経済審議庁設置法
法令番号: 法律第263号
公布年月日: 昭和27年7月31日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

戦後の経済復興を担った経済安定本部が任務を果たし廃止されることに伴い、新たに総理府の外局として経済審議庁を設置する。現在の日本経済は、国民生活が戦前水準に達していない、国際収支が特需に依存、自衛力増強等の新たな負担増加など、多くの課題を抱えている。これらを解決し、国民経済の健全な発展と生活向上を図るため、総合的な経済政策を計画的に推進する必要がある。そこで、経済に関する重要政策の企画立案および総合調整を行う行政機関として経済審議庁を設置することとした。

参照した発言:
第13回国会 衆議院 内閣委員会 第19号

審議経過

第13回国会

衆議院
(昭和27年5月12日)
参議院
(昭和27年5月12日)
衆議院
(昭和27年5月14日)
(昭和27年5月19日)
(昭和27年5月20日)
参議院
衆議院
(昭和27年5月24日)
(昭和27年5月28日)
(昭和27年5月29日)
(昭和27年5月29日)
参議院
(昭和27年6月17日)
(昭和27年7月23日)
(昭和27年7月25日)
衆議院
(昭和27年7月31日)
(昭和27年7月31日)
経済審議庁設置法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十七年七月三十一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百六十三号
経済審議庁設置法
(目的)
第一條 この法律は、経済審議庁の所掌事務の範囲及び権限を明確に定めるとともに、その所掌する行政事務を能率的に遂行するに足る組織を定めることを目的とする。
(設置)
第二條 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三條第二項の規定に基いて、総理府の外局として、経済審議庁(以下「審議庁」という。)を設置する。
2 審議庁の長は、経済審議庁長官とし、国務大臣をもつて充てる。
(任務)
第三條 審議庁は、左に掲げる事務をつかさどる。
一 長期経済計画の策定
二 二以上の行政機関の経済施策に関連する総合的且つ基本的な政策の企画立案(特定の行政機関の主管に属するものを除く。)
三 経済に関する基本的な政策の総合調整
四 総合国力の分析及び測定
五 内外の経済動向及び国民所得等に関する調査及び分析
(権限)
第四條 審議庁は、この法律に規定する所掌事務を遂行するため、左に掲げる権限を有する。但し、その権限の行使は、法律(法律に基く命令を含む。)に従つてなされなければならない。
一 予算の範囲内で所掌事務の遂行に必要な支出負担行為をすること。
二 収入金を徴収し、所掌事務の遂行に必要な支払をすること。
三 所掌事務の遂行に直接必要な事務所等の施設を設置し、及び管理すること。
四 所掌事務の遂行に直接必要な事務用品等を調達すること。
五 不用財産を処分すること。
六 職員の任免及び賞罰を行い、その他職員の人事を管理すること。
七 職員の厚生及び保健のため必要な施設をし、及び管理すること。
八 職員に貸与する宿舎を設置し、及び管理すること。
九 所掌事務に関する統計及び調査資料を頒布し、又は刊行すること。
十 所掌事務の監察を行い、法令の定めるところに従い、必要な措置を執ること。
十一 所掌事務の周知宣伝を行うこと。
十二 審議庁の公印を制定すること。
十三 経済(外国為替予算並びに外国投資家の投資及び事業活動を含む。)に関する基本的な政策及び計画について、関係行政機関の事務の総合調整を行うこと。
十四 国土総合開発に関する基本的な政策及び計画を企画立案すること。
十五 電源開発に関する基本的な政策及び計画を企画立案すること。
十六 物価に関する基本的な政策を企画立案すること。
十七 国民生活の安定及び労働状態の改善に関する基本的な政策を企画立案すること。
十八 前四号に掲げるものの外、二以上の行政機関の経済施策に関連する総合的且つ基本的な政策(特定の行政機関の主管に属するものを除く。)を企画立案すること。
十九 左に掲げる法律に基く内閣総理大臣の権限の行使について補佐すること。
イ 国土総合開発法(昭和二十五年法律第二百五号)
ロ 国土調査法(昭和二十六年法律第百八十号)
ハ 特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法(昭和二十七年法律第九十六号)
ニ 電源開発促進法(昭和二十七年法律第二百八十三号)
二十 前各号に掲げるものの外、法律(法律に基く命令を含む。)に基き、審議庁に属せしめられた権限
(内部部局)
第五條 審議庁に、左の四部を置く。
総務部
調整部
計画部
調査部
(特別な職)
第六條 審議庁に、次長一人を置く。
2 次長は、長官を助け、庁務を整理する。
3 審議庁に、審議官十人以内を置く。
4 審議官は、命を受け、重要な庁務に参画する。
5 総務部、調整部、計画部及び調査部に、各部を通じ、調査官二十人以内を置く。
6 調査官は、命を受け、専門的事項の調査に参画する。
(総務部の事務)
第七條 総務部においては、左の事務をつかさどる。
一 機密に関すること。
二 職員の職階、任免、分限、懲戒、服務その他の人事並びに教養及び訓練に関すること。
三 長官の官印及び庁印を管守すること。
四 公文書を接受し、発送し、編集し、及び保存すること。
五 経費及び収入の予算、決算及び会計並びに会計の監査に関すること。
六 行政財産及び物品を管理すること。
七 職員の衛生、医療その他福利厚生に関すること。
八 行政の考査を行うこと。
九 こう報に関すること。
十 法令案の審査及び庁務の総合調整に関すること。
十一 前各号に掲げるものの外、審議庁の所掌事務で、他部の所掌に属さない事務に関すること。
(調整部の事務)
第八條 調整部においては、左の事務をつかさどる。
一 貿易、外国為替及び国際収支に関する基本的な政策及び計画の総合調整に関すること。
二 産業に関する基本的な政策及び計画の総合調整に関すること。
三 運輸に関する基本的な政策及び計画の総合調整に関すること。
四 財政、通貨及び金融に関する基本的な政策及び計画の総合調整に関すること。
五 外国投資家の投資及び事業活動に関する基本的な政策及び計画の総合調整に関すること。
六 物価に関する基本的な政策の企画立案及び総合調整に関すること。
七 国民の合理的な生活水準の策定並びに雇用の増大、労働状態及び国民生活水準の改善その他国民生活の安定に関する基本的な政策及び計画の企画立案及び総合調整に関すること。
八 国際経済協力に関する基本的な政策及び計画の企画立案及び推進に関すること。
九 前八号に掲げるものの外、二以上の行政機関の経済施策に関連する総合的且つ基本的な政策(特定の行政機関の主管に属するものを除く。)の企画立案並びに経済に関する基本的な政策及び計画の総合調整に関すること。
(計画部の事務)
第九條 計画部においては、左の事務をつかさどる。
一 長期経済計画の策定に関すること。
二 総合国力の分析及び測定に関すること。
三 電源開発に関する基本的な政策及び計画の企画立案及び総合調整に関すること。
四 国土総合開発及び国土調査に関すること。
五 特殊土じよう地帯の災害防除及び振興に関すること。
(調査部の事務)
第十條 調査部においては、左の事務をつかさどる。
一 内外の経済動向の調査及び分析に関すること。
二 経済統計の作成及び整備に関すること。
三 国民所得等の調査及び分析に関すること。
(附属機関)
第十一條 審議庁の附属機関として、経済審議会を置く。
2 経済審議会は、内閣総理大臣の諮問に応じ、経済に関する重要な政策、計画等につき調査審議する。
3 経済審議会の組織、所掌事務及び委員については、政令で定める。
(定員)
第十二條 審議庁に置かれる職員の定員は、別に法律で定める。
附 則
1 この法律は、昭和二十七年八月一日から施行する。
2 この法律施行の際現に経済安定本部の職員である者は、別に辞令を発せられない場合においては、法律に別段の定のない限り、同一の勤務條件をもつて、審議庁の職員となるものとする。
経済安定本部総裁 吉田茂
内閣総理大臣 吉田茂
経済審議庁設置法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十七年七月三十一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百六十三号
経済審議庁設置法
(目的)
第一条 この法律は、経済審議庁の所掌事務の範囲及び権限を明確に定めるとともに、その所掌する行政事務を能率的に遂行するに足る組織を定めることを目的とする。
(設置)
第二条 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項の規定に基いて、総理府の外局として、経済審議庁(以下「審議庁」という。)を設置する。
2 審議庁の長は、経済審議庁長官とし、国務大臣をもつて充てる。
(任務)
第三条 審議庁は、左に掲げる事務をつかさどる。
一 長期経済計画の策定
二 二以上の行政機関の経済施策に関連する総合的且つ基本的な政策の企画立案(特定の行政機関の主管に属するものを除く。)
三 経済に関する基本的な政策の総合調整
四 総合国力の分析及び測定
五 内外の経済動向及び国民所得等に関する調査及び分析
(権限)
第四条 審議庁は、この法律に規定する所掌事務を遂行するため、左に掲げる権限を有する。但し、その権限の行使は、法律(法律に基く命令を含む。)に従つてなされなければならない。
一 予算の範囲内で所掌事務の遂行に必要な支出負担行為をすること。
二 収入金を徴収し、所掌事務の遂行に必要な支払をすること。
三 所掌事務の遂行に直接必要な事務所等の施設を設置し、及び管理すること。
四 所掌事務の遂行に直接必要な事務用品等を調達すること。
五 不用財産を処分すること。
六 職員の任免及び賞罰を行い、その他職員の人事を管理すること。
七 職員の厚生及び保健のため必要な施設をし、及び管理すること。
八 職員に貸与する宿舎を設置し、及び管理すること。
九 所掌事務に関する統計及び調査資料を頒布し、又は刊行すること。
十 所掌事務の監察を行い、法令の定めるところに従い、必要な措置を執ること。
十一 所掌事務の周知宣伝を行うこと。
十二 審議庁の公印を制定すること。
十三 経済(外国為替予算並びに外国投資家の投資及び事業活動を含む。)に関する基本的な政策及び計画について、関係行政機関の事務の総合調整を行うこと。
十四 国土総合開発に関する基本的な政策及び計画を企画立案すること。
十五 電源開発に関する基本的な政策及び計画を企画立案すること。
十六 物価に関する基本的な政策を企画立案すること。
十七 国民生活の安定及び労働状態の改善に関する基本的な政策を企画立案すること。
十八 前四号に掲げるものの外、二以上の行政機関の経済施策に関連する総合的且つ基本的な政策(特定の行政機関の主管に属するものを除く。)を企画立案すること。
十九 左に掲げる法律に基く内閣総理大臣の権限の行使について補佐すること。
イ 国土総合開発法(昭和二十五年法律第二百五号)
ロ 国土調査法(昭和二十六年法律第百八十号)
ハ 特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法(昭和二十七年法律第九十六号)
ニ 電源開発促進法(昭和二十七年法律第二百八十三号)
二十 前各号に掲げるものの外、法律(法律に基く命令を含む。)に基き、審議庁に属せしめられた権限
(内部部局)
第五条 審議庁に、左の四部を置く。
総務部
調整部
計画部
調査部
(特別な職)
第六条 審議庁に、次長一人を置く。
2 次長は、長官を助け、庁務を整理する。
3 審議庁に、審議官十人以内を置く。
4 審議官は、命を受け、重要な庁務に参画する。
5 総務部、調整部、計画部及び調査部に、各部を通じ、調査官二十人以内を置く。
6 調査官は、命を受け、専門的事項の調査に参画する。
(総務部の事務)
第七条 総務部においては、左の事務をつかさどる。
一 機密に関すること。
二 職員の職階、任免、分限、懲戒、服務その他の人事並びに教養及び訓練に関すること。
三 長官の官印及び庁印を管守すること。
四 公文書を接受し、発送し、編集し、及び保存すること。
五 経費及び収入の予算、決算及び会計並びに会計の監査に関すること。
六 行政財産及び物品を管理すること。
七 職員の衛生、医療その他福利厚生に関すること。
八 行政の考査を行うこと。
九 こう報に関すること。
十 法令案の審査及び庁務の総合調整に関すること。
十一 前各号に掲げるものの外、審議庁の所掌事務で、他部の所掌に属さない事務に関すること。
(調整部の事務)
第八条 調整部においては、左の事務をつかさどる。
一 貿易、外国為替及び国際収支に関する基本的な政策及び計画の総合調整に関すること。
二 産業に関する基本的な政策及び計画の総合調整に関すること。
三 運輸に関する基本的な政策及び計画の総合調整に関すること。
四 財政、通貨及び金融に関する基本的な政策及び計画の総合調整に関すること。
五 外国投資家の投資及び事業活動に関する基本的な政策及び計画の総合調整に関すること。
六 物価に関する基本的な政策の企画立案及び総合調整に関すること。
七 国民の合理的な生活水準の策定並びに雇用の増大、労働状態及び国民生活水準の改善その他国民生活の安定に関する基本的な政策及び計画の企画立案及び総合調整に関すること。
八 国際経済協力に関する基本的な政策及び計画の企画立案及び推進に関すること。
九 前八号に掲げるものの外、二以上の行政機関の経済施策に関連する総合的且つ基本的な政策(特定の行政機関の主管に属するものを除く。)の企画立案並びに経済に関する基本的な政策及び計画の総合調整に関すること。
(計画部の事務)
第九条 計画部においては、左の事務をつかさどる。
一 長期経済計画の策定に関すること。
二 総合国力の分析及び測定に関すること。
三 電源開発に関する基本的な政策及び計画の企画立案及び総合調整に関すること。
四 国土総合開発及び国土調査に関すること。
五 特殊土じよう地帯の災害防除及び振興に関すること。
(調査部の事務)
第十条 調査部においては、左の事務をつかさどる。
一 内外の経済動向の調査及び分析に関すること。
二 経済統計の作成及び整備に関すること。
三 国民所得等の調査及び分析に関すること。
(附属機関)
第十一条 審議庁の附属機関として、経済審議会を置く。
2 経済審議会は、内閣総理大臣の諮問に応じ、経済に関する重要な政策、計画等につき調査審議する。
3 経済審議会の組織、所掌事務及び委員については、政令で定める。
(定員)
第十二条 審議庁に置かれる職員の定員は、別に法律で定める。
附 則
1 この法律は、昭和二十七年八月一日から施行する。
2 この法律施行の際現に経済安定本部の職員である者は、別に辞令を発せられない場合においては、法律に別段の定のない限り、同一の勤務条件をもつて、審議庁の職員となるものとする。
経済安定本部総裁 吉田茂
内閣総理大臣 吉田茂