(受託債権の管理又は回収の権限等)
第十一条 債権回収会社は、委託を受けて債権の管理又は回収の業務を行う場合には、委託者のために自己の名をもって、当該債権の管理又は回収に関する一切の裁判上又は裁判外の行為を行う権限を有する。
2 債権回収会社は、委託を受けて債権の管理若しくは回収の業務を行い、又は譲り受けた債権の管理若しくは回収の業務を行う場合において、次に掲げる手続については、弁護士に追行させなければならない。
一 簡易裁判所以外の裁判所における民事訴訟手続、民事保全の命令に関する手続及び執行抗告(民事保全の執行の手続に関する裁判に対する執行抗告を含む。)に係る手続
二 簡易裁判所における民事訴訟手続であって、訴訟の目的の価額が裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第三十三条第一項第一号に定める額を超えるもの
三 簡易裁判所における民事保全の命令に関する手続であって、本案の訴訟の目的の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えるもの
(業務の範囲)
第十二条 債権回収会社は、債権管理回収業及び次に掲げる業務以外の業務を営むことができない。ただし、当該債権回収会社が債権管理回収業を営む上において支障を生ずることがないと認められるものについて、法務大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
一 特定金銭債権の管理又は回収を行う業務であって、債権管理回収業に該当しないもの
二 債権管理回収業又は前号の業務に付随する業務であって、政令で定めるもの
(商号)
第十三条 債権回収会社は、その商号中に債権回収という文字を用いなければならない。
2 債権回収会社でない者は、その商号のうちに債権回収会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。
(名義貸しの禁止)
第十四条 債権回収会社は、自己の名義をもって、他人に債権管理回収業を営ませてはならない。
(受取証書の交付)
第十五条 債権回収会社は、特定金銭債権の全部又は一部について弁済を受けたときは、その都度、直ちに、法務省令で定めるところにより、債権回収会社の商号及び本店の所在地、受領金額その他の法務省令で定める事項を記載した書面を当該弁済をした者に交付しなければならない。
2 前項の規定は、預金又は貯金の口座に対する払込みその他法務省令で定める方法により弁済を受ける場合にあっては、当該弁済をした者の請求があった場合に限り、適用する。
(債権証書の返還)
第十六条 債権回収会社は、特定金銭債権の全部の弁済を受けた場合において当該特定金銭債権の証書を有するときは、遅滞なく、これをその弁済をした者に返還しなければならない。
(業務に関する規制)
第十七条 債権回収会社の業務に従事する者は、その業務を行うに当たり、人を威迫し又はその私生活若しくは業務の平隠を害するような言動により、その者を困惑させてはならない。
2 債権回収会社の業務に従事する者は、その業務を行うに当たり、相手方の請求があったときは、当該債権回収会社の商号、自己の氏名その他法務省令で定める事項を、その相手方に明らかにしなければならない。
第十八条 債権回収会社は、暴力団員等をその業務に従事させ、又はその業務の補助者として使用してはならない。
2 債権回収会社は、その業務に関して広告をするときは、債権の回収の確実性その他法務省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。
3 債権回収会社は、債権管理回収業に係る債権の債務者又は保証人(以下この条において「債務者等」という。)から、これらの者が当該債権に係る債務の不履行の場合に直ちに強制執行を受けるべきことを記載した公正証書の作成を公証人に嘱託することを代理人に委任することを証する書面(以下「委任状」という。)を取得する場合においては、当該債権の債権金額その他法務省令で定める事項を記載していない委任状を取得してはならない。
4 債権回収会社は、特定金銭債権の管理又は回収の業務を行うに当たり、偽りその他不正の手段を用いてはならない。
5 債権回収会社は、特定金銭債権に係る債務であって利息制限法(昭和二十九年法律第百号)第一条第一項に定める利息の制限額を超える利息(同法第三条の規定によって利息とみなされる金銭を含む。)の支払を伴い、又はその不履行による賠償額の予定が同法第四条に定める制限額を超えるものについて、債務者等に対し、その履行を要求してはならない。
6 債権回収会社は、債務者等に対し、貸金業の規制等に関する法律第二条第一項に規定する貸金業を営む者からの金銭の借入れその他これに類する方法により特定金銭債権に係る債務の弁済資金を調達することをみだりに要求してはならない。
7 債権回収会社は、債務者等の親族(債務者等と内縁関係にある者その他債務者等と同居し、かつ、生計を同じくする者を含む。)又は債務者等が雇用する者その他の債務者等と密接な関係を有する者に対し、債務者等に代わって債務を弁済することをみだりに要求してはならない。
8 債権回収会社は、債務者等が特定金銭債権に係る債務の処理を弁護士に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとった場合において、その旨の通知があったときは、正当な理由がないのに、債務者等に対し、訪問し又は電話をかけて、当該債務を弁済することを要求してはならない。
9 債権回収会社は、前各項に定めるもののほか、債権の管理又は回収に関する行為であって、債務者等の保護に欠け、又は債権の管理若しくは回収の適正を害するおそれがあるものとして法務省令で定める行為をしてはならない。
(業務の委託及び債権譲渡の制限)
第十九条 債権回収会社は、債権管理回収業に係る債権の管理又は回収を他の債権回収会社及び弁護士以外の者に委託してはならない。
2 債権回収会社は、債権管理回収業に係る債権の譲渡(以下この項において「債権譲渡」という。)をしようとする場合において、その相手方が次の各号のいずれかに該当する者(以下この項において「譲受け制限者」という。)であることを知り、若しくは知ることができるとき、又は当該債権譲渡の後譲受け制限者が当該債権を譲り受けることを知り、若しくは知ることができるときは、当該債権譲渡をしてはならない。
二 暴力団員等がその運営を支配する法人その他の団体又は当該法人その他の団体の構成員
三 当該債権の管理又は回収に当たり、第十七条第一項若しくは前条の規定に違反し、又は刑法若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯すおそれが明らかである者