道路運送法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第141号
公布年月日: 昭和35年8月2日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

道路運送の現状を踏まえ、輸送の安全度向上、秩序維持、輸送実情の把握体制確立のため、以下の3点を骨子とする改正を行う。第一に、運行管理者制度の確立と是正命令による輸送安全の確保。第二に、違反車両への使用停止処分の実効性確保と罰則強化、および自家用自動車使用の適正化のための立入調査権限の付与。第三に、輸送需要等の実態調査体制の確立による道路運送の実情把握。これらの緊急性の高い課題に対応するため、本法改正を提案するものである。

参照した発言:
第34回国会 参議院 運輸委員会 第4号

審議経過

第34回国会

参議院
(昭和35年2月25日)
衆議院
(昭和35年3月2日)
参議院
(昭和35年3月8日)
衆議院
(昭和35年3月30日)
(昭和35年4月1日)
(昭和35年4月6日)
(昭和35年4月15日)
(昭和35年4月20日)
(昭和35年7月12日)
(昭和35年7月15日)
(昭和35年7月15日)
参議院
(昭和35年7月15日)
(昭和35年7月15日)
(昭和35年7月15日)
道路運送法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十五年八月二日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第百四十一号
道路運送法の一部を改正する法律
道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)の一部を次のように改正する。
第二十五条の次に次の一条を加える。
(運行管理者)
第二十五条の二 自動車運送事業者は、事業用自動車の運行の安全の確保に関する事項を処理させるため、運輸省令で定める営業所ごとに、年齢、事業用自動車の運行の管理又は運転の経歴その他について運輸省令で定める一定の要件を備える者のうちから、運行管理者を選任しなければならない。
2 前項の運行管理者が処理すべき事項の範囲及び運行管理者の選任に関し必要な事項は、運輸省令で定める。
3 運輸大臣は、運行管理者がこの法律又はこの法律に基づく命令に違反したときは、自動車運送事業者に対し、運行管理者の解任を命ずることができる。
4 運輸大臣は、前項の命令をしようとするときは、当該自動車運送事業者及び当該運行管理者に対し、あらかじめ、期日及び場所を指定して、聴聞をしなければならない。聴聞に際しては、これらの者に対し、意見を述べ、及び証拠を提出する機会が与えられなければならない。
第三十条の見出しを「(輸送の安全等)」に改め、同条中第二項を第三項とし、第一項の次に次の一項を加える。
2 運輸大臣は、自動車運送事業者が前項の運輸省令で定める事項を遵守していないため輸送の安全が確保されていないと認めるときは、当該自動車運送事業者に対し、施設又は運行の管理の方法の改善その他その是正のために必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。
第四十三条の二に次の一項を加える。
4 陸運局長は、第一項の規定による命令に係る自動車であつて、道路運送車両法の規定によるまつ消登録をしたものについては、前条に規定する輸送施設の使用の停止又は事業の停止の期間が満了するまでは、同法第二十二条第一項の新規登録用謄本を交付しないものとする。
第四十六条中「第二十五条」の下に「、第二十五条の二」を加える。
第七十九条第一項中「第二十一条」の下に「、第二十五条の二第三項及び第四項、第三十条第二項」を加え、「及び第百二十三条」を「並びに第百二十三条」に改める。
第百二十六条の見出しを「(報告、検査及び調査)」に改め、同条第一項中「その他の」を「その他」に改め、同条第二項中「必要がある」を「特に必要がある」に、「道路運送事業者の事業場」を「道路運送事業者その他自動車若しくは軽車両を所有し、若しくは使用する者若しくはこれらの者の組織する団体の事務所その他の事業場(道路運送事業又は自動車若しくは軽車両の管理に係るものに限る。)」に改める。
第百二十六条第四項中「第二項」を「第二項及び第三項」に改め、同項を同条第五項とし、同条第三項中「前項」を「前二項」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項の次に次の一項を加える。
3 当該行政庁は、自動車又は軽車両による輸送の実情の調査を行なうため特に必要があると認めるときは、その職員をして、当該調査のため必要な限度において、道路を通行する自動車又は軽車両の運転者に対し一時当該自動車又は軽車両を停止することを求め、及び運転者又はその補助者に輸送の経路、貨物の種類その他の事項を質問させることができる。
第百二十八条中「三十万円以下の罰金に処する」を「一年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」に改める。
第百二十八条の二中「二十万円以下の罰金に処する」を「六月以下の懲役若しくは二十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」に改める。
第百二十八条の二の次に次の一条を加える。
第百二十八条の三 左の各号の一に該当する者は、三月以下の懲役若しくは五万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第三十八条第一項(第七十二条において準用する場合を含む。)の規定により許可を受けてしなければならない事項を許可を受けないでした者
二 第百一条第一項の規定に違反した者
三 第百二条第一項の規定による処分に違反した者
第百二十九条第三項を次のように改める。
三 第三十七条第一項、第四十一条第一項(第七十二条において準用する場合を含む。)、第百条第一項又は第百一条第二項の規定により許可を受けてしなければならない事項を許可を受けないでした者
第百三十条第一号中「、第三十七条第一項、第三十八条第一項(第七十二条において準用する場合を含む。)、第四十一条第一項(第七十二条において準用する場合を含む。)」を削り、「、第八十六条第一項(第九十四条において準用する場合を含む。)、第百条第一項又は第百一条第二項」を「又は第八十六条第一項(第九十四条において準用する場合を含む。)」に、「許可又は認可」を「認可」に改める。
第百三十条第二号中「第十九条第二項」の下に「、第二十五条の二第三項、第三十条第二項」を加える。
第百三十条第三号中「第十五条」の下に「、第二十五条の二第一項」を加え、「、第八十九条又は第百一条第一項」を「又は第八十九条」に改める。
第百三十条第四号中「、第九十七条第一項又は第百二条第一項」を「又は第九十七条第一項」に改める。
第百三十一条及び第百三十三条第三項中「三万円」を「五万円」に改める。
附 則
1 この法律は、公布の日から起算して三十日を経過した日から施行する。ただし、第二十五条の二を加える改正規定は、公布の日から起算して六月を経過した日から施行する。
2 改正後の第四十三条の二第四項の規定は、この法律の施行の日前にした道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)の規定によるまつ消登録の申請に係る自動車については、適用しない。
運輸大臣 南好雄
建設大臣 橋本登美三郎
内閣総理大臣 池田勇人