特定中小企業の安定に関する臨時措置法
法令番号: 法律第294号
公布年月日: 昭和27年8月1日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

中小企業は産業構成上重要な地位を占め、従業員数は全産業の78%に及ぶ。朝鮮事変後の異常景気から平常時に移行する中で、中小企業への影響が深刻化している。そこで、工業部門において中小企業が3分の2以上を占め、総生産数量の約2分の1以上を生産している業種を対象に、需給の均衡が著しく失われ産業存立に重大な影響を及ぼすおそれがある場合、調整組合の設立を認め、生産・出荷数量や設備に関する制限を可能とする。これにより特定産業の安定を図り、国民経済の円滑な運行を進めることを目的とする。

参照した発言:
第13回国会 衆議院 通商産業委員会 第48号

審議経過

第13回国会

衆議院
(昭和27年6月5日)
参議院
(昭和27年6月5日)
衆議院
(昭和27年6月6日)
(昭和27年6月10日)
(昭和27年6月11日)
参議院
衆議院
(昭和27年6月12日)
(昭和27年6月13日)
(昭和27年6月14日)
(昭和27年6月17日)
(昭和27年6月17日)
参議院
(昭和27年6月20日)
(昭和27年6月26日)
(昭和27年6月27日)
(昭和27年6月28日)
(昭和27年7月7日)
衆議院
(昭和27年7月31日)
(昭和27年7月31日)
特定中小企業の安定に関する臨時措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十七年八月一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百九十四号
特定中小企業の安定に関する臨時措置法
(目的)
第一條 この法律は、中小企業の占める重要性が極めて高い工業部門について、製品の需給が著しく均衡を失した場合において、適切な需給調整措置を講ずることができるようにし、もつて中小企業の安定を確保し、国民経済の健全な発展に資することを目的とする。
(適用業種の指定及び中小企業者の定義)
第二條 この法律の適用を受ける業種は、工業部門に属する業種であつて、当該業種に属する事業を営む者の総数のおおむね三分の二以上が中小企業者であり、且つ、当該業種に係る製品(加工品を含む。以下同じ。)の過去一年間の総生産数量のおおむね二分の一以上が中小企業者によつて生産されている業種について、左の各号に掲げる事態が生じた場合に、別表において指定するものとする。
一 当該業種に係る製品の価格がその原材料の価格に照して著しく低いため、当該業種に属する事業の経営において相当の損失が生じていること。
二 当該業種に属する事業の経営の不振が相当長期間にわたる虞があり、企業の合理化のみによつてはこれを克服することが困難であり、当該業種に係る産業及び関連産業の存立に重大な影響を及ぼす虞があること。
2 この法律で「中小企業者」とは、常時使用する従業員の数が三百人以下の事業者をいう。
(調整組合)
第三條 別表に掲げる業種(以下「指定業種」という。)に属する事業を営む者は、その共同の利益を増進するため、調整組合を組織することができる。
(法人格)
第四條 調整組合は、法人とする。
(原則)
第五條 調整組合は、左の要件を備えなければならない。
一 営利を目的としないこと。
二 組合員が任意に加入し又は脱退することができること。
三 組合員の議決権及び選挙権が平等であること。
(名称)
第六條 調整組合は、その名称中に調整組合という文字を用いなければならない。
2 調整組合でない者は、その名称中に調整組合という文字を用いてはならない。
(地区の重複禁止)
第七條 調整組合の地区は、相互に重複するものがあつてはならない。但し、業種を異にするものは、この限りでない。
(組合員の資格)
第八條 調整組合の組合員たる資格を有する者は、組合の地区内において指定業種に属する事業を営む者とする。
(組合の構成要件)
第九條 調整組合は、その組合員の総数がその地区内において定款で定める組合員たる資格に係る業種に属する事業を営む者の総数の二分の一以上であり、且つ、その総組合員の三分の二以上が中小企業者であるものでなければ、これを設立することができない。
(設立の認可)
第十條 発起人は、創立総会の終了後遅滞なく、定款その他必要な事項を記載した書類を通商産業大臣に提出して、設立の認可を受けなければならない。
2 通商産業大臣は、前項の認可の申請があつた場合において、設立しようとする調整組合が左の各号に適合していると認めるときは、認可をしなければならない。
一 第二條第一項各号に掲げる事態を克服するためその設立が必要であること。
二 第五條各号の要件を備えていること。
三 前條の構成要件を備えていること。
四 設立手続及び定款の内容が法令に違反しないこと。
五 その地区及び構成がその事業を行うのに適正なものであること。
(定款)
第十一條 調整組合の定款には、少くとも左に掲げる事項を記載しなければならない。
一 事業
二 名称
三 地区
四 事務所の所在地
五 組合員たる資格に関する規定
六 組合員の加入及び脱退に関する規定
七 組合員の権利義務に関する規定
八 事業の執行に関する規定
九 役員に関する規定
十 会議に関する規定
十一 会計に関する規定
十二 公告の方法
2 調整組合の定款には、前項の事項の外、調整組合の存立時期又は解散の事由を定めたときは、その時期又は事由を記載しなければならない。
(定款の変更)
第十二條 定款の変更は、通商産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(合併)
第十三條 調整組合の合併は、通商産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(解散)
第十四條 通商産業大臣は、調整組合が左の各号の一に該当すると認めるときは、その調整組合の解散を命ずることができる。
一 第五條各号に適合するものでなくなつたとき。
二 第九條の構成要件を欠くに至つたとき。
三 定款に定める事業以外の事業を行つたとき。
2 通商産業大臣が調整組合の解散を命じた場合における第二十八條において準用する中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第八十八條の規定による解散の登記は、通商産業大臣の嘱託によつてする。
(事業)
第十五條 調整組合は、左に掲げる事業を行うことができる。
一 組合員が生産(製造又は加工をいう。)をする指定業種に係る製品の生産数量若しくは出荷数量又はその生産設備に関する制限
二 組合員の事業(指定業種に係るものに限る。)の経営の合理化に関する指導及びあつ旋
三 組合員に対する生産調整及び経営合理化のための資金の貸付並びに組合員のためにするその借入
四 前三号に掲げる事業を行うために必要な調査、研究、製品の検査その他の事業
(調整規定の認可)
第十六條 調整組合は、前條第一号に掲げる事業を行おうとするときは、調整規程(制限の内容及びその実施に関する定をいう。以下同じ。)を定めて通商産業大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 通商産業大臣は、前項の認可の申請があつた場合において、当該調整規程の内容が左の各号の一に該当すると認めるときは、認可をしてはならない。
一 第二條第一項各号に掲げる事態を克服するための必要且つ最小限度の範囲をこえること。
二 不当に差別的であること。
三 消費者の利益を著しく害すること。
(調整規程の実施の予告)
第十七條 調整組合の組合員たる事業主は、調整規程の実施の期日の少くとも十五日前に、その従業員に対し、当該調整規程の実施について予告をしなければならない。但し、緊急やむを得ない場合は、この限りでない。
(調整規程の変更命令及び認可の取消)
第十八條 通商産業大臣は、第十六條第一項の認可をした後において、当該調整規程の内容が同條第二項各号の一に該当するに至つたと認めるときは、当該調整組合に対し、これを変更すべきことを命じなければならない。
2 通商産業大臣は、第十六條第一項の認可をした後において、当該調整組合が前項の命令に従わないとき、又は当該調整規程の内容が同條第二項各号の一に該当するに至つたと認めるときは、同條第一項の認可を取り消すことができる。
(調整規程の廃止の届出)
第十九條 調整組合は、調整規程を廃止したときは、遅滞なく、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。
(過怠金)
第二十條 調整組合は、定款の定めるところにより、第十六條第一項の認可を受けた調整規程に違反した組合員に対し、過怠金を課することができる。
(検査員)
第二十一條 調整組合は、定款の定めるところにより、調整規程の実施を検査するために、検査員を置くことができる。
2 検査員は、前項の規定により検査をする場合においては、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。
(調整規程の設定等に関する決議)
第二十二條 調整規程の設定、変更又は廃止は、総会の決議によらなければならない。
2 前項の決議は、総組合員の半数以上が出席し、その三分の二以上の多数をもつてしなければならない。
(離職従業員の優先雇用)
第二十三條 調整組合の組合員たる事業主は、調整規程の実施がその従業員の離職を招来した場合においては、その後の従業員の採用については、当該離職者の希望によりその者を優先的に雇い入れるように努めなければならない。
(調整組合連合会)
第二十四條 同一の業種に係る調整組合は、調整組合連合会(以下「連合会」という。)を組織することができる。
(連合会の会員の議決権及び選挙権)
第二十五條 連合会の会員の議決権及び選挙権は、会員たる調整組合の組合員の員数に応じて、定款で定めるものとする。
(連合会の事業)
第二十六條 連合会は、左に掲げる事業を行うことができる。
一 会員たる調整組合が行うその組合員に対する指定業種に係る製品の生産数量若しくは出荷数量又はその生産設備に関する制限についての総合調整計画の設定及びその実施
二 会員たる調整組合が行う経営の合理化に関する事業の総合調整
三 会員たる調整組合及びその組合員に対する生産調整及び経営合理化のための資金の貸付並びに会員たる調整組合及びその組合員のためにするその借入
四 前三号に掲げる事業を行うために必要な調査、研究、製品の検査その他の事業
(準用)
第二十七條 第四條、第五條(第三号を除く。)、第六條、第十條、第十一條(第一項第三号を除く。)から第十四條まで、第十六條及び第十八條から第二十二條までの規定は、連合会に準用する。この場合において、第二十二條第二項中「総組合員の半数以上」とあるのは「議決権の総数の半数以上に相当する議決権を有する会員」と、「その三分の二」とあるのは「その議決権の三分の二」と読み替えるものとする。
第二十八條 中小企業等協同組合法第三條第二項(住所)、第八條(登記)、第十二條から第十四條まで、第十九條(組合員)、第二十七條、第二十八條、第三十條から第三十二條まで(設立)、第三十五條から第三十六條の三まで、第三十七條第一項、第三十八條から第四十二條まで(役員)、第四十六條から第五十條まで、第五十一條第一項、第五十二條から第五十四條まで(総会)、第六十二條から第六十六條まで、第六十八條、第六十九條(解散及び清算)、第八十三條(第二項第五号を除く。)、第八十四條、第八十五條、第八十六條第一項、第八十八條から第九十五條まで、第九十七條第一項及び第二項、第九十八條から第百三條まで(登記)並びに第百十五條第二号から第六号の二まで、第八号から第十二号まで及び第十五号から第十七号まで(罰則)の規定は、調整組合及び連合会に、同法第十一條(議決権及び選挙権)の規定は、調整組合に準用する。この場合において、第二十八條中「前條第一項の認証」とあるのは「特定中小企業の安定に関する臨時措置法第十條の認可」と、第五十二條中「総組合員の半数以上」とあるのは連合会にあつては「議決権の総数の半数以上に相当する議決権を有する会員」と、第六十二條第一項中
五 事業の全部の譲渡
六 解散を命ずる裁判
とあるのは「五 特定中小企業の安定に関する臨時措置法第十四條第一項の規定による解散の命令」と、第六十三條第一項中「合併し、又はその事業の全部を譲渡する」とあるのは「合併する」と、同條第二項中「合併又は事業の全部の譲渡」とあるのは「合併」と、第八十三條第一項中「第二十九條の規定による出資の払込」とあるのは「特定中小企業の安定に関する臨時措置法第十條の認可」と、第九十二條第二項中「事業協同組合登記簿、信用協同組合登記簿、中小企業等協同組合連合会登記簿及び企業組合登記簿」とあるのは「調整組合登記簿及び調整組合連合会登記簿」と、第九十三條第二項中「書面並びに出資の総口数及び第二十九條の規定による出資の払込のあつたことを証する書面」とあるのは「書面」と、第九十七條第一項中「第三項」とあるのは「特定中小企業の安定に関する臨時措置法第十四條第二項」と読み替えるものとする。
(生産数量等の制限に関する勧告及び命令)
第二十九條 同一の業種に属する事業を営む者の大部分が一の連合会の総合調整計画又は一の調整組合の調整規程の適用を受けることとなつた場合において、当該連合会又は調整組合の申出があつたときは、通商産業大臣は、左の各号の一に掲げる事態が生じ、且つ、かような事態を放置しては当該業種に係る産業及びその関連産業の存立に及ぼす重大な悪影響を除去することができないと認めるときに限り、当該総合調整計画又は調整規程の内容を参しやくして当該業種に係る製品の生産数量若しくは出荷数量又はその生産設備に関する制限を定め、当該業種に属する事業を営む者のすべてに対し、これに従うべき旨の勧告をすることができる。
一 当該業種に属する事業者で当該総合調整計画又は調整規程の適用を受けないものの事業活動が当該業種に係る製品の需給調整を阻害しているとき。
二 当該連合会又は調整組合の自主的活動をもつてしては当該業種に係る製品の需給調整の目的を達成することができないとき。
2 通商産業大臣は、前項の勧告をした後において、なお当該業種に係る製品の需給調整の目的が達成されていないと認めるときは、通商産業省令をもつて、当該業種に属する事業の経営に関し、一般的に同項の勧告の内容と同一の内容の制限をすることができる。
3 第一項の勧告は、個々の事業者に対する勧告に代えて、官報をもつて当該業種及び勧告の内容を公告して、これをすることができる。
(公正取引委員会との関係)
第三十條 通商産業大臣は、第十條第一項又は第十三條(第二十七條においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の認可をしようとするときは、あらかじめ、公正取引委員会に協議しなければならない。
2 通商産業大臣は、第十六條第一項(第二十七條において準用する場合を含む。)の認可、第十八條第一項(第二十七條において準用する場合を含む。)の命令又は前條第一項の勧告をしようとするときは、あらかじめ、公正取引委員会の同意を得なければならない。
3 公正取引委員会は、第十六條第一項(第二十七條において準用する場合を含む。)の認可を受けた調整規程又は総合調整計画の内容が第十六條第二項各号の一(第二十七條において準用する場合を含む。)に該当するに至つたと認めるときは、通商産業大臣に対し、第十八條(第二十七條において準用する場合を含む。)の規定による処分をすべき旨を請求することができる。
(報告及び検査)
第三十一條 通商産業大臣は、この法律に規定する権限を実施するため必要な限度において、指定業種に属する事業を営む者若しくはその団体から必要な報告を徴し、又はその職員をしてその事業所若しくは事務所に立ち入り、業務の状況、帳簿書類、設備若しくは製品の検査をさせることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。
(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律等の適用除外)
第三十二條 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)及び事業者団体法(昭和二十三年法律第百九十一号)の規定は、調整組合若しくはその組合員又は連合会若しくはその会員が認可を受けた調整規程又は総合調整計画に基いて行う行為及び第二十九條第一項の規程による勧告を受けた者が当該勧告に基いて行う行為には、適用しない。
(中小企業安定審議会)
第三十三條 この法律の規定により通商産業大臣が行う認可、命令及び勧告その他この法律の施行に関する重要事項を調査審議するため、通商産業省に、中小企業安定審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、会長一人及び委員五十人以内で組織する。
3 会長及び委員は、指定業種に属する事業を営む者、指定業種に属する事業の従業員の利益を代表する者、その製品に係る販売業者及び消費者、指定業種に関連する事業を営む者、金融機関の役職員並びに学識経験者のうちから、通商産業大臣が任命する。
4 前各項に定めるものの外、審議会の事務をつかさどる機関、審議会の組織、議事及び運営その他審議会に関し必要な事項は、政令で定める。
(審議会の付議事項)
第三十四條 通商産業大臣は、第十條、第十三條若しくは第十六條第一項(第二十七條においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の認可、第二十九條第一項の勧告又は第十八條第一項(第二十七條において準用する場合を含む。)若しくは第二十九條第二項の命令をしようとするときは、審議会の議に付し、その意見を尊重してこれをしなければならない。
(関係都道府県知事の意見の聴取)
第三十五條 通商産業大臣は、第十六條第一項又は第十八條第一項(第二十七條においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の認可又は命令をしようとする場合において、当該調整規程又は総合調整計画の実施が関係都道府県における産業に著しい影響を及ぼすと認めるときは、あらかじめ、当該都道府県知事の意見を聞かなければならない。
(実施規定)
第三十六條 この法律に規定するものの外、この法律の実施のための手続その他その施行について必要な事項は、通商産業省令で定める。
(罰則)
第三十七條 第二十九條第二項の規定による命令に違反した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
第三十八條 第十六條第一項(第二十七條において準用する場合を含む。)の規定による認可を受けないで調整規程又は総合調整計画を実施した調整組合又は連合会の理事は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第三十九條 第三十一條第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は立入を拒み、若しくは検査を妨げた者は、六月以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
第四十條 第六條第二項(第二十七條において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、三万円以下の罰金に処する。
第四十一條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前四條の違反行為をしたときは、その行為者を罰する外、その法人又は人に対して、各本條の罰金刑を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため、当該業務に対し相当の注意及び監督が尽されたことの証明があつたときは、その法人又は人については、この限りでない。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律は、昭和二十九年三月三十一日まで、その効力を有する。但し、その時までになした行為に対する罰則の適用については、この法律は、その時以後もなおその効力を有する。
別 表
一 綿織物又はステープルフアイバー織物の製造業
二 毛織物の製造業又は染色整理業
三 絹織物又は人絹織物の製造業又は染色加工業
四 メリヤス生地又はメリヤス製品の製造業
五 漁網製造業
六 組ひも、よりひも、幅五インチ未満の織物又は編レースの製造業
七 ねん糸業
八 麻網製造業
九 ガーゼ、脱脂綿、家庭衛生綿又はほう帯の製造業
十 マツチ製造業
十一 ゴム製品製造業で政令で定めるもの
十二 陶磁器製造業で政令で定めるもの
十三 漆器製造業で政令で定めるもの
十四 ほうろう鉄器製造業で政令で定めるもの
内閣総理大臣 吉田茂
通商産業大臣 高橋龍太郎
特定中小企業の安定に関する臨時措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十七年八月一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百九十四号
特定中小企業の安定に関する臨時措置法
(目的)
第一条 この法律は、中小企業の占める重要性が極めて高い工業部門について、製品の需給が著しく均衡を失した場合において、適切な需給調整措置を講ずることができるようにし、もつて中小企業の安定を確保し、国民経済の健全な発展に資することを目的とする。
(適用業種の指定及び中小企業者の定義)
第二条 この法律の適用を受ける業種は、工業部門に属する業種であつて、当該業種に属する事業を営む者の総数のおおむね三分の二以上が中小企業者であり、且つ、当該業種に係る製品(加工品を含む。以下同じ。)の過去一年間の総生産数量のおおむね二分の一以上が中小企業者によつて生産されている業種について、左の各号に掲げる事態が生じた場合に、別表において指定するものとする。
一 当該業種に係る製品の価格がその原材料の価格に照して著しく低いため、当該業種に属する事業の経営において相当の損失が生じていること。
二 当該業種に属する事業の経営の不振が相当長期間にわたる虞があり、企業の合理化のみによつてはこれを克服することが困難であり、当該業種に係る産業及び関連産業の存立に重大な影響を及ぼす虞があること。
2 この法律で「中小企業者」とは、常時使用する従業員の数が三百人以下の事業者をいう。
(調整組合)
第三条 別表に掲げる業種(以下「指定業種」という。)に属する事業を営む者は、その共同の利益を増進するため、調整組合を組織することができる。
(法人格)
第四条 調整組合は、法人とする。
(原則)
第五条 調整組合は、左の要件を備えなければならない。
一 営利を目的としないこと。
二 組合員が任意に加入し又は脱退することができること。
三 組合員の議決権及び選挙権が平等であること。
(名称)
第六条 調整組合は、その名称中に調整組合という文字を用いなければならない。
2 調整組合でない者は、その名称中に調整組合という文字を用いてはならない。
(地区の重複禁止)
第七条 調整組合の地区は、相互に重複するものがあつてはならない。但し、業種を異にするものは、この限りでない。
(組合員の資格)
第八条 調整組合の組合員たる資格を有する者は、組合の地区内において指定業種に属する事業を営む者とする。
(組合の構成要件)
第九条 調整組合は、その組合員の総数がその地区内において定款で定める組合員たる資格に係る業種に属する事業を営む者の総数の二分の一以上であり、且つ、その総組合員の三分の二以上が中小企業者であるものでなければ、これを設立することができない。
(設立の認可)
第十条 発起人は、創立総会の終了後遅滞なく、定款その他必要な事項を記載した書類を通商産業大臣に提出して、設立の認可を受けなければならない。
2 通商産業大臣は、前項の認可の申請があつた場合において、設立しようとする調整組合が左の各号に適合していると認めるときは、認可をしなければならない。
一 第二条第一項各号に掲げる事態を克服するためその設立が必要であること。
二 第五条各号の要件を備えていること。
三 前条の構成要件を備えていること。
四 設立手続及び定款の内容が法令に違反しないこと。
五 その地区及び構成がその事業を行うのに適正なものであること。
(定款)
第十一条 調整組合の定款には、少くとも左に掲げる事項を記載しなければならない。
一 事業
二 名称
三 地区
四 事務所の所在地
五 組合員たる資格に関する規定
六 組合員の加入及び脱退に関する規定
七 組合員の権利義務に関する規定
八 事業の執行に関する規定
九 役員に関する規定
十 会議に関する規定
十一 会計に関する規定
十二 公告の方法
2 調整組合の定款には、前項の事項の外、調整組合の存立時期又は解散の事由を定めたときは、その時期又は事由を記載しなければならない。
(定款の変更)
第十二条 定款の変更は、通商産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(合併)
第十三条 調整組合の合併は、通商産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(解散)
第十四条 通商産業大臣は、調整組合が左の各号の一に該当すると認めるときは、その調整組合の解散を命ずることができる。
一 第五条各号に適合するものでなくなつたとき。
二 第九条の構成要件を欠くに至つたとき。
三 定款に定める事業以外の事業を行つたとき。
2 通商産業大臣が調整組合の解散を命じた場合における第二十八条において準用する中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第八十八条の規定による解散の登記は、通商産業大臣の嘱託によつてする。
(事業)
第十五条 調整組合は、左に掲げる事業を行うことができる。
一 組合員が生産(製造又は加工をいう。)をする指定業種に係る製品の生産数量若しくは出荷数量又はその生産設備に関する制限
二 組合員の事業(指定業種に係るものに限る。)の経営の合理化に関する指導及びあつ旋
三 組合員に対する生産調整及び経営合理化のための資金の貸付並びに組合員のためにするその借入
四 前三号に掲げる事業を行うために必要な調査、研究、製品の検査その他の事業
(調整規定の認可)
第十六条 調整組合は、前条第一号に掲げる事業を行おうとするときは、調整規程(制限の内容及びその実施に関する定をいう。以下同じ。)を定めて通商産業大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 通商産業大臣は、前項の認可の申請があつた場合において、当該調整規程の内容が左の各号の一に該当すると認めるときは、認可をしてはならない。
一 第二条第一項各号に掲げる事態を克服するための必要且つ最小限度の範囲をこえること。
二 不当に差別的であること。
三 消費者の利益を著しく害すること。
(調整規程の実施の予告)
第十七条 調整組合の組合員たる事業主は、調整規程の実施の期日の少くとも十五日前に、その従業員に対し、当該調整規程の実施について予告をしなければならない。但し、緊急やむを得ない場合は、この限りでない。
(調整規程の変更命令及び認可の取消)
第十八条 通商産業大臣は、第十六条第一項の認可をした後において、当該調整規程の内容が同条第二項各号の一に該当するに至つたと認めるときは、当該調整組合に対し、これを変更すべきことを命じなければならない。
2 通商産業大臣は、第十六条第一項の認可をした後において、当該調整組合が前項の命令に従わないとき、又は当該調整規程の内容が同条第二項各号の一に該当するに至つたと認めるときは、同条第一項の認可を取り消すことができる。
(調整規程の廃止の届出)
第十九条 調整組合は、調整規程を廃止したときは、遅滞なく、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。
(過怠金)
第二十条 調整組合は、定款の定めるところにより、第十六条第一項の認可を受けた調整規程に違反した組合員に対し、過怠金を課することができる。
(検査員)
第二十一条 調整組合は、定款の定めるところにより、調整規程の実施を検査するために、検査員を置くことができる。
2 検査員は、前項の規定により検査をする場合においては、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。
(調整規程の設定等に関する決議)
第二十二条 調整規程の設定、変更又は廃止は、総会の決議によらなければならない。
2 前項の決議は、総組合員の半数以上が出席し、その三分の二以上の多数をもつてしなければならない。
(離職従業員の優先雇用)
第二十三条 調整組合の組合員たる事業主は、調整規程の実施がその従業員の離職を招来した場合においては、その後の従業員の採用については、当該離職者の希望によりその者を優先的に雇い入れるように努めなければならない。
(調整組合連合会)
第二十四条 同一の業種に係る調整組合は、調整組合連合会(以下「連合会」という。)を組織することができる。
(連合会の会員の議決権及び選挙権)
第二十五条 連合会の会員の議決権及び選挙権は、会員たる調整組合の組合員の員数に応じて、定款で定めるものとする。
(連合会の事業)
第二十六条 連合会は、左に掲げる事業を行うことができる。
一 会員たる調整組合が行うその組合員に対する指定業種に係る製品の生産数量若しくは出荷数量又はその生産設備に関する制限についての総合調整計画の設定及びその実施
二 会員たる調整組合が行う経営の合理化に関する事業の総合調整
三 会員たる調整組合及びその組合員に対する生産調整及び経営合理化のための資金の貸付並びに会員たる調整組合及びその組合員のためにするその借入
四 前三号に掲げる事業を行うために必要な調査、研究、製品の検査その他の事業
(準用)
第二十七条 第四条、第五条(第三号を除く。)、第六条、第十条、第十一条(第一項第三号を除く。)から第十四条まで、第十六条及び第十八条から第二十二条までの規定は、連合会に準用する。この場合において、第二十二条第二項中「総組合員の半数以上」とあるのは「議決権の総数の半数以上に相当する議決権を有する会員」と、「その三分の二」とあるのは「その議決権の三分の二」と読み替えるものとする。
第二十八条 中小企業等協同組合法第三条第二項(住所)、第八条(登記)、第十二条から第十四条まで、第十九条(組合員)、第二十七条、第二十八条、第三十条から第三十二条まで(設立)、第三十五条から第三十六条の三まで、第三十七条第一項、第三十八条から第四十二条まで(役員)、第四十六条から第五十条まで、第五十一条第一項、第五十二条から第五十四条まで(総会)、第六十二条から第六十六条まで、第六十八条、第六十九条(解散及び清算)、第八十三条(第二項第五号を除く。)、第八十四条、第八十五条、第八十六条第一項、第八十八条から第九十五条まで、第九十七条第一項及び第二項、第九十八条から第百三条まで(登記)並びに第百十五条第二号から第六号の二まで、第八号から第十二号まで及び第十五号から第十七号まで(罰則)の規定は、調整組合及び連合会に、同法第十一条(議決権及び選挙権)の規定は、調整組合に準用する。この場合において、第二十八条中「前条第一項の認証」とあるのは「特定中小企業の安定に関する臨時措置法第十条の認可」と、第五十二条中「総組合員の半数以上」とあるのは連合会にあつては「議決権の総数の半数以上に相当する議決権を有する会員」と、第六十二条第一項中
五 事業の全部の譲渡
六 解散を命ずる裁判
とあるのは「五 特定中小企業の安定に関する臨時措置法第十四条第一項の規定による解散の命令」と、第六十三条第一項中「合併し、又はその事業の全部を譲渡する」とあるのは「合併する」と、同条第二項中「合併又は事業の全部の譲渡」とあるのは「合併」と、第八十三条第一項中「第二十九条の規定による出資の払込」とあるのは「特定中小企業の安定に関する臨時措置法第十条の認可」と、第九十二条第二項中「事業協同組合登記簿、信用協同組合登記簿、中小企業等協同組合連合会登記簿及び企業組合登記簿」とあるのは「調整組合登記簿及び調整組合連合会登記簿」と、第九十三条第二項中「書面並びに出資の総口数及び第二十九条の規定による出資の払込のあつたことを証する書面」とあるのは「書面」と、第九十七条第一項中「第三項」とあるのは「特定中小企業の安定に関する臨時措置法第十四条第二項」と読み替えるものとする。
(生産数量等の制限に関する勧告及び命令)
第二十九条 同一の業種に属する事業を営む者の大部分が一の連合会の総合調整計画又は一の調整組合の調整規程の適用を受けることとなつた場合において、当該連合会又は調整組合の申出があつたときは、通商産業大臣は、左の各号の一に掲げる事態が生じ、且つ、かような事態を放置しては当該業種に係る産業及びその関連産業の存立に及ぼす重大な悪影響を除去することができないと認めるときに限り、当該総合調整計画又は調整規程の内容を参しやくして当該業種に係る製品の生産数量若しくは出荷数量又はその生産設備に関する制限を定め、当該業種に属する事業を営む者のすべてに対し、これに従うべき旨の勧告をすることができる。
一 当該業種に属する事業者で当該総合調整計画又は調整規程の適用を受けないものの事業活動が当該業種に係る製品の需給調整を阻害しているとき。
二 当該連合会又は調整組合の自主的活動をもつてしては当該業種に係る製品の需給調整の目的を達成することができないとき。
2 通商産業大臣は、前項の勧告をした後において、なお当該業種に係る製品の需給調整の目的が達成されていないと認めるときは、通商産業省令をもつて、当該業種に属する事業の経営に関し、一般的に同項の勧告の内容と同一の内容の制限をすることができる。
3 第一項の勧告は、個々の事業者に対する勧告に代えて、官報をもつて当該業種及び勧告の内容を公告して、これをすることができる。
(公正取引委員会との関係)
第三十条 通商産業大臣は、第十条第一項又は第十三条(第二十七条においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の認可をしようとするときは、あらかじめ、公正取引委員会に協議しなければならない。
2 通商産業大臣は、第十六条第一項(第二十七条において準用する場合を含む。)の認可、第十八条第一項(第二十七条において準用する場合を含む。)の命令又は前条第一項の勧告をしようとするときは、あらかじめ、公正取引委員会の同意を得なければならない。
3 公正取引委員会は、第十六条第一項(第二十七条において準用する場合を含む。)の認可を受けた調整規程又は総合調整計画の内容が第十六条第二項各号の一(第二十七条において準用する場合を含む。)に該当するに至つたと認めるときは、通商産業大臣に対し、第十八条(第二十七条において準用する場合を含む。)の規定による処分をすべき旨を請求することができる。
(報告及び検査)
第三十一条 通商産業大臣は、この法律に規定する権限を実施するため必要な限度において、指定業種に属する事業を営む者若しくはその団体から必要な報告を徴し、又はその職員をしてその事業所若しくは事務所に立ち入り、業務の状況、帳簿書類、設備若しくは製品の検査をさせることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。
(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律等の適用除外)
第三十二条 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)及び事業者団体法(昭和二十三年法律第百九十一号)の規定は、調整組合若しくはその組合員又は連合会若しくはその会員が認可を受けた調整規程又は総合調整計画に基いて行う行為及び第二十九条第一項の規程による勧告を受けた者が当該勧告に基いて行う行為には、適用しない。
(中小企業安定審議会)
第三十三条 この法律の規定により通商産業大臣が行う認可、命令及び勧告その他この法律の施行に関する重要事項を調査審議するため、通商産業省に、中小企業安定審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、会長一人及び委員五十人以内で組織する。
3 会長及び委員は、指定業種に属する事業を営む者、指定業種に属する事業の従業員の利益を代表する者、その製品に係る販売業者及び消費者、指定業種に関連する事業を営む者、金融機関の役職員並びに学識経験者のうちから、通商産業大臣が任命する。
4 前各項に定めるものの外、審議会の事務をつかさどる機関、審議会の組織、議事及び運営その他審議会に関し必要な事項は、政令で定める。
(審議会の付議事項)
第三十四条 通商産業大臣は、第十条、第十三条若しくは第十六条第一項(第二十七条においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の認可、第二十九条第一項の勧告又は第十八条第一項(第二十七条において準用する場合を含む。)若しくは第二十九条第二項の命令をしようとするときは、審議会の議に付し、その意見を尊重してこれをしなければならない。
(関係都道府県知事の意見の聴取)
第三十五条 通商産業大臣は、第十六条第一項又は第十八条第一項(第二十七条においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の認可又は命令をしようとする場合において、当該調整規程又は総合調整計画の実施が関係都道府県における産業に著しい影響を及ぼすと認めるときは、あらかじめ、当該都道府県知事の意見を聞かなければならない。
(実施規定)
第三十六条 この法律に規定するものの外、この法律の実施のための手続その他その施行について必要な事項は、通商産業省令で定める。
(罰則)
第三十七条 第二十九条第二項の規定による命令に違反した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
第三十八条 第十六条第一項(第二十七条において準用する場合を含む。)の規定による認可を受けないで調整規程又は総合調整計画を実施した調整組合又は連合会の理事は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第三十九条 第三十一条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は立入を拒み、若しくは検査を妨げた者は、六月以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
第四十条 第六条第二項(第二十七条において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、三万円以下の罰金に処する。
第四十一条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前四条の違反行為をしたときは、その行為者を罰する外、その法人又は人に対して、各本条の罰金刑を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため、当該業務に対し相当の注意及び監督が尽されたことの証明があつたときは、その法人又は人については、この限りでない。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律は、昭和二十九年三月三十一日まで、その効力を有する。但し、その時までになした行為に対する罰則の適用については、この法律は、その時以後もなおその効力を有する。
別 表
一 綿織物又はステープルフアイバー織物の製造業
二 毛織物の製造業又は染色整理業
三 絹織物又は人絹織物の製造業又は染色加工業
四 メリヤス生地又はメリヤス製品の製造業
五 漁網製造業
六 組ひも、よりひも、幅五インチ未満の織物又は編レースの製造業
七 ねん糸業
八 麻網製造業
九 ガーゼ、脱脂綿、家庭衛生綿又はほう帯の製造業
十 マツチ製造業
十一 ゴム製品製造業で政令で定めるもの
十二 陶磁器製造業で政令で定めるもの
十三 漆器製造業で政令で定めるもの
十四 ほうろう鉄器製造業で政令で定めるもの
内閣総理大臣 吉田茂
通商産業大臣 高橋龍太郎