主務大臣ニ於テ第六條但書ニ依リ河川ノ管理若ハ其ノ維持修繕ヲナス場合ニ於テハ國庫ニ於テ其ノ費用ノ全部若ハ一部ヲ負擔スルコトヲ得
第二十五條 通航料徵收ノ許可ヲ受ケテ施設シタル工作物ノ爲ニ要スル費用ハ其ノ徵收期間許可ヲ受ケタル者ノ負擔トス
第二十六條 河川ノ改良工事ニ要スル豫算費用ニシテ其ノ府縣內ノ地租額十分ノ一ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ノ三分ノ二以內ヲ國庫ヨリ補助スルコトヲ得但シ地租額ヲ超過スル部分ニ付テハ其ノ超過額ノ四分ノ三以內ヲ補助スルコトヲ得
災害ニ因リ必要ヲ生シタル工事ニ要スル費用ハ前項ニ依ルノ限ニ在ラス
工事費用精算ノ上豫算ヨリ減スルコトアルモ旣ニ與ヘタル補助金ハ之ヲ還付セシメサルコトヲ得
第二十七條 第八條ニ依リ主務大臣ニ於テ工事ヲ施行スル場合ニ於テハ府縣ハ前條ノ規程ニ準シテ其ノ豫算費用ヲ負擔シ國庫ハ其ノ殘額ヲ負擔スヘシ
前項ノ場合ニ於テ府縣ノ負擔スヘキ金額竝不足額ノ補充及殘餘金ノ處分等ハ主務大臣之ヲ定ム
第二十八條 第八條ニ依リ主務大臣ニ於テ工事ヲ施行スル場合ニ於テハ府縣ハ其ノ負擔スヘキ豫算金額ヲ國庫ニ納付スヘシ
第二十九條 地方行政廳ハ其ノ管內ノ下級公共團體ヲシテ河川ニ關スル費用ノ一部ヲ負擔セシムルコトヲ得
第三十條 河川ノ附屬物ニシテ兼ネテ他ノ工作物ノ效用ヲナスモノアルトキハ其ノ工作物ノ管理者タル行政廳ノ直接ニ管轄スル公共團體若ハ管理者タル私人ヲシテ其ノ附屬物ニ關スル費用ノ全部若ハ一部ヲ負擔セシムルコトヲ得
第三十一條 營業ノ結果ニ因リ特ニ河川ニ關スル工事ノ必要ヲ生セシムルモノアルトキハ其ノ營業者ヲシテ其ノ費用ノ一部ヲ負擔セシムルコトヲ得
第三十二條 河川ニ關スル工事ニシテ他ノ工事ニ因リ必要ヲ生シタルモノナルトキハ其ノ費用ハ工事ノ必要ヲ生シタル程度ニ於テ其ノ原因タル工事ノ費用負擔者ヲシテ之ヲ負擔セシムルコトヲ得
河川ニ關スル工事ニ因リテ必要ヲ生シタル他ノ工事ノ費用ハ其ノ工事ノ管理者タル行政廳ノ直接ニ管轄スル公共團體若ハ管理者タル私人ノ負擔トス但シ命令ノ定ムル所ニ從ヒ河川ニ關スル費用ノ內ヨリ其ノ費用ノ全部若ハ一部ヲ補助スルコトヲ妨ケス
第三十三條 河川ニ關スル工事ニシテ他ノ府縣若ハ他府縣內ノ公共團體ニ於テ著シク利益ヲ受クルモノナルトキ又ハ河川ニ關スル工事若ハ其ノ維持ニシテ主トシテ他府縣內ノ住民ノ河川ノ使用ニ因リ必要ヲ生スルモノナルトキハ其ノ府縣若ハ其ノ府縣內ノ公共團體ヲシテ其ノ費用ノ一部ヲ負擔セシムルコトヲ得
第三十四條 此ノ法律若ハ此ノ法律ニ基キテ發スル命令ニ依リ行政廳ノ命シタル事項ヲ遵守スル爲ニ要スル費用ハ特別ノ規程ヲ設ケタル場合ヲ除クノ外其ノ命ヲ受ケタル者ノ負擔トス
第五十二條ニ依リ主務大臣若ハ地方長官ニ於テ義務者ノ履行スヘキ事項ヲ自ラ執行シ若ハ第三者ヲシテ執行セシメタルカ爲ニ要シタル費用ハ其ノ義務者ヨリ之ヲ追徵スルコトヲ得
第三十五條 公共團體ハ河川ニ關スル工事若ハ費用ノ爲寄付ヲナスコトヲ得
第三十六條 公共團體ハ河川ニ關スル費用ニ付キ私人若ハ其ノ區域內ノ下級公共團體ニ補助ヲナスコトヲ得
第三十七條 公共團體ハ河川ニ關スル費用ニ付キ利害關係ノ厚薄ヲ標準トシテ其ノ區域內ニ於テ不均一ノ賦課ヲナスコトヲ得
第三十八條 河川ニ關スル工事ノ爲必要ナルトキハ地方行政廳ハ管內ノ土地若ハ森林ノ所有者ニ命シ補償金トシテ時價相當ノ金額ヲ下付シテ其ノ所有ニ係ル土石、砂礫、芝草、竹木及運搬具ヲ供給セシムルコトヲ得但シ時價ニ關シテ協議整ハサルトキ又ハ所有者不明ナルトキ若ハ其ノ所在不明ナルトキハ地方行政廳ハ相當ト認ムル金額ヲ供託シテ本條ノ供給ヲナサシムルコトヲ得
第三十九條 河川ニ關スル工事ノ爲メ必要ナルトキハ地方行政廳ハ其ノ堤外地ニ立入リ又ハ其ノ土地ヲ材料置場等ニ供シ又ハ已ムヲ得サルトキハ其ノ土地ニ現在スル建設物其ノ他ノ障害物ヲ除却スルコトヲ得
堤外地ニ非サル沿岸若ハ沿堤土地ニ關シテハ其ノ地先ニ施行スヘキ工事ノ爲必要ナル場合ニ限リ前項ヲ適用スルコトヲ得
前二項ノ適用ニ依リ損害ヲ受ケタル所有者ハ使用若ハ除却ノ後三箇月以內ニ府縣ニ對シ補償金ヲ請求スルコトヲ得
第四十條 第二十三條第一項ノ處分ニ因リ著シク損害ヲ受ケタル者アルトキハ地方行政廳ハ其ノ管內ノ市町村、町村組合若ハ水利組合ニ命シテ其ノ物件ノ價額ヲ補償セシムルコトヲ得其ノ價額ハ行政廳之ヲ定ム
第四十一條 法律、命令若ハ許可認可ノ條件ニ違背シタル工事、設備、使用、占用若ハ工作物ノ管理ニ因リ損害ヲ受ケシメタル者ハ其ノ損害ヲ賠償スヘシ
前項ニ依リ行政廳ニ於テ下付スヘキ賠償金ハ其ノ行政廳ノ直接ニ管轄スル公共團體ノ負擔トス
第四十二條 流水ヲ停滯シ若ハ引用スル爲ノ工作物ノ施設其ノ他河川ノ使用若ハ占用ヲ許可スルトキハ其ノ管理者、使用者若ハ占用者ヨリ使用料若ハ占用料ヲ徵收スルコトヲ得
本條ノ使用料若ハ占用料其ノ他河川ヨリ生スル收入ハ府縣ニ歸ス
第四十三條 地方行政廳ハ私人若ハ其ノ管內下級公共團體ニ於テ舟筏ノ便ヲ謀ル爲新築若ハ改築工事ヲ施行スル場合ニ限リ舟筏ヨリ通航料ヲ徵收スルコトヲ許可スルコトヲ得但シ其ノ年限ハ當初許可シタル時ヨリ三十箇年ヲ超過スルコトヲ得ス
通航料ノ徵收ヲ停止スヘキ場合ニ於ケル補償其ノ他通航料ノ制限等ニ關スル規程ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十四條 河川敷地ノ公用ヲ廢シタルトキハ地方行政廳ハ命令ノ定ムル所ニ從ヒ之ヲ處分スヘシ但シ此ノ法律施行前私人ノ所有權ヲ認メタル證跡アルトキハ其ノ私人ニ下付スヘシ
第四十五條 河川附近ノ土地若ハ工作物ノ所有者ハ命令ノ規程ニ依リ行政廳ノ命スル所ニ從ヒ其ノ土地ノ缺壞若ハ土砂流出ヲ豫防スル爲又ハ其ノ工作物ノ河川ニ及ホス損害ヲ豫防スル爲ニ必要ナル設備ノ全部若ハ一部ヲナシ又ハ其ノ費用ノ全部若ハ一部ヲ負擔スルノ義務ヲ有ス
第四十六條 河川ニ土砂ヲ流出スルノ虞アル土地ノ所有者ハ行政廳ニ於テ其ノ土地ニ竹木芝草ヲ植附ケ若ハ培養シ又ハ其ノ他土砂扞止ノ設備ヲナシ若ハ之ヲ維持スルコトヲ拒ムコトヲ得ス
前項ニ依リ植附タル竹木芝草ハ命令ノ定ムル所ニ從ヒ其ノ土地所有者ヲシテ收益ノ全部若ハ一部ヲ取得シテ之ヲ培養スルノ義務ヲ負ハシムルコトヲ得
土砂扞止ノ爲ニ要スル土地ハ行政廳ニ於テ土地收用法ニ依リ之ヲ收用スルコトヲ得
第一項土地ノ區域ハ地方行政廳ニ於テ豫メ之ヲ吿示スヘシ
第四十七條 此ノ法律ヲ以テ定メタルモノノ外尙河川附近ノ土地、家屋若ハ其ノ他ノ工作物ニ關シ河川ノ公利ヲ增進シ又ハ公害ヲ除却若ハ輕減スル爲ニ必要ナル制限ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十八條 河川若ハ河川附近ノ土地ニ關シテ規定シタル事項ハ命令ノ定ムル所ニ從ヒ河川ニ關スル工事ニ因リ新ニ河川トナルヘキ區域若ハ其ノ附近ノ土地ニ之ヲ準用スルコトヲ得