第十九條 公職の候補者は、その選挙運動に関する收入及び支出の責任者(以下出納責任者という。)一人を選任しなければならない。但し、公職の候補者が自ら出納責任者となり、又は推薦届出者(推薦届出者が数人あるときはその代表者)が当該候補者の承諾を得て出納責任者を選任し、若しくは自ら出納責任者となることを妨げない。
出納責任者の選任者は、文書で出納責任者の支出することのできる金額の最高額を定め、出納責任者とともにこれに署名捺印しなければならない。
出納責任者の選任者(自ら出納責任者となつた者を含む。)は、直ちに出納責任者の氏名、住所、職業、生年月日及び選任年月日並びに公職の候補者の氏名を、文書で当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会に届け出なければならない。
推薦届出者が出納責任者を選任した場合においては、前項の届出には、その選任につき公職の候補者の承諾を得たことを証すべき書面(推薦届出者が数人あるときは併せてその代表者たることを証すべき書面)を添えなければならない。
第二十條 公職の候補者は、文書で通知することにより出納責任者を解任することができる。出納責任者を選任した推薦届出者において、当該候補者の承諾を得たときも、また同樣とする。
出納責任者は、文書で公職の候補者及び選任者に通知することにより辞任することができる。
第二十一條 出納責任者に異動があつたときは、出納責任者の選任者は、直ちに第十九條第三項及び第四項の例により届け出なければならない。
前項の届出で解任又は辞任による異動に関するものには、前條の規定による通知のあつたことを証すべき書面を添えなければならない。推薦届出者が出納責任者を解任した場合においては、併せて、その解任につき公職の候補者の承諾のあつたことを証すべき書面を添えなければならない。
第二十二條 出納責任者に事故があるとき、又は出納責任者が欠けたときは、選任者が代つてその職務を行う。推薦届出者たる選任者(自ら出納責任者となつた者を含む。)にも事故があるとき、又はその者も欠けたときは、公職の候補者が代つて出納責任者の職務を行う。
前項の規定により出納責任者に代つてその職務を行う者は、第十九條第三項及び第四項の例により届け出なければならない。
前項の届出には、出納責任者の氏名(出納責任者の選任をした推薦届出者にも事故があるとき、又はその者も欠けたときは併せてその氏名)、事故又は欠けたことの事実及びその職務代行を始めた年月日を記載しなければならない。出納責任者に代つてその職務を行う者がこれをやめたときは、その事由及びその職務代行をやめた年月日を記載しなければならない。
第二十三條 出納責任者(その職務を代行する者を含む。)は、第十九條第三項及び第四項、第二十一條又は前條第二項及び第三項の規定による届出がなされた後でなければ、公職の候補者の推薦、支持又は反対その他の運動のために、いかなる名義を以てするを問わず、公職の候補者のために寄附を受け、又は支出をすることができない。公職の候補者又は推薦届出者が寄附を受けるについても、また同樣とする。
第二十四條 出納責任者は、会計帳簿を備え、これに左の各号に掲げる事項を記載しなければならない。
一 選挙運動に関するすべての寄附及びその他の收入(公職の候補者のために公職の候補者又は出納責任者と意思を通じてなされた寄附を含む。)
二 前号の寄附をした者の氏名、住所及び職業並びに寄附の金額及び年月日
三 選挙運動に関するすべての支出(公職の候補者のために公職の候補者又は出納責任者と意思を通じてなされた支出を含む。)
四 前号の支出を受けた者の氏名、住所及び職業並びに支出の目的、金額及び年月日
第九條第二項の規定は、前項の会計帳簿について、これを準用する。
第二十五條 出納責任者以外の者で公職の候補者のために選挙運動に関する寄附を受けたものは、寄附を受けた日から七日以内に、寄附をした者の氏名、住所及び職業並びに寄附の金額及び年月日を記載した明細書を出納責任者に提出しなければならない。但し、出納責任者の請求があるときは、直ちにこれを提出しなければならない。
前項の寄附で当該候補者が立候補の届出前に受けたものについては、立候補の届出後直ちに出納責任者にその明細書を提出しなければならない。
第二十六條 立候補準備のために要する支出並びに公職の候補者又は出納責任者と意思を通じないでする自筆の推薦状及び電話による選挙運動のために要する支出を除く外、選挙運動に関する支出は、出納責任者(出納責任者に代つてその職務を行う者を含む。)でなければこれをすることができない。但し、出納責任者の文書による承諾を得た者は、この限りでない。
立候補準備のために要した支出で公職の候補者若しくは出納責任者となつた者が支出し、又は他の者がその者と意思を通じて支出したものについては、出納責任者は、その就任後直ちに当該候補者又は支出者につきその精算をしなければならない。
第二十七條 出納責任者又は公職の候補者若しくは出納責任者と意思を通じてそのために支出をした者は、選挙運動に関するすべての支出について、領收書その他の支出を証すべき書面を徴さなければならない。但し、これを徴し難い事情があるときは、この限りでない。
公職の候補者又は出納責任者と意思を通じてそのために支出をした者は、前項の書面を直ちに出納責任者に送付しなければならない。
第二十八條 出納責任者は、公職の候補者の選挙運動に関しなされた寄附及びその他の收入並びに支出について、第二十四條第一項各号に掲げる事項を記載した報告書を、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会に提出しなければならない。
第十三條の規定は、前項の報告書について、これを準用する。
第二十九條 出納責任者が辞任し、又は解任せられた場合においては、直ちに公職の候補者の選挙運動に関しなされた寄附及びその他の收入並びに支出の計算をし、あらたに出納責任者となつた者に対し、あらたに出納責任者となつた者がないときは出納責任者に代つてその職務を行う者に対し、引継をしなければならない。出納責任者に代つてその職務を行う者が事務の引継を受けた後、あらたに出納責任者が定つたときも、また同樣とする。
前項の規定により引継をする場合においては、引継をする者において前條の例により引継書を作成し、引継の旨及び引継の年月日を記載し、引継をする者及び引継を受ける者においてともに署名捺印し、現金及び帳簿その他の書類とともに引継をしなければならない。
第三十條 出納責任者は、会計帳簿、明細書及び領收書その他の支出を証すべき書面を、第二十八條の規定による報告書提出の日から二年間保存しなければならない。