得金額若しくは超過所得金額又は資本金額を修正する申告書を提出しなければならない。
10 第四条又は第六条の改正規定は、昭和二十五年一月一日以後相続、遺贈又は贈与に因り取得した財産に対する相続税から適用する。
11 昭和二十四年十二月三十一日以前に開始した相続に対する相続税については、なお改正前の第三条、第四条、第六条又は第七条の例による。
大蔵大臣 池田勇人
内閣総理大臣 吉田茂