附 則
(施行期日)
1 この法律は、昭和二十九年七月一日から施行する。但し、附則第三項、附則第六項及び附則第二十六項の規定は、公布の日から施行し、指定府県の府県公安委員会の委員及び市警察部に関する規定は、昭和三十年七月一日から施行する。
(従前の国家公安委員会及び都道府県公安委員会の廃止)
2 改正前の警察法(以下「旧法」という。)による国家公安委員会及び都道府県公安委員会は、この法律(前項但書に係る部分を除く。以下同じ。)の施行に伴い、廃止されるものとする。
(準備行為)
3 この法律の施行後最初に任命される国家公安委員会の委員及び都道府県公安委員会の委員並びに方面公安委員会の委員の選任のための手続その他この法律を施行するため必要な準備行為は、この法律の施行前においても行うことができる。
(最初の国家公安委員会の委員の任命)
4 この法律の施行後最初に任命される国家公安委員会の委員の任期は、五人のうち、一人は一年、一人は二年、一人は三年、一人は四年、一人は五年とする。
5 前項に規定する各委員の任期は、内閣総理大臣が定める。
6 この法律の施行後最初に任命される国家公安委員会の委員の任命について、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、第七条第一項の規定にかかわらず、同項に定める資格を有する者のうちから委員を任命することができる。この場合においては、その任命につき任命後最初の国会で両議院の事後の承認を得なければならないものとし、両議院の事後の承認を得られないときは、内閣総理大臣は、直ちにその委員を罷免しなければならない。
(最初の都道府県公安委員会の委員及び方面公安委員会の委員の任命)
7 この法律の施行後最初に任命される都道府県公安委員会の委員及び方面公安委員会の委員の任期は、その定数が三人の場合にあつては、一人は一年、一人は二年、一人は三年とし、その定数が五人の場合にあつては、一人は一年、二人は二年、二人は三年とする。この場合において、第三十九条第一項但書に規定する委員の任期は、二人のうち、一人は二年、一人は三年とする。
8 前項に規定する各委員の任期は、都道府県知事が定める。但し、第三十九条第一項但書に規定する委員の任期については、当該指定市の市長と協議して定める。
(従前の警察職員に関する経過規定)
9 この法律の施行の際、現に国家地方警察本部若しくはその附属機関又は警察管区本部(札幌警察管区本部を除く。)若しくはその附属機関の職員若しくは札幌警察管区本部の通信機関に所属する職員である者は、別に辞令を発せられない限り、それぞれこの法律による警察庁若しくはその附属機関又は管区警察局若しくはその附属機関若しくは北海道地方警察通信部の職員となるものとする。
10 この法律の施行の際、現に札幌警察管区本部(通信機関に所属する職員を除く。)、札幌管区警察学校、都道府県国家地方警察又はその都道府県の区域内に存する自治体警察の職員である者は、別に辞令を発せられない限り、当該都道府県に置かれる都道府県警察の職員となるものとする。この場合において、その都道府県警察の職員となるものの数が第五十七条の規定により政令又は条例で定められた定数をこえることとなるときは、そのこえる数の職員は、それぞれ、地方警察官又は地方警察職員の区分に応じ、政令又は政令で定める基準に従い条例で定めるところにより、定員外とすることができる。
(警察用財産の処理に関する経過規定)
11 この法律の施行の際現に警察の用にもつぱら供せられ、又は供せられる予定となつている財産のうち、国有の財産で都道府県警察が引き続き警察の用に供する必要のあるもの、市町村有の財産で警察庁若しくは都道府県警察が引き続き警察の用に供する必要のあるもの又は都有の財産で警察庁が引き続き警察の用に供する必要のあるものは、土地を除き、それぞれ、国と都道府県と、市町村と国若しくは都道府県と、又は都と国との間においてあらかじめ協議するところに基き、第三十七条第一項及び第二項に規定する経費の負担区分に従い、国から当該都道府県に、市町村から国若しくは当該都道府県に、又は都から国に譲渡するものとする。
12 この法律の施行の際現に警察の用にもつぱら供せられている国有又は地方公共団体所有の土地及びこの法律の施行の際現に国家地方警察又は自治体警察が他の機関と共用している国有又は地方公共団体所有の財産で、警察庁又は都道府県警察が引き続き警察の用に供する必要のあるものは、それぞれ、前項の例により、警察庁又は当該都道府県警察が使用することができるものとする。
13 前二項の規定による譲渡又は使用は、無償とする。但し、当該譲渡又は使用に係る財産に伴う負債がある場合その他政令で定める特別の事情がある場合においては、相互の協議により、当該負債を処理し、又は当該譲渡若しくは使用を有償とするため必要な措置を講ずることができる。
14 前三項の規定の適用について争があるときは、長官又は当該地方公共団体の長の申立に基き、政令で定めるところにより、内閣総理大臣が裁定する。
(給与に関する経過規定)
15 この法律の施行の際国家地方警察又は自治体警察の職員が地方警察職員となつた場合におけるその者が受けるべき俸給その他の給与は、当該都道府県の条例の定めるところによるものとし、その俸給月額がこの法律の施行前の日で政令で定める日現在におけるその者の俸給月額に達しないこととなる場合においては、その調整のため、都道府県は、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより、手当を支給するものとする。
(休職、特別待命又は懲戒処分に関する経過規定)
16 この法律の施行の際引き続き警察職員となつた者で、現に従前の規定により休職を命ぜられ、若しくは特別待命を承認されているものの休職若しくは特別待命の承認又はこの法律の施行の際引き続き警察職員となつた者に対するこの法律の施行前の事案に係る懲戒処分に関しては、なお従前の例による。この場合において、この法律の施行後懲戒処分を行うこととなるときは、当該懲戒処分に係る者の任命権者が懲戒処分を行うものとする。
(不利益処分に関する経過規定)
17 この法律の施行前に警察職員に対し行われた不利益処分に関する説明書の交付、審査の請求、審査及び審査の結果執るべき措置に関しては、なお従前の例による。
(公務災害補償に関する経過規定)
18 警察職員に係る公務に因る災害に対する補償で、災害の原因である事故が発生した日又は診断によつて疾病の発生が確定した日が昭和二十九年六月三十日以前に係るものについて同年七月一日以降において実施すべきもの及びこれに対する審査は、その者がこの法律の施行後引き続き警察職員として在職する場合においては、同年七月一日以降当該警察職員に係る俸給その他の給与を負担すべき者が行うものとする。
19 この法律の施行前すでに退職し、又はこの法律の施行の際退職した警察職員に対しこの法律の施行の際行われている公務に因る災害に対する補償並びに当該警察職員に対する前項に規定する補償及びこれに対する審査は、なお従前の例による。
(退職手当に関する経過規定)
20 この法律の施行の際、国家地方警察の職員が引き続き地方警察職員となつた場合においては、その者に対しては、国家公務員等退職手当暫定措置法(昭和二十八年法律第百八十二号。以下「退職手当法」という。)の規定による退職手当は、支給しない。この場合において、都道府県は、その者が国家公務員として引き続き勤続した期間(その者の地方公務員としての在職期間であつて、退職手当を支給されないで国家公務員としての在職期間に引き続いたものを含む。)を当該都道府県警察の職員としての勤続期間に通算する措置を講ずるものとする。
21 この法律の施行の際、自治体警察の職員が引き続き地方警察職員となつた場合においては、その者に対しては、自治体警察を維持していた地方公共団体の退職手当に関する条例の規定にかかわらず、退職手当は、支給しないものとする。この場合において、都道府県は、その者が地方公務員として引き続き勤続した期間(その者の国家公務員としての在職期間であつて、退職手当を支給されないで地方公務員としての在職期間に引き続いたものを含む。)を当該都道府県警察の職員としての勤続期間に通算する措置を講ずるものとする。
22 この法律の施行の際、自治体警察の職員が引き続き国家公務員たる警察職員となつた場合においては、その者に対しては、自治体警察を維持していた地方公共団体の退職手当に関する条例の規定にかかわらず、退職手当は、支給しないものとする。この場合における退職手当法第七条第五項前段の規定の適用については、その者が地方公務員として引き続き勤続した期間には、退職手当を支給されないでこれに引き続いた国家公務員としての在職期間を含むものとする。
(恩給に関する経過規定)
23 この法律の施行前旧法附則第七条(旧法第五十三条において特別区の存する区域における自治体警察の職員に準用する場合を含む。以下同じ。)又は警察法の一部を改正する法律(昭和二十六年法律第二百三十三号)附則第四項の規定の適用を受けていた者の従前の規定による自治体警察の職員としての在職については、これらの規定は、なおその効力を有するものとする。
24 この法律の施行の際旧法附則第七条の規定の適用を受けていた者以外の自治体警察の職員で左の各号に掲げるものが引き続き恩給法第十九条に規定する公務員たる警察庁の職員若しくは都道府県警察の職員又は第七十七条第一項各号に掲げる地方警察職員となつた場合において、その者が自治体警察を維持していた地方公共団体の退職年金又は退職一時金に関する条例の規定による退職給付を受けなかつたときは、同法の規定の適用又は準用については、その者が自治体警察の職員として引き続き在職した期間同法第十九条に規定する公務員として在職していたものとみなす。
25 前項の規定を適用する場合においては、同項第一号に掲げる職員としての在職は恩給法第二十三条に規定する警察監獄職員としての在職とみなし、同項第二号及び第三号に掲げる職員としての在職は同法第二十条第一項に規定する文官としての在職とみなす。
26 恩給法の一部を改正する法律(昭和二十八年法律第百五十五号。以下「改正法律」という。)の施行の際恩給法第十九条に規定する公務員又は公務員とみなされる者として在職した国家地方警察又は自治体警察の職員に対する改正法律附則第六条第二項の規定の適用については、同法同条同項中「八月」とあるのは、「一年」とする。
(共済組合に関する経過規定)
27 自治体警察の職員であつた者でこの法律の施行の際引き続き地方警察職員となるもののうち、国家公務員共済組合法(昭和二十三年法律第六十九号)に定める退職給付、廃疾給付及び遺族給付に関する規定の適用を受けることとなるものについては、その者が自治体警察を維持していた地方公共団体の退職年金又は退職一時金に関する条例の規定による退職給付を受けない場合に限り、その者が自治体警察に勤務した期間は、同法第八十六条第一項の組合員であつた期間とみなす。この場合において、当該地方公共団体の長(町村職員恩給組合にあつては、管理者)は、政令で定めるところにより、その者に係る同法第十六条第一項に規定する責任準備金に相当する金額を同法第二条第二項第一号に規定する組合に払い込むものとする。
(市警察の設置に伴う特例)
28 この法律の施行後一年間は、指定市に、市警察を置き、市警察は、当該指定市の区域につき、第二条の責務に任ずる。
29 この法律の施行後一年間は、指定府県の府県警察は、第三十六条第二項の規定にかかわらず、当該指定府県内の指定市の区域を除いた区域につき、第二条の責務に任ずる。
30 附則第二十八項の規定により指定市に置かれる市警察については、当該指定市をもつて一の県とみなし、指定府県以外の県の県警察に関する規定を適用する。
31 この法律の施行後一年間は、指定府県の府県公安委員会については、指定府県以外の県の県公安委員会に関する規定を適用する。
(政令への委任)
32 前各項に定めるものの外、この法律の施行に関し必要な経過措置(附則第二十八項から前項までの特例に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。